宝物。
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#601 [みぉり]
声を聞いたのはどれくらいぶりだろう



話をしたのなんて……正月以来じゃないかと思う



………変わらないんだな

⏰:09/03/15 13:38 📱:N905i 🆔:Fhxk5dG6


#602 [みぉり]
楓は、俺と話していない時間があっても、何も変わらない


俺は、初めは違和感だらけで会いたい気持ちに駆られた


けれど、会わないようになって苛立つことはなくなりほっとした。

何より楓を汚してしまいそうな衝動が薄れたことが有り難かった

⏰:09/03/16 06:13 📱:N905i 🆔:otNY5eiY


#603 [みぉり]
あいつにとって、俺はいてもいなくても変わらないんだと、ただの幼馴染みだと痛感してそのままー………




「…ーくんッ!!森くん!!」


はっ


「あぁッ!!…わりぃ、ぼーっとしてた」

⏰:09/03/16 19:08 📱:N905i 🆔:otNY5eiY


#604 [みぉり]
園田の声で我に返った


そういえば園田と楓はなんで面識があるんだ?


クラスは………かなり離れていたはず



疑問に思いつつも、先刻の不安げな園田の顔がちらつく

⏰:09/03/25 04:58 📱:N905i 🆔:4LQMdRdc


#605 [みぉり]
問い掛けてもいいのか分からず、黙っていると


「ね、ね、森くん家ってお手伝いさんがいるの!?」


園田は目をキラキラさせて聞いてきた



「あ?……あぁ、何人か……な」

「ひゃーっ!!おぼっちゃまだぁ!!」

⏰:09/03/27 02:45 📱:N905i 🆔:9cJ2rwVY


#606 [みぉり]
まぁ、そうだよな

大概の人間はこんなリアクションだ


普通、使用人がいたって数人も雇いはしない

そういう意味でもうちは特殊なんだろう



あ、そうだ

⏰:09/03/27 03:34 📱:N905i 🆔:9cJ2rwVY


#607 [みぉり]
「服なんだけど」


その言葉で、園田の表情が一変した

楽しそうな顔から強ばった顔へ



……………百面相かよッ笑



あまりにコロコロと変わる表情がおもしろい

⏰:09/03/27 03:37 📱:N905i 🆔:9cJ2rwVY


#608 [みぉり]
おそらく……いや、確実に服のことを忘れていたんだろう


今度は見る見る内に顔が赤くなっていく


「ああああああのっ!!…っ///えとっ……服、ありがとう」



真っ赤な顔で俯きながらのその姿は、まるで小さな子ども


…………ユデダコみてぇ

⏰:09/03/27 05:05 📱:N905i 🆔:9cJ2rwVY


#609 [麗]
>>01-300
>>301-600

⏰:09/04/30 03:43 📱:SO905i 🆔:Eo5JWJHo


#610 [みぉり]
>>麗さん
アンカーありがとうございます
更新亀でごめんなさい

⏰:09/05/09 11:24 📱:N905i 🆔:Ex1bs22M


#611 [みぉり]
>>608から


吹き出しそうになるのを堪えつつ、続ける



「いや、俺が貸した服じゃなくてお前の制服」



今度ははっと、目を丸くして慌てだす


「私の服っ…!どこにあるの!?」

⏰:09/05/09 12:52 📱:N905i 🆔:Ex1bs22M


#612 [みぉり]
「クリーニング中」


「へ?」



ぽかん顔の園田を横目に、自室のソファにどかっと座る



「えぇっ!?そんなっお風呂から服まで申し訳なさすぎだよぉっ!」


俺の真前に正座で座る姿が、しゅんとうつむく

⏰:09/05/09 17:50 📱:N905i 🆔:Ex1bs22M


#613 [みぉり]
「俺が勝手にしてるだけだから気にすんな」


うつむく頭をぽんぽんと撫でてみても
顔をあげない

すみませんオーラが嫌ってほどに出てる

⏰:09/05/09 18:01 📱:N905i 🆔:Ex1bs22M


#614 [里紗]
かかないんですか?


