・・万華鏡・・
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#146 [果樹]
さすがに全力で駆け回っただけあって私はもう体力の限界だった。


「あ・・・れ?」

ダダダダダッという上條先輩の足音がいつの間にか止んだことに気付き、私は足を止めて後ろを振り返るが上條先輩の姿はない。

諦め・・・た?

荒くなっていた息を整えながらそんことを考えると胸がチクンと痛んだ。

⏰:08/06/04 02:08 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#147 [果樹]
なんか・・・痛い。


「涼ちゃん」

「へ?」

胸の辺りを擦っていたら、いきなり後ろから名前を呼ばれ振り向く前に脇の間から手が延びてきて、後ろからガッチリと掴まれてしまった。

「つかまえた」

声の主は上條先輩。

⏰:08/06/04 02:09 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#148 [果樹]
「きゃあ!上條先輩離してくださいー!」

上條先輩は先回りしていたらしい。

ジタバタと暴れるが、上條先輩の腕はなかなか剥がれない。

「嫌や。話し聞いてくれるまで離したらへん」

密接しているためか、耳に直接声が流れ込んで、体が熱くなる。

「聞きます聞きますからー!!」

⏰:08/06/04 02:10 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#149 [果樹]
そういうと手はパッと離れた。

私はなるべく上條先輩から距離を取ろうと、少し後ろに下がる。

すると、上條先輩に手首をパシッと掴まれてしまった。

「逃げたい気持もわかんねんけどな。とりあえず話聞いてや・・・」

そういう上條先輩の声はどこか震えていて、金色の髪の間から見える目が悲しそうに私を見ていた。

⏰:08/06/04 02:10 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#150 [果樹]
私は胸が締め付けられているような気がして、こくりと小さく頷くことしかできなかった。

「ありがとう」

そういうと上條先輩はふわっと笑って、私を人気の少ないB棟の特別教室へと誘導した。


――――――――・・・・


教室に入り、私は椅子に、上條先輩は机に腰を下ろし、私達は向き合う形に座った。

⏰:08/06/04 02:12 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#151 [果樹]
そして開口一番に上條先輩は昨日のことを口にした。


「ごめんな写真のこと・・・。リカから全部聞いてん。きもいやんなぁ。あんなん見せられたら」

うつ向いているため、上條先輩の表情までは分からなかった。

でも声は、私の胸を締め付けるくらい切ないものだった。

⏰:08/06/04 02:13 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#152 [果樹]
「俺な、実は涼ちゃんのことずっと前から知っとってん」

顔を上げた上條先輩が軽く笑顔を作る。

「ずっと前から・・・?」

「せや。そやなぁ・・・もう一年くらい前やったかな?毎朝毎朝渡り廊下にいて、なんや幸せそーな顔して目ぇキラキラさせてる涼ちゃんが印象的やってん。せやからついシャッター押してもうた」

⏰:08/06/04 02:13 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#153 [果樹]
上條先輩はその時のことを思い出すように遠くを見つめて話す。


「俺な、自分が綺麗と思うたもんはカメラに納めな気が済まん質やねん。せやから涼ちゃんを見たとき迷わずシャッターを押してん」

上條先輩の目が私を捕える。

胸が早鐘を打つように高鳴っているのがわかる。

⏰:08/06/04 02:14 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#154 [果樹]
なんで?

なんでこんなにドキドキするの?


「それからやったかな?俺は毎朝渡り廊下に行ってん。そこには必ず涼ちゃんが居って、相変わらずキラキラした目ぇで滉太のこと見とった」

少し悲しそうに上條先輩が笑う。

⏰:08/06/04 02:15 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#155 [果樹]
「涼ちゃんは気付かんかったと思うけど俺、涼ちゃんに話かける前からずっと俺、渡り廊下で昼寝しててんで?」

白い歯を見せて笑う上條先輩はどこかやっぱり悲しみを纏っていた。

なんでこの人はこんな悲しそうに笑うの・・・?

「まぁ、涼ちゃんの目ぇはいつも滉太に向いててんから気付かんでもしゃーないんやけど・・・」

先輩はまたうつ向いてしまった。

⏰:08/06/04 02:16 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


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