宝物。
最新 最初 🆕
#1 [みぉり]
2作目となります。
恋愛小説を書いていきますので、お時間ありましたら読んでください。

《前作》
・あいつはあの子のことが好き。
・【続】あいつはあの子のことが好き。

⏰:08/06/19 15:51 📱:N905i 🆔:0gcbCxm6


#2 [みぉり]
【登場人物】
若菜 凪(ワカナ ナギ)
園田 有希(ソノダ ユウキ)

潮見高校2年生、前作の番外編となります

⏰:08/06/19 15:55 📱:N905i 🆔:0gcbCxm6


#3 [みぉり]
気付いた時からいつも一緒だった。

家がものすごく近いわけではなかったけど


それでもどこにいくのも一緒だった

⏰:08/06/19 15:58 📱:N905i 🆔:0gcbCxm6


#4 [みぉり]
「ゆーちゃん!!ゆーちゃん!!あのね、コレあげる」


真っ青な園児服を身にまとい、ふわふわと柔らかな髪をなびかせながら走る男の子

男の子にしては大きな目で、一見すると女の子にも見られがちなその子が走った先には―……


「わ〜!ありがと、なっちゃん!!」

⏰:08/06/19 17:29 📱:N905i 🆔:0gcbCxm6


#5 [みぉり]
同じ園児服に二つ結びにしたすこし短めな髪を揺らして手を振る女の子の姿


『ゆーちゃん』と呼ばれた女の子が『なっちゃん』から受け取ったのはカラフルなビー玉たち


赤、青、黄色、緑に紫……

⏰:08/06/19 18:57 📱:N905i 🆔:0gcbCxm6


#6 [みぉり]
「きれいっ!!」


目をキラキラさせながら笑顔でビー玉を見つめる姿を見て、男の子はちょっと得意げに笑う。


「凪ー、有希ー帰るわよー」


後ろから聞こえてきた母親の声に2人は大きく「はーい」と返事をして、小さな手を繋いで駆け出した。

⏰:08/06/20 03:14 📱:PC 🆔:uKI1JTE6


#7 [みぉり]
夕暮れ時の公園・・・・


ジャングルジムに滑り台・・・・気づけばあたりには自分たちと母親と4人だけ


小さな2人の手を繋いだ影がゆっくり伸びる道に明るい笑い声が響いていたー・・・・

⏰:08/06/20 03:16 📱:PC 🆔:uKI1JTE6


#8 [みぉり]
ピピピピピ・・・・・



「んー・・・・」


不意に聞こえてきたアラーム音にゆっくりと意識を戻される。



ピピピ・・・・カチッ・・・



「ふぁぁ〜・・・夢・・・・かぁ」

⏰:08/06/20 03:20 📱:PC 🆔:uKI1JTE6


#9 [みぉり]
懐かしい夢・・・・あれって5つくらいの頃??


大きく伸びをして起き上がり、カーテンを引く


その窓から見える空は、どんよりと曇って今にも雨が振り出しそう



「雨・・・・・降らないかなぁ」



有希はぽつりと呟き、静かにため息をつくと身支度を始めた

⏰:08/06/20 04:13 📱:PC 🆔:uKI1JTE6


#10 [みぉり]
<<ご案内>>
・あいつはあの子のことが好き。
bbs1.ryne.jp/r.php/novel-f/7276/

・【続】あいつはあの子のことが好き。
bbs1.ryne.jp/r.php/novel-f/7649/

・感想版
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/3579/

よろしければ感想・意見などお願いいたします!!!

⏰:08/06/20 04:16 📱:PC 🆔:uKI1JTE6


#11 [みぉり]
すいません!!失敗しました((( ;゚Д゚)))

<<ご案内>>
・あいつはあの子のことが好き。

bbs1.ryne.jp/r.php/novel-f/7276/

・【続】あいつはあの子のことが好き。

bbs1.ryne.jp/r.php/novel-f/7649/

・感想版

bbs1.ryne.jp/r.php/novel/3579/


よろしければ感想・意見などお願いいたします!!!

⏰:08/06/20 04:21 📱:PC 🆔:uKI1JTE6


#12 [みぉり]
>>9から


ポツ・・・ポツ・・・・・


「あ、、、やっぱり降ってきた」


身仕度を終えて、玄関を出てすぐに雨粒が顔にあたる。

傍らに携えていた傘をさして、足取り重く学校へ向かう

⏰:08/06/21 03:35 📱:N905i 🆔:8uOene9k


#13 [みぉり]
足取りが重い理由は別に雨のせいじゃない


むしろ、雨の日はその音が耳に心地よくて落ち着くくらい



新学期が始まったのはつい先日のこと


今日からは本格的に授業が始まる

⏰:08/06/21 07:09 📱:PC 🆔:69GbG4Sg


#14 [みぉり]
といっても・・・


たぶん、各授業の先生たちが挨拶したりとかで終わるんだろうけど

どのみち集中して授業を聞ける自信もない。


「はぁ・・・」


無意識にため息がでてしまう

⏰:08/06/21 07:13 📱:PC 🆔:69GbG4Sg


#15 [みぉり]
このため息の理由も足取りが重いのも・・・


『言ってなかったっけ??・・・・バーテン』


昨日の凪の言葉のせいだ


「言ってなかったっけ・・・じゃないよ・・・」

⏰:08/06/21 07:17 📱:PC 🆔:69GbG4Sg


#16 [みぉり]
呟いた声は、パラパラと降る雨が消してくれる
でも、雨の勢いは降り出しからパラパラと弱弱しいままで
むしろすぐにでも止んでしまいそうだ


雨・・・・思ったより強くないなぁ・・・



そんなことを思って傘をずらすと、雲の間からうっすらと陽がさしているのが見えた。


ほんの一瞬の通り雨だったみたいだ

⏰:08/06/21 07:22 📱:PC 🆔:69GbG4Sg


#17 [みぉり]
周りをくるっと見回してみれば、傘をさしているのも私だけ


それがなんだか恥ずかしくて、すぐに傘を閉じて小さく折りたたむと鞄の中にしまった


そうこうして学校に着くころには、家を出たときの天気がうそのように晴れ間が広がり始めていた

⏰:08/06/21 07:24 📱:PC 🆔:69GbG4Sg


#18 [みぉり]
教室に向かう途中、廊下にたくさんいる生徒の中で後姿を見つけた。


小さい頃から、どんな人混みの中でもその姿を一瞬にして見つけることができる



・・・・・・今日は遅刻じゃないのね

⏰:08/06/21 07:28 📱:PC 🆔:69GbG4Sg


#19 [みぉり]
ここからでも見えるその髪は、元はふわふわのクセっ毛で、今はその髪を短くしてワックスで軽くツンツンにたててる


「若菜くんッおはよう」
「おはー凪ぃ〜」


歩けば必ず、誰かに声をかけられてる。

一人でいる時のほうがきっと少ない


人目を引くその容姿に付け加え、人懐っこい性格で交友関係もかなり広いから当然か

⏰:08/06/21 07:33 📱:PC 🆔:69GbG4Sg


#20 [みぉり]
いつもなら、その姿を見つければ駆け寄って『おはよう』って挨拶するのに


でも・・・・今日はなんか・・・・出来ない、したくない


凪との距離がつまらないように歩いてその後姿をじっと見てるだけ

⏰:08/06/21 07:35 📱:PC 🆔:69GbG4Sg


#21 [みぉり]
時折、声をかけられた方を向く横顔が見える


男にしとくのがもったいないくらいの可愛い笑顔でみんなに挨拶してる凪


いつもと変わらないのに・・・・


凪に苛立ちを感じてしまう自分がいる

⏰:08/06/21 07:38 📱:PC 🆔:69GbG4Sg


#22 [みぉり]
もやもやしたものが自分の中に広がっていくのがわかる


昨日の凪のバイト先を聞いてからずっとこう


「はぁ・・・」


あ、またため息ついちゃった・・・・


そんな自分に嫌悪しながら自分の教室へと向かった

⏰:08/06/21 07:45 📱:PC 🆔:69GbG4Sg


#23 [みぉり]
担任の瀬戸先生が入ってきて、朝のHRが始まって授業へと時間は流れていくのに


私の頭には何にも入ってきてない


というか、入れられてない


・・・・・昔は知ってるのが当たり前だったのにな

⏰:08/06/21 07:47 📱:PC 🆔:69GbG4Sg


#24 [みぉり]
昔は・・・それこそ高校に入学する前までは色んなこと知ってた


中学はバラバラだったのに、凪の歴代彼女だって言えちゃうくらい


学校が違っても、3日に一度はふらっと家に来たり(デート帰りに)なんとなく予定把握してたりもできてた

⏰:08/06/21 07:51 📱:PC 🆔:69GbG4Sg


#25 [みぉり]
でも・・・・高校に入ってから少しずつ距離が出来てきた


それは、傍からみれば自然なことで今までの距離が近すぎただけといってしまえばそうなんだと思う


だから、そんなに気にしなかったし今の今まで気にしないでいた

⏰:08/06/21 07:57 📱:PC 🆔:69GbG4Sg


#26 [みぉり]
なのに・・・凪のバイト先を知らなかったというたったそれだけのことで私の気持ちにモヤモヤしたものが広がり始めてる



いつから?

どこでやってるの?

なんで?

⏰:08/06/21 07:58 📱:PC 🆔:69GbG4Sg


#27 [みぉり]
『言ってなかったっけ』なんて軽く言わないでよ




そんな気持ちがぐるぐる駆け巡っている

⏰:08/06/21 08:00 📱:PC 🆔:69GbG4Sg


#28 [みぉり]
「はぁ〜・・・あ。もう・・・」


またため息でちゃった・・・・こんなの嫌だなぁ


ふと時計に目をやればもうすぐ4時間目が始める、そのあとはすぐお昼・・・・


あかりにちょっと話を聞いてもらおうかなぁ


そんなことを思いながら、机につっぷしてもやもやを少しでも消えてくれるように意識をゆっくり手放すことにした

⏰:08/06/21 08:12 📱:PC 🆔:69GbG4Sg


#29 [みぉり]
お昼休み………あかりに話を聞いてもらおうと思っていたのに


当のあかりの方がなんだか落ち込み気味で、目は赤くて泣いたっぽい後もあるしで……




自分の事よりも、そっちが気になってしまい、あかりの話を聞くのに必死で結局話せないままで昼休みはすぎてしまった

⏰:08/06/22 23:10 📱:N905i 🆔:kpm/PCcE


#30 [みぉり]
教室に戻る途中、あかりは男の子に呼び止められて私はすぐにその場を離れることにした。


だって…あの雰囲気はどうみても愛の告白って感じだったし


…………まぁ、あの子もきっとふられちゃうんだろうけど

⏰:08/06/23 02:42 📱:N905i 🆔:YwIlQwNg


#31 [みぉり]
あかりに『恋愛ができない』と教えてもらったのは高1の夏休み直前だった。



恋愛が出来ないというその理由も…


悲しくて、腹立たしくて、悔しかった

⏰:08/06/25 01:56 📱:N905i 🆔:Mx9gc.Wg


#32 [みぉり]
人の気持ちを賭事に使うなんて許せないって思ったけど……


その話をしてる時のあかりは驚くほど冷静で


…………いや、努めて冷静であろうと、その事についてあかりなりに整理をつけたのだと感じたのを覚えてる。

⏰:08/06/25 01:59 📱:N905i 🆔:Mx9gc.Wg


#33 [みぉり]
当時、あかりとまだ知り合ってもいなかった私にはどうすることも出来なかった過去だとわかりはするものの


人を好きになる、好きと言われることを信じられない今のあかりを見てやりきれない想いも私の中にあるのも事実



ふぅっと重く息をついて、教室に戻り午後の授業へと時間は流れていった

⏰:08/06/25 02:02 📱:N905i 🆔:Mx9gc.Wg


#34 [みぉり]
キーンコーンカーンコーン・・・・・


時間は気づけば放課後で、結局一日中、ぼぅっと過ごすだけだった。



清掃場所に当たっている音楽室へと向かうために、10組の前を歩いていると



その教室の中の会話が耳に飛び込んできた。

⏰:08/06/26 03:16 📱:PC 🆔:IjwlEUHc


#35 [みぉり]
「凪ぃ〜、これからみんなで遊びにいこぉってなってるけど行くでしょ??」

「ん〜・・・・今日は駄目だぁごめんな」


「あー?なんでだよぉ」
「凪いたほうが楽しいのにぃ」

思わず足を止めて、こっそり教室を覗くと


凪とその周りに女の子と男の子が数人で話をしているのが見える。

⏰:08/06/26 03:19 📱:PC 🆔:IjwlEUHc


#36 [みぉり]
「ちょっとな・・・・」


凪がほんの少し濁していうと、周りの子達は少し不満そうにしつつも了解したようで鞄を持ってこちら側へまばらに歩いてくる


私は慌てて扉の真横で目立たないように、出て行く彼らの他愛ない会話が耳を掠めながら遠のいていくのを待った。



・・・・はぁ、なんでコソコソしてんだか

⏰:08/06/26 03:22 📱:PC 🆔:IjwlEUHc


#37 [みぉり]
自分にまたため息をついて、音楽室へ向かおうとした瞬間



「楓はいかねぇの?」



教室に一人残されたと思っていた凪の声が聞こえた。



楓?


たぶん・・・さっきいた女の子達のうちの一人だろう

⏰:08/06/26 03:24 📱:PC 🆔:IjwlEUHc


#38 [みぉり]
歩き出そうとした足が再び止まる


別に凪が、女の子と話すのは珍しいことじゃない


今までもたくさんこういう光景を見てきた


いつもと同じだけ・・・・それだけなのに・・・・


なんでかその場から立ち去れなかった

⏰:08/06/26 03:25 📱:PC 🆔:IjwlEUHc


#39 [みぉり]
・・・・立ち聞きじゃん、私



なにやってんのよ・・・・はぁ・・・



そんな風に思っているのに、どうにも気になってしまって仕方ない


立ち止まってしまった自分に自己嫌悪している私の耳に『楓』さんの声が聞こえる

⏰:08/06/26 03:28 📱:PC 🆔:IjwlEUHc


#40 [みぉり]
「・・・・今日はバーテンの日だっけ?」

「まぁな・・・・黙っててくれてサンキュ」

「やっぱりね(笑)凪が濁すときは大体、バーテ・・・バイトの時だから」




・・・・え?

⏰:08/06/26 03:30 📱:PC 🆔:IjwlEUHc


#41 [みぉり]
今・・・・バーテンって・・・・言ったよね?




固まってしまった私にさらに二人の会話が聞こえてくる



「しかし、よく続くよねぇ(笑)」


「いやぁ・・・思いのほか俺の性格に合っちゃってるんだよねぇこれが(笑)俺もこんなに続けるとは最初、マジ思わなかったけど」




・・・・・・

⏰:08/06/26 03:33 📱:PC 🆔:IjwlEUHc


#42 [みぉり]
笑い声を含みながら淡々と交わされている会話からすぅっと周りの音が消えてゆく



放課後、廊下には多くの生徒が行き来を繰り返して本来ならば、騒音が絶えないのに



その場所に私は今、立っているのに・・・・




何も聞こえない

⏰:08/06/26 03:35 📱:PC 🆔:IjwlEUHc


#43 [みぉり]
あの子は知ってた



凪が・・・・バイトしてること・・・・そのバイト先も・・・・





私は・・・・何も知らなかったのに

⏰:08/06/26 03:38 📱:PC 🆔:IjwlEUHc


#44 [みぉり]
「じゃぁ、私はみんなのとこ行くね!!バイト頑張って」


「うん!また明日な、みんなによろしく言っといて」



そんな会話が聞こえて反射的に、身体の向きを壁にくっつけるようにして扉から離れた。



すぐ横を『楓』さんが高くひとつに結った髪をなびかせて玄関へと歩く後姿をそっと見つめた

⏰:08/06/26 03:42 📱:PC 🆔:IjwlEUHc


#45 [みぉり]
『楓』さんの姿が見えなくなって、また大きくため息がでる。

でもこれは、安堵のため息


なにしてんだか…


体を壁から起こして大きく息を吸い込んで、頭をふるふると振って気持ちを切り替えようと目を閉じる

⏰:08/06/26 15:52 📱:N905i 🆔:VQ8LUkEI


#46 [みぉり]
凪だけが残った教室から、着信を知らせる音楽が鳴り響く。


「もしもし・・・あ、修(シュウ)さん」


修・・・聞いたことのない名前


「わかってますよ、遅刻はしませんって・・・え?あ、じゃー今日は6時からで・・・・はい、じゃあお疲れ様です」


口調から察するに、目上の方らしい『修』さんとの電話を終えた凪がこちらに向かってくる足音が聞こえる

⏰:08/06/26 16:30 📱:PC 🆔:IjwlEUHc


#47 [みぉり]
気づけば私は走っていた


音楽室とは別の方向へ・・・玄関へと向かうであろう凪とは逆に・・・



なんで走っているのかわからない



でもその場にいられず、凪と顔を合わせたくなくて


ただそれだけは、わかった

⏰:08/06/26 16:48 📱:PC 🆔:IjwlEUHc


#48 [みぉり]
たどり着いた先は屋上


全力疾走の末に乱れ切った息を整えながら、ゆっくり鍵をあけた



ガチャ・・・・・



屋上に誰か出入りすることなんてまずないはずなんだけど、なんとなく周りを伺いながらドアをしめる

⏰:08/06/27 16:15 📱:N905i 🆔:np.nE.As


#49 [みぉり]
そのままフラフラと校門の見える位置にあたるフェンスまで歩く


カシャン・・・・


フェンスに指をかけて、見下ろすと帰宅のピークを過ぎ、生徒がまばらにその道を校門へと向かって歩く姿が見えた


その中でも自然と目は凪を探して、またしてもすぐに見つけた後ろ姿にため息がでてしまう

⏰:08/06/28 13:30 📱:N905i 🆔:qFdIvw1Q


#50 [みぉり]
「ため息つくと幸せが逃げるよ」


「!!!!」


突然聞こえてきた声に驚いてあたりを見回す。

が、その主の姿は見当たらない



空耳???

⏰:08/06/29 20:18 📱:PC 🆔:Cq6KJX02


#51 [みぉり]
「はぁ、私ってばとうとう幻聴が聞こえ・・・・」


「だからため息つくと幸せ逃げるって」


「?!?!?!?!」


今度は背後から聞こえた声に勢いよく振り向くとそこには、一人の男の子が立っていた。

⏰:08/06/29 20:26 📱:PC 🆔:Cq6KJX02


#52 [みぉり]
「いいいいいいつからそこにっ」


上手くロレツの回らないままではあったが、なんとか疑問をぶつける


「え?あんたが入ってくる前からあそこで寝てたんだよ」


そういって指差した先は、いつもあかりとお弁当を食べてる場所


・・・・・そりゃ扉からは見えないわけだわ

⏰:08/06/29 20:47 📱:PC 🆔:Cq6KJX02


#53 [みぉり]
頭をがくっと落として再びはぁっとため息をつく


「またため息かよ・・・・」


呆れたような口調の男の子の声が頭上に降り注ぐ。


その声がもやもやしていた気持ちに拍車をかけた



・・・・黙って聞いてりゃなんなのよ、私がため息つくのがそんなにいけないわけ?!

⏰:08/06/29 21:26 📱:PC 🆔:Cq6KJX02


#54 [みぉり]
一言いってやろうと顔をあげると、思っていたよりも近くにその顔があって思わず後ろのフェンスに寄りかかってしまった



ちちちち近っっ!!!



「ぷっ・・・・」



見ると男の子は私のその姿がおかしかったのか、吹き出していた。

⏰:08/06/29 21:37 📱:PC 🆔:Cq6KJX02


#55 [みぉり]
ちょっと・・・・この人、かなり失礼じゃない?!


いい加減むかっとしてきた私は、身体をフェンスから起こして腕を胸の前で組んで立った。


が、それでもその男の子は悪びれる様子もなく、くくっと笑っている



何よこの人?!?!うちの学年にこんな奴いたっけ?!

⏰:08/06/29 21:41 📱:PC 🆔:Cq6KJX02


#56 [みぉり]
むっとしながらも、その男の子のブレザーに目を向けるとその校章のエンブレムカラーは青、


塩見高校は学年ごとに、エンブレムカラーが異なる


といっても赤、青、黄色の3色が毎年順番に採用されていくだけなので、進級するとカラーが変わるというわけではない。


今年入学の1年は青、私たち2年は赤、3年は黄色なのが今年のパターン


つまり、、、私を笑っているこの男の子はつい1週間前に入学したばかりの1年生

⏰:08/06/29 21:50 📱:PC 🆔:Cq6KJX02


#57 [みぉり]
1年っ・・・年下じゃん!!こんな態度でかいくせに?!


思わず驚いてエンブレムを見つめていると、その視線に気づいたのか男の子が笑うのをやめて私に向き直った


「・・・・なんだよ」


「えっ?!?!別に何もっ」


今度は打って変わって不機嫌そうな眼差しで私を見てくる


何なのこの子〜〜〜〜っ

⏰:08/06/29 21:55 📱:PC 🆔:Cq6KJX02


#58 [みぉり]
むかついていたはずの気持ちはどこへやら、男の子の視線に背筋がぴんと伸びてしまった


漂っている空気は重くて、なんとかこの場をやりきろうと口を開く



「やっ・・・なんていうか、、タメかなぁ〜って思ってたらエンブレムが青だから1年なんだなぁって」


そこまで言うと、その男の子は「ちっ」と舌打ちをして私から目を逸らした

⏰:08/06/29 22:00 📱:PC 🆔:Cq6KJX02


#59 [みぉり]
はっ?!今、舌打ちしたね?この子・・・・舌打ちしたいのはこっちだっつーのよ



一度はその子の態度に、消え失せたはずの怒りがその舌打ちによって再びこみ上げる



「・・・・・ちょっと」



「・・・・あ?」

⏰:08/06/29 22:03 📱:PC 🆔:Cq6KJX02


#60 [みぉり]
「あ?じゃないわよ・・・・何よ今の舌打ち」


「なんだっていいだろうが」


面倒くさそうに相変わらず、視線を逸らしたままそう言い放つ


むかっ・・・・


「・・・・ふぅ〜〜〜〜ん、ま、確かになんでもいいわ」


「はぁ?・・・じゃあ言ってくんなよ」

⏰:08/06/29 22:07 📱:PC 🆔:Cq6KJX02


#61 [みぉり]
「今のは理由は何でもいいって意味よ、だけど初対面の人間にいきなり舌打ちするのは失礼じゃないの?」


私は再び、腕を胸の前で組んで男の子をキッと見る


が、男の子は目を合わせようとはせずに片手をポケットに突っ込んだまま空いた手で頭をかいてるし・・・


むかむかっ・・・・なによこの態度

⏰:08/06/29 22:19 📱:PC 🆔:Cq6KJX02


#62 [みぉり]
「人と話すときは目を見て話せって習わなかった?」


むかつきつつもめちゃめちゃ作り笑顔で言う私に、男の子ははぁっとため息をついてから視線を合わせてきた


できるんなら最初っからやれっつーの!!!


・・・と心の中で思いながらも男の子の目をじっと見る。

⏰:08/06/29 22:42 📱:PC 🆔:Cq6KJX02


#63 [みぉり]
今の今まで気づかなかったけど・・・・もしかして


もしかしなくてもこの子すごい綺麗な顔立ちをしてる


・・・・男にしとくのもったいないなー、化粧とかしたらすごい美人になるわ



なんて、見当違いなことを考えていると目の前にいた男の子が口を開いた

⏰:08/06/29 22:45 📱:PC 🆔:Cq6KJX02


#64 [みぉり]
「はぁ〜・・・面倒くさいのにつかまった・・・」

「はっ?!ちょっと!!それ私の台詞なんですけど?!」


心底後悔したような口ぶりで言う言葉にカチンと私のスイッチが入る


「大体ねぇ〜先に話かけてきたのあなたの方でしょうが!!」


「あー・・・・あの一瞬は儚げっつーか寂しそうな感じしたからつい」

⏰:08/06/30 01:23 📱:PC 🆔:U0zxI.jA


#65 [みぉり]
「え・・・・」


思いもしなかった答えに言葉が詰まった


私・・・・寂しそうだった・・・?



「?なんか俺、変なこといった??」


急に勢いの失せた私を不思議そうを覗き込むように聞いてくる

⏰:08/06/30 01:28 📱:PC 🆔:U0zxI.jA


#66 [みぉり]
はっ


「あっ・・・ちがっ・・その・・・・なんかそう思って声かけてくれてたなんて思わなかったから」


慌てて取り繕う私に一瞬、目を丸くしたその子はふっと笑った


「いや、俺も・・・すげぇぶしつけだったし、舌打ちも・・・あんんたの言う通り失礼だったよな」


そう言ってぺこっと私に頭をさげて『ごめん』と呟く姿に拍子抜け

⏰:08/06/30 01:34 📱:PC 🆔:U0zxI.jA


#67 [みぉり]
なんだ・・・・思ったよりも素直じゃん


顔を上げたその子と目が合って思わず、笑うと

その子も私につられたようで一頻り、二人でくすくすと笑ってしまった


「っつーかさぁ、」

「ん?」

「なんであんなにため息ついてたわけ?」

⏰:08/06/30 01:38 📱:PC 🆔:U0zxI.jA


#68 [みぉり]
「・・・・・さぁ」

「なんだそりゃ、理由もなくため息でんのかよ」


私の首をすくめた姿にその子は、『変なの』とくっと笑ってからフェンスに寄りかかるように腰を下ろした


私もなんとなく、その隣に座り込む

⏰:08/06/30 01:43 📱:PC 🆔:U0zxI.jA


#69 [みぉり]
そこにすぅーっと心地いい風が吹いて思わず目を閉じた



あぁ、なんて気持ちがいい風



そんなことを思っていると



「あー・・・気持ちいい風だなぁ」


と、私の感じた事を全く同じ事が横から聞こえて思わず隣を見た

⏰:08/06/30 01:47 📱:PC 🆔:U0zxI.jA


#70 [みぉり]
「なんだよ」

「や・・・私も同じ事思ってたから・・・ちょっとびっくりして」

「あ?そーなんだ、俺達気が合うかもねー」


楽しそうに笑って私を見てそんな事を言う

・・・いや、絶対ないでしょそれ、しょっぱなからあんな険悪なムードだったのよ私ら?


何も応えずに私は乾いた笑いを浮かべてあははと返すのみ

⏰:08/06/30 01:51 📱:PC 🆔:U0zxI.jA


#71 [みぉり]
「あ」

「何よ??」

「っつーか、俺らってお互い名前知らない?」


はぁ?何を言い出すかと思えばそんなこと・・・

寧ろ、うちの高校内だと学年違うだけで遭遇率なんてほぼ0に近いから今後会うこともないと思うんけど・・・


そんな状況で自己紹介????

⏰:08/06/30 02:10 📱:PC 🆔:U0zxI.jA


#72 [みぉり]
「自己紹介しても意味ないと思うんだけど・・・」


素直に思ったままを口にすると、その子は目を丸くして


「え?なんでだよ・・・だってあんた2年でしょ?」


と訳のわからない答を返してくる



「は?いや、そりゃ2年だけど・・・なんでそれと自己紹介と何の関係が・・・」

⏰:08/06/30 02:12 📱:PC 🆔:U0zxI.jA


#73 [みぉり]
「3年なら今後、会うこともないだろうけど・・・2年はきっと会う事もあるだろうし」


「え?・・・どういうこと??」


ハテナが飛び交う頭を傾げながら、その子に尋ねる


「んー・・・何て言うか・・・俺ね、1年の勉強はほとんど終わっちゃってるからLHRとか、専門以外は基本2年で受けるんだよね」

⏰:08/06/30 02:17 📱:PC 🆔:U0zxI.jA


#74 [みぉり]
それって・・・・留年したってこと?


彼の言葉を私なりに整理してみるとそういうことになる

それなら私に堂々とデカイ態度を取ったことも、今のことも納得できるし

だけど・・・うちの学年で留年した生徒が出たなんて話聞いたっけ??

混乱気味のまま思わず『留年したの?』って呟きそうになった瞬間


「言っとくけど・・・留年じゃないからね」

⏰:08/06/30 02:20 📱:PC 🆔:U0zxI.jA


#75 [みぉり]
私の心を読んだかのような声が聞こえた


「え・・・違うの?」


つい、そう言ってしまうと彼ははぁっとため息をついて続ける


「まぁ、そう思われても仕方ないんだけどさ」


そういってゴソゴソとブレザーから取り出したのは学生証

うちの高校の学生証はカードタイプのもので教室内にある個人ロッカーの鍵の代わりもこなすありがたいものなのだ

それを私に突き出す様子に、戸惑いながらも受け取って視線を落とす

⏰:08/06/30 02:24 📱:PC 🆔:U0zxI.jA


#76 [みぉり]
学生証には彼の写真とその横に『森 陽臣(モリ ハルオミ)』と書かれていた


?名前なら口で言えばいいじゃない


そう思って顔を上げて彼を見ると、彼はそこじゃないとでも言うように名前のすぐ下を指差す

それに促されるように再び、視線を落とすとそこには生年月日が書かれていた

『4月2日生』

4月2日・・・なんとまぁ、年度初めぴったりに生まれたんだこの子

⏰:08/06/30 02:34 📱:PC 🆔:U0zxI.jA


#77 [みぉり]
すっごい珍しい!!・・・世の中にはたくさんいるのかもしれないけど私の周りでこの誕生日の人を見たことはない


「へぇー!!4月2日生まれなんだ!!じゃ、もし1日早かったら同級生だったんだね」


カードから顔を上げて自分でそう言ってからふと疑問、


ん?じゃあ、本当に留年したわけではなくて・・・先週入学したばかりってことよね??

でも授業の多くは2年と受ける???

⏰:08/06/30 02:37 📱:PC 🆔:U0zxI.jA


#78 [みぉり]
ますます困惑の私の手からカードを取り、森君は頭をかきながらそれを仕舞った


「っつーこと」


はっ?!?!?!?!?!

いやいやいや!!!今の全く説明になってませんけども?!?!


「意味がわからないままだからっ!!どういうこと??」

「だーからね?俺はわりと出来が良かったので1年の授業はほとんど独学で終えちゃってるわけ、ちなみに俺、学年主席で入学してるからね」

⏰:08/06/30 02:42 📱:PC 🆔:U0zxI.jA


#79 [みぉり]
「はっ?!マジすか?!」

思わず心の底から驚いて叫んでしまった

そんな私をよそに森君は『マジっす』と答えて笑う


主席で飛び級で勉強?!?!いや、違うか

本当の飛び級ってわけじゃないのよね・・・だって1年だし、うん

なんかややこしいんだなぁ〜この子も


「で、あんたとも今後関わることもあるかもしれないっつーことで自己紹介」

「え?あ、園田 有希です、誕生日は・・・・・3月29日」

⏰:08/06/30 02:46 📱:PC 🆔:U0zxI.jA


#80 [みぉり]
「3月29日?!近っ(笑)」


・・・言うと思った、絶対そう言うと思ったから実は話すのを一瞬ためらったのに


「そうよ・・・つい先日16歳になったばかり」

「ほとんどっつーか、俺と完璧タメじゃん(笑)」


満面の笑みでそう言う森君はなんだか・・・嬉しそう

⏰:08/06/30 02:49 📱:PC 🆔:U0zxI.jA


#81 [みぉり]
くそぅ・・・でも、一応形式では私のほうが先輩なのよ?

そう言ってやろうと思ったのに、森君のやたら嬉しそうで綺麗な笑顔に言葉にすることができなかった


・・・・第一印象と全く違いすぎて変な感じ


私がふぅっとため息をつくと、それを見て森君が再びあの言葉を言った



「またっ・・・ため息つくと幸せ逃げるって」

⏰:08/06/30 02:53 📱:PC 🆔:U0zxI.jA


#82 [みぉり]
「このため息は違うのっ」

「・・・・さっきのため息の理由、わかってんじゃん」


はっとした

思わず出た言葉に自分でも驚いて、目を見開いているのがよくわかった


「・・・言いたくないなら聞かねぇけど、言ったら楽になるかもよ?」

「・・・・・・・」

「少なくても・・・ため息の数は減るような気はする(笑)」

⏰:08/06/30 02:57 📱:PC 🆔:U0zxI.jA


#83 [みぉり]
ついさっき出会ったばかりの森君に、いきなりこんな話をするのは迷惑かもしれない


だけど、あかりにも話すタイミングを掴めなかった

もしかしたら、もやもやしたままでずっと過ごすことになるのかもしれない


迷う私に森君はまっすぐな目を向けてくれて・・・それに許されているような気持ちになって・・・



大きく息を吸い込んで、話すことを決めた

⏰:08/06/30 03:05 📱:PC 🆔:U0zxI.jA


#84 [みぉり]
☆ご案内☆
・感想板
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/3579/

よろしければ、感想・意見おねがいします!!

⏰:08/06/30 03:08 📱:PC 🆔:U0zxI.jA


#85 [みぉり]
>>83から

「・・・・幼馴染がね、いるんだ」

「へぇ・・・・男?女?」

「男。・・・・昔はね、何でも知ってるのが当たり前だったの」


ぽつり、ぽつりと言葉にしていく


今の気持ちを、もやもやを少しでも無くすために

⏰:08/07/02 02:15 📱:PC 🆔:4.oxMXpk


#86 [みぉり]
「ため息の理由は・・・こんなの森君や他の人からすれば変って思われるかもしれないんだけどね?その幼馴染のこと・・・最近、わからなくなって・・・」



話しながら自分の気持ちが沈んでいくのがよくわかった

だけど・・・・話し始めた想いは止まらなくてどんどん溢れてくる



「わからなくなって・・・すごく悲しくて・・・でもなんで悲しいのかもわからないの、どんなときもずっと一緒にいたわけじゃないから・・・・今までだってわからないことはたくさんあったから」

⏰:08/07/02 02:20 📱:PC 🆔:4.oxMXpk


#87 [みぉり]
そうだ、わからないことはこれまでも色々あったのに


どうして、今はこんなにもやもやしてるんだろう・・・・



「私は・・・あいつがバイトしてることもそのバイト先も何にも知らなかったのに・・・他の子は知ってて・・・私だけが・・・ううん、その子とあいつだけがそれを知ってるみたいで・・・なんでかすごく悲しくて・・・あいつを・・・取られたみたいで」



そうだ、私・・・凪が取られたみたいで嫌なんだ

⏰:08/07/02 02:25 📱:PC 🆔:4.oxMXpk


#88 [みぉり]
バイト先に・・・私の知らない凪の世界に凪を取られたみたいで



『楓』さんが、私の知らない凪を知っているようで




それがすごく、悲しくて嫌なんだ

⏰:08/07/02 02:26 📱:PC 🆔:4.oxMXpk


#89 [みぉり]
「好きなんだ」

「え?」

「それって、その幼馴染を好きってことじゃん?」



好き?!?!?!私が凪を?!?!?!?

いやいやいやいやいや!!!!!!!!!



「それはないよっ!!!!!」

⏰:08/07/02 04:43 📱:PC 🆔:4.oxMXpk


#90 [みぉり]
ものすごい大きな声で、それこそ森君がその声に驚いて目をまん丸にするくらいの大きさで叫んでしまった


「あっ・・・ごめん」


すぐに我に返って、慌てて謝ると森君もはっとした様子で


「いや・・・びっくりしたけど・・・・」



そう呟いて・・・なんとも言えない沈黙が流れた

⏰:08/07/02 04:49 📱:PC 🆔:4.oxMXpk


#91 [みぉり]
私はというと・・・なんだか森君の顔を見れずに俯いたままじっとコンクリートの床を見つめる



「好きじゃないんならさ・・・・聞いてみればすっきりするんじゃない?」


「え?」



森君が数分の沈黙を破って、話を続ける

⏰:08/07/02 04:50 📱:PC 🆔:4.oxMXpk


#92 [みぉり]
「知ってるのが当たり前だったんだろ?知らないことが悲しいんだろ?」


その言葉に俯いたままこくんと頷く



「じゃあ、本人に聞いてみればいいじゃん」

「え・・・」


本人に聞く?凪に?

・・・・・それが一番手っ取り早いってわかるけどなんでか・・・聞くのが嫌な気持ちもある


というか・・・・拒否されるかもしれないって怖さを心のどこかで持っているんだきっと

⏰:08/07/02 04:53 📱:PC 🆔:4.oxMXpk


#93 [みぉり]
「うー・・・・」


唸ったままで顔を上げようとしない私に森君も黙ってしまった


きっとグチグチしてる女だなって、思ってるんでしょうけど


私だって普段はこんなんじゃないんだから


いつでも、好き嫌いもはっきりしてて悩むよりも行動第一・・で・・・

⏰:08/07/02 05:11 📱:PC 🆔:4.oxMXpk


#94 [みぉり]
「・・・・・そうよ」

「あ?何??」


こんなの私らしくない


うじうじして、本人に聞きもしないで勝手にもやもやして・・・・



「私が一番嫌いなタイプじゃん」

「???」


勢いよく立ち上がると、訳がわからない顔のままの森君に向かい合った

⏰:08/07/02 05:14 📱:PC 🆔:4.oxMXpk


#95 [みぉり]
「ありがとう」

「は?」

「森君の言う通り、本人に聞いてみるっ」

「あ・・あぁ・・・・」


森君は”?”を前面に押し出した表情のまま、とりあえず私の言うことに頷く

⏰:08/07/05 17:17 📱:PC 🆔:OXACKWgY


#96 [みぉり]
「うじうじしてるの私の性に合わないって思い出したから」


そうだよ


いつだって疑問はなんでもぶつけてきたじゃない


変に考えるのやめたらいいんだ



周りとか、そういうの全部とっぱらって

⏰:08/07/06 23:25 📱:PC 🆔:j.k9yRAA


#97 [みぉり]
自分の疑問を確かめればいいんだ



「心配なんだよね、どこで何してるか・・・夜のお仕事関係だし」



「ふぅ〜ん・・・・”心配”ねぇ」



含んだような言い回しで、私を見上げてくる森君は口元をにやっとさせて


なんかその仕草が凪に似てて、一瞬どきっとしてしまった

⏰:08/07/06 23:27 📱:PC 🆔:j.k9yRAA


#98 [みぉり]
思わず、視線を逸らす


「ま、いいんじゃね?」



森君はその様子には気づかなかったみたいで変わらぬ口調でそう言う。


変に意識してしまって、しどろもどろになりそうな自分に驚きつつ


「なんか・・・変なこといっぱい話してごめんね?」


その感謝だけはきちんと伝えた

⏰:08/07/06 23:32 📱:PC 🆔:j.k9yRAA


#99 [みぉり]
「あ?話せっつったの俺だから気にすんな(笑)」



そう言って笑った森君はさっと立ち上がると


私の頭をぽんぽんと軽く撫でてからひらひらと手を振って去っていった


その背中にもう一度『ありがとねー』と伝えてから空を見上げて深呼吸する

⏰:08/07/06 23:34 📱:PC 🆔:j.k9yRAA


#100 [みぉり]
ちょうど、聞こえてきたチャイムで清掃時間の終了に気づいた



あ、早速さぼっちゃった・・・



新学期初の清掃活動をさぼってしまったのは、新しいクラスメイトにはかなりのマイナスイメージだろうけど



でも、それでもその時間でもやもやが晴れてくれたから


多少、冷たい視線で見られてしまう明日は乗り切ろう

⏰:08/07/06 23:37 📱:PC 🆔:j.k9yRAA


#101 [みぉり]
「うしっ!!そうと決まれば・・・凪を待ち伏せて尾行大作戦だー!!」



一人になった屋上で、決意を叫んでから校内へと続く扉へ


作戦を考えながら向かったー・・・・

⏰:08/07/06 23:39 📱:PC 🆔:j.k9yRAA


#102 [みぉり]
―――――・・・・・
凪side

ガチャ・・・・・


バイト先に向かうため、私服に着替えてキャップとメガネで少しだけ見た目を変えて家を出る


携帯のディスプレィを見ると5時ちょい過ぎ

⏰:08/07/06 23:43 📱:PC 🆔:j.k9yRAA


#103 [みぉり]
ゆっくり歩いていっても、十分に間に合うか



バーテンのバイトを始めて、もう丸1年になる


高校生になったらやろうと決めて、たまたま面接に行った店で恭ちゃんに会った


まさか、うちの学校の秀才くんがバーテンやってるなんて思いもしなくて


すげー叫んだのを覚えてる

⏰:08/07/11 01:08 📱:PC 🆔:mzJdfIvE


#104 [みぉり]
バイト先へと向かって歩く道すがら、恭ちゃんとの出会いを思い出していた俺はふと、背後に違和感を覚えた



なんだ?



特に異臭がするとか、そういうことではないのだけれど

⏰:08/07/12 23:32 📱:N905i 🆔:BIIUbG6.


