宝物。
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#601 [みぉり]
声を聞いたのはどれくらいぶりだろう



話をしたのなんて……正月以来じゃないかと思う



………変わらないんだな

⏰:09/03/15 13:38 📱:N905i 🆔:Fhxk5dG6


#602 [みぉり]
楓は、俺と話していない時間があっても、何も変わらない


俺は、初めは違和感だらけで会いたい気持ちに駆られた


けれど、会わないようになって苛立つことはなくなりほっとした。

何より楓を汚してしまいそうな衝動が薄れたことが有り難かった

⏰:09/03/16 06:13 📱:N905i 🆔:otNY5eiY


#603 [みぉり]
あいつにとって、俺はいてもいなくても変わらないんだと、ただの幼馴染みだと痛感してそのままー………




「…ーくんッ!!森くん!!」


はっ


「あぁッ!!…わりぃ、ぼーっとしてた」

⏰:09/03/16 19:08 📱:N905i 🆔:otNY5eiY


#604 [みぉり]
園田の声で我に返った


そういえば園田と楓はなんで面識があるんだ?


クラスは………かなり離れていたはず



疑問に思いつつも、先刻の不安げな園田の顔がちらつく

⏰:09/03/25 04:58 📱:N905i 🆔:4LQMdRdc


#605 [みぉり]
問い掛けてもいいのか分からず、黙っていると


「ね、ね、森くん家ってお手伝いさんがいるの!?」


園田は目をキラキラさせて聞いてきた



「あ?……あぁ、何人か……な」

「ひゃーっ!!おぼっちゃまだぁ!!」

⏰:09/03/27 02:45 📱:N905i 🆔:9cJ2rwVY


#606 [みぉり]
まぁ、そうだよな

大概の人間はこんなリアクションだ


普通、使用人がいたって数人も雇いはしない

そういう意味でもうちは特殊なんだろう



あ、そうだ

⏰:09/03/27 03:34 📱:N905i 🆔:9cJ2rwVY


#607 [みぉり]
「服なんだけど」


その言葉で、園田の表情が一変した

楽しそうな顔から強ばった顔へ



……………百面相かよッ笑



あまりにコロコロと変わる表情がおもしろい

⏰:09/03/27 03:37 📱:N905i 🆔:9cJ2rwVY


#608 [みぉり]
おそらく……いや、確実に服のことを忘れていたんだろう


今度は見る見る内に顔が赤くなっていく


「ああああああのっ!!…っ///えとっ……服、ありがとう」



真っ赤な顔で俯きながらのその姿は、まるで小さな子ども


…………ユデダコみてぇ

⏰:09/03/27 05:05 📱:N905i 🆔:9cJ2rwVY


#609 [麗]
>>01-300
>>301-600

⏰:09/04/30 03:43 📱:SO905i 🆔:Eo5JWJHo


#610 [みぉり]
>>麗さん
アンカーありがとうございます
更新亀でごめんなさい

⏰:09/05/09 11:24 📱:N905i 🆔:Ex1bs22M


#611 [みぉり]
>>608から


吹き出しそうになるのを堪えつつ、続ける



「いや、俺が貸した服じゃなくてお前の制服」



今度ははっと、目を丸くして慌てだす


「私の服っ…!どこにあるの!?」

⏰:09/05/09 12:52 📱:N905i 🆔:Ex1bs22M


#612 [みぉり]
「クリーニング中」


「へ?」



ぽかん顔の園田を横目に、自室のソファにどかっと座る



「えぇっ!?そんなっお風呂から服まで申し訳なさすぎだよぉっ!」


俺の真前に正座で座る姿が、しゅんとうつむく

⏰:09/05/09 17:50 📱:N905i 🆔:Ex1bs22M


#613 [みぉり]
「俺が勝手にしてるだけだから気にすんな」


うつむく頭をぽんぽんと撫でてみても
顔をあげない

すみませんオーラが嫌ってほどに出てる

⏰:09/05/09 18:01 📱:N905i 🆔:Ex1bs22M


#614 [里紗]
かかないんですか?


めっちゃ途中

⏰:09/06/24 01:01 📱:F704i 🆔:Yecw9c/w


#615 [みぉり]
>>里紗さん

コメントありがとうございます。
感想板にてお返事を書かせていただきましたので
そちらに目を通していただければ幸いです。

感想板 
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/3579/


みぉり

⏰:09/06/26 22:27 📱:PC 🆔:xMP/tl/s


#616 [みぉり]
>>613から


「・・・・・園田?」
「・・・・けない」


「は?」


曖昧に聞こえ声に聞き返すと、ぱっと園田は顔をあげた

⏰:09/06/26 22:46 📱:PC 🆔:xMP/tl/s


#617 [みぉり]
「自分が本当に情けないなーって思ったの!!」


少しだけ眉間にシワを寄せて、
大きな独り言のように話した顔は
口を一文字にしていて・・・・・小さな子どもそのもので思わず


「・・・・・・ガキみてぇ」


ぽそりとつぶやいてしまった

⏰:09/06/26 22:57 📱:PC 🆔:xMP/tl/s


#618 [みぉり]
あ、やべ・・・余計なこといったな今



直後、まさにその通りと言わんばかりに



「どうせ、ガキんちょですよっ。ひねくれものだし、
自分の服のこととか大事なことはすぐに忘れるし?
っていうかね!まさかクリーニングに出されてるなんて思いもしないじゃない普通!!
それに誰が私の服もってったの?
・・・・あ、もももももしかして森くんっ?!?!?!?!?!?!」


と、一気にまくし立てる園田

⏰:09/06/27 02:21 📱:PC 🆔:6DDDCZg6


#619 [みぉり]
むすっとした顔から赤ら顔へと一瞬で変化したまま


”まさか、あなたがクリーニングに私の下着も一緒にだしたんですか?”


と目で訴える始末。



・・・・・・・・・・おもしろいなぁ。。。。こいつは。


ここまで勢いよく、テンションを上げ下げできるのはたいした才能じゃないかと感心してみていると

⏰:09/06/27 02:26 📱:PC 🆔:6DDDCZg6


#620 [みぉり]
「・・・・・・やっぱり、森くんが・・・・・」


再び、しゅんと泣きそうな顔になった。



・・・・・あ、説明しないとだったな



このままじゃ、俺が園田の下着をぽんっともてるデリカシーなさすぎ男にされる


そう思って口を開いた

⏰:09/06/27 03:08 📱:PC 🆔:6DDDCZg6


#621 [みぉり]
「違うって・・・・お手伝いさんの一人に取らせたんだよ」



”へ?”とキョトンと俺を見る園田



・・・・・1から説明すんのかよ



「俺だってそこまでデリカシーないわけじゃねぇよ。
お手伝いさんの一人・・・・もちろん女の。
俺は脱衣所の衣類全部をクリーニングにって頼んだだけ。
だから、お前の下着を触ってもいないし見てもいない」

⏰:09/06/27 03:11 📱:PC 🆔:6DDDCZg6


#622 [みぉり]
”安心しろ”と、園田の頭に手を置き立ち上がって横を通る


「あっ・・・・ごっごめんなさいっ」


後ろから聞こえた声に視線を向ければ
そこにはほっとした様子の園田


「ま、紛らわしい真似したのは俺だしな。
ちなみに下着だけど、俺の姉貴の未使用品だから安心しろ」


園田に背を向けたまま、おそらくまた顔を真っ赤にして
あたふたしているだろうと想像できて

ふっと笑いながら飲み物を取りに、部屋を出た

⏰:09/06/27 12:41 📱:PC 🆔:6DDDCZg6


#623 [みみ]
>>300-600

⏰:09/06/29 20:52 📱:P905i 🆔:mvV0j6To


#624 [みぉり]
>>みみさん
アンカーありがとうございます

⏰:09/06/29 23:56 📱:N905i 🆔:LcdNULUU


#625 [みぉり]
>>622から


━━−−−………
有希side


ガチャ………バタン。



扉がしまると同時に、一気に力が抜けて



すぐそばにあった、巨大クッションに倒れこんだ




……………ッ恥ずかしすぎるッ

⏰:09/06/30 00:02 📱:N905i 🆔:5n.CYsMw


#626 [みぉり]
女として……本当にダメすぎるなぁ………(涙)




はぁっとため息をはきつつ、クッションに押しつけていた顔をあげると



ちょうど、真っ正面に本棚があった




…………英語?

⏰:09/07/01 02:00 📱:N905i 🆔:pNww4Bz.


#627 [みぉり]
なんとなく、取出しパラパラめくって指が止まった。




……英語の問題とかかなって思ったけど


……………英字の本だ



難しい英文がヅラヅラ書かれた洋書が、本棚の下段にびっちり並んでる

⏰:09/07/01 02:03 📱:N905i 🆔:pNww4Bz.


