ギンリョウソウ
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#617 [向日葵]
ノックもせず、大久保が教えてくれた要の作業部屋に、美嘉は乗り込む。
本人が駄目なら本人以上に椿の性格を分かっている要に直談判。
行動派の美嘉はそう考えた。
なんの前触れなしに乗り込んできた美嘉に、要は慣れたのか「ああ君か」と呟き、また資料に目をとおす。
「ちょっとちょっと!紙なんか読んでる場合じゃないの!」
「椿の事なら分かんないよ」
先に訊きたい事の答えを言われた美嘉は、要に向けて歩いていた足をぴたりと止めた。
「え、そうなの?」
:09/02/22 12:19
:SO906i
:☆☆☆
#618 [向日葵]
紙を机に置いた要は、ため息をついた。
「当たり前だろ。分かってるなら何かしてる」
「じゃあ、なんで何もしないの」
「美嘉も知ってるだろ?彼女は大丈夫だと言えば頑なにその意思を貫く。僕にだって出来ない事はあるんだ」
意気込んで来た美嘉は、すっかりその気合いを削がれてしまったので、お構い無しに要の机に腰かける。
「アンタなら何か知ってると思ったんだけどなぁ……」
要は瞬きを数回する。
:09/02/22 12:29
:SO906i
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#619 [向日葵]
「君の方が分かるだろ?僕はそういうのも込めて君達を呼んだんだよ?」
今度は美嘉が瞬きを数回した。
なんだ、お互いがお互いそう思っていたのか。
最初は絶対こんな奴認めるかと思っていたが、いつの間にか椿の事に関しては頼りにしてる自分に、美嘉は少しおかしくてクスクス笑った。
「要、頼むから、あの子大切にしてやってね……」
間があって、静かだが、力強い返事が返ってきた。
「もちろん」
――――――――…………
:09/02/22 12:33
:SO906i
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#620 [向日葵]
美嘉たちは夕飯の為に帰って行った。
椿は用意された部屋のソファに身を深く沈めて全身の力を抜いた。
疲れた……。
ただそうしか思えない。
先程、夕飯を済ませたが、今日もあまり食べれなかった。
部屋に来る前、要に心配されたが、曖昧に返して逃げるように部屋に帰って来たのだ。
このままじゃ、要に心配かけっぱなしになってしまう。
しっかりしなきゃと思うのに、今は力が入らなかった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ふわりと、心地よい感覚に意識がいく。
いつの間にか寝てしまったのか。
:09/02/22 12:39
:SO906i
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#621 [向日葵]
意識は現実に戻るも、まだ目は眠いから閉じたままだ。
そうしていると、柔らかな所に体を置かれた。
誰かに抱き上げられていたのだと気づく。
薄手の布団を丁寧にかぶせられ、顔にかかった綺麗な髪をそっとよける。そして撫でられる。
目を開ければ、頭が濡れている要がいた。
「あ、ごめん、起こした?」
「い、いえ……」
寝ていては落ち着かないので、ゆっくりと体を起こす。
要はベッドに腰をおろす。
「熟睡してたね。やっぱり疲れがきてるんじゃ……」
:09/02/22 12:44
:SO906i
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#622 [向日葵]
「い、いえ、そんな……」
「食事もあまりとってないし」
「もともと少食なので……」
ちゃんと、目を見れない椿はうつ向く。
要が体を動かしたと思えば、椿の肩に手を置く。そのまま勢いよく椿をまた布団に沈めた。
「……っ!」
要が覆い被さるようにするので、椿の心臓が高鳴る。
顔に、まだ拭ききれていない要の髪から、雫が落ちてくるが、それを気にしていられる余裕は椿にはなかった。
鋭い目つきで見つめられれば、固まり、ただ要を見つめるしか出来なかった。
:09/02/22 12:50
:SO906i
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#623 [向日葵]
「僕の目は節穴じゃない。君の調子の悪さなんてお見通しなんだ。いつか君から言ってくれると待っていたんだ」
だって……。
「そうやって、支えあって、夫婦になるんだろ?なのに、僕は未だ一方通行な気分だよ」
だって……言ってしまったら……。
「……でも、君にも譲れないものがあるだろうから、しつこい干渉は、避けるよ」
少し悲しそうに眉を寄せた要は、椿からすっと離れた。
椿は急いで体を起こす。
「ちが……っ、要さま!」
呼ぶと同時に、部屋の扉は閉められた。
:09/02/22 12:55
:SO906i
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#624 [向日葵]
重く響く音に、椿の胸は痛んだ。
違う……。
言わなかったのは、前のような無理をしてるんじゃなく……。
ただ…………。
今、そう思ってるような事すら言えなかったと言うことは、結局前と同じようなものなのだろうか。
椿はどうしていいかわからなくて、掛布団を握り締めた。
―――――――…………
「要ぇーっ!!」
「またか……」と要は頭をガクンと落とす。
式の事がだいぶ決まり、要は一段落してるとこだった。
:09/02/22 13:01
:SO906i
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#625 [向日葵]
:09/02/22 13:03
:SO906i
:☆☆☆
#626 [向日葵]
「君はノックというものを知らないの?」
「美嘉は別にアンタを敬う気なんかないもの」
そういう問題か?と半ば呆れながら要は頬杖をつく。
要が座っていたソファの向かい側に美嘉も座る。
「椿の様子が更に変になってる。アンタまたなんかやらかしたの?」
「椿の事意外に用事はないのか君は」
「アンタに用事って何よ」
そう言われては、要も見つからないので「まぁそうか」と息を吐く。
:09/03/08 17:09
:SO906i
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