#105 [みぉり]
何気なく振り返って後ろを見るが、特に気になるものはない



気のせいか・・・



再び前を向き、そのままバイト先へと足を進めた

⏰:08/07/15 17:52 📱:N905i 🆔:Uk78WeJY


#106 [みぉり]
ガチャ・・・・・・・





「おはようございまーす」



店の裏口から、挨拶しながら中へと入る



既に開店している時間のためか、中には誰もおらず店へと続く扉から微かに人の声が聞こえているだけ

⏰:08/07/28 04:50 📱:PC 🆔:3IdQYgbQ


#107 [みぉり]
でかでかと”凪”のステッカーを貼った自分のロッカーを開けて征服に着替えてから



鏡の前に立った


白いシャツのボタンを少しだけ開けて、ほんのり甘めの香水をサッとつける


一応、見られる職業でもあるし・・・バイトといえども手を抜くことはするなというのが修さんのポリシーらしい

⏰:08/08/02 04:04 📱:PC 🆔:meav.lzk


#108 [みぉり]
・・・・バーテンなのにちょっとホストっぽいなぁ



なんて、初出勤の日に感じたのをふと思い出して顔が笑う



時計は18時の手前を示している


気持ちを仕事モードに切り替えるために深呼吸をして


店へと続く扉に手をかけ、静かに店内に出て行ったー・・・・

⏰:08/08/02 04:08 📱:PC 🆔:meav.lzk


#109 [みぉり]
――――・・・・・
有希side


ちりんちりんー・・・・・・




凪の後をこっそり付けて、辿り着いた先はこのお店

今まで立ち入ったことのない道に入って、大人の雰囲気漂う路地にあるお洒落なバー



・・・・・こんなとこ高校生が来るところじゃないよっ

⏰:08/08/04 00:53 📱:PC 🆔:Opfi5l96


#110 [みぉり]
そんなことを心の中で思いながらも、意を決して店内へと入った


高校生とばれないようにタイトなミニスカートに白いシャツを羽織って


胸元には淡い花柄のストールで大人めの服装にしたから多分、高校生とばれないはず



こういう時だけ、元々大人びた顔立ちでよかったーなんて

⏰:08/08/04 00:57 📱:PC 🆔:Opfi5l96


#111 [みぉり]
「いらっしゃいませー」



店内に入るとすぐにカウンターから声が掛かり、すぐ近くにいた男性が席の希望を尋ねてくる


カウンターに座るとさすがにすぐ、凪にばれてしまうよね



「あ、あそこいいですか?」



私が指差した先は店内の最奥の窓際、店の隅っこだし店をぐるっと見渡せるからきっと凪をすぐに見つけられるはず

⏰:08/08/04 01:00 📱:PC 🆔:Opfi5l96


#112 [みぉり]
私の答えに男性はにっこり笑って、案内してくれた


渡されたメニューを眺めながら、ちらりと店内を見回すがまだ凪の姿はない



カウンターにはオーナーっぽい男性が料理を作りながら、すぐ近くのお客さんと楽しげに談笑してるのが見える



まだ18時前とあってか、お客さんはほとんどいない

⏰:08/08/04 01:03 📱:PC 🆔:Opfi5l96


#113 [みぉり]
・・・・まずいなぁ、このまますぐに凪が出てきちゃったらばれちゃう



そんなことを考えていると、カウンターのすぐ横にある扉が開き、見慣れた姿が目に入った




凪っー・・・・

⏰:08/08/04 01:05 📱:PC 🆔:Opfi5l96


#114 [みぉり]
咄嗟にメニューで顔を隠す


そろりと顔を半分だけ出して、じっと凪を見る


学校で見るよりも大人っぽくて………お洒落でかけているんだろう黒縁メガネがよく似合ってる

⏰:08/08/06 19:02 📱:N905i 🆔:S00DTYfA


#115 [みぉり]
カウンターにいるお客さんと楽しそうに一言、二言話をして、カウンター内へと入っていく姿に


凪じゃないみたいで、、、なんとも見ていられなくて目を反らした

⏰:08/08/06 19:05 📱:N905i 🆔:S00DTYfA


#116 [みぉり]
「お決まりですか?」



目を逸らしたのとほぼ同時に、案内をしてくれた男性に声をかけられた


はっと、慌ててメニューに目を走られてお勧めカクテルを頼むことにした



゛かしかまりました。゛と男性は笑ってカウンターへと歩いていく

⏰:08/08/11 17:20 📱:N905i 🆔:K5oGNn1Y


#117 [みぉり]
その後ろ姿にほっと胸を撫で下ろしてから、凪にばれないように窓に顔を向けた



ほんのり暗くなってきた外のせいで、中の様子が窓ガラスに反射して写っている




これはラッキーかも…

⏰:08/08/11 17:23 📱:N905i 🆔:K5oGNn1Y


#118 [みぉり]
直視せずに凪を見られるのは好都合、この席にして正解だったなぁ、なんて考えていたらいつのまにかさっきの男性が頼んだカクテルを持ってきていた



お互いに軽くほほえんで、それを受け取り、再び視線を窓に戻す



反射して見える凪は、いつもの笑顔を振りまいてシェーカーを研いてる

⏰:08/08/11 17:32 📱:N905i 🆔:K5oGNn1Y


#119 [みぉり]
ここにいても、見劣りすることもなくて高校生とは思えない雰囲気を醸し出している



それがまた私に妙な淋しさを感じさせて



カクテルを口に運んだ

⏰:08/08/12 16:21 📱:N905i 🆔:V2EVrkiA


#120 [みぉり]
「美味しい・・・・」



飲んでびっくりした。全然アルコールの味はしなくて、甘酸っぱい柑橘の香りと甘さがとっても美味しい



一口で気が良くなった私はグイグイと続けて口へ運ぶ

⏰:08/08/12 17:26 📱:N905i 🆔:V2EVrkiA


#121 [みぉり]
ちらりと窓を見てみれば、カウンターでシェーカーを振ってる凪が写っていて



いつのまにか増えてきたお客さんがカウンターを埋めていた



そのほとんどは女性で、凪に話し掛けて楽しげな様子




・・・・・でれでれしちゃって

⏰:08/08/12 17:42 📱:N905i 🆔:V2EVrkiA


#122 [みぉり]
じろっと窓越しに凪をにらんで、カクテルを一気に飲み干した


すかさず、またあの男性スタッフが私の元にやってきて注文を尋ねてくる



イライラしていたのも手伝って、さっきよりもずっとアルコールのきついカクテルを頼むことにした

⏰:08/08/16 12:48 📱:N905i 🆔:CY7Jnd8A


#123 [みぉり]
新たに運ばれてきたカクテルを飲んでまたまた驚いた



すごく美味しいんだけど、相変わらずアルコールが感じられなかったから





・・・・・私ってお酒強いのかも

⏰:08/08/16 13:44 📱:N905i 🆔:CY7Jnd8A


#124 [みぉり]
ちょっぴりうれしくなりながらも視界に凪を捉えたままに少しずつ口に運ぶことを繰り返した




っていうかさ、、、凪もなんであんなに愛想がいいんだろ




そりゃ接客業だけど・・・・にしても、あの女の人たちはちょっと行きすぎじゃないのっ?

⏰:08/08/16 13:47 📱:N905i 🆔:CY7Jnd8A


#125 [みぉり]
時間も過ぎて人が増えたといってもカウンターは一際、女性客で賑わっていて


その中心にいる凪がすごく遠く感じてしまう



イライラもやもやする気持ちと入り交ざってどうしようもない



そんな思いでカウンターをちらちらと見ていた矢先、女性客の一人が、手を伸ばして凪の髪に触れた

⏰:08/08/16 19:38 📱:PC 🆔:jt8TLmjg


#126 [みぉり]
ガタンッー・・・・・


思わず立ち上がってしまった
近くに座っていた客が数人私に視線を向けていた様子に

慌てて我に返って、うつむき加減で腰をおろした



窓越しだし、まわりは薄明かりで賑わっているからこの辺りの人しか今の不可思議な行動に気付いてはいない

⏰:08/08/16 23:50 📱:N905i 🆔:CY7Jnd8A


#127 [みぉり]
恥ずかしいっ


そんな想いでなかなか顔を上げられなくて、熱くなった頬を押さえながらため息をつく



なんでこんなに動揺してるのよ・・・



深呼吸を繰り返し、ほんの少しの間をおいて、落ち着きを取り戻した私はゆっくりと顔をあげた

⏰:08/08/17 19:26 📱:PC 🆔:61JlzwEo


#128 [みぉり]
さっきと同じように、窓に反射したカウンターの様子が見える・・・・・・・・・・はずだった




「お一人ですか?」



カウンターの絵を遮る様に男性が立っているのが、窓越しに反射して写っていた

⏰:08/08/17 19:33 📱:PC 🆔:61JlzwEo


#129 [みぉり]
「え?」



声の聞こえた方に目を向けると、わりとかっこよさげな男性がにっこり笑って立っていた



「隣、いい?」


突然のことに驚いて、何も答えない私の隣にその人はさっと座る

⏰:08/08/17 19:49 📱:PC 🆔:61JlzwEo


#130 [みぉり]
ガタンと椅子をひく音にはっとして


いきなり何っー・・・・



そう言おうとした瞬間、


「いきなりごめんね」



先にそう言われ、にっこり微笑む顔に何もいえなくなった

⏰:08/08/17 19:51 📱:PC 🆔:61JlzwEo


#131 [みぉり]
「君、いくつ?」


私が何も言い咎めないのを受けてか、男性は話しかけてくる


っていうか、、これって軽くナンパじゃない?


ふと思い当たったけど、、、これまでにナンパなんてされたこともない私はぐっと押し黙ってしまった

⏰:08/08/17 20:56 📱:PC 🆔:61JlzwEo


#132 [みぉり]
「見た感じだとー・・・20歳?」


”もっと若いっての!!”そう言いたかったけど、言えるはずもなく


私はひきつった笑顔で”はぁ”と答えるだけ



「何々?もしかして緊張してる??・・・・可愛いなぁ」



かわっ?!?!



お世辞とわかっているのに”可愛い”という言葉にかぁっと顔が赤くなってしまった

⏰:08/08/17 21:02 📱:PC 🆔:61JlzwEo


#133 [みぉり]
「ははっ・・・純粋なんだねぇ」


私のその反応に気を良くしたのか、男性は距離を詰めてふいに私の頬に手を添えて


ぐいっと見つめ合うような姿勢にされた



え?え?


訳のわからないまま、あたふたする私に男性はさっきとは少し違う表情を浮かべてにっこりと笑う



「ねぇ・・・良かったらさー・・・」

⏰:08/08/17 21:06 📱:PC 🆔:61JlzwEo


#134 [みぉり]
なにこの人ーっ・・・・こわいっ


顔を固定されてしまったため、体勢を逸らすことができない


話しながら、でも確実に近づいてくる男性に背筋がゾクっとした瞬間




上から右腕をぐいっと引っ張られて、ガタンという椅子が倒れる音と共に体が起き上がった

⏰:08/08/17 21:12 📱:PC 🆔:61JlzwEo


#135 [みぉり]
「お客様、こちらの方はオーナーの恋人ですのでそれ以上はご遠慮下さい」



不意に聞こえてきた聞き覚えのある声ー・・・・



あまりのことに固まってしまって動けなくなってしまい、
私は、さっきまで私に言い寄ってきた男性をじっと見つめた



「え?あ、、、そ、そうなのか?」


その男性は隣にいるであろう人物に目を向けてやや焦った様子で話す

⏰:08/08/17 21:18 📱:PC 🆔:61JlzwEo


#136 [みぉり]
「知らなくて・・・すまなかった」


男性は慌てながら私にぺこりと頭を下げるといそいそとその場を立ち去っていった




今のやりとりに周りの客が注目し、ざわざわとする店内



「お騒がせいたしまして、申し訳ございません」



私を引っ張り立たせた人物は、周りのお客さんに向かって深々と頭を下げた

⏰:08/08/17 21:23 📱:PC 🆔:61JlzwEo


#137 [みぉり]
その様子に、周りの客もはっとした様子で数秒後には先刻と変わらぬ雰囲気へと戻った




私はほんの数分のやりとりの間に、、、何も言えず、、、視線を帰ることもできずに


今はもう、男性が立ち去って誰もいない椅子をじっと見つめていた

⏰:08/08/17 21:25 📱:PC 🆔:61JlzwEo


#138 [みぉり]
「・・・・・何してんの」




右隣から聞き慣れた声が聞こえる。
でもそのトーンはいつもは聞くことのない位低くて、、、、怒っていることが伝わってきて余計に視線を変えられない




「・・・・おい、聞いてんのか?有希」



名前を呼ばれたとの同時に、掴まれた右腕がぐっとやや強く握られて



私はゆっくりと身体をその相手に向ける

⏰:08/08/17 21:29 📱:PC 🆔:61JlzwEo


#139 [みぉり]
「・・・・・・・凪」



視線を移した先にいたのは、いつもの笑顔ではなく


眉間にシワを寄せて、じっと私を見つめる凪の姿だったー・・・・

⏰:08/08/17 21:33 📱:PC 🆔:61JlzwEo


#140 [みぉり]
凪のその鋭い視線に思わず目を逸らしそうになる。


でも、なんとかこの状況を上手く説明しなきゃ、、、、後をつけたことがばれない様に言い訳しなくちゃ


そう思って口を開く


「あのっ・・・これは・・・」


けど、口を開いてはみたものの、上手い言葉が見つけられない

⏰:08/08/17 21:52 📱:PC 🆔:61JlzwEo


#141 [みぉり]
「ーーっ」


何も言えなくて、凪の目が怖くて、、、、俯いてしまった



「・・・・はぁ、お前さ」



凪がため息をついてから何かを言いかけた瞬間、



「なっちゃぁぁぁん」



鼻につくくらい、媚びてる甘ったるい声が聞こえて、凪の声を掻き消した

⏰:08/08/17 23:42 📱:PC 🆔:61JlzwEo


#142 [みぉり]
その声に顔を上げると、凪が掴んでいた私の腕を離して

抱きついてきた女性を抱き留める様子がスローモーションの様に私の視界に飛び込んできた



「・・・・悠里(ユウリ)、危ねぇよ」



凪は仏頂面をしながらも、その女性に向き直って声をかける

⏰:08/08/18 00:17 📱:PC 🆔:WiNzS.oo


#143 [みぉり]
「平気、だってなっちゃんは絶対抱きとめてくれるもん」


”悠里”と呼ばれた女性は、上目遣いで凪に応える


凪は”はぁ”とため息を吐きながらも、さっきまで私の腕を掴んでいた手で”悠里”さんの頭にぽんぽんと手をのせた




”嫌だ””触らないで”

⏰:08/08/18 00:20 📱:PC 🆔:WiNzS.oo


#144 [みぉり]
そんな気持ちが胸の中をぐるぐる回っていたけれど、目の前の光景から目を離せなかった



”悠里”と呼ばれた女性・・・いや、女の子・・・・かな


ぱっと見、私とそんなに年が変わらない様に思う

小さくてふわりとしていて、ピンクのワンピースが良く似合ってる


すごく可愛い女の子



その子と凪がぴったりと寄り添っている姿はとても絵になって、、、



・・・・・やだよ。

⏰:08/08/18 00:29 📱:PC 🆔:WiNzS.oo


#145 [みぉり]
そんなに凪に触れないで、、”なっちゃん”なんて・・・・呼ばないでよ



”悠里”さんはそんな私に気づいたのか、チラリと一瞬私を見た


その目があまりに鋭くて、可愛いのにしっかりと”女”としての気を発していて

私は思わず、身体がびくっと強張ってしまった



「ね、なっちゃん?先に部屋いってるから、、、鍵ちょーだい」

⏰:08/08/18 00:34 📱:PC 🆔:WiNzS.oo


#146 [みぉり]
「は?なんでそんなー・・・・っ」


凪は困惑した顔で応えていたが、次の瞬間はっとしたように黙った

”悠里”さんはそんな凪を見て、ふっと笑って頬に手を添える



「ね?鍵ちょーだい?」


再び、話かける”悠里”さんは女の顔で、
恋愛に疎い私にだって、凪との関係がはっきりわかった。

凪は、ふっと笑ってポケットから鍵を出して”悠里”さんに渡す

⏰:08/08/18 00:38 📱:PC 🆔:WiNzS.oo


#147 [みぉり]
「ん、失くすなよ」

「へへ、サンキュー」



”悠里”さんは凪の頬に軽くキスをして、手を振りながら去っていった


去り際、しっかりと私に不敵な笑みを浮かべながら

⏰:08/08/18 00:40 📱:PC 🆔:WiNzS.oo


#148 [みぉり]
彼女が去って、残った凪と私の間に沈黙が流れた



今の・・・・彼女・・・なんだ



それを理解するのと同時に、
自分の心がこれまでにないくらい息苦しくなっていく




「・・・・・有希」

⏰:08/08/18 00:44 📱:PC 🆔:WiNzS.oo


#149 [みぉり]
びくっ・・・・


凪の声にはっと我に返った


「あいつはー・・・」




いやだ。凪の口から彼女の紹介なんて聞きたくないっ




そう思うが早いか、自然と口を開いていた



「可愛いね、今の子、凪の彼女でしょ??」

⏰:08/08/18 00:47 📱:PC 🆔:WiNzS.oo


#150 [みぉり]
「え・・・?」


凪が驚いた顔をしたけど、私は満面の笑顔で続ける


「隠さなくていいよぉ!!っていうか、あんな可愛い彼女いるならさっさと教えなさいよ!!水臭いなぁ〜」



いつもと同じ様に笑えてるかな、

変じゃないかな

⏰:08/08/18 00:54 📱:PC 🆔:WiNzS.oo


#151 [みぉり]
そんな心配をしながらも、精一杯の笑顔で凪を見つめる


「・・・・違うよ」


「え?」



てっきり”そうだよ”って言われると思って、覚悟して笑顔を作っていたのに

凪の口から出たのは私が思いもしない言葉だった




「あいつは・・・・・ただのセフレだよ」

⏰:08/08/18 00:59 📱:PC 🆔:WiNzS.oo


#152 [みぉり]
「は・・・・?」


今、セフレって言った?
セフレって・・・・セックスフレンド・・・
それって・・・・


驚きを隠せず、言葉に詰まってしまった私に
凪はふっと今まで見たことのないような冷たい目で、笑って言う


「ただのH友達、したい時にするだけで付き合ってません」

⏰:08/08/18 02:16 📱:PC 🆔:WiNzS.oo


#153 [みぉり]
いたって冷静に、冷たい笑顔できっぱりという凪は私の知ってる凪じゃなかった


「何言ってんの・・・凪はそんな人じゃないでしょ?」


ぽつりと呟くように私の口からでた言葉


”冗談だよ”って言ってくれるよね?


そんな想いで呟いた凪への確認の言葉

⏰:08/08/18 02:19 📱:PC 🆔:WiNzS.oo


#154 [みぉり]
「本当。有希が知らないだけで俺にはいっぱいいるの」


頭をガツンと殴られたみたいだった


否定してくれると思っていた淡い期待は見事に打ち砕かれて


悲しさで笑顔が歪んでいくのが、自分でもよくわかった

⏰:08/08/18 02:22 📱:PC 🆔:WiNzS.oo


#155 [みぉり]
自然と視界が床へと向かっていく中、頭の上から凪の声が聞こえる


「っつーか、ここは有希みたいなお子様が来る所じゃないんだから、帰れ」


冷たい声


怒っているのか、呆れているのか、面倒くさいのか、、、


そのどれなのかわからないけど、
でも確実に私をここから立ち去らせたい思いがあることだけは明白な声

⏰:08/08/18 02:25 📱:PC 🆔:WiNzS.oo


#156 [みぉり]
それでも私は動くことが出来なかった


こんなのっ・・・凪じゃない



そう思ってみても、今さっきの言葉は凪自身が言ったことで

信じられなくてもこれが現実



中々動こうとしない私に凪は呆れたのか、再びため息をついてからまた私の右腕を掴むと


店の出入り口に向かって、私を引っ張りながら歩きだした

⏰:08/08/18 02:29 📱:PC 🆔:WiNzS.oo


#157 [みぉり]
「なっ凪ー・・・っ」


あっという間に扉の前につくと、凪はドアノブに手をかけて扉を開ける


私は慌てながらも、このまま帰ってしまったら凪との今までが全て消えてしまいそうな不安で足を止めた



「帰れ」

⏰:08/08/18 02:31 📱:PC 🆔:WiNzS.oo


#158 [みぉり]
「・・・ーっ」


凪は私と目を合せようとはせずに、私の背を押して店の外に出す


「凪っまー・・・・」



バタンーっ・・・・

⏰:08/08/18 02:34 📱:PC 🆔:WiNzS.oo


#159 [みぉり]
振り返って再び、ドアノブに手をかけてはみたものの


最後の凪の”帰れ”の冷たい声がこだまして、ゆっくりと力なく手を離したー・・・・

⏰:08/08/18 02:36 📱:PC 🆔:WiNzS.oo


#160 [みぉり]
━━――─・・・・・
凪side



バタンッー・・・



扉を閉めて、それに寄りかかるようにもたれてしまった


「はぁ〜・・・冗談じゃねぇよ・・・くそっ」


呟いた俺の言葉は、店の音楽が消してくれる


俺の今の様子だって、酒に酔ってる客達は気づかない


「凪、ちょっと・・・・」

⏰:08/08/18 02:40 📱:PC 🆔:WiNzS.oo


#161 [みぉり]
すぐ近くから声を掛けられた方に視線を移すと、

修さんがカウンターから物凄い睨みを利かせている姿が入ってきた



「・・・・うぃっす」


力なく返事をして、カウンター横の従業員部屋に入った

⏰:08/08/18 02:43 📱:PC 🆔:WiNzS.oo


#162 [みぉり]
その様子をカウンターに居た常連達が心配そうに見つめる


店のオーナーである修さんは、俺を睨んだまま常連達に”すいません”と挨拶をして

俺の後を追うように部屋に入ってきた


バタンッー・・・・

⏰:08/08/18 02:50 📱:PC 🆔:WiNzS.oo


#163 [みぉり]
「お前、いつからそんな軽い男になったわけ?」


扉を閉めて早々、修さんが厳しい口調で問う



「・・・すいません」


「店の雰囲気に関わる事なんだ、あんな真似お前らしくない」

⏰:08/08/18 02:52 📱:PC 🆔:WiNzS.oo


#164 [みぉり]
「・・・・・」


「それに・・・・俺はいつからあの子の恋人になったんだ?」


「・・・すいませんっ」



俯いたまま謝るだけの俺に、修さんは続ける


「・・ったく、何なんだよ?悠里のあの態度も意味わかんねぇし」

⏰:08/08/18 02:57 📱:PC 🆔:WiNzS.oo


#165 [みぉり]
じろっと視線を部屋のソファに向けて、、、そこに座っている悠里を睨んだ


「ちょっとね・・・凪に仕返し?(笑)」


悠里は、扉の前に突っ立っている俺と修さんに手を合せて”ごめんね”と笑う


っていうか、この場合謝るべきは俺の方だ

⏰:08/08/18 03:06 📱:PC 🆔:WiNzS.oo


#166 [みぉり]
「すいません、悠里のあの態度は俺のせいっす」


謝って、顔を上げると”訳がわからねぇ”と修さんはため息をついて悠里の隣に腰を下ろした



「修ちゃん、妬いた?笑」


「誰が妬くかっ・・・っつーか、凪にキスしてんじゃねぇよっ」

⏰:08/08/18 03:10 📱:PC 🆔:WiNzS.oo


#167 [みぉり]
「だって、つい癖でー・・・・」


「いつまでも留学してた時の癖だすなっ、ここは日本なんだよっ」


修さんと悠里が、俺がいるのもお構いなしに痴話げんかを始めてしまった


これも全部、さっきの俺の言動が招いたことだけど・・・

⏰:08/08/18 03:13 📱:PC 🆔:WiNzS.oo


#168 [みぉり]
言い合いをしている二人に気づかれない様にそっと部屋を出て、店内へと戻った


「若菜くん、大丈夫?」


カウンターからさっきの様子を見ていた常連の一人に声をかけられて


俺はにっこり笑いながら”大丈夫です”と応え、カウンター内へ入った

⏰:08/08/18 03:18 📱:PC 🆔:WiNzS.oo


#169 [みぉり]
「ばか凪」


カウンターの最奥からそんな声が聞こえて、嫌な予感を覚えながら見ると、そこには石田先生が呆れ顔で座っていた


思わず苦笑いを浮かべながら、石田先生の前にいつものお酒をそっと差し出す


先生はふっと笑って受け取ると、一口飲んで俺に話しかけてきた

⏰:08/08/18 03:22 📱:PC 🆔:WiNzS.oo


#170 [みぉり]
「お前なぁ、悠里の前で園田を”修の恋人です”なんて言ったら、冗談とはいえあいつが来るのわかってただろ」


再び呆れ顔で呟かれた言葉に、思わず”はい”と応えてしまった


悠里は俺の彼女でも、ましてやセフレでもない・・・


この店のオーナーである修さんのれっきとした恋人

⏰:08/08/18 03:25 📱:PC 🆔:WiNzS.oo


#171 [みぉり]
「・・・どっから見てたんですか?」


「お前があのナンパ男の元に歩いていった所から」



それって全部じゃないかよ・・・俺は思わず肩を落としてため息をつく

それを聞いてか、石田先生はくくっと笑って残りの酒を一気に飲み干した

⏰:08/08/18 03:27 📱:PC 🆔:WiNzS.oo


#172 [みぉり]
「悠里と修は?」

「裏です・・・俺のせいでちょっとこじれさせちゃったけど・・・・すぐ戻るんで平気だと思いますよ」


「お前が言うなっつーの(笑)」


石田先生の突っ込みに苦笑いしながら、有希の悲しそうな顔を思い出して、またため息が出た



「・・・・あれで良かったの?」

⏰:08/08/18 03:31 📱:PC 🆔:WiNzS.oo


#173 [みぉり]
いつの間に従業員部屋から出てきたのか、悠里の声が聞こえて顔を上げると


石田先生の横にちょこんと座る悠里の姿があった



「あぁ・・・・ありがとな、悠里」


礼を言う俺に、隣から”ごほん”という咳払いが聞こえて横を見ると

悠里同様、いつの間にかカウンターに入ってきた修さんの姿があった

⏰:08/08/18 03:34 📱:PC 🆔:WiNzS.oo


#174 [みぉり]
「修さん・・・本当にすいませんでした」


俺が再び、頭を下げて謝ると修さんは”悠里に軽く聞いたから”と言って俺の背中をぽんっと叩いて、入ってきたオーダーを捌いていく


「凪、ごめんね?修ちゃんにちょっとだけ・・・話しちゃった」


悠里が俺に申し訳なさそうに言う

⏰:08/08/18 03:40 📱:PC 🆔:WiNzS.oo


#175 [みぉり]
「いや、むしろ悠里に嫌な思いさせた俺が悪いし・・・修さんになら・・・別に聞かれてもいいよ」


笑顔で返す俺にほっとしたのか、悠里はにっこり笑っていつもの様に時折、修さんと目で会話をしながら飲み始めた


ちなみに、幼く見られがちな悠里だがこれでも22歳の大人だ

⏰:08/08/18 03:45 📱:PC 🆔:WiNzS.oo


#176 [みぉり]
修さんはこの店のオーナーで、友達の今泉恭平の兄


悠里はその恋人で、今年の2月まで5年間アメリカに留学していた大学生


石田先生は、俺の通う潮見高校の担任でこの店の常連さん、修さんとは幼馴染らしい

⏰:08/08/18 03:49 📱:PC 🆔:WiNzS.oo


#177 [みぉり]
「凪、お前、今日はもういいから上がれ」


「え・・・でも」


「いいから上がれ、っつーかそんな顔じゃ接客できねぇだろ?」


修さんが自分の眉間を指差しながら言う仕草に、俺は初めてこれまで眉間にシワを寄せて、困った顔で仕事していたことに気づいた


「すいませんっ・・・・有難うございます」

⏰:08/08/18 04:00 📱:PC 🆔:WiNzS.oo


#178 [みぉり]
修さんと悠里達を含めた周りのお客さんに挨拶をしながら、従業員部屋に入った



バタンッー・・・・



扉を閉めると同時にどっと疲労感が襲ってきて、思わずソファにダイブして目を瞑った

⏰:08/08/18 04:03 📱:PC 🆔:WiNzS.oo


#179 [みぉり]
迂闊だった

まさか有希が後を付けてくるなんて思いもしなかった


店へ向かう途中に感じた違和感の正体が、

店内に入って見つけた有希の姿で、すぐにわかった



どこにいたって一瞬でわかる、見つけられる

⏰:08/08/18 04:07 📱:PC 🆔:WiNzS.oo


#180 [みぉり]
有希に気づいたけれど、どうしたら良いかもわからずにいつも通りに接客していた


勿論、常に視界に入るようにはしていたけれど・・・・


元々大人っぽい有希なのに、あんな服装をされては誰も未成年であるとは気づくわけもなく、


あろうことか、カクテルのオーダーまでしやがった

⏰:08/08/18 04:10 📱:PC 🆔:WiNzS.oo


#181 [みぉり]
酒なんて飲ませられない。


有希は覚えてないだろうが、正月にちょっとチューハイを飲ませたら途端に酔っ払ってしまったのだ


そんな有希に、ここで酒を飲ませるわけにはいかない


そう思った俺は、修さんに頼んで代わりにシェーカーを振らせてもらってほとんどアルコールの入っていないカクテルを作った

⏰:08/08/18 04:20 📱:PC 🆔:WiNzS.oo


#182 [みぉり]
有希がこの店に来た目的なんてすぐに検討がついていたし、1杯飲んだら帰るだろうと考えていたのが甘かった


2杯目にアルコール度数の高いカクテルを注文してきたのには正直、焦った


勿論、1杯目同様にアルコールのほとんど入っていないものを作り、変わらずに接客をしていたのだが


ふと有希に誰かが近づくのが視界に入った瞬間、俺の思考は真っ白になってしまった

⏰:08/08/18 04:27 📱:PC 🆔:WiNzS.oo


#183 [みぉり]
【感想板】
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/3579/

良かったら感想・意見下さい。お願いしますヾ(;`・Д・)ノ

⏰:08/08/18 04:37 📱:PC 🆔:WiNzS.oo


#184 [みぉり]
>>182から

有希に近づいた男が、有希の頬に触れたのを見た後


気づいたら有希の腕を掴んで立たせていた



そこから先はー・・・・・まぁ、俺が一方的にその場しのぎに口走ったわけで



すんなりとあの男が諦めてくれて本当によかった

⏰:08/08/19 21:51 📱:PC 🆔:ADyfMnhU


#185 [みぉり]
・・・・有希を傷つける事になってしまったけれど

 
いい機会だったのかもしれない



「いつまでも、、、一緒にはいれねぇよ」



誰にも聞こえない声で呟いた言葉は、扉の外から聞こえる音楽と笑い声に飲み込まれて消えた

⏰:08/08/19 23:29 📱:PC 🆔:ADyfMnhU


#186 [みぉり]
━━――─・・・・・
有希side


あ「・・・そ・・・んなことが・・・」


週明け月曜日、お昼休みにいつものようにあかりとご飯を食べていた


頭の中は金曜の凪との出来事でめいっぱいだったのに、考えることを心が拒絶して、あの日はどうやって帰ったのかも覚えていないくらいだった

⏰:08/08/19 23:50 📱:PC 🆔:ADyfMnhU


#187 [みぉり]
だからこうして、あかりに話すことも・・・・なんてことないように振る舞ってしまってる



でも、、、本当は気付いてしまった



気付きたくなかった色々なことに

⏰:08/08/22 18:44 📱:N905i 🆔:5MTxFqMQ


#188 [みぉり]
有「いやぁ〜・・・・さすがにショックだった・・・よ」


ショックなんてものじゃなかった


凪が凪じゃないみたいで、本当に私は凪を何にも知らないんだってこと


いつも前向きだって思ってた自分が凪のことに関しては臆病になってしまうこと

⏰:08/08/23 02:30 📱:PC 🆔:s.l8mfkw


#189 [みぉり]
あ「有希・・・・・」


あかりが戸惑いを隠せない顔で私を見つめる


本当なら、いつもは笑い飛ばすのに、、、凪のことだけは笑い飛ばすことが出来ないこと



有「それでわかったの・・・・・」

⏰:08/08/23 02:32 📱:PC 🆔:s.l8mfkw


#190 [みぉり]
色々なことがわかってしまった


きっとずっと、わかってて目を瞑ってきたこと




有「私ね・・・・・多分凪のことが好きなんだ」

⏰:08/08/23 02:34 📱:PC 🆔:s.l8mfkw


#191 [みぉり]
あの日、家に帰ってから、、、いや、店で”悠里”さんと凪が並んでいる姿を”嫌だ”と感じてしまったから




気づいてしまったんだ




初めて言葉にしてみて改めて痛感する



凪が好き、どうしようもないくらい好きで好きで、、、

⏰:08/08/23 02:37 📱:PC 🆔:s.l8mfkw


#192 [みぉり]
見つめていたあかりの姿がぐにゃりと歪んできて


いつのまにか、目に涙が溜まっていたことに思わず空を見上げた



あかりは何も言わず、じっと黙っている



きっと、私の言葉を待ってくれてるんだ

⏰:08/08/23 02:40 📱:PC 🆔:s.l8mfkw


#193 [みぉり]
凪と彼女、、、というか恋愛関係にある人と会ったのは実はあの日が初めてだった



いつも、話に聞くだけだった凪の彼女達、、、一度だってその姿を見たことがなかったから



きっと、心のどこかでほっとしていたんだと思う



会わなければ現実を知ることはなかったから

⏰:08/08/23 02:42 📱:PC 🆔:s.l8mfkw


#194 [みぉり]
”悠里”さんに触れて、髪を撫でていた凪



思えば、私は凪にあんな風に触れられたことなんてなかった



あの光景を見た瞬間、凪にとって自分は単なる”幼馴染”でしかないことを突きつけられたんだ

⏰:08/08/23 02:45 📱:PC 🆔:s.l8mfkw


#195 [みぉり]
有「でもね・・・・同時に失恋!!」



出来る限りの明るい声であかりに告げる



好きだって自覚した途端に失恋なんて・・・・

⏰:08/08/23 02:48 📱:PC 🆔:s.l8mfkw


#196 [みぉり]
有「・・・・・・・なんで今頃気づくかな〜私ってば・・・・」


あ「有希・・・・・」


有「誰かが・・・・凪に触れるって思うと・・・それがすごい嫌なんて・・・・」


涙がこぼれそうになるのを堪えながら、あかりに向き直って続ける


有「凪にとって・・・私は"幼馴染"であってそれ以上でも以下でもないってわかってるのに・・・ね」

⏰:08/08/23 02:49 📱:PC 🆔:s.l8mfkw


#197 [みぉり]
そう言いながら、ずっと本当の気持ちから目を背けて続けてきた自分自身がひどく情けなくなった



真っ直ぐに私を見つめていたあかりはいつの間にか、静かに涙を流していて


私が突っ込むまで、泣いてることに自分で気づいてなかったあかりは慌てて涙を堪えようとするもぽろぽろ泣いていて

⏰:08/08/23 02:54 📱:PC 🆔:s.l8mfkw


#198 [みぉり]
その姿に、我慢していた涙は一気に溢れ出てしまった



予鈴が鳴っても、本鈴が鳴っても泣き止むことが出来ない私にあかりは黙って寄り添ってくれていたー・・・・

⏰:08/08/23 02:57 📱:PC 🆔:s.l8mfkw


#199 [みぉり]
凪が好き



好きだよ



大好きだよ




だけど・・・・それは伝えられない

⏰:08/08/23 03:00 📱:PC 🆔:s.l8mfkw


#200 [みぉり]
伝えちゃいけない



凪はきっと困ってしまう



伝えてしまったら、もう戻れなくなってしまう



今まで通り、幼馴染として一緒にいられなくなるんだきっと

⏰:08/08/23 03:01 📱:PC 🆔:s.l8mfkw


#201 [みぉり]
いつかまた、凪に彼女が出来て笑いながら私に報告してくる日が来る



その時は、笑って喜んであげたい



好きって伝えないんだから、誰も手にすることが出来ない”幼馴染”という立場だけは守りたい

⏰:08/08/23 03:04 📱:PC 🆔:s.l8mfkw


#202 [みぉり]
そう決意して、あかりに告げた



あかりは”わかった”と言いつつもきっと、どこかで納得できていないと思う




だけどね、それが私なりに凪を想う形なんだ

⏰:08/08/23 03:07 📱:PC 🆔:s.l8mfkw


#203 [みぉり]
━━――─・・・・・
凪side




なんで屋上なんて来てしまったんだろう



昼休みはいつも、あかりと有希がご飯を食べてるってことをどうして忘れてたんだろう

⏰:08/08/23 03:11 📱:PC 🆔:s.l8mfkw


#204 [みぉり]
昼休みは始まってぼーっとしていた屋上に有希とあかりが入ってきた時に立ち去るべきだった




けど・・・・動けなかった




有希の言葉に、二人の涙声に、動くことが出来なかったんだ

⏰:08/08/23 03:16 📱:PC 🆔:s.l8mfkw


#205 [みぉり]
いつの間にか、静かに寝息を立て始めた二人を残して立ち去ればよかったのに、それすら出来なかった




いや、一目でいいから会いたかったんだ




有希に

⏰:08/08/23 03:21 📱:PC 🆔:s.l8mfkw


#206 [みぉり]
俺はゆっくりとハシゴを登り、泣き腫らした顔で眠る二人にシャッターを切った



幽霊部員の俺だけど、カメラは大好きで暇さえあれば持ち歩いてるんだ



本当は不謹慎なのかもしれない、俺のせいで泣かせた二人を撮るなんて

⏰:08/08/23 03:25 📱:PC 🆔:s.l8mfkw


#207 [みぉり]
だけど・・・どうしても俺の中に残しておきたかったんだ




撮った後、始めからずっと一緒にいてくれた恭ちゃんにカメラを託して俺はゆっくりとその場から離れた

⏰:08/08/23 03:29 📱:PC 🆔:s.l8mfkw


#208 [みぉり]
向かう先は保健室



写真部副部長の特権である保健室の鍵で、校医不在の保健室で少し考えるために・・・


―――――・・・・・

階段を降りて、保健室前に立ち、自分の胸ポケットを漁って思い出した

⏰:08/08/23 03:31 📱:PC 🆔:s.l8mfkw


#209 [みぉり]
凪「鍵・・・・恭ちゃんに没収されたんだった」



俺が恭ちゃんにも内緒で保健室を使っていたせいで、

三井さんは誰かが勝手に保健室を使っているのではないかと疑っていると


恭ちゃんに言われ、保健室を使った後の片付けをしなかった俺の不注意のせいだとわかるや否や鍵を没収されてしまったのだ

⏰:08/08/23 03:35 📱:PC 🆔:s.l8mfkw


#210 [みぉり]
凪「はぁ〜・・・」


思いため息を吐き出して、ずるりと扉の前に座り込んだ


きっと恭ちゃんのことだから、俺の後を追ってきてくれる


そう思って待っていると案の定、聞きなれた足音が近づいてきた

⏰:08/08/26 02:27 📱:PC 🆔:o0sMbafY


#211 [みぉり]
顔を上げると、恭ちゃんがあまりに真剣な面持ちでいたから


つい、恭ちゃんの口真似なんかしてわざといつもの俺らしく話しかけた


恭ちゃんはふっと笑って自分の鍵で保健室を開けるのを


俺はどこかほっとした気持ちで見つめながら保健室へと入りソファに腰掛けた

⏰:08/08/26 02:31 📱:PC 🆔:o0sMbafY


#212 [みぉり]
息をついて、ふとカメラを見たくなり恭ちゃんにそれを頼んで受け取った


恭ちゃんは何も言わない、いや、俺が普段から考えられないくらい静かだからだろうか



そんなことを思いながら画像の履歴をゆっくりと探る


傍らの恭ちゃんが三脚を手にしてそれを磨いているのが視界の隅に写った


俺に変な気を使うわけでなく、いつも通りであろうとしてくれてるのがなんとなくわかる

⏰:08/08/26 02:37 📱:PC 🆔:o0sMbafY


#213 [みぉり]
画像を辿り、最後に行き着いたのはさっき屋上で撮った一枚



あかりと有希が寄り添って眠る姿ー・・・・



ズキンと胸が痛くなった



有希の言葉に、その決意に、その裏にある気持ちを思って・・・

⏰:08/08/26 02:41 📱:PC 🆔:o0sMbafY


#214 [みぉり]
凪「・・・・・ばかだよね」

恭「は?」


突然の発言に、恭ちゃんは顔をこちらに向けながら声を上げる

俺はソファの前にあるテーブルにカメラを置いた




恭「・・・・・・誰が?」

⏰:08/08/26 02:45 📱:PC 🆔:o0sMbafY


#215 [みぉり]
誰?誰に対してなんだろう今の俺の言葉


気づいたら呟いていただけ・・・・・



有希を追い詰めて、あかりを傷つけて、でも全部を隠し通そうとしてる俺?



こんな俺を想っている有希?

⏰:08/08/26 02:48 📱:PC 🆔:o0sMbafY


#216 [みぉり]
凪「・・・・・・・・・・さぁ」


恭「なんだよそれ(笑)」


恭ちゃんは俺の言葉に深く突っ込むわけでなく、茶化すわけでなく・・・三脚を戻すとそのままじっと俺を見つめているのがわかった


でも俺は目を合せる勇気はなくて、そのままただひたすらに床を見つめていたー・・・・・

⏰:08/08/26 02:50 📱:PC 🆔:o0sMbafY


#217 [みぉり]
ぐるぐると回る色んな想いが・・・・


恭ちゃんのあかりへの想い、あかりの恋愛への恐怖、悠里の修さんへの想い



有希の俺への想い、俺の・・・・想いは?



俺の想いはどこにあるんだろう

⏰:08/08/26 04:04 📱:PC 🆔:o0sMbafY


#218 [みぉり]
そんな自問自答の中、終業時間が迫ってきて恭ちゃんに声を掛けられた



だけど、もやもやしてる俺の何かが少し掴めそうな気がして中々立ち上がれない



なぜか、ふと頭を掠めたのは”公園”の記憶

⏰:08/08/26 04:09 📱:PC 🆔:o0sMbafY


#219 [みぉり]
恭ちゃんにもう一度、声を掛けられたのを機に俺はカメラを肩に掛けて保健室を出た



教室ではなく、今、俺が向かいたいその場所へ



後ろから何も言わずに着いて来てくれる恭ちゃんに、


俺は心の中で”ありがとう”と呟いた

⏰:08/08/26 04:12 📱:PC 🆔:o0sMbafY


#220 [みぉり]
━━――─・・・・・
有希side



あれから


あの金曜の夜から凪と話していない



いや、言葉は交わすけれど、表面的で他人行儀な挨拶程度

⏰:08/08/26 04:16 📱:PC 🆔:o0sMbafY


#221 [みぉり]
今は水曜日の3時間目の休み時間、


次の時間は選択授業の”古典”の最初の授業のため、


他クラスから何人かがうちのクラスに移動してる


ソワソワして、なんとなく独特な緊張感の漂う空気ではあるけれど


今の私には、そんなのは眼中にもなかった

⏰:08/08/26 04:26 📱:PC 🆔:o0sMbafY


#222 [みぉり]
今までだって何日も話さない日はあったというのに


”好き”と自覚して、余計に話さない事に敏感になってしまったみたいで


頭の中は”幼馴染”として、話しかけるその方法を探してる



「はぁ〜・・・」

⏰:08/08/26 04:27 📱:PC 🆔:o0sMbafY


#223 [みぉり]
最近のすっかり習慣になってしまったため息をついて、

そのため息をついてしまったことに自己嫌悪の独り言を呟きかけた瞬間



「お前・・・相変わらずため息ついてんのな」



どこかで聞いたような台詞で、これまた聞き覚えのある声が聞こえた

⏰:08/08/26 04:39 📱:PC 🆔:o0sMbafY


#224 [みぉり]
「え?」


机につっぷしていた私は聞こえた声に顔をあげた



「!!!!!!」



顔をあげたすぐ目の前に、綺麗な男の子の顔

⏰:08/08/28 00:51 📱:PC 🆔:vTIArKc2


#225 [みぉり]
ガタンッー・・・・



あまりの近さに、大きな音をたてて立ち上がってしまった




「んな驚くなよ(笑)」

⏰:08/08/28 00:58 📱:PC 🆔:vTIArKc2


#226 [みぉり]
「もももも森くんっ?!?!?!」


「よ、選択授業同じだったんだなぁ」



驚く私をよそに、そんなことを言いながら私の前の席に森君は座った



「えぇぇぇぇぇっ?!?!これっ、1年もー・・・っ」

⏰:08/08/28 01:08 📱:PC 🆔:vTIArKc2


#227 [みぉり]
「声がでけぇっ!・・・ったく、専門とLHR以外は2年って言ったろ?」



森君は眉間にシワを寄せながら、私の口を塞いだその手をゆっくりと下ろした



「ぷはぁ・・・だって、まさか本当に一緒になるなんて思わないじゃないっ!!」

⏰:08/08/28 01:13 📱:PC 🆔:vTIArKc2


#228 [みぉり]
驚きながらも、声のボリュームを抑えて席に座った


「それは確かに俺もびっくりした」


森君はしみじみと頷きながら、その顔がいたずらっこみたいに笑っていて


私はなんだか、拍子抜けしてしまった

⏰:08/08/28 01:20 📱:PC 🆔:vTIArKc2


#229 [みぉり]
「な、この授業って何人くらいが受けてんの?」



「んー…たぶん、30人くらい?」


「へー……何組と何組から集まってんの?」



「1、2、3組だよ」



「3組までか……ちっ」

⏰:08/08/28 15:06 📱:N905i 🆔:r8e4zP7c


#230 [みぉり]
舌打ちをしながら、森くんは不機嫌そうな顔で前を向いてしまった


一瞬のことに思わず、言葉を詰まらせ、はっと気づいたときはすでに森くんの背中が見えるだけ



・・・・・また突然、舌打ちしてるし

⏰:08/08/30 18:22 📱:PC 🆔:d12gzkEM


#231 [pω・ξ]
>>1-250

⏰:08/08/30 18:24 📱:D705i 🆔:yR7sQIIM


#232 [みぉり]
>>231 pω・ξさん☆

アンカーありがとうございます(≧▽≦)

⏰:08/08/30 23:35 📱:PC 🆔:d12gzkEM


#233 [みぉり]
>>230から



森くんの背中を軽く、睨みながらもチャイムと共に入ってきた先生によって



古典の授業へと時間は進んでいった



……とはいえ、初めの授業なので軽い挨拶と説明だけですぐに終わるだろうけど

⏰:08/09/01 17:20 📱:N905i 🆔:YPBJJQDs


#234 [みぉり]
案の定、古典のおじいちゃん先生は簡単な挨拶から始めて話したけどすぐに自由時間となった



他クラスは授業中なので室内でという条件付きだけど



私はといえば、ぼーっと窓の外を見つめてため息をつくことの繰り返し

⏰:08/09/08 16:50 📱:N905i 🆔:RvcaAA9E


#235 [みぉり]
本当……どうしたらいいんだろ……って、どうやって凪に話し掛けたらいいかを考えるべき?……でも、ちゃんと普通にできるのか私……



そんなことを考えながら、何度目かのため息をついた直後、



「……っだーっ!!!!!」



びくっ

⏰:08/09/08 16:56 📱:N905i 🆔:RvcaAA9E


#236 [みぉり]
突然、聞こえた声に驚いて前を向くと森くんが思いっきり眉間にしわをよせて私の方を向いて座っていた



「どどどーしたの??」



驚きの余りどもりながらも尋ねる


何よいったい!!めっちゃびっくりしたわっ!!

