ギンリョウソウ
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#575 [向日葵]
椿は半ば意地になる。
「してませんっ」
予想通りの返事に満足したのか、要はクスクス笑っている。
椿はそんな意地悪な質問をする要すら恋しく思う。
そういえば、なんだか元気そうだ。
「……要さまこそ、今はお時間大丈夫なんですか?」
{ああ。ちょっと仕事が一段落したからね。それはそうと、気にならない?}
「何がですか?」
{この二日間、僕が連絡しなかった訳}
:09/01/19 00:47
:SO906i
:☆☆☆
#576 [向日葵]
「え?お忙しかったから……では……?」
少し間をおいて、また要がクスクス笑っているのが聞こえた。
どうして笑われているのか、椿には分からない。
「要さま?」
{なるほど。僕をちゃんと信じてくれてるんだね}
「は……はあ……?」
{浮気してるんじゃないかとか心配じゃないの?}
またその話かと、椿は少し眉を寄せる。
「魅力的な方がいるなら……私は……」
拗ね気味に言ってみる。
:09/01/19 00:52
:SO906i
:☆☆☆
#577 [向日葵]
しかしそんな事を言われて困ったのは要の方だった。
{いない!いないから、婚約解消とか言わないでよねっ!}
あまりの焦りっぷりに、今度は椿が笑い出す。
しばらくして、要はため息をついた。
{本当……僕は君が大好きみたいだよ}
そんな事を言われてしまっては、胸が苦しくなる。
苦しくなるせいで、心にしまっておかなければならない椿のわがままな気持ちが、言葉となって出てしまう。
「……会いたい」
:09/01/19 00:56
:SO906i
:☆☆☆
#578 [向日葵]
自分が何を言ったか認識するまで、椿はぼんやりしていた。
{……椿?}
そして要の呼びかけにハッとして、ようやく自分が何を言ったか分かってしまえば、混乱してしまった。
「あ、いえ、あのっ、何もないですっ。か、要さまもお体にお気をつけてっ。では……っ!」
要の返事も待たずに、椿は電話を切ってしまった。
携帯を両手で握りしめ、額にあてる。
何を言ってるんだ……。
叶いもしない願いを言って、要を困らせてどうするつもりだ。
椿は自分が恥ずかしくなった。
:09/01/19 01:00
:SO906i
:☆☆☆
#579 [向日葵]
要がすごい人で、忙しくて大変な事は誰よりも知っているのに。
あんな、馬鹿な事を言ってしまうなんて。
きっと、要はあきれている。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
要は瞬きを繰り返していた。
あの椿が……会いたいと言った……。
言ってくれた……。
今、要がどれほど面白い顔をしてるか分からないのだろうなと、書類整理をしている大久保は要を見ながら笑いそうになっていた。
「要さま、何かありましたか?」
笑いをこらえる為に、声をかける。
:09/01/19 01:06
:SO906i
:☆☆☆
#580 [向日葵]
「椿が……会いたいって……言うんだ」
「それはそれは……。会わねばなりませんねぇ……」
かと言って、この多忙スケジュールだ。
要が動ける訳がない。
「そうだね」
しかしニヤリと笑った要は、どこか余裕そうだった。
―――――――――…………
時が経つのは早いもので、あっという間にクリスマスイブになった。
天気予報はホワイトクリスマスになるだろうとロマンチックなクリスマスである事を告げていた。
:09/01/19 01:10
:SO906i
:☆☆☆
#581 [向日葵]
しかしそんな事とはうらはらに、椿はクリスマス前より気分が落ち込んでいた。
何故なら最近要と連絡がとれていないからだから。
しかし抜かりがない彼は椿が気にしないようにと「しばらく忙しいから連絡出来ない」と一報いれてきた。
いれてくれたが、椿は逆にそれを気にしていた。
前に子供っぽいわがままを言ってしまったから、要がうんざりしているんではないかと。
要の気持ちはちゃんと分かっているから、婚約解消なんて大袈裟な事はしないだろうけど、もしかしたら少しだけ気持ちが離れてしまったかもと思ってしまう。
:09/01/19 01:15
:SO906i
:☆☆☆
#582 [向日葵]
「お嬢様」
ノックと共に、メイドの佐々木が椿に呼び掛けた。
ハッとして、椿はすぐに返事を返した。
「待ち合わせの時間になります。早くお車にお乗りくださいませ」
壁にある時計を見れば、美嘉たちと待ち合わせる時間が迫っていた。
慌ててコートを羽織り、部屋を出ていく。
出て行こうとして、見送りをと後ろについてきている佐々木を振り返る。
「私、いつもと変わりませんか?」
「はい。大丈夫ですよ」
:09/01/29 02:10
:SO906i
:☆☆☆
#583 [向日葵]
なら良かった。
顔に出てしまえば二人が心配してしまう。
ここ数週間、元気がない自分を励まそうとしてくれてたのは知っているから、椿はこれ以上迷惑はかけられないと、佐々木にわざわざ訊ねたのだ。
次に会うとき、要はどんな顔をして自分と会ってくれるのか。
椿は楽しみでもあり、怖くもあった。
――――――――…………
「さすがクリスマス……。どこもかしこも混みすぎねー」
美嘉は入ったデパートの中を見て言った。
友達、親子、恋人、夫婦、家族。様々な年齢層の人たちがごった返している。
:09/01/29 02:15
:SO906i
:☆☆☆
#584 [向日葵]
「他に行くとこなんかいっぱいあるだろうに……」
早くも美嘉の心は荒みつつあった。
「で、でも、やっぱり街が華やかなのは、何て言うか、テンションが上がるよね!」
急いで越がフォローに入る。
外は段々と曇ってきて、天気予報通りホワイトクリスマスになりそうだった。
そのせいか、今年のクリスマスは、例年よりも皆浮き足立ってる。
「まったくたまったもんじゃないわねっ!」
:09/01/30 00:52
:SO906i
:☆☆☆
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