・・万華鏡・・
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#530 [果樹]
「クスクス・・汗すごいよ?」
笑い声と共に聞こえた声を辿ると階段の方に小鶴さんが立っていた。
「マラソンしてきたから。小鶴さんこそ授業中じゃないの?」
俺は笑いながら答えて、首を傾げる。
「サボリ中」
:08/10/16 10:29
:P902iS
:☆☆☆
#531 [果樹]
ふふっと笑いながら俺の隣まで来た小鶴さんは、自販機のボタンを押して中から紅茶を取り出した。
「それなに?」
俺はふと小鶴さんが持っている冊子が気になった。
俺の言葉に反応した小鶴さんが「ん?」と自分の手の中のものを見る。
「ああ。これはあたしの趣味」
そういって捲ったページには沢山の写真。
:08/10/16 10:29
:P902iS
:☆☆☆
#532 [果樹]
「すごいね。すごく温かい感じがする」
俺はペラペラとページを一枚一枚捲りながら写真を見ていく。
「ありがとう。でもまだまだだよ。全然下手」
「そんなことないよ。俺の親が写真家やってるから少しわかるけどうまいと思う」
謙遜する小鶴さんに俺は、親の事を話す。
:08/10/20 13:28
:P902iS
:☆☆☆
#533 [果樹]
「倉橋くんのご両親写真家なの?」
「いや、写真撮ってるのは親父の方。倉橋すぐるって知ってるかな?」
「倉橋すぐる?!!嘘でしょ?」
「え?いや本当だけど・・・」
小鶴さんの思わぬ食い付きぶりに俺は内心ビックリする。
:08/10/20 13:28
:P902iS
:☆☆☆
#534 [果樹]
「あたし倉橋すぐるさんの写真すごく好きなの!!」
少し興奮気味に言う小鶴さんになんだか俺は顔の筋肉が緩むのを感じた。
「そうなんだ。でも本人は何の変哲もないただのおっさんだよ」
俺たちはそんな話題で互いに笑いあった。
別れ際に、今度父さんの撮った写真を持ってくるというと小鶴さんはありがとうと満面の笑みで笑った。
:08/10/20 13:29
:P902iS
:☆☆☆
#535 [果樹]
――――・・
「つる子ー!またサボったなぁ」
教室に入るなり麻衣のお説教が始まった。
「はいはい。すみませんでした」
私は軽く受け流しながら自分の席に座る。
「まったくもう!ん?なんか嬉しそうだね?良いことでもあった?」
:08/10/20 13:29
:P902iS
:☆☆☆
#536 [果樹]
「え?」
怒っていた麻衣が私の顔を見るなりそんなことを言うものだから内心驚いてしまった。
基本ポーカーフェイスの私は、あまり心を悟られないのだが今日はうっかり顔に出ていたらしい。
「うん。まぁちょっとね」
そういいながら私は自分のアルバムを捲る。
:08/10/20 13:30
:P902iS
:☆☆☆
#537 [果樹]
「写真増えたね」
「うん」
麻衣は私が写真好きなのを知っているので、一緒に覗き込んでくる。
倉橋すぐるさんがまさか倉橋くんのお父さんだったなんて・・・。
「ふふっ」
「何いきなり笑いだして。気持悪いよ」
:08/10/26 08:18
:P902iS
:☆☆☆
#538 [果樹]
私の突然の笑いに麻衣がツッコミをいれてくる。
「んーん。なんでもない」
私はまだにやける顔のまままたアルバムを捲った。
――――・・
「小鶴さんいるかな?」
俺は今昼休みを利用して小鶴さんのクラスまで来ている。
:08/10/26 08:19
:P902iS
:☆☆☆
#539 [果樹]
理由は先日約束したものを渡すため。
ドア付近にいた女の子に声をかけるとちょっと待っててと言われたので俺は廊下で待つことにした。
「倉橋くん・・・?」
ドアに寄りかかりながら待っていたら遠慮がちに名前を呼ばれたので振り向くと小鶴さんがドアからひょっこりと顔だけ覗かせていた。
:08/10/26 08:19
:P902iS
:☆☆☆
#540 [果樹]
「約束したやつ持ってきたよ」
そういいながら右手に持っていたアルバムを小鶴さんの目の高さらへんで揺らすと小鶴さんの顔が一気に明るくなった。
「ありがとう!ねぇ中庭に行って一緒に見ない?いろいろ話も聞きたいし」
「・・・いいよ」
:08/10/26 08:20
:P902iS
:☆☆☆
#541 [果樹]
まさか誘われるとは思ってなかった俺は小鶴さんの言葉に戸惑いながらも返事をする。
それから僕たちは中庭に向かった。
――――・・
「すごい・・・。すごく綺麗!」
小鶴さんは次々とページを見ながら感嘆の声を上げる。
:08/10/26 08:20
:P902iS
:☆☆☆
#542 [果樹]
「これなんてすごいアングル!人と風景のバランスもすごく綺麗!!」
興奮を隠すことなく話す小鶴さんは妙に可愛くみえて俺はつい笑いが溢れる。
「ハハッ」
「どうかした?」
いきなり笑った俺を不思議に思ったのか、小鶴さんが首を傾げる。
:08/10/26 08:21
:P902iS
:☆☆☆
#543 [果樹]
:08/10/26 08:22
:P902iS
:☆☆☆
#544 [なな]