⏰:08/09/08 16:59 📱:N905i 🆔:RvcaAA9E


#237 [みぉり]
「どうしたのじゃねぇよ……背後で18回もため息つかれたら、イライラもするだろーが」



眉間のしわをより一層、深くして言う



「えっ!?そんなにため息ついてた!?」



自分でもそんなに多いとは思わず尋ね返してしまった

⏰:08/09/08 18:32 📱:N905i 🆔:RvcaAA9E


#238 [みぉり]
そんな私を森くんは呆れたような眼差しで見つめてくる


そんな目で見ないでよ〜・・・


「だって・・・そんなにため息ついてるつもりなんてなかったんだもん」


少しシュンとして、呟く私に森くんは眉間のしわを緩ませて、ふっと笑った

⏰:08/09/12 03:27 📱:PC 🆔:Q84UxIjY


#239 [みぉり]
「まぁ・・・ため息が出てるってことは・・・・あの幼馴染の事・・・まだ解決してねぇってことだろ?」


ドキッとした


そうだ、森くんに話したんだった・・・凪のこと


途中からは私が自分で勝手に話を進めてしまったのだけれど・・・



「・・・覚えててくれたんだね」

⏰:08/09/12 03:34 📱:PC 🆔:Q84UxIjY


#240 [みぉり]
「そりゃぁな、簡単に忘れたりする程まだぼけてないんでな(笑)」


森くんが茶化して言う言葉に自然と笑顔になった


なんか肩の力がふっと抜けた感じ・・・・だったけど


「・・・・で?」



急に真剣な眼差しで私に問う森くんに、悩みの種を打ち明けたくなった

⏰:08/09/12 03:42 📱:PC 🆔:Q84UxIjY


#241 [みぉり]
・・・・とは言え、どこから話していいのやら


よくよく考えてみれば、あの日は凪にきちんとバイトの事を聞けた訳ではないし


はっきりしたのは・・・・私の凪への想いだけ




「・・・・森くんの言った通りでした」


「?俺の?・・・・あぁ」

⏰:08/09/12 04:50 📱:PC 🆔:Q84UxIjY


#242 [みぉり]
一瞬、悩んだようなその顔はニヤリと笑って私の言葉の意を理解したことを示していた


「・・・・・自覚したんだ?」


勝ち誇ったようなその顔に少なからず、悔しさを覚えた


「う・・・したよ、しましたわよ」

⏰:08/09/12 04:53 📱:PC 🆔:Q84UxIjY


#243 [みぉり]
「ってことは・・・・ため息の理由も変わったんだな?」


・・・・この人って、どうしてこんなに頭の回転が速いのかしら


ほんの二言、三言の会話だけで、私の今の思いやため息の持つその意味までも感じ取っているのだから



「森くんって・・・・・・エスパー?」


「は?」

⏰:08/09/12 04:56 📱:PC 🆔:Q84UxIjY


#244 [みぉり]
「だって、大して話をした訳でもないのに・・・・全部、わかってるみたいだから」


思ったままをそう呟くと、森君はふっと悲しげに笑った



「エスパー・・・・みたいなもんかな。”幼馴染”への想いに関しては」


「え?それってー・・・・」
「ストップ、俺の話はまた今度な」

⏰:08/09/12 05:13 📱:PC 🆔:Q84UxIjY


#245 [みぉり]
どういうこと?と聞きたかったけど、森君がそれ以上の追求を止めたから


私もぐっと堪えることにした


「えぇー?・・・・今度はなしてよ?」


機会があれば絶対に聞きだすことを密かに決意をして呟いた


「ん、まぁ・・・・とりあえずはお前の話が片付いたらな」

⏰:08/09/12 05:17 📱:PC 🆔:Q84UxIjY


#246 [みぉり]
そう言った姿があまりに寂しげだった事が少しだけ気になったけど

そのまま金曜日の出来事と今の状況を話した


森君は終始無言で、視線はどこか遠くを捉えていた

⏰:08/09/16 20:46 📱:N905i 🆔:S1UCDP3g


#247 [みぉり]
「ー・・・ってなってて、今はろくに話もしてない、話たいけど・・・なんて言ったらいいのかもわかんなくて」



しどろもどろになりつつも、今の気持ちを素直に話す


「それに・・・・」


何よりも、凪にまたあの目で見られるのが怖い


”お前に関係ない”って突き放されるのが怖い

⏰:08/09/17 23:36 📱:PC 🆔:qo1DkXwU


#248 [みぉり]
金曜の夜の凪が、頭の中をよぎって思わず下を向いてしまった。


「お前さ・・・・幼馴染でいいのか?」


「え?」



その言葉に顔を上げると、森君が真剣な目で私を見つめていた

⏰:08/09/17 23:47 📱:PC 🆔:qo1DkXwU


#249 [みぉり]
「好きなんだろ?彼氏彼女になりたいって思わねぇの?」


「そんなこと・・・・」



凪の彼女になる?


私が?



「考えたことない」

⏰:08/09/17 23:50 📱:PC 🆔:qo1DkXwU


#250 [みぉり]
「・・・なんで?」


森君は眉間にシワを寄せながら、静かに問う



「だって・・・・凪は私を幼馴染としか思ってないから」



こんな想いは凪を困らせてしまうだけだもの


だから伝えない、伝えられない

⏰:08/09/17 23:58 📱:PC 🆔:qo1DkXwU


#251 [みぉり]
「・・・んなこと、やってみなきゃわかんねぇだろっ」


森君が少しだけ声を荒げる


「えっ・・・えぇ?・・?」


そのあまりに急すぎる変化に目を丸くしてしまった


私のその反応に、森君ははっとしたように目を逸らす



「わりぃ・・・ちょっと・・・・」

⏰:08/09/18 00:01 📱:PC 🆔:erqu0muw


#252 [みぉり]
「う、うん」


森君がまた遠くを見てる、何を考えてるんだろう


何か、彼にも思うことがあるんだろうか


”やってみなきゃわからない”


確かにそうかもしれない・・・・だけど、16年間ずっと一緒にいたんだよ

凪の私への気持ちなんて、幼馴染以外の何者でもないって一番知ってる

⏰:08/09/18 00:05 📱:PC 🆔:erqu0muw


#253 [みぉり]
だから―……



私は大きく息を吸い込んだ



「幼馴染がいいの」



森君が、視線をゆっくりと私に戻す

⏰:08/09/18 15:48 📱:N905i 🆔:hxWD1SbE


#254 [みぉり]
「幼馴染でいい……じゃなくて、幼馴染がいい…ってか」



森君が呟やいたその言葉にしっかり頷く



「一緒にいたい、ただそれだけだよ。」



はっきり言葉にして、胸の中がスッと軽くなった

⏰:08/09/18 15:56 📱:N905i 🆔:hxWD1SbE


#255 [みぉり]
そんな私とは裏腹に、森君は再び眉間にシワを寄せて目つきが鋭くなっていく


その目に思わず、息を呑んだが背筋はピンとして、視線を逸らすことが出来ない




………なんか……怒ってる?

⏰:08/09/18 16:01 📱:N905i 🆔:hxWD1SbE


#256 [みぉり]
「本当に…心の底からそう思ってんの?」



ぴりぴりとしたオーラを出しながら、静かに告げるその声に緊張せずにいられなかった




「そ……ぅ…だよ」




少したじろぎながらも呟くと森くんはふぅとため息を漏らした

⏰:08/09/30 13:01 📱:N905i 🆔:hPq8kYFE


#257 [みぉり]
「………今はそれでいいのかもな」



「え?」



゛今は゛ってどういう意味?

⏰:08/10/07 14:27 📱:N905i 🆔:CHBu1GSo


#258 [みぉり]
聞き返した私の声が聞こえなかったのか、森君はそのまま前を向いてしまった




…………何よ。変な奴



なんとも消化しきらない気持ちで、もやもやしたままだったが、わざわざ森君に声をかけてまた話す気にもなれなくて窓の外に目を向けた

⏰:08/10/07 14:42 📱:N905i 🆔:CHBu1GSo


#259 [みぉり]
――――・・・・・・
放課後




部活に所属していない私は、時間を持て余していた


いつもだったら、あかりと学校に残って話したり、ぷらぷらと街に出てみたりと過ごすのだけれど



そのあかりも、今泉恭平の頼みとやらでしばらくは放課後を一緒に過ごせないらしい




「さて、どうしよっかなぁ〜」

⏰:08/10/08 01:02 📱:PC 🆔:k2yzzeC6


#260 [みぉり]
呟いて大きく伸びて、そのまま屋上のコンクリートに倒れこむ




なんとなく、ここに足を運んでいた




入学式の後、凪に『良い所に連れていってやる』って言われて来たのが最初

⏰:08/10/09 19:32 📱:N905i 🆔:ic.cSgqE


#261 [みぉり]
ゆっくりと瞼を閉じて、その日の記憶を手繰る



━━━━――――……

約一年前、入学式後のこと



「有希ッ早くしろよ」


「ちょっ…ちょっと凪ッ?この先は屋上だよ??立入禁止ってさっき担任が……」


辺りを心配気に見回す私を尻目に凪は楽しそうに階段を上っていく

⏰:08/10/09 19:37 📱:N905i 🆔:ic.cSgqE


#262 [みぉり]
「平気平気♪」



………それが不安なんだって



私はため息をつきながら、黙って凪についていくことにした


昔からそう。止めたって聞きやしない

凪はみんなが止めること、禁止されてることをするのが大好きの困った癖がある


彼曰く、『だめと言われる程体がうずく』らしい

⏰:08/10/09 19:43 📱:N905i 🆔:ic.cSgqE


#263 [みぉり]
そして小さい頃からそんな凪にいっつも付き合ってきた


まったく・・・・なんでこうもヤンチャなままかなぁ



ブツブツ呟きながらも階段を上っていくと、扉の前で凪が立ち止まった


不思議に思って扉を見るとどうやら鍵が掛かっているみたい



「なんだ・・・・鍵閉まってるんじゃ入れないね」

⏰:08/10/10 02:50 📱:PC 🆔:oj1hJBTU


#264 [みぉり]
折角、来たのに入れないとは・・・・半分ほっとしたような残念なような・・・・


複雑に思いつつ凪に目を移すと、子供の頃からずっと変わらないいたずらっこのような顔でにやっと笑う姿があった



「なっ・・・・何よ、その笑顔」



不信を抱かずにはいられずに、思わず言うと凪は得意げに胸ポケットをゴソゴソと探り出した



「??何??」

⏰:08/10/10 02:53 📱:PC 🆔:oj1hJBTU


#265 [みぉり]
頭の中に『?』が飛び交う私に、凪はポケットから何かを取り出し目の前にずいっとそれを出す



「じゃーん♪」


「何これ・・・・鍵??」



凪が手にしていたのは、小さくて刃先のシンプルな鍵



・・・・ん?鍵??って・・・・え?!



「ちょっ・・・凪それっー・・・・」

⏰:08/10/10 05:08 📱:PC 🆔:oj1hJBTU


#266 [みぉり]
ガチャリッー・・・・



『屋上の鍵なの?』と聞く途中、その答えが開錠された扉の音で明らかになった


ぽかんとする私に、凪は得意満面な顔で笑ってドアノブを回して外に出ていく


「あっ待ってよぅ」


はっと我に返り、慌てて凪を追って屋上に出るとそこは真っ青な空がぐーっと広がっていてその眩しさに一瞬、目を伏せた

⏰:08/10/10 05:13 📱:PC 🆔:oj1hJBTU


#267 [みぉり]
「うぉーい、何してん?」


立ち止まった私に、陽気な凪の声が聞こえる


その声に再び目を開くと、数歩先で凪が手招きをしてる姿が見えた



「こっち。」



呼ばれるがままに歩みを進めると


凪は大きく伸びをして、フェンスに寄りかかってしゃがみこんだ

⏰:08/10/10 05:20 📱:PC 🆔:oj1hJBTU


#268 [みぉり]
「ん〜・・・気持ちいいなぁ・・・・さすが、やまとさんお勧めスポットなだけあるわ」



大きな一人言で、目を閉じる凪


その隣にちょこんと腰を下ろして座ると、すーっと気持ちの良い風が吹き抜けて、私も思わず目を閉じた



「「気持ちいい風ー・・・・」」



同時に呟いた言葉に思わず顔を見合わせて、次の瞬間、お互いに噴出した



「ちょっと〜真似しないでくれますぅ?笑」

「有希が真似したんだろ〜笑」

⏰:08/10/10 05:26 📱:PC 🆔:oj1hJBTU


#269 [みぉり]
他愛もない会話だけど、凪とのこのやりとりだって小さい頃からの癖みたいなもの



二人でひとしきり笑った後、どちらともなく無言になった


沈黙とはまた違う


会話がなくても、なんてことない


ぼーっとして過ごしているだけの、実はすごく好きな時間

⏰:08/10/15 02:11 📱:PC 🆔:EIAQpJII


#270 [みぉり]
「凪さぁ、よくこんな所知ってたねぇ、ってかよく鍵見付けたね(笑)」




「んー、見つけたっていうか……卒業生からもらったんだよ。代々引き継がれてんだって。」


目を閉じたまま話す私に、多分凪も目を閉じたまま応えてる




「引き継がれてるって……じゃぁ持ってる人って限られてるの?」

⏰:08/10/16 13:23 📱:N905i 🆔:vR.5kib2


#271 [みぉり]
「一応そうらしい。一度渡されると3年間使うから引き継がれんのも3年に一度だから、鍵を知ってる人間は少ないわけよ」



「はぁ〜そんな隠れた伝統があるんだぁ」

⏰:08/10/16 15:33 📱:N905i 🆔:vR.5kib2


#272 [みぉり]
潮見高校は、建物自体は10年ほど建て替えたものなので割と新しく、校内も綺麗だが、創立そのものはゆうに50数年を数えるらしい


・・・・・あんまり詳しく知らないけど


でも建て替えて10年くらいなのに『鍵』の伝統があるってことを考えると・・・・・鍵を引き継ぐのって凪が3代目か4代目ってことよね?


その前はどんな人が持ってたんだろ・・・・いや、むしろ凪は一体誰にもらったの


私の知る範囲だと、凪の友達や知り合いに潮見卒業っていない気がするし・・・・・

⏰:08/10/17 04:31 📱:PC 🆔:o47aduR6


#273 [みぉり]
ふとそんな疑問が頭をよぎり、凪に問いかけようと目を開いた



「ねぇ、凪の前に鍵持ってた人ってー・・・っわぁぁぁっ////」



言いながら目を開けた私の視界に飛び込んできたのは凪のドアップ


「ちょっ!動くな!!前髪に毛虫ついてんだって!!」


驚いて反射的に身体を動かしかけた私を慌てて凪が制する


「けっ?!?!〜〜〜っやだやだやだ〜〜〜〜っ!!!!早くとって〜〜〜〜〜!!!!」



「っだー!!わぁってるよ!!だから動くな〜〜〜!!」

⏰:08/10/17 05:11 📱:PC 🆔:o47aduR6


#274 [みぉり]
ぎゃーぎゃーと喚きながらも凪に毛虫を取ってもらい、二人ではぁーっとため息をついた



「・・・・っつうか、有希ぃ・・・・お前、毛虫一匹でどんだけびびってんの(笑)」


「ちょっと!私だって女の子なんだから!!毛虫は怖いのよ!」


「・・・・・へぇ。女の子ね・・・へぇ・・・・。」


凪が明らかな作り笑いをしながら、立ち上がって扉に向かって歩き出す


「おっ置いてかないでよぉ〜」


慌てて凪を追って、屋上を後にした。

⏰:08/10/17 05:16 📱:PC 🆔:o47aduR6


#275 [みぉり]
バタン・・・・ガチャ・・・・



扉の鍵を閉めている凪を待って、施錠を確認して歩き出す



「おい」

「ん?」


「手」

「手?」


急に呼び止められたかと思えば、凪は私に手を出すように指示してくる

⏰:08/10/17 22:45 📱:PC 🆔:o47aduR6


#276 [みぉり]
凪は拳を握った右手をずぃっと前に出しながら、繰り返し言う


「手、出して」

「?」


首を傾げながらも、言われるまま右手を差し出す。
すると凪が手のひらに何かを乗せた。
それが何かを確認したかったけれど、見る間もなくそれを握らされてしまった

⏰:08/10/18 09:46 📱:N905i 🆔:XJT02ytg


#277 [みぉり]
私にそれを握らせると凪は満足そうに階段を降りていく


「え、ちょっ…ちょっと!!凪、これなに?」


なんだか拳を開きにくくて、右手を変に握りこんだまま後を追って階段を下ると、凪はくるりとこちらを向いた

その顔はいつもの、あのいたずらっこ顔



瞬間、いやな予感

⏰:08/10/18 09:52 📱:N905i 🆔:XJT02ytg


#278 [みぉり]
思わず顔がひきつった私に、凪はにやりと笑った



「毛虫」



やっぱり、予感的中



「いやぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」


凪の言葉を聞いてすぐに手を開いて思いっきり振り払う



カシャーン………

⏰:08/10/18 09:56 📱:N905i 🆔:XJT02ytg


#279 [みぉり]
…………毛虫が『カシャーン』?

音に違和感を覚えて、思いっきり毛虫を叩きつけたであろう床に視線を落とす


そこにあったのは、毛虫ではなくて………さっきまで凪が使っていた『鍵』



「???」



訳が分からず、鍵を見ていると凪が笑いながらそれを拾い上げた

⏰:08/10/18 11:45 📱:N905i 🆔:XJT02ytg


#280 [みぉり]
その動きにつられるように顔を上げると、凪は鍵を再び私に握らせくるりと背を向けて歩き出す


「え・・・鍵っ・・・どーすんのこれっ」


突如渡された鍵に戸惑って声をかけるが凪は振り向いてくれない



私にどうしろっていうのよぅ・・・・。



渡された鍵に視線を落として、どうしようかと動けないでいると凪の声が聞こえた

⏰:08/10/18 17:15 📱:PC 🆔:Mz7ATmGU


#281 [みぉり]
「入学祝い」

「・・・・え?」


思わず見上げると、照れ臭そうにこっちを向いた凪が続ける



「だーかーらーっ!俺からの入学祝いっ・・・・それ、やるよ」

⏰:08/10/18 17:24 📱:PC 🆔:Mz7ATmGU


#282 [みぉり]
「……へ?」


「…………やまとさんが……って、鍵の前の持ち主だけど………一人だけなら合鍵作っていいって言ってくれて…誰にやろーって考えて……頭に浮かんだの………有希だったからさ」

⏰:08/10/18 22:07 📱:N905i 🆔:XJT02ytg


#283 [みぉり]
そう言って、またスタスタと歩きだした凪をぽかんと、見つめた



鍵………私にって……思ってくれたんだ




驚きだったのが、じわじわと嬉しさに変わって自然と顔が綻ぶ

⏰:08/10/19 23:05 📱:N905i 🆔:0NQJO8EU


#284 [みぉり]
引き継がれてきた鍵を私も持てること

凪が鍵を渡したい相手に選んでくれたこと


どちらもすごく嬉しくて、鍵をぎゅっと握り締めた



「凪っ!!ありがとうっ!!」



━━━━ーーーーー…………


ゆっくりと目を開ける
目の前には大きな空

⏰:08/10/20 04:45 📱:N905i 🆔:4Ptja8.o


#285 [みぉり]
思い出した一年前の記憶から現在に頭を戻す


「………嬉しかったなぁ」


呟いた私の顔はきっと笑ってると思う

思い出し笑いなんて気持ち悪いかもしれないけど、、

思い出すだけで笑顔になれる、

それくらい、あの時嬉しかったんだ

⏰:08/10/20 04:52 📱:N905i 🆔:4Ptja8.o


#286 [みぉり]
「……ぃよっと」


上体を起こして、携帯を取り出す
金曜から一切、凪に連絡してない
凪からも連絡はない



「………」



顔を合わせば普通に話はしてる

⏰:08/10/20 05:09 📱:N905i 🆔:4Ptja8.o


#287 [みぉり]
でも、それだけ


無意味に携帯の電話帳をくるくると回しながら、ある名前で指を止めた


「………椎名…楓」


そこにあったのは聞き覚えのある『楓』の字

また記憶を手繰る

⏰:08/10/20 05:17 📱:N905i 🆔:4Ptja8.o


#288 [みぉり]
『…ーーっで、中学の仲良しだった楓ちゃん』

『初めまして、椎名楓ですー……』



「…………っ思い出した!!」


『楓ちゃん』
あかりと凪の中学の友達だっ!!
入学してすぐ、機会があってちょっとだけ話をしてその時に携帯を交換したんだ

⏰:08/10/20 05:21 📱:N905i 🆔:4Ptja8.o


#289 [みぉり]
「すっかり忘れてた・・・・・」



1学年12クラスのこの高校で、5クラス以上離れていたらまず互いの名前を知ることなんてない



楓ちゃんもその一例、
入学して1週間経たないうちに見学してたバスケ部で偶然会っただけだ


・・・・・確か、あの時も髪を高く結ってたっけ


一目しか見てないけど、小動物みたいな可愛らしかった印象だけは残ってる

⏰:08/10/21 22:13 📱:PC 🆔:0zM106IM


#290 [みぉり]
「・・・・・隣のクラス・・・なのかな」


先週の始業式日の放課後、あかりからクラスに知り合いは凪だけだったって聞いた


だから、、、多分、楓ちゃんは同じクラスではない



・・・・・・だけど、私よりずっと近い距離に居られるんだ



『羨ましい』という気持ちより、よくわからないけど・・・・漠然と不安が押し寄せる

 

⏰:08/10/21 22:19 📱:PC 🆔:0zM106IM


#291 [みぉり]
・・・・・凪のバイト先を知っていた、ただそれだけしかないのに



高1の間、凪やあかりからその名前を聞いた事があったわけでもないのに



『私が知らない凪を知っていた』



それがひっかかって、大きななんとも言えない不安になってるんだ

⏰:08/10/21 22:21 📱:PC 🆔:0zM106IM


#292 [みぉり]
不安を振り払いたくて頭を強く振った




やだやだ、こんなの




凪は私のものじゃないんだから


楓ちゃんと凪の事を私がとやかく考えるのは変だよ、うん

⏰:08/10/22 23:00 📱:N905i 🆔:wkITut.o


#293 [みぉり]
そう思うようにして携帯をしまう


キーンコーン……



「あ、もうこんな時間かぁ…」




聞こえてきた鐘の音は、かなりの時間、屋上にいた事を教えてくれた

⏰:08/10/24 00:38 📱:N905i 🆔:KHOvW2gg


#294 [みぉり]
「・・・よっと」


立ち上がり、なんとなくフェンスに寄りかかって下を見下ろす


放課後のこんな時間に人影なんて見当たらない


そう思いながらぐるっと校門側を見渡して、視線が止まった




・・・・・・凪

⏰:08/10/25 22:02 📱:PC 🆔:OsnuXMHg


#295 [みぉり]
多分、今、学校を出たんだろう



校門に向かって歩いている後ろ姿は間違いなく凪



私が見間違うはずがない



こんな時間まで・・・・何してたんだろう



・・・・・・・今日はバイトおやすみなのかな

⏰:08/10/25 22:10 📱:PC 🆔:OsnuXMHg


#296 [みぉり]
フェンスに手をかけて、じっと凪を見つめる


・・・・・いつもなら・・・・すぐ電話して・・・・一緒にかえろって、待っててって・・・・言えるのに



今は・・・・それが怖いよ


凪・・・・怒ってる?


あの日、ちゃんと話もしないで・・・・・後を付けた私を軽蔑してる?



ねぇ・・・・凪・・・・

⏰:08/10/25 22:13 📱:PC 🆔:OsnuXMHg


#297 [みぉり]
ぎゅっ・・・・



フェンスにかけていた指に自然と力が入ってしまう



何もなかったみたいに・・・・・話をして・・・・



でもそれは当たり障りのないもので・・・・きっと凪だって気づいてる



『何か変だ』って思ってる

⏰:08/10/25 22:16 📱:PC 🆔:OsnuXMHg


#298 [みぉり]
「・・・・・どうしたらいいの」



呟いた瞬間、凪が足を止めたのが見えた



そのあまりのタイミングの良さにドキッとしてしまう



まさか屋上で呟いた私の声が校門付近にいる凪に聞こえるわけがない

⏰:08/10/25 22:33 📱:PC 🆔:OsnuXMHg


#299 [みぉり]
それでもドキドキと私の心臓は波を打って、凪から目を離せずにいた



・・・・・でも、次の瞬間に凪を見つめていたことを後悔した



凪に駆け寄って行く女の子の後姿を見つけてしまったから



高く結われた髪をなびかせるその後姿が誰かに気づいてしまったから

⏰:08/10/25 22:37 📱:PC 🆔:OsnuXMHg


#300 [みぉり]
フェンスに掛けていた指の力が抜けて、するりと落ちた


・・・・楓・・ちゃん



凪が笑って、走ってる楓ちゃんに声を掛けてる




・・・・・・・ーーーっ嫌だっ



自然と心でそう願っている自分にはっとして
思わず、口元に手をあてた

⏰:08/10/25 22:49 📱:PC 🆔:OsnuXMHg


#301 [みぉり]
瞬間、凪がこちらを見上げて視線が合ってしまった



思わず後ろ向きにフェンスに寄りかかる



・・・・・気づかれた・・・・よね



屋上に出入り出来る生徒なんて・・・・限られてる



凪が私に気づくのだって自然なこと

⏰:08/10/25 23:47 📱:PC 🆔:OsnuXMHg


#302 [みぉり]
だから、私が明らかに視線を逸らした事だって気付いたはずだ



あぁ・・・・また、凪と距離が空いてしまった



フェンスに寄りかかり、頭をもたげていたが、耐え切れずにしゃがみこんだ

⏰:08/10/25 23:50 📱:PC 🆔:OsnuXMHg


#303 [みぉり]
なんでこうなっちゃうの・・・?



さっき、凪と楓ちゃんの事は気にしないって決めたばかりなのに



凪と目線が合った時に、笑って手を振るだけで良かったのに





どうして、自分から『幼馴染』を崩そうとしちゃうんだろう

⏰:08/10/25 23:51 📱:PC 🆔:OsnuXMHg


#304 [みぉり]
戻りたい、普通にしたいって言ってるのに



言葉と行動はちぐはぐで・・・・




こんな自分が嫌でたまらない

⏰:08/10/25 23:52 📱:PC 🆔:OsnuXMHg


#305 [みぉり]
「うっ・・・・ぇ・・・・っ」



アスファルトの地面にぽたぽたと落ちていく涙



落ちてはその部分が変色し、じんわりと黒く広がっていく



「ふっ・・・ッ・・・・うぅ・・・・」



確実に大きく広がっていく黒い染みを見つめながら、溢れるな涙を抑えきれない

⏰:08/10/25 23:58 📱:PC 🆔:OsnuXMHg


#306 [みぉり]
「ーーーっおぃッ」



突然、聞き覚えのある声が聞こえた



思わず顔をあげると、そこには驚きと困惑を隠せない顔で立つ一人の姿があった

⏰:08/10/26 00:01 📱:PC 🆔:WmVD4FgU


#307 [みぉり]
「・・・・・森・・・くん・・・・?」



きっと今の私は涙でぐしゃぐしゃの顔を森君に見せてるだろう


だけど、こんな状況でも涙は止まる様子もない



「どっどうしたんだよ?!?!」



森君は私のすぐ近くまで駆け寄ってくる

⏰:08/10/26 00:08 📱:PC 🆔:WmVD4FgU


#308 [みぉり]
・・・・・・・・・凪かと思った






一瞬でも、声をかけられた時、凪だと思ったの




私に気付いて屋上まで来てくれたなんて・・・・




一瞬でも、そんな甘い事を考えた・・・・・



ううん、願ったんだ

⏰:08/10/26 00:10 📱:PC 🆔:WmVD4FgU


#309 [みぉり]
そんな事あるわけないのに・・・・・あんな風に露骨に視線を逸らしたのは私で



凪を付けて嫌な思いをさせてしまったと思っているのに




それでも、心のどこかで淡い期待を抱いていたんだ




「ばかだなぁ・・・・」

⏰:08/10/26 00:13 📱:PC 🆔:WmVD4FgU


#310 [みぉり]
思わず笑ってしまったけれど、余計に涙が込み上げて来てどうしようもない




「・・・・・・・・」



森君が目の前に立っているのもわかっているけど、嗚咽を堪えきれない



「うっ・・・うぇ・・っ」





ぐいっ

⏰:08/10/26 00:17 📱:PC 🆔:WmVD4FgU


#311 [みぉり]
コンクリートの黒い染みだったはずの視界が一変して、真っ白になった



思わず、目を見開いて両手を動かすとそこには温かいぬくもり




「泣け」




さっきよりもずっと近い距離で聞こえる声

⏰:08/10/26 00:20 📱:PC 🆔:WmVD4FgU


#312 [みぉり]
「わけわかんねぇけど・・・・・気が済むまで泣けよ」



ぎゅうっと力をこめて私を抱きしめるそのぬくもりに



なぜだか、許された気持ちになった



森君の腕にしがみついて、声を上げて、泣いた

⏰:08/10/26 00:37 📱:PC 🆔:WmVD4FgU


#313 [みぉり]
━━━━ーーーーー…………
凪side



「ーーーっはぁっ・・・はぁっ・・・っ」



階段を一気に駆け上がり、開け放たれたままの扉から見えたのは



有希が男に抱き締められている姿だった




思わずその場に固まった

⏰:08/10/26 00:40 📱:PC 🆔:WmVD4FgU


#314 [みぉり]
なん・・・だ・・・?


有希が・・・・男・・・と・・・・



抱き締めている男の顔はここからは見えない


けど、その男を有希は突き飛ばすわけでもなく受け入れている



俺が二人の姿を見つけてから、数十秒経っても離れる様子は、ない

⏰:08/10/26 01:10 📱:PC 🆔:WmVD4FgU


#315 [みぉり]
俺の思考はパンク寸前で、目を離すことが出来ずに居た



有希が俺の知らない男と一緒にいる所なんて、これまでたくさん見てきた



みんな『友達』なんだと思ってた




だけど、今目の前にあるこの光景が示すのは『友達』とは思えない

⏰:08/10/26 01:55 📱:PC 🆔:WmVD4FgU


#316 [みぉり]
・・・・なんだよ・・・・なんなんだよこれはっー・・・



立ち尽くしていた両手を強く握り締める





有希っー・・・・俺のこと、好きだって言ってたんじゃねぇのかよ?!



つい、二日前のことだぞっ?!?!



「・・・・ーっ」

⏰:08/10/26 01:57 📱:PC 🆔:WmVD4FgU


#317 [みぉり]
喉元まで出掛かった言葉に、驚いた



何・・・考えて・・・・




俺は有希にそんなことを言える立場ではないのに



有希を傷つけて、それでも尚、金曜の夜がなかったかのように接しているのに

⏰:08/10/26 02:03 📱:PC 🆔:WmVD4FgU


#318 [みぉり]
自分でついた嘘に、今更ながら激しい後悔が打ち寄せる



もし・・・もしも、あの金曜の後に素直に言っていたら違ったんだろうか



本当は彼女もセフレも居やしないと、そう伝えていたら



有希の涙を見ることも、その想いを知ることもなく




いつものように、笑ってなんてことのない会話を楽しんでいられたんだろうか

⏰:08/10/26 02:09 📱:PC 🆔:WmVD4FgU


#319 [みぉり]
そう考えて、首を振った



違う・・・そんなタイミングはたくさんあったじゃないか



だけど、俺はっ・・・・結局、怖くて言えないだけなんだ



あの日、あの金曜の夜、俺は心のどこかでラッキーだと思った



有希と離れられる良いチャンスだと、そう思ったんだ

⏰:08/10/26 02:16 📱:PC 🆔:WmVD4FgU


#320 [みぉり]
俺は、嫌われることが怖くて、
自分のしでかした罪がばれるのが怖くて



だけど、そんな状態でずっと真っ直ぐな有希と接するのもどこか苦しくて・・・・



自分から口火を切って、突き放すことも出来やしないから



『後を付けてきた有希が悪い』と。
勝手に理由をつけて、傷つけることを選んだんだ

⏰:08/10/26 02:20 📱:PC 🆔:WmVD4FgU


#321 [みぉり]
それなのに有希は、泣きながら俺を好きだと言っていた



あんなにひどい事を言って傷つけた俺を好きだと言っていたのに




今、目の前にいる有希は男に抱き締められることを受け入れている



自分から離れることを望んだくせに、有希は、俺が有希の想いを知っていることを知らないのに



ふつふつと湧き上がるどす黒い感情が、確実に俺の中に広がっているんだ

⏰:08/10/26 02:26 📱:PC 🆔:WmVD4FgU


#322 [みぉり]
そんな気持ちを抱えたまま、見ていた二人がすっと離れるのが見えた



どこかほっとしたような、そんな気持ちを抱いた瞬間




一気に血の気がひいた

⏰:08/10/26 02:33 📱:PC 🆔:WmVD4FgU


#323 [みぉり]
離れたことではっきりと見えた有希は、間違いなく泣いていた



いや、泣いた後だったー・・・・



遠くからでもわかる、その表情で、仕草で、身体の呼吸する動きで



きっと嗚咽するくらい泣いていたんだ

⏰:08/10/26 02:34 📱:PC 🆔:WmVD4FgU


#324 [みぉり]
思わず、駆け出しそうになったが、足を止めた


「・・・−っ」



有希が、俺の見たこともないような笑顔で抱き締めていた男に話しかけていたから



俺は、有希の涙を見てとっさに、抱き締めている男のせいだと思った



だから駆け出そうとした

⏰:08/10/26 02:37 📱:PC 🆔:WmVD4FgU


#325 [みぉり]
でもそれは違う、絶対に違う



有希は笑ってる、きっと抱き締めていた男に慰められていたんだ



有希の笑顔でそれが十分にわかった

⏰:08/10/26 02:39 📱:PC 🆔:WmVD4FgU


#326 [みぉり]
俺は少しずつ、後ろに下がりながらやがて向きを変えて階段を折り始めた



ゆっくり、静かに、でも確実に



有希と



抱き締めていた男から離れた

⏰:08/10/26 02:47 📱:PC 🆔:WmVD4FgU


#327 [みぉり]
俺のせい・・・・か・・・・?