#628 [みぉり]
・・・・本当に森くんって、頭いいんだ



本棚全体をぐるっと見ても、洋書や漢字がやたら多い背表紙ばかり



「はぁ〜・・・・・さすがは、飛び級」



感嘆しながら見回していたが、
ふと、下段の洋書のすみに背表紙のない本が数冊並んでいることに気づいた

⏰:09/07/01 20:14 📱:PC 🆔:0UX7.Hgw


#629 [みぉり]
「?何の本だろ」


すぅっと引き込まれるように手にとって、ページをめくると


小学生が数人でポーズをとっているもの、川辺で遊んでいるものなど


たくさんの写真が貼られていた

⏰:09/07/02 21:51 📱:PC 🆔:mlWqhtqk


#630 [みぉり]
幼いながらに、今の面影がしっかり見える。



「…………森くん、昔からきれいな顔してるのねぇ(笑)」




パラパラとめくりながら、アルバムの中の写真たちが確実に年を重ねていくのが見て取れる




あ、学ラン

⏰:09/07/03 22:52 📱:N905i 🆔:33DHwNDM


#631 [みぉり]
中学校名の書かれた門の横に


満面の笑みで並ぶ森くんと女の子



ふと、その並びに既視感を覚えた



・・・・?さっきの写真は・・・・あっ、これ



少し戻って、めくってみるとあらゆる写真のほとんどに必ずその女の子がうつっていた

⏰:09/07/05 22:23 📱:PC 🆔:GKNu5AC6


#632 [愛]
>>300-600

⏰:09/07/06 01:57 📱:SO906i 🆔:rduiCTqc


#633 [みぉり]
>>愛さん
アンカーありがとうございます

⏰:09/07/07 08:51 📱:N905i 🆔:nLRxr55g


#634 [みぉり]
>>631から


再び、中学入学式の写真をみる



この中学は、あかりと凪が通ってたトコロと同じ

⏰:09/07/07 14:57 📱:N905i 🆔:nLRxr55g


#635 [みぉり]
並んで写る二人に、ある違いを見つけた


森くんは”祝入学“の花がついた札を胸元につけているのに、女の子の胸元に花がついてない


代わりに腕に腕章をつけている



…………学年が違う?

⏰:09/07/07 17:09 📱:N905i 🆔:nLRxr55g


#636 [(*・ω・*)/~]
失礼します、、、。
>>1-200
>>201-400
>>401-600
>>601-800
>>801-1000

⏰:09/07/07 18:41 📱:SO905i 🆔:xvVMR3pw


#637 [みぉり]
>>(*・ω・*)/~さん☆

アンカーありがとうございます!!

⏰:09/07/07 23:34 📱:PC 🆔:pmM3V4m2


#638 [みぉり]
>>635から


じっとその女の子を見つめた。



髪が短くて、少しぽっちゃりした女の子



思い当たる女の子が一人、頭をよぎる。



この顔はー・・・・・笑顔は、もしかして・・・・・




「楓・・・・ちゃん・・・・?」

⏰:09/07/07 23:38 📱:PC 🆔:pmM3V4m2


#639 [みぉり]
ガチャッ・・・・・


扉の開く音に、はっと振り返る。


「あったかいのでいいか?三内さんがー・・・・」



話ながら部屋に入ってきた森くんは、アルバムを手にしている私をみて、動きを止めた



驚いた表情を浮かべた森くんと一瞬、目が合い、すぐに逸らされた

⏰:09/07/07 23:44 📱:PC 🆔:pmM3V4m2


#640 [みぉり]
スッと、お茶のセットをトレイごとテーブルにおいて、ソファに座った森くん



固まったまま動けない私





数秒の沈黙

⏰:09/07/08 21:55 📱:N905i 🆔:dHZxOh.o


#641 [みぉり]
ソファに座った森くんは、ちょうど私の真後ろで


その表情は見えなくて、余計に動くことができない



・・・・・・・怒られる。そう思った矢先




「・・・・・・・おい」


ビクッ

⏰:09/07/08 23:58 📱:PC 🆔:HH2AzPHg


#642 [みぉり]
低い声に思わず、体が強張った



振り向けずにそのままでいた私に更に低い声が響く





「……………アルバム」

⏰:09/07/09 22:20 📱:N905i 🆔:pkRu6K52


#643 [みぉり]
「はいっ!」



勢い良く振り返り、両手でアルバムを差し出すと



何もいわず無言で受け取る森くん



ページは開いていた入学式のまま

⏰:09/07/10 07:49 📱:N905i 🆔:1JnXsQzM


#644 [みぉり]
じっ、とアルバムを見つめる姿を静かに見ていた




「………こいつだよ」



「え?」



アルバムを閉じて、バサッとソファに投げ出し、つぶやいた声に聞き返す

⏰:09/07/10 21:18 📱:N905i 🆔:1JnXsQzM


#645 [みぉり]
ふぅっと息をはだした森くんと、視線が合った瞬間



「おれの幼なじみ」
「ごめんなさいっ」



勝手にアルバムを見てしまったことを謝らなくてはと、とっさに出た言葉に重なった声

⏰:09/07/10 21:39 📱:N905i 🆔:1JnXsQzM


#646 [みぉり]
「あ・・・えと・・・・勝手にアルバム見てごめんなさい・・・・あの、写真の子って・・・・・」



少し遠くを見ているような、そんな目の森くんにしどろもどろになりつつも話しかける。



「・・・・・お前、楓の知り合いなの?」


やっぱり。
あの子は・・・・楓ちゃんなんだ

⏰:09/07/12 01:09 📱:PC 🆔:px1IlGdI


#647 [みぉり]
「知り合いというか・・・・本当に顔見知り程度なの。話したのなんて1回だけで・・・・」



おずおずと話す私から視線をお茶に移した森くんは



慣れた手つきで、紅茶をカップに注ぐ。



部屋中にふわっと紅茶の香りが漂って、ふっと力が抜けた。

⏰:09/07/12 01:16 📱:PC 🆔:px1IlGdI


#648 [みぉり]
「ふーん。・・・・座ったら?」


その声に促されるように、テーブルのすぐ近くにちょこんと正座しする。



「ん、熱いから気をつけろよ。・・・砂糖はこの中」



トレイの上の可愛らしい小さな容器を私側に寄せて



森くんは、ソファに深く腰掛け直して紅茶を口に運んだ。

⏰:09/07/12 01:21 📱:PC 🆔:px1IlGdI


#649 [みぉり]
「・・・・・あの・・・・楓ちゃんが森くんの幼なじみ?」


カップには手を伸ばせず、じっと森くんを見上げるように聞く



心なしか、心臓がドキドキしているのが自分でもよくわかる



カチャンと、静かにカップを置いた森くんは再び、遠い目で私に視線を向けた

⏰:09/07/12 01:25 📱:PC 🆔:px1IlGdI


#650 [みぉり]
「楓は、生まれた時から・・・・いや、生まれる前からの幼なじみ。」


じっと、黙って森くんを見つめていると、森くんは投げ出したアルバムを開いてゆっくりとページをめくり始めた



「楓の親と、うちの親が仲良くてさ。ずっと家族ぐるみで仲がいいんだ・・・・で、生まれる前からずっと一緒にいたわけ・・・・・俺が中2までは」



声のトーンが少し下がった

⏰:09/07/12 01:46 📱:PC 🆔:px1IlGdI


#651 [みぉり]
「ここからの話は・・・・・あんまいい話じゃねぇけど・・・・聞くか?」



森くんの問いかけに、コクンとしっかり頷く



だって、今までは私の話ばかり聞いてくれていた森くんが



自分の話をしようとしてくれてるんだもん



きちんと聞きたい、そう思ったから

⏰:09/07/12 01:50 📱:PC 🆔:px1IlGdI


#652 [みぉり]
━━――――………
陽臣side


久しぶりに見るアルバム
無邪気に笑う自分と楓がひどく懐かしく感じた



「楓は俺の1つ上、園田と同い年。・・・・・といっても、誕生日が1週間しか違わないってのもあったし、子どもの時は年の違いなんて気にしたことなかった」



話ながらページをめくる
幼少期、小学校・・・・学年を超えた行事が多かったせいか
ほとんどの写真に一緒に写っている

⏰:09/07/12 16:23 📱:PC 🆔:px1IlGdI


#653 [みぉり]
毎日が楽しかった


いつも一緒にいられることが『特別』だなんて気づかなかった



だから



自分の気持ちに気づいたとき



たった1週間の年の差が、悔しくて悔しくて仕方なくなった

⏰:09/07/12 18:38 📱:PC 🆔:px1IlGdI


#654 [みぉり]
「楓が中学に入って、
途端に毎日がつまらないと感じるようになったんだ・・・・
なんでつまらないのかって、その理由が
ずっとわからなくて
毎日もやもやした気持ちだったのを覚えてる」



中学入学式の写真を開き、じっと見つめた


俺が楓を好きなんだと気づいたのは、この日だったー・・・・・

⏰:09/07/12 18:48 📱:PC 🆔:px1IlGdI


#655 [みぉり]
「入学式の日はなんでか、すごく嬉しくてな。
親を急かしながら学校へ向かったんだ。
桜がキレイに咲いていて、立ち止まってその並木道を見上げていたらー・・・・・」



『はる〜〜っ!!!』



並木道の終わりにある中学校の門から、大きく手を振りながら立つ楓が満面の笑顔を向けていた

⏰:09/07/12 18:55 📱:PC 🆔:px1IlGdI


#656 [みぉり]
「・・・・柄にもない言い方だけど、本当に心臓がドキっとすることがあるんだなって思ったよ(笑)・・・・・・そのまま門に向かって駆け出したとき、感じたんだ」


