ギンリョウソウ
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#590 [向日葵]
右から受話器ごしの要の声。
そして左からは……。

後ろから抱き締められてるから、腕だけしか分からない。
それでも、ちゃんとここにいると実感できるが、夢のようだとも感じる。

思わず携帯を落としてしまう。

「要……さま……」

ゆっくりと振り返れば、大好きな人がそこにいて、柔らかく微笑んでいた。

「ただいま。寒いね今日は」

少しだけしか、会っていなかったかのような会話。
だからか余計に苦しくて、椿は要に抱きつく。

⏰:09/01/30 01:22 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#591 [向日葵]
さっき考えてた事なんて、まったく意味がなかった。

ただ彼を感じたくて、無我夢中で彼の胸に頬を寄せ、腕にありったけの力を込める。

「嬉しいな。こんな歓迎の仕方をされるだなんて」

椿は何も言わない。

「椿、顔をよく見せてよ」

椿は首を横に振った。
要はおかしそうに笑った。

「泣いてるのが恥ずかしい?」

言われて、彼女の肩がピクリと反応する。
要は椿の頬に手を触れて、上を向かす。

⏰:09/01/30 01:27 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#592 [向日葵]
上を向いた椿の瞳と頬は濡れ、顔は寒さと泣いてる為によるもので淡く赤くなっていた。

要が目を細めて笑みを深くすると、椿の目から更に涙が流れた。
それは止まる事を知らない。
瞬きをする度、彼女の目から、またいくつも滴が流れる。
要はそれを指で拭う。

「かな……め……さま……」

「会いたがってくれて嬉しい。僕も、会いたかったから」

その言葉に、寄せていた眉を少し緩めた椿の表情は、彼が意外な事を言ったとでも言うようだった。

「あきれて……ないのですか……?」

「あきれる?どうして」

⏰:09/01/30 01:32 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#593 [向日葵]
>>589

×ゆっくり話をしようー
○ゆっくり話をしよう。

⏰:09/01/30 01:47 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#594 [向日葵]
「あ……あんな、わがままを言ってしまったから……」

「わがまま?」

要はまだ分からないのか眉を寄せる。
椿は恥ずかしくて、ほんの少しだけ要から距離をおく。

「あ……会いたいって……言ってしまったこと……」

あまりに恥ずかしくて、椿は顔を両手で隠した。
一方、要はなんだか信じられない気持ちで椿を見つめていた。

椿がそこまで自分を想ってくれているのが、どこか夢のようだからだ。
それでも、すぐにそんな彼女にいとおしさを感じて、柔らかく微笑む。

⏰:09/02/05 01:12 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#595 [向日葵]
「そんな可愛いわがままなら、もっと言ってよ」

椿は少しだけ顔をあげる。

「なんでも言ってよ。誰にも言えない君の本音や弱音は、僕が全部受け止めたいんだ」

離れて分かった事が、椿も要もたくさんあった。
離れなきゃわからないなんて、まだまだ未熟かもしれない。
だからこそ、誓わなきゃいけない事がある。お互い、共に成長していく為に。

「君が僕を支えてくれて、そばにいてくれるなら、僕も支えて君を守るよ。何もかもから」

「要……さま……」

椿は目を見開く。

⏰:09/02/05 01:18 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#596 [向日葵]
「それにね、嬉しいんだ。椿がそうやって僕を想ってくれる事が。少なくとも、僕だけがって訳じゃないってことでしょ?」

また椿の顔が一段と赤くなる。
要はうつむこうとした椿の顔を包んで、上を向かす。

「会いたいって言えたなら、言えるよね?」

「え……?」

「僕が好きって」

「え……ええっ!?」

すごく驚いた椿の顔を初めて見た要は、おかしそうに笑う。
そんな要をよそに、いきなり「告白してみろ」と言われた椿は、ただうろたえるばかり。

⏰:09/02/05 01:22 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#597 [向日葵]
後ずさろうとする椿を逃がさないように、要は椿の背中に腕をまわす。
幸いこんなにも寒いし、クリスマスというイベントのおかげもあって、人通りがないのが救いだ。

てなければ椿は今の状態ですでにうろたえていただろう。

「ほら、早く」

真っ赤な椿に、要は意地悪な顔つきで笑う。

「は……はい……っ!」

胸の前でギュッと手を握り合わせて、少しの緊張に小刻みに震える。
深呼吸を何度も繰り返して、目をギュッと瞑る。

「……お、お慕い、して……います……」

⏰:09/02/05 01:28 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#598 [向日葵]
しばらくの間の後、要が椿の方に頭を置いた。
ギュッと瞑っていた目をそろりと片目ずつ開けた椿は、要を見る。

「要さま……」

名前を呼べば、要は頭を小刻みに震えさせた。
そして段々と、クククと笑い出す。

「お慕い……。そうだよね、丁寧な物言いする君が、好きだとか愛してるだなんて言わないんだよね……」

何がツボだったかはわからないが、要は大声で笑うのを抑えるかのように喉の奥でずっと笑う。
椿は精一杯の気持ちを精一杯伝えて笑われているのに、まったく嫌な気分はしなかった。

⏰:09/02/05 01:34 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#599 [向日葵]
穏やかに要をみつめる。
そして改めて思う。

この人を好きになって、本当に良かった。

椿の視線に気づき、ひとしきり笑い終えた要は微笑む。
また椿の顔を手のひらで包んで、顔を近づければ、何をされるか分かった椿は視線を泳がせながら戸惑う。

「人はいないし、大丈夫だよ?」

「は……はい……」

要の行動を制御するのはおそらく無理なのだろうと思った椿は素直に返事する。

うつむきがちな椿は、また目をギュッと瞑る。
顔が近づく気配を感じれば、体が緊張でまた固まる。

⏰:09/02/05 01:40 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


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