・・万華鏡・・
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#501 [果樹]
それもそのはず、俺はこのゲーム機に熱くなりすぎて階段から転げ落ちてしまったのだから。
「ごめんね。ありがと」
俺は苦笑いで少女からゲーム機を受け取る。
「ゲームしながら歩いていたら危ないですよ?」
受け取る瞬間にクスッと笑われて昼休みにあったことを思い出す。
:08/10/05 00:19
:P902iS
:☆☆☆
#502 [果樹]
「ははは・・・だね。気をつける」
乾いた笑いを浮かべる俺に、少女はなんだか面白そうに笑っている。
「昼休みのときにあった子だよね?」
俺の問いに少女は、コクリと首を縦に振る。
「小鶴めぐみ」
「え?」
:08/10/05 00:20
:P902iS
:☆☆☆
#503 [果樹]
「名前。小鶴めぐみ。お菓子ありがとう。美味しかったです」
にこりと笑いながらお礼を言われた俺は、心臓がドキドキした。
何だ・・・?この感覚は?
「あなたは?」
「え?あっ!俺は倉橋空。倉でいいよ」
一瞬キョトンとしたが、小鶴さんはすぐににこりと笑う。
:08/10/05 00:20
:P902iS
:☆☆☆
#504 [果樹]
「それじゃあ私はこれで・・・。ばいばい倉くん」
そういって小鶴さんは手を軽く振って廊下を歩いていってしまった。
俺はしばらく、小鶴さんが歩いていったほうをぼけーっと見ていた。
あ!思い出した。
小鶴さんて哲が騒いでいたあの小鶴さんだ。
哲にこのこと話したらまたうるっせーんだろうなぁ・・・。
:08/10/05 00:21
:P902iS
:☆☆☆
#505 [果樹]
はぁと軽いため息をついて俺は昇降口へと向かった。
――――――――――・・・・
「つーる子ー!!」
ドンッ!
「んぎゃ!」
ドサッ
私は突然背中に感じた重さに耐えられず、そのまま地面に倒れる。
:08/10/05 12:27
:P902iS
:☆☆☆
#506 [果樹]
「麻ぁぁーー衣ぃぃーー・・・」
「あ・・あはははははー・・・」
上体を起こし私は後ろにいる麻衣を睨みつける。
麻衣は乾いた笑いを浮かべ顔を引きつらせている。
「まったくもー」
私は立ち上がり、スカートについたほこりを手で振り払う。
:08/10/05 12:28
:P902iS
:☆☆☆
#507 [果樹]
そのついでに頬を少し膨らませながら麻衣を再度睨みつける。
「ごめんってばー」
麻衣は両手を顔の前に合わせ必死に謝ってくる。
「別にいいけどさー。何いきなり?」
「え?なんでもないよ?」
「は?」
:08/10/05 12:28
:P902iS
:☆☆☆
#508 [果樹]
麻衣の返答に思わず素っ頓狂な声を出してしまう。
「つる子の姿が見えたから飛びついただけー」
麻衣はまるで悪びれも無く笑顔で答える。
「ああ、そう・・・」
私は思わず肩の力が抜ける。
「つる子ー早く教室行こーよー」
「はいはい」
:08/10/05 12:29
:P902iS
:☆☆☆
#509 [果樹]
いつの間にか私の前の方に来ていた麻衣は、おいでおいでをするように私を呼ぶ。
私は仕方なく麻衣の後に続く。
「小鶴さんおはよー」
「え?あ、おはようございます」
突然呼ばれた名前に振り向けば、男の子がこちらに向かって手を振っていた。
反射的に私も挨拶をしてしまう。
:08/10/05 12:29
:P902iS
:☆☆☆
#510 [果樹]
「誰?あれ」
私の肩に顎を乗せながら麻衣が聞いてくる。
「知らない人」
「またぁ?つる子って本当よく知らない人に声かけられるよねー」
「ね。」
そうなのだ。
私は入学当初から知らない先輩や同級生によく声をかけられる。
:08/10/10 13:51
:P902iS
:☆☆☆
#511 [果樹]
最初はとても面倒くさいかったのだが次第にそれにも慣れてきた。
