━鬼鳴岬━
最新 最初 全 
#1 [朔]
:08/06/19 14:16
:PC
:5KjHSgaY
#2 [朔]
:08/06/19 14:17
:PC
:5KjHSgaY
#3 [朔]
―‥そこに近づいてはいけないよ…
鬼に岬へと引きずり落とされて喰われるからね…
━鬼鳴岬━
:08/06/19 14:22
:PC
:5KjHSgaY
#4 [朔]
「じゃぁ!!行って来ます!!!!」
台所で朝ご飯を作っている母さんに
そう伝えると私は大きなバッグを持って玄関を出る。
「おはよ!」
家の前で待っていた車の窓が開き
中から見慣れた顔が見えた。
:08/06/19 14:25
:PC
:5KjHSgaY
#5 [朔]
「おはよう!よろしくお願いします!」
私は後ろのドアを開けて乗り込むと
運転手をしてくれている友達のお母さんに
挨拶をした。
「これから誰を迎えに行くの?」
「えーと和菜だね」
:08/06/19 14:28
:PC
:5KjHSgaY
#6 [朔]
バッグを何やらゴソゴソと漁りながら
今回の旅行の計画者である雪実が手帳を
取り出しながら言う。
「ん!あげふ!」
キャンディを口に咥えながら私にも同じ物を
手渡してくれた。
:08/06/19 14:32
:PC
:5KjHSgaY
#7 [朔]
キャンディの包み紙を剥がし口に含むと
オレンジ味が広がって思わず微笑んだ。
いつもならキャンディが美味しいからと
こんなに嬉しくなったりはしないはず…
高校最後の夏休みに仲良し4人組で
旅行に行ける事がささいな出来事でも楽しく感じる
理由だと思う。
:08/06/19 14:35
:PC
:5KjHSgaY
#8 [朔]
今回の旅行を誰よりも楽しみにしていたと言っても
過言ではない…
単純な女子高校生 戸田川ひな乃 18歳
こんなに天気も良くて楽しくないはずがない
旅行になる予定だったのに…
私はこれから降りかかる恐ろしい出来事を
全く予想できてはいなかった…
:08/06/20 00:11
:PC
:fp5y11Sg
#9 [我輩は匿名である]
あげ(^ω^)
:08/07/28 23:58
:W43H
:NVX04mK2
#10 [朔]
我輩は〜さん>あげ感謝します!!!!
更新が遅くてすいません<(__)>
:08/08/06 13:52
:PC
:3lEt1zOE
#11 [朔]
>>8残りの2人を家へと迎えに行っていつもの4人組が揃うと
車内はさっきの何倍もうるさくなった。
しばらく見慣れない道を走り駅に着いて
私達は止まらないおしゃべりのまま車から降りた。
「ここから電車で40分だからね?おじさんが迎えに
来てくれてると思うから…あんまり無茶はしないでよ」
雪実のお母さんは不安げな顔をして車の窓から
それだけ伝えると私達に軽く会釈をしてそのまま
走り去ってしまった。
:08/08/06 13:58
:PC
:3lEt1zOE
#12 [朔]
「電車は何時に来るんだろねぇ…」
いつもおっとりとしたマイペースな千穂。
「さぁ?そのうち来るんじゃないの?」
あっけらかんとしてクールで頭のいい和菜。
「ちょっと!!千穂!!それアタシのキャンディー!!」
今日の計画者でありリーダ的存在の雪実。
「…あ!!ほ…ほら!!電車来た!!!」
あたしの声に慌てて荷物を手に取ると
ギャーギャー騒ぎながらホームに向かった。
:08/08/06 14:05
:PC
:3lEt1zOE
#13 [朔]
「あー涼しっ!!!」
ボックス型の席に和菜が座るとみんなもそこに
何も言わずに座り向かい合ったあたし達のおしゃべりが始まる。
「この前のコンパって和菜はどうだったの?」
「朝ごはん抜いたからお腹空いたぁ…」
「着いたら起こして。寝てないんだ」
個々に自分の事だけを主張した言葉が宙をさまよって
あたしは窓から見えるのどかな風景に深呼吸をした。
―…ひな乃?
