ギンリョウソウ
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#521 [向日葵]
従者はニコニコして頷く。
「お体を冷やしますから、そろそろ入ってはいかがですか?」
美嘉は一瞬キョトンとするとアハハハと笑い出した。
すると今度は従者の方がキョトンとした。
「美嘉を気遣うなんて無駄ですよ。美嘉この17年間風邪引いた数なんて片手で足りちゃうんですから」
それにそうやって気遣うのは椿や越、家族の他にはいた事がない。自分がボーイッシュな性格と外見をもちあわせているのは理解してるし、女扱いされたいだなんて願望さえ持った事はなかった。
だから従者の一言はとても珍しいものだった。
:08/10/24 00:34
:SO906i
:☆☆☆
#522 [向日葵]
「でも朝ごはんの用意しなくちゃですし、中に入りますよっ」
軽い足どりで中に入れば、外よりかは幾分暖かい。
しかし寒いのは嫌いではないので後で散歩にでも出掛けようかと考える。
するて肩に暖かさが宿る。
フワリとした感触は毛糸で編まれた美嘉のカーディガンだった。
さっき外へ出るまではおっていたが、朝早くの空気を楽しみたくてソファーにかけておいたのだ。
それを従者がかぶせてくれた。
「私もお手伝いさせて頂きます」
にこりと笑うその顔は、大人の男性を感じさせるものだった。
:08/10/24 00:40
:SO906i
:☆☆☆
#523 [向日葵]
―――――――――…………
「クリスマスを一緒に過ごせない?」
起きてしばらくしてから要が椿に話をした。
どうやら彼が隠したかったのはこの事らしかった。
恋人(婚約者)となって初めて過ごすクリスマスなのに、要は仕事で年始まで海外へまた行かなければならなかった。
その事実を知れば、椿が悲しんでしまうのではないかと思った要はもう少ししてから話すつもりだったらしい。
「それをどうして美嘉ちゃんにまで口止めなさってたのですか?」
美嘉が知る必要もないだろうに。
:08/10/24 00:45
:SO906i
:☆☆☆
#524 [向日葵]
:08/10/24 00:46
:SO906i
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#525 [向日葵]
:08/10/24 00:47
:SO906i
:☆☆☆
#526 [向日葵]
「彼女にクリスマスはどうするのか言われて、ありのまま話したんだ。話し終わってからもし君の耳に届いたら駄目だと思ってね」
なるほど、と椿は相づちをうつ。
と同時に、そこまで自分を想ってくれる要が嬉しかった。
そろそろ自分も下へ降りて、朝食の準備をと、椿はドアに歩み寄る。
しかし、それは要によって遮られる。
「待って」
椿の前に立ち、ドアを背にして通せんぼする。
危うく要にぶつかりそうになった椿は慌てて距離をとる。
要を見上げれば、意地悪くニヤリと笑っている。
:08/10/30 15:48
:SO906i
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#527 [向日葵]
少し不安になり、困ったように眉根を寄せる。
「僕の隠し事は話した。さて、君の隠し事は、一体何なのかな?」
あ、と椿は目を見開く。
指を組み合わせて落ち着きなく少し体を揺らす。
「そ、その、えと……昨日言ったような話だったんです」
「昨日?何を話したっけ?」
「えと、要さまが好きと再確認してしまうと、こそばゆくなるとか」
「あぁ、それが大久保とどう……?」
まったく結びつく気配がないので要は宙を見て考える。
:08/10/30 15:54
:SO906i
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#528 [向日葵]
椿はその時の会話を話す。
やがて要は「あぁ」と言い、おかしそうに笑う。
「君の恥ずかしがる度合いが分からないよ」
椿が赤くなってうつむけば、要は彼女の腕を引き腕の中に閉じ込める。
「そんなだから、君を手放す事が出来ないんだろうけどね」
穏やかな口調に椿は胸が高鳴る。要を見上げれば、口調と同じくらい穏やかな笑みを向けていた。
自然に顔が近づいてくる……。
「ラブラブ中にごめんねーっと」
要がおさえていた筈のドアをいとも簡単に美嘉が開く。
:08/10/30 16:00
:SO906i
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#529 [向日葵]
おさえていた要は弾かれ椿と共に転ぶ。
幸い椿は要が咄嗟に庇ったので体が痛くなる事は無かった。
「君はノックも出来ないのか……」
「ノックしただけじゃ無視しそうな雰囲気だったから。当たってるんじゃない?万年発情男くん」
にっこり笑う美嘉をムスリとしながら睨みつける。
彼女が言ってる事をあながち否定出来ないからだ。
美嘉は椿だけに手を貸して立たせてやる。
「ご飯出来たよ。降りてらっしゃいな」
―――――――――…………
運動部的な見た目や性格だから料理ももっとすごいものだと勝手な想像をしていた要や大久保は朝食を見て驚く。
:08/10/30 16:07
:SO906i
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#530 [向日葵]
トーストにスクランブルエッグ、控えめにあるベーコン、ちぎったレタスのサラダには綺麗に三日月型に切ったトマトがそえられ、寒い体を温める野菜スープまでもがある。極めつけはフルーツが入ったゼリー。
これは昨日夜に作ったのだとか。
「僕、黒こげになった料理しか出てこないか、もっと雑なものが出てくると思った」
美嘉をじっと見ながら言う。
昨日の夕食は大久保が作ったもので、美嘉は手伝いしかしていなく、その実力を見る事は無かった。
「あのね、美嘉はこう見えて料理が好きなの。学校のお弁当だって毎日自分で作ってるんだから」
:08/10/30 16:14
:SO906i
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