宝物。
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#300 [みぉり]
フェンスに掛けていた指の力が抜けて、するりと落ちた


・・・・楓・・ちゃん



凪が笑って、走ってる楓ちゃんに声を掛けてる




・・・・・・・ーーーっ嫌だっ



自然と心でそう願っている自分にはっとして
思わず、口元に手をあてた

⏰:08/10/25 22:49 📱:PC 🆔:OsnuXMHg


#301 [みぉり]
瞬間、凪がこちらを見上げて視線が合ってしまった



思わず後ろ向きにフェンスに寄りかかる



・・・・・気づかれた・・・・よね



屋上に出入り出来る生徒なんて・・・・限られてる



凪が私に気づくのだって自然なこと

⏰:08/10/25 23:47 📱:PC 🆔:OsnuXMHg


#302 [みぉり]
だから、私が明らかに視線を逸らした事だって気付いたはずだ



あぁ・・・・また、凪と距離が空いてしまった



フェンスに寄りかかり、頭をもたげていたが、耐え切れずにしゃがみこんだ

⏰:08/10/25 23:50 📱:PC 🆔:OsnuXMHg


#303 [みぉり]
なんでこうなっちゃうの・・・?



さっき、凪と楓ちゃんの事は気にしないって決めたばかりなのに



凪と目線が合った時に、笑って手を振るだけで良かったのに





どうして、自分から『幼馴染』を崩そうとしちゃうんだろう

⏰:08/10/25 23:51 📱:PC 🆔:OsnuXMHg


#304 [みぉり]
戻りたい、普通にしたいって言ってるのに



言葉と行動はちぐはぐで・・・・




こんな自分が嫌でたまらない

⏰:08/10/25 23:52 📱:PC 🆔:OsnuXMHg


#305 [みぉり]
「うっ・・・・ぇ・・・・っ」



アスファルトの地面にぽたぽたと落ちていく涙



落ちてはその部分が変色し、じんわりと黒く広がっていく



「ふっ・・・ッ・・・・うぅ・・・・」



確実に大きく広がっていく黒い染みを見つめながら、溢れるな涙を抑えきれない

⏰:08/10/25 23:58 📱:PC 🆔:OsnuXMHg


#306 [みぉり]
「ーーーっおぃッ」



突然、聞き覚えのある声が聞こえた



思わず顔をあげると、そこには驚きと困惑を隠せない顔で立つ一人の姿があった

⏰:08/10/26 00:01 📱:PC 🆔:WmVD4FgU


#307 [みぉり]
「・・・・・森・・・くん・・・・?」



きっと今の私は涙でぐしゃぐしゃの顔を森君に見せてるだろう


だけど、こんな状況でも涙は止まる様子もない



「どっどうしたんだよ?!?!」



森君は私のすぐ近くまで駆け寄ってくる

⏰:08/10/26 00:08 📱:PC 🆔:WmVD4FgU


#308 [みぉり]
・・・・・・・・・凪かと思った






一瞬でも、声をかけられた時、凪だと思ったの




私に気付いて屋上まで来てくれたなんて・・・・




一瞬でも、そんな甘い事を考えた・・・・・



ううん、願ったんだ

⏰:08/10/26 00:10 📱:PC 🆔:WmVD4FgU


#309 [みぉり]
そんな事あるわけないのに・・・・・あんな風に露骨に視線を逸らしたのは私で



凪を付けて嫌な思いをさせてしまったと思っているのに




それでも、心のどこかで淡い期待を抱いていたんだ




「ばかだなぁ・・・・」

⏰:08/10/26 00:13 📱:PC 🆔:WmVD4FgU


#310 [みぉり]
思わず笑ってしまったけれど、余計に涙が込み上げて来てどうしようもない




「・・・・・・・・」



森君が目の前に立っているのもわかっているけど、嗚咽を堪えきれない



「うっ・・・うぇ・・っ」





ぐいっ

⏰:08/10/26 00:17 📱:PC 🆔:WmVD4FgU


#311 [みぉり]
コンクリートの黒い染みだったはずの視界が一変して、真っ白になった



思わず、目を見開いて両手を動かすとそこには温かいぬくもり




「泣け」




さっきよりもずっと近い距離で聞こえる声

⏰:08/10/26 00:20 📱:PC 🆔:WmVD4FgU


#312 [みぉり]
「わけわかんねぇけど・・・・・気が済むまで泣けよ」



ぎゅうっと力をこめて私を抱きしめるそのぬくもりに



なぜだか、許された気持ちになった



森君の腕にしがみついて、声を上げて、泣いた

⏰:08/10/26 00:37 📱:PC 🆔:WmVD4FgU


#313 [みぉり]
━━━━ーーーーー…………
凪side



「ーーーっはぁっ・・・はぁっ・・・っ」



階段を一気に駆け上がり、開け放たれたままの扉から見えたのは



有希が男に抱き締められている姿だった




思わずその場に固まった

⏰:08/10/26 00:40 📱:PC 🆔:WmVD4FgU


#314 [みぉり]
なん・・・だ・・・?


有希が・・・・男・・・と・・・・



抱き締めている男の顔はここからは見えない


けど、その男を有希は突き飛ばすわけでもなく受け入れている



俺が二人の姿を見つけてから、数十秒経っても離れる様子は、ない

⏰:08/10/26 01:10 📱:PC 🆔:WmVD4FgU


#315 [みぉり]
俺の思考はパンク寸前で、目を離すことが出来ずに居た



有希が俺の知らない男と一緒にいる所なんて、これまでたくさん見てきた



みんな『友達』なんだと思ってた




だけど、今目の前にあるこの光景が示すのは『友達』とは思えない

⏰:08/10/26 01:55 📱:PC 🆔:WmVD4FgU


#316 [みぉり]
・・・・なんだよ・・・・なんなんだよこれはっー・・・



立ち尽くしていた両手を強く握り締める





有希っー・・・・俺のこと、好きだって言ってたんじゃねぇのかよ?!



つい、二日前のことだぞっ?!?!



「・・・・ーっ」

⏰:08/10/26 01:57 📱:PC 🆔:WmVD4FgU


#317 [みぉり]
喉元まで出掛かった言葉に、驚いた



何・・・考えて・・・・




俺は有希にそんなことを言える立場ではないのに



有希を傷つけて、それでも尚、金曜の夜がなかったかのように接しているのに

⏰:08/10/26 02:03 📱:PC 🆔:WmVD4FgU


#318 [みぉり]
自分でついた嘘に、今更ながら激しい後悔が打ち寄せる



もし・・・もしも、あの金曜の後に素直に言っていたら違ったんだろうか



本当は彼女もセフレも居やしないと、そう伝えていたら



有希の涙を見ることも、その想いを知ることもなく




いつものように、笑ってなんてことのない会話を楽しんでいられたんだろうか

⏰:08/10/26 02:09 📱:PC 🆔:WmVD4FgU


#319 [みぉり]
そう考えて、首を振った



違う・・・そんなタイミングはたくさんあったじゃないか



だけど、俺はっ・・・・結局、怖くて言えないだけなんだ



あの日、あの金曜の夜、俺は心のどこかでラッキーだと思った



有希と離れられる良いチャンスだと、そう思ったんだ

⏰:08/10/26 02:16 📱:PC 🆔:WmVD4FgU


#320 [みぉり]
俺は、嫌われることが怖くて、
自分のしでかした罪がばれるのが怖くて



だけど、そんな状態でずっと真っ直ぐな有希と接するのもどこか苦しくて・・・・



自分から口火を切って、突き放すことも出来やしないから



『後を付けてきた有希が悪い』と。
勝手に理由をつけて、傷つけることを選んだんだ

⏰:08/10/26 02:20 📱:PC 🆔:WmVD4FgU


#321 [みぉり]
それなのに有希は、泣きながら俺を好きだと言っていた



あんなにひどい事を言って傷つけた俺を好きだと言っていたのに




今、目の前にいる有希は男に抱き締められることを受け入れている



自分から離れることを望んだくせに、有希は、俺が有希の想いを知っていることを知らないのに



ふつふつと湧き上がるどす黒い感情が、確実に俺の中に広がっているんだ

⏰:08/10/26 02:26 📱:PC 🆔:WmVD4FgU


#322 [みぉり]
そんな気持ちを抱えたまま、見ていた二人がすっと離れるのが見えた



どこかほっとしたような、そんな気持ちを抱いた瞬間




一気に血の気がひいた

⏰:08/10/26 02:33 📱:PC 🆔:WmVD4FgU


#323 [みぉり]
離れたことではっきりと見えた有希は、間違いなく泣いていた



いや、泣いた後だったー・・・・



遠くからでもわかる、その表情で、仕草で、身体の呼吸する動きで



きっと嗚咽するくらい泣いていたんだ

⏰:08/10/26 02:34 📱:PC 🆔:WmVD4FgU


#324 [みぉり]
思わず、駆け出しそうになったが、足を止めた


「・・・−っ」



有希が、俺の見たこともないような笑顔で抱き締めていた男に話しかけていたから



俺は、有希の涙を見てとっさに、抱き締めている男のせいだと思った



だから駆け出そうとした

⏰:08/10/26 02:37 📱:PC 🆔:WmVD4FgU


#325 [みぉり]
でもそれは違う、絶対に違う



有希は笑ってる、きっと抱き締めていた男に慰められていたんだ



有希の笑顔でそれが十分にわかった

⏰:08/10/26 02:39 📱:PC 🆔:WmVD4FgU


#326 [みぉり]
俺は少しずつ、後ろに下がりながらやがて向きを変えて階段を折り始めた



ゆっくり、静かに、でも確実に



有希と



抱き締めていた男から離れた

⏰:08/10/26 02:47 📱:PC 🆔:WmVD4FgU


#327 [みぉり]
俺のせい・・・・か・・・・?