:08/08/07 15:38
:PC
:BDsRkvbQ
#14 [朔]
「ひな乃ってば!!着いたよ!!!」
ガクンと体が揺れ驚いて目を開けるとあたしを
覗き込む3人がいた。
「あ…れ??あたし…寝てたの!!??」
「イビキまで掻いてね?着いたよ!!おじさんが
もう迎えに来てくれてるらしいから!急いで!!」
イビキが本当かどうかを聞く前に自分の荷物を
手にとって慌てて電車を降りた。
:08/08/07 15:40
:PC
:BDsRkvbQ
#15 [朔]
「「「よろしくお願いします」」」
雪実がおじさんの所へと駆けて行き残りの3人で
声を揃えて挨拶をするとおじさんは照れくさそうに会釈した。
「車!!こっちだって!!」
雪実の仕切りたがりはいつもの事だけど何となく
はしゃぎ方が違うな…と思っていたあたしに和菜が
「…雪実ってあのおじさんが好きだね??」
「…そうなのかな?」
そう言われればそう見えない事もない…
:08/08/07 15:46
:PC
:BDsRkvbQ
#16 [朔]
おじさんと言っても若くて40代…前半??
アロハシャツにジーンズを履いていい感じの
優しそうな人…
「早く!!ひな乃!!早く乗って!!」
ちゃっかり助手席に乗っていた雪実があたしを急かした。
―…‥オイデ
「え??何か言った??」
:08/08/07 15:48
:PC
:BDsRkvbQ
#17 [朔]
「え??何にも言ってないけど??何?」
和菜が不思議そうな顔をして尋ねる。
「…あぁ…ううん。気のせいだと思う」
笑ってごまかすと急いで車に乗り込んだ。
―…きれいな海に青い空
文句のつけ所のない景色にあたしは車の窓から
身を乗り出して眺めていると文字の書かれた石碑のような
大きな石が見えた。
:08/08/14 15:57
:PC
:M/d6R33.
#18 [朔]
「あれ…何て書いてあるんだろ…?…鳴岬…??」
目を細めて見ても何て書いてあるのかちゃんとは見えない。
和菜もあたしの言葉に気付いて眺めてみたけれど
最後まで見えなかった。
するとおじさんがルームミラーから視線だけをよこし
「あぁ、鬼鳴岬って書いてあるんだよ」
そう教えてくれた。
「鬼鳴岬…何か不気味な名前ですね?」
:08/08/14 16:01
:PC
:M/d6R33.
#19 [朔]
和菜が怪訝そうな顔をして聞き返す。
あたしはおじさんの言葉にもう1度、その石碑を見てみると
そこにはさっきまで居なかった髪の長い女の人がこちらを
じっと見つめているのに気がついた。
「ねぇ…ちょっと…千穂…あの人…」
「えー??何、どうしたの??」
千穂にその人を見てもらおうと指差し振り返ると
その人はもう居なかった。
「…あれ?いない…おかしいな」
:08/08/14 16:06
:PC
:M/d6R33.
#20 [朔]
確かに居たはずなのに…千穂は首を傾げてまた
持って来た雑誌に視線を戻す。
―…車が走る事40分後
「うわー!!可愛いペンション!!!」
カントリー風の可愛らしいペンションに到着して
あたし達のテンションは更に高くなった。
「荷物、受け付けのところに入れとくからね」
おじさんは1雪実にそう言うと1人で忙しそうに
あたし達の荷物をペンションの中へと運んでくれた。
:08/08/14 16:11
:PC
:M/d6R33.
#21 [朔]
大きな向日葵が咲いていて色とりどりの小さな花に
トマトやきゅうりの畑があって少し歩いた先には
きれいな小川が流れている…
すごく遠い所まで来たような自然のある素敵な場所。
「雪実いいなー!!!こんないい場所におじさんがいて。
いつでも来れるんだもんねー!!」
「まぁねー…でも久しぶりに来たんだよ??小さい頃は
家族で来てたんだけどね??」
あたしなら毎年でも来るのに…そう思いながら
真っ赤に熟れているトマトを眺めた。
:08/08/14 16:15
:PC
:M/d6R33.