有希が泣いたのも、他の男を頼ったのも




全部、全部・・・・・俺のせいじゃないか

⏰:08/10/26 03:04 📱:PC 🆔:WmVD4FgU


#328 [みぉり]
「はっ・・・・・」



自嘲的に笑いながら玄関に向かって歩く



日が傾いてきて、うっすらオレンジ色に染められた廊下に俺の足音だけ響いていた



・・・・・有希、ごめん

⏰:08/10/26 16:31 📱:PC 🆔:WmVD4FgU


#329 [みぉり]
ごめんな



いつだって、お前は真っ直ぐに俺に向き合ってきてくれたのに



俺がはっきりせずに、
遠まわしにお前から距離を取ろうとしたから



訳がわからず困惑しているだろうに、完璧に繋がりを断ち切ることは怖くて

⏰:08/10/26 16:35 📱:PC 🆔:WmVD4FgU


#330 [みぉり]
表面的な『幼馴染』を装ってしまってるんだ



互いにその違和感を隠し切れないのに、それでも互いに突き放せずにいる




あの金曜の夜からまだ1週間も過ぎていないのが実際で



だけど、俺も有希も、互いのこの空気に耐えられなくなってるのも事実

⏰:08/10/26 16:40 📱:PC 🆔:WmVD4FgU


#331 [みぉり]
有希は、本当は俺に聞きたいはずだ



いつもなら、すごい剣幕でまくしたてて話をしていたはずだ



『なんでバイトのこと、教えてくれなかったの』


『セフレって何?!何考えての?!』



有希が言うだろう台詞と顔がすんなりと想像出来て、思わず笑った

⏰:08/10/26 16:49 📱:PC 🆔:WmVD4FgU


#332 [みぉり]
屋上にいた有希を見上げて、視線を逸らされた時




背筋がぞっとした




俺から離れると決めたはずなのに、有希に逸らされたのが怖かった




気付いたときには、屋上へ向かって走っていた

⏰:08/10/26 16:56 📱:PC 🆔:WmVD4FgU


#333 [みぉり]
「・・・・・なんて言うつもりだったんだか」



扉から見えたのは、俺にとって衝撃的なものだったけど



仮に、有希が一人で居たとして俺は屋上に脚を踏み入れられたのだろうか



涙を流している有希に言葉をかけるなんて事をする勇気があったのだろうか

⏰:08/10/26 22:12 📱:PC 🆔:WmVD4FgU


#334 [みぉり]
いつのまにか、玄関に辿り着いて靴を履き替えようとして気付いた



・・・・・外靴のままだ、俺



靴を履き替えることを忘れるくらい、急いで屋上に向かっていたらしい



それくらい、有希に突き放されることが怖いんだ



・・・・・・・自分からはそうしたくせに、

⏰:08/10/26 22:18 📱:PC 🆔:WmVD4FgU


#335 [みぉり]
そのまま玄関を通り、再び校門へと向かって歩く



有希と目が合った場所まで来て・・・・再び、屋上を見上げたがそこに二人の姿はなかった




有希は俺を好きだと言った



それを聞いて、どうしたらいいかわからなくなった

⏰:08/10/26 22:20 📱:PC 🆔:WmVD4FgU


#336 [みぉり]
だけど、同時にものすごく安心したんだ



あんな事を言って、軽蔑されたと思っていたから



有希の想いを聞いた時、本当に心の底から安堵したんだ




だけど・・・・・俺にとって有希は『幼馴染』でしかない

⏰:08/10/26 22:22 📱:PC 🆔:WmVD4FgU


#337 [みぉり]
俺にとって有希は、家族みたいなもので『好き』とか『嫌い』という枠に収まらない



それは有希も同じだと思っていた



思っていたのに・・・・実際は違っていて、所詮は俺がそう思い込んでいただけだった



中学の時から、彼女がいないなんて事はなかった

⏰:08/10/26 22:31 📱:PC 🆔:WmVD4FgU


#338 [みぉり]
中には俺から、告白して付き合った人だっている



だけど、いつも最後は俺が振られて終わるんだ



俺なりにいつだって一生懸命に相手と向き合っているつもりなのに



決まって最後は『恋愛ごっこはやめにしよう』って言われる



俺の付き合うって事は『相手を好き』だからじゃなくて『恋愛がしたいだけ』だと思われるんだ

⏰:08/10/26 22:34 📱:PC 🆔:WmVD4FgU


#339 [みぉり]
ふぅっとため息をつきながら、家路を辿る



傾きかけていた陽は今や完全に夕陽と化して、空を真っ赤に染めていた

⏰:08/10/26 22:38 📱:PC 🆔:WmVD4FgU


#340 [みぉり]
「ただいまー」



玄関からそのまま自分の部屋へと向かう



扉を開けてすぐに目に付くのは、壁に張られた無数の写真



友達と、家族と撮った写真達



そのほとんどに有希も写っている

⏰:08/10/26 23:44 📱:PC 🆔:WmVD4FgU


#341 [みぉり]
荷物を机の上に置いて、貼られた写真の前に立ち、ゆっくりと見つめる



写真の中の俺と有希は、傍から見ればそれこそ恋人同士に見えるくらい一緒に写っている



家に来た彼女達が、必ず眉間にシワを寄せながら『この子、誰?』と尋ねてくるくらいに

⏰:08/10/26 23:46 📱:PC 🆔:WmVD4FgU


#342 [みぉり]
何度聞かれようとも、俺は平然と『幼馴染』と答えるだけ



けれども、彼女達はそれには納得出来ないようで、この写真達が引き金になってケンカしたり別れた事があったのも事実

⏰:08/10/26 23:49 📱:PC 🆔:WmVD4FgU


#343 [みぉり]
かといって、この写真をはずそうと考えた事なんてない



はずすことがまるで、彼女達が不安に思う原因は有希であると認めているような気がして



本当に家族だと、単なる幼馴染なんだと信じて欲しいからこそはずすことがなんだか悔しくて



ずっとそのままにしてきた、有希の部屋にも同じような写真が壁一面にあることだって俺は知ってる

⏰:08/10/26 23:54 📱:PC 🆔:WmVD4FgU


#344 [みぉり]
同じ気持ちだと思ってた



俺が有希を想うように、有希も俺を『家族』のように想ってくれているんだと思っていた



俺が失恋すると必ず励ましてくれた有希、



『しょうがないなぁ、本当に』



そう言いながらもいつだって、俺と一緒にいてくれた有希

⏰:08/10/27 00:01 📱:PC 🆔:yXpYuQc2


#345 [みぉり]
それがこれからは叶わない



俺が、離れることを決めたのだから



俺が、有希を追い詰めているのだから



俺が、有希の気持ちに応える事は出来ないのだから



有希に本当の事を知られてしまうのが、何よりも怖いから

⏰:08/10/27 00:03 📱:PC 🆔:yXpYuQc2


#346 [みぉり]
壁に貼られた写真に手をかけると、一枚ずつ丁寧にはずしていく



一枚、一枚はずしながら、その思い出を噛み締めながら




「・・・・・・・・・・これで最後・・・・か」



思ったよりも大量に貼られていた写真をはずし、最後の一枚を手にとってベットに腰掛ける

⏰:08/10/27 00:07 📱:PC 🆔:yXpYuQc2


#347 [みぉり]
「・・・・・・・っ」



その写真は皮肉にも、俺が有希と真っ直ぐ向き合えなくなるきっかけとなった日に撮ったものだった





━━━━ーーーーー…………
半年前の夏休み半ば

⏰:08/10/27 00:21 📱:PC 🆔:yXpYuQc2


#348 [みぉり]
「・・・・・あちぃ」



夏休みの炎天下の中、俺の部屋のクーラーは故障中



扇風機をフル稼働させ、窓を大きく開けながらベットに腰掛け漫画を読んでいた




「凪ぃ〜、いる〜〜?」

⏰:08/10/27 00:24 📱:PC 🆔:yXpYuQc2


#349 [みぉり]
階段下から聞こえてくるのは、聞きなれた声



「おー、上ー」



起き上がって迎えにいくわけでもなく、変わらずに漫画を読んでいるとトタトタと足音が近づいてドアが開かれた



「うわっ、何この部屋〜・・・・・」



扉を開けるなり、その暑さに顔をしかめた有希がコンビニ袋を提げて俺の部屋に入ってきた

⏰:08/10/27 00:31 📱:PC 🆔:yXpYuQc2


#350 [みぉり]
「クーラー故障中なんだよ」


「えー・・・・」


嫌そうな顔をそのままに、俺が腰掛けているベットに背をもたれながら座る



俺は変わらずに漫画を読んだままで、有希はコンビニ袋をガサガサと漁りだした



「おみあげ」


「ん?おーサンキュー」

⏰:08/10/27 00:44 📱:PC 🆔:yXpYuQc2


#351 [みぉり]
お土産の言葉に顔を向けると、俺の一番好きなアイスを有希が差し出す



受け取って、ペリペリと包装紙を剥がしてアイスを口に頬張り、再び漫画を読もうとして、違和感



「・・・・・どうした?」


「え?・・・・・や、別にぃ」



有希が静かなんて、おかしい

⏰:08/10/27 00:53 📱:PC 🆔:yXpYuQc2


#352 [みぉり]
いつもは俺が話しを聞いてようが、聞いてまいがお構いなしに話しているのに



今は、体育座りで静かにアイスを食べているだけだ



斜め上から見下ろす顔は、明らかに元気がない



俺はそっと漫画を閉じて、有希の隣に座り直す

⏰:08/10/27 00:56 📱:PC 🆔:yXpYuQc2


#353 [みぉり]
「「・・・・・・・・・・・・・・・」」



二人とも無言でシャクシャクとアイスを食べた



食べ終わると、有希は目の前に置かれていた俺のデジカメを手にとって



無意味に部屋の中でシャッターを切る



しばらくそのまま放っていると、くるりと俺に向けてシャッターを切りだした

⏰:08/10/27 01:00 📱:PC 🆔:yXpYuQc2


#354 [みぉり]
「おいっ、」



俺は食べかけのアイスを片手に有希からカメラを奪う



「何よぉ、けち」



頬を膨らませながら、悔しそうにする顔はいつもと同じ



だけど、次の瞬間には表情は沈み、伏し目がちになった



・・・・・・カメラ、取り上げなきゃよかったか



そんなことを思いながら、アイスを食べきり残った棒を捨てようととして有希が声をあげた

⏰:08/10/27 01:06 📱:PC 🆔:yXpYuQc2


#355 [みぉり]
「凪のっあたりだよぉ!!」


「へ?」



有希が俺の棒を指差して言うので、俺も棒をよくよく見るとそこには『当たり』と書かれた文字




「いいなぁ〜これ、当たりの棒を何本か貯めると温泉一泊当たるんだよっ」


有希が心底、うらやましそうに棒を見ながら言う

⏰:08/10/27 01:09 📱:PC 🆔:yXpYuQc2


#356 [みぉり]
「すげぇ・・・・アイスで旅行が当たるのかよっ笑」


驚きながら笑って言うと、有希もそれにつられて笑った



なんとなくカメラを有希に向けてシャッターを切る



「なっ・・・・何すんのよぉいきなりっ」



目をぱちくりさせながら、慌ててカメラを取り上げようとする有希にほっとして余計にシャッターを切る

⏰:08/10/27 01:12 📱:PC 🆔:yXpYuQc2


#357 [みぉり]
「ちょっ・・・・ずるいっ私が撮った時は取り上げたのにっ」


有希はジタバタしながらも必死に俺からカメラを取ろうとする



それがまたおもしろくて、シャッターを切っていると有希はクッションを抱き締めて顔を隠すようにして、動かなくなってしまった




・・・・・・・拗ねたな

⏰:08/10/27 01:15 📱:PC 🆔:yXpYuQc2


#358 [みぉり]
「おーい・・・有希ぃ?・・・・・有希ちゃん?」



様子を伺いながら、有希に声をかけると応える様子はない



こうなると有希はちょっと厄介だ



昔っから強情っぱりで頑固、なかなか人の言葉に動こうとはしない

⏰:08/10/27 01:18 📱:PC 🆔:yXpYuQc2


#359 [みぉり]
それでも、ちょこちょこ声を掛けてみたが反応なし


俺はため息をついて、そのまま再び漫画を読み出した



こういう時、ずっと有希に声を掛けるのは逆効果


有希が自分で気持ちを切り替えるタイミングを作れないから


何事もなかったかのようにしていれば、自然と有希が動き出すのを俺はよく知っている

⏰:08/10/27 01:22 📱:PC 🆔:yXpYuQc2


#360 [みぉり]
しばらくすると、隣の有希がもそもそと動き出した


俺は視線を漫画に向けたままで、特に動かない



「・・・・・・何読んでるの」



「んー・・・・推理もの」



有希がクッションを置いて、それでも顔を合わせようとはせずに尋ねてくる

⏰:08/10/27 01:25 📱:PC 🆔:yXpYuQc2


#361 [みぉり]
「・・・・・怖いやつ?」


「怖くねぇよ、この間、一緒にDVDで見たやつ」



少しずつ、いつもの会話をしながら有希が自分で、自分のむすっとした気持ちを落ち着けるのを待つ



そのうち、俺の手元の漫画を覗き込んで一緒に読み始めた



有希のペースを伺いながページをめくって、その漫画を読み終えた

⏰:08/10/27 01:28 📱:PC 🆔:yXpYuQc2


#362 [みぉり]
「・・・・・・怒ってるよ」


「はいはい、ごめんな?ふざけすぎた」



有希が俺を見上げながら呟くのを聞いて、やっと有希と視線を合わせてその頭をポンポンと撫でながら謝る



有希は、昔からどんな些細なことでも、きちっと解決しなきゃ嫌な性格で


ちょっとしたケンカでも、互いに謝る・謝られるということを律儀にする

⏰:08/10/27 01:31 📱:PC 🆔:yXpYuQc2


#363 [みぉり]
「わかればよろしい」


満足気に笑って、すばやく俺からカメラを奪い取った



「こらっ・・・・何すんだよ」



一瞬の隙をつかれて驚く俺に、してやったりと言わんばかりの笑顔を向ける

⏰:08/10/27 01:33 📱:PC 🆔:yXpYuQc2


#364 [みぉり]
また撮られると身構えた俺をよそに、有希はカメラの画像を辿り始めた



ほっとため息をつきつつ、今度は俺がカメラを覗き込むカタチで一緒に画像を辿っていく



結構前からの画像が入っているが、そのほとんどは家族か友達



「ねぇ、いつも思ってたんだけどさ?」

⏰:08/10/27 01:35 📱:PC 🆔:yXpYuQc2


#365 [みぉり]
「ん?」


辿る手と目線はそのままに有希が話し出す



「なんで、凪のカメラって彼女の写真が一枚もないわけ?」



あぁ、なんだそんなことかよ



「・・・・・一緒のとき、カメラ持ってねぇもん」

⏰:08/10/27 01:37 📱:PC 🆔:yXpYuQc2


#366 [みぉり]
「ふぅん・・・・・」



それだけ応えて、特に話を続けるわけでなく画像を辿り続け、やがてさっきの互いの画像になるとその手を止めた



「ね、そういえば最近、一緒の撮ってないねぇ」


「ぁ?・・・・・そういやぁ・・・・ないかもな」

⏰:08/10/27 01:39 📱:PC 🆔:yXpYuQc2


#367 [みぉり]
「久々に撮ろう撮ろう!!」


有希はきゃっきゃと笑いながら俺にカメラを渡す


折角だからと、なぜだか当たり棒を手にする有希



俺はそんな有希に意味不明を言いながら、いつものように二人のアップの写真を撮った



撮るとすぐに有希が画像を確認して、勝手知ったる俺のプリンターで写真をプリントして壁に貼った

⏰:08/10/27 01:42 📱:PC 🆔:yXpYuQc2


#368 [みぉり]
満足げにしている有希だけど、俺はどうしても来たときから時折伏し目がちになる事が気がかりで後ろから声をかける



「有希・・・・・なんかあっただろ」


「えー?ないよぉ」



俺に背を向けたまま、写真を見ながら応える



けれどもその声はいつもの張りがなく、何かあったのだと気付かせるのに十分だった

⏰:08/10/27 01:46 📱:PC 🆔:yXpYuQc2


#369 [みぉり]
「嘘つけ、お前と何年いっしょにいると思ってんだよ」


そう言いながらも無理に聞き出すわけでなく、有希が自分で切り出すのを待つために



再び、カメラの画像を辿りながら何も言わずにいた



有希はゆっくりと俺の方に向き直って、隣にストンと腰を下ろす

⏰:08/10/27 01:49 📱:PC 🆔:yXpYuQc2


#370 [みぉり]
「・・・・・・・あかりがね」



「あかり?」



俺が聞き返して、顔を上げると有希は今にも泣き出しそうな顔で頷く



あかりは俺の中学からの同級生、高校からは有希も一緒で有希とあかりはクラスが同じ

⏰:08/10/27 01:52 📱:PC 🆔:yXpYuQc2


#371 [みぉり]
元々、性格が似ていた二人はすぐに意気投合して、出会って間もないというのに互いに絶対的な信頼関係を持っているのを知っていた



そのあかりがどうしたというのだろう



ケンカでもしたのだろうか



想像もしていなかった『あかり』の言葉にカメラを置いて、有希をじっと見つめる

⏰:08/10/27 01:54 📱:PC 🆔:yXpYuQc2


#372 [みぉり]
何かあったのか、と尋ねた事を激しく後悔する話がこれから待っているというのに



この時の俺は、ただ単純に2人の間に何かあったんだろうと軽い気持ちで聞き始めたんだー・・・・・




━━━━ーーーーー…………
最後の写真からゆっくりと視線をはずして、大量に積み重なった写真達の上にそっと置く

⏰:08/10/27 01:58 📱:PC 🆔:yXpYuQc2


#373 [みぉり]
アンカー
>>1-100
>>101-200
>>201-300
>>301-400


感想板
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/3579/

意見・感想等いただけましたら幸いです。

⏰:08/10/27 02:04 📱:N905i 🆔:LK9sczOM


#374 [みぉり]
>>372から


そのまま、ベットに倒れこんで天井を見上げた




…………あまりに軽率だった俺の発言が今もあかりを苦しめている



そしてそれは、あかりの近くにいる有希も悲しませた

⏰:08/11/01 11:58 📱:N905i 🆔:ia9jmoiE


#375 [みぉり]
それは、変えられない現実で恭ちゃんにもつらい想いをさせた



だけど俺はその全てを、誰にも打ち明けられていない




みんなから突き放されるのが怖くて、何も言えない臆病者なんだ

⏰:08/11/01 12:03 📱:N905i 🆔:ia9jmoiE


#376 [みぉり]
━━━━ーーーー…………
有希side



「…………落ち着いたか?」



「うん…………ありがとう」




静かな放課後の教室、壁の時計が示す時刻は19時すぎ



屋上で森くんに会って、泣きたいだけ泣かせてもらって今に至る

⏰:08/11/01 12:11 📱:N905i 🆔:ia9jmoiE


#377 [みぉり]
偶然、出会った屋上で泣き崩れたのに何も聞かずに傍にいてくれた



「………ごめん…ね」




ポツリ呟いた声は自分でも驚くほど、小さいもので視線は床を見つめたまま

⏰:08/11/08 12:40 📱:N905i 🆔:H7xqIuI2


#378 [みぉり]
「ん………」



多分、森くんは私を見てる
顔をあげれば真剣な面持ちでいるだろうことは予想出来ている


だから余計に顔をあげられない


昼間に言い合いにも似たやりとりの後にこんなカタチで、会うとは思いもしなかったし……

⏰:08/11/09 14:35 📱:N905i 🆔:gCJzhQEM


#379 [みぉり]
だけど、こんな時間まで付き合ってくれたし……なんと言ったらいいんだろう



「……………幼馴染みがいいって……」



「……………え」



言い訳を考える事に集中していた私は、突然の森くんの言葉に思わず顔をあげてしまった

⏰:08/11/09 14:46 📱:N905i 🆔:gCJzhQEM


#380 [みぉり]
見上げた先の森くんは、やっぱり真剣な面持ちでいて昼間のように眉間にシワを寄せていた



「………同じことを思った事がある」



「え?…………何が?」



言葉の意味を問い掛ける、同じことって?

⏰:08/11/09 22:06 📱:N905i 🆔:gCJzhQEM


#381 [みぉり]
私の声に森くんは静かに息を吐き出してから、立ち上がり窓に向かって立った



しばらく、何も話さず私も声をかけられず、ただ黙って待った



陽が完全に暮れかけて、電気を点けていない教室は真っ暗で窓から漏れる街灯がぼんやりと森くんの表情を映し出す

⏰:08/11/09 22:12 📱:N905i 🆔:gCJzhQEM


#382 [みぉり]
「幼馴染がいい・・・・お前の言葉と同じ事を思ってたんだ、俺も」


ぽつりと呟く森くんの声に、じっと耳を傾ける



「幼馴染がいいと思った、そのままで居たいと思った・・・・だから、気持ちを伝えずにいようと努力した」



森君はどこか遠くを見るような眼差しで、続ける

⏰:08/11/10 00:37 📱:PC 🆔:LKLcl7/I


#383 [みぉり]
「始めは思ったよりも楽だった、あいつは毎日変わらずに俺といたし・・・・・・けど、途中でつらくなった」



声のトーンをぐっと下げて、ゆっくりと私の方を振り向く



ドキン・・・・・ドキン・・・・・



なぜだかわからないけれど、私の心臓は大きく音を立てて鳴っていて森くんから視線を逸らせない

⏰:08/11/10 00:41 📱:PC 🆔:LKLcl7/I


#384 [みぉり]
「学年があがって、俺の知らない場所にあいつの新しい居場所があって・・・・・一緒に過ごす時間は変わらないのに、俺の知らないことばかりが増えていって・・・・・」




森くんの言葉が、いつかの自分を思い出させる


同じことを不安に思った


けれども、それは自然なことなんだと


自分の気持ちを見つめようとしなかったから納得して過ぎてきた

⏰:08/11/10 00:45 📱:PC 🆔:LKLcl7/I


#385 [みぉり]
でも森くんは違う



自分の知らない一面が増えていく前から、その幼馴染のことを想っていたのなら、その苦しさはきっと、今の私とは比べものにならない



「・・・・・縛れないって分かってる。俺は単なる幼馴染なんだと思ってみても、どうしたって悔しくて何よりも・・・・・あいつが離れていくことが寂しかった」




森くんが悲しそうに顔を歪めて、でも口元は笑いながら続ける

⏰:08/11/10 00:50 📱:PC 🆔:LKLcl7/I


#386 [みぉり]
「自分で伝えないと決めたのに、それが自分を追い詰めたんだ」


森くんの言葉が痛いほど、心に、頭に突き刺さってくる



本当はここまで自分の状況と酷似した話なんて聞きたくはない。



けれど、森くんの話し方が”過去形”だから、その行く末が気になって、聞き入ってしまう

⏰:08/11/10 00:57 📱:PC 🆔:LKLcl7/I


#387 [みぉり]
「………だから、お前の話を聞いた時は、すごく驚いた」



「え?……………ぁ…」



そうか、

森くんがあんなにも私の事を見抜けたのは、同じ経験があったから


はっと思い当たった私に、森くんは目を細めて笑う

⏰:08/11/10 04:03 📱:N905i 🆔:LHKklqQ.


#388 [みぉり]
「お前を見て・・・・・前の俺もこんな感じだったのかなぁって思えて少し笑っちまった」


「笑うって・・・・失礼ねぇ」



私も負けじと言い返すと、森くんはくくっと笑って再び窓の外に視線を戻した



再び、沈黙・・・・・私は今、森くんがその幼馴染とどういう状態にあるのか、森くんは・・・・・どうしたのかをすごく知りたくて、彼の言葉を待った

⏰:08/11/10 14:58 📱:PC 🆔:LKLcl7/I


#389 [みぉり]
けれども、森くんは何も言わずにずっと外を眺めているだけで


膨らみすぎたソワソワする気持ちを抑えきらず、私から切り出した




「今・・・・は?」


「ん?」


こちらを向くわけでなく、森くんは聞き返す

⏰:08/11/10 15:04 📱:PC 🆔:LKLcl7/I


#390 [みぉり]
ドキン・・・・ドキン・・・・


ゆっくり大きく鳴る心臓を抑えながら、今知りたい事を言葉にする



「今は、その幼馴染とは・・・・どうしてるの?」



私の言葉に森くんは、もう一度私に向き直る
その表情は不思議と穏やかな感じで、静かな笑みを浮かべていた



ドキン・・・・・ドキン・・・・・・

⏰:08/11/10 15:07 📱:PC 🆔:LKLcl7/I


#391 [みぉり]
「やめた」




「・・・・・・・・・・へ?」




意味がわからず、困惑する私に森くんは笑顔で告げる






「やめたんだ全部、あいつを好きでいることも幼馴染でいることも」

⏰:08/11/10 15:13 📱:PC 🆔:LKLcl7/I


#392 [みぉり]
ドクンーッ・・・・・



聞かなきゃよかった



きっと私の顔にはそう書いてあるに違いない



自分とあまりに良く似た状況を経験した人に、どこか期待して聞いていた



”どうやって幼馴染でいる関係を保っているのか”

⏰:08/11/10 15:15 📱:PC 🆔:LKLcl7/I


#393 [みぉり]
”好きって伝えた相手の反応はどうだったのか”


”伝えた後に何か変化はあったのか”




森くんの答えが”幼馴染のまま”だろうが”恋人”であろうが聞きたいことは山ほどあると考えていた



けれど、その答えは私の予想していなかったもので
最も私がなりたくない立場そのものにいるという現実だったー・・・・

⏰:08/11/10 15:17 📱:PC 🆔:LKLcl7/I


#394 [みぉり]
自然とゆっくり、俯いてしまった私の頭にぽんっと重みを感じた



「…………聞かなきゃよかったって思ってんだろ?」



ずばり心の内を当てられて、ビクンと体が動く



「まぁ…………そりゃ俺だってそんなことはしたくなかったんだけどよ」

⏰:08/11/12 19:12 📱:N905i 🆔:mIPh37fs


#395 [みぉり]
私の頭に手を乗せたまま、穏やかな口調で話す森くんは、どんな顔をしているんだろう



さっきみたいにほほ笑みを浮かべたままだろうか



それとも………




顔をあげようと、少しだけ頭を動かすと森くんは手をよけた


「欲しくて仕方なかった」

⏰:08/11/12 19:16 📱:N905i 🆔:mIPh37fs


#396 [みぉり]
顔をあげた先にいる森くんは、やっぱり笑っていた


だけど、さっきの笑みとは明らかに違う淋しそうな瞳でいて………私は何も言えず、黙って話に耳を傾ける




「だんだん幼馴染みでいる事が苦痛になって、だけどあいつは無防備で………このままじゃ、最悪なカタチに俺自身が動きそうだった……欲しくて欲しくて……………あいつを傷つけるくらいならいっそ離れてしまえばいいと思ったんだ」



淡々と続ける森くんの顔からはいつしか笑みは消えていた

⏰:08/11/12 19:26 📱:N905i 🆔:mIPh37fs


#397 [みぉり]
ドキッ―………


だけど、その言葉には森くんの切なげな気持ちが詰まっていて心臓が跳ねた



「……後悔……して……る?」


「…………さぁ、どうだろうな」


私の問い掛けに、天井を見上げながら話す



「……してないとなったら嘘になる………だけど………あの時の俺にはそれが精一杯だったんだ………だから、これで良かったんだと信じてる」



まるで自分に言い聞かせるように呟く姿に、その横顔に、確実に潤みを持ってしまっている瞳に、思わず立ち上がった

⏰:08/11/12 19:39 📱:N905i 🆔:mIPh37fs


#398 [みぉり]
ガタンッー・・・・


「ーーっ・・・びびったぁ・・・・お前、いきなりー・・・・ッ」



突然の音に、森くんが慌てて視線を下ろしている間に私は彼の前まで歩く


「?」


私よりもずっと高い身長で、今の私の行動に首を傾げる森くんを見上げた

⏰:08/11/13 01:00 📱:PC 🆔:C/s/P5Ak


#399 [みぉり]
少し背伸びをして、右手で森くんの頭に手をあてる


「?何??」


「・・・・ッだっ大丈夫だよ・・・・森くんは、間違ってないッ」



視線を合わせて、そう言いながら初めて出会ったときに森くんがしてくれたようにその頭をぽんぽんっと撫でた


「・・・・・−っ////」

⏰:08/11/13 01:04 📱:PC 🆔:C/s/P5Ak


#400 [みぉり]
瞬間、森くんの顔がみるみる内に真っ赤に染まっていく
それはもういわゆるユデダコの状態だ


「えっ?!ごごごごごめんっ」


予想だにしていなかったその反応に、反射的に手を下ろすも逆に私もオロオロして、自分のしたことが恥ずかしくなっていった


・・・・だだだって!!森くんがこんなに真っ赤になるなんて想わなかったからっ・・・・あーっ!!!なんで頭撫でちゃったりしたんだろ〜・・・////

⏰:08/11/13 01:44 📱:PC 🆔:C/s/P5Ak


#401 [みぉり]
そんなことを思ってみても、後の祭りでなんとも言えない空気が流れてしまった

互いに、沈黙



…………うぅ……私ってバカ?
いや、だってさ?なんか、こー…森くんが淋しそうだったし、励ましたかったから……いやいや、でも撫でるのは子ども扱いみたいだったかな……うー……



真っ赤な顔を見合わせたままだったのを破ったのは森くんだった

⏰:08/11/13 04:22 📱:N905i 🆔:S4B9qLtA


#402 [みぉり]
「…………バカ、じゃねぇの///」


「はっ!?バカってッ……いや、バカかもだけど……だって…………うーん、なんか………うん、撫でてしまいました………。」



バカ呼ばわりされて言い返したかったけど、
相変わらず真っ赤な顔で
必死に紡いでくれた言葉を
無碍には出来なくて、
ぺこりと下げた頭をあげると、
少し薄くなった赤い顔で、笑う姿に私もつられた

⏰:08/11/13 04:27 📱:N905i 🆔:S4B9qLtA


#403 [みぉり]
「…………帰るか」
「うん」


一息ついて、静かに教室を後にする
廊下はもちろん真っ暗で
どちらともなく言い出した
しりとりをしながら玄関へと歩いた


「……マンゴー」
「胡麻」
「また”マ”!?……もーないよぅ」
「まだまだあるだろ……どんだけレパートリー少ないんだよ」

⏰:08/11/13 04:34 📱:N905i 🆔:S4B9qLtA


#404 [みぉり]
呆れる森くんに軽くパンチをいれて

また笑って、靴を履く


「…………無理すんな」
「え」


先に靴を履き終えた森くんが、一歩前に出て言う

⏰:08/11/13 04:37 📱:N905i 🆔:S4B9qLtA


#405 [みぉり]
「俺がさっき話したことを変に考えんな」
「………う…無理だよ」


素直にうん、と言える程簡単なことではなくて
どうしたって考えてしまう

私も、もしかしたら……と思ってしまう自分がいるのを

森くんだって気付いているからこそ、話しているんだ

⏰:08/11/13 04:41 📱:N905i 🆔:S4B9qLtA


#406 [みぉり]
「………さっき、後悔してるかって聞いたよな?」

「うん………してないとも言いきれないって」

「………一つだけ、」

「ん?一つだけ?」


玄関を出て、ゆっくりと並んで歩く


「………伝えればよかった、と思う自分がいる」

⏰:08/11/13 04:45 📱:N905i 🆔:S4B9qLtA


#407 [みぉり]
思わず歩みが止まりそうになった

「混乱、させちまったから……素直に伝えて振られる方がよかったんじゃないか、と思う時がある」

「……………なんで、伝えなかったの?」


「”伝えなかった”んじゃなくて、”伝えられなかった”んだ」


”?”が頭を駆け回る私を横目に、森くんはクスリと笑って空を仰ぐ

⏰:08/11/13 04:50 📱:N905i 🆔:S4B9qLtA


#408 [みぉり]
「…………怖かった、ただそれだけさ」

「……………そっ、か」

「なのに、昼間はあんな言い方しちまった……やってみなきゃわかんねぇ…なんて、俺が言えた立場じゃないのに」

⏰:08/11/13 04:53 📱:N905i 🆔:S4B9qLtA


#409 [みぉり]
そう言って立ち止まった森くんに合わせて、私も足を止める


今日一日だけで、森くんの色んな顔を見た気がする


そんな事を思いながら見上げた先の森くんは、
眉間にシワを寄せるわけでなく、
けれども真剣な面持ちで私を見据えていた



「・・・・・やるだけやってみるのもひとつだ、俺みたいに諦めるのが全てじゃねぇよ」



「・・・・・・・うん」

⏰:08/11/13 19:56 📱:PC 🆔:C/s/P5Ak


#410 [みぉり]
こくんと頷いた私を確認して
歩き出した森くんを追うように私も帰路へとついた





━━━━ーーーー…………

⏰:08/11/15 04:38 📱:PC 🆔:B3JgZ0dY


#411 [みぉり]
チャプン…………


もわもわと立ち上がる湯気
たっぷりと湯を張ったバスタブに
身を沈めて大きく伸びる



「んーっ………………はぁ」




肩と首を回してため息を吐き出して、目を瞑った

⏰:08/11/15 18:17 📱:N905i 🆔:xImwR1dU


#412 [みぉり]
蘇るのは
凪のことと、森くんの話


今まで通りの幼馴染みを貫くことは
私が思っていたよりも難しく
……かといって、
凪と離れる覚悟もなければ
想いを伝える覚悟もない



「………伝える……か、諦める」

⏰:08/11/15 18:29 📱:N905i 🆔:xImwR1dU


#413 [みぉり]
「…………どぅしたもんかなぁ」


呟いたって現実が変わるわけじゃなくて
結局、どっち付かずの宙ぶらりん



『彼氏彼女になりたいって思わねぇの?』

⏰:08/11/15 20:27 📱:N905i 🆔:xImwR1dU


#414 [みぉり]
森くんのその問いに答えたのは



『一緒にいたい、ただそれだけだよ。』




紛れもない私自身なのに、
たった一日の内で、
こうも目まぐるしく自分の想いと葛藤するなんて
想像もしていなかった

⏰:08/11/15 20:30 📱:N905i 🆔:xImwR1dU


#415 [みぉり]
彼女になるなんて考えたことない
凪と私に、恋人の甘い雰囲気なんてあるわけもない

ただ傍にいたいだけ
今までと同じように、一緒に笑いたいだけ


それが、『好き』という感情ひとつで
こうも上手くいかなくなってしまうなんて・・・・


近くにいるなら微笑みを
離れるのならば忍耐を身に付けなくてはならない

⏰:08/11/16 02:01 📱:PC 🆔:/t1FCHRM


#416 [みぉり]
・・・・・・・私が大切にしたいものは

『凪』と『幼馴染の私』



覚悟を決めるしか、ない
森くんの話を聞いて
それでも尚、自分の中にある答えはひとつ




「・・・・・・・・・幼馴染、やろう。」

⏰:08/11/16 02:04 📱:PC 🆔:/t1FCHRM


#417 [みぉり]
甘ったれるな、私
いつだって、自分の信じるものをトコトンやってきたでしょう


凪と幼馴染をやる
完璧にやるんだ


いつか、この恋心が消えてしまうくらい
素敵な人に出会えるはずだから


いつか、凪に「実は好きだったんだ」と
笑って言える時がくるから


覚悟は、決まったー・・・・・・・・

⏰:08/11/16 02:07 📱:PC 🆔:/t1FCHRM


#418 [みぉり]
━━━━―――――…………
凪side

ピピピピピピ・・・・・・


「ん〜・・・・うるせ・・・・・」


4月とはいえ
朝方はまだ少しだけ寒い

昔から布団から出るのが苦手で
朝寝坊なんて日常茶飯事

⏰:08/11/16 02:12 📱:PC 🆔:/t1FCHRM


#419 [みぉり]
煩く鳴り響く目覚まし時計を止めて
再び布団に潜り込み、
うつらうつらと眠ろうとしていたその時


トントントン・・・・・


誰かが階段を上る足音が聞こえる
・・・・さすがに寝すぎてしまったのか

きっと母親か姉貴が俺を起こすために
上がってきているのだろう

・・・・・まぁ、いつも部屋を覗き込んで俺の名を叫ぶだけ

適当に返事をしてまた眠るのも
これまた日常茶飯事のこと

⏰:08/11/16 02:16 📱:PC 🆔:/t1FCHRM


#420 [みぉり]
ガチャ・・・・・
扉の開く音に、自分から声をかけた


「・・・・起きてっから」


その言葉にひとつ、ため息が聞こえた
そしてー・・・・


バタンー・・・・


扉の閉まる音に、ほっと胸を撫で下ろす
どうやら言葉を返すこともせずに出て行ったようだ
もう、母親も姉貴も仕事に行くはずだ
これでゆっくり眠れる

⏰:08/11/16 02:21 📱:PC 🆔:/t1FCHRM


#421 [みぉり]
・・・・・・と思っていたのに


ガバッ


「ッ?!?!?!?!?!?」


突然、布団を剥ぎ取られ思わず身体が縮みこんだ

何だよ・・・・出て行ったんじゃねぇのかよ
くそ〜・・・・・起きたくねぇ

⏰:08/11/16 02:24 📱:PC 🆔:/t1FCHRM


#422 [みぉり]
なんてことを思いつつ
きっと、直後に母親か姉の大声が響き渡ると予想して
俺はぎゅっと目を瞑った
・・・・・・が、聞こえたのは予想もしていなかった声



「ちょっと!いい加減、起きなって!!あんた、新学期始まったばかりなのにもう遅刻するつもり?!」



自分の耳を疑った
だって今、聞こえたのはー・・・・・



ガバッ

⏰:08/11/16 02:27 📱:PC 🆔:/t1FCHRM


#423 [みぉり]
「・・・ゆ・・・・・うき」


勢いよく起き上がった俺の目の前にいるのは
布団を右手に掴みつつ、両手を腰に当てて
仁王立ちしている有希の姿


「おま・・・・なんで・・・・」


突然の事にぽかんとしたままの俺
それを見下ろす有希は、
毎朝俺を起こしていた中学の頃のようなやや呆れた顔

⏰:08/11/16 02:32 📱:PC 🆔:/t1FCHRM


#424 [みぉり]
「なんでって・・・・・こっちが聞きたいっつの、
もう七時半すぎてるんですけど?
どうやったらこんな時間まで寝続けようと思うかな」


言いながら布団をベットの端に寄せて
雑誌が散乱している俺の部屋をちょこちょこ片付け始めた

ぽかんとその様子を見つめていると
くるりとこちらに向き直る


「・・・・・何してんの?
早くしないと遅刻だってば!!
さっさと顔洗って準備してきなさーい!!」

⏰:08/11/16 02:36 📱:PC 🆔:/t1FCHRM


#425 [みぉり]
「へっ・・・・あっ、おぅ!!」


有希の言葉に押され、
慌てて洗面所へ駆け込み顔を洗う
冷たい水が寝ぼけた頭をシャキンとさせる中
徐々に、意識が覚醒する



ちょっと待て・・・・
どういうことだよ?
なんで有希が俺を起こしに来てんだ?

っつぅか、
思いっきり前と同じになってんじゃないか?

⏰:08/11/16 02:41 📱:PC 🆔:/t1FCHRM


#426 [みぉり]
混乱する頭を抱えながら
着替えるために再び部屋へ戻る

その途中、覗いた居間には誰もおらず
既に両親、姉は出勤したあとだった


トントントン・・・・・・ガチャ

階段を上りながら
なんて声を掛けるか
ぐるぐると悩みながらも
辿り着いた自室の扉をあけて
俺の視界に入ったのは

昨日、俺が壁から外した大量の写真の一枚を
手にとって見ている有希の姿

⏰:08/11/16 02:49 📱:PC 🆔:/t1FCHRM


#427 [みぉり]
「ーーっ!!!!」


その場に思わず硬直してしまった
そんな俺に気付いた有希がこちらに振り向く

俺はその振り向くまでの瞬間
有希がまた昨日のような
涙顔になっているのではないかと不安になり
咄嗟に、うつむいてしまった


やばいっ・・・・くそ、
昨日ちゃんと片付けりゃ良かった


まさに後悔、先に立たず

⏰:08/11/16 02:52 📱:PC 🆔:/t1FCHRM


#428 [みぉり]
さっきまで、、、
有希があまりに普通に接してきたとき
ほっとした


昨日は、俺から離れると覚悟したはずなのに
有希が本当に以前のように接してきたから

嬉しかった


けれど
この写真の山を見てしまった有希のことだ
きっと、さっきまでのようには居られなくなっている

⏰:08/11/16 02:54 📱:PC 🆔:/t1FCHRM


#429 [みぉり]
どうしよう


俺はきちんと有希に言えるのだろうか
有希の気持ちを知っている事
その気持ちには応えられない事

・・・・・・・距離を取ろうと思っていること


まさか、こんな急なタイミングで
言う羽目になるとは予想もしていなかったのだ


だけど
写真の山を有希が見てしまった今、
きちんと話す絶好のチャンスなのかもしれない

⏰:08/11/16 02:58 📱:PC 🆔:/t1FCHRM


#430 [みぉり]
でもなんて切り出したらいい?



一瞬で、そんな事が
頭を一気に駆け巡り
固まってしまった俺に聞こえたのは

またまた予想だにしていなかった有希の言葉



「写真、外したんだねぇ・・・・
って、そら彼女にとって気持ちのいいものじゃないもんね!
あ、これ、もし捨てるんならもらっていい?

⏰:08/11/16 03:01 📱:PC 🆔:/t1FCHRM


#431 [みぉり]
「はっ?!」


あまりに明るいその声に
慌てて顔を上げると
その先の有希は、驚いた顔で


「何?そんな変なこと言った??」


写真を片手に
不思議そうに首を傾げていた


「・・・・いやっ・・・別に・・・んなことはねぇ・・・」

「?何よ、変な凪」

⏰:08/11/16 03:08 📱:PC 🆔:/t1FCHRM


#432 [みぉり]
くすりと笑って
手にしていた写真を戻す


「あっ!!凪、急がないとマジで遅刻するから!!
早く着替えて!!
私、下で待ってるから」


時計を確認し
慌てて俺の部屋を出て行く有希を
目で追いながら
とりあえず、制服に着替える

⏰:08/11/16 03:13 📱:PC 🆔:/t1FCHRM


#433 [みぉり]
どうなってんだ?
すっかり元通りになってねぇか?


”?”が飛び交う頭を抱えつつ
着替えを済ませ
鞄を持って部屋を出る


トントントン・・・・


「凪、チャリ?」


階下の玄関には
既に、靴を履き終えた有希が待っていた

⏰:08/11/17 03:24 📱:PC 🆔:b2/wfidM


#434 [みぉり]
「あ・・・・おう」
「じゃ、乗っけて〜」


扉を開けて
先に外へと出る有希の後を
困惑する頭を抱えながら追う


だけど
心の奥では心底、安心していて
このまま
何もなかったようにしていれば

これまでと
同じ俺達で居られるじゃないかと

⏰:08/11/17 04:23 📱:PC 🆔:b2/wfidM


#435 [みぉり]
あんなに昨日、
悩んで決意をしたはずなのに

目先のこの安堵感を
手放したくなくて


この時の俺は
有希がどんな想いで

俺と幼馴染でいようとしていたのかなんて
これっぽちも考えていなかった


いつも
どんな時も

俺は自分のことしか見えていなかったんだー・・・・・

⏰:08/11/17 04:25 📱:PC 🆔:b2/wfidM


#436 [みぉり]
━━━━―――――…………
それから
毎日はあっという間に過ぎていって

有希と俺は
以前のまんまの幼馴染

あまりに普通すぎるから
俺のことを好きだと
そう言って泣いていた有希は

実は幻だったんじゃないかって
そう思ってしまうくらいだった

⏰:08/11/17 04:40 📱:PC 🆔:b2/wfidM


#437 [みぉり]
俺が恭ちゃんに自分の罪を告白したのは
そんな毎日の中でのこと

あかりを苦しめているきっかけは俺だって
本気であかりを好きな恭ちゃんには
知らせなきゃいけないって
そう思ったから


恭ちゃんは泣きながら
まとまりのつかない俺の話を
黙って聞いてくれた

俺はそれこそ
殴られるんじゃないかって
内心ビクビクしてたのに

⏰:08/11/17 04:44 📱:PC 🆔:b2/wfidM


#438 [みぉり]
話終えると
俺の頭を静かにぽんぽんと撫でて


『わかった、ありがとう』


ただそれだけを言って
にっこり笑って
屋上を後にした

⏰:08/11/17 04:46 📱:PC 🆔:b2/wfidM


#439 [みぉり]
残された屋上で
俺の頭をよぎるのは


あの夏の日の
有希の涙


俺があかりを苦しめている原因だと知ったら
きっと有希は俺を軽蔑するだろう


ずっと騙してきたのだと
そう思って俺から

今度こそ
本当の意味で離れていってしまうのだろう

⏰:08/11/17 13:35 📱:PC 🆔:b2/wfidM


#440 [みぉり]
「………いつまで持つかな」




今のこの関係はどれだけ続けられるんだろう


いつかは
あかりにも、有希にも打ち明けたい


だけど
せめてその時までは、
このままで居させてほしいー……

⏰:08/11/23 15:37 📱:N905i 🆔:zeHVN8cs


#441 [みぉり]
━━━ーーーーー…………
有希side

「…………疲れた」



放課後の屋上
すっかり習慣となった独り言を呟きながら
空を見上げる



凪と以前のような幼馴染みに戻って数週間


たまに部屋に行ったり、
あかりを交えてご飯をしたり


それなりに
演じられてると思う

⏰:08/11/23 15:46 📱:N905i 🆔:zeHVN8cs


#442 [みぉり]
だけど
つらい


普通に装うことが
こんなにもつらいなんて


凪が通りすがりの子に話し掛けられるのは日常のこと


学内だって
学外だって


それくらい人気者

⏰:08/11/23 18:55 📱:N905i 🆔:zeHVN8cs


#443 [みぉり]
改めて目の当たりする日々は


自分の中の
醜い部分がチラホラ影をださせる



「………はぁ」




凪の自由なのに、
誰と付き合ったって、セフレを作ったって

⏰:08/11/23 19:03 📱:N905i 🆔:zeHVN8cs


#444 [みぉり]
わかっているはずなのに
気持ちは追いついてくれない


毎日この繰り返し
正直、しんどい


バーテンの仕事の時は
周りにちやほやされまくってたし


きっと私の知らないだけで
色んな凪の世界があるんだろうな

⏰:08/11/25 03:09 📱:PC 🆔:OcanHo86


#445 [みぉり]
…………なぁんて、考えても仕方ないんだけどさ


コンクリートの地面に寝そべり、
頬にあたる風を感じながら
目を閉じていると
ふと陽の光が遮られた



「………、遅いよ」



目を開くことなくつぶやいた

⏰:08/11/29 02:15 📱:N905i 🆔:OxLw/ph.


#446 [みぉり]
「掃除当番だっつぅの」



やや不貞腐れたように
返してくるその声にふっと
笑って、目を開く



「……課題………つらい…よ」



見上げた森くんは苦笑いで
私を見下ろしていた

⏰:08/11/29 18:25 📱:N905i 🆔:OxLw/ph.


#447 [みぉり]
「……だから、こうやって話聞いてんだろ?」



『課題』

私が、
今までと同じように
変わらずに
凪といるための課題



「………感謝してます」

⏰:08/12/03 17:24 📱:N905i 🆔:.KlV3Yw6


#448 [みぉり]
私の隣にストンと
腰を下ろす動きに合わせて
ゆっくりと起き上がる


こうして放課後に
森くんと会うのも
最近の習慣


同じ経験のある森くんは
幼馴染みでいることの
辛さを誰よりも知っている

⏰:08/12/03 19:36 📱:N905i 🆔:.KlV3Yw6


#449 [みぉり]
 

毎日を普通に過ごす中で
色んな不安や不満
自己嫌悪は数え切れない



それを発散できるように
他愛ない話でも
誰にも言えない自分勝手な想いでも


森くんは笑って共感してくれる

⏰:08/12/04 13:20 📱:PC 🆔:bToo3fAc


#450 [みぉり]
 


あかりには言えない
こんな自分は

どこかみっともなくて
言いたくなくて


同じ経験のある森くんに
救いを求めたんだ

⏰:08/12/04 13:23 📱:PC 🆔:bToo3fAc


#451 [みぉり]
「………………ない、よ」 


「………そうか」



顔を合わせる訳でなく、
互いに前を見つめたまま


交わす言葉の意味を
深く言わずとも
察してくれるありがたさ

⏰:08/12/11 03:15 📱:N905i 🆔:PD22MhZE


#452 [みぉり]
「よかったじゃん、たまにはそんな日がないと気持ちがパンクしちまうだろ」


「……うん、そうだよね」



苛立ちや嫉妬を感じないで
過ごせた今日はラッキー

……と気持ちを切り替えて
明日に備える

⏰:08/12/11 03:18 📱:N905i 🆔:PD22MhZE


#453 [みぉり]
そうやって
自分の気持ちと
バランスを取りながら
毎日を過ごしてる


だけどそれは
森くんがいるからこそ
できていることで


もしも
森くんがいなかったら
とっくの昔に
ギブアップしてると思う

⏰:08/12/20 13:30 📱:N905i 🆔:a3YejZ1.


#454 [みぉり]
ぼーっと空を見つめる森くんに
実は聞きたいことがあった



それは屋上の鍵のこと



凪から
代々、受け継がれていることは
聞いて知っているけれど


森くんはどうやって
鍵を手にしたんだろう

⏰:08/12/22 00:19 📱:N905i 🆔:lgMCcy3.


#455 [みぉり]
「………鍵、なんで持ってるの?」



直球ど真ん中



「へ?」



やや面食らった様子に
慌てて言葉を続ける

⏰:08/12/23 20:23 📱:N905i 🆔:u7GLEFZg


#456 [みぉり]
「ぃやっ……あの、その……屋上の鍵を…誰から受け継いだのかなぁって…思いまして………」


言葉は弱々しくなり
仕舞いには目線も下向きになってしまった


あぅ…
なんでこうも
考え無しにしゃべっちゃうかな



明らかに
突っ込まれたくなかったオーラが
全開な森くん

⏰:08/12/26 21:38 📱:N905i 🆔:Tbu/zhr6


#457 [みぉり]
自分の頭を
ふるふると振り払い

なんとか取り繕う言葉を
考えていると

森くんが口を開いた




「………知り合いから」

⏰:08/12/26 21:40 📱:N905i 🆔:Tbu/zhr6


#458 [サリー]
失礼します
>>300-500

⏰:08/12/27 08:18 📱:D905i 🆔:BF/LnpNk


#459 [みぉり]
>>サリーさん
アンカーありがとうございます

⏰:08/12/29 01:51 📱:N905i 🆔:MK6t9tec


#460 [みぉり]
>>457から

「えっ?」


パシッ


「いたっ……っつぅ〜」


顔をあげたのと同時に
森くんにデコピンをされてしまった

⏰:08/12/29 01:54 📱:N905i 🆔:MK6t9tec


#461 [みぉり]
「なんでデコピンすんのぉ……ぁいたた…」


涙目になりながら
ピリピリと痛みの残る額を
撫でつつ、森くんを睨む


しかし
当の森くんは
むすっと子どもみたいな顔で
私を見めている状態


……………え?
なんか……機嫌悪…い?

⏰:08/12/29 01:58 📱:N905i 🆔:MK6t9tec


#462 [みぉり]
ひとまず、額を押さえ
様子を伺いながら声を掛ける



「…なんか………怒ってる?」


「は?怒ってねぇよ」



そう言うくせに
不機嫌オーラが全開なのは
見て明らか



「…………うそだ」

⏰:08/12/29 02:36 📱:N905i 🆔:MK6t9tec


#463 [みぉり]
「ぁあ?」



ほらぁぁ!!
絶対、機嫌悪いぃぃ〜……



私の発言が火に油だったのか
口調がより険しくなる森くんに
思わず肩が竦んだけれど

これで怯むような
園田有希ではありませんことよ

⏰:08/12/29 02:40 📱:N905i 🆔:MK6t9tec


#464 [みぉり]
「じゃぁ、その態度はなに?」


「………別に、同じだし」



はぃっ!?おいおいおい……
いつもは、もっと声のトーンが高くて

何より、
そんな深く眉間にシワよせてないでしょうがっ!!

⏰:08/12/29 02:43 📱:N905i 🆔:MK6t9tec


#465 [みぉり]
誰が聞いたって
そんな事は通用しないのに
むすっと言い返す森くんが

小さな子どもみたいで
ちょっと、呆れて
おもしろい



って、おもしろがってちゃダメじゃん!