有希が泣いたのも、他の男を頼ったのも




全部、全部・・・・・俺のせいじゃないか

⏰:08/10/26 03:04 📱:PC 🆔:WmVD4FgU


#328 [みぉり]
「はっ・・・・・」



自嘲的に笑いながら玄関に向かって歩く



日が傾いてきて、うっすらオレンジ色に染められた廊下に俺の足音だけ響いていた



・・・・・有希、ごめん

⏰:08/10/26 16:31 📱:PC 🆔:WmVD4FgU


#329 [みぉり]
ごめんな



いつだって、お前は真っ直ぐに俺に向き合ってきてくれたのに



俺がはっきりせずに、
遠まわしにお前から距離を取ろうとしたから



訳がわからず困惑しているだろうに、完璧に繋がりを断ち切ることは怖くて

⏰:08/10/26 16:35 📱:PC 🆔:WmVD4FgU


#330 [みぉり]
表面的な『幼馴染』を装ってしまってるんだ



互いにその違和感を隠し切れないのに、それでも互いに突き放せずにいる




あの金曜の夜からまだ1週間も過ぎていないのが実際で



だけど、俺も有希も、互いのこの空気に耐えられなくなってるのも事実

⏰:08/10/26 16:40 📱:PC 🆔:WmVD4FgU


#331 [みぉり]
有希は、本当は俺に聞きたいはずだ



いつもなら、すごい剣幕でまくしたてて話をしていたはずだ



『なんでバイトのこと、教えてくれなかったの』


『セフレって何?!何考えての?!』



有希が言うだろう台詞と顔がすんなりと想像出来て、思わず笑った

⏰:08/10/26 16:49 📱:PC 🆔:WmVD4FgU


#332 [みぉり]
屋上にいた有希を見上げて、視線を逸らされた時




背筋がぞっとした




俺から離れると決めたはずなのに、有希に逸らされたのが怖かった




気付いたときには、屋上へ向かって走っていた

⏰:08/10/26 16:56 📱:PC 🆔:WmVD4FgU


#333 [みぉり]
「・・・・・なんて言うつもりだったんだか」



扉から見えたのは、俺にとって衝撃的なものだったけど



仮に、有希が一人で居たとして俺は屋上に脚を踏み入れられたのだろうか



涙を流している有希に言葉をかけるなんて事をする勇気があったのだろうか

⏰:08/10/26 22:12 📱:PC 🆔:WmVD4FgU


#334 [みぉり]
いつのまにか、玄関に辿り着いて靴を履き替えようとして気付いた



・・・・・外靴のままだ、俺



靴を履き替えることを忘れるくらい、急いで屋上に向かっていたらしい



それくらい、有希に突き放されることが怖いんだ



・・・・・・・自分からはそうしたくせに、

⏰:08/10/26 22:18 📱:PC 🆔:WmVD4FgU


#335 [みぉり]
そのまま玄関を通り、再び校門へと向かって歩く



有希と目が合った場所まで来て・・・・再び、屋上を見上げたがそこに二人の姿はなかった




有希は俺を好きだと言った



それを聞いて、どうしたらいいかわからなくなった

⏰:08/10/26 22:20 📱:PC 🆔:WmVD4FgU


#336 [みぉり]
だけど、同時にものすごく安心したんだ



あんな事を言って、軽蔑されたと思っていたから



有希の想いを聞いた時、本当に心の底から安堵したんだ




だけど・・・・・俺にとって有希は『幼馴染』でしかない

⏰:08/10/26 22:22 📱:PC 🆔:WmVD4FgU


#337 [みぉり]
俺にとって有希は、家族みたいなもので『好き』とか『嫌い』という枠に収まらない



それは有希も同じだと思っていた



思っていたのに・・・・実際は違っていて、所詮は俺がそう思い込んでいただけだった



中学の時から、彼女がいないなんて事はなかった

⏰:08/10/26 22:31 📱:PC 🆔:WmVD4FgU


#338 [みぉり]
中には俺から、告白して付き合った人だっている



だけど、いつも最後は俺が振られて終わるんだ



俺なりにいつだって一生懸命に相手と向き合っているつもりなのに



決まって最後は『恋愛ごっこはやめにしよう』って言われる



俺の付き合うって事は『相手を好き』だからじゃなくて『恋愛がしたいだけ』だと思われるんだ

⏰:08/10/26 22:34 📱:PC 🆔:WmVD4FgU


#339 [みぉり]
ふぅっとため息をつきながら、家路を辿る



傾きかけていた陽は今や完全に夕陽と化して、空を真っ赤に染めていた

⏰:08/10/26 22:38 📱:PC 🆔:WmVD4FgU


#340 [みぉり]
「ただいまー」



玄関からそのまま自分の部屋へと向かう



扉を開けてすぐに目に付くのは、壁に張られた無数の写真



友達と、家族と撮った写真達



そのほとんどに有希も写っている

⏰:08/10/26 23:44 📱:PC 🆔:WmVD4FgU


#341 [みぉり]
荷物を机の上に置いて、貼られた写真の前に立ち、ゆっくりと見つめる



写真の中の俺と有希は、傍から見ればそれこそ恋人同士に見えるくらい一緒に写っている



家に来た彼女達が、必ず眉間にシワを寄せながら『この子、誰?』と尋ねてくるくらいに

⏰:08/10/26 23:46 📱:PC 🆔:WmVD4FgU


#342 [みぉり]
何度聞かれようとも、俺は平然と『幼馴染』と答えるだけ



けれども、彼女達はそれには納得出来ないようで、この写真達が引き金になってケンカしたり別れた事があったのも事実

⏰:08/10/26 23:49 📱:PC 🆔:WmVD4FgU


#343 [みぉり]
かといって、この写真をはずそうと考えた事なんてない



はずすことがまるで、彼女達が不安に思う原因は有希であると認めているような気がして



本当に家族だと、単なる幼馴染なんだと信じて欲しいからこそはずすことがなんだか悔しくて



ずっとそのままにしてきた、有希の部屋にも同じような写真が壁一面にあることだって俺は知ってる

⏰:08/10/26 23:54 📱:PC 🆔:WmVD4FgU


#344 [みぉり]
同じ気持ちだと思ってた



俺が有希を想うように、有希も俺を『家族』のように想ってくれているんだと思っていた



俺が失恋すると必ず励ましてくれた有希、



『しょうがないなぁ、本当に』



そう言いながらもいつだって、俺と一緒にいてくれた有希

⏰:08/10/27 00:01 📱:PC 🆔:yXpYuQc2


#345 [みぉり]
それがこれからは叶わない



俺が、離れることを決めたのだから



俺が、有希を追い詰めているのだから



俺が、有希の気持ちに応える事は出来ないのだから



有希に本当の事を知られてしまうのが、何よりも怖いから

⏰:08/10/27 00:03 📱:PC 🆔:yXpYuQc2


#346 [みぉり]
壁に貼られた写真に手をかけると、一枚ずつ丁寧にはずしていく



一枚、一枚はずしながら、その思い出を噛み締めながら




「・・・・・・・・・・これで最後・・・・か」



思ったよりも大量に貼られていた写真をはずし、最後の一枚を手にとってベットに腰掛ける

⏰:08/10/27 00:07 📱:PC 🆔:yXpYuQc2


#347 [みぉり]
「・・・・・・・っ」



その写真は皮肉にも、俺が有希と真っ直ぐ向き合えなくなるきっかけとなった日に撮ったものだった





━━━━ーーーーー…………
半年前の夏休み半ば

⏰:08/10/27 00:21 📱:PC 🆔:yXpYuQc2


#348 [みぉり]
「・・・・・あちぃ」



夏休みの炎天下の中、俺の部屋のクーラーは故障中



扇風機をフル稼働させ、窓を大きく開けながらベットに腰掛け漫画を読んでいた




「凪ぃ〜、いる〜〜?」

⏰:08/10/27 00:24 📱:PC 🆔:yXpYuQc2


#349 [みぉり]
階段下から聞こえてくるのは、聞きなれた声



「おー、上ー」



起き上がって迎えにいくわけでもなく、変わらずに漫画を読んでいるとトタトタと足音が近づいてドアが開かれた



「うわっ、何この部屋〜・・・・・」



扉を開けるなり、その暑さに顔をしかめた有希がコンビニ袋を提げて俺の部屋に入ってきた

⏰:08/10/27 00:31 📱:PC 🆔:yXpYuQc2


#350 [みぉり]
「クーラー故障中なんだよ」


「えー・・・・」


嫌そうな顔をそのままに、俺が腰掛けているベットに背をもたれながら座る



俺は変わらずに漫画を読んだままで、有希はコンビニ袋をガサガサと漁りだした



「おみあげ」


「ん?おーサンキュー」

⏰:08/10/27 00:44 📱:PC 🆔:yXpYuQc2


#351 [みぉり]
お土産の言葉に顔を向けると、俺の一番好きなアイスを有希が差し出す



受け取って、ペリペリと包装紙を剥がしてアイスを口に頬張り、再び漫画を読もうとして、違和感



「・・・・・どうした?」


「え?・・・・・や、別にぃ」



有希が静かなんて、おかしい

⏰:08/10/27 00:53 📱:PC 🆔:yXpYuQc2