めっちゃ途中

⏰:09/06/24 01:01 📱:F704i 🆔:Yecw9c/w


#615 [みぉり]
>>里紗さん

コメントありがとうございます。
感想板にてお返事を書かせていただきましたので
そちらに目を通していただければ幸いです。

感想板 
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/3579/


みぉり

⏰:09/06/26 22:27 📱:PC 🆔:xMP/tl/s


#616 [みぉり]
>>613から


「・・・・・園田?」
「・・・・けない」


「は?」


曖昧に聞こえ声に聞き返すと、ぱっと園田は顔をあげた

⏰:09/06/26 22:46 📱:PC 🆔:xMP/tl/s


#617 [みぉり]
「自分が本当に情けないなーって思ったの!!」


少しだけ眉間にシワを寄せて、
大きな独り言のように話した顔は
口を一文字にしていて・・・・・小さな子どもそのもので思わず


「・・・・・・ガキみてぇ」


ぽそりとつぶやいてしまった

⏰:09/06/26 22:57 📱:PC 🆔:xMP/tl/s


#618 [みぉり]
あ、やべ・・・余計なこといったな今



直後、まさにその通りと言わんばかりに



「どうせ、ガキんちょですよっ。ひねくれものだし、
自分の服のこととか大事なことはすぐに忘れるし?
っていうかね!まさかクリーニングに出されてるなんて思いもしないじゃない普通!!
それに誰が私の服もってったの?
・・・・あ、もももももしかして森くんっ?!?!?!?!?!?!」


と、一気にまくし立てる園田

⏰:09/06/27 02:21 📱:PC 🆔:6DDDCZg6


#619 [みぉり]
むすっとした顔から赤ら顔へと一瞬で変化したまま


”まさか、あなたがクリーニングに私の下着も一緒にだしたんですか?”


と目で訴える始末。



・・・・・・・・・・おもしろいなぁ。。。。こいつは。


ここまで勢いよく、テンションを上げ下げできるのはたいした才能じゃないかと感心してみていると

⏰:09/06/27 02:26 📱:PC 🆔:6DDDCZg6


#620 [みぉり]
「・・・・・・やっぱり、森くんが・・・・・」


再び、しゅんと泣きそうな顔になった。



・・・・・あ、説明しないとだったな



このままじゃ、俺が園田の下着をぽんっともてるデリカシーなさすぎ男にされる


そう思って口を開いた

⏰:09/06/27 03:08 📱:PC 🆔:6DDDCZg6


#621 [みぉり]
「違うって・・・・お手伝いさんの一人に取らせたんだよ」



”へ?”とキョトンと俺を見る園田



・・・・・1から説明すんのかよ



「俺だってそこまでデリカシーないわけじゃねぇよ。
お手伝いさんの一人・・・・もちろん女の。
俺は脱衣所の衣類全部をクリーニングにって頼んだだけ。
だから、お前の下着を触ってもいないし見てもいない」