⏰:08/12/29 02:51 📱:N905i 🆔:MK6t9tec


#466 [みぉり]
「私……なんか変なこといった?」


ちょっと真面目に
森くんを見つめる


森くんは
何も言わず、動きもしない


……ってことは

きっと、私が言った言葉がきっかけなのよね多分

⏰:08/12/29 17:34 📱:N905i 🆔:MK6t9tec


#467 [みぉり]
……やっぱり、鍵のこと
触れられたくなかったのかな



「…………鍵を誰からかって聞いたから?」


「……」



またまた直球
だって回りくどいことは
好きじゃないから

⏰:08/12/29 20:41 📱:N905i 🆔:MK6t9tec


#468 [みぉり]
どんな小さな事でも
モヤモヤしたままなのは
嫌い


ちゃんと
その時その時に
解決しなくちゃ落ち着かない


「……黙ってちゃわかんないよ」


困りながら
でも無理に聞き出そうとしていることに
内心びくびくしながら
尋ねる

⏰:08/12/29 20:55 📱:N905i 🆔:MK6t9tec


#469 [みぉり]
そこからは、黙り込み我慢大会


口を開かず、
じっと森くんの様子を見つめる

⏰:08/12/30 02:57 📱:N905i 🆔:YQzwgtwg


#470 [みぉり]
━━━ーーー………
5分後


「…………鍵のことな」


諦めたようにため息を吐いて
口を開いたのは森くん


我慢比べは私の勝ちみたい



「うん、知り合いから引き継いだんでしょ?」

⏰:08/12/31 01:51 📱:N905i 🆔:Nxt9fjQQ


#471 [みぉり]
聞き返す私をちらりと見て
森くんはゆっくりと
仰向けになるように横になった



「…………知り合いってのがさ」

「ん?」



聞きながら
同じように体を横にする

⏰:08/12/31 02:58 📱:N905i 🆔:Nxt9fjQQ


#472 [みぉり]
互いの目に映るのは
真っ青な空と雲



「………あいつ」


゛あいつ゛



あぁ…例の………


「………幼馴染み?」

⏰:08/12/31 03:03 📱:N905i 🆔:Nxt9fjQQ


#473 [みぉり]
言ったきり
返事がなかったけれど



それが何よりの答え



森くんも
私と同じように
幼馴染みから鍵をもらったんだ


なんて偶然なんだろう
こんなことまで
同じだなんて………

⏰:08/12/31 03:06 📱:N905i 🆔:Nxt9fjQQ


#474 [みぉり]
「…………お前も…同じだろ」


「ん……ま、ね」



そのまま
黙って空を見上げる


互いの奇妙な偶然に
なんだか、
安堵感を抱きながら……

⏰:08/12/31 20:43 📱:N905i 🆔:Nxt9fjQQ


#475 [みぉり]
「………どっか行くか」


「ん……え?」



思わず体を起こして
横に目を向ける


゛よっ゛の掛け声で
森くんも体を起こした

⏰:08/12/31 23:24 📱:N905i 🆔:Nxt9fjQQ


#476 [みぉり]
「気晴らしってことで」


にかっと笑う森くん



そうだね
気晴らしも必要だよね



私も笑顔で頷いて
二人揃って、玄関まで歩く

⏰:09/01/01 03:22 📱:N905i 🆔:LnyKyn.2


#477 [みぉり]
その道すがら
放課後とはいえ
まだちらほらと校内に残る生徒達が

私と森くんを見ては
何か話をしている



………感じ悪いなぁ



なんて思いながら
なんて言われてるのは
想像がついていた

⏰:09/01/01 15:36 📱:N905i 🆔:LnyKyn.2


#478 [みぉり]
ちらっと横に目を向ければ
キレイに整った顔

誰もが目を止める
その容姿



……それに引き替え



至って普通の私
十人並のなかでも中の中

⏰:09/01/01 22:17 📱:N905i 🆔:LnyKyn.2


#479 [みぉり]
……いや、
今更、仕方のないことなんだけど
チラチラ見ていた私の視線に
気付いた森くんが
不思議そうに首を傾げている



「?…なんだよ、」


「なんでもないよ〜……男前だなぁと思って」

⏰:09/01/01 22:44 📱:N905i 🆔:LnyKyn.2


#480 [みぉり]
゛はぁ?゛と言いながら
先に靴を履き替えて、外に出てしまった

慌ててその後を追いかける


夕方近い時間なのに
夏前の空は真っ青で
その眩しさに
思わず目が眩んだ

⏰:09/01/01 23:21 📱:N905i 🆔:LnyKyn.2


#481 [みぉり]
「置いてくぞー」


森くんの声に
目を開いて再び並んで歩く


校門を過ぎて
近くの公園前を通り過ぎようと
して、隣姿がなくなった

⏰:09/01/01 23:45 📱:N905i 🆔:LnyKyn.2


#482 [みぉり]
「あ、れ?……森くん?」


キョロキョロ見回しても
見当たらない


えぇー??
どこにいったの?

⏰:09/01/02 00:18 📱:N905i 🆔:xuIQt6qU


#483 [みぉり]
……けど
私がここから変に動いちゃったら
余計に会えなくなりそう



………おとなしく待機しとこ


公園の柵に寄り掛かる
園内からは楽しそうなこどもの声



………っていうか、、、
どっか行こうって
言いだしたのは森くんなのに

勝手にいなくなるって
どぅなのよ

⏰:09/01/02 00:26 📱:N905i 🆔:xuIQt6qU


#484 [みぉり]
……なんて思ってはみるけど
人を待つのは慣れてる


「ゆぃちゃん待って〜」
「なぉと、遅いんだもん」


ふいに背後から聞こえた声
振り向くとそこには
小さな女の子がジャンクルジムを
上手にするすると登り
その後を必死に追い掛けて
もたつきながらも登る小さな男の子の姿

⏰:09/01/02 01:14 📱:N905i 🆔:xuIQt6qU


#485 [みぉり]
あらまぁ…可愛い


自然と笑みが零れて
姿勢を変えて中を見る


微笑ましい小さな二人に
懐かしい記憶が蘇る


『なっちゃん、危ないよ』
『ゆーちゃんは怖がりだなぁ』

⏰:09/01/02 01:51 📱:N905i 🆔:xuIQt6qU


#486 [みぉり]
いつもいつも
止めるのも聞かないで
無茶ばっかりの後ろ姿を
必死に追い掛けていた


置いていかれると
すぐ泣く私

いつからか、凪は
その度に色とりどりのビー玉を1つくれたっけ

⏰:09/01/02 02:08 📱:N905i 🆔:xuIQt6qU


#487 [みぉり]
………いつから
『なっちゃん』と呼ぶのをやめたんだったかな


小学校に上がって
凪が『ゆーちゃん』から『有希』に
呼び方を変えたから

なんか悔しくて変えたような気がする

⏰:09/01/02 02:12 📱:N905i 🆔:xuIQt6qU


#488 [みぉり]
あの時
変えなかったら今も『なっちゃん』と呼んでいたのかもしれない


今となっては、
どうにもならないことだけど


私の目の前にいる
小さな『なおと』くんも
いつか『ゆいちゃん』から
『ゆい』と
呼び方を変えてしまうのだろうか

⏰:09/01/02 02:17 📱:N905i 🆔:xuIQt6qU


#489 [みぉり]
「…そのままでいて欲しいなぁ」

ぽろりと口に出た言葉
たかが、呼び方ひとつだけど


それは小さなきっかけとなる


凪が泣く度にくれたビー玉で
いつも笑顔になっていた

⏰:09/01/02 02:22 📱:N905i 🆔:xuIQt6qU


#490 [みぉり]
だから、時々
わざと泣いたりして
凪が立ち止まって
私の手を引いてくれるのを
待っていた



けれど
大きくなるにつれて
泣く理由がなくなってきて


凪からビー玉をもらわなくなった
追い掛けるけど
手を引いてもらうほど
距離が空かないように
互いにあわせられるようになった

⏰:09/01/02 02:27 📱:N905i 🆔:xuIQt6qU


#491 [みぉり]
それで
今の距離感……といっても
すごくすごく近いけれど


お互いに心地がいい空気ができた


それはすごく自然なこと
当たり前の成長過程で生まれたもの

⏰:09/01/02 02:29 📱:N905i 🆔:xuIQt6qU


#492 [みぉり]
凪は時間にルーズになって
遊ぶときは
決まって私が待ちぼうけ


おかげで
時間を潰す術が身についた


人を待つのもお手のもの


…………ってなんか
悲しい自慢だなぁ

⏰:09/01/02 02:35 📱:N905i 🆔:xuIQt6qU


#493 [みぉり]
「わりぃ、待たせた」


突然、真後ろからの声


「ひゃぁっ」


慌てて振り向くと
そこにはヘルメットを携えた森くん

⏰:09/01/02 02:42 📱:N905i 🆔:xuIQt6qU


#494 [みぉり]
「びっくりしたぁぁ〜…」


回想から一気に現実へと
引き戻してもらったけれど

おかげで心臓はバクバク状態


「ごめん……そんなおどかすつもりじゃぁ……」

⏰:09/01/02 02:47 📱:N905i 🆔:xuIQt6qU


#495 [みぉり]
「いきなりは誰でもびっくりするよ」


一呼吸おいて
ジロリ睨んで、そう言うと

森くんはいたずらっこ顔で笑ってから
もう一度、謝った



………まぁ、
私も完全に油断して
森くんのことを
すっかり忘れていたのだけれど

⏰:09/01/02 02:57 📱:N905i 🆔:xuIQt6qU


#496 [みぉり]
「いきなりいなくなるし…何してたの?」


尋ねる私にズイっと
差し出したのはヘルメット


「かぶれ」


「へ?」


くるりと背を向けて
すたすたと歩く姿を慌てて追う

⏰:09/01/02 17:12 📱:N905i 🆔:xuIQt6qU


#497 [みぉり]
もー……


歩きだしてすぐ
壁沿いに止められているバイク


「……え、まさか」


いやな予感に
恐る恐る尋ねる


「そ、おれの」

⏰:09/01/02 20:31 📱:N905i 🆔:xuIQt6qU


#498 [みぉり]
言いながら颯爽(サッソウ)と
バイクにまたがり
ヘルメットを被る


ぽかんとする私に


「………早く乗れよ」


後ろを指す


「え?………乗るの…?」

⏰:09/01/03 01:48 📱:N905i 🆔:8WosmgyM


#499 [みぉり]
バイクなんて
乗ったことがないのに
と、思わず立ち尽くす


「……怖ぇの?」


ニヤっと笑う顔に
私の負けず嫌いが駆り立てられた

「のっ、乗るわよ!これくらい」

⏰:09/01/03 02:21 📱:N905i 🆔:8WosmgyM


#500 [みぉり]
ぱっと、後ろに乗る


「捕まらないと落ちるぞ」


ズイっと
私の両手を自分の身体にまとわせ
森くんはエンジンをかけた



えぇっ///
ちょちょちょっと…ッこれは恥ずかしい///

⏰:09/01/04 03:24 📱:N905i 🆔:SOMCr.4k


#501 [みぉり]
ブォンッ…………


「ひゃっ……ッ…」


エンジン音に驚か、目を瞑っている間にバイクは走りだした


反射的に森くんにしがみつく


……あ、なんか…大丈夫だ

⏰:09/01/15 15:46 📱:N905i 🆔:oGmdxCtM


#502 [みぉり]
初めて体感する風の強さは
怖いかもしれないと思っていたけど


しがみついた森くんの背中は
ブレザー越しでも
あたたかくて


不思議と穏やかな気持ちになれた


そのおかげか
怖さはまったくなくて

目を開けた先の
広がる世界は瞬く間に
風をきるバイクの横を流れていく

⏰:09/01/16 02:05 📱:PC 🆔:gWADcupw


#503 [みぉり]
うわぁ・・・
すごい!・・・・あっという間に景色が変わってく



怖さなんてすっかり忘れて
目の前をくるくると
変わる世界に息を呑んだ



「こわくないかー??」



エンジン音に掻き消されそうになりながら
聞こえた森くんの声

⏰:09/01/19 01:11 📱:PC 🆔:9zdjWxb2


#504 [みぉり]
その声に、はっと
思わずしがみついていた手を緩くした


「だっ大丈夫だよ〜!!風〜気持ちいいね〜!!」


エンジン音に負けじと
大声で答えると

森くんが一層、
加速させていく

⏰:09/01/22 01:28 📱:PC 🆔:hFwRvnFM


#505 [みぉり]
「ひゃぁっ?!?!」


再び、がしっと
森くんにしがみつくと

その背中から
くくっと笑っている振動が伝わってきた


・・・・からかいやがったわね


むっと
思いっきり巻きついた手を
きつく締めあげてやる

⏰:09/01/22 03:22 📱:PC 🆔:hFwRvnFM


#506 [純麗]
頑張ってください

⏰:09/01/25 18:25 📱:N905i 🆔:j4oKdomw


#507 [我輩は匿名である]
>>300-500
>>501-700

⏰:09/01/25 22:30 📱:D705i 🆔:U3IHcsUw


#508 [みぉり]
>>純麗さん☆
ありがとうございます!
なかなか更新できなくてすいません。
がんばります(^^)


>>匿名さん☆
アンカーありがとうございます!

⏰:09/01/27 00:26 📱:PC 🆔:jFZWWUJQ


#509 [みぉり]
>>505から


「ぐぇっ・・・・おぃっ」


森君の少し苦しそうな声にちょっと満足
そのまま手を緩めて、移り変わる景色を楽しむことにした



・・・・・・
15分ほど走って、バイクが止まった
そこはまだ少し肌寒い海辺

⏰:09/01/27 00:29 📱:PC 🆔:jFZWWUJQ


#510 [みぉり]
「ひゃぁー!!」


ヘルメットを外し、思わず駆け出す
だって、大きな太陽と海と空の真っ青な色があまりに綺麗でじっとしていられなかったから


「おいっ!メットは置いてけよ〜!」


後ろから聞こえた森君のその声にくるりと振り向き、届くようにと力をこめてメットを投げた


「ちょっ・・・お前っ・・・!」

⏰:09/01/27 00:42 📱:PC 🆔:jFZWWUJQ


#511 [みぉり]
メットを受け取ろうと慌てつつも必死にバランスを取る森君を尻目に靴を脱いで、波際まで歩く



・・・・・あったかい


日の光を浴びた砂は、ほっこりと暖かく歩きやすかった



波打ち際の海水で色の変わった砂は冷たく、足に少し力を込めてやればずんずんと沈んでゆく

⏰:09/01/27 02:41 📱:PC 🆔:jFZWWUJQ


#512 [我輩は匿名である]
>>1-50
>>51-100
>>101-150
>>151-200
>>201-250
>>251-300
>>301-350
>>351-400
>>401-450
>>451-500
>>501-550
>>551-600

⏰:09/01/27 13:32 📱:W52SH 🆔:WQXkX6CQ


#513 [みぉり]
>>匿名さん☆
アンカーありがとうございます(^^)

⏰:09/01/28 04:22 📱:PC 🆔:Ei/Ravds


#514 [みぉり]
>>511から


本当に埋まりきってしまわないように、足を引き抜き、ゆらゆらと打ち寄せる波に少し足が触れる程度に進んでみる


「〜〜っ・・・冷たい」


一瞬、水に触れただけなのに、その冷たさに思わず足を引っ込めた


・・・・・はずなのに、次の瞬間に私の足は太ももまで水が滴っている始末

⏰:09/01/28 04:29 📱:PC 🆔:Ei/Ravds


#515 [みぉり]
慌てて足元を確認してみるも、私がいるのは打ち寄せる波がかかるはずのない所


・・・・・・ということは?



すぐに思い当たる節があり


ゆっくりと視線を動かした先にいたのは、してやったり顔の奴



「・・・・・・ちょっと?今、何したのかな?」

⏰:09/01/28 06:25 📱:PC 🆔:Ei/Ravds


#516 [みぉり]
引きつった笑顔で聞く私


「え?何が?(笑)」



すっとぼけた顔で笑いながら濡れた両手を振って、水を飛ばす森くん



え?何が?じゃないでしょーがっ!!!!!!

⏰:09/01/28 06:30 📱:PC 🆔:Ei/Ravds


#517 [みぉり]
「何してくれちゃってんのよっ!!」



「あ?ばれた?笑」



ばれた?じゃないっつの!!



けらけらと憎たらしく笑う姿に思いっきり水をかけてやる





バシャッ…

⏰:09/01/28 19:29 📱:N905i 🆔:iC33MXOs


#518 [みぉり]
「あ``・・・・・」



・・・・・・ほんのちょっと



ほんのちょこっとだけ、太ももあたりにかけてやろーって思ってたのよ?



水をかけた体勢のまま動けない私


頭から水を滴らせ、中腰の姿勢から動かない森くん

⏰:09/01/29 00:22 📱:PC 🆔:ryFEvhL.


#519 [みぉり]
「………………」

「………………」



水をバシャンとかけるのと同じタイミングで、これまた森くんも水に手を突っ込むために中腰になっていて



まさか、こんなタイミンクでばしゃんと水がかかっちゃうとは思わなかった


………と言ってもすでに後の祭り

⏰:09/01/30 19:46 📱:N905i 🆔:ZOPARhyc


#520 [みぉり]
「……水も滴る良い男っ!!……なんつって……」


ははは、と乾いた笑いをしてみるものの森くんは相変わらず動かない


……こりゃマズイ


そう直感し、そろりと背を向けて波際から立ち去ろうとした………が



「…………おぃ」

⏰:09/01/31 16:39 📱:N905i 🆔:gO6JOJ0I


#521 [みぉり]
背後から聞こえたその声にビクっと体が固まった


振り返るのが怖いくらいのオーラを感じずにはいられないし………



「……園田先輩、、俺、頭に水ぶっかけられちゃったみたいなんですけど?」

⏰:09/02/03 16:30 📱:N905i 🆔:vYl6Uvmw


#522 [みぉり]
゛どーしてくれんの?゛


と、聞こえたような気がするのは私の勘違いでしょうか



「あははは……はは…手元がね……狂っちゃったみたいでぇ…」



視線をビシビシ感じながらも、振り向けず


沈黙してしまった

⏰:09/02/17 17:26 📱:N905i 🆔:WcUO5jCU


#523 [みぉり]
……って、明らかに悪いのは私なのに


謝るタイミングも完全に逃した………


この沈黙がやけに長く感じられて余計に気まずい………

⏰:09/02/22 13:24 📱:N905i 🆔:WuRDaLAo


#524 [みぉり]
「………仕方ねぇなぁ」


「へ?」



つぶやきが聞こえて
振り向きかけた私の体がふわりと浮いた



え?!何?!



思わず体を硬直させて目を見開くと
すぐ近くにあったのは森くんの顔

⏰:09/02/22 13:28 📱:N905i 🆔:WuRDaLAo


#525 [みぉり]
「ななななっ!?」


何何何??!!


訳がわからずめちゃめちゃ動揺しながらも今の自分の状態を知ろうと、周りをキョロキョロしてみる


私の体は森くんに支えられて宙に浮いていて………えーと?



この態勢って……もしかしなくてもお姫さま抱っこですか!?

⏰:09/02/22 13:33 📱:N905i 🆔:WuRDaLAo


#526 [みぉり]
困惑したまま、私を抱き上げた森くんを見る


その顔はさっきのニヤリ顔と同じで、瞬間いやな予感



「・・・・やられたらやりかえす、ってな」


「・・・・・はい?」


さわやかな笑顔で口を開いた森くん


恐る恐る続きを聞き返す

⏰:09/02/22 22:57 📱:PC 🆔:DsMEKhPQ


#527 [みぉり]
「俺のモットーなの」


「は?」


どういう意味ー・・・っと言いたかったのに


バッシャン!!


という大きな水音に私の言葉はかき消されてしまった




「〜〜〜〜〜っなにすんのーーー!?!?!??!」

⏰:09/02/22 22:59 📱:PC 🆔:DsMEKhPQ


#528 [みぉり]
抱きかかえられていた温もりは消え、代わりにあるのは冷たい水


尻餅をついてしまった体勢で水に浸かっている私


当然、スカートはびしょびしょ


かろうじて濡れていないのはシャツのみ



・・・・・・確かにね、
私が水をぶっかけましたよ、えぇ、やりましたとも

⏰:09/02/22 23:07 📱:PC 🆔:DsMEKhPQ


#529 [みぉり]
それは認めましょう



でもね?
この仕打ちはないんじゃないかしら?


しかも、頭に水かけるつもりなんてなかったんだから!!いわばあれは事故なのに!



全身水浸しってひどすぎだよぉぉ!!!!!

⏰:09/02/22 23:15 📱:PC 🆔:DsMEKhPQ


#530 [みぉり]
「森くんのばかーっ!!」


叫びながら見上げた森くんは、悪びれる様子もなく大笑いしてお腹をかかえている始末



ひ、ひどい・・・・・めっちゃ笑ってるし!



ふつふつと怒りがこみ上げて、尻餅をついてままではあったけど


上半身動かして、森くんの右腕を掴む



森くんが一瞬、目を見開いて慌てたのがわかったけど


勢いよく、その腕をひっぱってやった



バシャーーーッン

⏰:09/02/22 23:27 📱:PC 🆔:DsMEKhPQ


#531 [みぉり]
「〜〜〜っつめてぇ」


文字通り、全身水浸しで両手をついた森くんの第一声



そんな彼を横目に、私は立ち上がって



もう一回、頭っから水をバシャンとかけてやった

⏰:09/02/23 00:16 📱:PC 🆔:3Zw2M3OI


#532 [みぉり]
「うわっ・・・・しょっぱ・・・っ」


口に海水が入ってしまったようで、眉間にしわを寄せてフルフルと頭にかかった水を振り切る森くん



「これでお互いさまでしょっ!」



そう言い放って、一人先に波打ち際から離れ


かばんと靴を置きっぱなしにしたバイクの方へと歩く




森くんが悪いんだからっ!
謝ったりなんかしない!

⏰:09/02/23 01:08 📱:PC 🆔:3Zw2M3OI


#533 [みぉり]
「おぉい・・・・園田ぁ〜・・・・」


「先輩を呼び捨てにしないでくださーい」



後ろからパタパタと、近づく声にも振り向かず


むすっと言い返し自分のカバンからハンドタオルを捜索する



ブルッ


背筋に急に悪寒が走った


肌にまとわりつく海水が、体温を奪ってるのだ


さっきまで射していた陽の光も、気づけば空を真っ赤に染めながら海へと沈んでいっていた

⏰:09/02/23 01:13 📱:PC 🆔:3Zw2M3OI


#534 [みぉり]
やばっ・・・寒い


冷えた手で、なんとかタオルを取り出して濡れた制服を無言で拭く



横にはやや、バツが悪そうに立つ森くんが視界にあるけれど、無視を決め込む



「・・・・園田、あの」


「先輩、でしょ?」

⏰:09/02/23 01:19 📱:PC 🆔:3Zw2M3OI


#535 [みぉり]
完全にご立腹オーラで、話す私に森くんはやや困惑気味



・・・・・・いや、私も森くんに対して水ぶっかけてその上、謝りもしてない・・・・・けど



体温が下がるのと同時に、かっとなっていた頭も冷えてきて



自分ばかりが森くんを責められる立場ではないと、冷静に感じつつも



どうにも、タイミングを掴めない

⏰:09/02/23 01:22 📱:PC 🆔:3Zw2M3OI


#536 [みぉり]
・・・・・・意地っ張りな性格ってこんな時は、本当に困りもの


謝る口火を切れずに、無言のまま下半身の水を拭っていると




「ごめん、悪ふざけが過ぎた・・・・園田先輩」



その声に視線を移せば、頭を深深とさげた森くんがいて



「えっ・・・・あ・・・・」

⏰:09/02/23 01:26 📱:PC 🆔:3Zw2M3OI


#537 [みぉり]
「…っ…私も、…ごめんなさい」


慌ててペコリと頭を下げてしまった



………謝れちゃった


勢いとはいえ、素直に森くんに謝れた自分にびっくりしつつ顔をあげる

⏰:09/02/23 18:32 📱:N905i 🆔:6/hIe97Y


#538 [みぉり]
ドキッーーーーッ



そこにはくしゃっと笑う森くん


その顔は真っ赤な夕陽に照らされ


ぽたぽたと垂れる雫が反射して、それがまた色っぽくて




心臓が大きく跳ねた

⏰:09/02/24 23:55 📱:N905i 🆔:ElgW3RqE


#539 [みぉり]
そんな私を見て、森くんがクスっと笑って口を開く


「・・・・・なに見惚れてるんですか?園田先輩(笑)」



はっ



「みっ、見惚れてなんかいませんっ」



慌てて視線を逸らし、再びスカートの水気を拭う



・・・・・びっくりしたっ
あまりに夕陽が似合いすぎてて・・・・

⏰:09/02/25 05:19 📱:PC 🆔:t2qodPZU


#540 [みぉり]
ドキドキと、心臓が鳴ってるのを悟られないように至って平静を装い、足を拭い続けていると



「……ぷっ」


隣でいきなり吹き出した声


ん?と顔をあげれば、間近にある森くんの顔

⏰:09/02/25 15:47 📱:N905i 🆔:FdRDGqIM


#541 [みぉり]
「ッ!?!?!?」



あまりの近さに、ビクっと体を仰け反らせて驚くと


森くんは、あのいたずらっこみたいな笑顔で



「…………顔、真っ赤」



そう言って、私にバサっと何かをかけた

⏰:09/02/25 17:12 📱:N905i 🆔:FdRDGqIM


#542 [みぉり]
「ひょっ?!」



急に視界を奪われて、ワタワタと被せられたそれを取ると


それは私のより一回り以上大きなジャージの上



……なんでジャージ?

⏰:09/02/27 23:53 📱:N905i 🆔:UdJobM/I


#543 [みぉり]
疑問に思って森くんを見ると、濡れたシャツを脱いでぎゅっと絞りながら


「透けてるから」




え?






……………えっ!?

⏰:09/02/28 00:04 📱:N905i 🆔:1eYyH9cs


#544 [みぉり]
その言葉に自分のシャツを見てみれば


白シャツの下からうっすら緑色が透けていて……




「っ!!///早く言ってよ〜〜っ!!」



またまた私の叫び声が、波際に響き渡った

⏰:09/02/28 12:58 📱:N905i 🆔:1eYyH9cs


#545 [みぉり]
慌ててジャージを羽織り、チャックをしめる


その間に森くんはさっさと絞ったシャツを着直し、ブレザーを羽織りバイクに乗る用意をして




「帰んぞ」



私にヘルメットをぽんと、手渡してバイクにまたがった

⏰:09/02/28 13:42 📱:N905i 🆔:1eYyH9cs


#546 [みぉり]
「えっ……だって森くん……濡れたままじゃ」


そのままヘルメットを被ろうとするのを慌てて止めて、タオルを手渡す



「サンキュ……けど、家に帰った方が早い」



「へ……そりゃそうだけど……」

⏰:09/02/28 15:00 📱:N905i 🆔:1eYyH9cs


#547 [みぉり]
渡したタオルで、がしがしと頭を拭くとすぐに返してそのままヘルメットを被りエンジンをかける


え?乗るの?……この濡れた状態で?


…………私、家はここからちょっと遠いんですけど


そんなことを思いながら、乗るのを躊躇していると


置いてくぞと言わんばかりの表情を隙間から覗かせる森くん


ちょっ……っ!!

⏰:09/02/28 15:23 📱:N905i 🆔:1eYyH9cs


#548 [みぉり]
置いていかれては困る!!



ワタワタと、カバンを掛けて後ろに乗ると、バイクは勢い良く走りだした



「…〜〜っっ………さむいっ!!」


寒いっ!!


陽が落ちかけで、一気に気温が下がったせいか


感じる風も肌寒くなっている



「家はー?」

⏰:09/03/01 09:55 📱:N905i 🆔:BvFJOOvw


#549 [みぉり]
エンジン音に負けないようにと、声を大きく尋ねてくる



「潮見高から美術館越えた先ぃ〜〜〜っ!!」



私も負けじと声を返したけど、森くんはそのまま返事もせずにバイクを走らせて



私は私で、寒さのあまり森くんの背中にぴったりとくっついて、あと20分はこの寒さに耐えなくてはと、目を閉じた

⏰:09/03/01 10:03 📱:N905i 🆔:BvFJOOvw


#550 [みぉり]
バイクのエンジン音と、たまにすれ違う車の音


それだけが耳を掠めながら、10分程度走ったあたりで急に減速し始めた様子に


違和感を感じて、閉じていた目を開くと、ちょうどバイクが停止した



「ついたぞ」


えっ?!
もうついたの?!?!早いっ!!

⏰:09/03/02 01:21 📱:PC 🆔:YHah7QxQ


#551 [みぉり]
驚いて森くんを見ると、森くんはさっさと降りて歩き出す。


私もすぐにバイクを降りてー・・・・ふと、疑問



・・・・・待って?


私、森くんに家の住所なんていってないよね?


教えてないのにたどり着けるはずがない


・・・・っていうか、どんなに急いでも10分でたどり着ける距離じゃないし

⏰:09/03/02 01:22 📱:PC 🆔:YHah7QxQ


#552 [みぉり]
・・・・・・。


え?・・・・・ってことは?



視界を狭くしていたヘルメットを外して、見回す景色は全く知らないものばかり


ただ、すぐ近くの電柱に張られた住所の看板から


ここがどの辺りなのかは見当がついた


・・・・・・なんで?
学校までも、まだ少し距離あるのに・・・・

⏰:09/03/02 01:25 📱:PC 🆔:YHah7QxQ


#553 [みぉり]
家まで送ってくれとまでは言わないけれど、


せめて学校の前くらいまでは連れて行って欲しかったのに・・・・


ここから歩くと結構時間かかるなぁ〜うぅ・・・・


単純に計算しても30分はかかるであろう道のりを思うと


「はぁ・・・・。」


思わずため息が出てしまった

⏰:09/03/02 01:28 📱:PC 🆔:YHah7QxQ


#554 [みぉり]
と、ため息ついた所で歩いて帰らなきゃならない事実は変わらないか・・・・・。


やれやれ、とカバンを肩にかけ直す


とりあえず、このヘルメットを返さないことには帰れないし



「森くん、これ、ありがー・・・・・あれ?」



森くんに声をかけようと、振り返った先には一軒の大きな家があるのみ

⏰:09/03/02 01:32 📱:PC 🆔:YHah7QxQ


#555 [みぉり]
・・・・・またどっかに行っちゃったよ。もぅ!



辺りをキョロキョロしてみても、その姿はどこにもない



・・・・・ってことは・・・・この家の中に・・・・入ったってこと?



普通に考えるとそうだよね?


純和風で、立派な瓦屋根の大きな家
・・・・・なのにそのまん前には、大きなバイク



・・・・・・・・・・・変な組み合わせ(笑)

⏰:09/03/02 01:35 📱:PC 🆔:YHah7QxQ


#556 [みぉり]
バイクと家との並びがなんだかおかしくて、ぷっと吹き出してしまうと



「・・・・・頭、大丈夫か?」



まさに私が笑った瞬間に、森くんの声が聞こえた。


声に視線を動かせば、家の扉から呆れ顔の森くんがこちらを見ていた



はっ



笑ってる場合じゃなかった!ヘルメット返さなきゃ

⏰:09/03/02 01:40 📱:PC 🆔:YHah7QxQ


#557 [みぉり]
「森くんっ!ヘルメット!忘れてる!!」


たたっと駆け寄り、ヘルメットを渡す



「あぁ。」


「どうもありがとうございましたっ!」


森くんが受け取ったのを確認して、ぺこりと頭を下げて帰宅しようと向きを変えた


外はすっかり陽も落ちてるし、濡れたままじゃ体もどんどん冷えちゃう

⏰:09/03/02 01:43 📱:PC 🆔:YHah7QxQ


#558 [みぉり]
軽くタオルで拭っただけじゃ、やっぱり寒いし

走って帰ったほうが案外、体もあったまっていいのかも



そんなことを考えつつ、歩き出そうとした瞬間



がしっ


「へ?」


森くんが私の腕を掴んだ

⏰:09/03/02 01:46 📱:PC 🆔:YHah7QxQ


#559 [みぉり]
「え?なに?」


足を止められたことに、キョトンとしながら尋ねる


「なに帰ろうとしてんの?」


眉間にシワを寄せて、難しい顔をする森くん


その表情の意味がわからず”?”が頭を回る私


「え?だって、ここ森くん家でしょ?私の家はここから歩いてー・・・・」

⏰:09/03/02 01:50 📱:PC 🆔:YHah7QxQ


#560 [みぉり]
「このまま帰ったら風邪ひくだろ、服貸すからあがってけ」


「えっ!!いいよ!そんなの、悪いからっ!!」



ヘルメットも返したしさっさと帰るよ、まで言いたかった私の言葉を遮り、森くんは私の肩からカバンを取ってさっさと家の中に入ってしまった



「ちょっ・・・・っ・・・大丈夫だってばっ!ねぇ!森くん〜!!」

⏰:09/03/02 01:54 📱:PC 🆔:YHah7QxQ


#561 [みぉり]
もうっ!勝手なんだから〜!!


「はぁ〜・・・・」


再び、ため息をつくと早急な帰宅は諦めて


森くんの家にお邪魔することにした


「お邪魔しま〜す・・・・・」



・・・・・なにこの家

⏰:09/03/02 03:03 📱:PC 🆔:YHah7QxQ


#562 [みぉり]
外から見ても広かったけど、中はもっとすごい


ザ・日本とでもいいましょうか



「…………ボンボンなの?」



森くんの後ろをくっついて歩きながら、思わず呟く




「は?………あぁ…まぁ……普通の家とはちょっと違うか」

⏰:09/03/03 17:20 📱:N905i 🆔:L4tmRltQ


#563 [みぉり]
振り向きもせず、答えたその声に、それ以上聞くことはいけないような気がして


スタスタと歩く森くんの後をついて静かに歩いた




・・・・・・廊下長いっ!!
っていうか、中庭すごいんですけど



純和風すぎるその造りに驚きつつ、ある洋風な扉の前で森くんが足を止めた

⏰:09/03/03 21:58 📱:PC 🆔:16i80ETU


#564 [みぉり]
ガチャ・・・・


「ここ、入って」


それに合わせて立ち止まった私を横目に、扉をあけた森くんは中に入るように促す


「?・・・・失礼します・・・・。」



入った部屋の壁には、バスタオルと洗濯物を入れると思われるかごが置いてあるのが見えた


・・・・・脱衣所?

⏰:09/03/04 02:00 📱:PC 🆔:q2ezTJfk


#565 [みぉり]
「ここってー・・・」


バサッ


森くんに話しかけようと振り向いて、またまた何かを掛けられて慌ててそれを外す


・・・・今度はバスタオル??なぜに?


訳が分からず森くんを見ると、外でドアを閉めようとしているし


「風呂。冷えたままじゃ着替えたって意味ないしな、」



「へっ?!いくらなんでもそれは悪いよっ!」

⏰:09/03/04 02:07 📱:PC 🆔:q2ezTJfk


#566 [みぉり]
バタンッ



「…………まだ話してんのに」



問答無用とばかりに、閉められた扉をしばし見つめてため息をつく


………せっかくのご好意だし、有り難く受け取ろう

⏰:09/03/05 08:40 📱:N905i 🆔:x6CSSMIY


#567 [みぉり]
「……っていうか、入らなかったら怒られそうだもん」



呟きながら制服を脱いだものの、どこに置いたらいいのかな


……かごに入れるのはさすがになぁ


一先ず、全体的に湿ってるのをキレイにたたんで浴室と思われる扉を開けた



ガチャ………

⏰:09/03/05 08:45 📱:N905i 🆔:x6CSSMIY


#568 [みぉり]
「…………。」



思わず、扉を開けたまま固まってしまった



………一般家庭の風呂の5倍はあるんじゃないかって広さ


シャワー3つとか要らないんじゃないかとか、突っ込みたいコトはたくさんだけど


とにかく、体を温めなきゃ

⏰:09/03/05 08:49 📱:N905i 🆔:x6CSSMIY


#569 [みぉり]
そう思い直して、いつのまにかすっかり冷えきってしまった体にシャワーをかける



「あつッ……」



かなりぬるめに、設定したのにそれすらも肌にあたると熱いと感じずにはいられなくて



足元からゆっくりとシャワーを浴びつつ、置いてあるボディソープを拝借した


泡立てながら洗うと、実は体中に細かい砂が大量に付着していたことに気付く

⏰:09/03/05 09:05 📱:N905i 🆔:x6CSSMIY


#570 [みぉり]
ふと、髪に触れてみると海の匂いがしてるし


………すいません。徹底的に洗います



心の中で断りを入れ、全身をくまなく洗うとたっぷり湯の張られた湯槽に浸った



チャプン…

⏰:09/03/05 09:24 📱:N905i 🆔:x6CSSMIY


#571 [みぉり]
「あ〜…気持ちいい〜……んーっ」



肩まで浸かって、体を思いっきり伸ばす


ほぅっと一息ついて



「園田、着替え置いとくから」



扉越しの声に、慌てて我にかえった

⏰:09/03/05 15:07 📱:N905i 🆔:x6CSSMIY


#572 [みぉり]
のんびり入ってる場合じゃないんだった!!


反射的に立ち上がり、人影に向かって


「ああありがとうっ!」


と声をかけると、ゆらりと影になって見えた森くんは、手をあげてそのまま出ていった



………早くあがろ

⏰:09/03/05 15:54 📱:N905i 🆔:x6CSSMIY


#573 [みぉり]
バシャン・・・・ガチャ



すぐに脱衣所へと出て、バスタオルを手に取る


気持ちよかった〜湯冷めしないうちに、貸してもらった服きなきゃ



体中の水を拭い、着替えに手を伸ばそうとした瞬間


ガチャリ


「!!!!!!!!!!」

⏰:09/03/09 02:14 📱:PC 🆔:KaP.G9lc


#574 [みぉり]
間違いなく、扉の開く音が聞こえ反射的に見ると


驚いた表情の森くんがそこには居て・・・・・



・・・・とりあえず、叫びます




「いやぁぁ〜〜〜っ!!!!!!////」


「わわわわっ悪かった!!!////」

⏰:09/03/10 05:11 📱:PC 🆔:WVNKKkDA


#575 [みぉり]
バタンッ


勢いよく扉の閉まった音に、思わずその場にへたりこんだ


・・・・・・・裸・・・・見られたよね、絶対



どうしてバスタオルを胸に当てるとか、
体に巻きつけるとかしてなかったの私っ(涙)


己の行動が悔やまれるけれど、今となっちゃ後の祭り

⏰:09/03/11 05:51 📱:PC 🆔:ErV5EzZ6


#576 [みぉり]
がっくりと肩を落としつつ、ブルッと悪寒が走り抜けたので慌てて着替えようと下着を探す



「・・・・あれ?」


畳んで置いた服を手にとって出ようとしたが


そこに置いたはずの服がない

⏰:09/03/11 05:59 📱:PC 🆔:ErV5EzZ6


#577 [みぉり]
「はっ?!ないってなんで?!」


驚いてあたりをワタワタと手探りするも見当たらず


「〜っ・・・さむっ・・・・も〜仕方ないっ」


下着を探すことを諦めて、森くんの用意してくれた着替えのシャツを手に取る



「・・・・へ・・・これは・・・」

⏰:09/03/11 06:04 📱:PC 🆔:ErV5EzZ6


#578 [みぉり]
シャツの下に置かれていたのは、真新しい下着のセット


「・・・・・・これも・・・用意してくれたってこと・・・・?・・・」



いくらなんでもっ!!ここまでされたら申し訳なさすぎるわっ!


っていうか、女として恥ずかしすぎるっ(涙)

⏰:09/03/11 06:15 📱:PC 🆔:ErV5EzZ6


#579 [みぉり]
「……………うぅ」



恥ずかしいけど、下着をつけずに服を着るほうが堪え難い


………大人しく借りよう



ササッと着替えて、外に出る



ガチャ…

⏰:09/03/12 00:38 📱:N905i 🆔:rgsCUUfY


#580 [みぉり]
バタン……


「ふぅ……」


閉めた扉に寄り掛かり、一息をつくと


「………園田」



右隣から声をかけられ慌てて振り向く

⏰:09/03/12 00:46 📱:N905i 🆔:rgsCUUfY


#581 [みぉり]
「森くんっ」


そこにはバツが悪そうな顔の森くん


「………わりぃ…いや、ごめん」

その言葉はもちろん、さっきいきなり扉を開けたことを指しているだとすぐに察知した

⏰:09/03/12 00:55 📱:N905i 🆔:rgsCUUfY


#582 [みぉり]
思わず、カーッと顔が赤くなってしまったのが自分でもよくわかる



「えっ!あ、うん///・・・いや、こちらこそ・・・・申し訳なくて」


「は?」


「いやっ!見苦しい体を見せちゃったし!・・・っていや、そうじゃなくて!!えーと・・・下着まで用意してもらっちゃって・・・そのっ」

⏰:09/03/12 06:47 📱:PC 🆔:U..c1DqA


#583 [みぉり]
パニック過ぎだよ自分!!何を言ってるんだかわからないって〜〜っ!!


支離滅裂な言葉すぎて、思わずうつむくと


「ぶっ・・・くくくっ・・・おまえ、自分の体を見苦しいって(笑)」


頭上から笑いをこらえきれずに、話す声が振ってきて、顔をあげた

⏰:09/03/12 06:58 📱:PC 🆔:U..c1DqA


#584 [みぉり]
お腹を抱えて笑う森くん


それが余計に私の恥ずかしさを助長して・・・・



「〜〜〜っ////そっそんなに笑うことないでしょぉ!!///」


更に真っ赤になりながらも必死に言い返すと、森くんは『悪りぃ』と言いつつ笑いを堪えきれないまま、くるりと向きを変えて歩き出す

⏰:09/03/12 07:03 📱:PC 🆔:U..c1DqA


#585 [みぉり]
「あ・・・ま、待ってっ」


慌ててその後をついて歩き出すと同時に



「はる〜〜っ!!!なにこの廊下っ!!砂だらけじゃない!!」


後ろから、どこかで聞いた声が聞こえて振り向いた



え、うそ・・・・なんで・・・?



そこに立っていた人物を見て、驚いて言葉をなくしてしまった

⏰:09/03/12 07:10 📱:PC 🆔:U..c1DqA


#586 [みぉり]
「あれ・・・?・・・えと・・・凪の・・・?」


高く結われた髪、くるんと大きな瞳で不思議そうに私を見つめているのはー・・・・




「楓・・・・・・何だよ」



いつのまにか、私の真横に立った森くんが不機嫌そうに楓ちゃんに声を掛ける

⏰:09/03/12 07:16 📱:PC 🆔:U..c1DqA


#587 [みぉり]
楓ちゃん・・・・・・


私なんてすっかり楓ちゃんのことを忘れていたのに、楓ちゃんは私のこと覚えてたんだ

いや、知ってるんだ・・・・凪から聞いて



「何って・・・・まぁ、特に用はなかったんだけど・・・お邪魔だった?」


笑顔で尋ねる楓ちゃんとは対照的なトーンで応える森くん



「は?・・・・・あぁ・・・・こいつか」

⏰:09/03/12 07:33 📱:PC 🆔:U..c1DqA


#588 [みぉり]
森くんと楓ちゃんが、会話していたけど


私の耳からその声はすぅっと遠のいていった



・・・・凪、私の話してるのかな?


ただの幼馴染だって・・・


・・・きっと、聞いてるよね


だって凪のバイト先を知ってるくらい、仲良しなんだもん

⏰:09/03/12 07:39 📱:PC 🆔:U..c1DqA


#589 [みぉり]
━━――─・・・・・
陽臣side

「はる〜〜っ!!!なにこの廊下っ!!砂だらけじゃない!!」


まさか、と思って振り向いた先に最も会いたくないやつがいた。


イライラする。


なんで楓が家にいんだよ


ここ最近、来てなかったから安心してたのに・・・・

⏰:09/03/12 07:50 📱:PC 🆔:U..c1DqA


#590 [みぉり]
━━――─・・・・・
陽臣side

「はる〜〜っ!!!なにこの廊下っ!!砂だらけじゃない!!」


まさか、と思って振り向いた先に最も会いたくないやつがいた。


イライラする。


なんで楓が家にいんだよ


ここんとこ、来てなかったから安心してたのに・・・・

⏰:09/03/12 07:53 📱:PC 🆔:U..c1DqA


#591 [みぉり]
【訂正】
二重投稿してしまって申し訳ありません

× 589


お付き合い、よろしくお願いいたします。


みぉり

⏰:09/03/12 09:49 📱:N905i 🆔:rgsCUUfY


#592 [みぉり]
>>590から


「楓……何だよ」


イライラしながら、尋ねた俺に楓は悪怯れた様子もない笑顔


あげく、どうやら園田を俺の彼女かなんかと勘違いしたらしい

⏰:09/03/12 19:12 📱:N905i 🆔:rgsCUUfY


#593 [みぉり]
その発言に『は?』と答えながら、隣に視線を移すと


園田は今にも泣きだしそうな顔で、楓を見つめていた



ー……なんだ?



