ギンリョウソウ
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#351 [向日葵]
美嘉は「んー」と唸るとニヤリと笑う。

「アイツが年相応に見えたからかな。なんか親近感湧いて」

そういえば、忘れがちになってしまうが、要は自分と同い年なのだ。
姿や容姿、身についた動作や考え方は、もう大人のように感じる。

「頭の堅い、ただのビジネス目的の最低な奴だと思ったよ。でも椿をどう思ってるか聞いたらさ、17歳の男子の意見だったんだ」

それが椿に言った事とほぼ一緒だと言うことは、椿は知らない。

「しっかし……」

美嘉は歯の隙間からシシシシと笑う。
椿は何がおかしいのかと言葉の続きを待つ。

⏰:08/08/31 02:37 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#352 [向日葵]
美嘉はニヤニヤと緩む口元を両手で隠す。

「椿、アイツ椿にメロメロみたいよね」

「な……」

要が自分にメロメロな筈はない。

そう思っても、昨日抱き締められた時の体温や力加減を思い出せばうつむいて顔を隠すので精一杯だった。

「椿も実は、アイツにメロメロ?」

明らかにからかっている美嘉の口調に、耳まで真っ赤にする。

「み、美嘉ちゃん……っ!」

⏰:08/08/31 02:42 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#353 [向日葵]
「いいじゃんメロメロならメロメロでー。楽しいねー。美嘉も早く彼氏が欲しいよ」

カラリと笑う彼女のその口調は、本当にそう思っているかは分からなかったけれど、もし彼女に好きな人が出来たと言うのなら、自分は何がなんでも協力しようと椿は決意した。

決意した途端、携帯が震える。
スカートのポケットから携帯を出せば、メールが2件届いていた。

椿は携帯を落としそうになるのを必死にこらえた。
2通のうち1通は聖史からだったのだ。

<今日も行くよ。君に会うまでずっと待ってる。だから逃げようなんて、思わないよね?>

⏰:08/08/31 02:47 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#354 [向日葵]
脅迫文ともとれる内容に、椿はさっきとは逆に顔を青くさせた。

逃げられない。
聖史の作った迷路から抜け出せるのだろうか……。

「椿?やっぱりここ寒い?」

大丈夫と告げようとして、顔を上げた時予鈴が鳴った。
立ち上がり、携帯をスカートのポケットにしまう。

そして美嘉と2人で教室に小走りで戻って行った。

――――――――…………

掃除をする前に、美嘉が越も連れて3人で出かけようと言った。

⏰:08/08/31 02:53 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#355 [向日葵]
少しは気が紛れる。

今日帰ったら何が起こるか分からない。
もしまたあんな事をされてしまったら、自分の精神状態がおかしくなってしまうのではないかと恐く思う。

ため息をついて胸の中を空にしても重い気分は一向に晴れはしない。

「ねえ、なんか高そうな車止まってない?」

「本当だ、外車?」

窓の外を眺める女の子達が口々に言う。

それを耳にしながら椿は自分のところの車だろうと思い、しばらく考えてから首を少し傾げた。

⏰:08/08/31 02:58 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#356 [向日葵]
まだ迎えの車が来るには早い。
なら誰の車だろう。

「赤ってやっぱ目立つねー」

椿の迎えの車は黒だ。

聖史かと考えるが、頭の隅では違うように感じる自分がいる。

もしかしてと女の子達と同じように窓の外を見れば、丁度その車から人が降りてくるとこだった。

「大久保さん……?」

両目が2.0の椿だが、遠くにいる人物をあと1歩確かめる事は出来ない。
しかしその姿は要の従者である大久保にそっくりだった。

大久保にそっくりな人物は後部座席のドアを開ける。
するとまた見た事がある人が。

⏰:08/08/31 03:04 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#357 [向日葵]
「あれ?アイツじゃん」

椿と同じく視力が良い美嘉が後ろからニョキリと顔を出して言う。
「美嘉ちゃんもそう思われますか?」

「スーツ着てるしねぇ。アイツ私服ないのかって感じだよね」

要と思われる人物はふと上を見上げる。
こちらに気づいたのかと一瞬ドキリとするが、すぐに顔を戻して校舎へ入ってくる。

「もしかして椿をデートに誘いに来たとか?」

「いえ、今日は何も予定はありませんし……」

「へー。じゃあ何だろうね」

⏰:08/09/01 01:59 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#358 [向日葵]
とりあえず掃除も終わったので、椿は教室に戻る。
放課後になれば越も少し元気を取り戻していていつもの彼女らしかった。

教室にまだいる他の友達に挨拶をして出ようとドアに手をかけようとした時、先にドアが開けられた。
反射的に手を引っ込めた椿は目の前にいる人物に驚く。

「か、要さま……っ!」

「ここが君の教室かぁ。質素だねー。ここら辺なんかひびが入っちゃってるじゃないか」

見知らぬ来客に、教室に残っている何人かのクラスメイトがこちらに視線を注ぐ。
それを背中でひしひしと感じている椿はただどうしようと思う。

⏰:08/09/01 02:06 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#359 [向日葵]
「椿、こちらは?」

要を初めて見る越が後ろの方から問いかける。

椿は恥ずかしくて黙っている。
しかし要はそんなのお構いなしに椿の頬に手を添えたと思うと、そのまま抱き寄せる。

「はじめまして。僕は椿のフィアンセです」

しばしの沈黙が流れた後、越が「あぁ、あの……」と言って納得してからすぐ他のクラスメイトが大声を出して驚いた。

「椿ちゃんフィアンセとかいたのー?」

「そんなの漫画とかの中だけだと思ってたよーっ!」

「やっぱり惹かれあったとか?」

「ちょっと待って……。あ!この人、ブランドのAKAの人じゃん!」

⏰:08/09/01 02:16 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#360 [向日葵]
するとまた教室は絶叫に包まれる。
少人数しかいないのに一体どこから声が出るんだろうと、椿は疑問に思う。

「あのブランド可愛いよねー!リーズナブルだし!」

「私もネックレス持ってるよー」

このままじゃ混乱を招かない、と言うかもう混乱気味だが、椿は要から離れて要を押す。

「なに椿?」

「と、とりあえず外へ出てくださいませっ!」

美嘉達が出てくる前にドアを閉め、要の手を引いて人気のない場所まで行く。
周りに人がいないか再度確かめ、ふうと一息つく椿に対し、要はどこか楽しそうだった。

⏰:08/09/01 02:23 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


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