・・万華鏡・・
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#840 [○○&◆.x/9qDRof2]
わたしは乗客を見渡し、彼らが蝋人形(ろうにんぎょう)のように見えることに気が付いた。他人の表情を読み取れないなんて、自分の感性が錆びてしまったのでは無いかと思い、一瞬ヒヤリとしたのだが、やはり彼らの顔はのっぺらぼうのようになっていた。

⏰:22/10/18 14:01 📱:Android 🆔:h3l12Mig


#841 [○○&◆.x/9qDRof2]
わたしの椅子の横に、ひとりの男が腰掛けた。静止したように思える車内で、わたしと彼だけが鮮明にそこに存在しているような気がした。彼は声を掛けては来ないが、明確な目的を持ってわたしの横に座ったことに間違いはない。

⏰:22/10/18 14:01 📱:Android 🆔:h3l12Mig


#842 [○○&◆.x/9qDRof2]
そして彼は、首をくるっと廻してわたしの方を見た。男はまんまるとした眼球をこちらに見やり言った。

「あなたは宇宙に必要とされていません」

意味が分からなかった。

⏰:22/10/18 14:01 📱:Android 🆔:h3l12Mig


#843 [○○&◆.x/9qDRof2]
「次の駅で降りるか、このまま消えて無くなるのかを選ばせてあげます」

頭のおかしい奴もいるものだと思った。わたしは元々次の駅で降りるつもりだったので、電車が止まると黙ってそこから離れたのだ。

⏰:22/10/18 14:01 📱:Android 🆔:h3l12Mig


#844 [○○&◆.x/9qDRof2]
ホームに降りると、背後で扉のしまる音が聞こえた。いつもは乗り降りのたくさんある駅だが、いま、ホームにいるのはわたしだけだった。電車が発進し、走り去る姿をなんとなく見ていた。

⏰:22/10/18 14:02 📱:Android 🆔:h3l12Mig


#845 [○○&◆.x/9qDRof2]
すると、進行方向の空が、曇り空を割って急に光輝いた。電車はそのまま光に向かい、大蛇が鎌首を持ち上げるように、線路から離れ、雲の向こうに走って行った。未知なる存在によって、人々が誘拐されている。

⏰:22/10/18 14:02 📱:Android 🆔:h3l12Mig


#846 [○○&◆.x/9qDRof2]
しかし世間は、誰もそのことに触れようとしなかった。わたしの会社でも、毎日のように従業員が減っていったのだが、居なくなった者のことは、一切話題にならなかった。いつもと変わらない毎日の中で、ただ周りからひとが消えて行ったのだ。

⏰:22/10/18 14:02 📱:Android 🆔:h3l12Mig


#847 [○○&◆.x/9qDRof2]
ある晩、両親と妹とわたしの四人で晩御飯を食べていた。テレビのニュースキャスターは毎日のようにひとが変わっているが、無論、そんなことは話題にならなかった。わたしは家族に話しかけることはほとんどしないのだが、自然と涙がポツポツとこぼれて来て、自分が体験したこと、世の中が異常なことを話し始めた。

⏰:22/10/18 14:02 📱:Android 🆔:h3l12Mig


#848 [○○&◆.x/9qDRof2]
一通り話し終えてから三人の顔を見ると、蝋人形のようなのっぺらぼうになっていた。わたしは思わず叫び声を上げ、自分の部屋に逃げ込む。部屋の扉に鍵をかけ、ベッドに飛び込んだ。そして扉のほうを見ると、あの丸い目をした男が立っていた。

⏰:22/10/18 14:02 📱:Android 🆔:h3l12Mig


#849 [○○&◆.x/9qDRof2]
わたしは男に、一体なんのつもりなのかを聞いた。男が両手を翼のように広げると、部屋の天井がなくなり、大きな映像が映し出される。そこには、空中に浮かぶ大きな都市が写し出されていた。画面は拡大され、巨大なビル群の間を、スーツを着た人々や、作業着を着た人々が規則正しく、碁盤の目のように整備された道を往来していた。

⏰:22/10/18 14:03 📱:Android 🆔:h3l12Mig


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