ギンリョウソウ
最新 最初 🆕
#565 [向日葵]
要はガバリと起きた勢いのまま椅子の背もたれに深くもたれる。
深呼吸して目を閉じれば今までの疲れが一気に押し寄せてきたかのように体が重く感じる。

ゆっくり目を開けて、机に置いてある携帯を開く。

--受信メール-
<from 椿>

お声を聞きましたら、とてもお疲れのように感じました。
無理をなさってはいませんか?

栄養があるものをお食べになって、少しでも元気になって下さいね。

-end-

一昨日届いた、椿からのメール。

⏰:09/01/10 00:12 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#566 [向日葵]
携帯をパキンと閉じて、彼女を思い出す。

もう一週間も会ってない。
すぐ会えないだけあって、離れてしまえばこんなに恋しくなるのかと、要はまたため息をつく。
そろそろ椿欠乏症だ……。

少しでも力を入れたら折れそうな体を抱き締めたい。
照れながらも微笑んでくれる可愛らしい椿が見たい。
受話器越しじゃない彼女の声が聞きたい。

「会いたいって言ってくれれば、すっ飛んで行くのに……」

「思考まですっ飛んでいかないよう早く横になって下さいね」

緑茶を持ってきた大久保がにっこり笑って部屋に入ってきた。

⏰:09/01/10 00:18 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#567 [向日葵]
「お前も妻を持てば分かるよ。どれほど離れているのが歯がゆいか」

「はいはい。早く飲んで下さいませね。要さまが寝るまで私は見張っておきますから」

聞いちゃいないなと思いながら、要は緑茶をすする。
久々の日本の味は、香りだけでも安らげる。
そのせいか、瞼が自然に下がりそうになる。
全部飲んで、重たい足取りでベッドへ行き、ダイブする。

「ちゃんと布団をかぶって下さい」

丁寧に要の体にふかふかの布団をかぶせる。
要は「んー……」と言いながら枕に顔を埋める。

⏰:09/01/10 00:24 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#568 [向日葵]
「大久保……」

「何です?」

「椿に会いたい……」

大久保はクスリと笑う。

どうやら主人の疲れを取ってくれるのは、愛すべき椿だけらしい。

「あっという間に、会えますよ」

と言う頃には、要は寝息を立てて深い眠りについてしまった。

―――――――――…………

「どこもかしこもイルミネーションイルミネーション……イルミネーション!!」

⏰:09/01/10 00:27 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#569 [向日葵]
駅前で美嘉は騒いでいた。

クリスマスが近い今日この頃。
街はクリスマスの雰囲気を漂わせ、大きなツリーや色とりどりのライトが設置され綺麗に光っていた。

しかし、このワクワクするようなソワソワするような空気を皆が好むのかと言ったらそう言う訳ではないのだ。

「日本は仏教なんでしょー!?じゃあクリスマスなんてしなくていいじゃん!なんでわざわざ独り身が辛い目にあうような事すんのさぁ!」

近くにいた越と椿に美嘉は訴える。
が、二人とも恋人がいるので訴え甲斐がない。

⏰:09/01/10 00:33 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#570 [向日葵]
だから美嘉そのどうしようもない怒りをわめき散らす事で解消しようとしている。

「で、でも美嘉、私クリスマス柴とどこか出かけるとか予定ないよ。だから一緒に買い物でもしようよ」

「わ、私もです、美嘉ちゃん……」

焦ってフォローするも、美嘉の機嫌は治らず、とりあえずどこかファーストフード店に入る事にした。

「なによなによ……どうせ二人ともいずれは美嘉より恋人を選ぶんでしょ……」

ジュースを頼んでから席についた。
美嘉は完全に気分が落ちていた。

⏰:09/01/10 00:39 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#571 [向日葵]
*アンカー*
>>472

*感想板*
>>504

⏰:09/01/10 00:40 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#572 [向日葵]
もう越と椿は苦笑いするしかない。

「体育祭とかならあんなに元気な美嘉のくせにぃ……」

「それとこれとは違うーっ」

ふと考えて、椿は口にしてみた。

「美嘉ちゃん。要さまのお宅でクリスマスパーティーをやるそうですが、一緒に行きませんか?」

「へ?アイツ海外にいんのに?」

「妹さんでいらっしゃいます唯子さまが、お誘いしてくださいまして……。もちろん、要さまは、いらっしゃいませんけれど……」

ふと見せた寂しげな椿の笑顔に、美嘉はなんとも言えず、拗ねて曲げていた背筋をしゃんと伸ばした。

⏰:09/01/19 00:32 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#573 [向日葵]
そして、しまったとバツが悪そうに頭をポリポリとかく。
ただでさえ、最近の椿は元気ないのに、自分が支えなくてはと思っていたのに、と。

「パーティーは夜?」

「はい」

美嘉が乗り気になったのを感じとった椿は顔を綻ばせる。

「じゃあそれまで、二人には美嘉の相手してもらおっかなー」

ようやく機嫌がなおったと、椿たちは笑う。
笑ったところで、椿の携帯が震えた。
美嘉たちに断った椿は、トイレ近くの静かな場所へ移動した。

ディスプレイを見て、椿は心を躍らせる。

なにせ2日ぶりだから。
声を咳払いして整え、深呼吸してから通話ボタンを押す。

⏰:09/01/19 00:38 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#574 [向日葵]
「も、もしもし」

{久しぶりだね。元気だった?}

自然と口が笑みを作る。
携帯を握る手に、少し力が入ってしまうのを椿は自覚していなかった。

「はい」

{そういえば、電話に出るの少し時間あったけど、電話しても大丈夫だった?}

「大丈夫です」

{まさか浮気中とかじゃないよね?}

意地悪な質問。
そんな事、椿がする訳がないのに。

⏰:09/01/19 00:43 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


★コメント★

←次 | 前→
↩ トピック
msgβ
💬
🔍 ↔ 📝
C-BoX E194.194