「倉ーはよー」
「はよー」
「おっ倉ー今日は早ぇじゃん」
「うるせー」
あ・・・。
:08/10/10 13:52
:P902iS
:☆☆☆
#512 [果樹]
賑やかな声が聞こえると思いそちらを向けば、昨日のオレンジ頭の倉橋空がたくさんの友達に囲まれていた。
「つる子倉橋くんと知り合いなの?」
「え?」
麻衣の言葉に驚いて私は麻衣を見る。
「倉橋くんって男子からも女子からもすんごい人気あんのよねー。まぁあの顔なら納得はいくけど」
:08/10/10 13:52
:P902iS
:☆☆☆
#513 [果樹]
うんうんと頷きながら言う麻衣の言葉を聞きながら私はまた倉橋くんに目を戻す。
「あ、小鶴さんおはよー」
「お・・・はよう」
突然の倉橋くんからの挨拶に私は一瞬硬直して言葉が上手く出てこなかった。
にひっと笑う倉橋くんになんだか心臓が高鳴る。
:08/10/10 13:53
:P902iS
:☆☆☆
#514 [果樹]
「え?え?」
麻衣は倉橋くんと私を交互に見て、戸惑いを隠せない様子だった。
そして何故か倉橋くんの周りにいる友達も口を開けて、呆然としていた。
そんな周りの状況を知らないのか倉橋くんは、笑顔で手を振っている。
人懐っこいんだなぁ。
:08/10/10 13:54
:P902iS
:☆☆☆
#515 [果樹]
そんな中、私は一人倉橋くんを見ながらぼんやりとそんなことを思った。
――――――――――・・・・
「くぅう〜らぁぁあ〜」
ドカッ
「でっ!」
ベシャッ
:08/10/10 13:55
:P902iS
:☆☆☆
#516 [果樹]
後ろからの恨めしそうな声と共に、いろんな音。
そして突然背中に感じた重さに、俺は頭から机に突っ込んだ。
「抜け駆けしやがってお前はぁ!いつのまに小鶴さんと仲良くなったんだよ!あんだけ興味なさそうにしてたくせにこのやろう!」
「ぐえっギブギブ〜・・・」
:08/10/10 13:55
:P902iS
:☆☆☆
#517 [果樹]
後ろから哲に首を絞められた俺は、蛙が踏み潰されたような声でうめきながら首に巻き付いている哲の腕を叩く。
「まいったか!」
そう言われてコクコクと何度も頷くと哲はやっと、首に巻き付いていた腕を解いてくれた。
俺は解放された瞬間に、足りなかった酸素をめいっぱい吸い込んだ。
「んで?実際どーなわけ?」
:08/10/10 13:56
:P902iS
:☆☆☆
#518 [果樹]
「何が?」
突然の哲の問掛けに俺の頭にはいくつものハテナが飛ぶ。
「だから小鶴さんとだよ!どうやって親しくなったんだ?怒らねぇから言ってみ?ん?」
そう言う哲のこめかみには青筋と怒りが浮かび上がっていた。
:08/10/14 10:39
:P902iS
:☆☆☆
#519 [果樹]
うそだ。
そう思いながらも話さないと更に怖いので俺はぽつりぽつりと話し始めた。
・・・・。
「・・・ってな感じで俺は全然小鶴さんだって気付かなかったの」
話し終えると哲は、はぁぁーと深い溜め息をついた。
「倉・・・お前ってやつはなんてばかなんだ」
:08/10/14 10:40
:P902iS
:☆☆☆
#520 [果樹]
「なっ・・・いきなりなんだよ!」
哲のばか発言はちょっと許せねぇ。
「俺がお前の立場だったら絶対小鶴さんの電話番号ゲットしてるぞ」
「はぁ?!」
なんだそんなことかよ。
あほくさ・・・。
俺はばかなことをいっている哲に軽く呆れる。
:08/10/14 10:40
:P902iS
:☆☆☆
#521 [果樹]
「なぁなぁ!今度小鶴さん紹介してくれよ!な?」
嬉しそうに言う哲に、俺は一言「無理!」ときっぱり言う。
「なんだよ倉のケチ〜」
哲がぶーぶーと口を尖らせて文句を言ってくる。
「俺だってそんなに親しいわけじゃねーの。だから無理」
それだけ言って俺は、机に突っ伏した。
:08/10/14 10:41
