ギンリョウソウ
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#361 [向日葵]
「女の子が騒ぐって面白いよね。しかも僕のブランドを知ってるなんて、いい子達ばかりだ」

「そ、それより要さま、どうしてここへ?」

「君の様子がおかしいと思ってね。電話より直接話した方がいいと思ったんだ」

微笑みを向けながらも、真剣な目で見つめるものだから、どこか気まずくなって椿はうつむく。

「ってか、メールで知らせたけど」

それに椿は驚き、また顔を上げた。

「見なかったの?まぁ学校だし、見にくいかなとは思ったけど」

⏰:08/09/01 02:28 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#362 [向日葵]
椿はそういえば2件メールがきていた事を思い出す。
携帯を開けば聖史の事を思い出しそうでずっとほったらかしにしていた。

そしてまた聖史の事を思い出せば、椿はうなだれていった。
その様子を見て、要は困った顔をする。

「えっと……来ない方が良かった?じゃあ今日は帰るよ」

「……っ!待ってくださいっ!!」

去って行こうとした要の腕に飛びつくように椿は要をひき止めた。
急な椿の行動に要は驚く。
そして椿も自分がした事に気づけばすぐにパッと離れた。

⏰:08/09/01 02:33 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#363 [向日葵]
恥ずかしくてそっぽを向く椿に、要は嬉しくて椿の頭を撫でる。

「珍しいね、ひき止めてくれるだなんて。そんなに会いたかったとか?」

「いえ、あの……っ」

「本当に……?」

髪の毛をよけて、要の手が頬に触れる。
触れられるだけで疼く甘い衝撃は要にだけしか起こらない現象だ。

しかしふとフラッシュバックのように昨日の出来事が目の中で見えれば、パシリと要の手をはたいていた。
動揺しながら恐怖に高鳴る胸を押さえて椿は少し後ずさる。

⏰:08/09/01 02:39 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#364 [向日葵]
「……どうかした?」

椿の態度に少し気分を害してそうな顔をする要に椿は焦る。

どうかしてる。
要と聖史が被るだなんて。
それによって要が傷つくだなんて、そんなのダメだ。

「か、要さまの手が、冷たくて……びっくりしたんです」

眉を寄せて、要は頬に自分の手をつけてみる。

「あ、本当だ。気づかなかった。でも君にはいいんじゃない?平均体温高いんだし」

笑ってくれた要はどうやら椿の嘘を信じたようだ。
少しホッとする。
あの出来事は絶対要に知られてはいけない。

⏰:08/09/01 02:43 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#365 [向日葵]
もうこれ以上、自分は誰も傷つけてはいけない……。

「あ、でさ、今日来たのは他でもないんだ。椿の様子だけじゃなくって、僕も用事があったんだ」

「あ、ハイ、なんでしょう?」

「ここで言う訳にはいかないからな。とりあえず家に来てくれる?」

要は少し歩き出してから振り向く。
椿はどうしたのかと首を傾げる。

「手くらいは、繋いでも平気?」

また離されるのが嫌なのか、わざわざ訊いてくる。
それも、遠慮がちに笑って。
そんな風に、少しずつ心の中を見せてくれるから、椿は要から目が離せなくなる。

⏰:08/09/02 01:33 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#366 [向日葵]
返事代わりに椿はおずおずと手に触れる。
控えめに手を握れば、要が代わりにギュッと握り返してくる。
自分より大きな掌や、長い指に、椿はドキドキした。

要の冷たい手が、心地よく感じる程、体温が上昇しているのにも気づく。

「椿が過ごしている学校の中を1度見て見たかったんだ」

少し顔を上げれば、まるで自分の母校に帰って来たかのように要は辺りを見渡していた。

「で、でも、要さまにはやっぱり質素に見えてしまうんでは……」

「確かにね。でも、アットホームな感じでいいじゃないか」

⏰:08/09/02 01:38 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#367 [向日葵]
温かい笑顔にホッとする。

要にはそうやって笑っていて欲しい。

椿は心からそう思った。

――――――――…………

「椿さまは何をお飲みになりますか?」

要宅に着いて、部屋に案内されると大久保が訊いてきた。

「仕入れたばかりの紅茶の葉があるだろう。それを出せ」

「それは要さまが飲みたいものでしょう?椿さまのお好みを訊きませんと」

まるで友人のように接する2人に、自然と笑みが溢れる。

⏰:08/09/02 01:43 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#368 [向日葵]
まるで自分とメイドの佐々木のようだと思う。
彼女は椿にとって母親のようでもあり姉のようでもある。

「私はじゃあキャンブリックティーをお願いします」

「かしこまりました」

大久保はお茶を淹れに部屋を出ていった。
そして改めて要の部屋の中を見れば、色々な資料の山で一杯だった。

「あ、あの……本当にお忙しくなかったのでしょうか?」

「忙しくないと言ったら嘘になるけど今日の用事は全て済ませたから」

要はスーツの上着を脱ぎ捨て、ネクタイを緩める。
そんな姿にもドキドキする自分がなんだか信じられなくて、椿は要が脱ぎ捨てた上着を拾って上着をかける場所にかける。

⏰:08/09/02 01:49 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#369 [向日葵]
その姿を、ソファーに座っている要がジッと見つめる。

「そうしてると、本当に奥さんになったみたいだね」

「え……」

椿は動揺してその場で硬直してしまう。

「そろそろ婚約を正式にしない?それとも、まだ君は迷ってる部分がある?」

椿は答えられずにいた。
要はそれを想定していたのか、ポケットから小さな箱を出す。

「あげる。開けてみて」

椿は指先を使って開けてみた。
開けてみて彼女は驚く。

⏰:08/09/02 01:53 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#370 [向日葵]
中には小さな椿がついた指輪が入っていたからだ。

椿は要を見る。
彼は穏やかに微笑むと、その指輪を手に取った。

「つけさせてくれる?」

椿はもちろんと思った。
思った一方で、つけて帰った時の自分を想像しているもう1人の自分がいた。

帰ったら聖史がいる。

要と聖史は正式にはまだ戦っている最中なのだ。
これをつけて帰った時、椿は自分が何をされるのかと恐ろしくなった。
そして要に何を話すのかも、不安になった。

⏰:08/09/02 01:57 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


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