よすが
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#506 [○○&◆.x/9qDRof2]
:22/10/25 15:45
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#507 [○○&◆.x/9qDRof2]
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しんでからきづく、大切なひと
僅かな音すらない静けさの中、ゆっくりと意識が戻ってくる。ふわふわと宙に浮いているような奇妙な感覚に包まれて、私は目を覚ました。たった今、生まれ落ちたばかりのように頭がうまく働かず、無心でぼーっと天井を見つめる。
:22/10/25 15:48
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#508 [○○&◆.x/9qDRof2]
天井とはこんなに低かっただろうか。ちょっと手を伸ばせば触れてしまいそうなほどに近く感じる。いや、実際近いのではないか?と考えが頭を過ぎったりもしたが、正直どうでもよく感じ、あっさりと思考を停止させた。そんなことを考えながら天井を見つめていると、次第に世界に音が戻ってきた。
:22/10/25 15:48
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#509 [○○&◆.x/9qDRof2]
何の音だろう。聞き覚えのある一定のリズムが耳に届く。ぽくぽくぽく。嗚呼、これは確か。木魚(もくぎょ)の音か。そういえば、さっきからお経のような声も聞こえるし、これは夢だろうか。そうでないとするなら、私は葬式中に寝ていることになる。
:22/10/25 15:49
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#510 [○○&◆.x/9qDRof2]
頭が少しずつ機能してきた時、聞き覚えのある母の啜り泣く声が聞こえてきた。.......お母さん?
「うっ、うぅっ.......」
「良枝、」
母の泣き声に次いで、父のなだめるような声が母の名前を呼んだ。お母さん?どうして泣いてるの?お父さん?何があったの?
:22/10/25 15:49
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#511 [○○&◆.x/9qDRof2]
私の声は喉から出てくることはなく、心の中で虚しく響いて消えた。声が、出ない。身体も動かない。母と、その他のいくつかの泣き声とお経だけが耳に届く。
「千恵、」
母が私を呼んでいる。どうしたの?お母さん。答えは返ってこなかった。私の意識は一気に覚醒してきた。先程からずっと続いている奇妙な感覚。
:22/10/25 15:49
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#512 [○○&◆.x/9qDRof2]
身体を取り巻く違和感に、生きた心地がしなかった。言うならば、呼吸しないで生きているような感覚。息苦しい。体は質量を失い、ふわふわとしながらも心臓だけがずっしりと重い。経験したことのない感覚。お母さん。これは夢だよね?現実味がありすぎて、頭が困惑してしまった。
:22/10/25 15:49
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#513 [○○&◆.x/9qDRof2]
夢には思えない、でも夢だと信じたい。私は怖くなった。早く覚めろ早く覚めろ。声が出ない、何故?
早く、早く!
これは夢だ!
身体もっ!
動いて、動いてっ、
動いて!!
:22/10/25 15:50
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#514 [○○&◆.x/9qDRof2]
「千恵…どうして死んでしまったの?」
母の声と共に、私の体は下から弾かれたような強い衝撃を受けた。驚く間もなく、気付いたら動けるようになっていた。あの感覚は消えないものの、いつもと何ら変わりない目覚め。
:22/10/25 15:50
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#515 [○○&◆.x/9qDRof2]
ただ違うのは、目の前に広がる光景だった。目に映ったのは、綺麗に正座しながら泣く、全身真っ黒の知り合いたち。友達から親戚まで、どうやら外にもまだいるようだ。壁には白と黒の幕が垂れ下がり、目の前にはお坊さんがお経を読んでいる。
:22/10/25 15:50
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