愛の在り処
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#102 [果樹]
私の言葉を否定的に取ったのか、慶はとても不安そうに眉根を下げて聞いてきた。
「いいと思うよ。可愛い」
そう言うと慶の顔がパッと明るくなった。
私は動物みたいだなぁなんて思いながら、猫砂を手に取った。
:08/09/14 22:54 :P902iS :☆☆☆
#103 [果樹]
――――――――――・・・・
「ありがとう。助かった」
家の前に着いた私は慶から猫砂と猫用トイレを受取りお礼を言った。
慶はホームセンターから家まで、ずっと猫砂と猫用トイレを持っていてくれた。
「あの・・・さ。言いにくいんだけど」
:08/09/14 22:54 :P902iS :☆☆☆
#104 [果樹]
私がマンションに入ろうと背中を向けると後ろから慶が話しかけてきた。
何かと思って振り返ると申し訳無さそうにしている慶がいた。
私は首を傾げる。
「今度あの子猫見せて貰ってもいい・・かな?」
「・・・いいよ」
:08/09/14 22:55 :P902iS :☆☆☆
#105 [果樹]
私の言葉に、慶は目を見開いてからへらっと柔らかい笑みを溢した。
――――――――――・・・・
「ただいまー」
玄関を開けて家に入ると子猫がタッタッとこちらに向かって走ってきた。
足下でミャーミャーと子猫が何かを訴えるように鳴く。
:08/09/20 09:41 :P902iS :☆☆☆
#106 [果樹]
「ちょっと待ってね」
私は、子猫を踏まないように気を付けながらリビングに行って、猫のトイレを用意した。
「はい。出来たよ」
猫砂を入れた猫用トイレに子猫を入れるとどこで覚えたのか、そのまま用を足した。
なんとも気持ち良さそうで満足気な顔だ。
:08/09/20 09:43 :P902iS :☆☆☆
#107 [果樹]
「えらいえらい」
優しく子猫の頭を撫でてから私は、ソファに座る。
すると子猫もそれを追うようにソファによじ登って来て、ちょこんと私の膝の上にその小さい体を丸める。
その無邪気さに思わず口元が緩んで笑みが溢れる。
「お前の名前が決まったよ」
:08/10/05 12:31 :P902iS :☆☆☆
#108 [果樹]
子猫の両脇に手を入れて抱き上げ、ゴロゴロと喉を鳴らす子猫に微笑みかける。
「モアだって。いい名前付けてもらったね」
その日は、モアと一緒に暖かい布団にくるまって眠りについた。
――――――――――・・・・
ミャーミャー
:08/10/05 12:36 :P902iS :☆☆☆
#109 [果樹]
:08/10/05 12:37 :P902iS :☆☆☆
#110 [果樹]
「わかったわかった。今あげるから待ってて」
私は足元で物欲しそうに鳴くモアに話しかけながら、手早く缶詰の中身を皿に盛り付ける。
モアが来てからの一週間は、ほとんど記憶がない。
慣れない一人と一匹暮らしに加えて、手のかかるモアのおかげで一週間はまるで嵐の様に過ぎていった。
:08/10/14 10:48 :P902iS :☆☆☆
#111 [果樹]
「やばっ遅刻する!」
時計を見ると8時15分。
ホームルームが始まるまでにあと25分しかない。
「じゃあねモア。いってきまーす」
私は急いでテーブルにあった鞄を持ち、モアの頭を一撫でして家を出た。
――――・・
「間に合った・・・」
:08/10/14 10:48 :P902iS :☆☆☆
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