#22 [朔]
それからあたし達は時間を忘れて小川で服が濡れるのも
お構いナシにはしゃぎまくった。
「魚!!ほら!!千穂の足元に行った!!」
「やだ!!魚ぁ来ないでよ!!」
雪実と千穂のやりとりを眺めてあたしと和菜は笑って
あっという間に楽しい時間は過ぎた。
風が少し冷たく感じて急いでペンションに戻る。
「露天風呂があるよ!!すぐに入ろ!!!」
:08/08/23 17:03
:PC
:AeJwe3n6
#23 [朔]
肩をすくめ雪実が自分の体を自分で抱きしめながら言う。
「露天風呂!!いいじゃん!!入る!!入る!!!」
いつもクールな和菜も露天風呂という言葉に目を輝かせて
せかせかと自分達の部屋に荷物を取りに急ぐ。
着替えの服や下着を抱えて露天風呂へ向かっていたあたしは
自分がタオルを持っていない事に気がついて皆に一言伝え
部屋に取りに戻った。
「もー…タオルを忘れるなんてあたし馬鹿じゃん?」
誰に言うわけでもなくポツリと呟くとあたし達の部屋の
前で立ち尽くす女性に気付いた。
:08/08/23 17:09
:PC
:AeJwe3n6
#24 [朔]
"誰…だろ…ここの従業員さんかな??"
きれいな淡い紫の着物を着て髪を結い上げ上品そうなきれいな人…
「あの…??」
あたしが声をかけるとその人はこちらを振り返り小さく会釈を
返して立ち去ってしまった。
"……??何だろ…??"
不思議には思ったけれど特に深くは考えないでタオルを取り
みんなの待つ露天風呂へと急いだ。
:08/08/23 17:12
:PC
:AeJwe3n6
#25 [朔]
「いいじゃーん!!おまたせー!!!!」
立ち上る湯気の中で皆が気持ち良さそうにお湯に浸かっていて
あたしを見た和菜がちょいちょいと手招きした。
足でお湯の温度を確かめながらそっと入り和菜の隣に座る。
「はぁー…いいお湯…何??どうかしたの??」
「うん…」
小さな声で和菜は返事しはしゃぐ雪実と千穂を見ながら
あたしの耳元に顔を近づけた。
:08/08/23 17:15
:PC
:AeJwe3n6
#26 [朔]
「ここ…ちょっと…変じゃない??」
こそこそと和菜が怪訝な顔して言う…
「変!?…って何が変なの???」
思い当たるふしが全く見当たらないあたしは和菜の言葉の
意味がさっぱり分からない。
「さっきさぁ…小川で遊んでる時にずっとこっちを
見てる女の人がいたの知ってる??紫の着物着てた…」
……紫の着物???あれ…???
「あぁ…小川では知らないけれどさっきタオルを取りに
戻ったらあたし達の部屋の前でいた人かなぁ??」
:08/08/23 17:19
:PC
:AeJwe3n6
#27 [朔]
あたしの言葉に和菜は俯くとすごい顔をしてこちらを見た。
「さっき…部屋の前に…いた??」
「うん。声をかけたら会釈してどっか行っちゃったよ??