#352 [みぉり]
いつもは俺が話しを聞いてようが、聞いてまいがお構いなしに話しているのに



今は、体育座りで静かにアイスを食べているだけだ



斜め上から見下ろす顔は、明らかに元気がない



俺はそっと漫画を閉じて、有希の隣に座り直す

⏰:08/10/27 00:56 📱:PC 🆔:yXpYuQc2


#353 [みぉり]
「「・・・・・・・・・・・・・・・」」



二人とも無言でシャクシャクとアイスを食べた



食べ終わると、有希は目の前に置かれていた俺のデジカメを手にとって



無意味に部屋の中でシャッターを切る



しばらくそのまま放っていると、くるりと俺に向けてシャッターを切りだした

⏰:08/10/27 01:00 📱:PC 🆔:yXpYuQc2


#354 [みぉり]
「おいっ、」



俺は食べかけのアイスを片手に有希からカメラを奪う



「何よぉ、けち」



頬を膨らませながら、悔しそうにする顔はいつもと同じ



だけど、次の瞬間には表情は沈み、伏し目がちになった



・・・・・・カメラ、取り上げなきゃよかったか



そんなことを思いながら、アイスを食べきり残った棒を捨てようととして有希が声をあげた

⏰:08/10/27 01:06 📱:PC 🆔:yXpYuQc2


#355 [みぉり]
「凪のっあたりだよぉ!!」


「へ?」



有希が俺の棒を指差して言うので、俺も棒をよくよく見るとそこには『当たり』と書かれた文字




「いいなぁ〜これ、当たりの棒を何本か貯めると温泉一泊当たるんだよっ」


有希が心底、うらやましそうに棒を見ながら言う

⏰:08/10/27 01:09 📱:PC 🆔:yXpYuQc2


#356 [みぉり]
「すげぇ・・・・アイスで旅行が当たるのかよっ笑」


驚きながら笑って言うと、有希もそれにつられて笑った



なんとなくカメラを有希に向けてシャッターを切る



「なっ・・・・何すんのよぉいきなりっ」



目をぱちくりさせながら、慌ててカメラを取り上げようとする有希にほっとして余計にシャッターを切る

⏰:08/10/27 01:12 📱:PC 🆔:yXpYuQc2


#357 [みぉり]
「ちょっ・・・・ずるいっ私が撮った時は取り上げたのにっ」


有希はジタバタしながらも必死に俺からカメラを取ろうとする



それがまたおもしろくて、シャッターを切っていると有希はクッションを抱き締めて顔を隠すようにして、動かなくなってしまった




・・・・・・・拗ねたな

⏰:08/10/27 01:15 📱:PC 🆔:yXpYuQc2


#358 [みぉり]
「おーい・・・有希ぃ?・・・・・有希ちゃん?」



様子を伺いながら、有希に声をかけると応える様子はない



こうなると有希はちょっと厄介だ



昔っから強情っぱりで頑固、なかなか人の言葉に動こうとはしない

⏰:08/10/27 01:18 📱:PC 🆔:yXpYuQc2


#359 [みぉり]
それでも、ちょこちょこ声を掛けてみたが反応なし


俺はため息をついて、そのまま再び漫画を読み出した



こういう時、ずっと有希に声を掛けるのは逆効果


有希が自分で気持ちを切り替えるタイミングを作れないから


何事もなかったかのようにしていれば、自然と有希が動き出すのを俺はよく知っている

⏰:08/10/27 01:22 📱:PC 🆔:yXpYuQc2


#360 [みぉり]
しばらくすると、隣の有希がもそもそと動き出した


俺は視線を漫画に向けたままで、特に動かない



「・・・・・・何読んでるの」



「んー・・・・推理もの」



有希がクッションを置いて、それでも顔を合わせようとはせずに尋ねてくる

⏰:08/10/27 01:25 📱:PC 🆔:yXpYuQc2


#361 [みぉり]
「・・・・・怖いやつ?」


「怖くねぇよ、この間、一緒にDVDで見たやつ」



少しずつ、いつもの会話をしながら有希が自分で、自分のむすっとした気持ちを落ち着けるのを待つ



そのうち、俺の手元の漫画を覗き込んで一緒に読み始めた



有希のペースを伺いながページをめくって、その漫画を読み終えた

⏰:08/10/27 01:28 📱:PC 🆔:yXpYuQc2


#362 [みぉり]
「・・・・・・怒ってるよ」


「はいはい、ごめんな?ふざけすぎた」



有希が俺を見上げながら呟くのを聞いて、やっと有希と視線を合わせてその頭をポンポンと撫でながら謝る



有希は、昔からどんな些細なことでも、きちっと解決しなきゃ嫌な性格で


ちょっとしたケンカでも、互いに謝る・謝られるということを律儀にする

⏰:08/10/27 01:31 📱:PC 🆔:yXpYuQc2


#363 [みぉり]
「わかればよろしい」


満足気に笑って、すばやく俺からカメラを奪い取った



「こらっ・・・・何すんだよ」



一瞬の隙をつかれて驚く俺に、してやったりと言わんばかりの笑顔を向ける

⏰:08/10/27 01:33 📱:PC 🆔:yXpYuQc2


#364 [みぉり]
また撮られると身構えた俺をよそに、有希はカメラの画像を辿り始めた



ほっとため息をつきつつ、今度は俺がカメラを覗き込むカタチで一緒に画像を辿っていく



結構前からの画像が入っているが、そのほとんどは家族か友達



「ねぇ、いつも思ってたんだけどさ?」

⏰:08/10/27 01:35 📱:PC 🆔:yXpYuQc2


#365 [みぉり]
「ん?」


辿る手と目線はそのままに有希が話し出す



「なんで、凪のカメラって彼女の写真が一枚もないわけ?」



あぁ、なんだそんなことかよ



「・・・・・一緒のとき、カメラ持ってねぇもん」

⏰:08/10/27 01:37 📱:PC 🆔:yXpYuQc2


#366 [みぉり]
「ふぅん・・・・・」



それだけ応えて、特に話を続けるわけでなく画像を辿り続け、やがてさっきの互いの画像になるとその手を止めた



「ね、そういえば最近、一緒の撮ってないねぇ」


「ぁ?・・・・・そういやぁ・・・・ないかもな」

⏰:08/10/27 01:39 📱:PC 🆔:yXpYuQc2


#367 [みぉり]
「久々に撮ろう撮ろう!!」


有希はきゃっきゃと笑いながら俺にカメラを渡す


折角だからと、なぜだか当たり棒を手にする有希



俺はそんな有希に意味不明を言いながら、いつものように二人のアップの写真を撮った



撮るとすぐに有希が画像を確認して、勝手知ったる俺のプリンターで写真をプリントして壁に貼った

⏰:08/10/27 01:42 📱:PC 🆔:yXpYuQc2


#368 [みぉり]
満足げにしている有希だけど、俺はどうしても来たときから時折伏し目がちになる事が気がかりで後ろから声をかける



「有希・・・・・なんかあっただろ」


「えー?ないよぉ」



俺に背を向けたまま、写真を見ながら応える



けれどもその声はいつもの張りがなく、何かあったのだと気付かせるのに十分だった

⏰:08/10/27 01:46 📱:PC 🆔:yXpYuQc2


#369 [みぉり]
「嘘つけ、お前と何年いっしょにいると思ってんだよ」


そう言いながらも無理に聞き出すわけでなく、有希が自分で切り出すのを待つために



再び、カメラの画像を辿りながら何も言わずにいた



有希はゆっくりと俺の方に向き直って、隣にストンと腰を下ろす

⏰:08/10/27 01:49 📱:PC 🆔:yXpYuQc2


#370 [みぉり]
「・・・・・・・あかりがね」



「あかり?」



俺が聞き返して、顔を上げると有希は今にも泣き出しそうな顔で頷く



あかりは俺の中学からの同級生、高校からは有希も一緒で有希とあかりはクラスが同じ

⏰:08/10/27 01:52 📱:PC 🆔:yXpYuQc2


#371 [みぉり]
元々、性格が似ていた二人はすぐに意気投合して、出会って間もないというのに互いに絶対的な信頼関係を持っているのを知っていた



そのあかりがどうしたというのだろう



ケンカでもしたのだろうか



想像もしていなかった『あかり』の言葉にカメラを置いて、有希をじっと見つめる

⏰:08/10/27 01:54 📱:PC 🆔:yXpYuQc2


#372 [みぉり]
何かあったのか、と尋ねた事を激しく後悔する話がこれから待っているというのに



この時の俺は、ただ単純に2人の間に何かあったんだろうと軽い気持ちで聞き始めたんだー・・・・・




━━━━ーーーーー…………
最後の写真からゆっくりと視線をはずして、大量に積み重なった写真達の上にそっと置く

⏰:08/10/27 01:58 📱:PC 🆔:yXpYuQc2


#373 [みぉり]
アンカー
>>1-100
>>101-200
>>201-300
>>301-400


感想板
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/3579/

意見・感想等いただけましたら幸いです。

⏰:08/10/27 02:04 📱:N905i 🆔:LK9sczOM


#374 [みぉり]
>>372から