“二人を離さなきゃならない”


なぜか、直観的にそう思った

⏰:09/03/12 19:21 📱:N905i 🆔:rgsCUUfY


#594 [みぉり]
「楓に関係ねぇよ・・・・見ての通りだから・・・・おい、園田」


「へ?・・・・あ、うん?・・・・・・・」


俺の声で『はっ』と、我に返ったみたいだ


けれども、その目は不安げに揺れている


さっきまではギャアギャアと元気だったのに


・・・・やっぱり、楓か?

⏰:09/03/13 01:12 📱:PC 🆔:2RyXq.Hg


#595 [みぉり]
園田の様子が明らかにおかしい


楓は園田のことを知っているみたいだが……


それが、知人程度らしいことは、二人の空気からもわかる



「」

⏰:09/03/13 04:48 📱:N905i 🆔:2RH2EdPE


#596 [みぉり]
「こっち…………じゃぁな、楓」 


園田の背を押しながら、俺自身も楓に背を向け、そう言った



「…??」



園田はどうやら俺と楓の会話を聞いていなかったらしく、首を傾げてはいたが俺に促されて歩く

⏰:09/03/15 04:42 📱:N905i 🆔:Fhxk5dG6


#597 [みぉり]
「はいはい、お邪魔しました〜」

後ろから聞こえた呑気な楓の声に苛立ちながらも、手を挙げてそれに応えた



………くそッ…



久しぶりに波立った心

⏰:09/03/15 04:48 📱:N905i 🆔:Fhxk5dG6


#598 [みぉり]
俺はまだー………



“楓”を消化しきれていないのだと



確認してしまった

⏰:09/03/15 04:51 📱:N905i 🆔:Fhxk5dG6


#599 [みぉり]
ガチャ………



自室の扉を開け、園田を入れるとすぐに内線をかけた



『…ーはい。三内です。』

「三内さん?…俺、ちょっと砂で廊下汚しちゃって……申し訳ないんですが……」

『あら…陽さま?お久しぶりですね…承知いたしました。すぐに清掃いたします』

⏰:09/03/15 04:57 📱:N905i 🆔:Fhxk5dG6


#600 [みぉり]
「ありがとうございます。おねがいします」


ー…ピッ


家に数人いる使用人を仕切っている三内(ミナイ)さんへの電話を切り、ふぅっとため息をつく


頭によぎるのは楓の笑顔

⏰:09/03/15 05:01 📱:N905i 🆔:Fhxk5dG6


#601 [みぉり]
声を聞いたのはどれくらいぶりだろう



話をしたのなんて……正月以来じゃないかと思う



………変わらないんだな

⏰:09/03/15 13:38 📱:N905i 🆔:Fhxk5dG6


#602 [みぉり]
楓は、俺と話していない時間があっても、何も変わらない


俺は、初めは違和感だらけで会いたい気持ちに駆られた


けれど、会わないようになって苛立つことはなくなりほっとした。

何より楓を汚してしまいそうな衝動が薄れたことが有り難かった

⏰:09/03/16 06:13 📱:N905i 🆔:otNY5eiY


#603 [みぉり]
あいつにとって、俺はいてもいなくても変わらないんだと、ただの幼馴染みだと痛感してそのままー………




「…ーくんッ!!森くん!!」


はっ


「あぁッ!!…わりぃ、ぼーっとしてた」

⏰:09/03/16 19:08 📱:N905i 🆔:otNY5eiY


#604 [みぉり]
園田の声で我に返った


そういえば園田と楓はなんで面識があるんだ?


クラスは………かなり離れていたはず



疑問に思いつつも、先刻の不安げな園田の顔がちらつく

⏰:09/03/25 04:58 📱:N905i 🆔:4LQMdRdc


#605 [みぉり]
問い掛けてもいいのか分からず、黙っていると


「ね、ね、森くん家ってお手伝いさんがいるの!?」


園田は目をキラキラさせて聞いてきた



「あ?……あぁ、何人か……な」

「ひゃーっ!!おぼっちゃまだぁ!!」

⏰:09/03/27 02:45 📱:N905i 🆔:9cJ2rwVY


#606 [みぉり]
まぁ、そうだよな

大概の人間はこんなリアクションだ


普通、使用人がいたって数人も雇いはしない

そういう意味でもうちは特殊なんだろう



あ、そうだ

⏰:09/03/27 03:34 📱:N905i 🆔:9cJ2rwVY


#607 [みぉり]
「服なんだけど」


その言葉で、園田の表情が一変した

楽しそうな顔から強ばった顔へ



……………百面相かよッ笑



あまりにコロコロと変わる表情がおもしろい

⏰:09/03/27 03:37 📱:N905i 🆔:9cJ2rwVY


#608 [みぉり]
おそらく……いや、確実に服のことを忘れていたんだろう


今度は見る見る内に顔が赤くなっていく


「ああああああのっ!!…っ///えとっ……服、ありがとう」



真っ赤な顔で俯きながらのその姿は、まるで小さな子ども


…………ユデダコみてぇ

⏰:09/03/27 05:05 📱:N905i 🆔:9cJ2rwVY


#609 [麗]
>>01-300
>>301-600

⏰:09/04/30 03:43 📱:SO905i 🆔:Eo5JWJHo


#610 [みぉり]
>>麗さん
アンカーありがとうございます
更新亀でごめんなさい

⏰:09/05/09 11:24 📱:N905i 🆔:Ex1bs22M


#611 [みぉり]
>>608から


吹き出しそうになるのを堪えつつ、続ける



「いや、俺が貸した服じゃなくてお前の制服」



今度ははっと、目を丸くして慌てだす


「私の服っ…!どこにあるの!?」

⏰:09/05/09 12:52 📱:N905i 🆔:Ex1bs22M


#612 [みぉり]
「クリーニング中」


「へ?」



ぽかん顔の園田を横目に、自室のソファにどかっと座る



「えぇっ!?そんなっお風呂から服まで申し訳なさすぎだよぉっ!」


俺の真前に正座で座る姿が、しゅんとうつむく

⏰:09/05/09 17:50 📱:N905i 🆔:Ex1bs22M


#613 [みぉり]
「俺が勝手にしてるだけだから気にすんな」


うつむく頭をぽんぽんと撫でてみても
顔をあげない

すみませんオーラが嫌ってほどに出てる

⏰:09/05/09 18:01 📱:N905i 🆔:Ex1bs22M


#614 [里紗]
かかないんですか?


めっちゃ途中

⏰:09/06/24 01:01 📱:F704i 🆔:Yecw9c/w


#615 [みぉり]
>>里紗さん

コメントありがとうございます。
感想板にてお返事を書かせていただきましたので
そちらに目を通していただければ幸いです。

感想板 
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/3579/


みぉり

⏰:09/06/26 22:27 📱:PC 🆔:xMP/tl/s


#616 [みぉり]
>>613から


「・・・・・園田?」
「・・・・けない」


「は?」


曖昧に聞こえ声に聞き返すと、ぱっと園田は顔をあげた

⏰:09/06/26 22:46 📱:PC 🆔:xMP/tl/s


#617 [みぉり]
「自分が本当に情けないなーって思ったの!!」


少しだけ眉間にシワを寄せて、
大きな独り言のように話した顔は
口を一文字にしていて・・・・・小さな子どもそのもので思わず


「・・・・・・ガキみてぇ」


ぽそりとつぶやいてしまった

⏰:09/06/26 22:57 📱:PC 🆔:xMP/tl/s


#618 [みぉり]
あ、やべ・・・余計なこといったな今



直後、まさにその通りと言わんばかりに



「どうせ、ガキんちょですよっ。ひねくれものだし、
自分の服のこととか大事なことはすぐに忘れるし?
っていうかね!まさかクリーニングに出されてるなんて思いもしないじゃない普通!!
それに誰が私の服もってったの?
・・・・あ、もももももしかして森くんっ?!?!?!?!?!?!」


と、一気にまくし立てる園田

⏰:09/06/27 02:21 📱:PC 🆔:6DDDCZg6


#619 [みぉり]
むすっとした顔から赤ら顔へと一瞬で変化したまま


”まさか、あなたがクリーニングに私の下着も一緒にだしたんですか?”


と目で訴える始末。



・・・・・・・・・・おもしろいなぁ。。。。こいつは。


ここまで勢いよく、テンションを上げ下げできるのはたいした才能じゃないかと感心してみていると

⏰:09/06/27 02:26 📱:PC 🆔:6DDDCZg6


#620 [みぉり]
「・・・・・・やっぱり、森くんが・・・・・」


再び、しゅんと泣きそうな顔になった。



・・・・・あ、説明しないとだったな



このままじゃ、俺が園田の下着をぽんっともてるデリカシーなさすぎ男にされる


そう思って口を開いた

⏰:09/06/27 03:08 📱:PC 🆔:6DDDCZg6


#621 [みぉり]
「違うって・・・・お手伝いさんの一人に取らせたんだよ」



”へ?”とキョトンと俺を見る園田



・・・・・1から説明すんのかよ



「俺だってそこまでデリカシーないわけじゃねぇよ。
お手伝いさんの一人・・・・もちろん女の。
俺は脱衣所の衣類全部をクリーニングにって頼んだだけ。
だから、お前の下着を触ってもいないし見てもいない」

⏰:09/06/27 03:11 📱:PC 🆔:6DDDCZg6


#622 [みぉり]
”安心しろ”と、園田の頭に手を置き立ち上がって横を通る


「あっ・・・・ごっごめんなさいっ」


後ろから聞こえた声に視線を向ければ
そこにはほっとした様子の園田


「ま、紛らわしい真似したのは俺だしな。
ちなみに下着だけど、俺の姉貴の未使用品だから安心しろ」


園田に背を向けたまま、おそらくまた顔を真っ赤にして
あたふたしているだろうと想像できて

ふっと笑いながら飲み物を取りに、部屋を出た

⏰:09/06/27 12:41 📱:PC 🆔:6DDDCZg6


#623 [みみ]
>>300-600

⏰:09/06/29 20:52 📱:P905i 🆔:mvV0j6To


#624 [みぉり]
>>みみさん
アンカーありがとうございます

⏰:09/06/29 23:56 📱:N905i 🆔:LcdNULUU


#625 [みぉり]
>>622から


━━−−−………
有希side


ガチャ………バタン。



扉がしまると同時に、一気に力が抜けて



すぐそばにあった、巨大クッションに倒れこんだ




……………ッ恥ずかしすぎるッ

⏰:09/06/30 00:02 📱:N905i 🆔:5n.CYsMw


#626 [みぉり]
女として……本当にダメすぎるなぁ………(涙)




はぁっとため息をはきつつ、クッションに押しつけていた顔をあげると



ちょうど、真っ正面に本棚があった




…………英語?

⏰:09/07/01 02:00 📱:N905i 🆔:pNww4Bz.


#627 [みぉり]
なんとなく、取出しパラパラめくって指が止まった。




……英語の問題とかかなって思ったけど


……………英字の本だ



難しい英文がヅラヅラ書かれた洋書が、本棚の下段にびっちり並んでる

⏰:09/07/01 02:03 📱:N905i 🆔:pNww4Bz.


#628 [みぉり]
・・・・本当に森くんって、頭いいんだ



本棚全体をぐるっと見ても、洋書や漢字がやたら多い背表紙ばかり



「はぁ〜・・・・・さすがは、飛び級」



感嘆しながら見回していたが、
ふと、下段の洋書のすみに背表紙のない本が数冊並んでいることに気づいた

⏰:09/07/01 20:14 📱:PC 🆔:0UX7.Hgw


#629 [みぉり]
「?何の本だろ」


すぅっと引き込まれるように手にとって、ページをめくると


小学生が数人でポーズをとっているもの、川辺で遊んでいるものなど


たくさんの写真が貼られていた

⏰:09/07/02 21:51 📱:PC 🆔:mlWqhtqk


#630 [みぉり]
幼いながらに、今の面影がしっかり見える。



「…………森くん、昔からきれいな顔してるのねぇ(笑)」




パラパラとめくりながら、アルバムの中の写真たちが確実に年を重ねていくのが見て取れる




あ、学ラン

⏰:09/07/03 22:52 📱:N905i 🆔:33DHwNDM


#631 [みぉり]
中学校名の書かれた門の横に


満面の笑みで並ぶ森くんと女の子



ふと、その並びに既視感を覚えた



・・・・?さっきの写真は・・・・あっ、これ



少し戻って、めくってみるとあらゆる写真のほとんどに必ずその女の子がうつっていた

⏰:09/07/05 22:23 📱:PC 🆔:GKNu5AC6


#632 [愛]
>>300-600

⏰:09/07/06 01:57 📱:SO906i 🆔:rduiCTqc


#633 [みぉり]
>>愛さん
アンカーありがとうございます

⏰:09/07/07 08:51 📱:N905i 🆔:nLRxr55g


#634 [みぉり]
>>631から


再び、中学入学式の写真をみる



この中学は、あかりと凪が通ってたトコロと同じ

⏰:09/07/07 14:57 📱:N905i 🆔:nLRxr55g


#635 [みぉり]
並んで写る二人に、ある違いを見つけた


森くんは”祝入学“の花がついた札を胸元につけているのに、女の子の胸元に花がついてない


代わりに腕に腕章をつけている



…………学年が違う?

⏰:09/07/07 17:09 📱:N905i 🆔:nLRxr55g


#636 [(*・ω・*)/~]
失礼します、、、。
>>1-200
>>201-400
>>401-600
>>601-800
>>801-1000

⏰:09/07/07 18:41 📱:SO905i 🆔:xvVMR3pw


#637 [みぉり]
>>(*・ω・*)/~さん☆

アンカーありがとうございます!!

⏰:09/07/07 23:34 📱:PC 🆔:pmM3V4m2


#638 [みぉり]
>>635から


じっとその女の子を見つめた。



髪が短くて、少しぽっちゃりした女の子



思い当たる女の子が一人、頭をよぎる。



この顔はー・・・・・笑顔は、もしかして・・・・・




「楓・・・・ちゃん・・・・?」

⏰:09/07/07 23:38 📱:PC 🆔:pmM3V4m2


#639 [みぉり]
ガチャッ・・・・・


扉の開く音に、はっと振り返る。


「あったかいのでいいか?三内さんがー・・・・」



話ながら部屋に入ってきた森くんは、アルバムを手にしている私をみて、動きを止めた



驚いた表情を浮かべた森くんと一瞬、目が合い、すぐに逸らされた

⏰:09/07/07 23:44 📱:PC 🆔:pmM3V4m2


#640 [みぉり]
スッと、お茶のセットをトレイごとテーブルにおいて、ソファに座った森くん



固まったまま動けない私





数秒の沈黙

⏰:09/07/08 21:55 📱:N905i 🆔:dHZxOh.o


#641 [みぉり]
ソファに座った森くんは、ちょうど私の真後ろで


その表情は見えなくて、余計に動くことができない



・・・・・・・怒られる。そう思った矢先




「・・・・・・・おい」


ビクッ

⏰:09/07/08 23:58 📱:PC 🆔:HH2AzPHg


#642 [みぉり]
低い声に思わず、体が強張った



振り向けずにそのままでいた私に更に低い声が響く





「……………アルバム」

⏰:09/07/09 22:20 📱:N905i 🆔:pkRu6K52


#643 [みぉり]
「はいっ!」



勢い良く振り返り、両手でアルバムを差し出すと



何もいわず無言で受け取る森くん



ページは開いていた入学式のまま

⏰:09/07/10 07:49 📱:N905i 🆔:1JnXsQzM


#644 [みぉり]
じっ、とアルバムを見つめる姿を静かに見ていた




「………こいつだよ」



「え?」



アルバムを閉じて、バサッとソファに投げ出し、つぶやいた声に聞き返す

⏰:09/07/10 21:18 📱:N905i 🆔:1JnXsQzM


#645 [みぉり]
ふぅっと息をはだした森くんと、視線が合った瞬間



「おれの幼なじみ」
「ごめんなさいっ」



勝手にアルバムを見てしまったことを謝らなくてはと、とっさに出た言葉に重なった声

⏰:09/07/10 21:39 📱:N905i 🆔:1JnXsQzM


#646 [みぉり]
「あ・・・えと・・・・勝手にアルバム見てごめんなさい・・・・あの、写真の子って・・・・・」



少し遠くを見ているような、そんな目の森くんにしどろもどろになりつつも話しかける。



「・・・・・お前、楓の知り合いなの?」


やっぱり。
あの子は・・・・楓ちゃんなんだ

⏰:09/07/12 01:09 📱:PC 🆔:px1IlGdI


#647 [みぉり]
「知り合いというか・・・・本当に顔見知り程度なの。話したのなんて1回だけで・・・・」



おずおずと話す私から視線をお茶に移した森くんは



慣れた手つきで、紅茶をカップに注ぐ。



部屋中にふわっと紅茶の香りが漂って、ふっと力が抜けた。

⏰:09/07/12 01:16 📱:PC 🆔:px1IlGdI


#648 [みぉり]
「ふーん。・・・・座ったら?」


その声に促されるように、テーブルのすぐ近くにちょこんと正座しする。



「ん、熱いから気をつけろよ。・・・砂糖はこの中」



トレイの上の可愛らしい小さな容器を私側に寄せて



森くんは、ソファに深く腰掛け直して紅茶を口に運んだ。

⏰:09/07/12 01:21 📱:PC 🆔:px1IlGdI


#649 [みぉり]
「・・・・・あの・・・・楓ちゃんが森くんの幼なじみ?」


カップには手を伸ばせず、じっと森くんを見上げるように聞く



心なしか、心臓がドキドキしているのが自分でもよくわかる



カチャンと、静かにカップを置いた森くんは再び、遠い目で私に視線を向けた

⏰:09/07/12 01:25 📱:PC 🆔:px1IlGdI


#650 [みぉり]
「楓は、生まれた時から・・・・いや、生まれる前からの幼なじみ。」


じっと、黙って森くんを見つめていると、森くんは投げ出したアルバムを開いてゆっくりとページをめくり始めた



「楓の親と、うちの親が仲良くてさ。ずっと家族ぐるみで仲がいいんだ・・・・で、生まれる前からずっと一緒にいたわけ・・・・・俺が中2までは」



声のトーンが少し下がった

⏰:09/07/12 01:46 📱:PC 🆔:px1IlGdI


#651 [みぉり]
「ここからの話は・・・・・あんまいい話じゃねぇけど・・・・聞くか?」



森くんの問いかけに、コクンとしっかり頷く



だって、今までは私の話ばかり聞いてくれていた森くんが



自分の話をしようとしてくれてるんだもん



きちんと聞きたい、そう思ったから

⏰:09/07/12 01:50 📱:PC 🆔:px1IlGdI


#652 [みぉり]
━━――――………
陽臣side


久しぶりに見るアルバム
無邪気に笑う自分と楓がひどく懐かしく感じた



「楓は俺の1つ上、園田と同い年。・・・・・といっても、誕生日が1週間しか違わないってのもあったし、子どもの時は年の違いなんて気にしたことなかった」



話ながらページをめくる
幼少期、小学校・・・・学年を超えた行事が多かったせいか
ほとんどの写真に一緒に写っている

⏰:09/07/12 16:23 📱:PC 🆔:px1IlGdI


#653 [みぉり]
毎日が楽しかった


いつも一緒にいられることが『特別』だなんて気づかなかった



だから



自分の気持ちに気づいたとき



たった1週間の年の差が、悔しくて悔しくて仕方なくなった

⏰:09/07/12 18:38 📱:PC 🆔:px1IlGdI


#654 [みぉり]
「楓が中学に入って、
途端に毎日がつまらないと感じるようになったんだ・・・・
なんでつまらないのかって、その理由が
ずっとわからなくて
毎日もやもやした気持ちだったのを覚えてる」



中学入学式の写真を開き、じっと見つめた


俺が楓を好きなんだと気づいたのは、この日だったー・・・・・

⏰:09/07/12 18:48 📱:PC 🆔:px1IlGdI


#655 [みぉり]
「入学式の日はなんでか、すごく嬉しくてな。
親を急かしながら学校へ向かったんだ。
桜がキレイに咲いていて、立ち止まってその並木道を見上げていたらー・・・・・」



『はる〜〜っ!!!』



並木道の終わりにある中学校の門から、大きく手を振りながら立つ楓が満面の笑顔を向けていた

⏰:09/07/12 18:55 📱:PC 🆔:px1IlGdI


#656 [みぉり]
「・・・・柄にもない言い方だけど、本当に心臓がドキっとすることがあるんだなって思ったよ(笑)・・・・・・そのまま門に向かって駆け出したとき、感じたんだ」


パタンと静かにアルバムを閉じて、すっと本棚の下段に戻す



「あぁ、これから毎日楽しくなるって。楓がいなかったから毎日つまらなかったんだって」


ふぅっと息を吸い込んだ


「楓を好きだと、気づいたんだ」

⏰:09/07/12 19:45 📱:PC 🆔:px1IlGdI


#657 [みぉり]
少しの沈黙


園田に視線を向けると、じっと俺を見つめる姿があった


まっすぐに俺を見据えて、その続きに耳を傾けようとしてくれているのがよくわかる



・・・・・・・誰かに、この話をする日が来るなんて思ってなかったのにな



そんな想いにかられながら、続ける

⏰:09/07/12 20:03 📱:PC 🆔:px1IlGdI


#658 [みぉり]
「・・・・・でも、実際は違った。
中学は学年別の日課が基本だったし、
急に先輩・後輩の壁を持ち出すのが当たり前の雰囲気で・・・・」


苦々しい思い出を辿りながら、話す俺の顔はどんな表情なんだろう


きっといい顔はしてねぇな・・・・



「・・・・・楓が遠くて、傍にいられる奴らがうらやましくて必死に考えた。どうやったら、楓の近くにいられんのかって」

⏰:09/07/12 20:08 📱:PC 🆔:px1IlGdI


#659 [みぉり]
俺があと2日でも早く生まれていたら
同じ空間にいられたのにと、親を恨んだことさえある



「・・・・・・考えて考えて、俺は年の問題をクリアするのに必要なものを身につけようと思ったんだ」


「?」


こどものように首を傾げる園田の頭をぽんぽんと撫でる

⏰:09/07/12 20:39 📱:PC 🆔:px1IlGdI


#660 [みぉり]
「運動も勉強も・・・・・本気でやってみようと、
がむしゃらに取り組んだ。
今まで適当にやっても
そこそこ成績はよかったし、
勉強は好きだったから・・・・・親は驚いていたけど
俺の好きにさせてくれたんだ」


別のアルバムを手に取り、園田に渡す


キョトンとしながらもアルバムを開いた園田の目が丸くなった



「え・・・・これってーっ・・・えぇっ?!」

⏰:09/07/12 20:51 📱:PC 🆔:px1IlGdI


#661 [みぉり]
━━――――………
有希side


手渡されたアルバムを見て、思わず叫んでしまった


だって、これは・・・・尋常なことじゃない



アルバムの中身は全て、新聞記事のスクラップ

それもー・・・・森くんの天才っぷりを伝えるものばかり

⏰:09/07/12 21:00 📱:PC 🆔:px1IlGdI


#662 [みぉり]
”中学1年生にして中3模試、全国トップ”

”陸上選抜、日本を背負う逸材現る”

”全国英語スピーチコンテスト、中学生がまさかの日本一に”


・・・・・などなど。。。



めくってもめくっても、絶え間なく続く森くんの伝説オンパレード



口をぽかんと開けて見ていると、スッとアルバムを森くんが取ってしまった

⏰:09/07/12 21:12 📱:PC 🆔:px1IlGdI


#663 [みぉり]
「あ・・・」

・・・・・まだ見てるのに、と思ったけれど


森くんがさっさとアルバムをしまったのを見て、口をつぐんだ


カップに手を伸ばして、少し冷めてしまった紅茶を口に運ぶ


「・・・・・でも、結局意味なかった」

⏰:09/07/12 21:17 📱:PC 🆔:px1IlGdI


#664 [みぉり]
ひどくトーンの落ちたその声に、ふと視線を向けると


頬杖をついて目を閉じた森くんがいた



「・・・・・・・意味がなかった・・・って・・・?」



聞き返す私に、森くんは目を閉じたまま口を開く



「結局、飛び級扱いで楓と同じ学年になれたわけだけど・・・・・傍にいられるようになっても、何も意味がなかったんだよ」

⏰:09/07/12 22:46 📱:PC 🆔:px1IlGdI


#665 [みぉり]
カチャン・・・・と静かにカップを置いて、その続きを待つ



「同じ学年になったのは・・・・楓が3年ん時。
春から正式に3年のクラスにいたんだけど・・・・
周りは面白がって近寄ってくる奴らばかりだったし、
肝心の楓と同じクラスじゃなくて・・・・
むしろ、あいつは俺とあまり話をしようとはしなくて、
却って遠くなったと思うくらいだった」


「・・・・・そりゃ、いきなり幼なじみが有名人になっちゃったんなら・・・・仕方ないんじゃない・・・?」


きっと、私ならそう思う。
凪が遠くなってしまったら、
今までと同じように、、、なんて戸惑ってしまう


そう思って話すと、森くんは目を閉じたまま首を横に振った。

⏰:09/07/12 22:51 📱:PC 🆔:px1IlGdI


#666 [みぉり]
「いや・・・楓は校外ではいつも通りだったんだ。
校内にいるときは、俺と一緒にいないようにしてたんだよ。」


じゃあ別に遠くになったわけではないと思うんだけど・・・と感じて
口を開いた。


「?それなら、別に遠くなったわけじゃ・・・・」
「校内だからこそ、俺は一緒にいたかったんだよ」


切実につぶやいたその声に、ぐっと黙ってしまった

⏰:09/07/12 23:15 📱:PC 🆔:px1IlGdI


#667 [みぉり]
「・・・・・わけわかんなくてな・・・・どうして校内だとあんなによそよそしいんだろうって考えてたある日、その理由を知った」


「・・・・・聞いてもいいの・・・?その理由・・・・」


聞きたいけれど、なぜだか聞いてはいけないような、
そんな気がして確認の言葉をかけた


「・・・・・楓には好きなやつがいたんだ」

⏰:09/07/13 02:23 📱:PC 🆔:Bqns71es


#668 [みぉり]
「ーーっ・・・・・・」


返す言葉がなくて、黙ってしまった


そんなの・・・・・つらすぎる


「しかも、俺の友だち。
もちろん学年は1つ上だったけど・・・・
妙に馬があって、そいつだけは俺を特別に扱わなかったから結構一緒にいたんだ・・・・。
今、思い返せばそいつと一緒にいるときだけは、楓も一緒に笑ってたんだ。」

⏰:09/07/13 02:27 📱:PC 🆔:Bqns71es


#669 [みぉり]
長いこと閉じていた目を開いた森くんは、遠くを見るような眼差しをしていた


「・・・・好きなやつに誤解されたくなくて、
俺と一緒にいないんだってわかったとき、
俺のやってきたことは意味がなかったんだって思い知った。」


「俺はさ、もっと別のことをするべきだったんだよ。
傍にいるために努力することよりも、
あいつの気持ちをどうにかして自分に向けるための方法を考えるべきだったんだろうと思う」

⏰:09/07/13 02:32 📱:PC 🆔:Bqns71es


#670 [みぉり]
森くんはふっと笑って、再び目を閉じた


「そいつのために容姿を気にして、
ダイエットしたり髪を伸ばしたり・・・・
一生懸命な楓を見てむちゃくちゃにしたいと思ったり、
・・・・・初めてみる”女”の楓を可愛いと思ったり・・・・

あの時期が一番、つらかったかもしれねぇな」


黙って森くんの言葉をひとつひとつ聞いていた


何か言葉をかけるなんて、そんな大それたことができるわけもなくて・・・・

⏰:09/07/13 03:08 📱:PC 🆔:Bqns71es


#671 [みぉり]
「・・・・・自分の気持ちにけりをつけたくて気持ちを伝えようと考えたりもしたけど・・・・
結局、楓と幼なじみの関係を断ち切ることが怖くて
・・・・そのままでいようと決めたのに
あまりに無防備な楓を押し倒してぇ
なんて感情も生まれてきて
わけわかんなくて、自分の気持ちがパンクしかけた」


あぁ・・・・そうか
前に話していたときに言っていた


『あいつを傷つけるくらいなら、いっそ離れてしまえばいいと思ったんだ』


あの言葉の裏には・・・・こんなにたくさんの想いや出来事があったんだ

⏰:09/07/13 03:20 📱:PC 🆔:Bqns71es


#672 [みぉり]
「だから・・・・・全部、やめることにしたんだ
勉強も運動も、人並み程度にしかしないようにしたり
学年を戻してもらったりして・・・・学校での距離をとった

・・・・そのタイミングで、楓に彼氏ができて
家に来ることもどんどん少なくなって・・・・あっという間に離れちまった」



身体を起こして、ケトルのお湯を新しい茶葉を入れたティーポットに注ぐ森くん


「・・・・・で、今の状態に至る・・・・ってわけ」

⏰:09/07/13 03:29 📱:PC 🆔:Bqns71es


#673 [みぉり]
コポコポと音を立てて注がれるお湯をじっと見つめて少しの沈黙



「・・・・・楓は俺が離れたことを、気にする様子はなくて・・・・
会えば話をする程度になっても平気なんだなって思ったとき、
俺は、俺個人として楓と完全に繋がりを切ることを決めたんだ

家族同士が仲良いことは、変えるつもりもなかったし
ただ、俺が自分の気持ちをリセットするために
楓と離れた・・・・・・ま、俺の一方的な想いがあるだけで
実際は楓の態度がそんなに変わったわけでもないけどな」



ふぅっと息をついて、たっぷりと色がにじみ出てきた液体を


ゆっくりとカップに注ぐ

⏰:09/07/14 23:02 📱:PC 🆔:vqebAO7Y


#674 [みぉり]
何も言葉にすることができなくて


ただ、じっと黙っていた


「・・・・・さっきみたいに話したのは正月以来だと思う。そんくらい、あいつがここに来る頻度は減ったし・・・・俺も極力、会わないようにしてるとこがあってな・・・・・」



大きく伸びて、ソファにぼすんと背を預けて目を閉じた森くん

⏰:09/07/15 00:24 📱:PC 🆔:JCcUwlek


#675 [みぉり]
「・・・・・丸2年近くたつってのに・・・・・さっき、会ったことで俺の中にはまだ楓がいるんだって痛感したよ」



つぶやくように、今までよりも小さな声で話すその姿は


切なくて、切なくて、


ぽたりと、借りたズボンに雫が落ちてしまった

⏰:09/07/15 00:27 📱:PC 🆔:JCcUwlek


#676 [みぉり]
「・・・・・・いつになったら・・・・・・俺は・・・・・」



小さな小さな、その声に溢れるものは止まらなくて


気づいた時には立ち上がって、ソファに乗っていた

⏰:09/07/15 00:33 📱:PC 🆔:JCcUwlek


#677 [みぉり]
━━━―――………
陽臣side



ふわり、とせっけんの香りがして

身体にすこしの重みと
とっさに抱き留めたやわらかな感触



「………っ……うっ…ぇ…」




いつか、聞いた泣き声

⏰:09/07/18 12:20 📱:N905i 🆔:LIN1aCiA


#678 [みぉり]
その声は、俺の頭の上から聞こえてきて



目をあけた先の視界は、室内の様子ではなく真っ白になっていた




「…ごめ……っ…ごめんなさいっ……っ…ぅ…」



園田が俺の頭を包むように抱き締めて泣いていた

⏰:09/07/18 12:38 📱:N905i 🆔:LIN1aCiA


#679 [みぉり]
「・・・・・何が?」



微動だにせず、疑問を口にする



”ごめんなさい”の意味が全くわからない



そもそも、なんでこいつが泣いてるんだ??

⏰:09/07/21 01:48 📱:PC 🆔:85Wr0fgo


#680 [みぉり]
「…っく…ずっと…っ…私の話ばかりでッ……ぅッ…」



しゃくりあげながらの言葉の続きを待つ



「森くんのッ…痛みとか…ひっく…何も……考えなくてッ………ぐちばかりで…ッ……甘えてばかりで…ッ………ごめんなさぃ…ッ」

⏰:09/07/23 00:52 📱:N905i 🆔:3zGaP5Tc


#681 [みぉり]
”痛み”?


痛みなんて・・・・・感じたことがあったか・・・・?


ふっと記憶を手繰ってみる



蘇ってくるのは・・・・・苛立ちと、焦り



・・・・・痛みは、ないような気がする

⏰:09/07/24 23:40 📱:PC 🆔:4pLa/0Po


#682 [みぉり]
…………好き…なのに…?



「…―――同じ経験があるからって………甘えすぎ…だったよね……ッ…」


はっ


落ち着いてきた泣き声に、はたと我に返った

⏰:09/07/28 20:42 📱:N905i 🆔:e6tJZDec


#683 [みぉり]
「いやな想いを…っ……させて…ごめんなさぃ……ッ…」



「………………………」


動けなかった
頭のうえから降ってくるその声は

何度もごめんなさい、と繰り返しながら

俺をつよく抱き締めたままで―……

⏰:09/07/29 10:15 📱:N905i 🆔:.5A8u9lA


#684 [みぉり]
━━━―――………
有希side



涙が止まらなかった

本当に申し訳なくて、あんなにつらい気持ちを抱えながらいた森くんに


私は、甘えてばかりで


グチばかりで、彼が一人で乗り越えられなかったことを

⏰:09/07/29 10:18 📱:N905i 🆔:.5A8u9lA


#685 [みぉり]
彼に頼りながら乗り越えよう、なんて………


離れる勇気も
そばにいるためのほほ笑みも



どちらもできる自信がないくせに


そのくせ、都合よく甘えつづけてきた自分が恥ずかしくて

⏰:09/07/29 10:21 📱:N905i 🆔:.5A8u9lA


#686 [みぉり]
気付いたときには

彼を抱き締めて、泣いて謝っていた




「……ッ…うぅ〜……ッ…」




次第に落ち着いてきた私の呼吸音だけが、静かな部屋に響く

⏰:09/07/29 10:26 📱:N905i 🆔:.5A8u9lA


#687 [みぉり]
「・・・・・・・おぃ」



くぐもって聞こえた声に、ふっと腕の力を抜く



「・・・・・はぃ・・・っ・・・」



まだ完全に呼吸が定まらず、しゃくりあげそうになりながらも返事をすると




森くんはすっと私の身体を離すように押し返した

⏰:09/08/02 16:42 📱:PC 🆔:yF8CJHiM


#688 [みぉり]
「なんで、泣いてんの?」


森くんの瞳は、静かにじっと私を見上げる。



「だッ…だって…ッ……私のわがままに付き合わせてたから…」



゛申し訳なくて…゛と、最後は視線を外し消え入るような声になってしまった。

⏰:09/08/09 13:46 📱:N905i 🆔:Qx5FtQ9U


#689 [ぽ]
>>300-500
>>501-700
>>701-900

⏰:09/08/10 00:20 📱:SH02A 🆔:lWl.cn.Q


#690 [みぉり]
>>ぽさん
アンカーありがとうございます

⏰:09/08/10 18:53 📱:N905i 🆔:jOxdGE1o


#691 [ァリス]
>>1-200
>>201-400
>>401-600
>>601-800
>>801-1000

⏰:09/08/11 01:20 📱:F801i 🆔:yF6UKG76


#692 [みぉり]
>>ァリスさん
アンカーありがとうございます更新滞りがちでごめんなさい

⏰:09/08/11 08:18 📱:N905i 🆔:J3PUOm3E


#693 [みぉり]
>>688から

ビシッ


「痛っ〜〜…ッ」



おでこに軽い痛みを感じて、とっさに額に手をおいて顔を上げた



「ばかだな、おまえ」

⏰:09/08/11 09:09 📱:N905i 🆔:J3PUOm3E


#694 [みぉり]
そこにはあきれ顔の森くん


「ばっ!?ばかってな……」
「俺が勝手にやってんだよ」
「………」

私の言葉を打ち消す声に、思わず黙ってしまう


「おまえの気持ち……わかるから」

「………ッ」

「イライラしてむかついて、苦しい自分を……そんな自分が嫌いな気持ちを知ってるから」

⏰:09/08/12 07:56 📱:N905i 🆔:nRK8c5SE


#695 [みぉり]
「…ッ!!」


ずばり私の気持ちを見透かして、さらっと言う



………だけど、そんなの…ッ
まだ自分だって消化し切れていないはずなのにッ
…私の一人よがりな話を聞くなんて……


「……だって…ッ………」
「ん?」

⏰:09/08/12 08:01 📱:N905i 🆔:nRK8c5SE


#696 [みぉり]
「………ッ…つらかった…よね…?…こんな話をダラダラと……苦しかった時を…思い出させていたでしょ…?」



少しの沈黙。



「…………つらくねぇよ、もう」


ぽつりと答えた声は、小さいけれどどこか、やわらかい感じがした

⏰:09/08/12 10:37 📱:N905i 🆔:nRK8c5SE


#697 [みぉり]
「もう、ほとんど落ち着いてる」

再びソファに座りなおし、私を隣に座らせながら話した

…………けど、私の中にあるのは



「……………うそつき」




信じきれない自分

⏰:09/08/15 23:02 📱:N905i 🆔:/9N7.7tw


#698 [みぉり]
「は?」

「…ッ………だって、さっき……いつになったら…って言った」

「ッ……それは………」



私の言葉に今度は森くんが黙ってしまった


ほら……やっぱりそうじゃない……


そんなに…簡単に割り切れるわけ……

⏰:09/08/15 23:18 📱:N905i 🆔:/9N7.7tw


#699 [みぉり]
「うそじゃねぇよ」
「………」



「あいつ……楓と離れて…少しずつ楓が薄れていってるのは事実」

遠い目の横顔をじっと見つめる

⏰:09/08/15 23:30 📱:N905i 🆔:/9N7.7tw


#700 [みぉり]
「……だけど、………どうしたって残る。好きで好きで仕方なかったんだから……完全にはなくならねぇよ」



どこか自分に言い聞かせるような、けれども納得したような………そんな顔に私は




「…………そ、か」



と自然に答えていた

⏰:09/08/16 11:21 📱:N905i 🆔:.Ij2WFbQ


#701 [みぉり]
なんとも言えない沈黙が流れる



………『どうしたって残る』確かにそうかもしれない


私と同じような道を先に通っている彼が言うのだから


いつか、私の中の凪も…………




「おまえと俺は違うけどな」

⏰:09/08/16 13:13 📱:N905i 🆔:.Ij2WFbQ


#702 [みぉり]
「え?」


私と視線を合わさないまま続ける

『薄れていくんだろう』と思っていたのに………違うって……?


「俺はおまえと違って、日常から楓をなくした。いない日常を当たり前にしたから薄れてきたのかもしれない…………だから」


……………そういうこと…


「凪を………日常に残したまま……幼馴染みでいる私は……」



ゆっくり私に向き直る森くんがわかって、私は俯くように視線を落とす

⏰:09/08/16 14:35 📱:N905i 🆔:.Ij2WFbQ


#703 [みぉり]
「………薄れることは…ないかもしれない……のかな……?」


力なくつぶやいた私の頭に、ぽんぽんとぬくもりを感じた


「…………わかんねぇ」


頭に手を乗せたまま、低いトーンの声に顔を上げずにそのままでいると



ぎゅうっ

⏰:09/08/16 14:53 📱:N905i 🆔:.Ij2WFbQ


#704 [みぉり]
「ももも森くん!?///」


突然、変わった視界と体温に慌てて声をあげるが



ぎゅううっ



「〜〜ッ////」


より強く抱き締められて、緊張で心拍数が一気にあがった

⏰:09/08/16 17:58 📱:N905i 🆔:.Ij2WFbQ


#705 [みぉり]
「…………がんばれよ」
「………え…?」


耳元で聞こえる声は続ける


「俺が一緒にいてやるから」


その言葉に視界が、うっすら歪む

「ッ……だって…そんな甘えられないよ」

⏰:09/08/16 18:35 📱:N905i 🆔:.Ij2WFbQ


#706 [みぉり]
「ばぁか……俺が勝手にやってるだけだって言ったろ?」


すっと腕が離れて、見上げた森くんはいたずらっこのような笑顔


うるうると涙が溜まっていた私もつられて笑ってしまった



「……………ありがとう」

⏰:09/08/16 18:53 📱:N905i 🆔:.Ij2WFbQ


#707 [みぉり]
「また泣いてんのかよ」

「なっ泣きません!!」


けたけたと笑いながら、入れたまま飲んでいなかった紅茶を口へ運ぶ森くん見て


私もそれを飲み干した


砂糖を入れていないからか、ちょっと苦いような、ほんのり甘いようなそんな味がしたー・・・・。

⏰:09/08/17 01:39 📱:PC 🆔:2U1ig6GY


#708 [みぉり]
━━━―――……
少し落ち着いて、
さっきまでの重い雰囲気ではなくソファに並んで座ったままゆったりしていると



「………無理に消す必要はないけど、他の世界に目を向けることも大切だと思うぞ」


「へ?」



ふと、森くんが口を開いた



「視野を広げろってことだ」

⏰:09/08/17 22:48 📱:N905i 🆔:FgvliyIg


#709 [みぉり]
プルルルル………
「お、クリーニング終わったか?」



ソファから立ち上がり、内線電話をとる森くんの後ろ姿をじっと見つめる


視野を……広げる………か…

⏰:09/08/18 12:36 📱:N905i 🆔:9HI5uOfY


#710 [みぉり]
確かに、今までの私は


毎日学校と家の往復ばかり


塾に通うわけでなく、バイトをしているわけでもなく



よくよく考えてみれば、なんて狭い世界の中にいるのだろう

⏰:09/08/23 00:31 📱:PC 🆔:89PzgXoI


#711 [みぉり]
「……あぁ……ありがとう……部屋に頼める?…じゃぁ…すぐ」


ガチャン



「おぃ、クリーニング終わったって。すぐに持ってきてくれるから」



その言葉に、着替えを待っていたことを慌てて思い出した

⏰:09/08/23 01:35 📱:N905i 🆔:iKYjFwlo


#712 [みぉり]
「ああっありがとうございますッ!!」


「ん?元はと言えば、俺のせいだし………気にすんな」


ぽんぽんっと私の頭を撫でて笑う森くん


………そういえば、
森くんってよく、頭を撫でるけどくせなのかしら?