パタンと静かにアルバムを閉じて、すっと本棚の下段に戻す



「あぁ、これから毎日楽しくなるって。楓がいなかったから毎日つまらなかったんだって」


ふぅっと息を吸い込んだ


「楓を好きだと、気づいたんだ」

⏰:09/07/12 19:45 📱:PC 🆔:px1IlGdI


#657 [みぉり]
少しの沈黙


園田に視線を向けると、じっと俺を見つめる姿があった


まっすぐに俺を見据えて、その続きに耳を傾けようとしてくれているのがよくわかる



・・・・・・・誰かに、この話をする日が来るなんて思ってなかったのにな



そんな想いにかられながら、続ける

⏰:09/07/12 20:03 📱:PC 🆔:px1IlGdI


#658 [みぉり]
「・・・・・でも、実際は違った。
中学は学年別の日課が基本だったし、
急に先輩・後輩の壁を持ち出すのが当たり前の雰囲気で・・・・」


苦々しい思い出を辿りながら、話す俺の顔はどんな表情なんだろう


きっといい顔はしてねぇな・・・・



「・・・・・楓が遠くて、傍にいられる奴らがうらやましくて必死に考えた。どうやったら、楓の近くにいられんのかって」

⏰:09/07/12 20:08 📱:PC 🆔:px1IlGdI


#659 [みぉり]
俺があと2日でも早く生まれていたら
同じ空間にいられたのにと、親を恨んだことさえある



「・・・・・・考えて考えて、俺は年の問題をクリアするのに必要なものを身につけようと思ったんだ」


「?」


こどものように首を傾げる園田の頭をぽんぽんと撫でる

⏰:09/07/12 20:39 📱:PC 🆔:px1IlGdI


#660 [みぉり]
「運動も勉強も・・・・・本気でやってみようと、
がむしゃらに取り組んだ。
今まで適当にやっても
そこそこ成績はよかったし、
勉強は好きだったから・・・・・親は驚いていたけど
俺の好きにさせてくれたんだ」


別のアルバムを手に取り、園田に渡す


キョトンとしながらもアルバムを開いた園田の目が丸くなった



「え・・・・これってーっ・・・えぇっ?!」

⏰:09/07/12 20:51 📱:PC 🆔:px1IlGdI


#661 [みぉり]
━━――――………
有希side


手渡されたアルバムを見て、思わず叫んでしまった


だって、これは・・・・尋常なことじゃない



アルバムの中身は全て、新聞記事のスクラップ

それもー・・・・森くんの天才っぷりを伝えるものばかり

⏰:09/07/12 21:00 📱:PC 🆔:px1IlGdI


#662 [みぉり]
”中学1年生にして中3模試、全国トップ”

”陸上選抜、日本を背負う逸材現る”

”全国英語スピーチコンテスト、中学生がまさかの日本一に”


・・・・・などなど。。。



めくってもめくっても、絶え間なく続く森くんの伝説オンパレード



口をぽかんと開けて見ていると、スッとアルバムを森くんが取ってしまった

⏰:09/07/12 21:12 📱:PC 🆔:px1IlGdI


#663 [みぉり]
「あ・・・」

・・・・・まだ見てるのに、と思ったけれど


森くんがさっさとアルバムをしまったのを見て、口をつぐんだ


カップに手を伸ばして、少し冷めてしまった紅茶を口に運ぶ


「・・・・・でも、結局意味なかった」

⏰:09/07/12 21:17 📱:PC 🆔:px1IlGdI


#664 [みぉり]
ひどくトーンの落ちたその声に、ふと視線を向けると


頬杖をついて目を閉じた森くんがいた



「・・・・・・・意味がなかった・・・って・・・?」



聞き返す私に、森くんは目を閉じたまま口を開く



「結局、飛び級扱いで楓と同じ学年になれたわけだけど・・・・・傍にいられるようになっても、何も意味がなかったんだよ」

⏰:09/07/12 22:46 📱:PC 🆔:px1IlGdI


#665 [みぉり]
カチャン・・・・と静かにカップを置いて、その続きを待つ



「同じ学年になったのは・・・・楓が3年ん時。
春から正式に3年のクラスにいたんだけど・・・・
周りは面白がって近寄ってくる奴らばかりだったし、
肝心の楓と同じクラスじゃなくて・・・・
むしろ、あいつは俺とあまり話をしようとはしなくて、
却って遠くなったと思うくらいだった」


「・・・・・そりゃ、いきなり幼なじみが有名人になっちゃったんなら・・・・仕方ないんじゃない・・・?」


きっと、私ならそう思う。
凪が遠くなってしまったら、
今までと同じように、、、なんて戸惑ってしまう


そう思って話すと、森くんは目を閉じたまま首を横に振った。

⏰:09/07/12 22:51 📱:PC 🆔:px1IlGdI


#666 [みぉり]
「いや・・・楓は校外ではいつも通りだったんだ。
校内にいるときは、俺と一緒にいないようにしてたんだよ。」


じゃあ別に遠くになったわけではないと思うんだけど・・・と感じて
口を開いた。


「?それなら、別に遠くなったわけじゃ・・・・」
「校内だからこそ、俺は一緒にいたかったんだよ」


切実につぶやいたその声に、ぐっと黙ってしまった

⏰:09/07/12 23:15 📱:PC 🆔:px1IlGdI


#667 [みぉり]
「・・・・・わけわかんなくてな・・・・どうして校内だとあんなによそよそしいんだろうって考えてたある日、その理由を知った」


「・・・・・聞いてもいいの・・・?その理由・・・・」


聞きたいけれど、なぜだか聞いてはいけないような、
そんな気がして確認の言葉をかけた


「・・・・・楓には好きなやつがいたんだ」

⏰:09/07/13 02:23 📱:PC 🆔:Bqns71es


#668 [みぉり]
「ーーっ・・・・・・」


返す言葉がなくて、黙ってしまった


そんなの・・・・・つらすぎる


「しかも、俺の友だち。
もちろん学年は1つ上だったけど・・・・
妙に馬があって、そいつだけは俺を特別に扱わなかったから結構一緒にいたんだ・・・・。
今、思い返せばそいつと一緒にいるときだけは、楓も一緒に笑ってたんだ。」

⏰:09/07/13 02:27 📱:PC 🆔:Bqns71es


#669 [みぉり]
長いこと閉じていた目を開いた森くんは、遠くを見るような眼差しをしていた


「・・・・好きなやつに誤解されたくなくて、
俺と一緒にいないんだってわかったとき、
俺のやってきたことは意味がなかったんだって思い知った。」


「俺はさ、もっと別のことをするべきだったんだよ。
傍にいるために努力することよりも、
あいつの気持ちをどうにかして自分に向けるための方法を考えるべきだったんだろうと思う」

⏰:09/07/13 02:32 📱:PC 🆔:Bqns71es


#670 [みぉり]
森くんはふっと笑って、再び目を閉じた


「そいつのために容姿を気にして、
ダイエットしたり髪を伸ばしたり・・・・
一生懸命な楓を見てむちゃくちゃにしたいと思ったり、
・・・・・初めてみる”女”の楓を可愛いと思ったり・・・・

あの時期が一番、つらかったかもしれねぇな」


黙って森くんの言葉をひとつひとつ聞いていた


何か言葉をかけるなんて、そんな大それたことができるわけもなくて・・・・

⏰:09/07/13 03:08 📱:PC 🆔:Bqns71es


#671 [みぉり]
「・・・・・自分の気持ちにけりをつけたくて気持ちを伝えようと考えたりもしたけど・・・・
結局、楓と幼なじみの関係を断ち切ることが怖くて
・・・・そのままでいようと決めたのに
あまりに無防備な楓を押し倒してぇ
なんて感情も生まれてきて
わけわかんなくて、自分の気持ちがパンクしかけた」


あぁ・・・・そうか
前に話していたときに言っていた


『あいつを傷つけるくらいなら、いっそ離れてしまえばいいと思ったんだ』


あの言葉の裏には・・・・こんなにたくさんの想いや出来事があったんだ

⏰:09/07/13 03:20 📱:PC 🆔:Bqns71es


#672 [みぉり]
「だから・・・・・全部、やめることにしたんだ
勉強も運動も、人並み程度にしかしないようにしたり
学年を戻してもらったりして・・・・学校での距離をとった

・・・・そのタイミングで、楓に彼氏ができて
家に来ることもどんどん少なくなって・・・・あっという間に離れちまった」



身体を起こして、ケトルのお湯を新しい茶葉を入れたティーポットに注ぐ森くん


「・・・・・で、今の状態に至る・・・・ってわけ」

⏰:09/07/13 03:29 📱:PC 🆔:Bqns71es


#673 [みぉり]
コポコポと音を立てて注がれるお湯をじっと見つめて少しの沈黙



「・・・・・楓は俺が離れたことを、気にする様子はなくて・・・・
会えば話をする程度になっても平気なんだなって思ったとき、
俺は、俺個人として楓と完全に繋がりを切ることを決めたんだ

家族同士が仲良いことは、変えるつもりもなかったし
ただ、俺が自分の気持ちをリセットするために
楓と離れた・・・・・・ま、俺の一方的な想いがあるだけで
実際は楓の態度がそんなに変わったわけでもないけどな」



ふぅっと息をついて、たっぷりと色がにじみ出てきた液体を


ゆっくりとカップに注ぐ

⏰:09/07/14 23:02 📱:PC 🆔:vqebAO7Y


#674 [みぉり]
何も言葉にすることができなくて


ただ、じっと黙っていた


「・・・・・さっきみたいに話したのは正月以来だと思う。そんくらい、あいつがここに来る頻度は減ったし・・・・俺も極力、会わないようにしてるとこがあってな・・・・・」