そのまま、ベットに倒れこんで天井を見上げた




…………あまりに軽率だった俺の発言が今もあかりを苦しめている



そしてそれは、あかりの近くにいる有希も悲しませた

⏰:08/11/01 11:58 📱:N905i 🆔:ia9jmoiE


#375 [みぉり]
それは、変えられない現実で恭ちゃんにもつらい想いをさせた



だけど俺はその全てを、誰にも打ち明けられていない




みんなから突き放されるのが怖くて、何も言えない臆病者なんだ

⏰:08/11/01 12:03 📱:N905i 🆔:ia9jmoiE


#376 [みぉり]
━━━━ーーーー…………
有希side



「…………落ち着いたか?」



「うん…………ありがとう」




静かな放課後の教室、壁の時計が示す時刻は19時すぎ



屋上で森くんに会って、泣きたいだけ泣かせてもらって今に至る

⏰:08/11/01 12:11 📱:N905i 🆔:ia9jmoiE


#377 [みぉり]
偶然、出会った屋上で泣き崩れたのに何も聞かずに傍にいてくれた



「………ごめん…ね」




ポツリ呟いた声は自分でも驚くほど、小さいもので視線は床を見つめたまま

⏰:08/11/08 12:40 📱:N905i 🆔:H7xqIuI2


#378 [みぉり]
「ん………」



多分、森くんは私を見てる
顔をあげれば真剣な面持ちでいるだろうことは予想出来ている


だから余計に顔をあげられない


昼間に言い合いにも似たやりとりの後にこんなカタチで、会うとは思いもしなかったし……

⏰:08/11/09 14:35 📱:N905i 🆔:gCJzhQEM


#379 [みぉり]
だけど、こんな時間まで付き合ってくれたし……なんと言ったらいいんだろう



「……………幼馴染みがいいって……」



「……………え」



言い訳を考える事に集中していた私は、突然の森くんの言葉に思わず顔をあげてしまった

⏰:08/11/09 14:46 📱:N905i 🆔:gCJzhQEM


#380 [みぉり]
見上げた先の森くんは、やっぱり真剣な面持ちでいて昼間のように眉間にシワを寄せていた



「………同じことを思った事がある」



「え?…………何が?」



言葉の意味を問い掛ける、同じことって?

⏰:08/11/09 22:06 📱:N905i 🆔:gCJzhQEM


#381 [みぉり]
私の声に森くんは静かに息を吐き出してから、立ち上がり窓に向かって立った



しばらく、何も話さず私も声をかけられず、ただ黙って待った



陽が完全に暮れかけて、電気を点けていない教室は真っ暗で窓から漏れる街灯がぼんやりと森くんの表情を映し出す

⏰:08/11/09 22:12 📱:N905i 🆔:gCJzhQEM


#382 [みぉり]
「幼馴染がいい・・・・お前の言葉と同じ事を思ってたんだ、俺も」


ぽつりと呟く森くんの声に、じっと耳を傾ける



「幼馴染がいいと思った、そのままで居たいと思った・・・・だから、気持ちを伝えずにいようと努力した」



森君はどこか遠くを見るような眼差しで、続ける

⏰:08/11/10 00:37 📱:PC 🆔:LKLcl7/I


#383 [みぉり]
「始めは思ったよりも楽だった、あいつは毎日変わらずに俺といたし・・・・・・けど、途中でつらくなった」



声のトーンをぐっと下げて、ゆっくりと私の方を振り向く



ドキン・・・・・ドキン・・・・・



なぜだかわからないけれど、私の心臓は大きく音を立てて鳴っていて森くんから視線を逸らせない

⏰:08/11/10 00:41 📱:PC 🆔:LKLcl7/I


#384 [みぉり]
「学年があがって、俺の知らない場所にあいつの新しい居場所があって・・・・・一緒に過ごす時間は変わらないのに、俺の知らないことばかりが増えていって・・・・・」




森くんの言葉が、いつかの自分を思い出させる


同じことを不安に思った


けれども、それは自然なことなんだと


自分の気持ちを見つめようとしなかったから納得して過ぎてきた

⏰:08/11/10 00:45 📱:PC 🆔:LKLcl7/I


#385 [みぉり]
でも森くんは違う



自分の知らない一面が増えていく前から、その幼馴染のことを想っていたのなら、その苦しさはきっと、今の私とは比べものにならない



「・・・・・縛れないって分かってる。俺は単なる幼馴染なんだと思ってみても、どうしたって悔しくて何よりも・・・・・あいつが離れていくことが寂しかった」




森くんが悲しそうに顔を歪めて、でも口元は笑いながら続ける

⏰:08/11/10 00:50 📱:PC 🆔:LKLcl7/I


#386 [みぉり]
「自分で伝えないと決めたのに、それが自分を追い詰めたんだ」


森くんの言葉が痛いほど、心に、頭に突き刺さってくる



本当はここまで自分の状況と酷似した話なんて聞きたくはない。



けれど、森くんの話し方が”過去形”だから、その行く末が気になって、聞き入ってしまう

⏰:08/11/10 00:57 📱:PC 🆔:LKLcl7/I


#387 [みぉり]
「………だから、お前の話を聞いた時は、すごく驚いた」



「え?……………ぁ…」



そうか、

森くんがあんなにも私の事を見抜けたのは、同じ経験があったから


はっと思い当たった私に、森くんは目を細めて笑う

⏰:08/11/10 04:03 📱:N905i 🆔:LHKklqQ.


#388 [みぉり]
「お前を見て・・・・・前の俺もこんな感じだったのかなぁって思えて少し笑っちまった」


「笑うって・・・・失礼ねぇ」



私も負けじと言い返すと、森くんはくくっと笑って再び窓の外に視線を戻した



再び、沈黙・・・・・私は今、森くんがその幼馴染とどういう状態にあるのか、森くんは・・・・・どうしたのかをすごく知りたくて、彼の言葉を待った

⏰:08/11/10 14:58 📱:PC 🆔:LKLcl7/I


#389 [みぉり]
けれども、森くんは何も言わずにずっと外を眺めているだけで


膨らみすぎたソワソワする気持ちを抑えきらず、私から切り出した




「今・・・・は?」


「ん?」


こちらを向くわけでなく、森くんは聞き返す

⏰:08/11/10 15:04 📱:PC 🆔:LKLcl7/I


#390 [みぉり]
ドキン・・・・ドキン・・・・


ゆっくり大きく鳴る心臓を抑えながら、今知りたい事を言葉にする



「今は、その幼馴染とは・・・・どうしてるの?」



私の言葉に森くんは、もう一度私に向き直る
その表情は不思議と穏やかな感じで、静かな笑みを浮かべていた



ドキン・・・・・ドキン・・・・・・

⏰:08/11/10 15:07 📱:PC 🆔:LKLcl7/I


#391 [みぉり]
「やめた」




「・・・・・・・・・・へ?」




意味がわからず、困惑する私に森くんは笑顔で告げる






「やめたんだ全部、あいつを好きでいることも幼馴染でいることも」

⏰:08/11/10 15:13 📱:PC 🆔:LKLcl7/I


#392 [みぉり]
ドクンーッ・・・・・



聞かなきゃよかった



きっと私の顔にはそう書いてあるに違いない



自分とあまりに良く似た状況を経験した人に、どこか期待して聞いていた



”どうやって幼馴染でいる関係を保っているのか”

⏰:08/11/10 15:15 📱:PC 🆔:LKLcl7/I


#393 [みぉり]
”好きって伝えた相手の反応はどうだったのか”


”伝えた後に何か変化はあったのか”




森くんの答えが”幼馴染のまま”だろうが”恋人”であろうが聞きたいことは山ほどあると考えていた



けれど、その答えは私の予想していなかったもので
最も私がなりたくない立場そのものにいるという現実だったー・・・・

⏰:08/11/10 15:17 📱:PC 🆔:LKLcl7/I


#394 [みぉり]
自然とゆっくり、俯いてしまった私の頭にぽんっと重みを感じた



「…………聞かなきゃよかったって思ってんだろ?」



ずばり心の内を当てられて、ビクンと体が動く



「まぁ…………そりゃ俺だってそんなことはしたくなかったんだけどよ」

⏰:08/11/12 19:12 📱:N905i 🆔:mIPh37fs


#395 [みぉり]
私の頭に手を乗せたまま、穏やかな口調で話す森くんは、どんな顔をしているんだろう



さっきみたいにほほ笑みを浮かべたままだろうか



それとも………




顔をあげようと、少しだけ頭を動かすと森くんは手をよけた


「欲しくて仕方なかった」

⏰:08/11/12 19:16 📱:N905i 🆔:mIPh37fs


#396 [みぉり]
顔をあげた先にいる森くんは、やっぱり笑っていた


だけど、さっきの笑みとは明らかに違う淋しそうな瞳でいて………私は何も言えず、黙って話に耳を傾ける




「だんだん幼馴染みでいる事が苦痛になって、だけどあいつは無防備で………このままじゃ、最悪なカタチに俺自身が動きそうだった……欲しくて欲しくて……………あいつを傷つけるくらいならいっそ離れてしまえばいいと思ったんだ」



