ギンリョウソウ
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#213 [向日葵]
口元に微笑みをたたえているのに、目はひどく冷たく、雰囲気は奇妙なものだった。
近づきたくても、なんとかく近づけずにいた椿だが、ふと要の手に目をやると驚いた。

「か……要さま……っ!て……て、手が……っ!!ち……血……っ!」

「あぁこれ?もう乾いているよ」

椿は近づいていって、その手をそっと取る。
乾いていると言えど、おびただしい程の血と傷が、要の手についている。

なのに何故本人は痛がりもせず、平然といるのだろう……。

まさか……と椿は思った。

⏰:08/08/12 01:13 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#214 [向日葵]
要は聖史の逆鱗にでも触れてしまったのだろうか?
それで……聖史に……?
そういえば、聖史も怪我していた。

「要さま……聖史さまと何かありましたか……?怪我をなさっているだなんて……」

要は何も言わず、ただ椿を無表情でじっと見ていた。
それがなんだか怖くて、椿は徐々に後退りしていた。

とりあえず、今は事情を訊くより、要の手当てだと思った椿は、黙ったまま部屋を出ようとする。

が、椿の腕を、要が掴んだ。
しかも、怪我している方で。

「……要さま……?」

「そんなに、アイツがいい……?」

⏰:08/08/12 01:19 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#215 [向日葵]
「え……?」

何の事だろうと思った椿は、急に強く押された。

倒れたのは、幸いベッドの上だった。
起き上がろうとした椿の上に、要が覆い被さる。

ただならぬ空気に、椿は固まった。

「僕よりアイツがいいの?本当はアイツが婚約者の方が良かったって?」

「か、要さま……っ!?」

「僕が奴から勝つのを許せないのかよっ!」

ドンッと、椿の顔の横に拳を降り下ろす。
椿は怖くて、ただ体を固まらせていた。

⏰:08/08/12 01:23 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#216 [向日葵]
すると要は苦しそうな、悲しそうな顔をした。

「…………なのに……」

「要……さま……」

「君が……好きなのに……っ」

椿は目を見開く。

今……なんて……?

「それでも、それでもダメなのか……っ!」

苦しそうに目を瞑る要をどうすればいいか分からない椿は、ソッと彼に触れようとした。

すると目を開いた彼の目つきが鋭く変わり、椿の両手を顔の横で押しとらえた。

⏰:08/08/12 01:27 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#217 [向日葵]
身動きがとれなくなった椿の頭は更にパニックを起こす。
どうしようと、敵う筈もないが、固定された手を動かそうとする。

すると、要の唇が、白い椿の首筋を辿る。

ビクリと体を震わす椿。

「か、要……さま……っ?や、やめて下さ……っ。要さま……っ!」

片手を解放されたかと思えば、ブラウスの裾から手を入れられる。
意外と冷たい要の手に、椿の体はまたビクリと跳ねる。

「や……いやぁ……っ!!おねが……要さまっ!やめて、下さいっ……!!」

⏰:08/08/12 01:32 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#218 [向日葵]
何をされるか分からない椿は、涙を流して要に許しを請う。
すると、要の手は速度を緩め、ピタリと止まった。

服から手を抜くと、両腕を椿の背中に回し、抱き寄せる。

「どうして、君の事を、アイツから聞かなくちゃならない……」

やっぱり苦しそうに呟く要の顔は見えない。

私の事……?

「聞くなら……」

ようやく体を少し離してくれる。けれど、まだ腕の中にいる。
要の指先が、椿の唇をなぞる。

「君の口から聞きたかった……」

⏰:08/08/12 01:38 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#219 [向日葵]
先程までの奇妙な空気を、要はもうまとってはいなかった。
変わって彼から感じとれるのは、椿をいとおしむような空気。

好きと言ったのは……本当……?

そう思っている内に、ぎこちなく、控えめに、要の唇が椿の唇に触れた。

何が起きたか一瞬分からなかった椿だが、状況を把握すると、恥ずかしさに目を開けていられなくなって、ギュッと目を瞑った。

要の唇が離れる。
そしてまた足りないとでも言うように口づける。
今度はさっきよりも、少し強引に感じる。

なかなか離れないので、僅かに動かせる手で、震えながら要の袖を握る。

⏰:08/08/12 01:43 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#220 [向日葵]
それに気づいた要は、唇を離す。

上手く息が出来ない椿は、息を切らせながら、涙を流した。

その涙に我に返ったようにハッとした要は、優しく椿を包む。

「ゴメン……ゴメン椿……」

謝られれば、切なくなった椿は更に涙を静かに流した。

「何……してるの?」

体を起こして、ドアの方を見れば、美嘉が目を見開いて戸口に立っていた。

「アンタ……椿に何してるの……?何してるのよぉっ!!」

美嘉は駆け寄って要を力一杯突き飛ばした。

⏰:08/08/12 01:48 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#221 [向日葵]
>>212

誤]ひやりて
正]ひやりと

⏰:08/08/12 01:56 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#222 [向日葵]
>>213

誤]なんとかく
正]なんとなく

⏰:08/08/12 01:58 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


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