ギンリョウソウ
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#197 [向日葵]
「……じゃあ、また明日……」

椿はゆっくりと頷く。

しかしそう言いながらも、要は動こうとしない。
どうしてだろうと要を見つめれば、要もじっと椿を見つめていた。

そしてゆっくりとこちらに身を乗り出し、椿の頬に唇を寄せた。

そうして踵をかえして、要はまた歩き出した。

椿はその後ろ姿を見つめながら、さっき唇が触れた場所にそっと触れる。

好きになっても、仕方ないのに…………。

⏰:08/08/10 00:59 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#198 [向日葵]
[第5話]

「おはよう椿」

朝食にと、部屋へ来た椿に、聖史は笑いかけた。

一方椿は、そこに聖史がいると知らなかったので、出かけた欠伸を止めた。

「お、おはようございま……。聖史さま、如何なさったんですか?」

「今日は僕が君を学校まで送ろうと思って」

昨日から椿を争う戦いは始まっているのだ。
どうやら聖史は先制攻撃を仕掛けてきたらしい。

しかし、椿の頭は要の事で一杯だった。

それはきっと、遠慮がちに触れた彼の唇のせいだろう。

⏰:08/08/10 01:05 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#199 [向日葵]
「椿、早く座りなよ」

「あ、ハイ……」

席に座り、椿は聖史と一緒に朝食を取り始めた。

―――――――――…………

「椿っ!聖史兄ちゃん帰って来たって!?」

学校に着くと、美嘉が椿に言った。

「ハイ、昨日から……」

「ひっさしぶりじゃぁん!美嘉も会いたい!!今日会いに行っちゃダメ!?」

「いいえ、いいですよ」

「聖史さんって?」

聖史を知らない越はまったく話についていけない。

⏰:08/08/10 01:09 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#200 [向日葵]
なので美嘉が越の方を向いて説明しだす。

「椿のお兄ちゃんみたいなので、財閥の跡取りなんだけど、めちゃくちゃ優しくていい人なんだ!美嘉にも優しくしてくれて、まさに理想の旦那さまって感じ!」

“旦那さま”というワードに、椿は密かにビクリとしていた。

今日も要はきっと来るだろう。

昨日の、あの要の悲しそうな顔……。
あんな顔にさせたのは自分だ。
……けれど、椿にはあの「ユイコ」という呟きがどうしても気になり、要に悪い事をしたと思う一方、要を責めている自分がどこかにいた。

「そういえば椿、アイツこの頃大人しく感じるけど、何もされてない!?」

⏰:08/08/10 01:15 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#201 [向日葵]
そう言われて、ポンと昨日頬にキスされたのを思い出した椿は、ほのかに顔を桃色に変えた。

それにショックを受けた美嘉は、逆に青い顔をした。

「ア、アイツ……っ!美嘉の椿にぃぃぃっ!!」

「ち、違います……っ!えと、そんな、美嘉ちゃんが思ってるような事は……っ」

「じゃあ、どうしたの?」

今度は越が訊いてきた。

椿は昨日触れられた場所に指先を触れながら、更に顔を赤くさせた。

「ほ……頬に……キ、キ、キスをされまして……」

⏰:08/08/10 01:20 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#202 [向日葵]
「越……美嘉保健室行って来る……」

「え?なんで」

「消毒液……」

「何考えてんの美嘉……」

とりあえず美嘉を止める越を見つつ、椿は帰ってからの事を考えていた。

一触即発なあの2人だ。
椿はどちらかと言えば要の機嫌が損なわないかが不安だった。

聖史はどこか冷静な部分があるが、要は血がのぼってしまえば殴りそうな気がするからだ。

でも……。

殴るほど、自分の事で怒るだろうか?とも椿は思った。

⏰:08/08/12 00:11 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#203 [向日葵]
――――――……

椿宅に来た要は、学校から帰って来たら横から婚約者を立候補するという非常識な奴と認識している聖史よりも早く椿を迎えようと思っていた。

―――が。

来てそうそう見たのは、その非常識な奴だった。

「やぁ要くん。こんなに早く来ても椿はいないよ」

言外で「ばーか」とでも言われてる気がした要は不機嫌に目を半目にする。

そして椿の部屋へ足を進める。

「待ってよ。少し話をしない?君が椿をどう思っているかちゃんと知りたい」

⏰:08/08/12 00:17 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#204 [向日葵]
「聖史さんとやら。僕は話す事なんかないよ。椿についてどう思ってるかだって?僕の態度を見れば一目瞭然じゃないか」

「まぁそう言わず。ライバルの事を知るのは大切だと思うよ?弱点を見つけれるかもしれないじゃないか」

そんなの椿に決まっているだろうと思った要だが、これ以上怒っていれば子供だとまたもや馬鹿にされそうなので、聖史と共に応接間へと行った。

足を組んでデカイ態度で座る要に対し、聖史は静かに腰を下ろし、上品に足を組む。

身についたものだろうが、要はそんな動作すら気にくわない。

「さて……要くんは椿の何に惹かれたのかな?」

⏰:08/08/12 00:23 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#205 [向日葵]
「黙秘権」

「嫌われてるなぁ……」

困ったように聖史はクスリと笑う。

「じゃあ質問を変えよう。君も気づいているだろうけれど、椿が自分自身すら騙して無理をしている理由を知っているかい?」

それを知らない要は聖史をジッと見つめる。
そういえば、自分の家に来た椿のところのメイドが言っていた。

――自分を呪っている。
……と。

「椿のお母さん、つまり奥さまが亡くなっているのは知っているよね?奥さまは椿と同じように、体が弱いお方だったんだ」

⏰:08/08/12 00:28 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#206 [向日葵]
控えめだが、性格、外見には恵まれていて、言い寄る男は多かったと言う。

しかし椿の母は、今の椿の父に一目惚れをし、2人は結ばれたのだと言う。
そして間に生まれたのが椿だった。

が、椿を産むと、椿の母の命が危ないと言われていた。
椿の父の必死の反対に、椿の母は首を横に振るのみ。

絶対産む。例え自分の命とひきかえにしても。

それが口癖だったらしい。

そして椿を産んで間もなく、椿の母は息を引き取ったのだと言う。

⏰:08/08/12 00:33 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


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