淡々と続ける森くんの顔からはいつしか笑みは消えていた

⏰:08/11/12 19:26 📱:N905i 🆔:mIPh37fs


#397 [みぉり]
ドキッ―………


だけど、その言葉には森くんの切なげな気持ちが詰まっていて心臓が跳ねた



「……後悔……して……る?」


「…………さぁ、どうだろうな」


私の問い掛けに、天井を見上げながら話す



「……してないとなったら嘘になる………だけど………あの時の俺にはそれが精一杯だったんだ………だから、これで良かったんだと信じてる」



まるで自分に言い聞かせるように呟く姿に、その横顔に、確実に潤みを持ってしまっている瞳に、思わず立ち上がった

⏰:08/11/12 19:39 📱:N905i 🆔:mIPh37fs


#398 [みぉり]
ガタンッー・・・・


「ーーっ・・・びびったぁ・・・・お前、いきなりー・・・・ッ」



突然の音に、森くんが慌てて視線を下ろしている間に私は彼の前まで歩く


「?」


私よりもずっと高い身長で、今の私の行動に首を傾げる森くんを見上げた

⏰:08/11/13 01:00 📱:PC 🆔:C/s/P5Ak


#399 [みぉり]
少し背伸びをして、右手で森くんの頭に手をあてる


「?何??」


「・・・・ッだっ大丈夫だよ・・・・森くんは、間違ってないッ」



視線を合わせて、そう言いながら初めて出会ったときに森くんがしてくれたようにその頭をぽんぽんっと撫でた


「・・・・・−っ////」

⏰:08/11/13 01:04 📱:PC 🆔:C/s/P5Ak


#400 [みぉり]
瞬間、森くんの顔がみるみる内に真っ赤に染まっていく
それはもういわゆるユデダコの状態だ


「えっ?!ごごごごごめんっ」


予想だにしていなかったその反応に、反射的に手を下ろすも逆に私もオロオロして、自分のしたことが恥ずかしくなっていった


・・・・だだだって!!森くんがこんなに真っ赤になるなんて想わなかったからっ・・・・あーっ!!!なんで頭撫でちゃったりしたんだろ〜・・・////

⏰:08/11/13 01:44 📱:PC 🆔:C/s/P5Ak


#401 [みぉり]
そんなことを思ってみても、後の祭りでなんとも言えない空気が流れてしまった

互いに、沈黙



…………うぅ……私ってバカ?
いや、だってさ?なんか、こー…森くんが淋しそうだったし、励ましたかったから……いやいや、でも撫でるのは子ども扱いみたいだったかな……うー……



真っ赤な顔を見合わせたままだったのを破ったのは森くんだった

⏰:08/11/13 04:22 📱:N905i 🆔:S4B9qLtA


#402 [みぉり]
「…………バカ、じゃねぇの///」


「はっ!?バカってッ……いや、バカかもだけど……だって…………うーん、なんか………うん、撫でてしまいました………。」



バカ呼ばわりされて言い返したかったけど、
相変わらず真っ赤な顔で
必死に紡いでくれた言葉を
無碍には出来なくて、
ぺこりと下げた頭をあげると、
少し薄くなった赤い顔で、笑う姿に私もつられた

⏰:08/11/13 04:27 📱:N905i 🆔:S4B9qLtA


#403 [みぉり]
「…………帰るか」
「うん」


一息ついて、静かに教室を後にする
廊下はもちろん真っ暗で
どちらともなく言い出した
しりとりをしながら玄関へと歩いた


「……マンゴー」
「胡麻」
「また”マ”!?……もーないよぅ」
「まだまだあるだろ……どんだけレパートリー少ないんだよ」

⏰:08/11/13 04:34 📱:N905i 🆔:S4B9qLtA


#404 [みぉり]
呆れる森くんに軽くパンチをいれて

また笑って、靴を履く


「…………無理すんな」
「え」


先に靴を履き終えた森くんが、一歩前に出て言う

⏰:08/11/13 04:37 📱:N905i 🆔:S4B9qLtA


#405 [みぉり]
「俺がさっき話したことを変に考えんな」
「………う…無理だよ」


素直にうん、と言える程簡単なことではなくて
どうしたって考えてしまう

私も、もしかしたら……と思ってしまう自分がいるのを

森くんだって気付いているからこそ、話しているんだ

⏰:08/11/13 04:41 📱:N905i 🆔:S4B9qLtA


#406 [みぉり]
「………さっき、後悔してるかって聞いたよな?」

「うん………してないとも言いきれないって」

「………一つだけ、」

「ん?一つだけ?」


玄関を出て、ゆっくりと並んで歩く


「………伝えればよかった、と思う自分がいる」

⏰:08/11/13 04:45 📱:N905i 🆔:S4B9qLtA


#407 [みぉり]
思わず歩みが止まりそうになった

「混乱、させちまったから……素直に伝えて振られる方がよかったんじゃないか、と思う時がある」

「……………なんで、伝えなかったの?」


「”伝えなかった”んじゃなくて、”伝えられなかった”んだ」


”?”が頭を駆け回る私を横目に、森くんはクスリと笑って空を仰ぐ

⏰:08/11/13 04:50 📱:N905i 🆔:S4B9qLtA


#408 [みぉり]
「…………怖かった、ただそれだけさ」

「……………そっ、か」

「なのに、昼間はあんな言い方しちまった……やってみなきゃわかんねぇ…なんて、俺が言えた立場じゃないのに」

⏰:08/11/13 04:53 📱:N905i 🆔:S4B9qLtA


#409 [みぉり]
そう言って立ち止まった森くんに合わせて、私も足を止める


今日一日だけで、森くんの色んな顔を見た気がする


そんな事を思いながら見上げた先の森くんは、
眉間にシワを寄せるわけでなく、
けれども真剣な面持ちで私を見据えていた



「・・・・・やるだけやってみるのもひとつだ、俺みたいに諦めるのが全てじゃねぇよ」



「・・・・・・・うん」

⏰:08/11/13 19:56 📱:PC 🆔:C/s/P5Ak


#410 [みぉり]
こくんと頷いた私を確認して
歩き出した森くんを追うように私も帰路へとついた





━━━━ーーーー…………

⏰:08/11/15 04:38 📱:PC 🆔:B3JgZ0dY


#411 [みぉり]
チャプン…………


もわもわと立ち上がる湯気
たっぷりと湯を張ったバスタブに
身を沈めて大きく伸びる



「んーっ………………はぁ」




肩と首を回してため息を吐き出して、目を瞑った

⏰:08/11/15 18:17 📱:N905i 🆔:xImwR1dU


#412 [みぉり]
蘇るのは
凪のことと、森くんの話


今まで通りの幼馴染みを貫くことは
私が思っていたよりも難しく
……かといって、
凪と離れる覚悟もなければ
想いを伝える覚悟もない



「………伝える……か、諦める」

⏰:08/11/15 18:29 📱:N905i 🆔:xImwR1dU


#413 [みぉり]
「…………どぅしたもんかなぁ」


呟いたって現実が変わるわけじゃなくて
結局、どっち付かずの宙ぶらりん



『彼氏彼女になりたいって思わねぇの?』

⏰:08/11/15 20:27 📱:N905i 🆔:xImwR1dU


#414 [みぉり]
森くんのその問いに答えたのは



『一緒にいたい、ただそれだけだよ。』




紛れもない私自身なのに、
たった一日の内で、
こうも目まぐるしく自分の想いと葛藤するなんて
想像もしていなかった

⏰:08/11/15 20:30 📱:N905i 🆔:xImwR1dU


#415 [みぉり]
彼女になるなんて考えたことない
凪と私に、恋人の甘い雰囲気なんてあるわけもない

ただ傍にいたいだけ
今までと同じように、一緒に笑いたいだけ


それが、『好き』という感情ひとつで
こうも上手くいかなくなってしまうなんて・・・・


近くにいるなら微笑みを
離れるのならば忍耐を身に付けなくてはならない

⏰:08/11/16 02:01 📱:PC 🆔:/t1FCHRM


#416 [みぉり]
・・・・・・・私が大切にしたいものは

『凪』と『幼馴染の私』



覚悟を決めるしか、ない
森くんの話を聞いて
それでも尚、自分の中にある答えはひとつ




「・・・・・・・・・幼馴染、やろう。」

⏰:08/11/16 02:04 📱:PC 🆔:/t1FCHRM


#417 [みぉり]
甘ったれるな、私
いつだって、自分の信じるものをトコトンやってきたでしょう


凪と幼馴染をやる
完璧にやるんだ


いつか、この恋心が消えてしまうくらい
素敵な人に出会えるはずだから


いつか、凪に「実は好きだったんだ」と
笑って言える時がくるから


覚悟は、決まったー・・・・・・・・

⏰:08/11/16 02:07 📱:PC 🆔:/t1FCHRM


#418 [みぉり]
━━━━―――――…………
凪side

ピピピピピピ・・・・・・


「ん〜・・・・うるせ・・・・・」


4月とはいえ
朝方はまだ少しだけ寒い

昔から布団から出るのが苦手で
朝寝坊なんて日常茶飯事

⏰:08/11/16 02:12 📱:PC 🆔:/t1FCHRM


#419 [みぉり]
煩く鳴り響く目覚まし時計を止めて
再び布団に潜り込み、
うつらうつらと眠ろうとしていたその時


トントントン・・・・・


誰かが階段を上る足音が聞こえる
・・・・さすがに寝すぎてしまったのか

きっと母親か姉貴が俺を起こすために
上がってきているのだろう

・・・・・まぁ、いつも部屋を覗き込んで俺の名を叫ぶだけ

適当に返事をしてまた眠るのも
これまた日常茶飯事のこと

⏰:08/11/16 02:16 📱:PC 🆔:/t1FCHRM


#420 [みぉり]
ガチャ・・・・・
扉の開く音に、自分から声をかけた


「・・・・起きてっから」


その言葉にひとつ、ため息が聞こえた
そしてー・・・・


バタンー・・・・


扉の閉まる音に、ほっと胸を撫で下ろす
どうやら言葉を返すこともせずに出て行ったようだ
もう、母親も姉貴も仕事に行くはずだ
これでゆっくり眠れる

⏰:08/11/16 02:21 📱:PC 🆔:/t1FCHRM


#421 [みぉり]
・・・・・・と思っていたのに


ガバッ


「ッ?!?!?!?!?!?」


突然、布団を剥ぎ取られ思わず身体が縮みこんだ

何だよ・・・・出て行ったんじゃねぇのかよ
くそ〜・・・・・起きたくねぇ

⏰:08/11/16 02:24 📱:PC 🆔:/t1FCHRM


#422 [みぉり]
なんてことを思いつつ
きっと、直後に母親か姉の大声が響き渡ると予想して
俺はぎゅっと目を瞑った
・・・・・・が、聞こえたのは予想もしていなかった声



