ギンリョウソウ
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#346 [向日葵]
だが美嘉は聖史になついている。
そんな彼女に、こんな事を告げていいのか迷ったが、それすら教えないと、美嘉はまた悲しむだろう。
だから椿は思い切って言う事にした。
昨日聖史とあった出来事、全て。
聖史が聖史じゃなくなってしまった事、無理矢理キスされた事、どこか脅かすような言葉を言われた事……。
美嘉はあの聖史がそんな事をするのが信じられないのか、目を大きく見開いて口を小さくパクパク動かしていた。
「な、何それっ、どういう事っ!?おかしいじゃない!聖史兄ちゃんがそんな事するなんて……っ」
:08/08/29 01:37
:SO906i
:☆☆☆
#347 [向日葵]
「私も頭が混乱してしばらくは上手く整理出来ませんでした……」
「でも椿……やっぱり椿ってアイツが好きだったんだ」
“アイツ”が誰なのかすぐには言葉を変換出来なかった椿は、やっと意味を解した時、首から上が真っ赤になった。
「き、気づいたのは最近で……、と言うか昨日で……っ、きっと美嘉ちゃんが会わせるようセッティングしていませんでしたら、まだ気づく事はなかったと思いました……」
椿は両手を頬に添え、顔の体温を冷たい自分の掌で冷まそうとする。
「こんな気持ち、初めてで……自分自身どうすればいいのか分からないんですけど……」
:08/08/29 01:42
:SO906i
:☆☆☆
#348 [向日葵]
美嘉はおかしそうに笑い出した。
「アンタ達2人とも、頭良いのに変な所頭悪いよね」
アハハハと笑う美嘉の笑い声が心地よく感じる。
そう感じるのは、胸をくすぐるこのこそばい感情のせいだろうか……。
「椿のやりたいようにやりなよ。それが1番良いと、美嘉は思うよ。椿が感じてる“お母さんの責任”は、もう捨ててもいいと思うよ」
「それは……出来ません……」
椿はそれだけは拒否した。
簡単に投げ出しては、皆許してくれない。
生まれてきた自分を、受け入れてくれない……。
:08/08/29 01:47
:SO906i
:☆☆☆
#349 [向日葵]
:08/08/31 02:25
:SO906i
:☆☆☆
#350 [向日葵]
要がそんな事ないと言ってくれた事がある。
しかし椿の心の中がすぐに全て切り替わるのかと言ったらそうではない。
「そういえば、越どうしたんだろうね」
美嘉が呟くと、頭の中が越の事で切り替わる。
どこかフワフワしている彼女が心配になる。
落ち込んでいるのかと思ったがそうでもなさそうだ。
「元気になるまで待ちましょう」
「そうだねー」
「あ、あの、美嘉ちゃん。どうして要さまに会わせてくれたんですか?あんなに反対してらしたのに……」
:08/08/31 02:30
:SO906i
:☆☆☆
#351 [向日葵]
美嘉は「んー」と唸るとニヤリと笑う。
「アイツが年相応に見えたからかな。なんか親近感湧いて」
そういえば、忘れがちになってしまうが、要は自分と同い年なのだ。
姿や容姿、身についた動作や考え方は、もう大人のように感じる。
「頭の堅い、ただのビジネス目的の最低な奴だと思ったよ。でも椿をどう思ってるか聞いたらさ、17歳の男子の意見だったんだ」
それが椿に言った事とほぼ一緒だと言うことは、椿は知らない。
「しっかし……」
美嘉は歯の隙間からシシシシと笑う。
椿は何がおかしいのかと言葉の続きを待つ。
:08/08/31 02:37
:SO906i
:☆☆☆
#352 [向日葵]
美嘉はニヤニヤと緩む口元を両手で隠す。
「椿、アイツ椿にメロメロみたいよね」
「な……」
要が自分にメロメロな筈はない。
そう思っても、昨日抱き締められた時の体温や力加減を思い出せばうつむいて顔を隠すので精一杯だった。
「椿も実は、アイツにメロメロ?」
明らかにからかっている美嘉の口調に、耳まで真っ赤にする。
「み、美嘉ちゃん……っ!」
:08/08/31 02:42
:SO906i
:☆☆☆
#353 [向日葵]
「いいじゃんメロメロならメロメロでー。楽しいねー。美嘉も早く彼氏が欲しいよ」
カラリと笑う彼女のその口調は、本当にそう思っているかは分からなかったけれど、もし彼女に好きな人が出来たと言うのなら、自分は何がなんでも協力しようと椿は決意した。
決意した途端、携帯が震える。
スカートのポケットから携帯を出せば、メールが2件届いていた。
椿は携帯を落としそうになるのを必死にこらえた。
2通のうち1通は聖史からだったのだ。
<今日も行くよ。君に会うまでずっと待ってる。だから逃げようなんて、思わないよね?>
:08/08/31 02:47
:SO906i
:☆☆☆
#354 [向日葵]
脅迫文ともとれる内容に、椿はさっきとは逆に顔を青くさせた。
逃げられない。
聖史の作った迷路から抜け出せるのだろうか……。
「椿?やっぱりここ寒い?」
大丈夫と告げようとして、顔を上げた時予鈴が鳴った。
立ち上がり、携帯をスカートのポケットにしまう。
そして美嘉と2人で教室に小走りで戻って行った。
――――――――…………
掃除をする前に、美嘉が越も連れて3人で出かけようと言った。
:08/08/31 02:53
:SO906i
:☆☆☆
#355 [向日葵]
少しは気が紛れる。
今日帰ったら何が起こるか分からない。
もしまたあんな事をされてしまったら、自分の精神状態がおかしくなってしまうのではないかと恐く思う。
ため息をついて胸の中を空にしても重い気分は一向に晴れはしない。
「ねえ、なんか高そうな車止まってない?」
「本当だ、外車?」
窓の外を眺める女の子達が口々に言う。
それを耳にしながら椿は自分のところの車だろうと思い、しばらく考えてから首を少し傾げた。
:08/08/31 02:58
:SO906i
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