何??何か思い当たる事でもあるの??」
何か様子のおかしい和菜に戸惑うあたしにさっきとは違う
不安そうな表情で
「そいつ会釈して…どっかに行っちゃたのね??」
「…うん」
:08/08/23 17:23
:PC
:AeJwe3n6
#28 [朔]
そう尋ね頷くあたしの言葉に少し安堵した表情を見せると
穏やかな表情に戻り
「そっか…ならいいや。ごめん、気にしないで?」
それだけ伝えるといつもの和菜に戻った。
お風呂から出ると食事までは時間があると部屋でトランプを
しようと雪実が言い出した。
大した旅行ではないと言えども確かにさき程から体を
休めていない事に気付いたあたし達はその意見に賛成し
部屋へと戻った。
:08/08/23 17:30
:PC
:AeJwe3n6
#29 [朔]
ベタにババ抜きでもしようと嫌がる和菜を入れて始めた…
何だかんだ言っても結局は負けたくないと必死になる。
次は4回戦!!と雪実が意気込んだと同時に部屋のドアが
ノックされおじさんが声をかけてくれた。
「ご飯だよー!!降りといでー!!!」
その言葉に皆が同時に顔を見合わせて急いで食堂へと向かう。
もうお腹がぺこぺこでテーブルに並べられている食事を見て
胃がキュウッと鳴ったような気がした。
:08/08/25 15:42
:PC
:KgwDqLbc
#30 [朔]
「「「「おいしー!!!!」」」」
4人がそれぞれ思い思いの食事を口に運び声を上げる。
取れたての野菜もお魚も家で食べるのとは違って
何倍も美味しく感じた。
おじさんはあたし達が食べるのをすごく嬉しそうな顔で
キッチンの方から眺めて笑ってた。
コーヒーにデザートまでご馳走になって…
空っぽになった食器をキッチンまで運び終わると
おじさんが雪実を呼んでコソコソと話してる。
:08/08/25 15:47
:PC
:KgwDqLbc
#31 [朔]
雪実もあたし達に視線を送って企んだような顔をして
和菜と千穂…それからあたしの肩を組むと円陣を作り
「あのさ…おじさんが怪談でもしない??って言ってる。
どお??一応、OKしたんだけど???」
「あたしはいいけど??和菜は??」
「あー…いいんじゃないの??千穂は?」
「絶対に嫌!!!!!」
……まぁ聞くだけ無駄で強制参加は決定なんだけど。
:08/08/25 15:50
:PC
:KgwDqLbc
#32 [朔]
空いてる部屋の真ん中におじさんが雰囲気を出すために
ろうそくを1本立ててそれを囲むように座る。
クーラーはまだ効いていないはずなのに…部屋の中は
何となく涼しく感じた。
千穂は和菜にべったりくっついたまま離れない。
「じゃぁ…始めようか…まずは…雪実から…」
そのおじさんの言葉にみんなの視線が雪実に向いた。
:08/08/25 15:55
:PC
:KgwDqLbc
#33 [朔]
「じゃぁ…友達が体験した話なんだけど…」
雪実の話も和菜自身の体験談も千穂の話も怖かった…
あたしは怖いの苦手だけど知ってるありきたりな話をして
最後はおじさんの番になった。
「じゃぁ…今日、見た鬼鳴岬の話でもしようか…」
「あぁ…ここに向かう途中で見たあの岬の話ね??」
―…そう。あの岬にまつわる双子の悲しい話…
:08/08/25 16:01
:PC
:KgwDqLbc
#34 [朔]
―…その昔、村で有名な2卵生の双子の姉妹がいた。
姉の名前は"椿"
とても美しく誰にも平等な心の優しい持ち主。
そして妹の名前は"文子"
容姿は姉とは違い美しいとは言い難いおとなしく
だけど気前は良い女だった。
村の男の全てが椿を嫁にしたいと考えていて椿の周りには
いつも村の男が側にいた。
:08/08/28 17:40
:PC
:Beg9qYHI
#35 [朔]
一方、文子を嫁としてもらいたいと思う男はおらず
いつも椿を羨ましく思っていた。
けれど文子は知っていた。
椿には想い合う男が居てその人と想いを添い遂げるつもりで
いる事も…
だからこそ自分と目が合っただけで汚い言葉で文子を罵倒する
村の男が椿の結婚で今まで通いつめた事すら虚しく無駄だったと
悔しい思いに駆られる事だけを楽しみに生きていた。
:08/08/28 17:45
:PC
:Beg9qYHI
#36 [朔]
文子の悔しく歯痒い思いが晴れる時が近づいた日…
残酷な事件は起きた。
いつものように山に山菜を採りに行った文子が数人の男に
襲われて強姦されてしまう…
恐ろしくてそれでも何とか必死に家まで辿り着いた文子は
身なりはボロボロ、顔は殴られたような跡まであった。
泣きじゃくりながら椿に抱きつき自分を襲った男は
こう言ったと告げる。
:08/08/28 17:55
:PC
:Beg9qYHI
#37 [朔]
「俺達はお前の姉さんに裏切られた。椿を嫁にする事が
叶わないのならせめて血を分けたお前の中に俺達の悔しさを吐き出してやる…恨むなら姉さんを恨むんだ」
そう言って椿の腕の中で文子は悔しさや恐ろしさのあまり
気を失ってしまう…
―…文子が目を覚ました時にどれくらいの時間が経っていたのか?