⏰:09/06/27 03:11 📱:PC 🆔:6DDDCZg6


#622 [みぉり]
”安心しろ”と、園田の頭に手を置き立ち上がって横を通る


「あっ・・・・ごっごめんなさいっ」


後ろから聞こえた声に視線を向ければ
そこにはほっとした様子の園田


「ま、紛らわしい真似したのは俺だしな。
ちなみに下着だけど、俺の姉貴の未使用品だから安心しろ」


園田に背を向けたまま、おそらくまた顔を真っ赤にして
あたふたしているだろうと想像できて

ふっと笑いながら飲み物を取りに、部屋を出た

⏰:09/06/27 12:41 📱:PC 🆔:6DDDCZg6


#623 [みみ]
>>300-600

⏰:09/06/29 20:52 📱:P905i 🆔:mvV0j6To


#624 [みぉり]
>>みみさん
アンカーありがとうございます

⏰:09/06/29 23:56 📱:N905i 🆔:LcdNULUU


#625 [みぉり]
>>622から


━━−−−………
有希side


ガチャ………バタン。



扉がしまると同時に、一気に力が抜けて



すぐそばにあった、巨大クッションに倒れこんだ




……………ッ恥ずかしすぎるッ

⏰:09/06/30 00:02 📱:N905i 🆔:5n.CYsMw


#626 [みぉり]
女として……本当にダメすぎるなぁ………(涙)




はぁっとため息をはきつつ、クッションに押しつけていた顔をあげると



ちょうど、真っ正面に本棚があった




…………英語?

⏰:09/07/01 02:00 📱:N905i 🆔:pNww4Bz.


#627 [みぉり]
なんとなく、取出しパラパラめくって指が止まった。




……英語の問題とかかなって思ったけど


……………英字の本だ



難しい英文がヅラヅラ書かれた洋書が、本棚の下段にびっちり並んでる

⏰:09/07/01 02:03 📱:N905i 🆔:pNww4Bz.


#628 [みぉり]
・・・・本当に森くんって、頭いいんだ



本棚全体をぐるっと見ても、洋書や漢字がやたら多い背表紙ばかり



「はぁ〜・・・・・さすがは、飛び級」



感嘆しながら見回していたが、
ふと、下段の洋書のすみに背表紙のない本が数冊並んでいることに気づいた

⏰:09/07/01 20:14 📱:PC 🆔:0UX7.Hgw


#629 [みぉり]
「?何の本だろ」


すぅっと引き込まれるように手にとって、ページをめくると


小学生が数人でポーズをとっているもの、川辺で遊んでいるものなど


たくさんの写真が貼られていた

⏰:09/07/02 21:51 📱:PC 🆔:mlWqhtqk


#630 [みぉり]
幼いながらに、今の面影がしっかり見える。



「…………森くん、昔からきれいな顔してるのねぇ(笑)」




パラパラとめくりながら、アルバムの中の写真たちが確実に年を重ねていくのが見て取れる




あ、学ラン

⏰:09/07/03 22:52 📱:N905i 🆔:33DHwNDM


#631 [みぉり]
中学校名の書かれた門の横に


満面の笑みで並ぶ森くんと女の子



ふと、その並びに既視感を覚えた



・・・・?さっきの写真は・・・・あっ、これ



少し戻って、めくってみるとあらゆる写真のほとんどに必ずその女の子がうつっていた

⏰:09/07/05 22:23 📱:PC 🆔:GKNu5AC6


#632 [愛]
>>300-600

⏰:09/07/06 01:57 📱:SO906i 🆔:rduiCTqc


#633 [みぉり]
>>愛さん
アンカーありがとうございます

⏰:09/07/07 08:51 📱:N905i 🆔:nLRxr55g


#634 [みぉり]
>>631から


再び、中学入学式の写真をみる



この中学は、あかりと凪が通ってたトコロと同じ

⏰:09/07/07 14:57 📱:N905i 🆔:nLRxr55g


#635 [みぉり]
並んで写る二人に、ある違いを見つけた


森くんは”祝入学“の花がついた札を胸元につけているのに、女の子の胸元に花がついてない


代わりに腕に腕章をつけている



…………学年が違う?

⏰:09/07/07 17:09 📱:N905i 🆔:nLRxr55g


#636 [(*・ω・*)/~]
失礼します、、、。
>>1-200
>>201-400
>>401-600
>>601-800
>>801-1000

⏰:09/07/07 18:41 📱:SO905i 🆔:xvVMR3pw


#637 [みぉり]
>>(*・ω・*)/~さん☆

アンカーありがとうございます!!