大きく伸びて、ソファにぼすんと背を預けて目を閉じた森くん

⏰:09/07/15 00:24 📱:PC 🆔:JCcUwlek


#675 [みぉり]
「・・・・・丸2年近くたつってのに・・・・・さっき、会ったことで俺の中にはまだ楓がいるんだって痛感したよ」



つぶやくように、今までよりも小さな声で話すその姿は


切なくて、切なくて、


ぽたりと、借りたズボンに雫が落ちてしまった

⏰:09/07/15 00:27 📱:PC 🆔:JCcUwlek


#676 [みぉり]
「・・・・・・いつになったら・・・・・・俺は・・・・・」



小さな小さな、その声に溢れるものは止まらなくて


気づいた時には立ち上がって、ソファに乗っていた

⏰:09/07/15 00:33 📱:PC 🆔:JCcUwlek


#677 [みぉり]
━━━―――………
陽臣side



ふわり、とせっけんの香りがして

身体にすこしの重みと
とっさに抱き留めたやわらかな感触



「………っ……うっ…ぇ…」




いつか、聞いた泣き声

⏰:09/07/18 12:20 📱:N905i 🆔:LIN1aCiA


#678 [みぉり]
その声は、俺の頭の上から聞こえてきて



目をあけた先の視界は、室内の様子ではなく真っ白になっていた




「…ごめ……っ…ごめんなさいっ……っ…ぅ…」



園田が俺の頭を包むように抱き締めて泣いていた

⏰:09/07/18 12:38 📱:N905i 🆔:LIN1aCiA


#679 [みぉり]
「・・・・・何が?」



微動だにせず、疑問を口にする



”ごめんなさい”の意味が全くわからない



そもそも、なんでこいつが泣いてるんだ??

⏰:09/07/21 01:48 📱:PC 🆔:85Wr0fgo


#680 [みぉり]
「…っく…ずっと…っ…私の話ばかりでッ……ぅッ…」



しゃくりあげながらの言葉の続きを待つ



「森くんのッ…痛みとか…ひっく…何も……考えなくてッ………ぐちばかりで…ッ……甘えてばかりで…ッ………ごめんなさぃ…ッ」

⏰:09/07/23 00:52 📱:N905i 🆔:3zGaP5Tc


#681 [みぉり]
”痛み”?


痛みなんて・・・・・感じたことがあったか・・・・?


ふっと記憶を手繰ってみる



蘇ってくるのは・・・・・苛立ちと、焦り



・・・・・痛みは、ないような気がする

⏰:09/07/24 23:40 📱:PC 🆔:4pLa/0Po


#682 [みぉり]
…………好き…なのに…?



「…―――同じ経験があるからって………甘えすぎ…だったよね……ッ…」


はっ


落ち着いてきた泣き声に、はたと我に返った

⏰:09/07/28 20:42 📱:N905i 🆔:e6tJZDec


#683 [みぉり]
「いやな想いを…っ……させて…ごめんなさぃ……ッ…」



「………………………」


動けなかった
頭のうえから降ってくるその声は

何度もごめんなさい、と繰り返しながら

俺をつよく抱き締めたままで―……

⏰:09/07/29 10:15 📱:N905i 🆔:.5A8u9lA


#684 [みぉり]
━━━―――………
有希side



涙が止まらなかった

本当に申し訳なくて、あんなにつらい気持ちを抱えながらいた森くんに


私は、甘えてばかりで


グチばかりで、彼が一人で乗り越えられなかったことを

⏰:09/07/29 10:18 📱:N905i 🆔:.5A8u9lA


#685 [みぉり]
彼に頼りながら乗り越えよう、なんて………


離れる勇気も
そばにいるためのほほ笑みも



どちらもできる自信がないくせに


そのくせ、都合よく甘えつづけてきた自分が恥ずかしくて

⏰:09/07/29 10:21 📱:N905i 🆔:.5A8u9lA


#686 [みぉり]
気付いたときには

彼を抱き締めて、泣いて謝っていた




「……ッ…うぅ〜……ッ…」




次第に落ち着いてきた私の呼吸音だけが、静かな部屋に響く

⏰:09/07/29 10:26 📱:N905i 🆔:.5A8u9lA


#687 [みぉり]
「・・・・・・・おぃ」



くぐもって聞こえた声に、ふっと腕の力を抜く



「・・・・・はぃ・・・っ・・・」



まだ完全に呼吸が定まらず、しゃくりあげそうになりながらも返事をすると




森くんはすっと私の身体を離すように押し返した

⏰:09/08/02 16:42 📱:PC 🆔:yF8CJHiM


#688 [みぉり]
「なんで、泣いてんの?」


森くんの瞳は、静かにじっと私を見上げる。



「だッ…だって…ッ……私のわがままに付き合わせてたから…」



゛申し訳なくて…゛と、最後は視線を外し消え入るような声になってしまった。

⏰:09/08/09 13:46 📱:N905i 🆔:Qx5FtQ9U


#689 [ぽ]
>>300-500
>>501-700
>>701-900

⏰:09/08/10 00:20 📱:SH02A 🆔:lWl.cn.Q


#690 [みぉり]
>>ぽさん
アンカーありがとうございます

⏰:09/08/10 18:53 📱:N905i 🆔:jOxdGE1o


#691 [ァリス]
>>1-200
>>201-400
>>401-600
>>601-800
>>801-1000

⏰:09/08/11 01:20 📱:F801i 🆔:yF6UKG76


#692 [みぉり]
>>ァリスさん
アンカーありがとうございます更新滞りがちでごめんなさい

⏰:09/08/11 08:18 📱:N905i 🆔:J3PUOm3E


#693 [みぉり]
>>688から

ビシッ


「痛っ〜〜…ッ」



おでこに軽い痛みを感じて、とっさに額に手をおいて顔を上げた



「ばかだな、おまえ」

⏰:09/08/11 09:09 📱:N905i 🆔:J3PUOm3E


#694 [みぉり]
そこにはあきれ顔の森くん


「ばっ!?ばかってな……」
「俺が勝手にやってんだよ」
「………」

私の言葉を打ち消す声に、思わず黙ってしまう


「おまえの気持ち……わかるから」

「………ッ」

「イライラしてむかついて、苦しい自分を……そんな自分が嫌いな気持ちを知ってるから」

⏰:09/08/12 07:56 📱:N905i 🆔:nRK8c5SE


#695 [みぉり]
「…ッ!!」


ずばり私の気持ちを見透かして、さらっと言う



………だけど、そんなの…ッ
まだ自分だって消化し切れていないはずなのにッ
…私の一人よがりな話を聞くなんて……


「……だって…ッ………」
「ん?」

⏰:09/08/12 08:01 📱:N905i 🆔:nRK8c5SE


#696 [みぉり]
「………ッ…つらかった…よね…?…こんな話をダラダラと……苦しかった時を…思い出させていたでしょ…?」



少しの沈黙。



「…………つらくねぇよ、もう」


ぽつりと答えた声は、小さいけれどどこか、やわらかい感じがした

⏰:09/08/12 10:37 📱:N905i 🆔:nRK8c5SE


#697 [みぉり]
「もう、ほとんど落ち着いてる」

再びソファに座りなおし、私を隣に座らせながら話した

…………けど、私の中にあるのは



「……………うそつき」




信じきれない自分

⏰:09/08/15 23:02 📱:N905i 🆔:/9N7.7tw


#698 [みぉり]
「は?」

「…ッ………だって、さっき……いつになったら…って言った」

「ッ……それは………」



私の言葉に今度は森くんが黙ってしまった


ほら……やっぱりそうじゃない……


そんなに…簡単に割り切れるわけ……

⏰:09/08/15 23:18 📱:N905i 🆔:/9N7.7tw


#699 [みぉり]
「うそじゃねぇよ」
「………」



「あいつ……楓と離れて…少しずつ楓が薄れていってるのは事実」

遠い目の横顔をじっと見つめる

⏰:09/08/15 23:30 📱:N905i 🆔:/9N7.7tw


#700 [みぉり]
「……だけど、………どうしたって残る。好きで好きで仕方なかったんだから……完全にはなくならねぇよ」



どこか自分に言い聞かせるような、けれども納得したような………そんな顔に私は




「…………そ、か」



と自然に答えていた

⏰:09/08/16 11:21 📱:N905i 🆔:.Ij2WFbQ


#701 [みぉり]
なんとも言えない沈黙が流れる



………『どうしたって残る』確かにそうかもしれない


私と同じような道を先に通っている彼が言うのだから


いつか、私の中の凪も…………




「おまえと俺は違うけどな」

⏰:09/08/16 13:13 📱:N905i 🆔:.Ij2WFbQ


#702 [みぉり]
「え?」


私と視線を合わさないまま続ける

『薄れていくんだろう』と思っていたのに………違うって……?