家の中はパチパチ炭が燃える音が聞こえいつものように
椿が暖を取りながら穏やかな優しい顔で自分の方を見た。
まるで何もなかった夢だったのかと思うほどにいつもと
変わらない椿が少し怖かった…
:08/08/28 18:00
:PC
:Beg9qYHI
#38 [朔]
それから文子が嫌な出来事を忘れかけたある日…
隣人から嫌な話を耳にする。
「岬の淵で男の死体が上がった…顔が人間の仕業とは思えない
ぐらいにグチャグチャにされていて、それは無残な物だった」
文子はその言葉を聞いてすぐに頭に浮かんだのは
自分を強姦した男と…椿だった。
まさかとは思いながら椿に尋ねる事すら出来ずに
また月日が流れて椿が嫁ぐ日が来た。
:08/08/28 18:06
:PC
:Beg9qYHI
#39 [朔]
―「…で…どうなったの?」
おじさんの話し方があまりにも上手で聞き入っていた
あたし達の静寂を破ったのは雪実だった。
「ちょっとー…雰囲気をぶち壊さないでよ!」
和菜が雪実に文句を言うとおじさんはまぁまぁと
場を慰めて話の続きを話し始めた。
―…あたしはどうしてだろう?
おじさんの話とよく似た風景が頭の中に流れる。
まるで…
:08/08/28 18:10
:PC
:Beg9qYHI
#40 [朔]
「アンタガ私ヲ殺シタンダカラ…」
―…え?
確かに聞こえた低くしゃがれた声は耳元で囁き
パサリと長い髪の毛が顔に触れた感触がある。
"誰があたしの側で長い髪の毛を振り乱しているの??"
手に滲み出る嫌な汗と確かに感じる人の気配に
鳥肌が立ち見てはいけないと分かっていたのに振り向こうと
したあたしに和菜が大声を出し
「振り向いちゃダメ!!!!!」
:08/08/28 18:14
:PC
:Beg9qYHI
#41 [朔]
―…突然の大声に千穂がキャーッと叫び雪実は
おじさんに抱きついて…あたしは気を失った。
次に目が覚めた時にはペンションのベッドの上だった。
あたしの手を握り締めて心配そうに顔を覗き込ませる
和菜に気がついて少しだけ笑った。
「……あたし気失ったんだね?」
その言葉に和菜は少し悲しそうな顔をして言葉なく
小さく頷いた。
:08/08/28 18:19
:PC
:Beg9qYHI
#42 [朔]
どうして和菜はあんな事を言ったのか…
「振り向いちゃダメ!!!!!」
まさかあたしが感じていた気配を和菜はその目で
しっかりと見ていたんだろうか…?
「ねぇ…和菜…」
「…ん?」
窓から入り込む涼しくて少し肌寒い風がスーッと体を
癒してくれている気がした。
:08/08/28 18:22
:PC
:Beg9qYHI
#43 [朔]
「どうして…あの時…振り…「今は言えないけど明日、家に
帰ってから話すよ」
今度は険しい顔をしてあたしの聞きたかった言葉を遮ると
ただ窓から見える暗い闇を見つめながら言った。
―…次の日
結局、雪実と千穂はあの出来事が怖すぎておじさんの
家で朝まで起きていたという。
しかもおじさんを道連れに…(汗)
:08/08/28 18:25
:PC
:Beg9qYHI
#44 [朔]
和菜と自分の部屋に戻ると千穂と雪実が心配そうに
あたしの方へと駆け寄ってくれる。
「ちょっと…大丈夫!!??」
「…無理しちゃダメだよ?」
嫌味の1つでも言ってくれればいいのに…
みんなの気持ちが嬉しくて自分のせいで旅行を
台無しにしてしまった事が悔やまれて仕方なかった。
「ごめんね…あたしのせいで…」
:08/09/11 17:12
:PC
:.5ej1FR.
