ギンリョウソウ
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#356 [向日葵]
まだ迎えの車が来るには早い。
なら誰の車だろう。

「赤ってやっぱ目立つねー」

椿の迎えの車は黒だ。

聖史かと考えるが、頭の隅では違うように感じる自分がいる。

もしかしてと女の子達と同じように窓の外を見れば、丁度その車から人が降りてくるとこだった。

「大久保さん……?」

両目が2.0の椿だが、遠くにいる人物をあと1歩確かめる事は出来ない。
しかしその姿は要の従者である大久保にそっくりだった。

大久保にそっくりな人物は後部座席のドアを開ける。
するとまた見た事がある人が。

⏰:08/08/31 03:04 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#357 [向日葵]
「あれ?アイツじゃん」

椿と同じく視力が良い美嘉が後ろからニョキリと顔を出して言う。
「美嘉ちゃんもそう思われますか?」

「スーツ着てるしねぇ。アイツ私服ないのかって感じだよね」

要と思われる人物はふと上を見上げる。
こちらに気づいたのかと一瞬ドキリとするが、すぐに顔を戻して校舎へ入ってくる。

「もしかして椿をデートに誘いに来たとか?」

「いえ、今日は何も予定はありませんし……」

「へー。じゃあ何だろうね」

⏰:08/09/01 01:59 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#358 [向日葵]
とりあえず掃除も終わったので、椿は教室に戻る。
放課後になれば越も少し元気を取り戻していていつもの彼女らしかった。

教室にまだいる他の友達に挨拶をして出ようとドアに手をかけようとした時、先にドアが開けられた。
反射的に手を引っ込めた椿は目の前にいる人物に驚く。

「か、要さま……っ!」

「ここが君の教室かぁ。質素だねー。ここら辺なんかひびが入っちゃってるじゃないか」

見知らぬ来客に、教室に残っている何人かのクラスメイトがこちらに視線を注ぐ。
それを背中でひしひしと感じている椿はただどうしようと思う。

⏰:08/09/01 02:06 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#359 [向日葵]
「椿、こちらは?」

要を初めて見る越が後ろの方から問いかける。

椿は恥ずかしくて黙っている。
しかし要はそんなのお構いなしに椿の頬に手を添えたと思うと、そのまま抱き寄せる。

「はじめまして。僕は椿のフィアンセです」

しばしの沈黙が流れた後、越が「あぁ、あの……」と言って納得してからすぐ他のクラスメイトが大声を出して驚いた。

「椿ちゃんフィアンセとかいたのー?」

「そんなの漫画とかの中だけだと思ってたよーっ!」

「やっぱり惹かれあったとか?」

「ちょっと待って……。あ!この人、ブランドのAKAの人じゃん!」

⏰:08/09/01 02:16 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#360 [向日葵]
するとまた教室は絶叫に包まれる。
少人数しかいないのに一体どこから声が出るんだろうと、椿は疑問に思う。

「あのブランド可愛いよねー!リーズナブルだし!」

「私もネックレス持ってるよー」

このままじゃ混乱を招かない、と言うかもう混乱気味だが、椿は要から離れて要を押す。

「なに椿?」

「と、とりあえず外へ出てくださいませっ!」

美嘉達が出てくる前にドアを閉め、要の手を引いて人気のない場所まで行く。
周りに人がいないか再度確かめ、ふうと一息つく椿に対し、要はどこか楽しそうだった。

⏰:08/09/01 02:23 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#361 [向日葵]
「女の子が騒ぐって面白いよね。しかも僕のブランドを知ってるなんて、いい子達ばかりだ」

「そ、それより要さま、どうしてここへ?」

「君の様子がおかしいと思ってね。電話より直接話した方がいいと思ったんだ」

微笑みを向けながらも、真剣な目で見つめるものだから、どこか気まずくなって椿はうつむく。

「ってか、メールで知らせたけど」

それに椿は驚き、また顔を上げた。

「見なかったの?まぁ学校だし、見にくいかなとは思ったけど」

⏰:08/09/01 02:28 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#362 [向日葵]
椿はそういえば2件メールがきていた事を思い出す。
携帯を開けば聖史の事を思い出しそうでずっとほったらかしにしていた。

そしてまた聖史の事を思い出せば、椿はうなだれていった。
その様子を見て、要は困った顔をする。

「えっと……来ない方が良かった?じゃあ今日は帰るよ」

「……っ!待ってくださいっ!!」

去って行こうとした要の腕に飛びつくように椿は要をひき止めた。
急な椿の行動に要は驚く。
そして椿も自分がした事に気づけばすぐにパッと離れた。

⏰:08/09/01 02:33 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#363 [向日葵]
恥ずかしくてそっぽを向く椿に、要は嬉しくて椿の頭を撫でる。

「珍しいね、ひき止めてくれるだなんて。そんなに会いたかったとか?」

「いえ、あの……っ」

「本当に……?」

髪の毛をよけて、要の手が頬に触れる。
触れられるだけで疼く甘い衝撃は要にだけしか起こらない現象だ。

しかしふとフラッシュバックのように昨日の出来事が目の中で見えれば、パシリと要の手をはたいていた。
動揺しながら恐怖に高鳴る胸を押さえて椿は少し後ずさる。

⏰:08/09/01 02:39 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#364 [向日葵]
「……どうかした?」

椿の態度に少し気分を害してそうな顔をする要に椿は焦る。

どうかしてる。
要と聖史が被るだなんて。
それによって要が傷つくだなんて、そんなのダメだ。

「か、要さまの手が、冷たくて……びっくりしたんです」

眉を寄せて、要は頬に自分の手をつけてみる。

「あ、本当だ。気づかなかった。でも君にはいいんじゃない?平均体温高いんだし」

笑ってくれた要はどうやら椿の嘘を信じたようだ。
少しホッとする。
あの出来事は絶対要に知られてはいけない。

⏰:08/09/01 02:43 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#365 [向日葵]
もうこれ以上、自分は誰も傷つけてはいけない……。

「あ、でさ、今日来たのは他でもないんだ。椿の様子だけじゃなくって、僕も用事があったんだ」

「あ、ハイ、なんでしょう?」

「ここで言う訳にはいかないからな。とりあえず家に来てくれる?」

要は少し歩き出してから振り向く。
椿はどうしたのかと首を傾げる。

「手くらいは、繋いでも平気?」

また離されるのが嫌なのか、わざわざ訊いてくる。
それも、遠慮がちに笑って。
そんな風に、少しずつ心の中を見せてくれるから、椿は要から目が離せなくなる。

⏰:08/09/02 01:33 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


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