:08/10/26 09:56
:SH904i
:Hc2u9Hgw
#545 [果樹]
ななさん
アンカーありがとうございます☆
:08/10/31 00:11
:P902iS
:☆☆☆
#546 [果樹]
「ごめん。本当に写真が好きなんだなぁと思ってさ」
俺の言葉に小鶴さんは優しく笑う。
「好きだよ」
その言葉に俺の胸がドクンと大きく鳴る。
「倉橋くんは写真撮らないの?」
:08/10/31 00:12
:P902iS
:☆☆☆
#547 [果樹]
小鶴さんがアルバムから目を離し、俺を見る。
「俺は写真よりも今はサッカーが好きだから。昔はよく父さんに付き合って写真も撮ってたけど」
俺は空を見ながら昔のことを軽く思い出す。
「そうなんだ。もうその写真はないの?」
「ん?あー探せばあると思うけど・・・」
:08/10/31 00:13
:P902iS
:☆☆☆
#548 [果樹]
俺は空を見ながら考える。
「見てみたい」
小鶴さんの思わぬ言葉に俺は少し驚く。
「子供が撮ったお遊びみたいなもんだよ?」
「うん。でも倉橋くんが撮ったの見てみたい」
:08/10/31 00:14
:P902iS
:☆☆☆
#549 [果樹]
「わかった。探してみるよ」
なんだか楽しそうに小鶴さんがいうものだから俺は思わずそう返事をしてしまった。
「でも俺からもお願いがひとつ」
「なに?」
:08/10/31 00:15
:P902iS
:☆☆☆
#550 [果樹]
俺はまるで交換条件とでもいうように人指し指を小鶴さんの顔の前に向ける。
「小鶴さんの写真ももっとたくさん見たい」
「あたしの?」
小鶴さんが少し驚く。
「うん」
:08/10/31 00:16
:P902iS
:☆☆☆
#551 [果樹]
俺の言葉に小鶴さんは少し驚いていたが次の瞬間ふわりと羽根のようにやわらかく笑って
「わかった。もってくる」
と返事をしてくれた。
――――・・
倉橋すぐるさんの写真を倉橋くんに見せて貰ったあの日から、私たちは昼休みによく中庭で互いの写真をみせあった。
:08/10/31 00:17
:P902iS
:☆☆☆
#552 [果樹]
なんだか倉橋くんと一緒にいると時間がゆっくり流れているみたいでとても落ち着いた。
私はそんな温かい時間がとても好きだった。
キーンコーンカーンコーン
「また中庭いくの?」
:08/10/31 00:18
:P902iS
:☆☆☆
#553 [果樹]
4限の終わりを告げるチャイムが鳴った直後に席を立った私に麻衣が聞いてきた。
「うん」
コクリと首を縦に振って私は自分のアルバムを手にとる。
「あたしもいっていい?」
「え?!」
:08/10/31 00:19
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:☆☆☆
#554 [果樹]
突然の麻衣の言葉に私の時間が一瞬だけ時を止めた。
「邪魔しちゃ悪いかな?」
麻衣に悪意はないのだろう。
そんな麻衣を断るのはすごく悪い気がして私は麻衣を倉橋くんといつも会う中庭に連れていくことにした。
:08/10/31 00:19
:P902iS
:☆☆☆
#555 [果樹]
――――・・・
「今日は友達を連れてきたの」
「はじめまして倉橋くん!つる子の友達の麻衣です」
そういって紹介されたのは可愛い感じの女の子だった。
:08/10/31 00:20
:P902iS
:☆☆☆
#556 [果樹]
:08/10/31 00:21
:P902iS
:☆☆☆
#557 [果樹]
当然今日も二人きりだと思っていた俺は小鶴さんが友達をつれてきたのに少し悲しくなった。
なぜなら・・・
なぜなら俺は
この中庭でいろいろなことを話しているうちにいつのまにか小鶴さんのことが好きになっていたから・・・。
:08/11/03 22:04
:P902iS
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#558 [果樹]
「ごめんね倉橋くん」
申し訳なさそうに謝る小鶴さん。
そのごめんねは何に対しての“ごめんね”なのだろう。
「気にしなくていいよ。麻衣ちゃんも写真撮ったりするの?」
:08/11/03 22:04
:P902iS
:☆☆☆
#559 [果樹]
小鶴さんに気を遣わせてはいけないと思った俺は、友達だという麻衣ちゃんに普通に話しかけた。
――――・・・
「麻衣ちゃんも写真撮ったりするの?」
「あたしは全然!いつもつる子が撮ったのを見せてもらっているだけだよ」
:08/11/03 22:05
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:☆☆☆
#560 [果樹]
楽しそうに話す麻衣と倉橋くんの会話がなんだか遠くに感じた。
“麻衣ちゃん”
そう麻衣のことを呼んだ倉橋くんの声が否に耳に残った。
あたしは今でも“小鶴さん”なのに
:08/11/03 22:06
:P902iS
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