#45 [朔]
そう言って頭を下げたあたしに和菜と雪実と千穂は
「卒業しても一緒に4人で旅行に行けばいいじゃん!??」
って言って笑ってくれた。
―…その日の夕方
行きと同じように電車に乗って駅まで着くと
和菜のお母さんが車で迎えに来てくれていた。
その隣には見覚えのある車…
:08/09/11 17:15
:PC
:.5ej1FR.
#46 [朔]
「あれ!?お母さんだ!!」
重い荷物を抱えながら歩くあたしに心配そうな
表情で母さんが小走りで近づく。
「ひな乃!!大丈夫なの!?」
「あー…連絡あったんだぁ…」
「もう!!ホントに驚いたんだから!!!ビックリさせないでよ!
ほら…荷物貸して。車に積むから」
「ありがと…」
いつもと違う様子の母さんにこっちが気を使ってしまう…
:08/09/11 17:18
:PC
:.5ej1FR.
#47 [朔]
あたしとお母さんのやりとりを眺めていた3人はバイバイと
手を振ると車は走り去ってしまった。
「…いい所だったの?」
「うん。料理もね美味しかったよ?」
母さんは良かったわねと笑って返事した。
家に着いてさっそく撮ったデジカメの写真を
パソコンに落とし見ていたら…
「あれぇ…写ってないや…これ…誰だろ?」
大きなパソコンの画面で見る写真には赤いぼやけた線が
入り込みその後ろに誰かが写っているようだった。
:08/09/15 16:58
:PC
:K/cyfb7c
#48 [朔]
「これもだ…やだ…これも…」
確かに撮れていたはずなのに…そこに映っている赤い光や
ぼやけた線のおかげで肝心なあたし達が見えない。
一枚や二枚ではなく…五枚、六枚と数が増えていく…
「もうっ!!!壊れちゃったの!!??」
返事をする訳でも謝ってくれる訳でもないのに
機械に大きな声で八つ当たりする自分が情けなくて
諦め半分でページを進めていく。
:08/09/15 17:03
:PC
:K/cyfb7c
#49 [朔]
「これも…これも…あー…これもだ……あ…れ?」
もうほとんどまともに映っていない写真を眺めていると
十二枚目ぐらいになって徐々に赤い線や光が薄れているのに
気がついた。
マウスをクリックするスピードが速まってページが
どんどん進んでいくほどに写真は見えやすくなっている。
"もしかしたら後ろの方の写真はちゃんと見えるかも"
はやる気持ちで写真を眺める…
:08/09/15 17:09
:PC
:K/cyfb7c
#50 [朔]
「あー…良かったぁ…写真…無事なのがあったぁ…」
二、三枚ではあるけれど和菜と撮った写真とおじさんに
撮ってもらった四人で写した写真は残っていた。
「…一枚もないよりはいいよね?」
自分に言い聞かせるようにそう呟くとその写真を
印刷する事に決めてプリンタのスイッチを押した。
その日の夜に和菜から来たメールにも写真が
ちゃんと撮れていなくてショックだったと書いてあった。
:08/09/15 17:14
:PC
:K/cyfb7c
#51 [朔]
その日の夜…
不思議な夢を見た。
あの岬の前に私は立ち海を見下ろしている…
ただ、きれいな海だと心を休めている私の背後から声が聞こえ
振り向くとそこには…
「ん…」
まだ、覚めぬ夢の途中で誰かに呼ばれた気がしてふと眼を
うっすらと開けるとそこには見た事もない恐ろしい形相の
女の顔があった。
:09/02/25 17:09
:PC
:RCrA4Y7A
#52 [朔]
それが夢なのか現実なのか区別の出来ないまま
声にならない叫びをあげようとする私の顔を見て
女はククと笑いそのままスーッと消えた。
「……だ…誰か…」
体には女の重みや低い笑い声が耳に残り
どうしようもない恐怖にかられるのに時間がかかり
腰が抜けて力の入らない体を動かし母の元へと急いだ。
あたしは母さん声に安心し布団に潜り込むと気を失うように
意識を手放した。
:09/02/25 17:15
:PC
:RCrA4Y7A
#53 [朔]
ー…次の日