⏰:09/08/28 12:23 📱:N905i 🆔:2/u.you6


#713 [みぉり]
そんなどうでもいいことを考えてるうちに『コンコン』と扉をノックする音が聞こえた


ガチャ・・・・


「はい・・・・あ、サンキュ」


「いえ、こちらです・・・・・では失礼いたします。」


バタンッ・・・・


 

⏰:09/09/13 02:22 📱:PC 🆔:rdeG8H1A


#714 [みぉり]
「ほれっ」


バサッ


「うゎゎゎ…ッ」



振り向きざまに投げられた服を慌てて受け取る

⏰:09/09/20 18:03 📱:N905i 🆔:RnhLk7Sc


#715 [みぉり]
それは紛れもなく私の下着



「……〜〜〜〜ッ///」

「わっ…わりぃっ///」


一気にあがる体温と、森くんの真っ赤な顔に



「ばかー――――――っ///」


と、叫びすぐそばにあったクッションを思いっきり森くんに投げ付けた

⏰:09/09/23 17:07 📱:N905i 🆔:spxe/CYY


#716 [みぉり]
「っと……あ、ありがとうござ……ッ………」 

「どういた……しまし……」



ぺこりと頭を下げた先に見えたものに思わず私も、森くんも動きがとまった。



ちょうど、二人の間に落ちている薄いグリーンのもの

⏰:09/09/23 17:07 📱:N905i 🆔:spxe/CYY


#717 [みぉり]
【訂正】
すみません!!
715と716が逆です
読みにくくしてしまい申し訳ありません。



みぉり

⏰:09/09/23 17:09 📱:N905i 🆔:spxe/CYY


#718 [みぉり]
「っと……あ、ありがとうござ……ッ………」 

「どういた……しまし……」



ぺこりと頭を下げた先に見えたものに思わず私も、森くんも動きがとまった。



ちょうど、二人の間に落ちている薄いグリーンのもの

⏰:09/10/04 23:28 📱:PC 🆔:jTDftYgs


#719 [みぉり]
それは紛れもなく私の下着



「……〜〜〜〜ッ///」

「わっ…わりぃっ///」


一気にあがる体温と、森くんの真っ赤な顔に



「ばかー――――――っ///」


と、叫びすぐそばにあったクッションを思いっきり森くんに投げ付けた

⏰:09/10/04 23:28 📱:PC 🆔:jTDftYgs


#720 [みぉり]
━━━―――……
ガチャ・・・・ぼふっ


「・・・・・疲れた」



自室に戻って、ベットに倒れこむ


枕元の時計が示すのは20時すぎ


ちらり、と放り出したカバンを見る

・・・・借りた衣類はきちんと私が洗濯するからっと


無理やり森くんから奪い取って、入れた服でパンパンなそれ

⏰:09/10/04 23:33 📱:PC 🆔:jTDftYgs


#721 [みぉり]
「・・・・何してんだか」


家まで送ると言ってくれた森くんの言葉を押しのけ

ちょっぴり肌寒い道を、てくてく歩いてみたらなんと30分近くもかかってしまって


こんなに遠かったのか・・・と後悔しながら帰宅して今に至る


「着替えよ」



のろのろと、部屋着に着替えて一息つく

⏰:09/10/04 23:37 📱:PC 🆔:jTDftYgs


#722 [みぉり]
再び、ごろんと仰向けにベットに寝転がって一日を振り返る


・・・・・・森くんは、いつだって私を励ましてくれて


口は悪いけど、でも、いつも私の気持ちを見透かしていて


・・・・・・よく考えれば、それは、同じように・・・


むしろ、私よりもつらい経験があるからこそ、分かること


甘えてばかりで、ぐずぐずと、立ち止まっている私とは違う

⏰:09/10/04 23:41 📱:PC 🆔:jTDftYgs


#723 [みぉり]
・・・・自分にけじめをつけて、決断して、森くんの今がある


楓ちゃんとは・・・・距離があるけど、それでも


それを承知で、苦しい覚悟で今を選んでるー・・・・




「私って・・・・本当に中途半端。。。」

⏰:09/10/04 23:43 📱:PC 🆔:jTDftYgs


#724 [みぉり]
何度目かわからないため息をつく


甘えたっていいと、森くんは言ってくれた


視野を広くもつことも大切だとも………



「視野を広く……か…」


ふ、とパソコンを立ち上げて求人サイトをにアクセスする

⏰:09/10/06 17:23 📱:N905i 🆔:Rg9CNrpU


#725 [みぉり]
「コンビニ・・・・飲食・・・・へぇ・・・電話番なんてあるんだ」


カチカチッとパソコンを操作しながら

次々に募集要項をチェックする


色んな職種があるけど・・・・・でも、高校生ができる仕事なんて限られてる



「18歳以上・・・・またかぁ〜・・・」

⏰:09/10/08 21:33 📱:PC 🆔:BV9enb/g


#726 [みぉり]
「コンビニ……780円か…ぅうん………」


あくまで、視野を広げるって意味でバイトを探しているとはいえ



できれば給料が高いほうがいい、という願望も捨て切れず


カチカチ……


「あっ……これ……」

ひたすら画面を操作していて、目についた広告

⏰:09/10/10 11:04 📱:N905i 🆔:FU6ZODxg


#727 [みぉり]
『高校生可 時給:950円〜
 仕事内容:受付、事務処理』


これは…なかなか手頃な仕事かも

「なになに……」



詳しく見ると、それはとある塾の受付兼事務処理の仕事らしく

データ入力や館内案内が主な仕事らしい

⏰:09/10/11 14:32 📱:N905i 🆔:Tq/xRW9Q


#728 [みぉり]
「へぇ・・・・これなら私でもできそう♪」


早速、申し込み画面に進みメアドを登録してデータを送信



カタカタ・・・・カタ・・・カチッ


「あとは面接とか?とにかく連絡を待つわけね」

⏰:09/10/21 23:28 📱:PC 🆔:Gb6NXVoA


#729 [みぉり]
パソコンの電源を落とし、決まってもいないまだ見ぬバイトへの期待にわくわくしながら


怒涛のように過ぎた一日の疲れをとるためにすぐに眠りへ落ちていったー・・・・・




━━━―――……
数日後


「・・・・・なんで住所をちゃんと確認しなかったんだろ」


大きなオフィスビルを見上げて、思わずため息がでた


あの塾の仕事は特に面接もなく、電話のやりとりだけであっさりと合格

⏰:09/10/21 23:55 📱:PC 🆔:Gb6NXVoA


#730 [みぉり]
この場所、家からそんなに遠くもないし
自転車で十分に通える距離なのだけれど・・・・・



「はぁ・・・・」



再びため息をついて、道路を挟んで向かいの建物に視線をうつす


そこに見えるのはお洒落なバー・・・・


「・・・・・よりによって、凪のバイト先の向かいって・・・」

⏰:09/10/21 23:58 📱:PC 🆔:Gb6NXVoA


#731 [みぉり]
肩を落としつつも視線を戻し、ゆっくりとオフィスビルの扉を押しあけたー・・・・。





━━━―――……
「ゆうちゃん!!この書類コピー30部頼める?」


「はぁい!」


受付のすぐ後ろにあるコピー機を操作しつつ、ふぅっと息をつく。

⏰:09/11/14 16:02 📱:PC 🆔:bgWvNAX2


#732 [みぉり]
カシャンカシャンと、勢いよく紙を吐き出すコピー機の前にいると


隣に張っているカレンダーが視界に入った




「・・・・・今日で1週間かぁ〜」



「あっちゅーまっしょ?」


後ろから聞こえた声に振り返ると、数人のバイト仲間が立っていた

⏰:09/11/14 16:17 📱:PC 🆔:bgWvNAX2


#733 [みぉり]
「けいちゃん!」


”けいちゃん”は私に『はい、これ』とコンビニ袋を差出してにっこり笑う



「ゆうちゃんがバイトきて、もう1週間なんてねぇ〜早すぎるわ」とけいちゃん。


「最初は受講生かと思ったもんな」となおさん。


「そうそう!超びびったよね、受付できんの?!みたいな(笑)」とりかさん。

⏰:09/11/14 16:38 📱:PC 🆔:bgWvNAX2


#734 [みぉり]
「うぅ・・・・いや、確かに・・・・できるかめちゃ不安になりましたもん」


私がコンビニ袋に入ってたポッキーの袋をあけながら答えると


3人はポッキーに手を伸ばして笑う。


けいちゃん、なおさん、りかさんは大学生で
この塾で講師のバイトをしている。つまりは先生。

⏰:09/11/14 16:43 📱:PC 🆔:bgWvNAX2


#735 [みぉり]
しっかりもののけいちゃん、子どもっぽいりかさん、まとめ役のなおさん


この1週間で感じた3人の印象はこんな感じで・・・・


「あ、そろそろ授業始まるわ!りか!なお!急がなきゃ」


「えー・・・・もうちょいポッキー食べたい」


再びポッキーに伸ばそうとした手を掴まれ、りかさんをひっぱりながら「またね」と手を振って去っていくけいちゃん

⏰:09/11/14 16:55 📱:PC 🆔:bgWvNAX2


#736 [みぉり]
「おーい、俺をおいてくなよ」


ふっと困り顔で二人を見て、ため息をついたなおさんの手がぽんと私の頭を撫でる



「じゃ、またな。気をつけて帰れよ」


「はい。頑張ってね、先生」



ヒラヒラと手を振って教室に向かうなおさんたちを見送り、
とっくに終わっていた30部の書類を揃えて、塾を出る

⏰:09/11/14 17:07 📱:PC 🆔:bgWvNAX2


#737 [みぉり]
この1週間、私は毎日この塾でせっせとバイトをしていた。



初めてのバイトで緊張していたけれど、扉を入ってすぐにけいちゃん達が声をかけてくれてー・・・・・


『はじめて見る顔ね・・・・申し込みにきたの?』


『へ?あっいや・・・受付のバイトで今日からお世話になります!!園田有希と申しますっ!よろしくお願いしますー・・・・・』



・・・・・と、いう感じバイトが始まった。

夕方から22時までのバイト中、けいちゃん達も毎日バイトで・・・

ちょこちょこ声をかけてもらえて、本当にありがたいこと限りない

⏰:09/11/14 17:31 📱:PC 🆔:bgWvNAX2


#738 [みぉり]
両手をぐーっと伸ばして肩をまわして息を吐き出す



「・・・・・・帰ろっと」


くるり、と駐輪場に向かうためにみながらも



ちらっと凪のバイト先を見てしまう。



ガラス越しに店内の様子も見えて・・・・中に凪がいることを確認しつつ

⏰:09/12/01 21:43 📱:PC 🆔:1h9DhuWc


#739 [みぉり]
塾でバイトしていることを見つからないように


そそくさと、自転車に乗って帰路につく。


・・・・・・凪とは話をするのは、とても少なくなった


というより・・・・・私が、凪との時間を持たないようにしている



『いつまでも一緒』にいると、気持ちが整理できないかもしれない

⏰:09/12/01 21:45 📱:PC 🆔:1h9DhuWc


#740 [みぉり]
凪への気持ちをなくしたいわけじゃない



だけど、森くんの話を聞いて、自然に気持ちが薄れていく日が来ないんじゃないかって不安になったから



幼なじみでいたいと願った自分の気持ちと


凪を好きな自分の気持ちの両方をとることは


あまりにも都合がよすぎて・・・・・

⏰:09/12/01 21:51 📱:PC 🆔:1h9DhuWc


#741 [みぉり]
視野を広くすると決めたこの機会に



ほんの少しだけ、凪への気持ちと距離を置くことにした


━━━―――……
「ただいまー」



トントントン・・・・ガチャ、バタンッ


ドサッとカバンを机に置いて、ポケットから携帯を取り出す。

⏰:09/12/01 21:56 📱:PC 🆔:1h9DhuWc


#742 [みぉり]
ピッ・・・ピッ・・・・


新着メールあり、の表示を操作して思わず手が止まった



新着メール:森 陽臣



「・・・・・森くん」



ピピッ・・・・・ピッ・・・

⏰:09/12/01 21:58 📱:PC 🆔:1h9DhuWc


#743 [みぉり]
【最近、屋上で会わないけど元気?】


「・・・・・」



森くんに、バイトを始める報告をして以来、屋上には行っていない


・・・・・あの日、森くんの話を聞いてから自分が恥ずかしくなったから


森くんは気にしなくていいといってくれたけれど・・・・なんて中途半端で都合がいいことしか考えてないんだと

⏰:09/12/01 22:02 📱:PC 🆔:1h9DhuWc


#744 [みぉり]
自分で自分が情けなくて、会いにくいと自分自身で思ってしまったから




ピッピッ・・・・ピッ・・・


【メールありがとう。元気だよ〜!バイトも楽しいのと忙しいのとで放課後もすぐ帰っちゃってるんだ。連絡しなくてごめんね】



できるだけ当たり障りのないように・・・・普通の感じで・・・とメールを返した

⏰:09/12/01 22:04 📱:PC 🆔:1h9DhuWc


#745 []
気になります

⏰:10/02/04 09:24 📱:SH01B 🆔:HGI75EHE


#746 [みぉり]
長らく放置ですみませんでした

>>さん
ありがとうございます

⏰:10/02/12 18:55 📱:N905i 🆔:cQu7MZqQ


#747 [みぉり]
>>744から

トサッ……と、ベットに携帯を置く。



この一週間を振り返って、気付いたこと。




私は、本当に森くんに救われてばかりだったということ




…………まだ、会えないなぁ

⏰:10/02/12 19:00 📱:N905i 🆔:cQu7MZqQ


#748 [みぉり]
もう少し、自分の覚悟を貫けるようになって




凪への見方が少しかわって




そうしたら、会う気持ちにつながると思うから





今はまだ、このまま頑張ってみよう

⏰:10/02/20 10:20 📱:N905i 🆔:Ay0MMAXk


#749 [みぉり]
━━――……
陽臣side



ピッ………


久々に届いた、園田からのメールを読んで画面を閉じる



―――………やっぱりまずかったな




繰り返し考えるのは、先日の出来事




あの話を園田にしたのは、やっぱりよくなかったのかもしれない

⏰:10/03/07 16:45 📱:N905i 🆔:hsR3zGkc


#750 [みぉり]
俺と同じ立場だからと……話したけれど



俺と園田は違う



付き合いは短いが、自分を追い込みやすい性格にも見えた

⏰:10/03/12 14:23 📱:N905i 🆔:lvA2vWjg


#751 [みぉり]
そのことが引っ掛かって仕方がない


手帳に挟んだ時間割りを取り出して


明日の教科を確認する


………選択は…2時間目か

⏰:10/03/12 14:26 📱:N905i 🆔:lvA2vWjg


#752 [みぉり]
たまたま、古典のじいさんの都合でこの数日は授業がなかった


あれ以来、会っていない園田の顔を見るにはいいタイミングだな―――………

⏰:10/03/12 14:40 📱:N905i 🆔:lvA2vWjg


#753 [みぉり]
見やすくするのに立てます
☆アンカー☆
>>1-100
>>101-200
>>201-300
>>301-400
>>401-500
>>501-600
>>601-700
>>701-800

⏰:10/03/12 14:49 📱:N905i 🆔:lvA2vWjg


#754 [我輩は匿名である]
━━━―――……
翌日
キンコーンカンコーン・・・・


「・・・・−で、ここの係り結びになるのはー・・・」



現在、古典の授業中
遅れを取り戻すためか、じいさんが口早に進めていく


それに付いていこうと、カリカリとノートに書き込む音が響いている中


俺は一人、ペンを握ることもなくじっとある後姿を見ていた

⏰:10/03/14 12:47 📱:PC 🆔:AdczLphM


#755 [みぉり]
「・・・・・・・・あからさまだろ」



ボソっと呟いてため息をつく


俺の視線の先の人物は、黒板のまん前で必死にノートを書いている


つい、この前までは俺の真後ろに座っていたはずなのにー・・・・


「すると・・・ココはどうなるかね?・・・君、・・・ええと」

「はい。園田です。そこは『今は昔』ですから『今となっては昔のことだが』となります。」

⏰:10/03/14 12:54 📱:PC 🆔:AdczLphM


#756 [みぉり]
「よろしい。ではー・・・」


ストンと椅子に座り、再び、ノートを書き出す園田の姿に


俺は大きくため息をついたー・・・・。

⏰:10/03/14 13:30 📱:PC 🆔:AdczLphM


#757 [みぉり]
確かに、あの話をしたのはまずかったかなとは思った


気にするんなと言ったが、あいつの性格上追い詰めるかも・・・とも後悔したさ



でも・・・・避け方が露骨すぎるだろぉ園田・・・・。



イライラもやもやする気持ちをそのままに、


机に突っ伏して、意識を手放すことにしたー・・・・。

⏰:10/03/14 13:33 📱:PC 🆔:AdczLphM


#758 [みぉり]
「――……ん…森くんッ」


「ぁ…?……どこ…?」


ふいに戻された現実に、はっきりしない頭のまま呟くと


「んっもう!!やっと起きた〜……」


あきれ顔でため息をつく園田が映り、そこでやっと目が覚めた

⏰:10/03/14 19:01 📱:N905i 🆔:snuQh3bs


#759 [みぉり]
――ガタガタガタッ
「なっ……ッ園田ッ」


思わず、身体を飛び上がらせた俺を見て笑う



「驚きすぎっ笑………も、授業おわったよ?休み時間もおわるし―……あのコに席返してあげて?」

言いながら、自身の後ろにチョコンと立ってる女子を指差す

⏰:10/03/15 00:01 📱:N905i 🆔:eXWAU22E


#760 [みぉり]
「あ・・・わりぃ・・・」


慌てて、ノートやら教科書やらをまとめだすと同時に


園田がすっと扉に向かって歩き出す。



「あっ!おいっ・・・・っ」


慌てて後ろから声をかけるも、園田は振り向くことなく足早に教室を出て行ってしまった。

⏰:10/03/15 00:16 📱:PC 🆔:38EE/k9o


#761 [みぉり]
んだよっ・・・そこまで避けんなよ・・・っ


イラっと気持ちがこみ上げて、ぐっと握った分厚い教科書がやや変形しているのを感じつつ扉を見つめているとー・・・・


「・・・・あのぉ〜・・・・」


手を止めた俺に申し訳なさそうに切り出す声に我に返る。


はっと視線を移せば、困り顔で俺をチラチラ見る女子


・・・・・とりあえず、教室戻らないと・・・だな

⏰:10/03/15 00:21 📱:PC 🆔:38EE/k9o


#762 [みぉり]
「あぁ、すみませんでした。ありがとうございました」


いかんせん、相手は上級生だ(いくら飛び級とはいえ)


俺はニコリと笑って、丁重に挨拶をすると教室を後にしたー・・・・

⏰:10/03/15 00:24 📱:PC 🆔:38EE/k9o


#763 [みぉり]
━━━―――……
有希side



うぅ〜・・・・気まずくしちゃった・・・よね


教室を後にしながら、次の移動先の音楽室へと廊下を歩く


森くんの顔をまともに見れなくって・・・結果、避けてますってアピールするような態度を取ってしまった


「はぁ・・・・ばかだ私って」

⏰:10/03/15 00:32 📱:PC 🆔:38EE/k9o


#764 [みぉり]
ため息をつきながら、10組の前を歩いていると


「あれ?有希?」


びくっ


後ろから耳馴染みの声に呼ばれて足が止まった



「・・・・・凪」



ゆっくりと振り返った先には、大好きな笑顔で手を振る凪がいた

⏰:10/03/15 00:40 📱:PC 🆔:38EE/k9o


#765 [みぉり]
「・・・・次、移動か?」


「ん・・・音楽で・・・・」


「そか・・・」

「・・・・・」



それ以上は生まれない会話に沈黙が流れる。

どちらとも、次の言葉を紡がない。


「・・・じゃね」

「あぁ・・・」

⏰:10/03/15 00:45 📱:PC 🆔:38EE/k9o


#766 [みぉり]
少し困ったような笑顔で手を振る凪に


私もニコリと笑顔を浮かべて、前を向いて歩き出す。



「「ーーー・・・・はぁ、何してんだろ」」



お互いに同じ科白を呟いてるなんて、思いもせずにー・・・・

⏰:10/03/15 00:48 📱:PC 🆔:38EE/k9o


#767 [みぉり]
━━━―――……
凪side


有希の後ろ姿が廊下を曲がり、見えなくなったところで廊下の壁にもたれた。



「・・・ばかじゃねぇの」



有希が俺を避けている。
この数日の有希の態度が、間違いなくそれを示してる。


それは俺にとっても、都合がいいことのはずなのにー・・・・

⏰:10/03/15 00:54 📱:PC 🆔:38EE/k9o


#768 [みぉり]
姿を見つけるたびに声を掛けてしまう自分がいる。


俺が名前を呼ぶたびに、緊張で肩を大きく揺らして


『どうしよう』と訴える瞳でこちらを向くことが分かっているのに


俺から話しかけなければ簡単に消えてしまいそうなつながりを
必死に繋ぎとめようとしている。


有希が・・・・きっと、自分と俺を想ってその態度を取っていることもわかってるのに

なんて、俺は臆病者なんだろう

⏰:10/03/15 01:06 📱:PC 🆔:38EE/k9o


#769 [みぉり]
「・・・・凪?どしたの?」


はっと声の先を見ると、高く結った髪を傾げて楓が立っていた。


「・・・や、なんでもないよ」


「さっきの・・・えと、有希?ちゃん??」

眉間にシワを寄せて、『そうだそうだ』と一人で答えに納得している楓の言葉に驚いた


「そうだけど・・・楓って面識あったっけ?」


「ん?あかりとよく一緒にいるとこ見てたし、前にちょっと話したことあるのよ」

⏰:10/03/15 03:05 📱:PC 🆔:38EE/k9o


#770 [みぉり]
ケロッと話す楓に『へぇ』と相槌を打つと、丁度、3時間目を告げるチャイムが鳴った


そのまま『じゃあ・・・』と10組の教室に戻る俺に、11組へと向かう楓の独り言が聞こえる



「ん〜、この間ハルの家にいた子だよね。。。ハルと付き合ってるのかなやっぱり」


ぴたっ


「・・・・・・・は?」

⏰:10/03/15 03:09 📱:PC 🆔:38EE/k9o


#771 [みぉり]
思わず足を止めて楓の方を振り返ったが、楓は既に教室に戻りピシャンと扉のしまる音とチャイムが鳴り響く




『ハルと付き合ってるのかな』




俺の頭の中には、さっきの楓の言葉が繰り返し流れて、

数学の瀬戸に声を掛けられるまで、その場から動けずにいたー・・・。

⏰:10/03/15 03:13 📱:PC 🆔:38EE/k9o


#772 [みぉり]
━━━―――……
陽臣side
・・・・・キンコンカンコーン


「っだぁ〜ッ・・・・俺はどうすりゃいいんだよッ」


放課後、今日一日で溜まった苛立ちを解消するために屋上へと足を運び、


思いっきり空に向かって叫んだ



・・・・・結局、あの後園田と顔を合わせることもなく(選択以外は別教科なので)一日が過ぎた


会ってどうにかなるものではないかもしれないが


あんなに露骨に避けられたら、文句の一つも言いたくなる

⏰:10/03/15 03:23 📱:PC 🆔:38EE/k9o


#773 [みぉり]
そりゃ、俺が余計なことを話したせいで・・・・


そうなったこともわかってる。わかってはいるが・・・・



なんでか、ムカムカとして落ち着かない。


ガッシャン・・・・思わず、すぐ近くのフェンスを蹴り上げ、ふと下を見下ろす

⏰:10/03/15 03:26 📱:PC 🆔:38EE/k9o


#774 [みぉり]
「・・・・・園田」



見下ろした先は、駐輪場


赤い自転車を押しながら、正門へと向かう園田の姿があった。


その後姿を思わず、目で追う。



ー・・・・あいつ、どこの塾でバイトしてんだ?

⏰:10/03/15 03:29 📱:PC 🆔:38EE/k9o


#775 [みぉり]
そんな疑問が降って沸いた。


俺が視野を広くしたらどうか、と提案したのがきっかけで園田はバイトを始めた。


それは本人にとって、つらいことになってはいないだろうか?


楽しいと言っていたけれど、本当だろうか?


『凪』から距離をとるために、俺に頼らないためにとった行動に違いない。


それなら余計に、無理をしていないだろうか?

⏰:10/03/15 03:33 📱:PC 🆔:38EE/k9o


#776 [みぉり]
そんなことが気になって、居ても立ってもいられなくなった俺は


そのまま園田の後を追ったー・・・・。


━━━―――……


「ここかよ・・・・」



園田の赤い自転車を確認し、改めてそのビルと周りを見回す

⏰:10/03/15 03:35 📱:PC 🆔:38EE/k9o


#777 [我輩は匿名である]
777 777 777
777 777 777
777 777 777

⏰:10/03/15 04:28 📱:SH904i 🆔:Hyd/Sg5U


#778 []
<<168ー200
<<201ー300
<<301ー400
<<401ー500
<<501ー600
<<601ー700
<<701ー800
<<801ー900
<<901ー1000
>>168ー200
>>201ー300
>>301ー400
>>401ー500
>>501ー600
>>601ー700
>>701ー800
>>801ー900
>>901ー1000

⏰:10/03/15 05:50 📱:P08A3 🆔:/DZafVrI


#779 [みぉり]
>>さん
ありがとうございます

⏰:10/03/15 19:39 📱:N905i 🆔:eXWAU22E


#780 [みぉり]
>>776から


夕方の今、特に人がいるわけでもなく


閑散としたこの路地の一角



しかし、夜も7時を回りだすとこの辺りは趣きを変え、夜の町の一旦を担う

⏰:10/03/15 19:44 📱:N905i 🆔:eXWAU22E


#781 [みぉり]
………こんな場所でバイトしてんのか


思わず、ため息が出る。

―…ってか、俺はここまで来てどうすんだよ

結局、塾の中にいる園田の様子なんで掴めるわけがない

⏰:10/03/15 19:58 📱:N905i 🆔:eXWAU22E


#782 [みぉり]
…………どーすっかな



ちらりと、視線を落とした先の、手元の時計が示す時間は17時すぎ

塾の隣には、マクドナルド


……………ちょうど、小腹も空いたことだし


そのままマックへと、足を向けることにした―……。

⏰:10/03/16 20:07 📱:N905i 🆔:BVxPAIyI


#783 [みぉり]
━━━―――……
有希side

塾のバイトは、まずは職員専用の制服に着替えることから始まる。


着替えたら、受付について今日の授業を確認する。


先生によっては、毎回資料の印刷を頼んでくる人もいたりするので印刷機とか用紙の残部をチェック


18時から開講なので、それまでの時間がばったばた動き回って・・・・・・

⏰:10/03/17 03:16 📱:PC 🆔:3Ve/zHtc


#784 [みぉり]
「うぅ〜ん・・・・後は政経と物理か・・・・」


現在、19:08。
18時からの1講義目が終わったら、今日は2講義目でおしまいの日。


そろそろ、講義終わりでけいちゃんたちが、受付に顔を出してくれる頃

⏰:10/03/17 03:21 📱:PC 🆔:3Ve/zHtc


#785 [☆]
>>1-100
>>101-200
>>201-300
>>301-400
>>401-500
>>501-600
>>601-700
>>701-800
>>801-900
>>901-1000

⏰:10/03/17 09:28 📱:N905imyu 🆔:Bws6GZds


#786 [みぉり]
>>☆さん
アンカーありがとうございます(^^)

⏰:10/03/19 01:14 📱:PC 🆔:6pRh0USQ


#787 [みぉり]
>>784から
そんなことを思いながら、印刷した物理の資料をまとめて


配布物の棚へ並べてから事務室に戻ると


見たことのある後姿が、目に留まった。




思わず、足が止まった

⏰:10/03/19 01:17 📱:PC 🆔:6pRh0USQ


#788 [みぉり]
・・・・・え、・・・・な・・・んで?


事務室の扉を開けた正面の一角は、受付


その受付から見えたその姿は、間違いなく・・・・



高く結った髪、うちの学校の制服



「あの、語学クラスの椎名ですがー・・・・」

⏰:10/03/19 01:20 📱:PC 🆔:6pRh0USQ


#789 [みぉり]
振り向いて、窓口のぞく、くるんと大きな瞳


「あっ・・・・えと、有希ちゃん?」


間違いなく



「あ、はい・・・・どうも・・・」



楓ちゃんだ

⏰:10/03/20 10:43 📱:PC 🆔:4r6Pvan2


#790 [みぉり]
「ここでバイトしてるんだ〜!あ、私ね、ここの語学クラスで受講してるの。これからお世話になることもあるかと思うし、よろしくね」



「そうなんだ・・・こちらこそ・・・あ、何か聞きたいことがあったみたいだけど・・・?」



ニコニコ可愛い笑顔で、私に声をかけてくれる楓ちゃんを


直視できなくて、すぐに視線を下げて、話題を変えてしまった。

⏰:10/03/21 15:54 📱:PC 🆔:qFSnihsM


#791 [にゃーン星]
月に5000円稼いでるぢぇイ
tmse.jp/..
        

⏰:10/03/21 19:32 📱:W61SH 🆔:9Z1nhY3w


#792 [みぉり]
「あ、そうそう……」



楓ちゃんの話を聞いて、書類を出して手渡し去っていく後ろ姿にほっとため息をつく



「なんだ?ため息ついて」



ばっ


「なおさんっ!!」

⏰:10/03/21 23:34 📱:N905i 🆔:e7Gde336


#793 [みぉり]
すぐ後ろに、ペットボトルを片手に授業終わりのなおさんが立っていた。



「?今の―…知り合いか?」



「ん、同じ高校の」



ふぅん、と興味もそこそこに次の時間に使う資料を印刷しにいくなおさん

⏰:10/03/21 23:43 📱:N905i 🆔:e7Gde336


#794 [みぉり]
ほっと胸を撫で下ろし、時間を確認していると


パタパタと駆け寄る足音が聞こえてきた。


「なお〜っ!私のっ、これっ・・この資料印刷よろしく〜!!あ、特進クラスのデスクに置いといて〜っ!!」



長い髪を振り乱して、事務室に駆け込んできたのはりかさん。


「・・・・お前ね、講師が遅刻ギリギリってのはどうなのよ?」

⏰:10/03/23 23:11 📱:PC 🆔:jePp4ADI


#795 [みぉり]
「わかってるわよ!仕方ないじゃん!課題の研究で残され・・・っあぁ〜!!そんなこと話してる場合じゃないっ!!とにかく!頼んだよ!!」


壁掛け時計を確認して、なおさんに資料を手渡し(いや、押し付け?)靴を履き替えるりかさん



「・・・・はぁ〜。ったく、特進な?置いといてやるよ」

「頼んだっ!!」


呆れ顔のなおさんを横目に、事務室に併設されている講師の控え室に飛び込んだりかさんが出てきたのは授業開始の2分前

⏰:10/03/23 23:17 📱:PC 🆔:jePp4ADI


#796 [みぉり]
「じゃねっ!ゆうちゃんも頑張って〜!!」


「うん、いってらっしゃい。りか先生」



手を振って、走ってゆくりかさんを見送り、残りの仕事を終わらせるために頭を切り替えることにしたー・・・・・。


━━━―――……
『本日の講義は以上です。閉館は23時となります。また自習室の開放はー・・・・・』



授業終了後のアナウンスも立派なお仕事

⏰:10/03/23 23:27 📱:PC 🆔:jePp4ADI


#797 [みぉり]
アナウンスの後に、受講生の退室と自習室のIDをチェックして


残りは、警備員さんに託してあとは帰るだけ。


「ふぅ・・・。おしまい〜」

窓口を施錠して、受付終了の札を出してから思いっきり伸びをする。


・・・・我ながら、たった1週間でよくぞここまで出来るようになったもんだわ


自分をほめながら見た壁掛け時計が示すのは21:20。
夕飯は何かな〜なんて考えながら、更衣室へと向かった。

⏰:10/03/23 23:34 📱:PC 🆔:jePp4ADI


#798 [みぉり]
━━━―――……
陽臣side

「お客様、コーヒーをお注ぎしますか?」

「あ、すいません。」


にこり、と笑ってカップに淹れたてのコーヒーを注いで


去っていく店員にばれないように、ため息をつく。

・・・・何度目だ、このやりとり


店員さえ変われど、このやりとりを3回以上はしている気がする。

⏰:10/03/23 23:41 📱:PC 🆔:jePp4ADI


#799 [みぉり]
小腹が空いて、入店したこの店にかれこれ、4時間は滞在している。


始めは、のんびり窓の外を見たりしていたのだが・・・・



19時を回りだした頃から、徐々に変化していくこの一角を


ただただじっと見つめて、隣の塾の戸口に意識を向けて過ごしていた。

⏰:10/03/23 23:44 📱:PC 🆔:jePp4ADI


#800 [みぉり]
現在、22:08


・・・・・遅い。もう高校生が働いていい時間は超えてんぞッ


イライラしながら見る正面には、これまた夜の店ならではのしっとりムードなバーがあったり


そのまた、2つ隣のビルにはキャバクラやらなんやらの看板がピンクに点灯しているのが目に入る

⏰:10/03/23 23:49 📱:PC 🆔:jePp4ADI


#801 [みぉり]
「はぁ・・・・・あ、またかよ。」


こうやって、外を見てはため息をつくのも何度目か


それもこれも、園田がこんな場所でバイトをしているのが原因


・・・・いや、そのバイトをするきっかけは、俺の一言が原因なんだけど・・・・・



・・・・だが、それにしたってこの一角はちょっと、

⏰:10/03/23 23:52 📱:PC 🆔:jePp4ADI


#802 [みぉり]
・・・−って、俺がそんなことまで気にするのも変か?


いやいや、そもそも俺の発言が原因なわけだし・・・



そんなことをブツブツ考えていると、隣の塾の扉に人影が写り、


俺はすぐにそちらに意識を向けたー・・・・。

⏰:10/03/23 23:54 📱:PC 🆔:jePp4ADI


#803 [みぉり]
「あ・・・・」


扉から出てきたのは、うちの学校の制服の女子


遠目で見ても、一瞬で誰だかわかった



・・・・・楓



ヘッドフォンをして、携帯を触りながらスタスタと歩いていく


思わず、立ち上がった。

⏰:10/03/25 22:59 📱:PC 🆔:Oh/L3los


#804 [みぉり]
【感想板】
http//bbs1.ryne.jp/r.php/novel/3579/

感想や意見をいただけたら幸いですm(__)m



みぉり。

⏰:10/03/25 23:02 📱:PC 🆔:Oh/L3los


#805 [みぉり]
【感想板】
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/3579/

⏰:10/03/25 23:02 📱:PC 🆔:Oh/L3los


#806 [みぉり]
>>803から

こんな時間にッ…歩いて帰る気かよッ



傍らに置いていたカバンを掴み

店を出ようとして、足が止まった


今度は、扉から園田が出てきたのだ。

⏰:10/03/25 23:34 📱:N905i 🆔:LYm1ITj6


#807 [みぉり]
あいつは……自転車だからまだ安全なはず



パッと、そう判断して視線を外そうとした俺の目に

続けて見えたものは、園田と笑いながら出てきた男



スッと背が高く、眼鏡をかけた大人の男

⏰:10/03/28 00:57 📱:N905i 🆔:tCXte9cM


#808 [みぉり]
静かに、店を出てじっと二人を見つめた


二人の会話が聞こえてくる。



「えー?!じゃあ、なおさんのが、けいちゃん達よりも年下なの?!」


「えーって何だよ・・・・俺、あいつらより上に見えたわけ?笑」


「う〜ん。。。少なくとも年下には見えませんでした 笑」

⏰:10/03/28 02:06 📱:PC 🆔:Y99UOsDs


#809 [みぉり]
「このやろぉ〜 笑」


そう言いながら、園田の頭をグリグリと撫でる男

一方の園田も、笑いながらじゃれている




「・・・・ーーっ、園田っ」



「え?・・・・・!!もっ森くんっ?!」

⏰:10/03/28 02:12 📱:PC 🆔:Y99UOsDs


#810 [みぉり]
はっ


俺を見て驚く瞳に、はっと我に返った



・・・何してんだ?俺



思わず、声をかけてしまった自分に驚く

⏰:10/03/28 02:14 📱:PC 🆔:Y99UOsDs


#811 [みぉり]
「え〜!!すごい偶然だね!!こんなとこで会うなんて!!」 


ぱたぱたと、俺に駆け寄り話し掛ける園田


「あ、…いや………あぁ、そうだな」



声をかけるつもりは一切なかった

園田の表情を見て、バイトが本当に無理ではないことを確認したかっただけなのに

⏰:10/03/28 12:47 📱:N905i 🆔:tCXte9cM


#812 [みぉり]
ちら、と園田の後ろに立っている男を見ると



ばちっと目が合ってしまった



にやり


陽「ッ!?」


笑われたッ?!

⏰:10/03/28 14:57 📱:N905i 🆔:tCXte9cM


#813 [みぉり]
口元をふっと、緩ませたその男は今、間違いなく笑った



有「?森くん??」
陽「………ッ」


反射的に目線を反らし、うつむいた俺に不思議そうに声をかける


………っくそ、なんだよ

⏰:10/03/28 15:02 📱:N905i 🆔:tCXte9cM


#814 [みぉり]
妙に気恥ずかしく感じるのと同時に、イラっとした感じが渦巻いて起こった


・・・・なんで初対面の人間に笑われなきゃならない?



有「?ねぇ・・・・」


そのままの俺に、声を掛け続ける園田


な「有希、帰るぞ?」


園田の声を打ち消すように、投げかけられた声

⏰:10/03/28 17:09 📱:PC 🆔:Y99UOsDs


#815 [みぉり]
有「え?あ・・・・うん」


俺と眼鏡の男を交互に見て、戸惑う園田がゆっくりと身体の向きを変えてゆく


その動きに合わせて、反射的に



ぐいっ



有「ひゃっ・・・」



園田の腕を掴んで、俺の方に引き寄せてしまった

⏰:10/03/28 17:36 📱:PC 🆔:Y99UOsDs


#816 [みぉり]
有「なっ・・・どどどしたの?!」
陽「・・・・いや、ちょっと・・・・・」


それだけで、黙ってしまうと


な「・・・くくっ、じゃ、俺は帰るよ?笑」

有「あ、待って!CDは?」

な「バイクん中だし、明日持ってきてやるよ。それに・・・今日は無理そぉだしな」

⏰:10/03/28 18:07 📱:PC 🆔:Y99UOsDs


#817 [みぉり]
眼鏡の男は俺を見て、また、にやりと笑うと


ひらひら手を振りながら、駐輪場にあったバイクに跨り去っていった。



・・・・ー残されたのは、遠ざかるバイク音と困惑した瞳で俺を見る園田と、掴んだ腕を離せない俺

⏰:10/03/28 21:45 📱:PC 🆔:Y99UOsDs


#818 [みぉり]
何やってんだ?なんで呼び止めてんだ?


別にサラっと流せば良かったじゃないか


笑顔であの男と会話している様子からだって


十分、ここのバイトを楽しんでいることを感じ取れたじゃないか


それなのに、呼び止めてまで・・・・俺は何してるんだ?

⏰:10/03/28 22:09 📱:PC 🆔:Y99UOsDs


#819 [みぉり]
「ねぇ・・・どうしたの?・・・森くん?」


何も話さない俺に不安を感じたのか、小さな声に


ぱっと掴んでいた腕を離した。



「・・・・・・・邪魔してごめん」


「え?・・・・・?あぁ!!大丈夫だよ?明日、受け取ればいいだけだもの」

⏰:10/03/28 22:25 📱:PC 🆔:Y99UOsDs


#820 [みぉり]
けろっと笑顔で答えた園田だったが、ふと、真顔になって俺に向いた




「・・・・あの、・・・・もしかして、私を待っててくれた?」

「・・・・なんで、そう思うわけ?」


思いもしなかった園田の発言に、ドキッとしつつも努めて冷静に聞き返す

⏰:10/03/28 22:35 📱:PC 🆔:Y99UOsDs


#821 [みぉり]
「っ・・・・今日の、古典の時・・・とか、私の態度・・・悪かったな・・・と思って」



「・・・・は?」


それと、俺が園田を待つことにどんな繋がりがあるっていうんだ?


「え?違う?それで、怒るためにいた・・・・とかじゃない?」


「はぁ??」


なんだそれ、

⏰:10/03/28 22:44 📱:PC 🆔:Y99UOsDs


#822 [みぉり]
「あれ?・・・じゃあ、本当に偶然??ごめんなさいッ変なこと言って///」



一人で青くなったり、赤くなったりを繰り返す園田に



「ぷっ・・・・お前、おもしろいな」



肩の力が抜けて、笑ってしまった

⏰:10/03/28 22:49 📱:PC 🆔:Y99UOsDs


#823 [みぉり]
くるりと、向きを変えて歩き出すと、慌てて後ろから声が掛かる。


「あっ、どこか行くの?」

「どこかって・・・・お前、駐輪場にチャリ止めてるだろ?」

「へ?うん?」

「取りに行かなきゃ帰れないだろうが」


そのまま歩く俺の後ろから、パタパタと追いかけてくる足音が並ぶようにゆっくりと駐輪場へと向かったー・・・・

⏰:10/03/28 22:58 📱:PC 🆔:Y99UOsDs


#824 [みぉり]
━━━―――……
凪side


・・・・・・・誰だ、あいつ


店の前の看板を取り込むために、開けた扉をそのままに動けずにいた



俺の目線の先にいるのはー・・・・

有希と、知らない眼鏡の男

それから、うちの学校の制服を着た男子

⏰:10/03/28 23:02 📱:PC 🆔:Y99UOsDs


#825 [みぉり]
突然、道路を挟んだ向かいに現れた有希に驚いていたら


俺の知らない奴らが出てきて、有希を挟んでなにやら話を始めていた


ここからじゃ、声は全く聞こえない


表情も僅かにしか、読み取ることができない


じっと、やりとりを見つめていると

⏰:10/03/28 23:15 📱:PC 🆔:Y99UOsDs


#826 [みぉり]
「・・・・ッ!!」


制服の男が、有希を引き寄せる様子が飛び込んできた。


思わず、駆け出しそうになった足をぐっと留めて


そのままでいると、そのうちに眼鏡の男が去り


残された有希と制服の男だけになった

⏰:10/03/28 23:25 📱:PC 🆔:Y99UOsDs


#827 [みぉり]
制服の男が歩き出したのを、有希が追いかけて


すぐ近くの駐輪場に入っていった。


有希の赤い自転車ー・・・俺と色違いで買ったその自転車に乗った2人はそのまま、この一角を走って消えていったー・・・・。




俺は、ただただ立ち尽くしているだけで

⏰:10/03/28 23:35 📱:PC 🆔:Y99UOsDs


#828 [みぉり]
今の目の前で、繰り広げられたこの事実に困惑していた



・・・・なんだ?今の、


誰だあいつ



『ハルと付き合ってるのかな』


”『ハル』とー・・・・”

⏰:10/03/28 23:43 📱:PC 🆔:Y99UOsDs


#829 [みぉり]
「あいつがー・・・・『ハル』・・・?」


楓が今日、ポツリと言った言葉が再び、頭の中でループする


「あいつと・・・有希が・・・付き合ってる・・・・?」


そんなまさか


と、思う自分


そうなのか


と思う自分

⏰:10/03/28 23:50 📱:PC 🆔:Y99UOsDs


#830 []
頑張れ
この小説好きです
陽クンなんか好きです(笑)
でも凪が…

⏰:10/03/29 00:28 📱:P08A3 🆔:DTptub/U


#831 [みぉり]
>>さん 

コメントありがとうございます
陽臣に凪に……有希の周りも変化していきますのでぜひお付き合いください

また、感想板がありますので、そちらに感想をいただけましたら幸いです


みぉり

【感想板】
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/3579/

⏰:10/03/29 00:49 📱:N905i 🆔:HRA4Ur8A


#832 [みぉり]
>>829から


「…―っ凪ッおいッ」


はっ


後ろからの声に振り向くと、眉間にシワを寄せた恭ちゃんが立っていた


「あっ……ごめん」

「ったく、時間が掛かりすぎだろ、兄貴が早く帰れってうるさいんだよ」


言いながら、シャツの胸元を緩めて看板をさっさと店内にしまう

⏰:10/03/29 00:53 📱:N905i 🆔:HRA4Ur8A


#833 [みぉり]
その後について、裏口から店内へと戻る


ドサッ


「あぁ〜・・・今日は平日のわりには混んでたなぁ」


ソファに座った恭ちゃんは、肩を回してため息をついた

俺は、何も答えず黙々と、着替えを続けていると


「・・・・おい、凪・・・ちょっと座れよ?」


恭ちゃんのやけに低い声に、その動きを止められた

⏰:10/03/29 01:24 📱:PC 🆔:mHh3wW3w


#834 [みぉり]
「………ん?」


ほとんど、着替え終えた状態でロッカーを開けたまま


恭ちゃんの向かいに腰掛けた



「…………」

⏰:10/03/29 16:10 📱:N905i 🆔:HRA4Ur8A


#835 [みぉり]
少しの沈黙


俺をじっと見つめる恭ちゃんの視線に耐えられなくて



口を開いた



「………見てたの?」

⏰:10/03/29 18:05 📱:N905i 🆔:HRA4Ur8A


#836 [みぉり]
「・・・・・何を?」


「いや・・・・なんでもない」



そのまま、ふぅっとため息をついて天井を仰ぐ


「・・・・・・園田さんと森のことか?」


がばっ

⏰:10/03/29 19:37 📱:PC 🆔:mHh3wW3w


#837 [みぉり]
恭ちゃんの言葉に、勢いよく身体を起こして見つめた


正面の恭ちゃんは、にやりと笑いを浮かべていた



「さっきの・・・・園田さんと一緒にいた男子の名前だよ」


・・・・ーー森


「・・・・・下の名前は?」


「なんだっけな・・・確か・・・陽臣(ハルオミ)だったかな」

⏰:10/03/29 19:43 📱:PC 🆔:mHh3wW3w


#838 [みぉり]
森・・・陽臣・・・・楓の言ってたのは

・・・・やっぱりあいつか



『ハルと付き合ってるのかな』



付き合ってる・・・・のか・・・?