⏰:09/07/07 23:34 📱:PC 🆔:pmM3V4m2


#638 [みぉり]
>>635から


じっとその女の子を見つめた。



髪が短くて、少しぽっちゃりした女の子



思い当たる女の子が一人、頭をよぎる。



この顔はー・・・・・笑顔は、もしかして・・・・・




「楓・・・・ちゃん・・・・?」

⏰:09/07/07 23:38 📱:PC 🆔:pmM3V4m2


#639 [みぉり]
ガチャッ・・・・・


扉の開く音に、はっと振り返る。


「あったかいのでいいか?三内さんがー・・・・」



話ながら部屋に入ってきた森くんは、アルバムを手にしている私をみて、動きを止めた



驚いた表情を浮かべた森くんと一瞬、目が合い、すぐに逸らされた

⏰:09/07/07 23:44 📱:PC 🆔:pmM3V4m2


#640 [みぉり]
スッと、お茶のセットをトレイごとテーブルにおいて、ソファに座った森くん



固まったまま動けない私





数秒の沈黙

⏰:09/07/08 21:55 📱:N905i 🆔:dHZxOh.o


#641 [みぉり]
ソファに座った森くんは、ちょうど私の真後ろで


その表情は見えなくて、余計に動くことができない



・・・・・・・怒られる。そう思った矢先




「・・・・・・・おい」


ビクッ

⏰:09/07/08 23:58 📱:PC 🆔:HH2AzPHg


#642 [みぉり]
低い声に思わず、体が強張った



振り向けずにそのままでいた私に更に低い声が響く





「……………アルバム」

⏰:09/07/09 22:20 📱:N905i 🆔:pkRu6K52


#643 [みぉり]
「はいっ!」



勢い良く振り返り、両手でアルバムを差し出すと



何もいわず無言で受け取る森くん



ページは開いていた入学式のまま

⏰:09/07/10 07:49 📱:N905i 🆔:1JnXsQzM


#644 [みぉり]
じっ、とアルバムを見つめる姿を静かに見ていた




「………こいつだよ」



「え?」



アルバムを閉じて、バサッとソファに投げ出し、つぶやいた声に聞き返す

⏰:09/07/10 21:18 📱:N905i 🆔:1JnXsQzM


#645 [みぉり]
ふぅっと息をはだした森くんと、視線が合った瞬間



「おれの幼なじみ」
「ごめんなさいっ」



勝手にアルバムを見てしまったことを謝らなくてはと、とっさに出た言葉に重なった声

⏰:09/07/10 21:39 📱:N905i 🆔:1JnXsQzM


#646 [みぉり]
「あ・・・えと・・・・勝手にアルバム見てごめんなさい・・・・あの、写真の子って・・・・・」



少し遠くを見ているような、そんな目の森くんにしどろもどろになりつつも話しかける。



「・・・・・お前、楓の知り合いなの?」


やっぱり。
あの子は・・・・楓ちゃんなんだ

⏰:09/07/12 01:09 📱:PC 🆔:px1IlGdI


#647 [みぉり]
「知り合いというか・・・・本当に顔見知り程度なの。話したのなんて1回だけで・・・・」



おずおずと話す私から視線をお茶に移した森くんは



慣れた手つきで、紅茶をカップに注ぐ。



部屋中にふわっと紅茶の香りが漂って、ふっと力が抜けた。

⏰:09/07/12 01:16 📱:PC 🆔:px1IlGdI


#648 [みぉり]
「ふーん。・・・・座ったら?」


その声に促されるように、テーブルのすぐ近くにちょこんと正座しする。