:P902iS
:☆☆☆
#522 [果樹]
横では哲がまだ何か言っていたが、俺はそれを遮断するように眠りについた。
――――・・
「どーゆうことなの?!隠し事はなしでしょ?!つる子ー!」
はぁうるさい・・・。
私は後ろからキャンキャン聞こえる声に心の中で深い溜め息をつく。
:08/10/14 10:41
:P902iS
:☆☆☆
#523 [果樹]
倉橋くんと別れてから麻衣はずっとこの調子で、
「何?どうゆうこと?!」
「教えて!」
と倉橋くんとのことを聞いてくる。
正直面倒臭いから嫌なのだ。
「つる子ってばー!」
「わかったわかった。後で話すから・・・」
嘘だけど。
:08/10/16 10:24
:P902iS
:☆☆☆
#524 [果樹]
「とか言ってつる子の後ではいつもないじゃない」
見抜かれてる・・・。
麻衣とは長い付き合いなので誤魔化しは通用しない。
私は観念して長い溜め息を吐く。
「倉橋くんとは・・・あのお菓子を貰った日に知り合ったの」
「えぇ?!あのお菓子くれたのって倉橋くんだったの?」
:08/10/16 10:25
:P902iS
:☆☆☆
#525 [果樹]
麻衣が身を乗り出すようにして聞いてくる。
私はこくりと小さく頷く。
「でもちゃんと話したのは昨日の放課後だよ」
「そうだったんだぁ・・・。なんか以外」
「何が?」
麻衣の発言に私の頭の上には無数のハテナマークが飛ぶ。
:08/10/16 10:26
:P902iS
:☆☆☆
#526 [果樹]
「つる子のタイプってあーゆーのなんだぁって思って。まぁ倉橋くんとつる子なら釣り合うからいーけどさぁ」
「・・・は?!」
麻衣の突拍子もない発言に私は、目玉が飛び出すくらい目を開いた。
「え?違うの?」
「違うも何もあたし倉橋くんのことよく知らないし。だいたい会った次の日に好きとかありえないでしょ」
:08/10/16 10:26
:P902iS
:☆☆☆
#527 [果樹]
私は呆れながらも麻衣を見ると麻衣はどこか納得していないようで
「そーかなー?」
なんて言っている。
・・・ありえないよ。
――――・・
「あーもう駄目だ。俺限界・・・」
ヘロヘロになった哲がドサッと地面に腰を下ろす。
「だらしねぇーなぁ。たかがマラソン程度で」
:08/10/16 10:27
:P902iS
:☆☆☆
#528 [果樹]
俺は哲の前に立ち、呆れながら哲を見下ろす。
「うるせー。サッカー馬鹿と比べんな!」
「馬鹿わ余計だ」
ドベシッと哲の頭を叩く。
今は、体育の授業中。
ちなみに学校の外周をマラソンしてきた直後だ。
サッカー部の俺と違い帰宅部の哲にはきつかったらしくとうとう哲は地面に寝転んでしまった。
:08/10/16 10:28
:P902iS
:☆☆☆
#529 [果樹]
「しょーがねぇーなぁ。飲み物買ってきてやるからちょっと待ってろ」
俺は自販機を探して校舎に向かった。
ピッ・・ガコン
校舎内の自販機からスポーツ飲料を取りだし、一口飲み込む。
「ぷはっ」
渇ききっていた喉が潤う。
:08/10/16 10:29
:P902iS
:☆☆☆
#530 [果樹]
「クスクス・・汗すごいよ?」
笑い声と共に聞こえた声を辿ると階段の方に小鶴さんが立っていた。
「マラソンしてきたから。小鶴さんこそ授業中じゃないの?」
俺は笑いながら答えて、首を傾げる。
「サボリ中」
:08/10/16 10:29
:P902iS
:☆☆☆
#531 [果樹]
ふふっと笑いながら俺の隣まで来た小鶴さんは、自販機のボタンを押して中から紅茶を取り出した。
「それなに?」
俺はふと小鶴さんが持っている冊子が気になった。
俺の言葉に反応した小鶴さんが「ん?」と自分の手の中のものを見る。
「ああ。これはあたしの趣味」
そういって捲ったページには沢山の写真。
:08/10/16 10:29
:P902iS
:☆☆☆
#532 [果樹]
