・・万華鏡・・
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#862 [○○&◆.x/9qDRof2]
おれはもうどうすればいいのかわからなかった。いつも愛らしい笑顔を振りまいている彼女が、泣きながら牙を剥いているのだ。
おれは彼女にとって気の許せる人間でないから、触れることなんてできない。当然ながら同情さえも、いまの彼女にとっては余計なお世話といったところか。
:22/10/18 17:56
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#863 [○○&◆.x/9qDRof2]
ほんとうは、その涙を拭ってやりたいと思ったし、冷え切った心身を抱き締めてやりたいと思った。行き場を失った衝動が、彼女のうちを食い破るのなら、それがすべておれに向けばいいのにと思った。
それでも、おれは彼女にとって他人であり、さしたる会話を交わしたわけでもない。彼女からすればおれは日常を彩るただの記号で、下手をすれば踏み台にすらならない程度の存在なのだから、今のおれには彼女のためにしてやれることなど、なにひとつないのだ。
:22/10/18 17:56
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#864 [○○&◆.x/9qDRof2]
どうしようもない沈黙がおれと彼女を包み込む。それでも彼女の涙が止むことはないし、おれの緊張が治まることもない。どうすればいいのだろうと思案したところで、おれにはなにも出来ない。
「出てって」
そのときのおれには、彼女の言葉に従うのが精一杯だった。動揺が喉元でせせら笑って、声すら出せない状況において、むしろなにが出来たというのだろうか。
おれは彼女を救いたいという衝動に後ろ髪を引かれながら、やむなく背を向けた。
:22/10/18 17:56
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#865 [○○&◆.x/9qDRof2]
彼女の特別になりたい。もう二度と泣くことのないよう、おれの胸で暖めてやれるよう。彼女がおれだけを、見てくれるように。
そう一度覚悟を決めてしまえば、もうなにも躊躇うことなどなかった。
まず真っ先におれは彼女の友達になった。いや、友達というのはいささか無理があるかもしれない。彼女のグループの一員となった、というのが正しい。
:22/10/18 17:56
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#866 [○○&◆.x/9qDRof2]
まだ彼女はまっすぐにおれを見ることはなかったけれども、おれは確かに彼女の周囲に溶け込み、また、上辺といえども定期的に彼女と談笑を交わすようになった。
そして彼女の周囲にいて改めて気付いたことといえば、やはり彼女の笑みは花も綻ぶほどにかわいいということである。笑うと、ちいさく口角がへこむ。すると年中赤いほっぺがすこし持ち上がって、やけに突っつきたくなる衝動に駆られる。
:22/10/18 17:56
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#867 [○○&◆.x/9qDRof2]
もしかしたらおれは、彼女のことを加護すべき小動物だと認識しているのかもしれないとも思う。背丈は小さいし、よく転ぶ。おまけにちょこまかと、動き回る。正直言ってしまえば、我が家のハムスターにそっくりである。
:22/10/18 17:57
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#868 [○○&◆.x/9qDRof2]
「おはようチロル!」
わたしは五十嵐千広(いがらしちひろ)。あだ名は何故か中学の頃からチロルなのだ。そんな可愛いあだ名の顔じゃないんだけどねぇ。
「おはよう、暁子(きょうこ)ちゃん。」
暁子ちゃんは私と同じ美術学科で、とてもいい子だ。こんな私と仲良くしてくれてすごく嬉しい。
「聞いてよ暁子ちゃん。あたくし今朝痴漢に会っちまいましたよ。」
「え?!大丈夫?!」
「なんか素敵なお兄さんが助けてくれたよ〜。いやぁ好青年でねー。」
:22/10/18 17:57
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#869 [○○&◆.x/9qDRof2]
私はまるで年とったおばはんみたいな喋り方をした。私が可愛いかったり積極的だったらお兄さんの名前とか聞いて恋に発展するんだろうなぁとしみじみ思う。はぁ……私はあと何年こんな思いをしなくてはならないのだろうかねぇ……。
:22/10/18 17:57
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#870 [○○&◆.x/9qDRof2]
「チロル……もしかしてそな人に惚れたとか?」
「あーないない。それ以前に向こうが私をお断りだよ。」
いかにも気のない素振りだが、少しもう一度会えないかと思う自分に少し呆れた。アンタそんな身分の奴じゃないだろうっちゅーのに。
:22/10/18 17:58
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#871 [○○&◆.x/9qDRof2]
「さ、イーゼル用意しよ!」
ガラガライーゼルを用意しながら、私達はいつもの他愛ない話をした。
――――――――……
「じゃバイバーイ!」
「バイバーイ。」
あ゛ー今日も終わったぁー。家帰って早く漫画読みたーい。私は少女漫画が大好きだ。あの胸を切り裂かれるような痛み……そして感動的な告白。甘い2人の時間。全てが憧れ。私もあんな恋がしたいなぁと読んだ後は悶えに悶えてそして落ち込む。
:22/10/18 17:58
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