「ん、熱いから気をつけろよ。・・・砂糖はこの中」



トレイの上の可愛らしい小さな容器を私側に寄せて



森くんは、ソファに深く腰掛け直して紅茶を口に運んだ。

⏰:09/07/12 01:21 📱:PC 🆔:px1IlGdI


#649 [みぉり]
「・・・・・あの・・・・楓ちゃんが森くんの幼なじみ?」


カップには手を伸ばせず、じっと森くんを見上げるように聞く



心なしか、心臓がドキドキしているのが自分でもよくわかる



カチャンと、静かにカップを置いた森くんは再び、遠い目で私に視線を向けた

⏰:09/07/12 01:25 📱:PC 🆔:px1IlGdI


#650 [みぉり]
「楓は、生まれた時から・・・・いや、生まれる前からの幼なじみ。」


じっと、黙って森くんを見つめていると、森くんは投げ出したアルバムを開いてゆっくりとページをめくり始めた



「楓の親と、うちの親が仲良くてさ。ずっと家族ぐるみで仲がいいんだ・・・・で、生まれる前からずっと一緒にいたわけ・・・・・俺が中2までは」



声のトーンが少し下がった

⏰:09/07/12 01:46 📱:PC 🆔:px1IlGdI


#651 [みぉり]
「ここからの話は・・・・・あんまいい話じゃねぇけど・・・・聞くか?」



森くんの問いかけに、コクンとしっかり頷く



だって、今までは私の話ばかり聞いてくれていた森くんが



自分の話をしようとしてくれてるんだもん



きちんと聞きたい、そう思ったから

⏰:09/07/12 01:50 📱:PC 🆔:px1IlGdI


#652 [みぉり]
━━――――………
陽臣side


久しぶりに見るアルバム
無邪気に笑う自分と楓がひどく懐かしく感じた



「楓は俺の1つ上、園田と同い年。・・・・・といっても、誕生日が1週間しか違わないってのもあったし、子どもの時は年の違いなんて気にしたことなかった」



話ながらページをめくる
幼少期、小学校・・・・学年を超えた行事が多かったせいか
ほとんどの写真に一緒に写っている

⏰:09/07/12 16:23 📱:PC 🆔:px1IlGdI


#653 [みぉり]
毎日が楽しかった


いつも一緒にいられることが『特別』だなんて気づかなかった



だから



自分の気持ちに気づいたとき



たった1週間の年の差が、悔しくて悔しくて仕方なくなった

⏰:09/07/12 18:38 📱:PC 🆔:px1IlGdI


#654 [みぉり]
「楓が中学に入って、
途端に毎日がつまらないと感じるようになったんだ・・・・
なんでつまらないのかって、その理由が
ずっとわからなくて
毎日もやもやした気持ちだったのを覚えてる」



中学入学式の写真を開き、じっと見つめた


俺が楓を好きなんだと気づいたのは、この日だったー・・・・・

⏰:09/07/12 18:48 📱:PC 🆔:px1IlGdI


#655 [みぉり]
「入学式の日はなんでか、すごく嬉しくてな。
親を急かしながら学校へ向かったんだ。
桜がキレイに咲いていて、立ち止まってその並木道を見上げていたらー・・・・・」



『はる〜〜っ!!!』



並木道の終わりにある中学校の門から、大きく手を振りながら立つ楓が満面の笑顔を向けていた

⏰:09/07/12 18:55 📱:PC 🆔:px1IlGdI


#656 [みぉり]
「・・・・柄にもない言い方だけど、本当に心臓がドキっとすることがあるんだなって思ったよ(笑)・・・・・・そのまま門に向かって駆け出したとき、感じたんだ」


