ギンリョウソウ
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#457 [向日葵]
「でも……」
「そうか、椿、行こう」
立ち上がった要は椿の腕を楽しそうに引く。
立ち上がるしかない椿は手を繋がれて要に導かれるままに進んでいく。
「あ、あの、要さま……っ、美嘉ちゃんに片付けを押し付けるのはっ」
「本人がいいって言ってるんだ。今は婚約者との時間を楽しみたい」
笑顔でそう言われてはもう何も言えない。
繋いでる手から胸の内へとキュウッとした苦しさが起こる。
:08/09/19 02:10
:SO906i
:☆☆☆
#458 [向日葵]
美嘉と行った湖とは逆の、林の中へと進んで行った。
歩を進める度、葉がパキパキと割れる。
上を見上げればぽっかり空いた木と木の間から青空が見える。
「いい所だよね、ここ。僕は気に入ったよ」
「私も好きです。一番四季を感じれる場所ですから……」
「そう……。ところで、さっき大久保と何を話してたの?」
椿は瞬きを繰り返す。
要が真っ直ぐに見つめてくる。
要をよろしくと言われ、自分は迷いも何もなく頷いた。
今思えば、躊躇いもなくそうした自分が気恥ずかしかった。
:08/09/19 02:15
:SO906i
:☆☆☆
#459 [向日葵]
椿は唇を少し噛んで赤くなりながらうつむく。
そんな椿に痺れを切らした要は繋いでる手をぐいっと引っ張って顔を近づける。
「言えないの?僕に隠し事するんだ?君は」
明らかに苛立っている。
もしかして散歩に出たのはこうして問い詰める為だったのだろうか?
大久保や美嘉が止めないから要は問い詰め放題だ。
しかし椿は表情にこそ出さなかったがムッとした。
要だって人の事は言えない。
「か……要さまこそ……教えて下さいません……」
ギリギリ聞こえるくらいの小さな声で椿は反抗する。
:08/09/19 02:20
:SO906i
:☆☆☆
#460 [向日葵]
その言葉に要は怪訝な表情をする。
「僕は何も隠しちゃいないよ」
「……み、美嘉ちゃんと何か話してたじゃないですか……」
「あぁ……。あれ?…………。いいじゃないか。君には関係ない」
関係ない。
そう突き放されて、椿の胸の鋭い痛みが走る。
しかしおかしいと椿は思う。
椿が関係ないのなら何故椿は聞いちゃいけない?
やっぱり隠しているではないか。
そう思うから、更に反発心はつのるばかり。
:08/09/19 02:24
:SO906i
:☆☆☆
#461 [向日葵]
「なら……私と大久保さんの話も、要さまには関係がありません……」
要は眉間に寄せていたシワを更に深くし、目元を険しくさせる。
「なんだそれ……。僕は将来君の夫になるんだ!妻の事を全て知る権利があるっ!」
屁理屈にしか聞こえない。
これには椿もさすがに眉を寄せる。
「夫婦になるのでしたら、平等であるべきだと思います……っ」
「亭主関白と言う言葉が日本古来からあるのを知ってるだろ。それなら平等ではなく、妻は控えめであるべきだ」
:08/09/19 02:31
:SO906i
:☆☆☆
#462 [向日葵]
ますます気にいらなくて、椿は怒りながらも悲しそうな目をする。
「要さまは……なんで私と結婚するのですか……」
「え……?」
要は驚く。
椿は繋いでいる手をスルリと離すと、少しずつ後ずさる。
「要さまは私に我慢しなくていいといいました。なのに控えめでいろと……要さまがする事なす事何か気になっても我慢しろと、そういう妻になれとおっしゃるのですか……」
要は苦しげな目をすると、その目を瞑り、深呼吸をする。
「椿……僕はそういうつもりじゃない……。とりあえず冷静に……」
:08/09/19 02:35
:SO906i
:☆☆☆
#463 [向日葵]
「私はどうすればいいんですか……。我慢するなと言われたり我慢しろと言われたり……っ。要さまにとって私が何か、今は分かりません……」
その言葉に、要は表情を消す。
椿はハッとする。
言い過ぎだったと気づく。
「……分かった。勝手にしろ……」
要はそう言うと椿の横を通り過ぎて行った。
椿はどうしてか頭がくらくらする感覚に襲われる。
どうしてこうなるの……?
何を言ってるの私は……。
椿は自分を責める。
その場に座り込んで、長く、苦いため息を吐く。
:08/09/19 02:40
:SO906i
:☆☆☆
#464 [向日葵]
恥ずかしがってないで言えば良かった。
そうしたらこんな喧嘩にならずに済んだのに……。
椿は振り向く。
要の姿はもうない。
今帰るのは気まずいから、もう少し外にいようと椿は決める。
そういえばと思い出した事がある。
この道をもう少し進めば、確か公園がある。
そこで時間を潰せばいい。
椿は林を更に奥へ進んで行った。
――――――――…………
乱暴にドアが閉められる。
:08/09/19 02:43
:SO906i
:☆☆☆
#465 [向日葵]
それに気づいた大久保はリビングから出てくる。
そしてキョトンとした。
「随分お早いですね。それに椿さまは……」
「知らない。そこら辺歩いてるんじゃない?」
「そんな適当な……」
リビングのソファにドカリと座り、足を組んで目を瞑る。
苛立ちを早く抑えて、椿の元へ行ってやらないと。
じゃないと彼女はずっと自分を責めたままだ。
独占欲にかられるせいで彼女にひどい言葉を吐かさせてしまった。
[要さまにとって私が何か、分かりません……]
:08/09/19 02:48
:SO906i
:☆☆☆
#466 [向日葵]
>>456誤]お気に入りするだろ
正]お気に入りにするだろ
:08/09/19 02:50
:SO906i
:☆☆☆
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