あれは夢だったのか…生々しい感触を思い出せば
ぞわりと気味の悪い感覚を覚える。
「昨日はどうしたのよ??…もう…びっくりするじゃない」
目の前に並べられた朝食も食べる気がせず
母さんの文句にため息をつく。
「行ってきます…」
牛乳を一気に喉に流し込んで学校へと向かった。
:09/03/10 16:30
:PC
:EZ2iGBF6
#54 [朔]
学校への通学途中…
とぼとぼと歩くあたしの肩をポンッと和菜が叩いた。
「おはよ!どうしたの??」
顔を覗き込みながら心配そうに尋ねる。
昨日の事を和菜に話した方がいいのかな…
「あのね…」
「和菜!!ひな乃!!おはよ!!!」
「おはよぉ」
雪実と千穂がいつも通りと同じようにあたし達に
声をかけた。
:09/04/13 13:38
:PC
:METF5QIk
#55 [朔]
学校に着き蒸し暑い教室に見慣れた顔が並び
自分の席に荷物を置くと和菜の席に向かう。
「ねぇ…和菜…」
「ん??」
ノートをウチワ代わりにしながら和菜が暑そうに
眉をしかめて答える。
「昨日さ…変な事あって…」
「変な事…??」
怖がりの千穂と雪実がそばにいない事を確認して
話し始めた。
:09/04/13 13:48
:PC
:METF5QIk
#56 [朔]
あたしの話を聞き始めて和菜の表情が強張っていくのが分かり
話す途中で生々しい感触や声を思い出しそうで握った掌を
固く閉じた。
「実はさ…デジカメの写真…見せるつもりはなかったんだけど…」
そう言って和菜がバッグからデジカメを取り出して
躊躇しながら見せる。
それは、着いたその日に4人で撮った写真で見た感じ、違和感がなかった。
「何…??どこ…??」
あたしの言葉に和菜がゆっくりと指をさす。
:09/04/19 16:27
:PC
:GplJ4xmQ
#57 [朔]
それはペンションに着いたその日に撮った写真…
何てことはない思い出の1枚になるはずだった。
「ここ…ほら…」
大きな桜にもたれかかりカメラに向かい笑うあたし達の背後に、
こちらを見つめる女性らしき人影…
俯き加減で視線だけをカメラに向け睨むような無気味な表情…
「ヤダッ!!!!!」
急いで和菜にデジカメを返す。
耳元で昨日の笑い声が聞こえた気がした…
:09/04/19 16:57
:PC
:GplJ4xmQ
#58 [朔]
大きな声に千穂や雪実が、慌てて飛んで来ると心配そうに何があったのかと聞いて来る。
怖がりの千穂には絶対に言えない…
和菜は、とっさに自分が怖い話聞かせちゃってとフォローを入れた。
千穂は、案の定聞いてもいないのに涙目になり雪実は驚かさないでよと苦笑いを浮かべる。
「ごめん…怖すぎて…」
作り笑顔だってバレないように見せると小さくため息をついた。
:09/04/19 19:51
:PC
:GplJ4xmQ
#59 [朔]
―…その日
学校は昼で終わり4人でカラオケの前の腹ごしらえでお気に入りのカフェに向かっていた。
もう、お店が目と鼻の先まで近づいた時に雪実の携帯が鳴り相手はペンションの叔父さんからだった。
ちょっと嬉しそうな雪実にあたし達はニヤニヤ笑い何も聞かないフリをしながら聞き耳を立てる。
「もしもし?どうしたの?」
うんうんと笑顔を浮かべていた雪実が、一瞬眉をしかめてこっちを見つめる。
「…勘違いだよ?あたしを含めて4人で泊まったじゃん!!!」
雪実は、それからすぐに電話を切ると微妙な笑顔を見せた。
:09/04/20 01:42
:P905i
:azJA.dzg
#60 [朔]
「どぅしたの?」
千穂が聞く。
「おじさんがさー…変な事言うから…」
「変な事?」
質問した和菜に雪実が首を傾げて携帯を見つめる。
「一緒に来てた…あの子は誰だったっけ?って言い始めて…忘れ物があったから近い内に持って行くって…」
……忘れ物?
:09/04/20 01:47
:P905i
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