よすが
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#740 [○○&◆.x/9qDRof2]
とっさにイタリア人の常套句を使ったが、それが面白かったのか相手は柔らかに笑った。
「いえ、俺の方こそ驚かせてしまったみたいで…すみません。撃ちもしませんし、捕まえもしませんから安心してくださいお嬢さん」
お 嬢 さ ん だ と !
なんて甘美な響きなんだ!
:22/10/25 19:24
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#741 [○○&◆.x/9qDRof2]
彼氏いない歴=年齢の私を一瞬でメロメロにした男性は、背が高くレモンが似合いそうなフレッシュな人だった。そういえば異国の服を着ている。コスプレ?
「あのっ!つかぬことをお聞きしますが、一体それは、何のコスプレなんですか?できればキャラクターの名前も!」
白いシャツにワイン色のネクタイ。上は深い緑色で金のボタン。ウエストあたりを黒革のベルトで締めている。ズボンも同じ色で、脛をゲートルで巻いている。見たことのない衣装だ。何かのゲームキャラだろうか。
:22/10/25 19:25
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#742 [○○&◆.x/9qDRof2]
「コス…?この服はアルディナ国のミスリル城に仕えてる者に支給される服ですよ。階級が高い人はまた違ってきますが。あ、申し遅れましたね。俺の名前はキース・ウィルダム。キースと呼んでください、お嬢さん」
それなんてRPG?
アルディナ国…。
:22/10/25 19:25
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#743 [○○&◆.x/9qDRof2]
そんな地名があるゲームがあっただろうか。ニンテドーにもナコにも、ましてやSEGにだってないかもしれない。だとするとスクアニックスか…?いやもしかして漫画か…?私もまだまだ修行が足りないようだ…。日本の萌え産業は日々進化している。私が知らないことなど、きっとたくさんあるのだ。私はふっと自嘲するように笑った。
「あの、お嬢さん?お嬢さんのお名前は何て言うんですか?」
「名前?」
:22/10/25 19:25
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#744 [○○&◆.x/9qDRof2]
萌えの前にただただ無力な私は自暴自棄になっていた。
「フッ、わたしは男性同士の恋愛を食い物にする、ただの腐女子さ」
「腐女子さんっていうんですか?変わったお名前ですね!まぁ、立ち話もなんですし、城の中へご案内いたします。どうぞこちらへ」
:22/10/25 19:25
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#745 [○○&◆.x/9qDRof2]
腐女子というのは名前ではなく、職業みたいなものなのだか.......うん?城、だと?.......眼鏡をかけ正常な視力を取り戻した私は息を飲んだ。途切れた花畑の先には城がそびえ立っていた。あの有名なネズミの国にある城よりも大きい。中世ヨーロッパにでも迷いこんでしまったかのようだ。
「いやー、近々視察の方がいらっしゃるとは聞いていましたが、まさか女性だったなんて思いませんでした」
:22/10/25 19:25
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#746 [○○&◆.x/9qDRof2]
あまりの事に私は言葉を失った。何がどうなっている!頭は混乱しているが、本能的に分かることが一つだけあった。
ココ日本ジャナイヨー。私があまりの事に白目をむいているのに、キースさんは「紅茶がいいですか?それともハーブティー?」などと暢気に聞いてくる。はっと我に返り、私は思い出したように口を開いた。日本じゃないってことは、外国なのか?
:22/10/25 19:26
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#747 [○○&◆.x/9qDRof2]
でもアルディナ国なんて聞いたことがない。そもそも学校と家の往復距離の間にアルディナ国なんてなかったし、登校するときも「ちょっと通りますよ」といってこの城の前を通ることもなかった。だとしたら!私の中で確信が二つうまれた。
1つ目は、下校中に空間が歪み異世界に飛ばされた。
:22/10/25 19:26
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#748 [○○&◆.x/9qDRof2]
そしてもう1つは…、夢オチ。どちらにしてもこの状況、非日常だ。誰しもが憧れる二次元的イベントではないか。ここは流されるまま流されていこう!そうしよう!