「すごいね。すごく温かい感じがする」
俺はペラペラとページを一枚一枚捲りながら写真を見ていく。
「ありがとう。でもまだまだだよ。全然下手」
「そんなことないよ。俺の親が写真家やってるから少しわかるけどうまいと思う」
謙遜する小鶴さんに俺は、親の事を話す。
:08/10/20 13:28
:P902iS
:☆☆☆
#533 [果樹]
「倉橋くんのご両親写真家なの?」
「いや、写真撮ってるのは親父の方。倉橋すぐるって知ってるかな?」
「倉橋すぐる?!!嘘でしょ?」
「え?いや本当だけど・・・」
小鶴さんの思わぬ食い付きぶりに俺は内心ビックリする。
:08/10/20 13:28
:P902iS
:☆☆☆
#534 [果樹]
「あたし倉橋すぐるさんの写真すごく好きなの!!」
少し興奮気味に言う小鶴さんになんだか俺は顔の筋肉が緩むのを感じた。
「そうなんだ。でも本人は何の変哲もないただのおっさんだよ」
俺たちはそんな話題で互いに笑いあった。
別れ際に、今度父さんの撮った写真を持ってくるというと小鶴さんはありがとうと満面の笑みで笑った。
:08/10/20 13:29
:P902iS
:☆☆☆
#535 [果樹]
――――・・
「つる子ー!またサボったなぁ」
教室に入るなり麻衣のお説教が始まった。
「はいはい。すみませんでした」
私は軽く受け流しながら自分の席に座る。
「まったくもう!ん?なんか嬉しそうだね?良いことでもあった?」
:08/10/20 13:29
:P902iS
:☆☆☆
#536 [果樹]
「え?」
怒っていた麻衣が私の顔を見るなりそんなことを言うものだから内心驚いてしまった。
基本ポーカーフェイスの私は、あまり心を悟られないのだが今日はうっかり顔に出ていたらしい。
「うん。まぁちょっとね」
そういいながら私は自分のアルバムを捲る。
:08/10/20 13:30
:P902iS
:☆☆☆
#537 [果樹]
「写真増えたね」
「うん」
麻衣は私が写真好きなのを知っているので、一緒に覗き込んでくる。
倉橋すぐるさんがまさか倉橋くんのお父さんだったなんて・・・。
「ふふっ」
「何いきなり笑いだして。気持悪いよ」
:08/10/26 08:18
:P902iS
:☆☆☆
#538 [果樹]
私の突然の笑いに麻衣がツッコミをいれてくる。
「んーん。なんでもない」
私はまだにやける顔のまままたアルバムを捲った。
――――・・
「小鶴さんいるかな?」
俺は今昼休みを利用して小鶴さんのクラスまで来ている。
:08/10/26 08:19
:P902iS
:☆☆☆
#539 [果樹]
理由は先日約束したものを渡すため。
ドア付近にいた女の子に声をかけるとちょっと待っててと言われたので俺は廊下で待つことにした。
「倉橋くん・・・?」
ドアに寄りかかりながら待っていたら遠慮がちに名前を呼ばれたので振り向くと小鶴さんがドアからひょっこりと顔だけ覗かせていた。
:08/10/26 08:19
:P902iS
:☆☆☆
#540 [果樹]
「約束したやつ持ってきたよ」
そういいながら右手に持っていたアルバムを小鶴さんの目の高さらへんで揺らすと小鶴さんの顔が一気に明るくなった。
「ありがとう!ねぇ中庭に行って一緒に見ない?いろいろ話も聞きたいし」
「・・・いいよ」
:08/10/26 08:20
:P902iS
:☆☆☆
#541 [果樹]
まさか誘われるとは思ってなかった俺は小鶴さんの言葉に戸惑いながらも返事をする。
それから僕たちは中庭に向かった。
――――・・
「すごい・・・。すごく綺麗!」
小鶴さんは次々とページを見ながら感嘆の声を上げる。
:08/10/26 08:20
:P902iS
:☆☆☆
#542 [果樹]
「これなんてすごいアングル!人と風景のバランスもすごく綺麗!!」
興奮を隠すことなく話す小鶴さんは妙に可愛くみえて俺はつい笑いが溢れる。
「ハハッ」