「ちょっと!いい加減、起きなって!!あんた、新学期始まったばかりなのにもう遅刻するつもり?!」



自分の耳を疑った
だって今、聞こえたのはー・・・・・



ガバッ

⏰:08/11/16 02:27 📱:PC 🆔:/t1FCHRM


#423 [みぉり]
「・・・ゆ・・・・・うき」


勢いよく起き上がった俺の目の前にいるのは
布団を右手に掴みつつ、両手を腰に当てて
仁王立ちしている有希の姿


「おま・・・・なんで・・・・」


突然の事にぽかんとしたままの俺
それを見下ろす有希は、
毎朝俺を起こしていた中学の頃のようなやや呆れた顔

⏰:08/11/16 02:32 📱:PC 🆔:/t1FCHRM


#424 [みぉり]
「なんでって・・・・・こっちが聞きたいっつの、
もう七時半すぎてるんですけど?
どうやったらこんな時間まで寝続けようと思うかな」


言いながら布団をベットの端に寄せて
雑誌が散乱している俺の部屋をちょこちょこ片付け始めた

ぽかんとその様子を見つめていると
くるりとこちらに向き直る


「・・・・・何してんの?
早くしないと遅刻だってば!!
さっさと顔洗って準備してきなさーい!!」

⏰:08/11/16 02:36 📱:PC 🆔:/t1FCHRM


#425 [みぉり]
「へっ・・・・あっ、おぅ!!」


有希の言葉に押され、
慌てて洗面所へ駆け込み顔を洗う
冷たい水が寝ぼけた頭をシャキンとさせる中
徐々に、意識が覚醒する



ちょっと待て・・・・
どういうことだよ?
なんで有希が俺を起こしに来てんだ?

っつぅか、
思いっきり前と同じになってんじゃないか?

⏰:08/11/16 02:41 📱:PC 🆔:/t1FCHRM


#426 [みぉり]
混乱する頭を抱えながら
着替えるために再び部屋へ戻る

その途中、覗いた居間には誰もおらず
既に両親、姉は出勤したあとだった


トントントン・・・・・・ガチャ

階段を上りながら
なんて声を掛けるか
ぐるぐると悩みながらも
辿り着いた自室の扉をあけて
俺の視界に入ったのは

昨日、俺が壁から外した大量の写真の一枚を
手にとって見ている有希の姿

⏰:08/11/16 02:49 📱:PC 🆔:/t1FCHRM


#427 [みぉり]
「ーーっ!!!!」


その場に思わず硬直してしまった
そんな俺に気付いた有希がこちらに振り向く

俺はその振り向くまでの瞬間
有希がまた昨日のような
涙顔になっているのではないかと不安になり
咄嗟に、うつむいてしまった


やばいっ・・・・くそ、
昨日ちゃんと片付けりゃ良かった


まさに後悔、先に立たず

⏰:08/11/16 02:52 📱:PC 🆔:/t1FCHRM


#428 [みぉり]
さっきまで、、、
有希があまりに普通に接してきたとき
ほっとした


昨日は、俺から離れると覚悟したはずなのに
有希が本当に以前のように接してきたから

嬉しかった


けれど
この写真の山を見てしまった有希のことだ
きっと、さっきまでのようには居られなくなっている

⏰:08/11/16 02:54 📱:PC 🆔:/t1FCHRM


#429 [みぉり]
どうしよう


俺はきちんと有希に言えるのだろうか
有希の気持ちを知っている事
その気持ちには応えられない事

・・・・・・・距離を取ろうと思っていること


まさか、こんな急なタイミングで
言う羽目になるとは予想もしていなかったのだ


だけど
写真の山を有希が見てしまった今、
きちんと話す絶好のチャンスなのかもしれない

⏰:08/11/16 02:58 📱:PC 🆔:/t1FCHRM


#430 [みぉり]
でもなんて切り出したらいい?



一瞬で、そんな事が
頭を一気に駆け巡り
固まってしまった俺に聞こえたのは

またまた予想だにしていなかった有希の言葉



「写真、外したんだねぇ・・・・
って、そら彼女にとって気持ちのいいものじゃないもんね!
あ、これ、もし捨てるんならもらっていい?

⏰:08/11/16 03:01 📱:PC 🆔:/t1FCHRM


#431 [みぉり]
「はっ?!」


あまりに明るいその声に
慌てて顔を上げると
その先の有希は、驚いた顔で


「何?そんな変なこと言った??」


写真を片手に
不思議そうに首を傾げていた


「・・・・いやっ・・・別に・・・んなことはねぇ・・・」

「?何よ、変な凪」

⏰:08/11/16 03:08 📱:PC 🆔:/t1FCHRM


#432 [みぉり]
くすりと笑って
手にしていた写真を戻す


「あっ!!凪、急がないとマジで遅刻するから!!
早く着替えて!!
私、下で待ってるから」


時計を確認し
慌てて俺の部屋を出て行く有希を
目で追いながら
とりあえず、制服に着替える

⏰:08/11/16 03:13 📱:PC 🆔:/t1FCHRM


#433 [みぉり]
どうなってんだ?
すっかり元通りになってねぇか?


