ギンリョウソウ
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#80 [向日葵]
:08/06/23 00:43
:SO903i
:☆☆☆
#81 [向日葵]
美嘉が持ってきたお弁当を受け取り、食べようとした時だった。
勢いよく保健室の扉が開いた。
驚いた2人はその方を見る。
そこに立っていたのは、要だった。
要は椿の姿を見つけると、土足厳禁だと言うのに靴のまま近づいてくる。
敵対心もあらわに、椿の前に立ちはだかる。
「何よ。まだなんかある訳?」
「心配しなくても君にじゃないよ。僕は椿と話がしたいんだ」
:08/06/26 00:18
:SO903i
:☆☆☆
#82 [向日葵]
椿が微かに体をぴくりと動かせたのを美嘉は視界の隅で認めた。
だから尚更ここをのく訳にはいかないと要を睨みつける。
「これ以上椿をいじめないで……。病人にまで手を出す気?」
「僕はそこまで鬼じゃない」
「どうだか……」
らちがあかないと思ったのか、要は美嘉の後ろにいる椿を見る。
要に見つめらるた椿はハッとする。
「椿、僕と話をしてくれるね?」
:08/06/26 00:22
:SO903i
:☆☆☆
#83 [向日葵]
「ちょっとアンタね……っ」
「美嘉ちゃん」
美嘉は振り返り椿を見る。
彼女は、未だ白い顔をしているにも関わらず、にっこりと完璧に微笑んでいた。
「大丈夫ですから、少し外で待っていてもらえますか?」
美嘉は少し躊躇った。
いくら椿の願いと言えど要が椿をいじめないと言うことはない。
それでも、椿の言う事に従ったのは、椿の事が大切が故だった。
渋々保健室から出て行く。
美嘉が出て行ったと同時に、要はまた近づいた。
「……君は馬鹿か」
:08/06/26 00:27
:SO903i
:☆☆☆
#84 [向日葵]
いきなりの暴言に、椿の笑顔はなくなり、驚いた顔が要の目にうつる。
「どうして倒れるまでこの炎天下にいる……。日陰に隠れることくらい出来ただろうっ!それに日傘の事だって、僕がぶん取ったと言えばいいじゃないか!」
椿は瞬きを繰り返した後、また静かに微笑んだ。
「葵さまは悪くないですよ……」
「……!別に……そう言う事を言ってるんじゃない……」
「私は葵さまのおっしゃる通り、つまらない奴なのです……」
:08/06/26 00:31
:SO903i
:☆☆☆
#85 [向日葵]
要が再び彼女をみれぱ、椿は窓の外をまぶしそうに見ていた。
「つまらないと、承知だからこそ、何か証明したかったんです。せめてこれぐらいの暑さや日光に堪える事の出来る体ならば、つまらないながら何か出来るんではないかって……」
彼女は自分の手元に視線を落とす。
うつ向くので、綺麗な黒い髪の毛が彼女の顔を隠す。要からは見えない。
椿の顔は悔しさで歪んでいた。
「日傘なんて……無くても元気な人は元気ですもの……」
:08/06/26 00:35
:SO903i
:☆☆☆
#86 [向日葵]
椿が泣いているのではと思った要は、彼女の両肩を持って強制的に顔を上げさせた。
突然の事に椿は驚いていたが、泣いてはいなかった。
要はそれに何故かホッとする。
「ごめんなさい……愚痴になってしまいましたね……」
椿は薄く笑う。
しかし要は、こんな時にまで笑って欲しくなかった。
……こんな時?
彼女が倒れたというだけだ……。
自分はそれを、気にしているのか?
:08/06/30 00:24
:SO903i
:☆☆☆
#87 [向日葵]
そんな事を思いながら、口を開く。
「笑うな」
吐息のように、椿は「え……」と言った。
「笑いたくない時は笑わなくていい。無理に笑えなんて言わないから。悲しかったら悲しい顔をしてもいいんだ。怒りたかったら、怒ればいいんだ……」
父や美嘉意外にそう言った人は要が初めてだ。
しかし彼は父達とはまた違う立場の人で、尚且つ彼自身を好きになるように仕向けようとしている。
なのに、上辺だけの筈なのに、どうしてそんな真剣な言葉を伝えてくるのだろう。
:08/06/30 00:29
:SO903i
:☆☆☆
#88 [向日葵]
椿は戸惑う。
どうすればいいのか分からない。
そうか、分からないから、この人の前では今まで笑って済ませていたんだ。
彼の巧みな言葉に惑わされてはいけない。
要が自分の事を心配するのは、あくまで利用する為なのだから。
そう胸に刻んだ椿は一度瞬きしてから、やはり微笑んだ。
「悲しい事も、怒る事も、私はありません。幸せなんです。だから笑うのです」
「――っ!だから、そういうんじゃ……っ!」
肩を掴んでいた手に力が入る。
:08/06/30 00:35
:SO903i
:☆☆☆
#89 [向日葵]
痛いのか怖いのか、椿はビクリと体を震わせ、顔を少し歪ませる。
要はそれに気づき、パッと肩から手を離し、そっぽを向く。
気まずい空気が2人の間を漂う。
要は深呼吸して、頭を片手でかき乱した。
「君が笑おうが泣こうが関係無いんだけどな……。でも、笑っているばかりで君の人生が成立するなら、それは間違ってる気がするよ」
「間違ってる……ですか……?」
「笑うだけの君で、本当に社長やさっきの友達は満足なのかな」
:08/06/30 00:40
:SO903i
:☆☆☆
#90 [向日葵]
「それは……」
「君は、何もかもに素直に従って、満足?」
椿から、笑顔が消える。
本当に、この人の、要の考えている事が分からない。
だから微笑んでいたいのに、簡単に笑顔を無くさせる。
抵抗しても、仕方ない事を何故させる……?