「どうかした?」
いきなり笑った俺を不思議に思ったのか、小鶴さんが首を傾げる。
:08/10/26 08:21
:P902iS
:☆☆☆
#543 [果樹]
:08/10/26 08:22
:P902iS
:☆☆☆
#544 [なな]
:08/10/26 09:56
:SH904i
:Hc2u9Hgw
#545 [果樹]
ななさん
アンカーありがとうございます☆
:08/10/31 00:11
:P902iS
:☆☆☆
#546 [果樹]
「ごめん。本当に写真が好きなんだなぁと思ってさ」
俺の言葉に小鶴さんは優しく笑う。
「好きだよ」
その言葉に俺の胸がドクンと大きく鳴る。
「倉橋くんは写真撮らないの?」
:08/10/31 00:12
:P902iS
:☆☆☆
#547 [果樹]
小鶴さんがアルバムから目を離し、俺を見る。
「俺は写真よりも今はサッカーが好きだから。昔はよく父さんに付き合って写真も撮ってたけど」
俺は空を見ながら昔のことを軽く思い出す。
「そうなんだ。もうその写真はないの?」
「ん?あー探せばあると思うけど・・・」
:08/10/31 00:13
:P902iS
:☆☆☆
#548 [果樹]
俺は空を見ながら考える。
「見てみたい」
小鶴さんの思わぬ言葉に俺は少し驚く。
「子供が撮ったお遊びみたいなもんだよ?」
「うん。でも倉橋くんが撮ったの見てみたい」
:08/10/31 00:14
:P902iS
:☆☆☆
#549 [果樹]
「わかった。探してみるよ」
なんだか楽しそうに小鶴さんがいうものだから俺は思わずそう返事をしてしまった。
「でも俺からもお願いがひとつ」
「なに?」
:08/10/31 00:15
:P902iS
:☆☆☆
#550 [果樹]
俺はまるで交換条件とでもいうように人指し指を小鶴さんの顔の前に向ける。
「小鶴さんの写真ももっとたくさん見たい」
「あたしの?」
小鶴さんが少し驚く。
「うん」
:08/10/31 00:16
:P902iS
:☆☆☆
#551 [果樹]
俺の言葉に小鶴さんは少し驚いていたが次の瞬間ふわりと羽根のようにやわらかく笑って
「わかった。もってくる」
と返事をしてくれた。
――――・・
倉橋すぐるさんの写真を倉橋くんに見せて貰ったあの日から、私たちは昼休みによく中庭で互いの写真をみせあった。
:08/10/31 00:17
:P902iS
:☆☆☆
#552 [果樹]
なんだか倉橋くんと一緒にいると時間がゆっくり流れているみたいでとても落ち着いた。
私はそんな温かい時間がとても好きだった。
キーンコーンカーンコーン
「また中庭いくの?」
:08/10/31 00:18
:P902iS
:☆☆☆
#553 [果樹]
4限の終わりを告げるチャイムが鳴った直後に席を立った私に麻衣が聞いてきた。
「うん」
コクリと首を縦に振って私は自分のアルバムを手にとる。
「あたしもいっていい?」
「え?!」
:08/10/31 00:19
:P902iS
:☆☆☆
#554 [果樹]
突然の麻衣の言葉に私の時間が一瞬だけ時を止めた。
「邪魔しちゃ悪いかな?」
麻衣に悪意はないのだろう。
そんな麻衣を断るのはすごく悪い気がして私は麻衣を倉橋くんといつも会う中庭に連れていくことにした。
:08/10/31 00:19
:P902iS
:☆☆☆
#555 [果樹]
――――・・・
「今日は友達を連れてきたの」
「はじめまして倉橋くん!つる子の友達の麻衣です」
そういって紹介されたのは可愛い感じの女の子だった。
:08/10/31 00:20
:P902iS
:☆☆☆
#556 [果樹]
:08/10/31 00:21
:P902iS
:☆☆☆
#557 [果樹]
当然今日も二人きりだと思っていた俺は小鶴さんが友達をつれてきたのに少し悲しくなった。
なぜなら・・・
なぜなら俺は
