ギンリョウソウ
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#637 [向日葵]
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―生涯愛しぬく事を誓いますか?
―はい、誓います
―では誓いの口づけを
唇が重なる。
すると歓声が上がって、クラッカーの音が鳴り響いた。
堅苦しい式にはしないという要の言う通り、式は要宅で行われていた。
白い二人の衣装に、クラッカーの中身が絡みつく。
でも二人は幸せそうに笑っている。
椿のウェディングドレス姿は、皆が息をのむ程美しく、要でさえ椿を見るなり見とれ、美嘉が蹴りをいれてやらないと我に返らなかった。
:09/03/08 18:28
:SO906i
:☆☆☆
#638 [向日葵]
「椿ぃーっ!おめでとーう!!」
美嘉が抱きつき、越が写真を撮る。
「ありがとうございます。美嘉ちゃん、越ちゃん、それから……柴さんも」
越の近くにいる、灰色の瞳の青年。
写真でしか見た事がない彼は、越の隣で微笑んでいた。
「招いてくれて、ありがとう」
「と言うか、無理言ってゴメンネ椿」
実は柴は来る予定が無かったのだたが、越が柴がどうしても来たいと言ってると言うのを聞いて、椿は快くそれを受け入れ、柴も招待した。
:09/03/08 18:32
:SO906i
:☆☆☆
#639 [向日葵]
「ねぇ越、俺たちもこんな風にしようよ」
「き、気が早いから!」
ほのぼのするやりとりに微笑んでいると、要が椿に耳打ちをする。
「彼って、前彼女をさらった……」
「ええ、大切な方ですわ」
なるほど、と、要は椿の手を引く。
中庭に出れば、温かな光が二人に降り注ぐ。
中は皆が楽しく会話して、うるさい程だが、中庭は静かなものだった。
「疲れてない?」
「平気です。とても楽しいです」
:09/03/08 18:38
:SO906i
:☆☆☆
#640 [向日葵]
そう、と要は微笑む。
式は延期する事なく、決めていた日どおりに行われた。
椿の体には、少し負担があったが、要が常に気にかけていた為、前のように倒れる事はなかった。
「後で、お父様に手紙を読む時、泣かないか心配です」
「泣いたって構わないよ。寂しいのは仕方ないからね」
少し歩いて、庭にある椅子に椿を座らせた。
隣に要が座らないのかと、椿は要を見上げた。
要はタキシードの内ポケットから何かを取りだそうとしていた。
そして出したものは、四角い紙だ。
:09/03/08 18:44
:SO906i
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#641 [向日葵]
椿はそれを不思議そうに見つめる。
「それは……?」
「手紙だよ」
「要さまも手紙を読まれるのですか?」
「違う。これは……椿へだよ」
椿は目を見開く。
要は微笑んで、封筒から二枚程、便箋を出す。
「椿が手紙を読む時、泣く心配をしてるなら、今泣いてもらうよ。そうしたら、少しは泣かずに済むでしょ?」
歯を見せて笑う要が眩しい。
椿は要が手紙を読むのを黙って待った。
そして要がゆっくりと読み出す。
:09/03/15 02:36
:SO906i
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#642 [向日葵]
こんな手紙を書くのは照れます。
読むのはもっと照れます。
でも、伝えたい事があるから、手紙にしました。
沢山あるから、きっと言葉ではつまってしまうと思ったからです。
椿、僕は今日この日、君と結婚出来る事がとても嬉しいです。
初めて君と会った時、君を利用しようとしていた最低な僕を好きになってくれてありがとう。
あの時、椿に言った最低な言葉や、最低な態度は、本当に反省しています。
ごめんなさい。
:09/03/15 02:37
:SO906i
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#643 [向日葵]
僕はいつしか、椿を守りたいと思うようになり、そして好きになりました。大好きになりました。
出会ってくれて、ありがとう。
君は、お母さまの事があって、自分の事が嫌だと思ってるかもしれない。
もしかしたら、生まれてこない方が良かったんじゃないかって、思った事もあるんじゃないかな……。
でもね、椿。
僕は、君が生まれてきてくれて良かった。
僕と出会ってくれて良かった。
僕を選んでくれて良かった。
ありがとう。
この運命に感謝します。
:09/03/15 02:39
:SO906i
:☆☆☆
#644 [向日葵]
椿、ギンリョウソウって知ってますか?
僕が、君と会った時、椿はその植物みたいな印象を受けました。
目立たなく、暗い場所にひっそりといる……そんな風に。
でも今は違います。
ギンリョウソウは、確かに光の届かない暗い場所に小さく咲いていますが、その白い花は鬱蒼とした闇に映え、心を和ませてくれる。
椿は僕にとってそんな存在です。
かけがえのない、たった一人の大切な人。
:09/03/15 02:40
:SO906i
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#645 [向日葵]
僕は、君が知ってる通りこんな奴だから、これからの長い時間、君に迷惑をかけると思う。
それでも、支えてくれたら嬉しい。
僕も、君を命にかえても守るよ。
だから一生、そばで笑っていて下さい。
椿、好きです。大好きです。
いや…………
心から、愛しています。
妻・葵 椿へ
夫・葵 要より
:09/03/15 02:41
:SO906i
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#646 [向日葵]
読み終えた要は、丁寧に便箋を折り、また封筒にしまった。
膝を折り、椿と同じくらいの目線にしてから、椿の手をとり、その手紙を渡す。
「椿、幸せになろうね。世界一、幸せにするね」
柔らかく微笑みながら、要は言った。
固まっていた椿は、突然顔を歪ませて、手紙を顔に押しつけて泣き出した。
嗚咽が漏れてしまうほどに……。
「は……っ、はい、……はいっ……!」
何度も返事をする椿を、要は抱き寄せる。
:09/03/15 02:47
:SO906i
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