「俺はおまえと違って、日常から楓をなくした。いない日常を当たり前にしたから薄れてきたのかもしれない…………だから」


……………そういうこと…


「凪を………日常に残したまま……幼馴染みでいる私は……」



ゆっくり私に向き直る森くんがわかって、私は俯くように視線を落とす

⏰:09/08/16 14:35 📱:N905i 🆔:.Ij2WFbQ


#703 [みぉり]
「………薄れることは…ないかもしれない……のかな……?」


力なくつぶやいた私の頭に、ぽんぽんとぬくもりを感じた


「…………わかんねぇ」


頭に手を乗せたまま、低いトーンの声に顔を上げずにそのままでいると



ぎゅうっ

⏰:09/08/16 14:53 📱:N905i 🆔:.Ij2WFbQ


#704 [みぉり]
「ももも森くん!?///」


突然、変わった視界と体温に慌てて声をあげるが



ぎゅううっ



「〜〜ッ////」


より強く抱き締められて、緊張で心拍数が一気にあがった

⏰:09/08/16 17:58 📱:N905i 🆔:.Ij2WFbQ


#705 [みぉり]
「…………がんばれよ」
「………え…?」


耳元で聞こえる声は続ける


「俺が一緒にいてやるから」


その言葉に視界が、うっすら歪む

「ッ……だって…そんな甘えられないよ」

⏰:09/08/16 18:35 📱:N905i 🆔:.Ij2WFbQ


#706 [みぉり]
「ばぁか……俺が勝手にやってるだけだって言ったろ?」


すっと腕が離れて、見上げた森くんはいたずらっこのような笑顔


うるうると涙が溜まっていた私もつられて笑ってしまった



「……………ありがとう」

⏰:09/08/16 18:53 📱:N905i 🆔:.Ij2WFbQ


#707 [みぉり]
「また泣いてんのかよ」

「なっ泣きません!!」


けたけたと笑いながら、入れたまま飲んでいなかった紅茶を口へ運ぶ森くん見て


私もそれを飲み干した


砂糖を入れていないからか、ちょっと苦いような、ほんのり甘いようなそんな味がしたー・・・・。

⏰:09/08/17 01:39 📱:PC 🆔:2U1ig6GY


#708 [みぉり]
━━━―――……
少し落ち着いて、
さっきまでの重い雰囲気ではなくソファに並んで座ったままゆったりしていると



「………無理に消す必要はないけど、他の世界に目を向けることも大切だと思うぞ」


「へ?」



ふと、森くんが口を開いた



「視野を広げろってことだ」

⏰:09/08/17 22:48 📱:N905i 🆔:FgvliyIg


#709 [みぉり]
プルルルル………
「お、クリーニング終わったか?」



ソファから立ち上がり、内線電話をとる森くんの後ろ姿をじっと見つめる


視野を……広げる………か…

⏰:09/08/18 12:36 📱:N905i 🆔:9HI5uOfY


#710 [みぉり]
確かに、今までの私は


毎日学校と家の往復ばかり


塾に通うわけでなく、バイトをしているわけでもなく



よくよく考えてみれば、なんて狭い世界の中にいるのだろう

⏰:09/08/23 00:31 📱:PC 🆔:89PzgXoI


#711 [みぉり]
「……あぁ……ありがとう……部屋に頼める?…じゃぁ…すぐ」


ガチャン



「おぃ、クリーニング終わったって。すぐに持ってきてくれるから」



その言葉に、着替えを待っていたことを慌てて思い出した

⏰:09/08/23 01:35 📱:N905i 🆔:iKYjFwlo


#712 [みぉり]
「ああっありがとうございますッ!!」


「ん?元はと言えば、俺のせいだし………気にすんな」


ぽんぽんっと私の頭を撫でて笑う森くん


………そういえば、
森くんってよく、頭を撫でるけどくせなのかしら?

⏰:09/08/28 12:23 📱:N905i 🆔:2/u.you6


#713 [みぉり]
そんなどうでもいいことを考えてるうちに『コンコン』と扉をノックする音が聞こえた


ガチャ・・・・


「はい・・・・あ、サンキュ」


「いえ、こちらです・・・・・では失礼いたします。」


バタンッ・・・・


 