「要さまは……そんな私でも、満足なのでしょう……?」
要と目が合う。
目を合わせたのは、初めてな気がした。
:08/06/30 00:44
:SO903i
:☆☆☆
#91 [向日葵]
やがて、目に険しさを含ませると、彼は立ち上がった。
「ああそうだった。君が素直に従ってくれれば万々歳だ。忘れていたよ。これからもそうしてくれるとありがたいねっ」
やけくそに言うと、彼は出て行った。
半ば唖然としながら彼が出て行くのを椿は見ていた。
何を怒る事があるのだろう。本当の事な筈なのに……。
……まさか、励まそうとした……?
……そんな訳ない。
だから分かっているでしょう?何度も言ってるじゃない……。
彼が自分を心配する筈がないと……。
:08/06/30 00:49
:SO903i
:☆☆☆
#92 [向日葵]
******************
廊下を突き進みながら要は胸の奥にたまったモヤモヤにイライラしていた。
自分は彼女をどうしたいか分からなくなっている。
椿が言うように素直に従ってくれていれば彼としては満足なのだ。
それなのに要は、自分の前では無理に笑わないで欲しいと思ってしまったのだ。
いつの間にか出ていた真剣な言葉は、出れば出る程どうにか椿に届いてくれと願っていた。
しかし、彼女との壁はあまりに高く、理解してくれる気配すら感じなかった。
そしてその事にも、要は苛立っているのだ。
:08/06/30 00:54
:SO903i
:☆☆☆
#93 [向日葵]
自分が言って始めた事だ。
分かってる。
心を貰うのなんて簡単な事。巧みに並べた単語を繋げて口にすればいい。
ただそれだけだ。
だが、椿にそれは通用しないのだ。
嘘の言葉を、いつしか本当の言葉として引き出してしまう雰囲気を椿は持っている。
「……くそ……」
椿の心を乱すつもりが、自分が乱されているみたいで、当分要のイライラはおさまる気配はないようだ。
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午後の部が始まる。
:08/06/30 00:58
:SO903i
:☆☆☆
#94 [向日葵]
日差しは少しマシになったものの、湿気や気温はマシにはならない。
まだフラフラしているので、美嘉が日陰にいなさいと怒っていたが、椿はサラリと流して今席にいた。
「椿さま」
背後から声がした。
振り向けば、要の従者がいる。
皆が何事かと従者を見るので、気をつかった椿は人があまりいない所へと移動した。
「えと、どうかなさいましたか……?」
「要さまから贈り物でございます」
:08/06/30 01:02
:SO903i
:☆☆☆
#95 [向日葵]
差し出されたのは、黒い日傘で、上品にレースがついてある綺麗な物だった。
「え、でも……」
「伝言もあります」
「伝言?」
「「すまなかった」とだけ、言っておりました」
椿は目を見開いた。
どうして謝るの……?
「要さまは、今から1週間程イギリスへ向かわれます。何かお伝えする事はありますか?」
渡された日傘に目を落とす。
これだって、要の作戦かもしれない。
:08/06/30 01:07
:SO903i
:☆☆☆
#96 [向日葵]
けれど、直接伝えてこない不器用な言葉や、ただ返せばいい日傘を買ってきて返す心遣いに、なんとなく胸が温かくなる。
「お気をつけて、とだけ、お伝え願えますか……?」
「かしこまりました」
それだけ言うと、従者は素早く身を翻し行ってしまった。
椿は、貰った日傘を差してみた。
日光に透けたレースを見ると、その柄は小さいけれど椿の形をしていた。
これは作戦?
……それとも。
:08/06/30 01:11
:SO903i
:☆☆☆
#97 [向日葵]
:08/06/30 01:15
:SO903i
:☆☆☆
#98 [向日葵]
携帯変えましたが、向日葵です

:08/07/07 00:19
:SO906i
:☆☆☆
#99 [向日葵]
「椿ー!そんなとこで何やってんのー?」
「あ……いえっ、今戻りますっ」
そう言って椿は美嘉の元へと駆け出した。
椿柄のレースが入った、日傘をさして……。
:08/07/10 21:28
:SO906i
:☆☆☆
#100 [向日葵]
[第3話]
今日は生憎の雨。
どうやら台風が近づいて来ているらしい。
そんなジメジメした空気なのに、椿は広い書庫で探し物をしていた。
体育祭も終わり、今日は代休だ。
ゆっくり休めばいいものの、椿には気になる事があった。
それは、友人である越の家族、“柴”と名乗る男性の事だ。
体育祭で見た彼は、走る為に邪魔なのか、少し長い髪の毛を1つにまとめていた。
それでも椿には見た事がある顔だった。
余計な事だとは分かっている。
でも越に確かめて欲しかったのだった。
もしその人が、自分が知っている人ならば、何の為に越の元にいるのかと……。
:08/07/10 21:35
:SO906i
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