馬鹿だらけ(BL)
最新 最初 全
#142 [生茶]
「やりたい…」
吉田が抱きついたまま言った。
「駄目だよ、相田が…」
「相田…には悪いけど、俺はお前が好きで、お前は俺が好きなんだろ?相田はどこにも入ってないじゃん」
「何だよそれ。相田だけ仲間外れじゃんか」
「相田相田って言っても、もう帰ってこないよ…。なぁ、もういないんだよ」
俺は妙に腹が立った。
「吉田がそんなこと言うとは思わなかった」
「な、何だよ。でもいつまでも相田に気を配ってなんかいられないだろ」
怒りと悲しみが入り混じる。
「いなくなったって、相田は…」
:08/05/04 18:42 :PC :84FyVaTM
#143 [生茶]
「もういい」
「…」
「はっ…なせ!」
黙ったまま固く抱きつく吉田を強引に引き離し、部屋を出ようとする。
「どこ行くんだよ」
後ろで吉田の声が聞こえる。でも俺は何も言わず、部屋を出た。
:08/05/05 18:42 :PC :WkkIwbDs
#144 [生茶]
その日は、吉田は俺の部屋で寝た。でも俺たちは一言も喋らなかった。
俺は朝早くから部活に出かけ、吉田家は俺が帰って来る前に家を出た。
非常に腹が立っていた。相田はもういないんだから俺とやれ、冗談じゃない。何でそんなに相田を他人扱いできるんだ。
俺は部屋で一人、相田との思い出を頭の中で再生した。何度も、何度も楽しかった思い出を再生した。
:08/05/05 18:48 :PC :WkkIwbDs
#145 [生茶]
相田はもういない。けど、思い出は消えない。と、どこかで聞いたような言葉を思い出した。確かにその通りだった。相田とは、思い出の中でいつでも会えた。
:08/05/05 18:53 :PC :WkkIwbDs
#146 [生茶]
相田は、俺のことをどう思っていただろう。親友、と思ってくれていただろうか。それとも、俺に見せたあの笑顔の数々は、偽りのものだったのだろうか。
頭の中で、物事は悪い方向へと進んでいた。
:08/05/05 22:27 :N905imyu :☆☆☆
#147 [生茶]
時間は、平凡に過ぎ去っていった。俺は高校を卒業し、大学生になった。既に一人暮らしを始めて2ヶ月になった。時々、母さんから差し入れが届いた。
:08/05/05 22:30 :N905imyu :☆☆☆
#148 [生茶]
大学から帰宅し、電気を付ける。いつも同じ動作を繰り返していた。
決して住心地の良いアパートとは言えない。日当たりもあまり良くないし、隣の部屋からは、毎晩酒に溺れた夫が妻と口喧嘩をしているのが聞こえる。
:08/05/05 22:36 :N905imyu :☆☆☆
#149 [生茶]
そんな夜、帰宅した俺は、机の上のプリントに紛れていた1枚の写真を見つけた。
それは、あの日、あの3人で撮った写真。そう。俺と吉田と相田の最後の写真。
何でこんな所にあるのだろう。不思議でたまらなかった。
:08/05/05 22:39 :N905imyu :☆☆☆
#150 [生茶]
俺は机の前でその写真を暫く見つめていた。
その写真があった場所を見てみても、他に写真は無かった。不思議だった。
:08/05/05 22:42 :N905imyu :☆☆☆
#151 [生茶]
3人の無邪気な笑顔を見ているうちに、俺は吉田とのことを思い出した。そういえば、あの時喧嘩したまま、連絡をとっていない。まだ、怒っているだろうか。
:08/05/05 22:44 :N905imyu :☆☆☆
★コメント★
←次 | 前→
トピック
C-BoX E194.194