ギンリョウソウ
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#580 [向日葵]
「椿が……会いたいって……言うんだ」

「それはそれは……。会わねばなりませんねぇ……」

かと言って、この多忙スケジュールだ。
要が動ける訳がない。

「そうだね」

しかしニヤリと笑った要は、どこか余裕そうだった。

―――――――――…………

時が経つのは早いもので、あっという間にクリスマスイブになった。
天気予報はホワイトクリスマスになるだろうとロマンチックなクリスマスである事を告げていた。

⏰:09/01/19 01:10 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#581 [向日葵]
しかしそんな事とはうらはらに、椿はクリスマス前より気分が落ち込んでいた。

何故なら最近要と連絡がとれていないからだから。
しかし抜かりがない彼は椿が気にしないようにと「しばらく忙しいから連絡出来ない」と一報いれてきた。

いれてくれたが、椿は逆にそれを気にしていた。

前に子供っぽいわがままを言ってしまったから、要がうんざりしているんではないかと。

要の気持ちはちゃんと分かっているから、婚約解消なんて大袈裟な事はしないだろうけど、もしかしたら少しだけ気持ちが離れてしまったかもと思ってしまう。

⏰:09/01/19 01:15 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#582 [向日葵]
「お嬢様」

ノックと共に、メイドの佐々木が椿に呼び掛けた。
ハッとして、椿はすぐに返事を返した。

「待ち合わせの時間になります。早くお車にお乗りくださいませ」

壁にある時計を見れば、美嘉たちと待ち合わせる時間が迫っていた。
慌ててコートを羽織り、部屋を出ていく。
出て行こうとして、見送りをと後ろについてきている佐々木を振り返る。

「私、いつもと変わりませんか?」

「はい。大丈夫ですよ」

⏰:09/01/29 02:10 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#583 [向日葵]
なら良かった。
顔に出てしまえば二人が心配してしまう。

ここ数週間、元気がない自分を励まそうとしてくれてたのは知っているから、椿はこれ以上迷惑はかけられないと、佐々木にわざわざ訊ねたのだ。

次に会うとき、要はどんな顔をして自分と会ってくれるのか。
椿は楽しみでもあり、怖くもあった。

――――――――…………

「さすがクリスマス……。どこもかしこも混みすぎねー」

美嘉は入ったデパートの中を見て言った。
友達、親子、恋人、夫婦、家族。様々な年齢層の人たちがごった返している。

⏰:09/01/29 02:15 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#584 [向日葵]
「他に行くとこなんかいっぱいあるだろうに……」

早くも美嘉の心は荒みつつあった。

「で、でも、やっぱり街が華やかなのは、何て言うか、テンションが上がるよね!」

急いで越がフォローに入る。
外は段々と曇ってきて、天気予報通りホワイトクリスマスになりそうだった。
そのせいか、今年のクリスマスは、例年よりも皆浮き足立ってる。

「まったくたまったもんじゃないわねっ!」

⏰:09/01/30 00:52 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#585 [向日葵]
とりあえず買い物をしに向かう。

雑貨屋さんなどはやっぱり人が多くて、選びたくてもゆっくり選ぶ事が出来ない。

要はどんな物が好きだろう……。

ふとそんな事を思えば、要の事が頭から離れたくなくなった。

我が儘を言って、きっとあきられた。
それがショックで仕方がない。

それでも……。

写真たてを何気に持っていた椿の手に、滴がぽたりと落ちる。

我が儘を言ってしまう程、会いたい。
溢れ出す気持ちが、コントロールする事が出来ない。

⏰:09/01/30 00:58 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#586 [向日葵]
あきれられてももう何でもいい。
何か、要と繋がる為にしたい。

そう思った椿は、メールをしようと携帯を開いた。
と、同時に、携帯が鳴り出す。
驚いた椿は思わず手から携帯を落としそうになってしまった。

ちゃんと持って、安堵のため息を吐いてからディスプレイを見て、椿は息が詰まりそうだった。

「も……っ、もしもし」

{椿、今君どこにいるの?}

要だった。

いても立ってもいられず、美嘉たちに慌てて事情を言った椿は、美嘉たちの返事もそこそこに走り出す。

⏰:09/01/30 01:04 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#587 [向日葵]
白い白い、綿のような雪が舞いはじめていた。
いつも以上に息は白く、寒い空気が喉を刺激する。
咳き込みそうになるのもお構いなしに、椿は走る。

「今、駅前のデパートで、今から、帰ります……っ」

{急がなくても、僕も移動中だよ。だから椿、無理して走ったら体に触る……}

「いいんです……っ!」

息を弾ませて喋る椿に、受話器の向こうで要はハッとした。

「体なんて、気にしてる場合じゃないのです……っ」

そんな椿をいとおしく思い、要はそっと笑う。

⏰:09/01/30 01:08 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#588 [向日葵]
{分かった……。僕も出来るだけ早く行くよ}

そう言って、電話を切った。

椿は自分の足を出来るだけ早く動かす。

早く、早くと……。

―――――――――…………

自分の家に帰ってきた椿は、門の鉄格子を握って息を整える。

鉄格子は冷たい筈だが、最早そんな感覚すらないぐらい椿の手の方が冷たくなっていた。

心臓がうるさい。
走ったせいでもあるが、それ以上に会えると言う喜びが大きい。

ちゃんとじっとしていないと、周りから怪しまれるのに、そわそわして、そこらを行ったり来たりしてしまう。

⏰:09/01/30 01:13 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#589 [向日葵]
椿は要に会った時の事を考える。

まずは、おかえりなさいと言おう。
それから寒いから家に入ってもらって、ゆっくりと話をしようー
もしかしたら要宅でやるパーティーに要も行けるかもしれない。
そしたらもっといっぱい一緒にいれるかもしれない。

と、携帯が鳴った。

「も、もしもし椿です」

{分かってるよ}

笑ってる彼の声が近くに感じる。
もうすぐ会えると分かってるせいだろうか。

「今、どの……」

「どのあたりですか」と訊ねようとした時、椿は何かに包まれた。

「君のそばだよ」

⏰:09/01/30 01:18 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


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