⏰:09/09/13 02:22 📱:PC 🆔:rdeG8H1A


#714 [みぉり]
「ほれっ」


バサッ


「うゎゎゎ…ッ」



振り向きざまに投げられた服を慌てて受け取る

⏰:09/09/20 18:03 📱:N905i 🆔:RnhLk7Sc


#715 [みぉり]
それは紛れもなく私の下着



「……〜〜〜〜ッ///」

「わっ…わりぃっ///」


一気にあがる体温と、森くんの真っ赤な顔に



「ばかー――――――っ///」


と、叫びすぐそばにあったクッションを思いっきり森くんに投げ付けた

⏰:09/09/23 17:07 📱:N905i 🆔:spxe/CYY


#716 [みぉり]
「っと……あ、ありがとうござ……ッ………」 

「どういた……しまし……」



ぺこりと頭を下げた先に見えたものに思わず私も、森くんも動きがとまった。



ちょうど、二人の間に落ちている薄いグリーンのもの

⏰:09/09/23 17:07 📱:N905i 🆔:spxe/CYY


#717 [みぉり]
【訂正】
すみません!!
715と716が逆です
読みにくくしてしまい申し訳ありません。



みぉり

⏰:09/09/23 17:09 📱:N905i 🆔:spxe/CYY


#718 [みぉり]
「っと……あ、ありがとうござ……ッ………」 

「どういた……しまし……」



ぺこりと頭を下げた先に見えたものに思わず私も、森くんも動きがとまった。



ちょうど、二人の間に落ちている薄いグリーンのもの

⏰:09/10/04 23:28 📱:PC 🆔:jTDftYgs


#719 [みぉり]
それは紛れもなく私の下着



「……〜〜〜〜ッ///」

「わっ…わりぃっ///」


一気にあがる体温と、森くんの真っ赤な顔に



「ばかー――――――っ///」


と、叫びすぐそばにあったクッションを思いっきり森くんに投げ付けた

⏰:09/10/04 23:28 📱:PC 🆔:jTDftYgs


#720 [みぉり]
━━━―――……
ガチャ・・・・ぼふっ


「・・・・・疲れた」



自室に戻って、ベットに倒れこむ


枕元の時計が示すのは20時すぎ


ちらり、と放り出したカバンを見る

・・・・借りた衣類はきちんと私が洗濯するからっと


無理やり森くんから奪い取って、入れた服でパンパンなそれ

⏰:09/10/04 23:33 📱:PC 🆔:jTDftYgs


#721 [みぉり]
「・・・・何してんだか」


家まで送ると言ってくれた森くんの言葉を押しのけ

ちょっぴり肌寒い道を、てくてく歩いてみたらなんと30分近くもかかってしまって


こんなに遠かったのか・・・と後悔しながら帰宅して今に至る


「着替えよ」



のろのろと、部屋着に着替えて一息つく

⏰:09/10/04 23:37 📱:PC 🆔:jTDftYgs


#722 [みぉり]
再び、ごろんと仰向けにベットに寝転がって一日を振り返る


・・・・・・森くんは、いつだって私を励ましてくれて


口は悪いけど、でも、いつも私の気持ちを見透かしていて


・・・・・・よく考えれば、それは、同じように・・・


むしろ、私よりもつらい経験があるからこそ、分かること


甘えてばかりで、ぐずぐずと、立ち止まっている私とは違う

⏰:09/10/04 23:41 📱:PC 🆔:jTDftYgs


#723 [みぉり]
・・・・自分にけじめをつけて、決断して、森くんの今がある


楓ちゃんとは・・・・距離があるけど、それでも


それを承知で、苦しい覚悟で今を選んでるー・・・・




「私って・・・・本当に中途半端。。。」

⏰:09/10/04 23:43 📱:PC 🆔:jTDftYgs


#724 [みぉり]
何度目かわからないため息をつく


甘えたっていいと、森くんは言ってくれた


視野を広くもつことも大切だとも………



「視野を広く……か…」


ふ、とパソコンを立ち上げて求人サイトをにアクセスする

⏰:09/10/06 17:23 📱:N905i 🆔:Rg9CNrpU


#725 [みぉり]
「コンビニ・・・・飲食・・・・へぇ・・・電話番なんてあるんだ」


カチカチッとパソコンを操作しながら

次々に募集要項をチェックする


色んな職種があるけど・・・・・でも、高校生ができる仕事なんて限られてる



「18歳以上・・・・またかぁ〜・・・」

⏰:09/10/08 21:33 📱:PC 🆔:BV9enb/g


#726 [みぉり]
「コンビニ……780円か…ぅうん………」


あくまで、視野を広げるって意味でバイトを探しているとはいえ



できれば給料が高いほうがいい、という願望も捨て切れず


カチカチ……


「あっ……これ……」

ひたすら画面を操作していて、目についた広告

⏰:09/10/10 11:04 📱:N905i 🆔:FU6ZODxg


#727 [みぉり]
『高校生可 時給:950円〜
 仕事内容:受付、事務処理』


これは…なかなか手頃な仕事かも

「なになに……」



詳しく見ると、それはとある塾の受付兼事務処理の仕事らしく

データ入力や館内案内が主な仕事らしい

⏰:09/10/11 14:32 📱:N905i 🆔:Tq/xRW9Q


#728 [みぉり]
「へぇ・・・・これなら私でもできそう♪」


早速、申し込み画面に進みメアドを登録してデータを送信



カタカタ・・・・カタ・・・カチッ


「あとは面接とか?とにかく連絡を待つわけね」

⏰:09/10/21 23:28 📱:PC 🆔:Gb6NXVoA


#729 [みぉり]
パソコンの電源を落とし、決まってもいないまだ見ぬバイトへの期待にわくわくしながら


怒涛のように過ぎた一日の疲れをとるためにすぐに眠りへ落ちていったー・・・・・




━━━―――……
数日後


「・・・・・なんで住所をちゃんと確認しなかったんだろ」


大きなオフィスビルを見上げて、思わずため息がでた


あの塾の仕事は特に面接もなく、電話のやりとりだけであっさりと合格

⏰:09/10/21 23:55 📱:PC 🆔:Gb6NXVoA


#730 [みぉり]
この場所、家からそんなに遠くもないし
自転車で十分に通える距離なのだけれど・・・・・



「はぁ・・・・」



再びため息をついて、道路を挟んで向かいの建物に視線をうつす


そこに見えるのはお洒落なバー・・・・


「・・・・・よりによって、凪のバイト先の向かいって・・・」

⏰:09/10/21 23:58 📱:PC 🆔:Gb6NXVoA


#731 [みぉり]
肩を落としつつも視線を戻し、ゆっくりとオフィスビルの扉を押しあけたー・・・・。





━━━―――……
「ゆうちゃん!!この書類コピー30部頼める?」


「はぁい!」


受付のすぐ後ろにあるコピー機を操作しつつ、ふぅっと息をつく。

⏰:09/11/14 16:02 📱:PC 🆔:bgWvNAX2


#732 [みぉり]
カシャンカシャンと、勢いよく紙を吐き出すコピー機の前にいると


隣に張っているカレンダーが視界に入った




「・・・・・今日で1週間かぁ〜」



「あっちゅーまっしょ?」


後ろから聞こえた声に振り返ると、数人のバイト仲間が立っていた

⏰:09/11/14 16:17 📱:PC 🆔:bgWvNAX2


#733 [みぉり]
「けいちゃん!」


”けいちゃん”は私に『はい、これ』とコンビニ袋を差出してにっこり笑う



「ゆうちゃんがバイトきて、もう1週間なんてねぇ〜早すぎるわ」とけいちゃん。


「最初は受講生かと思ったもんな」となおさん。


「そうそう!超びびったよね、受付できんの?!みたいな(笑)」とりかさん。

⏰:09/11/14 16:38 📱:PC 🆔:bgWvNAX2


#734 [みぉり]
「うぅ・・・・いや、確かに・・・・できるかめちゃ不安になりましたもん」


私がコンビニ袋に入ってたポッキーの袋をあけながら答えると


3人はポッキーに手を伸ばして笑う。


けいちゃん、なおさん、りかさんは大学生で
この塾で講師のバイトをしている。つまりは先生。

⏰:09/11/14 16:43 📱:PC 🆔:bgWvNAX2


#735 [みぉり]
しっかりもののけいちゃん、子どもっぽいりかさん、まとめ役のなおさん


この1週間で感じた3人の印象はこんな感じで・・・・


「あ、そろそろ授業始まるわ!りか!なお!急がなきゃ」


「えー・・・・もうちょいポッキー食べたい」


再びポッキーに伸ばそうとした手を掴まれ、りかさんをひっぱりながら「またね」と手を振って去っていくけいちゃん

⏰:09/11/14 16:55 📱:PC 🆔:bgWvNAX2


#736 [みぉり]
「おーい、俺をおいてくなよ」


ふっと困り顔で二人を見て、ため息をついたなおさんの手がぽんと私の頭を撫でる



「じゃ、またな。気をつけて帰れよ」


「はい。頑張ってね、先生」



ヒラヒラと手を振って教室に向かうなおさんたちを見送り、
とっくに終わっていた30部の書類を揃えて、塾を出る

⏰:09/11/14 17:07 📱:PC 🆔:bgWvNAX2


#737 [みぉり]
この1週間、私は毎日この塾でせっせとバイトをしていた。



初めてのバイトで緊張していたけれど、扉を入ってすぐにけいちゃん達が声をかけてくれてー・・・・・


『はじめて見る顔ね・・・・申し込みにきたの?』


『へ?あっいや・・・受付のバイトで今日からお世話になります!!園田有希と申しますっ!よろしくお願いしますー・・・・・』



・・・・・と、いう感じバイトが始まった。

夕方から22時までのバイト中、けいちゃん達も毎日バイトで・・・

ちょこちょこ声をかけてもらえて、本当にありがたいこと限りない

⏰:09/11/14 17:31 📱:PC 🆔:bgWvNAX2


#738 [みぉり]
両手をぐーっと伸ばして肩をまわして息を吐き出す



「・・・・・・帰ろっと」


くるり、と駐輪場に向かうためにみながらも



ちらっと凪のバイト先を見てしまう。



ガラス越しに店内の様子も見えて・・・・中に凪がいることを確認しつつ

⏰:09/12/01 21:43 📱:PC 🆔:1h9DhuWc


#739 [みぉり]
塾でバイトしていることを見つからないように


そそくさと、自転車に乗って帰路につく。


・・・・・・凪とは話をするのは、とても少なくなった


というより・・・・・私が、凪との時間を持たないようにしている



『いつまでも一緒』にいると、気持ちが整理できないかもしれない

⏰:09/12/01 21:45 📱:PC 🆔:1h9DhuWc


#740 [みぉり]
凪への気持ちをなくしたいわけじゃない



だけど、森くんの話を聞いて、自然に気持ちが薄れていく日が来ないんじゃないかって不安になったから



幼なじみでいたいと願った自分の気持ちと


凪を好きな自分の気持ちの両方をとることは


あまりにも都合がよすぎて・・・・・

⏰:09/12/01 21:51 📱:PC 🆔:1h9DhuWc


#741 [みぉり]
視野を広くすると決めたこの機会に



ほんの少しだけ、凪への気持ちと距離を置くことにした


━━━―――……
「ただいまー」



トントントン・・・・ガチャ、バタンッ


ドサッとカバンを机に置いて、ポケットから携帯を取り出す。

⏰:09/12/01 21:56 📱:PC 🆔:1h9DhuWc


#742 [みぉり]
ピッ・・・ピッ・・・・


新着メールあり、の表示を操作して思わず手が止まった



新着メール:森 陽臣



「・・・・・森くん」



ピピッ・・・・・ピッ・・・

⏰:09/12/01 21:58 📱:PC 🆔:1h9DhuWc


#743 [みぉり]
【最近、屋上で会わないけど元気?】


「・・・・・」



森くんに、バイトを始める報告をして以来、屋上には行っていない


・・・・・あの日、森くんの話を聞いてから自分が恥ずかしくなったから


森くんは気にしなくていいといってくれたけれど・・・・なんて中途半端で都合がいいことしか考えてないんだと

⏰:09/12/01 22:02 📱:PC 🆔:1h9DhuWc


#744 [みぉり]
自分で自分が情けなくて、会いにくいと自分自身で思ってしまったから




ピッピッ・・・・ピッ・・・


【メールありがとう。元気だよ〜!バイトも楽しいのと忙しいのとで放課後もすぐ帰っちゃってるんだ。連絡しなくてごめんね】



できるだけ当たり障りのないように・・・・普通の感じで・・・とメールを返した

⏰:09/12/01 22:04 📱:PC 🆔:1h9DhuWc


#745 []
気になります

⏰:10/02/04 09:24 📱:SH01B 🆔:HGI75EHE


#746 [みぉり]
長らく放置ですみませんでした

>>さん
ありがとうございます

⏰:10/02/12 18:55 📱:N905i 🆔:cQu7MZqQ


#747 [みぉり]
>>744から

トサッ……と、ベットに携帯を置く。



この一週間を振り返って、気付いたこと。




私は、本当に森くんに救われてばかりだったということ




…………まだ、会えないなぁ

⏰:10/02/12 19:00 📱:N905i 🆔:cQu7MZqQ


#748 [みぉり]
もう少し、自分の覚悟を貫けるようになって




凪への見方が少しかわって




そうしたら、会う気持ちにつながると思うから





今はまだ、このまま頑張ってみよう

⏰:10/02/20 10:20 📱:N905i 🆔:Ay0MMAXk


#749 [みぉり]
━━――……
陽臣side



ピッ………


久々に届いた、園田からのメールを読んで画面を閉じる



―――………やっぱりまずかったな




繰り返し考えるのは、先日の出来事




あの話を園田にしたのは、やっぱりよくなかったのかもしれない

⏰:10/03/07 16:45 📱:N905i 🆔:hsR3zGkc


#750 [みぉり]
俺と同じ立場だからと……話したけれど



俺と園田は違う



付き合いは短いが、自分を追い込みやすい性格にも見えた

⏰:10/03/12 14:23 📱:N905i 🆔:lvA2vWjg


#751 [みぉり]
そのことが引っ掛かって仕方がない


手帳に挟んだ時間割りを取り出して


明日の教科を確認する


………選択は…2時間目か

⏰:10/03/12 14:26 📱:N905i 🆔:lvA2vWjg


#752 [みぉり]
たまたま、古典のじいさんの都合でこの数日は授業がなかった


あれ以来、会っていない園田の顔を見るにはいいタイミングだな―――………

⏰:10/03/12 14:40 📱:N905i 🆔:lvA2vWjg


#753 [みぉり]
見やすくするのに立てます
☆アンカー☆
>>1-100
>>101-200
>>201-300
>>301-400
>>401-500
>>501-600
>>601-700
>>701-800

