ギンリョウソウ
最新 最初 🆕
#644 [向日葵]
椿、ギンリョウソウって知ってますか?

僕が、君と会った時、椿はその植物みたいな印象を受けました。

目立たなく、暗い場所にひっそりといる……そんな風に。

でも今は違います。
ギンリョウソウは、確かに光の届かない暗い場所に小さく咲いていますが、その白い花は鬱蒼とした闇に映え、心を和ませてくれる。

椿は僕にとってそんな存在です。

かけがえのない、たった一人の大切な人。

⏰:09/03/15 02:40 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#645 [向日葵]
僕は、君が知ってる通りこんな奴だから、これからの長い時間、君に迷惑をかけると思う。
それでも、支えてくれたら嬉しい。

僕も、君を命にかえても守るよ。

だから一生、そばで笑っていて下さい。

椿、好きです。大好きです。
いや…………





心から、愛しています。

妻・葵 椿へ
夫・葵 要より

⏰:09/03/15 02:41 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#646 [向日葵]
読み終えた要は、丁寧に便箋を折り、また封筒にしまった。

膝を折り、椿と同じくらいの目線にしてから、椿の手をとり、その手紙を渡す。

「椿、幸せになろうね。世界一、幸せにするね」

柔らかく微笑みながら、要は言った。

固まっていた椿は、突然顔を歪ませて、手紙を顔に押しつけて泣き出した。
嗚咽が漏れてしまうほどに……。

「は……っ、はい、……はいっ……!」

何度も返事をする椿を、要は抱き寄せる。

⏰:09/03/15 02:47 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#647 [向日葵]
日差しが温かくて、余計に涙が流れる。

私も愛してます。

まだ恥ずかしくて、口にする事は出来なかったが、椿は強く思った。

「なーかしたー、なーかしたー」

聞き慣れない声に、二人は顔をあげる。

「折角の結婚式に、何を泣かせているんだい」

意地悪そうな笑みをたたえた男性と、隣でにこにこ笑っている女性がこちらへ向かってくる。

その二人を見た途端、要は驚いて立ち上がった。

⏰:09/03/15 02:51 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#648 [向日葵]
「父さんっ!母さんっ!」

それを聞いて、椿は要よりも驚き、急いで止まらぬ涙を抑え、立ち上がった。

「いやぁ、なんとか間に合った間に合った」

飄々と、憎たらしささえ感じる要の父は若く、そしておしゃれだった。
母もまた綺麗だ。

要の父は、要の前までくると、要より背が高く、ニヤリと笑いながら要の頭をペシペシと叩く。

「さすが俺のせがれ。粋な事すんじゃねえかよ。意外とお前ってポエマーだな」

からかう父の言葉に顔を赤らめる要。
何かを言い返したいが、何を言おうか迷っている内に父は椿を見た。

⏰:09/03/15 02:57 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#649 [向日葵]
目が会った椿は急いで頭を下げる。

要の父は、さっきの意地悪な雰囲気を消し、優しげな目をして椿を見た。

「君が椿さんだね。頭をお上げになって下さい」

そろりと椿は顔を上げ、要の父を見た。

「ご挨拶いたしませんで、すみませんでした」

「いえいえ。あなたの事は要からよく聞いていました。とーってもあなたに惚れ込んでるみたいで、コイツからのメールを読む度、滲み出る笑いをこらえる事は出来ませんでした」

要をいじめるみたいな口調だが、そこに愛情を感じた椿は微笑む。

⏰:09/03/15 03:02 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#650 [向日葵]
「これからは、俺、いやいや、私達共々、仲良くしましょうね」

「はい、よろしくお願いします」

ジューンブライドという、結婚式の魔法。
幸せになれると椿は思った。

空を見上げれば、梅雨時なのに空は青く、天にいる母も祝福してくれてる気がした。

そして思う。

きっと母も、幸せな花嫁だったのだろうと……。

⏰:09/03/15 03:07 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#651 [向日葵]
[第15話]

高校も卒業し、椿は要宅に住む事になった。

家を出る時はやっぱり寂しかった。
何せ18年間この家にいたのだから。

要は好きな時に帰る事を許してくれた。
でも椿は、出来るだけ要のそばで仕事を手伝いたいと思ってるので、あまり帰らないようにしようと心を決めていた。

そんな日々も慣れてきた、1年後の事だった。

「椿、こんな事言っていいかわかんないけど……太った?」

思わず持ちかけていたカップを、ショックで落としそうになる。

⏰:09/03/15 03:12 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#652 [向日葵]
今日は授業がないからと、美嘉が遊びに来て、今は仲良くお茶していた。

「え…………、ええっ!?本当ですか……っ!?」

「まあ椿はそれでやっと標準だけどね。前と比べて、すこーしふっくらしたかなってくらいよ。気にする事ないって!」

言ったのは美嘉なのに、美嘉は気にしないかのようにお茶を飲む。

「でも椿、綺麗になったよねなんか。やっぱりエステとか行くから?」

「僕がいるからに決まってるじゃないか」

二人がいる部屋に、要が入ってきた。

⏰:09/03/15 03:17 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#653 [向日葵]
少し伸びた前髪をかきあげた要は、背伸びをしてこちらへ歩いてくる。

「アンタと椿の美貌がどう関係あんのよ」

テーブルの上にあるクッキーをひょいとつまみ、口に入れた要は、椿の隣に腰かける。

「そりゃ僕が愛情をそそいでるから」

「やっぱりアンタって馬鹿なんだね」

真顔で言い合う。
相変わらずのやりとりに、椿はクスクスと笑い声をあげる。

「だいたいアンタが言うといやらしく聞こえる」

⏰:09/03/15 03:25 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


★コメント★

←次 | 前→
↩ トピック
msgβ
💬
🔍 ↔ 📝
C-BoX E194.194