”?”が飛び交う頭を抱えつつ
着替えを済ませ
鞄を持って部屋を出る


トントントン・・・・


「凪、チャリ?」


階下の玄関には
既に、靴を履き終えた有希が待っていた

⏰:08/11/17 03:24 📱:PC 🆔:b2/wfidM


#434 [みぉり]
「あ・・・・おう」
「じゃ、乗っけて〜」


扉を開けて
先に外へと出る有希の後を
困惑する頭を抱えながら追う


だけど
心の奥では心底、安心していて
このまま
何もなかったようにしていれば

これまでと
同じ俺達で居られるじゃないかと

⏰:08/11/17 04:23 📱:PC 🆔:b2/wfidM


#435 [みぉり]
あんなに昨日、
悩んで決意をしたはずなのに

目先のこの安堵感を
手放したくなくて


この時の俺は
有希がどんな想いで

俺と幼馴染でいようとしていたのかなんて
これっぽちも考えていなかった


いつも
どんな時も

俺は自分のことしか見えていなかったんだー・・・・・

⏰:08/11/17 04:25 📱:PC 🆔:b2/wfidM


#436 [みぉり]
━━━━―――――…………
それから
毎日はあっという間に過ぎていって

有希と俺は
以前のまんまの幼馴染

あまりに普通すぎるから
俺のことを好きだと
そう言って泣いていた有希は

実は幻だったんじゃないかって
そう思ってしまうくらいだった

⏰:08/11/17 04:40 📱:PC 🆔:b2/wfidM


#437 [みぉり]
俺が恭ちゃんに自分の罪を告白したのは
そんな毎日の中でのこと

あかりを苦しめているきっかけは俺だって
本気であかりを好きな恭ちゃんには
知らせなきゃいけないって
そう思ったから


恭ちゃんは泣きながら
まとまりのつかない俺の話を
黙って聞いてくれた

俺はそれこそ
殴られるんじゃないかって
内心ビクビクしてたのに

⏰:08/11/17 04:44 📱:PC 🆔:b2/wfidM


#438 [みぉり]
話終えると
俺の頭を静かにぽんぽんと撫でて


『わかった、ありがとう』


ただそれだけを言って
にっこり笑って
屋上を後にした

⏰:08/11/17 04:46 📱:PC 🆔:b2/wfidM


#439 [みぉり]
残された屋上で
俺の頭をよぎるのは


あの夏の日の
有希の涙


俺があかりを苦しめている原因だと知ったら
きっと有希は俺を軽蔑するだろう


ずっと騙してきたのだと
そう思って俺から

今度こそ
本当の意味で離れていってしまうのだろう

⏰:08/11/17 13:35 📱:PC 🆔:b2/wfidM


#440 [みぉり]
「………いつまで持つかな」




今のこの関係はどれだけ続けられるんだろう


いつかは
あかりにも、有希にも打ち明けたい


だけど
せめてその時までは、
このままで居させてほしいー……

⏰:08/11/23 15:37 📱:N905i 🆔:zeHVN8cs


#441 [みぉり]
━━━ーーーーー…………
有希side

「…………疲れた」



放課後の屋上
すっかり習慣となった独り言を呟きながら
空を見上げる



凪と以前のような幼馴染みに戻って数週間


たまに部屋に行ったり、
あかりを交えてご飯をしたり


それなりに
演じられてると思う

⏰:08/11/23 15:46 📱:N905i 🆔:zeHVN8cs


#442 [みぉり]
だけど
つらい


普通に装うことが
こんなにもつらいなんて


凪が通りすがりの子に話し掛けられるのは日常のこと


学内だって
学外だって


それくらい人気者

⏰:08/11/23 18:55 📱:N905i 🆔:zeHVN8cs


#443 [みぉり]
改めて目の当たりする日々は


自分の中の
醜い部分がチラホラ影をださせる



「………はぁ」




凪の自由なのに、
誰と付き合ったって、セフレを作ったって

⏰:08/11/23 19:03 📱:N905i 🆔:zeHVN8cs


#444 [みぉり]
わかっているはずなのに
気持ちは追いついてくれない


毎日この繰り返し
正直、しんどい


バーテンの仕事の時は
周りにちやほやされまくってたし


きっと私の知らないだけで
色んな凪の世界があるんだろうな

⏰:08/11/25 03:09 📱:PC 🆔:OcanHo86


#445 [みぉり]
…………なぁんて、考えても仕方ないんだけどさ


コンクリートの地面に寝そべり、
頬にあたる風を感じながら
目を閉じていると
ふと陽の光が遮られた



「………、遅いよ」



目を開くことなくつぶやいた

⏰:08/11/29 02:15 📱:N905i 🆔:OxLw/ph.


#446 [みぉり]
「掃除当番だっつぅの」



やや不貞腐れたように
返してくるその声にふっと
笑って、目を開く



「……課題………つらい…よ」



見上げた森くんは苦笑いで
私を見下ろしていた

⏰:08/11/29 18:25 📱:N905i 🆔:OxLw/ph.


#447 [みぉり]
「……だから、こうやって話聞いてんだろ?」



『課題』

私が、
今までと同じように
変わらずに
凪といるための課題



「………感謝してます」

⏰:08/12/03 17:24 📱:N905i 🆔:.KlV3Yw6


#448 [みぉり]
私の隣にストンと
腰を下ろす動きに合わせて
ゆっくりと起き上がる


こうして放課後に
森くんと会うのも
最近の習慣


同じ経験のある森くんは
幼馴染みでいることの
辛さを誰よりも知っている

⏰:08/12/03 19:36 📱:N905i 🆔:.KlV3Yw6


#449 [みぉり]
 

毎日を普通に過ごす中で
色んな不安や不満
自己嫌悪は数え切れない



それを発散できるように
他愛ない話でも
誰にも言えない自分勝手な想いでも


森くんは笑って共感してくれる

⏰:08/12/04 13:20 📱:PC 🆔:bToo3fAc


#450 [みぉり]
 


あかりには言えない
こんな自分は

どこかみっともなくて
言いたくなくて


同じ経験のある森くんに
救いを求めたんだ

⏰:08/12/04 13:23 📱:PC 🆔:bToo3fAc


#451 [みぉり]
「………………ない、よ」 


「………そうか」



顔を合わせる訳でなく、
互いに前を見つめたまま


交わす言葉の意味を
深く言わずとも
察してくれるありがたさ

⏰:08/12/11 03:15 📱:N905i 🆔:PD22MhZE


#452 [みぉり]
「よかったじゃん、たまにはそんな日がないと気持ちがパンクしちまうだろ」


「……うん、そうだよね」



苛立ちや嫉妬を感じないで
過ごせた今日はラッキー

……と気持ちを切り替えて
明日に備える

⏰:08/12/11 03:18 📱:N905i 🆔:PD22MhZE


#453 [みぉり]
そうやって
自分の気持ちと
バランスを取りながら
毎日を過ごしてる


だけどそれは
森くんがいるからこそ
できていることで


もしも
森くんがいなかったら
とっくの昔に
ギブアップしてると思う

⏰:08/12/20 13:30 📱:N905i 🆔:a3YejZ1.


#454 [みぉり]
ぼーっと空を見つめる森くんに
実は聞きたいことがあった



それは屋上の鍵のこと



凪から
代々、受け継がれていることは
聞いて知っているけれど


森くんはどうやって
鍵を手にしたんだろう

⏰:08/12/22 00:19 📱:N905i 🆔:lgMCcy3.


#455 [みぉり]
「………鍵、なんで持ってるの?」



直球ど真ん中



「へ?」



やや面食らった様子に
慌てて言葉を続ける

⏰:08/12/23 20:23 📱:N905i 🆔:u7GLEFZg


#456 [みぉり]
「ぃやっ……あの、その……屋上の鍵を…誰から受け継いだのかなぁって…思いまして………」


言葉は弱々しくなり
仕舞いには目線も下向きになってしまった


あぅ…
なんでこうも
考え無しにしゃべっちゃうかな



明らかに
突っ込まれたくなかったオーラが
全開な森くん

⏰:08/12/26 21:38 📱:N905i 🆔:Tbu/zhr6


#457 [みぉり]
自分の頭を
ふるふると振り払い

なんとか取り繕う言葉を
考えていると

森くんが口を開いた




「………知り合いから」

⏰:08/12/26 21:40 📱:N905i 🆔:Tbu/zhr6


#458 [サリー]
失礼します
>>300-500

⏰:08/12/27 08:18 📱:D905i 🆔:BF/LnpNk


#459 [みぉり]
>>サリーさん
アンカーありがとうございます

⏰:08/12/29 01:51 📱:N905i 🆔:MK6t9tec


#460 [みぉり]
>>457から

「えっ?」


パシッ


「いたっ……っつぅ〜」


顔をあげたのと同時に
森くんにデコピンをされてしまった

⏰:08/12/29 01:54 📱:N905i 🆔:MK6t9tec


#461 [みぉり]
「なんでデコピンすんのぉ……ぁいたた…」


涙目になりながら
ピリピリと痛みの残る額を
撫でつつ、森くんを睨む


しかし
当の森くんは
むすっと子どもみたいな顔で
私を見めている状態


……………え?
なんか……機嫌悪…い?

⏰:08/12/29 01:58 📱:N905i 🆔:MK6t9tec


#462 [みぉり]
ひとまず、額を押さえ
様子を伺いながら声を掛ける



「…なんか………怒ってる?」


「は?怒ってねぇよ」



そう言うくせに
不機嫌オーラが全開なのは
見て明らか



「…………うそだ」

⏰:08/12/29 02:36 📱:N905i 🆔:MK6t9tec


#463 [みぉり]
「ぁあ?」



ほらぁぁ!!
絶対、機嫌悪いぃぃ〜……



私の発言が火に油だったのか
口調がより険しくなる森くんに
思わず肩が竦んだけれど

これで怯むような
園田有希ではありませんことよ

⏰:08/12/29 02:40 📱:N905i 🆔:MK6t9tec


#464 [みぉり]
「じゃぁ、その態度はなに?」


「………別に、同じだし」



はぃっ!?おいおいおい……
いつもは、もっと声のトーンが高くて

何より、
そんな深く眉間にシワよせてないでしょうがっ!!

⏰:08/12/29 02:43 📱:N905i 🆔:MK6t9tec


#465 [みぉり]
誰が聞いたって
そんな事は通用しないのに
むすっと言い返す森くんが

小さな子どもみたいで
ちょっと、呆れて
おもしろい



って、おもしろがってちゃダメじゃん!