⏰:10/03/12 14:49 📱:N905i 🆔:lvA2vWjg


#754 [我輩は匿名である]
━━━―――……
翌日
キンコーンカンコーン・・・・


「・・・・−で、ここの係り結びになるのはー・・・」



現在、古典の授業中
遅れを取り戻すためか、じいさんが口早に進めていく


それに付いていこうと、カリカリとノートに書き込む音が響いている中


俺は一人、ペンを握ることもなくじっとある後姿を見ていた

⏰:10/03/14 12:47 📱:PC 🆔:AdczLphM


#755 [みぉり]
「・・・・・・・・あからさまだろ」



ボソっと呟いてため息をつく


俺の視線の先の人物は、黒板のまん前で必死にノートを書いている


つい、この前までは俺の真後ろに座っていたはずなのにー・・・・


「すると・・・ココはどうなるかね?・・・君、・・・ええと」

「はい。園田です。そこは『今は昔』ですから『今となっては昔のことだが』となります。」

⏰:10/03/14 12:54 📱:PC 🆔:AdczLphM


#756 [みぉり]
「よろしい。ではー・・・」


ストンと椅子に座り、再び、ノートを書き出す園田の姿に


俺は大きくため息をついたー・・・・。

⏰:10/03/14 13:30 📱:PC 🆔:AdczLphM


#757 [みぉり]
確かに、あの話をしたのはまずかったかなとは思った


気にするんなと言ったが、あいつの性格上追い詰めるかも・・・とも後悔したさ



でも・・・・避け方が露骨すぎるだろぉ園田・・・・。



イライラもやもやする気持ちをそのままに、


机に突っ伏して、意識を手放すことにしたー・・・・。

⏰:10/03/14 13:33 📱:PC 🆔:AdczLphM


#758 [みぉり]
「――……ん…森くんッ」


「ぁ…?……どこ…?」


ふいに戻された現実に、はっきりしない頭のまま呟くと


「んっもう!!やっと起きた〜……」


あきれ顔でため息をつく園田が映り、そこでやっと目が覚めた

⏰:10/03/14 19:01 📱:N905i 🆔:snuQh3bs


#759 [みぉり]
――ガタガタガタッ
「なっ……ッ園田ッ」


思わず、身体を飛び上がらせた俺を見て笑う



「驚きすぎっ笑………も、授業おわったよ?休み時間もおわるし―……あのコに席返してあげて?」

言いながら、自身の後ろにチョコンと立ってる女子を指差す

⏰:10/03/15 00:01 📱:N905i 🆔:eXWAU22E


#760 [みぉり]
「あ・・・わりぃ・・・」


慌てて、ノートやら教科書やらをまとめだすと同時に


園田がすっと扉に向かって歩き出す。



「あっ!おいっ・・・・っ」


慌てて後ろから声をかけるも、園田は振り向くことなく足早に教室を出て行ってしまった。

⏰:10/03/15 00:16 📱:PC 🆔:38EE/k9o


#761 [みぉり]
んだよっ・・・そこまで避けんなよ・・・っ


イラっと気持ちがこみ上げて、ぐっと握った分厚い教科書がやや変形しているのを感じつつ扉を見つめているとー・・・・


「・・・・あのぉ〜・・・・」


手を止めた俺に申し訳なさそうに切り出す声に我に返る。


はっと視線を移せば、困り顔で俺をチラチラ見る女子


・・・・・とりあえず、教室戻らないと・・・だな

⏰:10/03/15 00:21 📱:PC 🆔:38EE/k9o


#762 [みぉり]
「あぁ、すみませんでした。ありがとうございました」


いかんせん、相手は上級生だ(いくら飛び級とはいえ)


俺はニコリと笑って、丁重に挨拶をすると教室を後にしたー・・・・

⏰:10/03/15 00:24 📱:PC 🆔:38EE/k9o


#763 [みぉり]
━━━―――……
有希side



うぅ〜・・・・気まずくしちゃった・・・よね


教室を後にしながら、次の移動先の音楽室へと廊下を歩く


森くんの顔をまともに見れなくって・・・結果、避けてますってアピールするような態度を取ってしまった


「はぁ・・・・ばかだ私って」

⏰:10/03/15 00:32 📱:PC 🆔:38EE/k9o


#764 [みぉり]
ため息をつきながら、10組の前を歩いていると


「あれ?有希?」


びくっ


後ろから耳馴染みの声に呼ばれて足が止まった



「・・・・・凪」



ゆっくりと振り返った先には、大好きな笑顔で手を振る凪がいた

⏰:10/03/15 00:40 📱:PC 🆔:38EE/k9o


#765 [みぉり]
「・・・・次、移動か?」


「ん・・・音楽で・・・・」


「そか・・・」

「・・・・・」



それ以上は生まれない会話に沈黙が流れる。

どちらとも、次の言葉を紡がない。


「・・・じゃね」

「あぁ・・・」

⏰:10/03/15 00:45 📱:PC 🆔:38EE/k9o


#766 [みぉり]
少し困ったような笑顔で手を振る凪に


私もニコリと笑顔を浮かべて、前を向いて歩き出す。



「「ーーー・・・・はぁ、何してんだろ」」



お互いに同じ科白を呟いてるなんて、思いもせずにー・・・・

⏰:10/03/15 00:48 📱:PC 🆔:38EE/k9o


#767 [みぉり]
━━━―――……
凪side


有希の後ろ姿が廊下を曲がり、見えなくなったところで廊下の壁にもたれた。



「・・・ばかじゃねぇの」



有希が俺を避けている。
この数日の有希の態度が、間違いなくそれを示してる。


それは俺にとっても、都合がいいことのはずなのにー・・・・

⏰:10/03/15 00:54 📱:PC 🆔:38EE/k9o


#768 [みぉり]
姿を見つけるたびに声を掛けてしまう自分がいる。


俺が名前を呼ぶたびに、緊張で肩を大きく揺らして


『どうしよう』と訴える瞳でこちらを向くことが分かっているのに


俺から話しかけなければ簡単に消えてしまいそうなつながりを
必死に繋ぎとめようとしている。


有希が・・・・きっと、自分と俺を想ってその態度を取っていることもわかってるのに

なんて、俺は臆病者なんだろう

⏰:10/03/15 01:06 📱:PC 🆔:38EE/k9o


#769 [みぉり]
「・・・・凪?どしたの?」


はっと声の先を見ると、高く結った髪を傾げて楓が立っていた。


「・・・や、なんでもないよ」


「さっきの・・・えと、有希?ちゃん??」

眉間にシワを寄せて、『そうだそうだ』と一人で答えに納得している楓の言葉に驚いた


「そうだけど・・・楓って面識あったっけ?」


「ん?あかりとよく一緒にいるとこ見てたし、前にちょっと話したことあるのよ」

⏰:10/03/15 03:05 📱:PC 🆔:38EE/k9o


#770 [みぉり]
ケロッと話す楓に『へぇ』と相槌を打つと、丁度、3時間目を告げるチャイムが鳴った


そのまま『じゃあ・・・』と10組の教室に戻る俺に、11組へと向かう楓の独り言が聞こえる



「ん〜、この間ハルの家にいた子だよね。。。ハルと付き合ってるのかなやっぱり」


ぴたっ


「・・・・・・・は?」

⏰:10/03/15 03:09 📱:PC 🆔:38EE/k9o


#771 [みぉり]
思わず足を止めて楓の方を振り返ったが、楓は既に教室に戻りピシャンと扉のしまる音とチャイムが鳴り響く




『ハルと付き合ってるのかな』




俺の頭の中には、さっきの楓の言葉が繰り返し流れて、

数学の瀬戸に声を掛けられるまで、その場から動けずにいたー・・・。

⏰:10/03/15 03:13 📱:PC 🆔:38EE/k9o


#772 [みぉり]
━━━―――……
陽臣side
・・・・・キンコンカンコーン


「っだぁ〜ッ・・・・俺はどうすりゃいいんだよッ」


放課後、今日一日で溜まった苛立ちを解消するために屋上へと足を運び、


思いっきり空に向かって叫んだ



・・・・・結局、あの後園田と顔を合わせることもなく(選択以外は別教科なので)一日が過ぎた


会ってどうにかなるものではないかもしれないが


あんなに露骨に避けられたら、文句の一つも言いたくなる

⏰:10/03/15 03:23 📱:PC 🆔:38EE/k9o


#773 [みぉり]
そりゃ、俺が余計なことを話したせいで・・・・


そうなったこともわかってる。わかってはいるが・・・・



なんでか、ムカムカとして落ち着かない。


ガッシャン・・・・思わず、すぐ近くのフェンスを蹴り上げ、ふと下を見下ろす

⏰:10/03/15 03:26 📱:PC 🆔:38EE/k9o


#774 [みぉり]
「・・・・・園田」



見下ろした先は、駐輪場


赤い自転車を押しながら、正門へと向かう園田の姿があった。


その後姿を思わず、目で追う。



ー・・・・あいつ、どこの塾でバイトしてんだ?

⏰:10/03/15 03:29 📱:PC 🆔:38EE/k9o


#775 [みぉり]
そんな疑問が降って沸いた。


俺が視野を広くしたらどうか、と提案したのがきっかけで園田はバイトを始めた。


それは本人にとって、つらいことになってはいないだろうか?