「それじゃあ、紅茶をいただこうかしら」
こうなったら楽しんだもん勝ちである。
「分かりました!紅茶ですね!」
弾んだ声でキースさんは城の中を先導して行く。私もそれに続いた。
「それにしても、壊れてなくて良かったですね!眼鏡!」
:22/10/25 19:26
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#749 [○○&◆.x/9qDRof2]
本当に良かった。
「だって眼鏡というのはとても高価で、貴族の、それも魔法高等試験に合格しないと得られない物ですもんね」
…あれ?私の知ってる眼鏡と違う。
「俺の友人にもかけてるやつがいるんですが、そいつとなら魔法の話で盛り上がるかもしれません!今度紹介しますよ!」
魔法の話で盛り上がる。あいにく私は試験に合格してないし、魔法だって使えない。ただの腐女子である。盛り上がるならBLの話で盛り上がりたい。
男が二人.......そう。そこからが試合開始な訳である。
「あっ!、キースじゃねーか!」
ちょうど螺旋階段を登り終え、部屋が点在する廊下に出た時声が聞こえた。後ろを振り返ると男の人が立っていた。私の中で試合開始のホイッスルが鳴った。キースさんと同じ深緑色の軍隊の制服なのだが、ネクタイを緩く結び胸元がはだけ、いくらか着崩した格好だった。
:22/10/25 19:27
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#750 [○○&◆.x/9qDRof2]
そういえば、衝撃的なことが多すぎて観察する余裕がなかったが、この二人.......どちらもイケメンである。キースさんは明るい茶色の、無造作だが邪魔にならない長さの髪型だ。柔らかに笑むその姿はまさに優しいお兄さん!
さっき声をかけてきた人は褐色の肌で、白銀の少し長めの髪を後ろに流している。右の目に眼帯をしていた。
:22/10/25 19:28
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#751 [○○&◆.x/9qDRof2]
710-750
:22/10/25 19:28
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#752 [○○&◆.x/9qDRof2]
:22/10/25 19:28
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#753 [○○&◆.x/9qDRof2]
:22/10/25 19:29
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#754 [○○&◆.x/9qDRof2]
:22/10/25 19:29
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#755 [○○&◆.x/9qDRof2]
:22/10/25 19:29
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#756 [○○&◆.x/9qDRof2]
:22/10/25 19:29
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#757 [○&◆oe/DCsIuaw]
↑(*゚∀゚*)↑
:22/10/25 19:31
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#758 [○&◆oe/DCsIuaw]
【CARTAIN CALL】
僕は劇場に居た。
ステージを前に、誰もいない客席に腰をおろしている。突然、パイプオルガンのような音が響き渡り、ステージの幕があがっていく。演奏の始まりだ。僕はステージを見た途端、恐怖に襲われた。鳥肌がたつのを感じる。てっきり、ステージにはオーケストラがあらわれるのかと思っていたのだ。
:22/10/25 19:32
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#759 [○&◆oe/DCsIuaw]
horror
◤◢◤◢⚠︎◤◢◤◢
:22/10/25 19:32
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#760 [○&◆oe/DCsIuaw]
しかし、僕の予想は間違いだった。ステージにあらわれたのは、一人の髪の長い女の人だった。しかも首を吊っているのだ。ステージの天井から蜘蛛の糸のようにロープが垂れ下がり、女の人の首に絡み付いている。僕は女の人から目を話すことができなかった。そして、死んだと思っていた女の人は生きていた。僕と目が合った。
:22/10/25 19:32
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#761 [○&◆oe/DCsIuaw]
目からは涙が、鼻からは鼻水が、口から嘔吐物が滴れ流れている。僕は恐ろしくて、身動きができずにいると、女の人はにやりと笑い、歌を歌い出した。首を吊っているせいか、ひどいしゃがれ声だ。堂々と響くパイプオルガン。女の人の調子のはずれた陽気な歌声。
:22/10/25 19:33
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#762 [○&◆oe/DCsIuaw]