パタンと静かにアルバムを閉じて、すっと本棚の下段に戻す



「あぁ、これから毎日楽しくなるって。楓がいなかったから毎日つまらなかったんだって」


ふぅっと息を吸い込んだ


「楓を好きだと、気づいたんだ」

⏰:09/07/12 19:45 📱:PC 🆔:px1IlGdI


#657 [みぉり]
少しの沈黙


園田に視線を向けると、じっと俺を見つめる姿があった


まっすぐに俺を見据えて、その続きに耳を傾けようとしてくれているのがよくわかる



・・・・・・・誰かに、この話をする日が来るなんて思ってなかったのにな



そんな想いにかられながら、続ける

⏰:09/07/12 20:03 📱:PC 🆔:px1IlGdI


#658 [みぉり]
「・・・・・でも、実際は違った。
中学は学年別の日課が基本だったし、
急に先輩・後輩の壁を持ち出すのが当たり前の雰囲気で・・・・」


苦々しい思い出を辿りながら、話す俺の顔はどんな表情なんだろう


きっといい顔はしてねぇな・・・・



「・・・・・楓が遠くて、傍にいられる奴らがうらやましくて必死に考えた。どうやったら、楓の近くにいられんのかって」

⏰:09/07/12 20:08 📱:PC 🆔:px1IlGdI


#659 [みぉり]
俺があと2日でも早く生まれていたら
同じ空間にいられたのにと、親を恨んだことさえある



「・・・・・・考えて考えて、俺は年の問題をクリアするのに必要なものを身につけようと思ったんだ」


「?」


こどものように首を傾げる園田の頭をぽんぽんと撫でる

⏰:09/07/12 20:39 📱:PC 🆔:px1IlGdI


#660 [みぉり]
「運動も勉強も・・・・・本気でやってみようと、
がむしゃらに取り組んだ。
今まで適当にやっても
そこそこ成績はよかったし、
勉強は好きだったから・・・・・親は驚いていたけど
俺の好きにさせてくれたんだ」


別のアルバムを手に取り、園田に渡す


キョトンとしながらもアルバムを開いた園田の目が丸くなった



「え・・・・これってーっ・・・えぇっ?!」

⏰:09/07/12 20:51 📱:PC 🆔:px1IlGdI


#661 [みぉり]
━━――――………
有希side


手渡されたアルバムを見て、思わず叫んでしまった


だって、これは・・・・尋常なことじゃない



アルバムの中身は全て、新聞記事のスクラップ

それもー・・・・森くんの天才っぷりを伝えるものばかり

⏰:09/07/12 21:00 📱:PC 🆔:px1IlGdI


#662 [みぉり]
”中学1年生にして中3模試、全国トップ”

”陸上選抜、日本を背負う逸材現る”

”全国英語スピーチコンテスト、中学生がまさかの日本一に”


・・・・・などなど。。。



めくってもめくっても、絶え間なく続く森くんの伝説オンパレード



口をぽかんと開けて見ていると、スッとアルバムを森くんが取ってしまった

⏰:09/07/12 21:12 📱:PC 🆔:px1IlGdI


#663 [みぉり]
「あ・・・」

・・・・・まだ見てるのに、と思ったけれど


森くんがさっさとアルバムをしまったのを見て、口をつぐんだ


カップに手を伸ばして、少し冷めてしまった紅茶を口に運ぶ


「・・・・・でも、結局意味なかった」

⏰:09/07/12 21:17 📱:PC 🆔:px1IlGdI


#664 [みぉり]
ひどくトーンの落ちたその声に、ふと視線を向けると


頬杖をついて目を閉じた森くんがいた



「・・・・・・・意味がなかった・・・って・・・?」



聞き返す私に、森くんは目を閉じたまま口を開く



「結局、飛び級扱いで楓と同じ学年になれたわけだけど・・・・・傍にいられるようになっても、何も意味がなかったんだよ」

⏰:09/07/12 22:46 📱:PC 🆔:px1IlGdI


#665 [みぉり]
カチャン・・・・と静かにカップを置いて、その続きを待つ



「同じ学年になったのは・・・・楓が3年ん時。
春から正式に3年のクラスにいたんだけど・・・・
周りは面白がって近寄ってくる奴らばかりだったし、
肝心の楓と同じクラスじゃなくて・・・・
むしろ、あいつは俺とあまり話をしようとはしなくて、
却って遠くなったと思うくらいだった」


