・・万華鏡・・
最新 最初 🆕
#730 [果樹]
「・・・・遊園地デートの・・はずだったのに・・・」

気分がすっかり落ち込んでしまった私は、その夜なんだか寝つけなくて、うんうん唸っているうちにいつのまにか朝を迎えてしまった。

――――・・・

学校行きたくない・・・。

私は何度目かになる溜め息をついて重たい足を引きずるように学校へと続く道を歩く。

⏰:08/11/26 04:58 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#731 [果樹]
雀がさえずり太陽がサンサンと降り注ぐ朝に、こんな落ち込んだ気持ちで登校するのも如何なものかと思うが、昨日のことを思い出せば私の気分はより一層落ち込む。

はぁ・・とまた溜め息が漏れる


「ユーイカ!おっはよ」

「おはよー・・」

⏰:08/11/26 18:00 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#732 [果樹]
朝から元気に挨拶をしてくれる圭ちゃんに私は口元だけの弱々しい笑みを返す。

「ん?なんで元気ないの?昨日は楽しい楽しい遊園地デートだったんでしょ?」

「・・・うん。まぁね」

さも楽しかったんでしょ?という顔をする圭ちゃんに私は、苦笑いしか返すことができなかった。

⏰:08/11/26 18:01 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#733 [果樹]
教室に入りみんなに軽く挨拶を済まして私は真っ先に自分の椅子に座り机に突っ伏す。

いつ京太が入ってきても目を合わせないための防衛策だ。

そんな私の行動の裏が読めない圭ちゃんは机の側に立って不思議そうに私を見下ろす。

「あ!きょんおはよー」

圭ちゃんの言葉にドキッと心臓が跳ねる。

⏰:08/11/26 18:02 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#734 [果樹]
「はよ・・・」

京太の声も聞こえる。
どうやら京太が登校したようだ。

「あのさ、ユイカ・・・」

ドキッ・・!

「あああああたしトイレいくんだったー。じ、じゃあね圭ちゃん」

京太に名前を呼ばれた私はどうしたらいいか分からず圭ちゃんにだけバイバイを言ってとりあえずその場から逃げた。

⏰:08/11/26 18:02 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#735 [果樹]
――――・・・

朝からユイカの態度はおかしかった。

昨日楽しんだはずなのだから今日はルンルン気分で登校するのだろうと思っていたがユイカは溜め息ばかり。

挙句の果てにはきょんがユイカに話しかけるやいなやユイカは慌てた様子で教室を出ていってしまった。

⏰:08/11/26 18:03 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#736 [果樹]
ちらりときょんを見ると下唇を噛んでなんともいえない困った顔をしていた。

私の視線に気付いてすぐに席に戻っていったがなんかおかしい。

これは恋のキューピッドの出番か?
と思った私はきょんの席に行きバン!と机を叩く。

「きょん。どういうこと?」

⏰:08/11/26 18:04 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#737 [果樹]
バンッ!と机を叩くとビクッときょんの肩が弾む。

「どういうことよ?ユイカのあの動揺っぷりはただ事じゃないんでしょ?白状しなさい」

私が目に力を入れてきょんを睨むときょんは気まずそうに目をそらしてちらっと私を見る。

「実は・・・」

京太は昨日の遊園地デートから今に至るまでの経緯を話だした。

⏰:08/11/27 03:45 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#738 [果樹]
――――・・・

「はぁ・・・」

教室から逃げ出した後、私は一人屋上に来ていた。

気まずいからといって無視して逃げ出したのはいけなかったかもと今更ながら思う。

でもどうしようもないのだ。

⏰:08/11/27 03:47 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#739 [果樹]
昨日あんな喧嘩別れをしておいて今日になっていつもどうりにしろだなんて無器用な私には到底無理な話しなわけで。

そんな性格だからこそ逃げるしかなかったのだ。

「はぁー・・」

と一際長い溜め息をつき、私は屋上の柵に寄りかかる。

京太の考えがわからない・・・。

⏰:08/11/27 03:47 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#740 [果樹]
京太は何を思ってる?
あたしはどうしたらいい?

――――・・・

「なんでアンタたちは・・・」

話を聞いた私は頭を抱えてうなだれる。

「それでさっきユイカに謝ろうと思ったら逃げられて・・・」

小声で言うきょんからはユイカへの謝罪の気持ちでいっぱいなのが伺える。

⏰:08/11/27 03:48 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#741 [果樹]
全くこの子たちは・・・。

「はぁ・・・。あのさーきょん」

「ん?」

「まだわかんないの?」

「何が?」

私の問いにハテナを浮かばせるあたりまだわかっていないのだろう・・・。

「何できょんは昨日怒ったの?」

⏰:08/11/27 03:49 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#742 [果樹]
「それはユイカが絡まれてたから・・・」

「何でユイカが絡まれてたからって怒るの?」

「一応幼馴染みだし・・」

「それだけ?」

私の問掛けに素直に答えるきょんに私はさらに問つめる。

「え?」

⏰:08/11/27 03:49 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#743 [果樹]
「それだけなの?ユイカはただの幼馴染みなの?きょんは・・もう気付いてるんじゃないの?」

目で訴えかけるように私はきょんに静かに問掛ける。

「もし自分の気持ちがわからないならわからないなりにユイカに素直にきょんの気持ちを伝えたらいいのよ」

それだけ言って私は自分の席に戻った。

⏰:08/11/27 03:51 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#744 [果樹]
あとはきょんが自ら考えるべきことだから・・・。


その後きょんは教室を走って出ていった。

きっとユイカのもとへ行ったのだろう。

がんばれきょん!