この中庭でいろいろなことを話しているうちにいつのまにか小鶴さんのことが好きになっていたから・・・。
:08/11/03 22:04
:P902iS
:☆☆☆
#558 [果樹]
「ごめんね倉橋くん」
申し訳なさそうに謝る小鶴さん。
そのごめんねは何に対しての“ごめんね”なのだろう。
「気にしなくていいよ。麻衣ちゃんも写真撮ったりするの?」
:08/11/03 22:04
:P902iS
:☆☆☆
#559 [果樹]
小鶴さんに気を遣わせてはいけないと思った俺は、友達だという麻衣ちゃんに普通に話しかけた。
――――・・・
「麻衣ちゃんも写真撮ったりするの?」
「あたしは全然!いつもつる子が撮ったのを見せてもらっているだけだよ」
:08/11/03 22:05
:P902iS
:☆☆☆
#560 [果樹]
楽しそうに話す麻衣と倉橋くんの会話がなんだか遠くに感じた。
“麻衣ちゃん”
そう麻衣のことを呼んだ倉橋くんの声が否に耳に残った。
あたしは今でも“小鶴さん”なのに
:08/11/03 22:06
:P902iS
:☆☆☆
#561 [果樹]
「ねーつる子」
「え?あっごめん・・・。聞いてなかった」
いきなり話しを振られて、私は戸惑うことしかできなかった。
「もーだからねぇ・・・」
私に話しかけてくれる麻衣がとても可愛くみえた。
:08/11/03 22:07
:P902iS
:☆☆☆
#562 [果樹]
いつだって明るくて私とは正反対の麻衣。
倉橋くんも麻衣と同じタイプだろう。
私には二人がずっとずっと遠くにいるように思えた。
:08/11/03 22:08
:P902iS
:☆☆☆
#563 [果樹]
「ずっと元気なかったけどどうしたのつる子?」
倉橋くんと別れて、教室に帰る途中の廊下で麻衣が心配そうに聞いてきた。
「なんでもないよ」
私はいつものポーカーフェイスで答える。
:08/11/03 22:09
:P902iS
:☆☆☆
#564 [果樹]
「そう?ならいいんだけど。それにしても倉橋くんて面白いね!話やすいし」
私は上の空で麻衣の言葉を聞いていた。
なんだろう。
胸のあたりがもやもやする。
:08/11/03 22:11
:P902iS
:☆☆☆
#565 [果樹]
――――・・・
「はぁぁぁー」
「なんかあったのか?」
「哲・・・」
深い溜め息をついて机に突っ伏した俺に哲が話しかけてきた。
:08/11/03 22:12
:P902iS
:☆☆☆
#566 [果樹]
「小鶴さんとのあまーいあまーい一時の後に溜め息ってどーなのよ」
苦笑いでいう哲に俺も苦笑いを返す。
「それがさ。今日は二人きりじゃなかったんだ」
「どういうことだ?」
哲の眉間に皺が寄る。
:08/11/03 22:13
:P902iS
:☆☆☆
#567 [果樹]
「小鶴さんの友達が今日はいてさ。結局小鶴さんとあんま話せなかった」
「あーそれで元気がねぇわけだ」
「まぁな」
俺はまた溜め息をつく。
:08/11/03 22:14
:P902iS
:☆☆☆
#568 [果樹]
「小鶴さんは誰にも落ちねぇよ?お前だってわかってんだろ?」
哲の厳しい言葉が心臓に突き刺さる。
「ん・・・」
更に沈んでしまった俺をみて哲が頭をぐしゃぐしゃかきむしり始めた。
:08/11/03 22:14
:P902iS
:☆☆☆
#569 [果樹]
:08/11/03 22:25
:P902iS
:☆☆☆
#570 [果樹]
「あ゙ーーったくしゃーねぇなぁ。明日俺も連れていけ!」
「は!?」
「いーから!明日は俺も連れていけ」
何だかわからない内に哲はついてくることになってしまった。
:08/11/07 23:25
:P902iS
:☆☆☆
#571 [果樹]
――――・・・
「「はじめまして!」」
麻衣と哲くんの声が被った。
私を含めて4人は中庭の芝生の上に丸くって座る。
なんだか日を増ごとに人数が増えている気がするのは私だけだろうか?
