ギンリョウソウ
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#511 [向日葵]
「あなたのせいでは……。それに椿は、あなたの事を本当に尊敬しています」

(要さんは優しいのね……。あの子が好きになる筈だわ……)

要は少し照れてから、まっすぐ彼女を見つめる。

どうしても、確かめたい事があったのだ。

「僕が、椿と結婚する事を許して頂けますか?」

椿は自分は要と結婚してもいいのかと問うてきた。
要は構わなかった。
椿がそばにいてくれるのならと。
ならば自分は?

最初は不純な動機で交わした約束。
そのまま気持ちを重ねて婚約したが、自分こそ、椿と結婚してもいいのかと思い始めた。

⏰:08/10/15 01:30 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#512 [向日葵]
あまりに、自分は勝手すぎたかもしれなかった。

椿の母は、微笑んでいるが真剣な顔つきになる。
そしてゆっくり口を開く。

(駄目よ)

要はズキンと胸を痛める。
しかしここで引き下がる訳にはいかない。
どう考えても自分は椿とは離れたくないからだ。

「認めて頂けないなら……認めて頂けるよう成長します」

その答えを聞いた彼女は微笑みを深くして要に近づいてくる。
近づけば更に彼女の姿が分かった。

幽霊の筈なのに、触れられそうだ。

⏰:08/10/16 21:39 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#513 [向日葵]
(冗談よ)

彼女は片目を瞑ってみせる。
要は何が何だか分からなくて間抜けな顔になってしまった。
そんな彼の表情を面白そうに笑ってから椿の母は更にもう1歩要に近づく。

(椿が求めている相手を私が否定する訳ないじゃないですか。……いいえ、椿には要が必要です。だからそばにいてあげて下さい)

微笑んでいても、母が椿を思う気持ちはひしひしと伝わってくる。
要は神妙に頷き、頭を深々と下げる。

「大切にします」

少し間をおき、楽しそうに「フフ」と笑う声が聞こえた。
要が頭を上げた時には、そこには椿の母の姿はなく、彼ただ1人になっていた。

⏰:08/10/16 21:45 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#514 [向日葵]
――――――――…………

別荘に帰れば、リビングに美嘉と大久保がテレビを見ていた。

それを一目見てから要は階段を上がる。
ゆっくりと椿の部屋に入れば、ベッドの上で椿は体を起こしていた。

「椿っ」

「あ……要さま……」

「まだ寝てなきゃ駄目だろ」

肩を掴んで寝かせようとする要の手に自分の手を重ねて椿は拒否する。

「あの、それが……熱は下がったみたいで……」

⏰:08/10/16 21:50 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#515 [向日葵]
強がりを言ってるのかと疑った要は椿の額に手を当てる。
本当に熱が下がっている。
その理由はさっき会った椿の母のおかげなのでは?と思ってしまう。

そう思えばさっきは貴重な体験をしたなと思った。

「椿、君のお母様は綺麗だね……」

ベッドに腰かけた要は呟くように言った。
椿は少し首を傾げるも、不思議そうな顔はしなかった。

「さっき、会ったんだ……」

そこで椿は驚いた顔をする。

「わ、私も……っ」

⏰:08/10/16 21:54 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#516 [向日葵]
「え?」

「夢かどうかわからなかったんですが、ひんやりした母の手が私のおでこに触れたら熱がひいていったのです」

すると椿の目から、涙が溢れはじめる。
ポロポロと落ちる涙を気にする事なく、椿は柔らかく微笑む。
その顔が、彼女の母にそっくりだと愛おしいそうに要は目を細める。

「お母様……」

要は椿の肩を抱き寄せる。

「僕も、お会い出来て嬉しかった。僕達を認めて下さるとおっしゃってくれたよ」

「そうですか……」

⏰:08/10/16 22:01 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#517 [向日葵]
要に身を任せる椿に愛おしさが増す。
気がつけば、彼の手は椿の濡れた頬に触れていた。
導かれるように椿は顔を上げる。

静まりかえって聞こえる音は、どちらの鼓動だろう。

そんな事をぼんやり考えながら、ゆっくりと顔を近づけ、唇を寄せる。
柔らかく触れれば、椿は少し体を硬直させるも抵抗はしなかった。

離れて間近で見る彼女の顔はみるみる赤くなっていく。
そんな椿に、つい自分までもが赤くなった要は、顔を隠す為に椿をギュッと抱き締めた。

彼女の髪から香る匂いが、またドキドキさせる。

⏰:08/10/24 00:12 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#518 [向日葵]
「……もう怖くなくなった?」

「え……」

「あの人の1件があったからさ……」

聖史の事だ。
椿には辛い記憶。
嫌がる彼女の唇を2度も無理矢理に奪い、要自身も椿に酷い事をした。

そう思えば、照れ隠しに自分から言ったものの、歯をぐっとくいしばる。

「恐くは……ないです。でも……恥ずかしいです……。だから……」

椿は離れると要の少し苦しそうな顔を見てフワリと笑う。

⏰:08/10/24 00:17 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#519 [向日葵]
「そんな顔しないで下さい。私分かった事があるのです。恥ずかしいのは、きっと、要さまへの気持ちを触れられる度再確認して、くすぐったくなるからですわ」

まっすぐに見つめて、優しげな目が凛とするから、要はハッとして、そして微笑む。

母親と、同じ顔をする。

「ならね、もう1度、くすぐったい思いしてくれるかな……?」

両手で椿の頬を包んだ要は、また彼女の唇に触れる。

自分も、椿への気持ちを再確認するように……。

⏰:08/10/24 00:22 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#520 [向日葵]
[第12話]

今日は見事な晴天だと思いながら、美嘉はバルコニーへ出て背伸びをする。

寒い空気は寝起きの体には丁度良い。
体の中からリフレッシュするようだ。

「おはようございます」

背伸びの格好のまま後ろを振り返れば、もう完璧に着替えた要の従者がいた。

名前はなんだったか……。

目元のほくろが少しいやらしいなと思うが、本人はとてもいい人なのであまり気にしない。

「おはようございまっす。いい天気っすねぇ!」

⏰:08/10/24 00:29 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


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