なにもかもが不気味に感じる。いや、感じるのではなく、実際に不気味だった。
美しい村
喜びと希望に満ち溢れる
輝かしい村
しかし、男があらわれた
ひどく醜い男
見た目も中身も腐ってる
男は殺した
村で一番の優しい女を
村人は怒り狂い殺したのさ
:22/10/25 19:33
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#763 [○&◆oe/DCsIuaw]
醜い醜い男をね
醜い男が行き着くところは
ただ一つ
地獄の果てさ
女はそう歌った。
女が歌い終わると、客席から拍手喝采が起こった。
:22/10/25 19:33
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#764 [○&◆oe/DCsIuaw]
僕しかいなかったはずの客席には、いつのまにか人々で溢れかえっていた。僕はどうしていいかわからず、茫然と椅子に座り続ける。女の人は、再び動かなくなり、ステージの幕がゆっくり下りていった。拍手はしばらくの間やむことはなかった。
ーー僕は物凄い衝撃を受けた。慌てて目を開け、ようやくどのような状況にいたのか理解できた。ベッドから落ちたのだ。
「……いてて」
:22/10/25 19:34
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#765 [○&◆oe/DCsIuaw]
僕はのんびりと立ち上がる。ってことは、さっきの首吊り女は夢だったのか。なんとなく納得がいかない。今まで、こんなはっきりと夢を覚えていたことはなかった。歌の内容だって、すべて覚えているっていうのに。
「ハンス!ハンス、起きているの?」
母さんが叫んでいるのが聞こえた。
「……起きてるよ!」
僕はそう叫ぶと、居間に向かった。
……やっぱり納得いかないよ。
僕は夢について考えながらも、朝食を食べ、学校へ行く準備をした。
「いってきまーす」
:22/10/25 19:34
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#766 [○&◆oe/DCsIuaw]
呟くようにそう言うと、学校への道を歩きだした。路地裏のような狭いところを歩いているときだった。
「ジェラルド……」
僕は思わず声に出して彼の名を呼んでしまった。最悪だ。ジェラルドは一瞬こちらを見たが、すぐにそっぽを向いてしまった。彼は僕と同い年の14歳で、同じ学校に通っている。しかし、こんなに早い時間に彼を見たのは初めてだ。たいていはお昼を過ぎてから姿をあらわすのに。
:22/10/25 19:35
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#767 [○&◆oe/DCsIuaw]
ジェラルドは天使のような少年だ。落ち着いた感じの金色の髪に、深い青の瞳。非常に整った顔をしていて、気品が漂っている。ただ、ジェラルドには一つ問題がある。大きな問題だ。彼はひどい乱暴者なのだ。僕はジェラルドと面識はなかったが、彼の噂はなんどとなく聞いた。
その中にいい噂は一つもなかった。
誰を病院送りにしたとか、二度と人に見せられない顔にされた子がいるとか、万引きをしたとか……。
:22/10/25 19:35
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#768 [○&◆oe/DCsIuaw]
噂のほとんどは真実だ。そんなやつが目の前にいる。しかもジェラルドは、狭い路地に座り込んでいるため、道の半分が塞がれてしまっている。僕はその横を通り抜けなければならない。困った……。もしジェラルドに絡まれたら?うっかり転んでしまって、彼を踏ん付けてしまったら?僕は悩みながらもジェラルドに近づいていった。相変わらず、ジェラルドはボーッとしているようで、僕になんの反応もしめさない。.......これなら大丈夫かも。
:22/10/25 19:36
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#769 [○&◆oe/DCsIuaw]
足音をたてずに、慎重にジェラルドの横を進もうとした。しかし、こんなに注意していたにもかかわらず、僕の努力は水の泡となった。空想に耽っている様子だったジェラルドが、いきなり足を引っ掛けてきたのだ。
「うわっ!」
僕は倒れこみ、地面に顎を打ち付けた。ジェラルドが倒れた僕の背中を思いっきり踏んだ。思わずむせてしまう。横目でジェラルドを見た。彼は意地悪くほくそ笑んでいる。天使なんてとんでもない。あの笑顔は悪魔にしか見えない。
:22/10/25 19:36
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#770 [○&◆oe/DCsIuaw]
「よぉ、うすのろま」
「ぼ、僕はハンスだ……」
僕はうめきながらそう言った。ジェラルドはおもしろくなさそうに、フンと鼻をならした。僕はすかさず立ち上がる。ジェラルドは僕と背丈はあまりかわらない。なのに、力の差は歴然だ。
「俺は機嫌が悪い……」
ジェラルドが続きを言う前に、僕は全速力で走り出した。逃げなきゃ……。それしか頭になかった。僕は逃げ足には自信があったため、ジェラルドからも簡単に逃げられると思っていた。しかし、それは間違いだった。
:22/10/25 19:37
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