:08/11/07 23:25
:P902iS
:☆☆☆
#572 [果樹]
今日の昼休みも麻衣がついていくというので一緒に来た。
それまでは昨日と同じ。
でも中庭にくるとなぜか倉橋くんの隣にも知らない男の子が立っていた。
「はじめまして!倉のダチの哲です。いつも倉が世話になっちゃって」
:08/11/07 23:26
:P902iS
:☆☆☆
#573 [果樹]
私の顔を見るなり倉橋くんの友達だという哲くんは挨拶をしながら私の手をブンブンと握ってきた。
「ごめんね小鶴さん。哲がどーしてもいくってきかなくてさ・・・」
倉橋くんは哲くんの頭を叩いてから私に謝ってきた。
:08/11/07 23:27
:P902iS
:☆☆☆
#574 [果樹]
困った顔の倉橋くん
終始笑顔の哲くんと麻衣
若干呆れ気味な私
なんだかまとまりのない集団だ。
「大丈夫だよ。あたしも麻衣っていうお荷物つれてきちゃってるから」
冗談混じりに言うとすぐに麻衣がほっぺたを膨らませる。
:08/11/08 22:44
:P902iS
:☆☆☆
#575 [果樹]
「お荷物ってなによー!!」
麻衣に怒られる私を見ながら倉橋くんと哲くんは笑っている。
この空間は楽しいのになんでだろう・・・。
胸にぽっかり穴が開いたみたいで物足りない。
:08/11/08 22:45
:P902iS
:☆☆☆
#576 [果樹]
――――・・・
「あ、倉ーわりぃんだけどなんか飲み物買って来てくんねぇ?」
会話の途中哲がいきなりそんなことを口にした。
「は?!なんで俺が?」
「いーじゃーん。お願い倉くんっ」
:08/11/08 22:45
:P902iS
:☆☆☆
#577 [果樹]
「いーやーだ!」
甘えた声でお願いをする哲。
もちろん俺の答えはNOだ。
「うっわ冷たい!倉くんてそーゆう人だったのー?」
「うるさい」
:08/11/08 22:47
:P902iS
:☆☆☆
#578 [果樹]
気持悪いオカマ言葉を使う哲を一喝して俺はそっぽを向く。
「あ・・・あたし行こうか?」
そんな俺と哲の会話の間に小鶴さんの遠慮がちな声が入る。
「え?マジ?じゃあお願いしちゃおうかなー」
:08/11/08 22:48
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:☆☆☆
#579 [果樹]
そう言いながらも俺の顔をちらりと見る哲。
合図を送ってるのがまるわかりだ。
「あーわかったよ!俺が行けばいーんだろ?」
「さっすが倉ーおっとこ前ー」
行かせるように仕向けておいてよく言うよ。
:08/11/08 22:50
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:☆☆☆
#580 [果樹]
「ったく。何がいんだよ?」
「俺炭酸ー。あとうすしおポテチとガムとチョコもー」
「あっじゃああたしオレンジジュース」
呆れながらも注文を聞くと次々と品物の名前が飛んできた。
:08/11/10 02:28
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:☆☆☆
#581 [果樹]
「はいはい。小鶴さんは?」
「え?えっとー・・・」
小鶴さんは考えていなかったのか上を見て考えている。
そんな時哲がいきなりとんでもない言葉を言う。
:08/11/10 02:29
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:☆☆☆
#582 [果樹]
「悩んでるんなら小鶴さんも倉と一緒にいってきちゃえば?」
「え?」
驚く小鶴さん。
「その方が選びやすいし」
ニヒッと哲の口元が弧を描く。
あれは何か企んでる時の顔だ。
:08/11/10 02:29
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#583 [果樹]
「じゃあ・・・行こうかな」
考えた末に小鶴さんと俺が買い出し班になった。
ったく哲のやつ
余計な気を回しやがって・・・。
――――・・・
学校の中にある購買で言われたものを倉橋くんが買っているので私は外で待機になった。
:08/11/10 02:30
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#584 [果樹]
ピトッ
「冷たっ!」
突然頬にひやっと冷たい物が触れて思わず肩が跳ねる。
「はい。あげる」
隣にはアイスを持った倉橋くんが立っていた。
:08/11/10 02:30
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#585 [果樹]
「え?」
首を傾げると倉橋くんの口元が弧を描いた。
「買い出し付き合ってくれたお礼。本当は食べたいものとかなかったんでしょ」
「バレてたんだ・・」
思わず苦笑い。
:08/11/10 02:31
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:☆☆☆
#586 [果樹]
私は別に食べたいものもなかったし購買で買いたいものもなかったのだ。
「座って食べよっか?」
片手にアイスを持った倉橋くんがベンチを指して言う。
「戻らなくていいの?」
「んー大丈夫だと思う」
:08/11/10 21:19
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#587 [果樹]
私の問いに少し考える素振りをした倉橋くん。
麻衣と哲くんには悪いけど結局私たちは近くのベンチに座ってアイスを食べることにした。
「なんか久しぶりな感じがするね」
「え?」
:08/11/10 21:20
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#588 [果樹]
アイスを食べながらいきなりそんなことを口にした倉橋くんの言葉の意図がわからなくて私は首を傾げる。
「こうやって小鶴さんと二人だけで話すのって」
シャクッとアイスを一口噛みながら倉橋くんが言う。
:08/11/10 21:20
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:☆☆☆
#589 [果樹]
「そーだね。昨日は麻衣で今日は哲くんがいたもんね」
私は笑いながら言う。
「まぁ楽しいんだけどね」
「でもちょっと寂しいかな・・・」
「え?」
:08/11/10 21:21
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:☆☆☆
#590 [果樹]
・・・・・え?え!?