⏰:08/12/29 02:51 📱:N905i 🆔:MK6t9tec


#466 [みぉり]
「私……なんか変なこといった?」


ちょっと真面目に
森くんを見つめる


森くんは
何も言わず、動きもしない


……ってことは

きっと、私が言った言葉がきっかけなのよね多分

⏰:08/12/29 17:34 📱:N905i 🆔:MK6t9tec


#467 [みぉり]
……やっぱり、鍵のこと
触れられたくなかったのかな



「…………鍵を誰からかって聞いたから?」


「……」



またまた直球
だって回りくどいことは
好きじゃないから

⏰:08/12/29 20:41 📱:N905i 🆔:MK6t9tec


#468 [みぉり]
どんな小さな事でも
モヤモヤしたままなのは
嫌い


ちゃんと
その時その時に
解決しなくちゃ落ち着かない


「……黙ってちゃわかんないよ」


困りながら
でも無理に聞き出そうとしていることに
内心びくびくしながら
尋ねる

⏰:08/12/29 20:55 📱:N905i 🆔:MK6t9tec


#469 [みぉり]
そこからは、黙り込み我慢大会


口を開かず、
じっと森くんの様子を見つめる

⏰:08/12/30 02:57 📱:N905i 🆔:YQzwgtwg


#470 [みぉり]
━━━ーーー………
5分後


「…………鍵のことな」


諦めたようにため息を吐いて
口を開いたのは森くん


我慢比べは私の勝ちみたい



「うん、知り合いから引き継いだんでしょ?」

⏰:08/12/31 01:51 📱:N905i 🆔:Nxt9fjQQ


#471 [みぉり]
聞き返す私をちらりと見て
森くんはゆっくりと
仰向けになるように横になった



「…………知り合いってのがさ」

「ん?」



聞きながら
同じように体を横にする

⏰:08/12/31 02:58 📱:N905i 🆔:Nxt9fjQQ


#472 [みぉり]
互いの目に映るのは
真っ青な空と雲



「………あいつ」


゛あいつ゛



あぁ…例の………


「………幼馴染み?」

⏰:08/12/31 03:03 📱:N905i 🆔:Nxt9fjQQ


#473 [みぉり]
言ったきり
返事がなかったけれど



それが何よりの答え



森くんも
私と同じように
幼馴染みから鍵をもらったんだ


なんて偶然なんだろう
こんなことまで
同じだなんて………

⏰:08/12/31 03:06 📱:N905i 🆔:Nxt9fjQQ


#474 [みぉり]
「…………お前も…同じだろ」


「ん……ま、ね」



そのまま
黙って空を見上げる


互いの奇妙な偶然に
なんだか、
安堵感を抱きながら……

⏰:08/12/31 20:43 📱:N905i 🆔:Nxt9fjQQ


#475 [みぉり]
「………どっか行くか」


「ん……え?」



思わず体を起こして
横に目を向ける


゛よっ゛の掛け声で
森くんも体を起こした

⏰:08/12/31 23:24 📱:N905i 🆔:Nxt9fjQQ


#476 [みぉり]
「気晴らしってことで」


にかっと笑う森くん



そうだね
気晴らしも必要だよね



私も笑顔で頷いて
二人揃って、玄関まで歩く

⏰:09/01/01 03:22 📱:N905i 🆔:LnyKyn.2


#477 [みぉり]
その道すがら
放課後とはいえ
まだちらほらと校内に残る生徒達が

私と森くんを見ては
何か話をしている



………感じ悪いなぁ



なんて思いながら
なんて言われてるのは
想像がついていた

⏰:09/01/01 15:36 📱:N905i 🆔:LnyKyn.2


#478 [みぉり]
ちらっと横に目を向ければ
キレイに整った顔

誰もが目を止める
その容姿



……それに引き替え



至って普通の私
十人並のなかでも中の中

⏰:09/01/01 22:17 📱:N905i 🆔:LnyKyn.2


#479 [みぉり]
……いや、
今更、仕方のないことなんだけど
チラチラ見ていた私の視線に
気付いた森くんが
不思議そうに首を傾げている



「?…なんだよ、」


「なんでもないよ〜……男前だなぁと思って」

⏰:09/01/01 22:44 📱:N905i 🆔:LnyKyn.2


#480 [みぉり]
゛はぁ?゛と言いながら
先に靴を履き替えて、外に出てしまった

慌ててその後を追いかける


夕方近い時間なのに
夏前の空は真っ青で
その眩しさに
思わず目が眩んだ

⏰:09/01/01 23:21 📱:N905i 🆔:LnyKyn.2


#481 [みぉり]
「置いてくぞー」


森くんの声に
目を開いて再び並んで歩く


校門を過ぎて
近くの公園前を通り過ぎようと
して、隣姿がなくなった

⏰:09/01/01 23:45 📱:N905i 🆔:LnyKyn.2


#482 [みぉり]
「あ、れ?……森くん?」


キョロキョロ見回しても
見当たらない


えぇー??
どこにいったの?

⏰:09/01/02 00:18 📱:N905i 🆔:xuIQt6qU


#483 [みぉり]
……けど
私がここから変に動いちゃったら
余計に会えなくなりそう



………おとなしく待機しとこ


公園の柵に寄り掛かる
園内からは楽しそうなこどもの声



………っていうか、、、
どっか行こうって
言いだしたのは森くんなのに

勝手にいなくなるって
どぅなのよ

⏰:09/01/02 00:26 📱:N905i 🆔:xuIQt6qU


#484 [みぉり]
……なんて思ってはみるけど
人を待つのは慣れてる


「ゆぃちゃん待って〜」
「なぉと、遅いんだもん」


ふいに背後から聞こえた声
振り向くとそこには
小さな女の子がジャンクルジムを
上手にするすると登り
その後を必死に追い掛けて
もたつきながらも登る小さな男の子の姿

⏰:09/01/02 01:14 📱:N905i 🆔:xuIQt6qU


#485 [みぉり]
あらまぁ…可愛い


自然と笑みが零れて
姿勢を変えて中を見る


微笑ましい小さな二人に
懐かしい記憶が蘇る


『なっちゃん、危ないよ』
『ゆーちゃんは怖がりだなぁ』

⏰:09/01/02 01:51 📱:N905i 🆔:xuIQt6qU


#486 [みぉり]
いつもいつも
止めるのも聞かないで
無茶ばっかりの後ろ姿を
必死に追い掛けていた


置いていかれると
すぐ泣く私

いつからか、凪は
その度に色とりどりのビー玉を1つくれたっけ

⏰:09/01/02 02:08 📱:N905i 🆔:xuIQt6qU


#487 [みぉり]
………いつから
『なっちゃん』と呼ぶのをやめたんだったかな


小学校に上がって
凪が『ゆーちゃん』から『有希』に
呼び方を変えたから

なんか悔しくて変えたような気がする

⏰:09/01/02 02:12 📱:N905i 🆔:xuIQt6qU


#488 [みぉり]
あの時
変えなかったら今も『なっちゃん』と呼んでいたのかもしれない


今となっては、
どうにもならないことだけど


私の目の前にいる
小さな『なおと』くんも
いつか『ゆいちゃん』から
『ゆい』と
呼び方を変えてしまうのだろうか

⏰:09/01/02 02:17 📱:N905i 🆔:xuIQt6qU


#489 [みぉり]
「…そのままでいて欲しいなぁ」

ぽろりと口に出た言葉
たかが、呼び方ひとつだけど


それは小さなきっかけとなる


凪が泣く度にくれたビー玉で
いつも笑顔になっていた

⏰:09/01/02 02:22 📱:N905i 🆔:xuIQt6qU


#490 [みぉり]
だから、時々
わざと泣いたりして
凪が立ち止まって
私の手を引いてくれるのを
待っていた



けれど
大きくなるにつれて
泣く理由がなくなってきて


凪からビー玉をもらわなくなった
追い掛けるけど
手を引いてもらうほど
距離が空かないように
互いにあわせられるようになった

⏰:09/01/02 02:27 📱:N905i 🆔:xuIQt6qU


#491 [みぉり]
それで
今の距離感……といっても
すごくすごく近いけれど


お互いに心地がいい空気ができた


それはすごく自然なこと
当たり前の成長過程で生まれたもの

⏰:09/01/02 02:29 📱:N905i 🆔:xuIQt6qU


#492 [みぉり]
凪は時間にルーズになって
遊ぶときは
決まって私が待ちぼうけ


おかげで
時間を潰す術が身についた


人を待つのもお手のもの


…………ってなんか
悲しい自慢だなぁ

⏰:09/01/02 02:35 📱:N905i 🆔:xuIQt6qU


#493 [みぉり]
「わりぃ、待たせた」


突然、真後ろからの声


「ひゃぁっ」


慌てて振り向くと
そこにはヘルメットを携えた森くん

⏰:09/01/02 02:42 📱:N905i 🆔:xuIQt6qU


#494 [みぉり]
「びっくりしたぁぁ〜…」


回想から一気に現実へと
引き戻してもらったけれど

おかげで心臓はバクバク状態


「ごめん……そんなおどかすつもりじゃぁ……」

⏰:09/01/02 02:47 📱:N905i 🆔:xuIQt6qU


#495 [みぉり]
「いきなりは誰でもびっくりするよ」


一呼吸おいて
ジロリ睨んで、そう言うと

森くんはいたずらっこ顔で笑ってから
もう一度、謝った



………まぁ、
私も完全に油断して
森くんのことを
すっかり忘れていたのだけれど

⏰:09/01/02 02:57 📱:N905i 🆔:xuIQt6qU


#496 [みぉり]
「いきなりいなくなるし…何してたの?」


尋ねる私にズイっと
差し出したのはヘルメット


「かぶれ」


「へ?」


くるりと背を向けて
すたすたと歩く姿を慌てて追う

⏰:09/01/02 17:12 📱:N905i 🆔:xuIQt6qU


#497 [みぉり]
もー……


歩きだしてすぐ
壁沿いに止められているバイク


「……え、まさか」


いやな予感に
恐る恐る尋ねる


「そ、おれの」

⏰:09/01/02 20:31 📱:N905i 🆔:xuIQt6qU


#498 [みぉり]
言いながら颯爽(サッソウ)と
バイクにまたがり
ヘルメットを被る


ぽかんとする私に


「………早く乗れよ」


後ろを指す


「え?………乗るの…?」

⏰:09/01/03 01:48 📱:N905i 🆔:8WosmgyM


#499 [みぉり]
バイクなんて
乗ったことがないのに
と、思わず立ち尽くす


「……怖ぇの?」


ニヤっと笑う顔に
私の負けず嫌いが駆り立てられた

「のっ、乗るわよ!これくらい」

⏰:09/01/03 02:21 📱:N905i 🆔:8WosmgyM


#500 [みぉり]
ぱっと、後ろに乗る


「捕まらないと落ちるぞ」


ズイっと
私の両手を自分の身体にまとわせ
森くんはエンジンをかけた



えぇっ///
ちょちょちょっと…ッこれは恥ずかしい///

⏰:09/01/04 03:24 📱:N905i 🆔:SOMCr.4k


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