ギンリョウソウ
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#283 [向日葵]
「そろそろ、けじめをつけなくてはならないのでは?」

意味深に微笑みながら、大久保は言った。

「……まあね……。」

―――――――――…………

ガヤガヤと、帰る学生で校舎内はうるさい。

椿は廊下掃除をしながら、今日も1日終わったとホッとしていた。と同時に、もうすぐ中間テストだと言う事実に少しばかり気が滅入っていた。

勉強は嫌いじゃない。
だがいい加減な点数を取ってしまえば野々垣家の恥だと椿は思っている。

⏰:08/08/22 01:56 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#284 [向日葵]
父は成績なんて気にしなくていいと言うが、普通の学校に行かせてくれたワガママをきいてもらったと思っている椿は、成績だけは優秀でいようと心に決めていた。

もたろん父は、その事だって気にしちゃいない。

「椿ー!」

遠くから越が駆けて来た。

「ハイ。なんでしょうか?」

「今日、放課後遊ばない?珍しく桜が部活無いから、家の手伝いしてくれるって言うの。美嘉も誘ってさ!」

桜とは、彼女の妹だ。
それならばと、椿は頷く。

「掃除は?もう終わり?」

「あとゴミを取れば……」

⏰:08/08/22 02:02 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#285 [向日葵]
「じゃあ教室で待ってるねっ」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

掃除を全て終えた椿は、教室に戻ってきた。

「椿っ!美嘉ね、椿に行って欲しいとこがあるんだ!」

入るなり、美嘉が椿に言う。
行って欲しいところ?と椿は首を傾げて瞬きを繰り返す。

「美嘉と越は先回りして待ってるから、10分ぐらいしたら車に乗って!行き先は運転手さんが知ってるからー!」

「え……、美嘉ちゃ……」

美嘉はまるで逃げるように越を引っ張って行ってしまった。

⏰:08/08/22 02:07 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#286 [向日葵]
ポツリと残された椿は困り果てる。
何かびっくりさせたい事でもあるんだろうか?

仕方ないので、10分教室で過ごした椿は美嘉の指示通り、校門まで行き、いつもの迎えの車に乗り込む。

「あ、あの、尾崎さん。一体どこへ……?」

椿は運転手に訊く。

「申し訳ありませんお嬢様。美嘉さまに言わないよう言われておりますので……」

椿は背もたれにもたれ、過ぎ行く街並みを見る。

一体どこへ連れて行かれるのだろうと不安になりながら。

⏰:08/08/22 02:11 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#287 [向日葵]
しかししばらくして、椿は気づいた。

1度しか通っていないがこの景色は知っている。
混乱し始めた椿は運転手に話しかける。

「え……!?あの、尾崎さ……。行く場所って……っ!」

「あと少しですので、もうしばらくお待ちください」

そうは言っても、不自然に心臓が鳴り出す。

だってこの道は……っ。

安全に車は停止する。
運転手は後部座席のドアを開ける。
促されるままに、椿はゆっくり足を地につける。

⏰:08/08/22 02:15 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#288 [向日葵]
「なんで……ここに?」

そう、目の前にあるとても大きな、そしてデザインされている屋敷は、どう見たって要宅だった。

「美嘉さまがどうしてもとおっしゃるので。ではいってらっしゃいませ……」

深々お辞儀をする運転手に、帰ると言えなくなった椿は、足を進めるも戸惑うように何回も振り返った。

そして呼び鈴を鳴らせば、見知った従者が出てきた。

「椿さまっ!如何なされたんですか?」

「こ、こんにちわ大久保さん……。えと、私もよく分からなくて……」

⏰:08/08/22 02:21 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#289 [向日葵]
>>282

誤]あまり素直で
正]あまりに素直で

⏰:08/08/22 02:33 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#290 [向日葵]
「どうしましょう……要さまは、今留守してまして……」

戸惑っている椿と同じくらい大久保も戸惑っている。

「え、そうなんですか?」

「ハイ。ユイコさまとお食事に行かれるそうで、私は着いて来なくていいと言われ、屋敷に残ったのですが」

椿の心臓が一際大きく鳴る。

―――――ユイコ……。

「じ、じゃあ私は……帰ります」

椿は徐々に後ずさる。
胸の奥が、鋭い痛みに襲われる。

⏰:08/08/23 02:06 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#291 [向日葵]
後ろ手にドアノブを持つと、反対側から回されたので、椿は手を放し、その方へ振り向いた。

「……椿?」

ドアを開けた人物が言う。
椿は驚いて目を見開く。

「要……さま……」

2人はお互い驚き固まる。
そんな要の後ろから、小柄な女の子が顔を出した。
椿はその女の子に気づく。

「椿……?」

可愛らしい声を出したその子を、椿はユイコだと直感で思った。
思ったと同時に、いても立ってもいられなくなって、屋敷を飛び出した。

⏰:08/08/23 02:10 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#292 [向日葵]
[第7話]

呆然としていた要はハッとして振り返る。

「ユイコ。ちょっと待っとけ!」

「あ、ハイ……」

椿を追いかける要に、返事が届いたかは分からない。
ユイコは大久保を振り返る。

「あの方が椿さまですか?」

「ハイそうです」

「あの方が……」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

広く長い屋敷から門までの道なりを走り抜けるなど無駄な事だった。

⏰:08/08/23 02:14 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


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