⏰:10/03/29 20:00 📱:PC 🆔:mHh3wW3w


#839 [みぉり]
また、そこに意識がいってしまいそうになったが、頭を振り払って前を見据えた



「恭ちゃん、さっきのやっぱり見てたんだ?」



そう、今きちんと確認すべきはそこ

それからー・・・・



「森・・・のことも知ってるの?」

⏰:10/03/29 20:17 📱:PC 🆔:mHh3wW3w


#840 [みぉり]
森 陽臣が・・・どんな人間なのか、それを知りたい



「・・・・知ってるよ。英会話スクールで俺が中3まで一緒のクラスだったんだ」



「へぇ・・・・で・・・その・・・どんなやつ?」


少しぎこちなく、問いかけた俺にふっと笑う

⏰:10/03/29 20:36 📱:PC 🆔:mHh3wW3w


#841 [みぉり]
「森?んー・・・いい奴だよ。頭の回転が速くて、なんでもソツなくこなしてたな、と、言ってもスクールでのあいつしか知らないけど」


「ふぅ・・・ん・・・」


恭ちゃんの返答に、相槌をうつしかできなくてそのまま俯いてしまうと、

ぽんっ

恭ちゃんの手が俺の頭を軽く、叩いて上から声が聞こえた


「さて・・・着替えて帰るか」


そのまますぐに立ち上がり、

⏰:10/03/29 20:55 📱:PC 🆔:mHh3wW3w


#842 [みぉり]
黙々と着替える恭ちゃんの隣に立って、帰宅の準備を進めたー・・・



━━━―――……
有希side


「えっと、先に森くんの家に行こうよ」

「は?なんで?」


「だって、私を送ってからじゃ帰りが歩きで遅くなっちゃうよ、それに私は自転車だから大丈夫だし・・・・」

⏰:10/03/29 20:58 📱:PC 🆔:mHh3wW3w


#843 [みぉり]
塾からの帰り道


━送ってく

━え?大丈夫だよ!自転車だもの・・・

━女一人じゃ、自転車だって危ないだろ



・・・・・そんな森くんの提案で、今、私の赤い自転車を森くんが漕いで

その後ろに私がちょこんと、捕まって乗っている

⏰:10/03/29 21:20 📱:PC 🆔:mHh3wW3w


#844 [みぉり]
「俺は平気だってー・・・」

「だめっ!送ってもらってる上にそれはできません!それが無理なら・・・森くんが私の自転車に乗って帰って」


「・・・・・強情」


「・・・・何か言いました?」


見上げた森くんの後ろ頭は、ふるふると首を横に振って
はぁっとため息を吐いていた


もぉっ・・・いい奴なんだか、・・・訳わかんない

⏰:10/03/29 21:36 📱:PC 🆔:mHh3wW3w


#845 [みぉり]
そんなことを考えつつも、森くんの背中に捕まって


この前のバイクとは比べ物にはならないくらいゆっくり流れる景色を見ていた



いくつめかの角を曲がったとき、向かいの歩道にある姿を見つけて


捕まっていた手を離してしまった


キキーッ


「・・・っぶねッ」

⏰:10/03/29 21:42 📱:PC 🆔:mHh3wW3w


#846 [みぉり]
突然、バランスを崩した自転車に急ブレーキをかけて


森くんがこちらに振り向く



「あぶねぇだろッ」


「ごめっ・・・だって・・・ねぇ、あそこの・・・・」



私が指差した先に視線を移した森くんが、目を見開いた

⏰:10/03/29 22:46 📱:PC 🆔:mHh3wW3w


#847 [みぉり]
「………あそこにいるのって」


無言のまま、見つめる先にあるのは―……



「楓ちゃん…でしょ?」



夜道をてくてく歩く楓ちゃん

⏰:10/03/31 18:15 📱:N905i 🆔:VvI2y36s


#848 [みぉり]
「………あぁ」


森くんが返したのはそれだけ、
なんとなく、気まずさが残る、けど


「夜道に歩きじゃ、危ない…よ」

遠回しに話すのは


『送ってあげて』


の気持ち……なんだけれど

⏰:10/04/01 23:46 📱:N905i 🆔:sK5sglPU


#849 [みぉり]
「…………」


ちら、と覗いた横顔は、表情かたく読み取れない


ただ、送ることをためらっていることは伝わってきて


「………自転車、降りて?」


私が背中を押すことにした

⏰:10/04/05 19:03 📱:N905i 🆔:lHqf5FuQ


#850 [みぉり]
「………なんで」


「私は自転車で帰るから、森くんは楓ちゃんを送って帰って、と思っているから」



さらり、と言って後ろを降りる

正面に立って見る顔はやっぱり険しさを醸し出していた。


「はい、降りて降りて」

⏰:10/04/05 19:06 📱:N905i 🆔:lHqf5FuQ


#851 [ポカリ]
失礼します


>>1-50
>>51-100
>>101-150
>>151-200
>>201-250
>>251-300
>>301-350
>>351-400
>>401-450
>>451-500

⏰:10/04/11 01:36 📱:SH06A3 🆔:3H/TvUPk


#852 [ポカリ]
>>501-550
>>551-600
>>601-650
>>651-700
>>701-750
>>751-800
>>801-850
>>851-900
>>901-950
>>951-1000

⏰:10/04/11 01:38 📱:SH06A3 🆔:3H/TvUPk


#853 [みぉり]
>>ポカリさん☆
アンカーありがとうございます!!
なかなか更新できずごめんなさい(>_<)

⏰:10/04/11 23:27 📱:PC 🆔:WH6mz90s


#854 [みぉり]
>>850から

そう言いながら、軽く森くんの背を押して


自転車のハンドルを握る


カゴの中のカバンを差し出す先は


「はい、森くんの」


俯き加減で、しぶしぶ・・・・

⏰:10/04/11 23:31 📱:PC 🆔:WH6mz90s


#855 [みぉり]
「ほらッ!!夜道に一人は危ないでしょッ!!」


楓ちゃんがいる道に身体を押しやる


「・・・お前は?」


私に押されることに抵抗はせず、楓ちゃんに向かって歩き出そうとしながらもこちらを心配してくれる


「え?自転車でちゃーんと帰るから大丈夫!!」


そんな森くんに満面の笑みで、手を振りササッと自転車を漕ぎ出した


「じゃね!また学校で〜」

⏰:10/04/11 23:37 📱:PC 🆔:WH6mz90s


#856 [みぉり]
振り返らず走って、角を曲がるときにチラッと見た森くんはまだこちらを見ていて


遠くても吸い込まれそうな、そんな瞳に目を奪われ


思わず落ちかけた自転車をなんとか漕ぎ続けて


知らず知らずのうちに、自分の心臓が速くなっていたのに気づいた

⏰:10/04/11 23:54 📱:PC 🆔:WH6mz90s


#857 [みぉり]
それが、自転車を早く漕いだせいなのか


去り際に見た、森くんの瞳のせいなのか




どちらのせいなのか、と考えている自分に困惑しながら


それでも必死に夜の町を駆け抜けて、ただひたすら家を目指したー・・・

⏰:10/04/11 23:57 📱:PC 🆔:WH6mz90s


#858 [みぉり]
━━━―――……
陽臣side


園田の自転車が、角を曲がるのを確認して


大きくため息をつく


そのまま、向かいの道路を、そこで信号待ちをしている楓に向かって


足を踏み出した

⏰:10/04/12 00:53 📱:PC 🆔:t37IgOjI


#859 [みぉり]
「・・・・楓、」


後ろから呼びかけても、楓の足が止まることはない


ヘッドフォンから音が漏れるほどの音量で音楽をかけながら歩いているのだから無理はないけれど


ーったく、あぶねぇなぁ、本当に


これが俺じゃなかったらどうする?


いきなり、夜道で襲われたってこいつはぎりぎりまで気配すら感じとれないだろうな

⏰:10/04/12 00:58 📱:PC 🆔:t37IgOjI


#860 [みぉり]
そんなことを考えてはため息がでたが、とにかくこちらに気づいてもらわないと


ひょいっと楓のヘッドフォンに手を伸ばし、外すと


「?!?!?!?!」


目を大きく見開いた楓が勢いよく、振り返った



「えっ?!?!ハルッ?!?!?!」

⏰:10/04/12 01:03 📱:PC 🆔:t37IgOjI


#861 [みぉり]
「よ、」


「何してんの?!っていうか、びっくりしたよぉ〜」


手を胸に当てて、はぁーっとため息をつく姿に


これまで感じていたイライラする気持ちじゃなくて


ただ、単純にふ、と笑いがでた

⏰:10/04/17 21:56 📱:PC 🆔:Rn5QrFyg


#862 [みぉり]
「や?ちょっと用があってその帰り道」

「へぇ〜、あ、じゃあ途中まで一緒に帰ろう?」



楓にヘッドフォンを手渡しながら、軽く同意すると


嬉しそうな、子どもの頃によく見た笑顔で並んで歩き出した


こんな風に笑って、並んで歩くなんて



ずっとこない、と思っていたのに

⏰:10/04/17 22:14 📱:PC 🆔:Rn5QrFyg


#863 [みぉり]
「・・・・・ねぇ?久ぶりだね、こうして話すの」



歩き出してすぐ、楓が切り出した



「・・・・・あぁ」



この1年、ずっと俺に聞きたかったことだろう


突然、俺は楓を突き放していたのだから

⏰:10/04/17 22:22 📱:PC 🆔:Rn5QrFyg


#864 [みぉり]
「・・・・・あのさ、・・・・」


そこまで話して口をつぐんだ楓


続いて聞きたいことは想像ができていた


けれど、そこに触れることをためらっているのもよくわかった

⏰:10/04/17 22:48 📱:PC 🆔:Rn5QrFyg


#865 [みぉり]
それ以上、俺からも口を開かず、そのまま歩き続けた


沈黙、でも気まずい空気じゃなくて



ただ、そこにお互いがいる昔の当たり前の空気が、今のこの沈黙を守っていた




「私・・・来月に留学することにしたんだ」

⏰:10/04/17 22:57 📱:PC 🆔:Rn5QrFyg


#866 [みぉり]
あと少しで、楓の家が見えてくる

そんな上り坂の途中で、楓が口を開いた




思わず、足が止まった





「・・・・・・へぇ」

⏰:10/04/18 13:52 📱:PC 🆔:wMNVx6oY


#867 [みぉり]
それに合わせて、楓も足を止め、こちらを向く。



「2年、オーストラリアへ行くの」


「・・・そ、か」



突然のことに、それ以上の言葉は出てこなくて


ポケットに突っ込んでいた手を、いつのまにか握り締めていた



「何よ、それだけぇ?寂しくなるなぁ、とか、気をつけろよ、とかないの?」

⏰:10/04/18 15:08 📱:PC 🆔:wMNVx6oY


#868 [みぉり]
頬を膨らませて言う楓、



「もー、ハルは昔っから本当に周りには関心がないんだから」


くるりと前を向いて、歩きだす

俺もそれを追うように足をすすめた

⏰:10/04/18 17:48 📱:N905i 🆔:yno7w.RM


#869 [みぉり]
少し前を歩く、楓の後姿



『留学することにしたんだ』



いつ決まった?お前はいつから行こうと思ってた?


遠い地で、一人だぞ?


怖くないのか?頼れる人間はちゃんといるんだよな?


想う言葉は浮かんでくるのに、声は出ない

⏰:10/04/19 01:09 📱:PC 🆔:4EEpFk..


#870 [みぉり]
「・・・・じゃ、ね」



無言のまま、坂を上りきり楓の家の前で立ち止まる


再び、俺を見るまっすぐな瞳は


幼い頃となんら変わらない。



ずっとずっと、俺を見る楓の目は


『幼なじみ』を大切に想っていることを伝えていた

⏰:10/04/19 23:01 📱:PC 🆔:4EEpFk..


#871 [みぉり]
「直接、話せてよかった。話せないかもしれないなって思ってたから」



真っすぐ、俺に向けられる視線



楓にとって『男』として、映らないことを認めたくなくて



逸らしてきた、この一年

⏰:10/04/20 18:17 📱:N905i 🆔:mCGHKb16


#872 [みぉり]
「また、詳しく決まったら話すね」


ばいばい、と手を振って背を向けた瞬間




……―ぐぃッ



「……ッなに?」

⏰:10/04/22 20:24 📱:N905i 🆔:anplJSYU


#873 [みぉり]
急に引っ張られ、驚いた顔で振り返った楓を


腕の中へ、抱き込んだ



ぎゅうっ



「?!ちょっ・・・・・・ハル??」



落ち着いた声で、様子を伺うように、話す楓

⏰:10/04/24 02:42 📱:PC 🆔:RJUy41LU


#874 [みぉり]
「・・・・・どうしたの?寂しくなった?笑」



腕を振りほどくわけでなく、触れるわけでなく



ただ、そのままで話しかける。




・・・・・・・・やっぱり、か。

⏰:10/04/24 02:44 📱:PC 🆔:RJUy41LU


#875 [みぉり]
「……………ハル??」



何も言わない俺に、違和感を感じたのか


腕の中の楓が、声色を変えた




「……………好きだ」

⏰:10/04/25 18:44 📱:N905i 🆔:chnKzOHM


#876 [みぉり]
今まで、口にして来なかった


楓に対しての想い



「俺は、楓のことがずっと好きだったんだ」




「………………」
「………………」

⏰:10/04/25 19:13 📱:N905i 🆔:chnKzOHM


#877 [みぉり]
しばし、沈黙




楓も、俺も




.

⏰:10/05/02 15:14 📱:N905i 🆔:OjY.RZTc


#878 [みぉり]
不思議と、焦りや後悔のように心臓が波打つことなく



楓の言葉を待った

⏰:10/05/02 15:30 📱:N905i 🆔:OjY.RZTc


#879 [みぉり]
「……………いつから?」



やっと返ってたのは、静かな声



「さぁ………自覚したのは、中2…………けど、」



ずっと、ずっと小さい頃から

⏰:10/05/04 11:11 📱:N905i 🆔:/oqQPYak


#880 [みぉり]
「ずっと、こどもの時からおまえが好きだったよ」



楓しか、女の子に見えなかった




話した後、少しだけ、腕の中で身体を固くした楓



「…………ハル」




「ん?」

⏰:10/05/04 11:45 📱:N905i 🆔:/oqQPYak


#881 [みぉり]
「ごめんなさい」



「ん。わかってる」



そのまま、俺の背中に楓が腕を回した



少し、肩が震えてるのが伝わる




「……なんでぇ?」

⏰:10/05/04 11:53 📱:N905i 🆔:/oqQPYak


#882 [みぉり]
声が震えるのを、必死に堪えながら紡ぐ



「なんで……今、言うのよぅ」



ぎゅぅ、と少し腕の力を強めて俺の身体を掴む



「…………ごめん、な」

⏰:10/05/04 11:55 📱:N905i 🆔:/oqQPYak


#883 [みぉり]
ふるふると、腕の中で頭を振る楓を撫でて



そっと、身体を離した



正面の顔は、涙を流して目を真っ赤にして

⏰:10/05/04 15:46 📱:N905i 🆔:/oqQPYak


#884 [みぉり]
「ハルは……大事な、幼なじみなの。……失くしたくない」



ぽろり、流れた涙はそのままで、だけど
しっかり俺の目を見据えていて



「今みたいに、話せなくてもいいから、だけど、避けたりしないで」


また一つ、涙が流れた

⏰:10/05/04 20:01 📱:N905i 🆔:/oqQPYak


#885 [みぉり]
「うん、わかってる。俺も、ずっと避け続けてごめん」



目を見て、こうやって素直に話ができるなんて思わなかった



「これは、けじめだから」


笑って楓の頭を撫でる

⏰:10/05/04 20:05 📱:N905i 🆔:/oqQPYak


#886 [みぉり]
「……けじめ、…さっき“だった”って過去形で話してたのも…?」


首を傾げて、涙を拭う楓から手を降ろして深呼吸した


「そ。たぶん……だけど、俺、お前を思い出にできそ」

⏰:10/05/04 20:17 📱:N905i 🆔:/oqQPYak


#887 [みぉり]
「……そ、か。…じゃぁ、……?」


「ん、大丈夫。もう、お前を避けたりもしないから」



それだけ伝えて、くるっと楓に背を向けて歩きだした



「ハルッ!!また明日ねっ!!」

⏰:10/05/04 23:06 📱:N905i 🆔:/oqQPYak


#888 [みぉり]
背を向けたまま、手を振って

顔をあげて


まっすぐ、前をみて歩きだした




……わかった。
俺、楓を過去にできるようになっていた

⏰:10/05/04 23:22 📱:N905i 🆔:/oqQPYak


#889 [みぉり]
大きく、息を吸い込んで、吐き出す




俺にとっての、『女の子』が変わりつつあることに気付いた




「…っし。」

⏰:10/05/05 12:15 📱:N905i 🆔:t8fCc0Bg


#890 [みぉり]
今度は、きちんと向き合おう。



今、あいつが『凪』と向き合っているように



俺も、自分の気持ちと向き合って、どうしたいか考えよう

⏰:10/05/05 12:37 📱:N905i 🆔:t8fCc0Bg


#891 [みぉり]
━━━―――……
有希side



ヴーッ…ヴーッ…


お風呂を出て、部屋に戻るとベットの上で震える携帯が目に入り



手に取り、画面を操作する



ピッ……ピッ……

⏰:10/05/05 13:02 📱:N905i 🆔:t8fCc0Bg


#892 [みぉり]
受信:森陽臣
『楓を送って、俺も帰宅した。気遣ってくれてありがとう。また、明日。おやすみ』


ピッ……



なんだろう、この気持ちは



素直に『よかった』と、感じられない私は

⏰:10/05/05 15:04 📱:N905i 🆔:t8fCc0Bg


#893 [みぉり]
━━━―――……
凪side


ピッピッ……ブツ………


画面に表示されるのは


【有希】の文字と

携帯ナンバー



「…………はぁ」



さっきから、画面にそれを、出しては消しての繰り返し

⏰:10/05/08 22:31 📱:N905i 🆔:UDxLxikM


#894 [みぉり]
ぐるぐる回るのは、店の外で見た光景



・・・・ハル、か


『付き合ってるのかな』


楓の言葉の言葉と、その光景のこと

⏰:10/05/22 01:39 📱:PC 🆔:u7uqnkhs


#895 [みぉり]
別に、それはそれで良いことなんだけれど……



もやもや、もやもや



気持ちが渦を巻いて
でも、有希に聞くこともできない

⏰:10/05/29 23:24 📱:N905i 🆔:X4KUC8x6


#896 [みぉり]
「っだよ……わけわかんねぇよ」



いらいら、いらいら、




膨らむのは、漠然とした不安

⏰:10/06/12 17:33 📱:N905i 🆔:HY5PXHcU


#897 [みぉり]
♪〜♪〜

いきなり、鳴りだした着信に思わず掴んだ



「もしもし?」

『あ、凪?楓だよ』


「……おぅ。どうした?」



電話の声は、わずかに涙声な気がして


トーンが落ちた。

⏰:10/06/12 17:37 📱:N905i 🆔:HY5PXHcU


#898 [みぉり]
「ん……ね、これからちょっと、会える?」




「今から?」



ちら、と見た壁の時計が示すのは11時すぎ



明日は、休日というわけじゃない

なのに、今から?

⏰:10/06/14 08:04 📱:N905i 🆔:hZRkMaz2


#899 [みぉり]
「……わかった、場所は?」


━━━――……

ザザ……ザ…


電話から15分、楓のバイクでついたのは近くの海

⏰:10/06/22 12:23 📱:N905i 🆔:71Wk5y0o


#900 [ポカリ]
久しぶりにあげ

みぉりさんふぁいと

⏰:10/07/09 21:02 📱:SH06A3 🆔:9dKhgkB6


#901 [なみ]
これ見てみて〜〜〜〜♪

私も出てるんだ〜〜〜!

パリスヒルトン最近の流出動画だよ!!

s1.shard.jp/..

⏰:10/07/10 12:51 📱:PC 🆔:PPJ.LCPg


#902 [みぉり]
>>ポカリさん☆
長く放置ですいません!!
あげてくれてありがとうございます!!

少しずつ、更新します

みぉり

⏰:10/07/28 23:46 📱:PC 🆔:ur.WCSWQ


#903 [みぉり]
>>899 から

「ひゃー・・・・夜はやっぱり寒いねぇ」


ザク、ザク、と靴が浜辺を歩く音がやけに響く


「んー・・・・」



曖昧に答えた俺のほうを振り向くことなく


俺の前を歩く後姿は、どことなく元気がない

⏰:10/07/28 23:51 📱:PC 🆔:ur.WCSWQ


#904 [みぉり]
さっきの電話の声、きっと間違いではない


何かあったに違いない



「凪はさー」


「おー」


ふいに、楓が足を止めた


俺も、つられて足を止めて、楓の次の言葉を待った

⏰:10/07/29 00:00 📱:PC 🆔:MSeiPm2Y


#905 [みぉり]
「・・・・・あのさー、、」


「・・・・・なんだよ?」




空には、大きな満月

街灯がなくても、それだけで結構明るい



だから、楓の背中が丸くなって俯いて、



小さくなっているのが、よくわかる

⏰:10/07/29 00:03 📱:PC 🆔:MSeiPm2Y


#906 [みぉり]
「・・・・私、この1年くらいずーっと大好きだった人がいるの」


そう言って、横を向いてまっすぐに海を見つめる



「・・へぇ」


予期しない話、だけど、相槌を返す



「その人はさ、すごく優しくて周りから愛されてて・・・・それでいて、笑顔がかわいい人だった」

⏰:10/07/29 00:10 📱:PC 🆔:MSeiPm2Y


#907 [みぉり]
ザザ・・・・・ザ・・・ザザザ・・・


耳に響くのは、波の音



じっ、と見ていた楓の横顔がゆっくりとこちらを向く


満月に照らされたその顔は、微かに笑っているように見えた



「なぎ、好きな人、いる?」

⏰:10/07/29 00:13 📱:PC 🆔:MSeiPm2Y


#908 [みぉり]
「・・・・・なんだよ急に」



そんな俺の答えに、何も言わずふっと笑う


「・・・・・・・・・・・いないよ。というか、、、好きってどういうことだったか・・・忘れたかもなぁ」



ぽつり、と楓を見ずに、真っ暗に水面を見て答えた

⏰:10/07/29 00:15 📱:PC 🆔:MSeiPm2Y


#909 [みぉり]
そうだ。


もう、この1年近く誰かを好きだ、とか付き合うとか、しないことに決めていたから・・・・




『あかりに申し訳ない』からー・・・・




はじめは、そうやって始まった。

⏰:10/07/29 00:17 📱:PC 🆔:MSeiPm2Y


#910 [みぉり]
告白をされないわけじゃない。


自分でいうのも、なんだけれど・・・・そこそこ、付き合うタイミングには恵まれている


だけど誰とも付き合わない、と決めて生活するようになって



不思議と誰かを『好き』になることもなかった。


いや、恋愛をしなくても”平気”なんだと気づいたー・・・・。

⏰:10/07/29 00:21 📱:PC 🆔:MSeiPm2Y


#911 [みぉり]
すごく可愛い子、髪のふわふわの子、そんな子が告白をしてくることもある。


あかりの事があるまでは、何も考えずにOKしていたと思う。


けど、今は違う


何もなくても、平気


『残念』とか『俺も』なんてなくて・・・

⏰:10/07/29 00:24 📱:PC 🆔:MSeiPm2Y


#912 [みぉり]
その子が、他のヤツと付き合いだしても、


何も感じないのだと、知った



━━━――……



「へぇ〜・・・そっか」


ぽつり、再び海を見つめて楓が返す

⏰:10/07/29 00:26 📱:PC 🆔:MSeiPm2Y


#913 [みぉり]
「あぁ・・・・そうなんだよなぁ」

ふと、分かった

「え?」


「おれ、好きってことを知らない」



「はいぃ?」



突然の、俺の独り言に楓がこちらを振り返った

⏰:10/07/29 00:30 📱:PC 🆔:MSeiPm2Y


#914 [みぉり]
「いやいやいや!!君、これまで彼女いたでしょー?」


驚きを隠せない様子の楓



「や、それってさー、俺、カワイイとか、キレイとか・・・そういうのが好きだったんだ。仕草だとさ」



「??それって好きなんじゃないの?」


腕を組み、首を傾げる仕草に、思わず笑った

⏰:10/07/29 00:34 📱:PC 🆔:MSeiPm2Y


#915 [みぉり]
「好きなのは、本人じゃない。その仕草、一面だけ」


そうなんだ、

だからこそ、付き合った彼女たちを束縛したいなんて思ったこともなくて




「だから、俺は”好き”を知らないんだ」

⏰:10/07/29 00:47 📱:PC 🆔:MSeiPm2Y


#916 [みぉり]
しばし、黙って、
楓が口を開いた


「……そっかぁ。好きを知らないのねー」


「んー……たぶん、な」


俺の言葉を聞いて、楓は再び、真っ暗な海を見つめて続ける

⏰:10/08/21 00:01 📱:N05B 🆔:zRXJbJEg


#917 [みぉり]
「好きになるとね、色々考えるのよ
今、何をしてるのかなぁとか……誰といるのかなぁ、とか…ね……」



楓の言葉に、フッと一人が脳裏を過った。



「異性といれば、不安になったり、イライラしたり……」

⏰:10/08/21 00:05 📱:N05B 🆔:zRXJbJEg


#918 [みぉり]
………俺の知らない男の腕の中にいた



(誰だよ、そいつ)




「良いことは少ないんだけどね、……無性に気になるのよ」



(『ハル』と付き合ってんのか?)

⏰:10/08/21 00:08 📱:N05B 🆔:zRXJbJEg


#919 [みぉり]
楓の言葉に呼応するように、言葉が沸き出す。



………まさか、まさか




妙に心臓の音が耳に響く



ドクンッ……ドクンッ……



まさか、

⏰:10/08/21 00:13 📱:N05B 🆔:zRXJbJEg


#920 [みぉり]
「どんなに……相手が自分を避けても……見ようとしなくても、その時に思い知るんだ」




『凪ッ!!起きなさ〜いッ!!』



頭に、響くのは一人の声

⏰:10/08/21 00:20 📱:N05B 🆔:zRXJbJEg


#921 [みぉり]
「この人が、好きなんだって」



浮かぶのは、






有希の笑顔だけ

⏰:10/08/21 00:23 📱:N05B 🆔:zRXJbJEg


#922 [みぉり]
「凪?」




嘘だろう……?


そんなことって



「……凪?大丈夫?」

⏰:10/08/21 21:51 📱:N05B 🆔:zRXJbJEg


#923 [ポカリ]
久しぶりに来たら大量に更新されててうれしい

主さん頑張って

⏰:10/08/21 22:03 📱:SH06A3 🆔:QN2jQlQA


#924 [みぉり]
>>ポカリさん
いつも応援ありがとう
更新がマチマチすぎて、お待たせしてごめんなさい

頑張りますね。ありがとうございます

⏰:10/08/21 22:15 📱:N05B 🆔:zRXJbJEg


#925 [みぉり]
はっ



「………あ、あぁ」



いつのまにか、目の前にいた楓の声で我にかえった




「………思い当たる人でもいた?」

⏰:10/08/21 22:26 📱:N05B 🆔:zRXJbJEg


#926 [みぉり]
「なッ…なにいって…ッ」


その目が、俺の気持ちを見透かしているようで



思わず、目をそらした

⏰:10/08/21 22:35 📱:N05B 🆔:zRXJbJEg


#927 [みぉり]
「……ふぅん?」



含みをもった声に、妙な緊張感があって



「…そ、うだよな」



自分に言い聞かせる。




『そんなはずは、ない』って

⏰:10/08/22 22:36 📱:N05B 🆔:bj4D04kI


#928 [みぉり]
「そんなはずは、ない」




心で、つぶやいた事を口に出す




「……………」



楓の視線は、俺をとらえたままで動かない

⏰:10/08/22 22:41 📱:N05B 🆔:bj4D04kI


#929 [みぉり]
ドクンッ……ドクンッ…



心なしか、心臓が早くなって


「…−っつうか、楓こそあるんじゃねぇの?」



無理に、話を振った


………楓の方は向かず

⏰:10/08/22 22:55 📱:N05B 🆔:bj4D04kI


#930 [みぉり]
「思い当たるようなやつがいるから、そんな事いったんだろ?」



ゆっくり、楓の視線が俺から海へと移り


内心、ホッと胸を撫で下ろした






変わらず、響くのは波の音

⏰:10/08/22 23:07 📱:N05B 🆔:bj4D04kI


#931 [みぉり]
「………好きな人いたって、言ったじゃん」



ややムスッとした声で呟いて、その場にしゃがみこむ



「あ………」



………元々、楓の話から今に至るんだった

⏰:10/08/22 23:12 📱:N05B 🆔:bj4D04kI


#932 [みぉり]
すみません見やすくするためにアンカーつけます

アンカー
>>1-100
>>101-200
>>201-300
>>301-400
>>401-500
>>501-600
>>601-700
>>701-800
>>801-900
>>901-950

⏰:10/08/22 23:22 📱:N05B 🆔:bj4D04kI


#933 [みぉり]
感想いただけたら幸いです
みぉり小説の感想板
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/3579/

⏰:10/08/22 23:55 📱:N05B 🆔:bj4D04kI


#934 [みぉり]
「……凪って、バカだよね」



「………すんません」


まさしく、その通りでバツが悪い俺に、楓は続ける


「おまけに、激ニブチンだし」



「は?」

⏰:10/08/23 13:24 📱:N05B 🆔:puyFkeGA


#935 [みぉり]
ニブ……?



「おい、鈍くないぞ、俺は」


聞き流さず、言い返すと


そんな俺を、ジロリと見上げて深いため息

⏰:10/08/23 13:28 📱:N05B 🆔:puyFkeGA


#936 [みぉり]
「鈍いでしょ、十分」


楓のわかったような口ぶりに、イラッと気持ちが沸き起こった


「なんで、楓にそんなことがわかるんだよ」



声のトーンを低くして、ドカッと楓の隣に腰を降ろす

⏰:10/08/23 13:58 📱:N05B 🆔:puyFkeGA


#937 [みぉり]
「はぁ〜……」

「だからっ!!なんなんだよそのため息は」



再びのため息に、やや声が大きくなる



「………だって、私と同じなんだもん、凪って」

⏰:10/08/23 19:23 📱:N05B 🆔:puyFkeGA


#938 [みぉり]
「……同じ?」


「そ、同じ。自分の気持ちに気づかないフリして、平静を装ってる」


ドキッ−…

⏰:10/08/24 11:01 📱:N05B 🆔:uF46rIi.


#939 [みぉり]
ザ……ザザ…


波が打ち寄せる
この海に、じゃない、

俺の中で、なにかが、ざわめきだす

⏰:10/08/25 16:45 📱:N05B 🆔:2AOYkg2s


#940 [みぉり]
言葉を返さない俺を見ることなく


楓は、淡々と続ける




「ま、凪が決めることだけどね」

⏰:10/08/25 16:58 📱:N05B 🆔:2AOYkg2s


#941 [みぉり]
「……いつまで、見ないふりするの?」



ドクンッ……ドクンッ…



「凪、このままだったら私と同じになっちゃう、………手遅れになっちゃうんだよ」



「………手遅れ?」

⏰:10/08/25 23:03 📱:N05B 🆔:2AOYkg2s


#942 [みぉり]
「そ、・・・・気づいた時には、手の届かない所にいっちゃうの」



月明かりに照らされた、楓の瞳から静かに涙が流れた



「楓ッ・・・お前・・・」


「黙ってッ・・・ごめんね?・・・泣くつもりなかったのに・・ッ・・・ちょっと・・・・ッだめ・・・みたいッ」

⏰:10/08/27 00:23 📱:PC 🆔:gWsEg7gA


#943 [みぉり]
驚いて声をかけた俺を、制止して、でもこちらは向かないで


まっすぐ前を見たまま、楓は泣いていた


喚くわけでなく、嗚咽するわけでなく



ただただ、ひっそりと涙がとめどなく流れていたー・・・・

⏰:10/08/27 00:52 📱:PC 🆔:gWsEg7gA


#944 [みぉり]
・・・・・・



どれくらいの時間が経ったのか、気づけば随分と離れていたはずの


波打ち際が、すぐそこまで迫ってきて


足先がぬれてしまいそうで、思い切って声をかけた



「・・・・楓、立てるか?」

⏰:10/08/27 01:02 📱:PC 🆔:gWsEg7gA


#945 [みぉり]
じっと、海を見つめたままだった楓が俺の言葉に応えるように、


ゆっくり腰をあげた。



「ありがと、凪」


「いや・・・大丈夫か?」



ありきたりな言葉しか出てこなくて、こんな自分に少しの嫌悪感

⏰:10/08/27 01:04 📱:PC 🆔:gWsEg7gA


#946 [みぉり]
そんな俺に楓は、にこりと笑ってバイクを止めた堤防のほうへと足を向けた。



ザク・・・ザク・・・

来たときと同じように、砂に足跡が刻まれる


その後について歩きながら、俺の心に生まれた波紋を抑えられず


「・・・・手遅れって・・・何なんだ・・・?」


口火を切った。

⏰:10/08/27 01:07 📱:PC 🆔:gWsEg7gA


#947 [えり]
すごいすきです!
がんばってください!

⏰:10/09/09 00:11 📱:SH905i 🆔:qh33Ga9A


#948 [みぉり]
>>えりさん☆
コメントありがとうございます!
ゆっくりですが、見守っていただけたらうれしいです。

みぉり

⏰:10/09/12 04:31 📱:PC 🆔:1w3JlWZI


#949 [みぉり]
ザク・・・・・・・


楓が足を止めた、それに合わせて俺も立ち止まる



「・・・・・・」



「・・・・・・」



ザ・・・ザザ・・ン・・・

⏰:10/09/12 04:33 📱:PC 🆔:1w3JlWZI


#950 [みぉり]
「・・・・・そのまんまの意味だよ」



話しながら、こちらを振り向いた楓は真剣な顔


さっきまでの泣き顔じゃなく、まっすぐに俺を見る



「・・・・凪、私ね、自分の気持ちにずっと蓋をしてきた」

⏰:10/09/12 04:36 📱:PC 🆔:1w3JlWZI


#951 [みぉり]
「好きと認めることが怖くて、関係を壊したくなくて・・・・
ずっと一緒にいたかったから・・・・

だから、ハルに、好きだって言わなかった


・・・・ううん、言えなかった」



・・・ー『ハル』ってまさか・・・?

⏰:10/09/12 04:39 📱:PC 🆔:1w3JlWZI


#952 [みぉり]
「・・・・なんでか、理由はわからないんだけど
ここ2年くらい、ハルに避けられてたの。。
始めは訳が分からなくて、イライラしたりしてー・・・
でも、別にいいやってそう思うことにして
ずっと過ごしてた。
そのうち、話しかけてくるだろうって・・・・

だけど、違った。
いつまでたっても、話すことはなくて
いつのまにか、姿を見ることさえ減ってきて・・・

そんな矢先に、偶然、ハルが告白されてるのを見かけたの」

⏰:10/09/12 04:45 📱:PC 🆔:1w3JlWZI


#953 [みぉり]
その時のことを思い出しているのか

楓は視線を落として、少しの沈黙・・・




「・・・・ビックリした。すごくすごく、ショックだった。
ただ告白されてるのを見ただけなのに・・・



・・・・・『いやだ、やめて』って、自分の中に一瞬で

そんな気持ちが芽生えたの」

⏰:10/09/12 04:49 📱:PC 🆔:1w3JlWZI


#954 [みぉり]
「怖かった、自分の気持ちが・・・・
今までの自分達が全部、崩れてしまう気がして・・・・

怖くて、怖くて・・・・
それからずっと、気持ちに蓋をしてきたの」



「・・・・楓・・・・」


かける言葉が見つからなくて、俺は、続きを待った

⏰:10/09/12 04:59 📱:PC 🆔:1w3JlWZI


#955 [みぉり]
「だけど、それは間違ってた。
今日、初めて間違いに気づいた
・・・・・・・・後悔したってやりきれないくらい


きっと、ずっと、この後悔は消えない


・・・・凪にも、同じ後悔はして欲しくないの」

⏰:10/09/12 05:12 📱:PC 🆔:1w3JlWZI


#956 [みぉり]
ドクン・・・ドクン・・・


「同じ・・・後悔・・って・・・」


喉が、渇く

楓の声に、これまでにないくらい焦りが広がる





「・・・・・凪、有希ちゃんを好きでしょう?」

⏰:10/09/12 18:16 📱:PC 🆔:1w3JlWZI


#957 [みぉり]
ドクンーッ・・・・・


「っは・・・何言って・・・」


笑って話そうとするけれど、言葉が、続かない


『有希を好き』だなんて・・・そんなこと



「そんなこと・・・あるわけな「凪ッ」

⏰:10/09/12 18:23 📱:PC 🆔:1w3JlWZI


#958 [みぉり]
俺の声を掻き消すような楓の声に


「・・・ーッ」


思わず、口をつぐんだ


「凪、ちゃんと向き合って
本当に・・・・『手遅れ』になるよ・・・?」


・・・そんなこと言ったって

「・・・・・・俺は、有希のことを好きだ、、
と、思ったことは・・・・・・・・ねぇよ」

⏰:10/09/12 18:29 📱:PC 🆔:1w3JlWZI


#959 [みぉり]
そんなことは、あるはずないんだ


あいつは『家族』でしか、ないんだ


「・・・・・・そう、本当にそれでいいの」


ため息交じりの声で、呟く楓


「・・・・いいも何も・・・」


そのまま、目線を下に下ろした

⏰:10/09/12 18:36 📱:PC 🆔:1w3JlWZI


#960 [みぉり]
と、同時に聞こえた声に



「・・・・・・・・・ハルが、有希ちゃんを好きでもいいのね」

「・・・・ーーッ?!」


ザァッっと、強い風が吹き抜ける

⏰:10/09/12 18:53 📱:PC 🆔:1w3JlWZI


#961 [みぉり]
「ハルは、有希ちゃんが好きよ。
間違いなく、本人も、それを自覚してる



きっと、有希ちゃんに向き合って、伝えるよ?」



・・・ッ・・そんなの



「俺は・・・・関係ない・・・だろ
森と、有希の思うようにしたらいい・・・・」



そう言って、楓の横を通り過ぎる

⏰:10/09/12 19:10 📱:PC 🆔:1w3JlWZI


#962 [みぉり]
俺に、関係ない


俺は有希のことなんて、なんとも思っていないんだから



そう言い聞かせて、楓のバイクに乗ると


後ろから歩いてきた楓は何も言わず、俺を家まで送って帰っていった。

⏰:10/09/12 19:17 📱:PC 🆔:1w3JlWZI


#963 [みぉり]
ーーーー・・・・
翌日



ガヤガヤ・・・
生徒で溢れる玄関、朝の当たり前の光景に
そぐわない表情の、自分



「・・・・眠ぃ」

⏰:10/09/12 20:53 📱:PC 🆔:1w3JlWZI


#964 [みぉり]
あの後、家に戻ってから一睡もできなかった。


目を閉じても、モヤモヤと、霧がかって

眠いんだけど、眠れない



気づけば、朝で、そのまま登校してしまった

⏰:10/09/12 21:04 📱:PC 🆔:1w3JlWZI


#965 [みぉり]
「何よ、その顔」



はっ、と気づくと

いつのまにか、楓が隣で歩いていた



「………こんな顔で、すいませんね」

「うわ、感じ悪ぅ」

⏰:10/09/17 11:52 📱:N05B 🆔:9.Jh4VXU


#966 [みぉり]
やや大袈裟に、肩をすくめて


「あ、」


正面にある姿を見つけると、そのまま駆け出していく


「ハルーッ」


高く結った髪をなびかせて

⏰:10/09/18 18:28 📱:N05B 🆔:V9p9qffQ


#967 [みぉり]
その先で、振り向いたのは

「朝から元気だなぁ、楓は」


呆れ顔で、笑いながらを待つ



森の姿

⏰:10/09/18 18:53 📱:N05B 🆔:V9p9qffQ


#968 [みぉり]
━━−−−……
有希side


その二人を見て


足が止まった



私の先にいるのは、楓ちゃんと森くん

⏰:10/09/18 20:49 📱:N05B 🆔:V9p9qffQ


#969 [みぉり]
………普通に、話してる。


と、いうコトは……?



わからない。
考えても、どんな経緯があって
今、二人が並んで歩いているのかなんて

⏰:10/09/19 00:36 📱:N05B 🆔:nLDN2zRo


#970 [みぉり]
「……イイコト、じゃない」



頭をフルフルと、振って
歩みを再開する。


一緒にいられるように、なったんだから


きっと、話ができたのよね、よかった

⏰:10/09/19 19:48 📱:N05B 🆔:nLDN2zRo


#971 [レモン]
前回の話しもすきだけど今回の話しもすき
楽しみに読んでます

⏰:10/09/19 20:20 📱:P03A 🆔:YDVR5nOU


#972 [みぉり]
>>レモンさん
コメントありがとうございます前作も読んでもらえて嬉しいです
ちょこちょこ、更新しますのでお付き合いお願いします

みぉり

⏰:10/09/20 01:24 📱:N05B 🆔:YcvVD5oI


#973 [みぉり]
>>969 から


「……イイコト、、なんだから」


いつも、私の話を聞いてくれていた森くんの状況が

すごくいい形になったんだから

私が喜ばないでどうするのよ

⏰:10/09/20 01:27 📱:N05B 🆔:YcvVD5oI


#974 [みぉり]
トントントン………


階段を上って、教室に向かう……………はず、だったんだけど



はっ、と気づいたときは屋上のドアノブに手をかけていた


「………はぁ」

⏰:10/09/20 12:18 📱:N05B 🆔:YcvVD5oI


#975 [みぉり]
半分、諦めのため息をついて


鍵を開けて、屋上に出た


朝一番の、少しだけつめたい風に


ゆっくり目を閉じる

⏰:10/09/20 13:09 📱:N05B 🆔:YcvVD5oI


#976 [みぉり]
浮かんでくるのは、さっき見た二人の姿



同時に、沸き起こるモヤモヤした気持ち


………『寂しい』

のかな……?

⏰:10/09/20 20:25 📱:N05B 🆔:YcvVD5oI


#977 [みぉり]
嬉しいはずなのに、気持ちはふわふわと、落ち着かない



「私って、嫌なやつだなぁ」


誰に言うわけでなく、呟いた…………



「なんで?」


「ッ!!??」

⏰:10/09/21 15:20 📱:N05B 🆔:mqUbihJc


#978 [みぉり]
慌てて、声のした方を振り向くと



さっき、見かけた姿がそこにあった



「………楓…ちゃん」


長いポニーテールを揺らして立っている突然の来客に

私の心臓が大きく波打ち始めた−−……

⏰:10/09/21 15:26 📱:N05B 🆔:mqUbihJc


#979 [みぉり]
ご案内
スレッドが残り少なくなり、新しく『宝物。2』を立てました。
お付き合いいただけたら、と思います。m(__)m

宝物。2
bbs1.ryne.jp/r.php/novel-f/11847/



みぉり

⏰:10/09/21 15:48 📱:N05B 🆔:mqUbihJc


#980 [みぉり]
アンカー
>>1-200
>>201-400
>>401-600
>>601-800
>>801-1000

⏰:10/09/21 15:56 📱:N05B 🆔:mqUbihJc


#981 [○○&◆.x/9qDRof2]
(´∀`∩)↑a

⏰:22/10/05 01:00 📱:Android 🆔:dfJ9pWTw


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