ギンリョウソウ
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#39 [向日葵]
「ありがとうございます……美嘉ちゃん……」

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再び屋敷へ戻ってくると、さっきのモデルさんとすれ違う。
高いヒールを高らかにならして歩いて行く姿は美しく、やはりそういう仕事をしているのだと実感した。

自室へ戻って間もなく、ノックもせずに要が入って来た。

「お仕事お疲れ様です」

椿は一礼する。

「何のつもり?」

顔を上げた時、要は眉を寄せてこちらの考えを探るような目をしていた。

⏰:08/06/08 00:51 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#40 [向日葵]
「本当に納得してるの?それとも納得したフリして社長に僕の目的をひそかにバラすとか?」

挑戦的な言葉も、椿は静かに微笑んで受け流す。

「私は、納得しています。葵さまがどんなつもりであっても、父が喜んでくれるなら、私は何だっていいんです……。ですからバラされるなんて心配は無用です……」

これは椿の本音だった。
そして彼女は前から気づいていたのだ。

要が自分に対して何の感情も持っていない事を。

知っていながら、椿は父の為だけに婚約者を承諾したのだ。

⏰:08/06/08 00:57 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#41 [向日葵]
つまり自分も彼になんの感情も無かったのだ。
だから彼を一方的に怒る事なんて出来ないのだった。

「私は、父と、葵さまのサポートをするだけです……」

要は更に眉を寄せた。

ヒドイ事をやってるし言ってる自覚はある。

所詮自分達のような者は政略結婚が主だ。
もともと情なんてものは無い。

だからと言って、彼女はあまりに諦めが良すぎではないだろうか。

⏰:08/06/08 01:01 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#42 [向日葵]
そんなんだから、余計疑いたくもなるのだ。

「椿、君の目的は?」

「目的……ですか……?」

椿はキョトンとする。

「社長の為の他に、何かあるんじゃないのか?」

しかし椿は穏やかに微笑んでゆっくり首を横に振り否定する。

「何も、ありません」

要は戸惑った。
彼女が眩しく感じたからだ。
一点の曇りもなく、ただ父の為だけと純粋に言い張る椿を真っ直ぐに見れない気がした。

⏰:08/06/08 01:05 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#43 [向日葵]
※訂正

>>38

×思ってますたから
○思ってましたから

⏰:08/06/10 23:30 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#44 [向日葵]
しかし、と要は頭を切り替える。

椿がの事はよく分からない。だからこそ、常に用心しなければならないと思う事にする。

「君の事はとりあえず保留でいいや。でもね、あまり僕達がよそよそしいのもいけないしね。だから君には僕を好きになってもらうよ」

椿は首をまた傾げる。
そして何故好きにならなきゃいけない必要があるのかが分からないでいた。

好きになっても、要は自分を好く訳でもないのに。

そんな椿の思いが分かったのか、要は言う。

⏰:08/06/10 23:35 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#45 [向日葵]
「好きになってもらわないと、なんだか好きになれそうにないんだよね、君。だから君から好きになって欲しいんだよ」

にっこり笑って、酷い事を言う。
まるで椿に何を言っても平気だと馬鹿にしてるようにも見えた。

しかし椿は、何も動じていないかのように微笑んだままだった、が、その微笑みは要への抵抗のようでもあったのだ。

椿はまだ、要の要求に首を縦に振っていないからだ。

それには彼も気づいている。

⏰:08/06/10 23:42 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#46 [向日葵]
椿にだって、気持ちはあるのだ。
あまりに理不尽な事には、簡単にイエスと言いたくはない。

「ま……、好きになってもらえるよう毎日君の顔を見に来るよ。そしたら段々好きかもって思うかもね」

「そうですね……」

椿の返事は、要にとって「やれるものならやってみろ」と聞こえた気がした。

だから余計意地になる。
絶対好きにさせてみせると。

そう決意を固めて、椿の部屋をあとにした。

⏰:08/06/10 23:45 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#47 [向日葵]
1人残された椿は要がいなくなると同時に笑顔を消していた。

何も思ってないフリをするのは、この顔が一番。
だが今は1人だ。
あんな言葉を言われて傷ついてない訳がない。

[好きになれそうにないから]

自分がどれだけ魅力がないのか、つきつけられた気がした。
ましてや、将来共に過ごすであろう婚約者に……。

大きな窓から、空高くのぼっている月を見つめた。

何を言われても、要の前で動じてはいけない。
全ては父の為。
そう思い望んで、承諾した事だ。

⏰:08/06/10 23:50 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#48 [向日葵]
だから……文句を言ってはいけない。
言える立場じゃない。

携帯の着信音が鳴りだした。
美嘉からだった。

通話ボタンを押す。

<もしもし椿?あれから大丈夫だった?美嘉頭に血が上ってて冷静になってなかっ……。……椿?>

椿は静かに涙を流していた。

こんな自分でも、心配してけれる誰かはいる。
大丈夫。不安になる事なんてない。

そう思うのに、突き刺ささった言葉のトゲは、思ったよりも痛かったのだった。

⏰:08/06/10 23:56 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


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