・・万華鏡・・
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#290 [果樹]
名前を呼ばれたので声の主を探すと、タキシード姿の男の人がテラスの柵に寄りかかるようにして立っていた。
顔は月の光を背中に浴びているせいでよく見えない。
「そうですけどあなたは?」
「君の婚約者候補、とでも言うべきかな?つかさお嬢さん」
:08/06/12 00:59
:P902iS
:☆☆☆
#291 [果樹]
含みのある言い方をされて眉間に皺が寄るが、招待客なので無下には出来ない。
私はなるべく角が立たないように笑顔を作る。
「そうですか。本日はわざわざ足を運んで頂いてありがとうございます。それでは私はこれで失礼します」
長居は無用とばかりに踵を返して戻るところで、後ろから声をかけられた。
:08/06/12 01:01
:P902iS
:☆☆☆
#292 [果樹]
「ねぇもうちょっと話さない?」
「遠慮します」
と言いたかったけれど、中に戻ってもまたダンスの誘いが嵐のように来るだけなので、ここの方がまだマシだと思い、私はテラスでこの男の相手をすることにした。
・・・・・・・・・・・・・
「君の家は随分としきたりに煩い家のようだね」
:08/06/12 01:10
:P902iS
:☆☆☆
#293 [果樹]
「古くからある旧家ですので、決まり事は絶対なんです」
男の言葉に貼りつけたような笑みを作る。
「ふぅん。しきたりを重んじる旧家か。自由なんか皆無だろうね」
「あなただって私と変わらないんじゃありません?」
男の言葉に私が問掛けると、男はクスッと笑いを溢す。
:08/06/12 01:12
:P902iS
:☆☆☆
#294 [果樹]
「そうだけど。俺は自由が欲しくて逃げた人間だから」
「え?」
「俺たちの住む世界は窮屈で仕方がない。やれ習い事だ。やれ勉強だと縛られた中の自由しかない。それはまるで籠の鳥だ。だから俺は籠から逃げ出した。空をおもいっきり飛んでみたかったからね」
空をおもいっきり飛んでみたい・・・か。
それは何度私が願った、叶わない望みだろう。
:08/06/12 01:15
:P902iS
:☆☆☆
#295 [果樹]
「君は逃げ出さないの?」
問掛ける男に私もクスッと笑みを一つ浮かべる。
「無理ですよ。連れ戻されてしまいましたから」
「自由が欲しくないの?」
自由?
そんなの欲しいに決まっている。
でも・・・。
:08/06/13 22:24
:P902iS
:☆☆☆
#296 [果樹]
.
「自由が欲しいなら俺がくれてやるよ」
.
:08/06/13 22:26
:P902iS
:☆☆☆
#297 [果樹]
「え!?」
思わず顔の見えない男の顔を見てしまう。
この台詞・・・。
これはあの時・・・。
「お前の知らない世界を俺が見せてやるよ」
この台詞はあの時に総が私に向けた言葉・・・。
もしかして・・・。
:08/06/13 22:27
:P902iS
:☆☆☆
#298 [果樹]
私は一筋の望みを託して本当に小さな声でその名前を呼ぶ。
「そ・・・う?」
月明かりを背にしていた男は私の隣まで来て、にやっと笑う。
「やっと気付いた?」
月明かりに照らされたその顔は紛れもなく総だった。
「なん・・・で?」
:08/06/13 22:27
:P902iS
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#299 [果樹]
「つかさが婚約者を決めるパーティを開くって言うから親父に頼み込んで招待客として紛れ込んだ」
笑いながらいう総。
「親父って・・・それに招待客・・・?え??」
総のいきなりの登場と言葉に考えることのに容量を越えていて、私の頭はついていかない。
「クスッ・・・とりあえず落ち着け」
:08/06/13 22:28
:P902iS
:☆☆☆
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