私は秘かにきょんに向けてエールを送った。

⏰:08/11/27 03:52 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#745 [果樹]
――――・・・

「はぁ・・・」

私は今だ屋上にいた。

ここにいつまでも居るわけにいかないのになぁ。

でも教室に行ったら京太いるし・・・。

逃げてるわけにいかないのは、自分でもわかっているのに、体が言うことをきかない。

⏰:08/11/28 17:10 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#746 [果樹]
私は憎たらしいほどに青い空を見上げて、独り言にしては大きい声を出す。

「京太のばーか」



「誰がばかだ」


えっ?!

私の心臓がドクンと跳ねる。
私しかいない屋上で、私の独り言に返事が返ってくるわけがない。

⏰:08/11/28 17:12 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#747 [果樹]
でも・・・まさか・・・。

私はゆっくりと声の聞こえた方を向く。

「京・・・太」

見るとそこには息切れしている京太がいた。

「つかお前何で屋上なんかにいんの?すっげ探したじゃん」

「べ、別にあたしの勝手じゃんっ!」

⏰:08/11/28 17:12 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#748 [果樹]
探してくれて嬉しいくせに可愛くない言葉が口からは出る。

「可愛くなーい」

「うるさいっ!」

ぷうっと頬を膨らます京太に私はいつもの癖で言葉を返す。

・・・これじゃあいつもの口喧嘩だ。

いつも通りに話せて嬉しいけど、このままでは終わらせたくない私がいた。

⏰:08/11/28 17:13 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#749 [果樹]
そんな心の表れからか、私は京太から視線をずらす。

「何しに来たの?もう授業始まるよ?」

口からは冷たい言葉が出る。

「ユイカ・・・ごめんっ!」

いきなり大声で謝られて驚いて見れば、京太は、腰を90度近く折り曲げて頭を下げていた。

⏰:08/11/30 06:47 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#750 [果樹]
私が京太を見たまま黙っていると京太がぽつりぽつりと話し始めた。

「ユイカが変な男に絡まれてるのみて俺カーッとなっちゃって。でもそんなんで怒ってるの知られてうざいって思われるのも嫌だったんだ・・・だから・・・」

下を向きながら言う京太は落ち着かない様子で何度も髪をクシャッとかく。

⏰:08/11/30 06:47 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#751 [果樹]
ああ・・・。
そうだった。
京太は昔から人に嫌われるのを極端に嫌う人だった。

京太は結局私のことなんてなんとも思ってないんだ・・。

「もう・・・いいよ」

私は諦めにも似た返事をする。

⏰:08/11/30 06:48 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#752 [果樹]
「よくないっ!」

京太がいきなり大声を出すものだからびっくりして肩が跳ねる。

「俺・・よくわかんないんだけど、多分圭が男に絡まれててもあそこまで怒らなかったと思う。でも、ユイカが絡まれてるのみたらなんかムカついて・・・。ユイカだから・・・ユイカだったから」

言っている意味はわかるのに、京太が言おうとしていることがわからない。

⏰:08/11/30 06:49 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#753 [果樹]
「京太は・・・あたしをどう思っているの?」

流れる沈黙。

顔を上げない京太。

聞いた私が馬鹿だった。
今まで通りでいいんだ。
それが一番なんだ。

「ごめん。今のは忘れて」

立ち上がって、うつ向いて立っている京太の横を通りすぎる。

⏰:08/11/30 06:49 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#754 [果樹]
今まで通りの幼馴染み。
それがいいんだ。

私は校舎内に通じるドアを開ける。

「ユイカ!」

後ろから大声で名前を呼ばれた反動でドアノブから手を離してしまった。

ドアはそのままバタンとしまる。

⏰:08/11/30 06:50 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#755 [果樹]
「俺・・・まだよくわかんないんだけど、ユイカのことは手放したくない」

それは友達としてでしょ?

「友達としてじゃなく男として手放したくないんだ!」

まるで私の心の声に答えるように京太が大声で叫ぶ。

⏰:08/11/30 06:50 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#756 [果樹]
「この気持ちがなんなのかまだわからないんだけど・・・。でも」

「もういい」

京太が喋っている上に私は言葉を重ねる。

「もういいよ」

くるりと京太の方を向く。

「京太のばーか!」

大きな声での悪口。

⏰:08/11/30 06:51 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#757 [果樹]
「なっ・・・ユイカのバーカ!」

いつのまにか私は笑顔になっていた。

笑顔の私を見てほっとしたのか京太がいつものように言葉を返す。

これが私達流の仲直りの形。

「早く教室に戻ろう?」

ギッとドアを再び開けて私は京太の顔をみる。

⏰:08/11/30 06:52 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#758 [果樹]
「おう!」

京太もニヒッと顔をクシャクシャにして笑う。

――――・・・

トントンと二人で階段を降りていく。

京太の背中を見ながら私は笑顔が溢れる。

嬉しかった・・・。

友達としてではなく、男として手放したくないって言ってくれて嬉しかった。

⏰:08/11/30 06:52 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#759 [果樹]
京太が私を好きとかまだわからないけど、今はそれだけで十分だった。

今日は幼馴染みから一歩進めた、私の中での記念日。

友達以上の幼馴染み。
恋人は未定。

だけど私たち二人の時計はまだ動き始めたばかり・・・――

【 友達以上恋人未定 】

―end―

⏰:08/11/30 06:54 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#760 [果樹]
.
ねえ、先輩。
先輩はあたしのこと好きですか?



Story.7

【 先輩へ 】

.

⏰:08/12/02 22:55 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


★コメント★

←次 | 前→
↩ トピック
msgβ
💬
🔍 ↔ 📝
C-BoX E194.194