よすが
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#516 [○○&◆.x/9qDRof2]
.......ほらね、やっぱり夢だった。現実的すぎるけど、これは夢だ。夢じゃないなら何なのか、教えて欲しいくらいだ。辺りを見渡せば、暗い雰囲気は葬式そのものだった。ちらりと振り向けば自分の遺影が目に入る。一ヶ月前に家族で遊園地に行った時のものだ。
:22/10/25 15:51
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#517 [○○&◆.x/9qDRof2]
写真の中の私は恥ずかしそうにしながらも笑顔を作っている。あぁ、もう。せめて使うならこの写真じゃなくて生徒手帳とかの写真を使って欲しかった。カメラに向けて笑うのが苦手な私は、小さい頃から写真が嫌いだった。自分の照れ臭そうに笑う写真を葬式に使うとは、恐らく父の考えだろう。
:22/10/25 15:51
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#518 [○○&◆.x/9qDRof2]
目が覚めたら「葬式には無表情の写真を使ってくれ」と頼もうと決めた。ふとそんな考えを巡らせていた時、何気なく目をやった私の友達の列の中で、一人の人物に目が止まった。友達の列の最後尾にいる男。見覚えのあるなんてものじゃない。
名前は、西山 孝。
:22/10/25 15:51
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#519 [○○&◆.x/9qDRof2]
同じクラスで私の大嫌いな男で、私のことが大嫌いな男だ。保育園から一緒の幼なじみではあるし、周りからは悪友と言われることもあった。だけど孝の悪ふざけは私からしたら嫌なものでしかない。昔から何かしら頻繁に茶々を入れ、しつこくからかってくる行為の数々には悪意を感じずにはいられなかった。
:22/10/25 15:52
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#520 [○○&◆.x/9qDRof2]
基本無視をする私を見て仲の悪さを悟ってか、最近では悪友呼ばわりも減ってきた。とにかく大嫌いなのだ。それは向こうも認めていた。それなのに、今の孝の表情は何なのか。流石に泣いてはいないものの、すっかり気の抜けた顔をしている。
:22/10/25 15:52
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#521 [○○&◆.x/9qDRof2]
大して興味はないが、孝のそんな表情を見るのはなかなか面白かった。たまにはこんな夢も悪くはないな、と私は心の中で微笑んだ。しばらくして、私は焦りを覚えた。これは現実だ。突然そんなことを思い始めていた。こんな夢は有り得ない。場面は一向に変わる気配はないし、何よりリアルすぎる。
:22/10/25 15:52
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#522 [○○&◆.x/9qDRof2]
では、私が座布団代わりにしているこの棺桶の中に眠る、私そっくりな人物は誰だ。そっくりというか、見る限りでは毎朝鏡で見る私自身だ。じゃあ、やはり夢だろう。私はここにいるし、誰も私に反応しない。これが現実であるはずがない。
:22/10/25 15:52
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#523 [○○&◆.x/9qDRof2]
だが、ただ一つだけ、私の脳裏に現実的な答えが巡った。もしかして.......
「私…死んだ?」
私の言葉に誰も反応しなかった。私の前で、お坊さんの唱えるありがたいお経は終わりを告げた。家族がお礼をしている姿が映ったが、私はそれどころではなかった。
:22/10/25 15:53
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#524 [○○&◆.x/9qDRof2]
受け入れがたい仮説に、どうしていいかわからなかった。その後、わかったことが二つあった。一つは、やはりこれは夢じゃないこと。もう一つは私は間違いなく死んでいること。最高に現実的な悪夢を見ている訳でないなら、私の姿や声に誰か反応するはずだし、体が浮くことも、人や物を体が突き抜けることもないはずだ。
:22/10/25 15:53
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#525 [○○&◆.x/9qDRof2]
私は目の前で起きている事実を痛感せずにはいられなかった。ドアノブを握ろうとした私の手が、無抵抗に空を掴んだ。私は小さく溜め息を漏らした。確かにここに存在するのに、触れられない。すでに時計は午後十一時を指していた。
:22/10/25 15:53
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