・・万華鏡・・
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#6 [果樹]
入学式。


正直かったるい。

聞きたくもねぇジジババの話を延々と一時間も聞かされるなんて、苦痛以外のなにものでもない。

きっと全校生徒がそう思ってるはずだ。


俺は、サボる場所を見つけるために歩いていたら、学校の隅に追いやられるように咲いていた桜を見つけた。

⏰:08/05/28 21:06 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#7 [果樹]
ちょーどいいや!

桜の下で一寝することに決めた俺は、そこに近付く。


しかし先客がいたようだ。

桜の木に寄りかかる様にして座る少女。

黒く長い髪が風が吹く度に揺れる少女は、制服の感じからいって新入生だろう。

まだ着慣れない感じと制服の新品具合いがそれを物語っていた。


ちぇ、ここは駄目か。

俺は別の場所を探そうと回れ右をしようとした時、桜の方から声が聞こえた。

⏰:08/05/28 21:10 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#8 [果樹]
「あなたもサボリ?」

一瞬桜が喋ったのかと思ったが、それは紛れもなく少女の声。

澄んだ綺麗な声は、まだ世の中の醜さも何も知らないようだった。


俺は回れ右をしようとした足を止めて、少女の方に向き直る。

「まぁな。昼寝の場所取られちまったけど」

⏰:08/05/28 21:12 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#9 [果樹]
俺はちょっと意地悪く言う。

しかし少女はそれに気を悪くした感じもなく笑っている。


「あ、ごめんなさい。よかったら隣どうぞ。別にお昼寝の邪魔するつもりはないから」


寝れるならなんでもいーやと思った俺は、少女の誘いを受ける事にした。

⏰:08/05/28 21:12 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#10 [果樹]
ごろんと桜の下の芝生に寝転ぶと空よりも鮮やかな色の桜が目に飛込んできた。

暖かい陽気にはうってつけのそよ風と桜の花の隙間からたまに溢れる日射しが気持ちよかった。


ふと少女に目線を移すと少女はさっきと変わらず木に寄りかかったまま本を読んでいた。

「なぁ、あんたさっきから何読んでんだ?」

俺の声に気付いたようで少女もこっちを見たが、その顔は何だか笑っている。

⏰:08/05/28 21:49 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#11 [果樹]
「寝ないの?」

「う、うるせぇな!聞いてんだから答えろよ!」

少女につっこまれた俺は、軽く動揺してしまった。

「詩よ」

「詩?なにそれ」

「うーん。分かりやすくいうと自分の思った事を文章にしたもの・・・かな?」

少女は説明してくれたが、詩を読んだことのない俺にはいまいちよく分からなかった。

⏰:08/05/28 21:49 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#12 [果樹]
「ふーん。面白いの?」

「読んでみる?」

「いい」

笑顔で勧める彼女に俺は寝返りをうち、背中を向けて答えた。

「そう?以外とハマるかもよ?」

後ろでクスクスと笑う彼女。

そんなのに俺がハマるわけがない。

俺が今度こそ眠りにつこうと目を閉じて数分。

⏰:08/05/28 21:50 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#13 [果樹]
体育館の方から生徒のざわつきが聞こえた。

「あ、始業式終わったみたい。それじゃあさようなら」

パタンと本を閉じた声に俺は反応し、上体を起こすと少女は校舎に歩いていってしまった。

「あっ・・・。」

はぁ。名前くらい聞いとけってんだ俺のバカ!

しょうがねぇ俺も教室に行くとするか。

俺は軽く伸びをして、自分の教室へと向かった。

⏰:08/05/28 21:51 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#14 [果樹]
教室に行くと、中は入学式独特のざわつき感があった。

まぁ廊下も大概煩かったけど・・・。

俺は黒板に貼ってあった座席表で自分の席を確認し、椅子に座ると机に突っ伏した。

女どもの甲高い笑い声や男たちのくだらない話声を聞かないように目を閉じて、さっきの桜の木の下で会った少女のことを思い出した。

⏰:08/05/29 05:14 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#15 [果樹]
綺麗な子だった。
純粋そうで儚げで、でもどこか影のある子。

やっぱり名前聞いときゃよかった。

また会えるかな・・・。



「千晃ー!お前入学式サボったろー!」

名前を呼ばれて顔を上げると目の前の席に馴染みの顔があった。

「あれ猛。お前いたの?」

⏰:08/05/29 05:16 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


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