ギンリョウソウ
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#157 [向日葵]
椿は美嘉が言っている事が分からないながら、とりあえず相づちを打つ。

「アイツはその見本品よ……」

今にも口から火を吐きそうな恐ろしい顔をしながら、妙に力を入れて言う美嘉に、椿はやっぱり苦笑いを浮かべるしかなかった。

―――――――――…………

要の屋敷は椿の屋敷より大きい。

デザイン職なだけあって家もデザインされた作りになっている。

例えば玄関なんて床は透明ガラスで出来ていてその下にある空色の床が見えていたり、階段は木で出来ているが色はとてもポップで、段になっている所のみ赤、青、黄色で構成されている

⏰:08/07/29 01:41 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#158 [向日葵]
男でも女でも楽しめそうなこの空間に、椿は感嘆のため息をもらした。

「いらっしゃいませ、椿さま」

年若い従者が椿を迎える。

「こんにちわ。お忙しい所、押し掛けた形になって申し訳ありません」

「いえ、要さまもお喜びになることでしょう。案内させて頂きます」

柔らかく微笑んだ従者と椿は、要の部屋まで歩き始める。

歩きながら、ふと従者の方を見ると、その人の耳には小さな赤いピアスがされていた。

椿の家では使用人達はアクセサリー類のは禁止されているので、物珍しそうにじっと見つめる。

⏰:08/07/29 01:47 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#159 [向日葵]
その視線に気づいた従者は、椿ににこりと微笑む。

「これですか?要さまが似合いそうだからとプレゼントしてくださったんです。それと、私が要さまの友人のようになるようにと言う証でもあるようなのです」

柔らかい雰囲気をまとった彼にそのピアスをする事によって、その柔らかさが良い意味で少し無くなる。

「えと……お名前をお聞きしてもよろしいですか……?」

「もちろんです。大久保と申します」

そう言われれば、この頃入ったあのメイドを思い浮かべた。

「あの大久保さん……兄弟はいらっしゃいますか?」

⏰:08/07/29 01:54 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#160 [向日葵]
そう言うと、大久保はクスクス笑った。

「要さまにも言われましたよ。どうやら同姓の方が、椿さまのお屋敷にもいらっしゃるようで……」

「ハイ……そうなんです……」

「後から聞いた話ですが、その方大変だったそうですね……。でも、それを聞いて、要さまが「兄弟がいるのか」と尋ねた理由が分かったんです。私の事を心配して下さったようです」

と、大久保は足を止めた。

「椿さま。要さまは優しいお方です。たまに意地悪をおっしゃったりするかもですが……彼にとっては愛情の裏返しでもあるのですよ」

⏰:08/07/29 02:00 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#161 [向日葵]
椿は静かに微笑む。

もしかしたらそうなのかもしれない……。
ただ彼は、伝える事に関してはとても下手で、たどたどしい。
それでも、気持ちは入っているのかもしれない……。

「あぁ、申し訳ありません!ベラベラと……。では、こちらが要さまのお部屋でございます」

カチャリとドアを開け、中へ誘導する。

開くと同時に、要の声が聞こえた。

「大久保……?喉が乾いた……。水をくれないか?」

大久保は口に人差し指を当てて、水差しを椿に渡した。
どうやら驚かせたいらしい。
そして静かに部屋を出ていく。

⏰:08/07/29 02:05 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#162 [向日葵]
一方、水差しを渡された椿は、どうしゃうか悩みながらも、要が喉が渇いていると言う事で、要が寝るベッドまで行った。

要はぐったりと横たわっていて、片腕で目元を隠している。

「要さま、お水です……」

「ああ、ありが……。って!なんで君がここにいるんだ!?」

「あ、あの、風邪をひいたと聞きましたので……」

大きくため息を吐いた要は、とりあえず喉を潤す為水を一気飲みする。
近くにあった小さなテーブルにコップを置いて、ダルそうに起き上がる。

「寝てて下さい……っ。お体を休めませんと……」

「いいよ……。そんな柔じゃない……」

⏰:08/07/29 02:12 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#163 [向日葵]
>>156

誤]なんかされそるに
正]なんかされそうに

⏰:08/07/29 02:31 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#164 [向日葵]
柔じゃないなんて嘘だと椿は思った。現にこうして体を壊しているのだから。

「それより君、やっと僕の名前を呼ぶようになったね」

「え……っ。あ……これはっ、なんと言いますか……大久保さんの言葉が移ってしまって……」

何の不思議もなく、要の事も呼んでいたので、椿は真っ赤になった。

「ごめんなさい……馴れ馴れしくしてしまって……っ」

「何言ってんの。僕はいつも呼ぶように言ってたじゃないか。頑なに呼ばなかったのは椿の方でしょ」

皮肉な言葉は混ざっているけれど、要は嬉しそうに笑う。
本当に嬉しそうに笑う。

⏰:08/08/01 01:14 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#165 [向日葵]
だから椿は嬉しかった。
つられて椿も微笑む。
要の前で、何も考えず、無理せず笑うのは、初めてじゃないだろうか。

「それより、早く帰りな。僕の風邪が君の移っては、社長の怒りを買っちゃうかもしれないしね」

体のダルさなんて平気だと言うように振る舞う要だが、こういう時の体の辛さを椿はよく知っている為、要が無理していると分かった。

椿は要の言葉に首を振る。
要はボスッとベッドに突っ伏す。
そして大きくため息を吐いた。

「まあ……君は思ったより頑固だからね……。そういうならいてもいいけど……」

とか言いながら、素直に帰らなかった椿に嬉しいと感じている要は、ニヤけそうになる口元を枕で隠した。

⏰:08/08/01 01:20 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#166 [向日葵]
「じゃあ僕が寝つくまで帰るな。この願いならきいてくれる?」

「ハイ、もちろんです……」

要は横向きになって、少し熱い手を椿に差しのべる。
椿はそれをじっと見て、要を見た。

「手、握ってよ……」

「え……」

「お願い、きいてよ」

椿はしばらく戸惑い、ゆっくりと手を伸ばす。
そして指先だけキュッと掴む。

すると要は目を閉じて微笑む。

「君の手、冷たいね……」

⏰:08/08/01 01:25 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


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