今言ったのあたし?!
私は無意識の内に言ってしまった言葉に戸惑う。
「ご、ごめんっ。今の忘れて!」
「あ、うん・・・」
そこからは何だかお互い気まずくてずっと無言だった。
:08/11/10 21:21
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:☆☆☆
#591 [果樹]
――――・・・
「どーだった?」
教室に戻った俺に哲がにやにやと口元を緩めながらきいてきた。
「変な気遣いやがって」
俺は哲をじとって睨む。
「俺は愛のキューピッドをしてやったんだろー。それよりどうだったんだよ」
:08/11/10 21:22
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:☆☆☆
#592 [果樹]
「・・・わかんねぇ」
興味津々とばかりに目を輝かせる哲に、俺は片手で頭を抱えて答える。
「は?」
「余計わかんなくなった・・・」
あの言葉にはどういう意味があったんだ・・・?
:08/11/10 21:23
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#593 [果樹]
――――・・・
「つーる子!倉橋くんていーよねー。気さくだし優しいかっこいいし!言うことなしって感じ」
教室に戻るやいなや麻衣が倉橋くんを誉め始めた。
「そーだねー」
私はそれを聞き流すように適当に答えた。
:08/11/11 06:10
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#594 [果樹]
「あれ?不機嫌?もしかしてヤキモチとか?!」
そんな私に麻衣がにやにやと笑って聞いてきた。
私は思わず大きな声が出る。
「ちがうよっ!」
「ふーん。まぁいいけど」
麻衣は私の言葉に適当に受け答えして前を向いてしまった。
:08/11/11 06:11
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#595 [果樹]
いつもならもっと追求してくるのに。なんだろう。
麻衣の言葉が気になる。
麻衣・・・もしかして倉橋くんのことが・・・?
――――・・・
あと5分早く教室を出てれば
あの時哲たちと一緒に教室をでてれば
こんなことにはならなかったかも。
:08/11/11 06:12
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:☆☆☆
#596 [果樹]
今俺は廊下のど真ん中で立ち往生している。
なぜなら
なぜなら俺の行きたい方向に小鶴さんがいるからだ。
小鶴さんだけならいい。
軽く挨拶をして通りすぎればいいのだから。
:08/11/11 06:12
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#597 [果樹]
でも俺の目線の先には、小鶴さんと知らない男子生徒(ネクタイの色からして三年)がいる。
二人の様子から察するにたぶん告白の真っ最中。
俺が行きたい理科室までは小鶴さんたちがいる階段を上らなきゃいけない。
:08/11/11 06:13
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#598 [果樹]
何くわぬ顔して二人の真横を通るほど神経が図太くない俺は結局廊下で立ち往生するはめになったわけだ。
どーすっかなぁ・・・。
ここにいてもしょうがねぇし。
もう授業も始まるし。
はぁ。と溜め息をつき俺は廊下に座り込む。
:08/11/11 06:13
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#599 [果樹]
階段の方からは二人の会話がちょくちょく聞こえてくる。
なんか盗み聞きしてるみたいでしのびない。
しょうがねぇ。
4限はサボるか。
決心をして立ち上がった俺は本日二度目の大失態を侵す。
:08/11/11 06:15
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#600 [果樹]
:08/11/11 06:17
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