ギンリョウソウ
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#249 [向日葵]
「いらっしゃったんですね……気づかなくてごめんなさい」

「あ、いいのいいのっ!美嘉もちょっと喋ってたから」

「喋る?」

「ヤバッ……」と小さく言って、両手で口を塞ぐ。
椿はまさかと思う。

「要さまが、いらっしゃったんですか……?」

美嘉はバツが悪そうな顔をして、こくりと頷く。
倒れた椿が、要を追いかけるのではないかと一瞬不安がよぎる。

しかし彼女は、要が行ってしまっただろう方を静かに見つめているだけだった。

⏰:08/08/18 01:46 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#250 [向日葵]
「あ、あの……追いかけないの?」

思わず訊いてしまう。
椿は小さく頷く。

「きっと……大丈夫だと分かったから、お仕事に戻られたのでしょう」

彼の、心からの告白に感じたあの言葉。

本当は、本心じゃなかったのでは?と思わなくもない。
こうやって、顔も見ずに帰ってしまうくらいなのだから……。

「そういえばアイツ、手、怪我してたね」

「え……っ」

あの時の怪我、まだ治ってないのかと椿は心配する。

⏰:08/08/18 01:50 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#251 [向日葵]
椿は「でも……」と小さく左右に首を振る。

心配する人は、他にいるかもしれない。

そう、例えば、彼が寝言で呟いた、あの名の人。

“ユイコ”

思えばあの日から、歯車が狂い始めた気がする。
寄り添った心は再び離れた。
そんな気がする。

彼は寄り添ったつもりなんかないかもしれない。

でも椿は、少なくともその時、彼に心を許す準備は出来ていたのだった。

⏰:08/08/18 01:54 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#252 [向日葵]
>>240

誤]闇の包まれた
正]闇に包まれた

⏰:08/08/18 02:13 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#253 [向日葵]
>>243

誤]目を覚まさないら
正]目を覚まさない

⏰:08/08/18 02:16 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#254 [向日葵]
[第6話]

聖史の帰る日が段々と迫ってきた。
もし帰る時に、ついて来て欲しい等と言われたらどうしようと戸惑っていると、聖史は思いもよらぬ事を言った。
それは、長袖じゃないと寒いなと感じた朝の事だった。

「やっぱり再来週に帰る事にしたんだ」

「え?どうしてですか?」

「そりゃ椿ともっと一緒にいたいからだよ」

ストレートにそう言われては、顔を赤くするしかなかった。
その一方で気になる事があった。

要の事だ。

⏰:08/08/20 01:38 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#255 [向日葵]
何の連絡もないまま1週間がたった。
相変わらず連絡はない。
何度携帯を見て、ため息をついたことか。
あの倒れた時、やっぱり追いかければ良かったと、今更ながら椿は後悔していた。

「――き。椿、聞いてる?」

ぼんやりとしていた椿は聖史の声にハッとして顔を上げた。

「ごめんなさい……っ。なんでしょうか……?」

「もしかして、要くんが気になる?」

「い……いえ、あの……」

返事に困っている椿を、聖史はふわりと包みこんだ。

⏰:08/08/20 01:44 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#256 [向日葵]
「僕が、椿の心に入る隙間はもうないのかな……?」

聖史は優しい人だ。
入る隙間がないなんて言っては悲しむだろう。
それは隙間がないことなのだろうかと、椿は心の中で首を傾げた。

第一、椿は好きと言う感情がいまいち分からないでいた。

傷つけたくない人と、どうしても気になってしまう人は、どう違うのだろうか。

椿が答えないでいると、聖史はゆるりと腕をほどいて微笑む。

「ごめん。困らせるつもりじゃなかったんだ。それにしても、最近僕は椿にくっつきすぎだね。今日は帰るよ」

⏰:08/08/20 01:50 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#257 [向日葵]
額に触れるか触れないかのキスを落とし、聖史は颯爽と去って行った。

顔を赤くしながらも、聖史が帰った事に少しホッとしている自分に嫌気がさした。

―――――――――…………

「3針……ねぇ……」

自宅のベッドの上で、包帯を巻いた掌をヒラヒラさせながら要は呟いた。

今は痛み止めを飲んでいるから痛みはない。

こんなのじゃ仕事は出来ないと、しばらくの休暇を取ると言って部屋に引きこもったのは4日前の事。

⏰:08/08/20 01:56 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#258 [向日葵]
さすがに暇になってきた。

仕事をしたいが、肝心の利き手がこうでははかどる事もなく、結局ベッドの上で寝そべっている。

読書でもしようかと半身を起こした要は、読みかけの本の隣に置いてある携帯に目をやった。

「……はぁ……」

毎日のように、椿から電話やメールが来ていた。
だが自分は返せないでいた。
すると2日ほど前からピタリと来なくなった。

愛想をつかされたかと心配になり、何度返信ボタンを押したか。
しかし文を作成しているうちに指は止まる。

今更何を言ったらいいのかが分からない。

⏰:08/08/20 02:00 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


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