楽しいと言っていたけれど、本当だろうか?


『凪』から距離をとるために、俺に頼らないためにとった行動に違いない。


それなら余計に、無理をしていないだろうか?

⏰:10/03/15 03:33 📱:PC 🆔:38EE/k9o


#776 [みぉり]
そんなことが気になって、居ても立ってもいられなくなった俺は


そのまま園田の後を追ったー・・・・。


━━━―――……


「ここかよ・・・・」



園田の赤い自転車を確認し、改めてそのビルと周りを見回す

⏰:10/03/15 03:35 📱:PC 🆔:38EE/k9o


#777 [我輩は匿名である]
777 777 777
777 777 777
777 777 777

⏰:10/03/15 04:28 📱:SH904i 🆔:Hyd/Sg5U


#778 []
<<168ー200
<<201ー300
<<301ー400
<<401ー500
<<501ー600
<<601ー700
<<701ー800
<<801ー900
<<901ー1000
>>168ー200
>>201ー300
>>301ー400
>>401ー500
>>501ー600
>>601ー700
>>701ー800
>>801ー900
>>901ー1000

⏰:10/03/15 05:50 📱:P08A3 🆔:/DZafVrI


#779 [みぉり]
>>さん
ありがとうございます

⏰:10/03/15 19:39 📱:N905i 🆔:eXWAU22E


#780 [みぉり]
>>776から


夕方の今、特に人がいるわけでもなく


閑散としたこの路地の一角



しかし、夜も7時を回りだすとこの辺りは趣きを変え、夜の町の一旦を担う

⏰:10/03/15 19:44 📱:N905i 🆔:eXWAU22E


#781 [みぉり]
………こんな場所でバイトしてんのか


思わず、ため息が出る。

―…ってか、俺はここまで来てどうすんだよ

結局、塾の中にいる園田の様子なんで掴めるわけがない

⏰:10/03/15 19:58 📱:N905i 🆔:eXWAU22E


#782 [みぉり]
…………どーすっかな



ちらりと、視線を落とした先の、手元の時計が示す時間は17時すぎ

塾の隣には、マクドナルド


……………ちょうど、小腹も空いたことだし


そのままマックへと、足を向けることにした―……。

⏰:10/03/16 20:07 📱:N905i 🆔:BVxPAIyI


#783 [みぉり]
━━━―――……
有希side

塾のバイトは、まずは職員専用の制服に着替えることから始まる。


着替えたら、受付について今日の授業を確認する。


先生によっては、毎回資料の印刷を頼んでくる人もいたりするので印刷機とか用紙の残部をチェック


18時から開講なので、それまでの時間がばったばた動き回って・・・・・・

⏰:10/03/17 03:16 📱:PC 🆔:3Ve/zHtc


#784 [みぉり]
「うぅ〜ん・・・・後は政経と物理か・・・・」


現在、19:08。
18時からの1講義目が終わったら、今日は2講義目でおしまいの日。


そろそろ、講義終わりでけいちゃんたちが、受付に顔を出してくれる頃

⏰:10/03/17 03:21 📱:PC 🆔:3Ve/zHtc


#785 [☆]
>>1-100
>>101-200
>>201-300
>>301-400
>>401-500
>>501-600
>>601-700
>>701-800
>>801-900
>>901-1000

⏰:10/03/17 09:28 📱:N905imyu 🆔:Bws6GZds


#786 [みぉり]
>>☆さん
アンカーありがとうございます(^^)

⏰:10/03/19 01:14 📱:PC 🆔:6pRh0USQ


#787 [みぉり]
>>784から
そんなことを思いながら、印刷した物理の資料をまとめて


配布物の棚へ並べてから事務室に戻ると


見たことのある後姿が、目に留まった。




思わず、足が止まった

⏰:10/03/19 01:17 📱:PC 🆔:6pRh0USQ


#788 [みぉり]
・・・・・え、・・・・な・・・んで?


事務室の扉を開けた正面の一角は、受付


その受付から見えたその姿は、間違いなく・・・・



高く結った髪、うちの学校の制服



「あの、語学クラスの椎名ですがー・・・・」

⏰:10/03/19 01:20 📱:PC 🆔:6pRh0USQ


#789 [みぉり]
振り向いて、窓口のぞく、くるんと大きな瞳


「あっ・・・・えと、有希ちゃん?」


間違いなく



「あ、はい・・・・どうも・・・」



楓ちゃんだ

⏰:10/03/20 10:43 📱:PC 🆔:4r6Pvan2


#790 [みぉり]
「ここでバイトしてるんだ〜!あ、私ね、ここの語学クラスで受講してるの。これからお世話になることもあるかと思うし、よろしくね」



「そうなんだ・・・こちらこそ・・・あ、何か聞きたいことがあったみたいだけど・・・?」



ニコニコ可愛い笑顔で、私に声をかけてくれる楓ちゃんを


直視できなくて、すぐに視線を下げて、話題を変えてしまった。

⏰:10/03/21 15:54 📱:PC 🆔:qFSnihsM


#791 [にゃーン星]
月に5000円稼いでるぢぇイ
tmse.jp/..
        

⏰:10/03/21 19:32 📱:W61SH 🆔:9Z1nhY3w


#792 [みぉり]
「あ、そうそう……」



楓ちゃんの話を聞いて、書類を出して手渡し去っていく後ろ姿にほっとため息をつく



「なんだ?ため息ついて」



ばっ


「なおさんっ!!」

⏰:10/03/21 23:34 📱:N905i 🆔:e7Gde336


#793 [みぉり]
すぐ後ろに、ペットボトルを片手に授業終わりのなおさんが立っていた。



「?今の―…知り合いか?」



「ん、同じ高校の」



ふぅん、と興味もそこそこに次の時間に使う資料を印刷しにいくなおさん

⏰:10/03/21 23:43 📱:N905i 🆔:e7Gde336


#794 [みぉり]
ほっと胸を撫で下ろし、時間を確認していると


パタパタと駆け寄る足音が聞こえてきた。


「なお〜っ!私のっ、これっ・・この資料印刷よろしく〜!!あ、特進クラスのデスクに置いといて〜っ!!」



長い髪を振り乱して、事務室に駆け込んできたのはりかさん。


「・・・・お前ね、講師が遅刻ギリギリってのはどうなのよ?」

⏰:10/03/23 23:11 📱:PC 🆔:jePp4ADI


#795 [みぉり]
「わかってるわよ!仕方ないじゃん!課題の研究で残され・・・っあぁ〜!!そんなこと話してる場合じゃないっ!!とにかく!頼んだよ!!」


壁掛け時計を確認して、なおさんに資料を手渡し(いや、押し付け?)靴を履き替えるりかさん



「・・・・はぁ〜。ったく、特進な?置いといてやるよ」

「頼んだっ!!」


呆れ顔のなおさんを横目に、事務室に併設されている講師の控え室に飛び込んだりかさんが出てきたのは授業開始の2分前

⏰:10/03/23 23:17 📱:PC 🆔:jePp4ADI


#796 [みぉり]
「じゃねっ!ゆうちゃんも頑張って〜!!」


「うん、いってらっしゃい。りか先生」



手を振って、走ってゆくりかさんを見送り、残りの仕事を終わらせるために頭を切り替えることにしたー・・・・・。


━━━―――……
『本日の講義は以上です。閉館は23時となります。また自習室の開放はー・・・・・』



授業終了後のアナウンスも立派なお仕事

⏰:10/03/23 23:27 📱:PC 🆔:jePp4ADI


#797 [みぉり]
アナウンスの後に、受講生の退室と自習室のIDをチェックして


残りは、警備員さんに託してあとは帰るだけ。


「ふぅ・・・。おしまい〜」

窓口を施錠して、受付終了の札を出してから思いっきり伸びをする。


・・・・我ながら、たった1週間でよくぞここまで出来るようになったもんだわ


自分をほめながら見た壁掛け時計が示すのは21:20。
夕飯は何かな〜なんて考えながら、更衣室へと向かった。

⏰:10/03/23 23:34 📱:PC 🆔:jePp4ADI


#798 [みぉり]
━━━―――……
陽臣side

「お客様、コーヒーをお注ぎしますか?」

「あ、すいません。」


にこり、と笑ってカップに淹れたてのコーヒーを注いで


去っていく店員にばれないように、ため息をつく。

・・・・何度目だ、このやりとり


店員さえ変われど、このやりとりを3回以上はしている気がする。

⏰:10/03/23 23:41 📱:PC 🆔:jePp4ADI


#799 [みぉり]
小腹が空いて、入店したこの店にかれこれ、4時間は滞在している。


始めは、のんびり窓の外を見たりしていたのだが・・・・



19時を回りだした頃から、徐々に変化していくこの一角を


ただただじっと見つめて、隣の塾の戸口に意識を向けて過ごしていた。

⏰:10/03/23 23:44 📱:PC 🆔:jePp4ADI


#800 [みぉり]
現在、22:08


・・・・・遅い。もう高校生が働いていい時間は超えてんぞッ


イライラしながら見る正面には、これまた夜の店ならではのしっとりムードなバーがあったり


そのまた、2つ隣のビルにはキャバクラやらなんやらの看板がピンクに点灯しているのが目に入る

⏰:10/03/23 23:49 📱:PC 🆔:jePp4ADI


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