ギンリョウソウ
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#162 [向日葵]
一方、水差しを渡された椿は、どうしゃうか悩みながらも、要が喉が渇いていると言う事で、要が寝るベッドまで行った。

要はぐったりと横たわっていて、片腕で目元を隠している。

「要さま、お水です……」

「ああ、ありが……。って!なんで君がここにいるんだ!?」

「あ、あの、風邪をひいたと聞きましたので……」

大きくため息を吐いた要は、とりあえず喉を潤す為水を一気飲みする。
近くにあった小さなテーブルにコップを置いて、ダルそうに起き上がる。

「寝てて下さい……っ。お体を休めませんと……」

「いいよ……。そんな柔じゃない……」

⏰:08/07/29 02:12 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#163 [向日葵]
>>156

誤]なんかされそるに
正]なんかされそうに

⏰:08/07/29 02:31 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#164 [向日葵]
柔じゃないなんて嘘だと椿は思った。現にこうして体を壊しているのだから。

「それより君、やっと僕の名前を呼ぶようになったね」

「え……っ。あ……これはっ、なんと言いますか……大久保さんの言葉が移ってしまって……」

何の不思議もなく、要の事も呼んでいたので、椿は真っ赤になった。

「ごめんなさい……馴れ馴れしくしてしまって……っ」

「何言ってんの。僕はいつも呼ぶように言ってたじゃないか。頑なに呼ばなかったのは椿の方でしょ」

皮肉な言葉は混ざっているけれど、要は嬉しそうに笑う。
本当に嬉しそうに笑う。

⏰:08/08/01 01:14 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#165 [向日葵]
だから椿は嬉しかった。
つられて椿も微笑む。
要の前で、何も考えず、無理せず笑うのは、初めてじゃないだろうか。

「それより、早く帰りな。僕の風邪が君の移っては、社長の怒りを買っちゃうかもしれないしね」

体のダルさなんて平気だと言うように振る舞う要だが、こういう時の体の辛さを椿はよく知っている為、要が無理していると分かった。

椿は要の言葉に首を振る。
要はボスッとベッドに突っ伏す。
そして大きくため息を吐いた。

「まあ……君は思ったより頑固だからね……。そういうならいてもいいけど……」

とか言いながら、素直に帰らなかった椿に嬉しいと感じている要は、ニヤけそうになる口元を枕で隠した。

⏰:08/08/01 01:20 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#166 [向日葵]
「じゃあ僕が寝つくまで帰るな。この願いならきいてくれる?」

「ハイ、もちろんです……」

要は横向きになって、少し熱い手を椿に差しのべる。
椿はそれをじっと見て、要を見た。

「手、握ってよ……」

「え……」

「お願い、きいてよ」

椿はしばらく戸惑い、ゆっくりと手を伸ばす。
そして指先だけキュッと掴む。

すると要は目を閉じて微笑む。

「君の手、冷たいね……」

⏰:08/08/01 01:25 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#167 [向日葵]
「い、いつもは……もっと熱い筈なんですが……」

クスリと要が笑う。
椿は胸が高鳴るのを感じていた。

ただ、手を握っただけだ。
それなのに胸の中で疼くこの感情が何か分からない。
でもなんだか苦しくて、切なくて、しまいには泣きたくなるような感覚に、椿は困惑した。

「……でも今日は、冷たくて良かった……。おかげで……」

と言いながら、要は自分の額に椿の手を当てた。

「気持ちいい……」

「あ……っ」

⏰:08/08/01 01:29 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#168 [向日葵]
椿は赤くなるしか出来なかった。

すると急に要から寝息が聞こえた。
やっばり体に限界があったらしい。

要が寝つくまで……。そういう約束だったが、握られた手は寝ても尚放す気配がないし、それに椿自身、今要から離れたくないと思った。

だから彼の眠った顔を見る。

苦しそうに寝ておらず、ちゃんと規則正しく寝息をたてている彼は、忘れていたが同い年の男の子だった。

その言動、その態度。
全てが彼を大人びて見させる。

⏰:08/08/01 01:33 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#169 [向日葵]
しかし彼はこうなるしかなかったのだろう。
じゃなきゃこの若さで世界へのし上がり、世界中を飛び回り、鬼のような仕事の量をこなせる訳がない。

椿の胸が、チクリと痛む。
そして大久保の言葉を思い出す。

――本当は、優しい人……。

椿は自分の立場を改めて考えた。
ただ黙って、嫁ぐ日を待っているだけの自分。
そんな自分でも、要はもらってやろうと言ってくれた。
その時は、きっと愛など無いと思っていた。

始めの方だってそうだった。
今はどうか分からない。

⏰:08/08/01 01:39 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#170 [向日葵]
だが以前よりは親しみを持ってくれてるのではないかなと感じる時はある。

もし、要と最初の頃のまま結婚していたとしても、椿は徐々に要に心許せるような気がした。

そう思うのも、子供が不安がるように手を握ってとすがり、握った瞬間安心して眠る要の本質的なものが段々と見えてきたからかもしれなかった。

―――――――――…………

ドアをノックする音が聞こえた。

ハッとした椿は、要のベッドに突っ伏すようにして自分の手を枕にして寝ていたらしい。

ドアの方を向き、進もうとすれば、手が誰かに引っ張られた。

要だ。

⏰:08/08/01 01:45 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#171 [向日葵]
寝てるのに手をしっかりと握って放さない。
かと言って離れているドアに向かって大きな声で返事をしてしまっては要が起きるのではと心配した椿は要とドアを交互に見ながら焦る。

するとありがたい事に向こうからドアが開いてくれた。

入ってきたのは大久保だ。

「あ、大久保さん……すいません、出られなくて」

そばまでやって来た大久保は状況を把握して椿ににっこり笑いかける。

「気にしないで下さい。水差しに水を足しに来ただけですから。しかし、熟睡してますねぇ」

⏰:08/08/04 01:44 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


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