「・・・・・そりゃ、いきなり幼なじみが有名人になっちゃったんなら・・・・仕方ないんじゃない・・・?」


きっと、私ならそう思う。
凪が遠くなってしまったら、
今までと同じように、、、なんて戸惑ってしまう


そう思って話すと、森くんは目を閉じたまま首を横に振った。

⏰:09/07/12 22:51 📱:PC 🆔:px1IlGdI


#666 [みぉり]
「いや・・・楓は校外ではいつも通りだったんだ。
校内にいるときは、俺と一緒にいないようにしてたんだよ。」


じゃあ別に遠くになったわけではないと思うんだけど・・・と感じて
口を開いた。


「?それなら、別に遠くなったわけじゃ・・・・」
「校内だからこそ、俺は一緒にいたかったんだよ」


切実につぶやいたその声に、ぐっと黙ってしまった

⏰:09/07/12 23:15 📱:PC 🆔:px1IlGdI


#667 [みぉり]
「・・・・・わけわかんなくてな・・・・どうして校内だとあんなによそよそしいんだろうって考えてたある日、その理由を知った」


「・・・・・聞いてもいいの・・・?その理由・・・・」


聞きたいけれど、なぜだか聞いてはいけないような、
そんな気がして確認の言葉をかけた


「・・・・・楓には好きなやつがいたんだ」

⏰:09/07/13 02:23 📱:PC 🆔:Bqns71es


#668 [みぉり]
「ーーっ・・・・・・」


返す言葉がなくて、黙ってしまった


そんなの・・・・・つらすぎる


「しかも、俺の友だち。
もちろん学年は1つ上だったけど・・・・
妙に馬があって、そいつだけは俺を特別に扱わなかったから結構一緒にいたんだ・・・・。
今、思い返せばそいつと一緒にいるときだけは、楓も一緒に笑ってたんだ。」

⏰:09/07/13 02:27 📱:PC 🆔:Bqns71es


#669 [みぉり]
長いこと閉じていた目を開いた森くんは、遠くを見るような眼差しをしていた


「・・・・好きなやつに誤解されたくなくて、
俺と一緒にいないんだってわかったとき、
俺のやってきたことは意味がなかったんだって思い知った。」


「俺はさ、もっと別のことをするべきだったんだよ。
傍にいるために努力することよりも、
あいつの気持ちをどうにかして自分に向けるための方法を考えるべきだったんだろうと思う」

⏰:09/07/13 02:32 📱:PC 🆔:Bqns71es


#670 [みぉり]
森くんはふっと笑って、再び目を閉じた


「そいつのために容姿を気にして、
ダイエットしたり髪を伸ばしたり・・・・
一生懸命な楓を見てむちゃくちゃにしたいと思ったり、
・・・・・初めてみる”女”の楓を可愛いと思ったり・・・・

あの時期が一番、つらかったかもしれねぇな」


黙って森くんの言葉をひとつひとつ聞いていた


何か言葉をかけるなんて、そんな大それたことができるわけもなくて・・・・

⏰:09/07/13 03:08 📱:PC 🆔:Bqns71es


#671 [みぉり]
「・・・・・自分の気持ちにけりをつけたくて気持ちを伝えようと考えたりもしたけど・・・・
結局、楓と幼なじみの関係を断ち切ることが怖くて
・・・・そのままでいようと決めたのに
あまりに無防備な楓を押し倒してぇ
なんて感情も生まれてきて
わけわかんなくて、自分の気持ちがパンクしかけた」


あぁ・・・・そうか
前に話していたときに言っていた


『あいつを傷つけるくらいなら、いっそ離れてしまえばいいと思ったんだ』


あの言葉の裏には・・・・こんなにたくさんの想いや出来事があったんだ

⏰:09/07/13 03:20 📱:PC 🆔:Bqns71es


#672 [みぉり]
「だから・・・・・全部、やめることにしたんだ
勉強も運動も、人並み程度にしかしないようにしたり
学年を戻してもらったりして・・・・学校での距離をとった

・・・・そのタイミングで、楓に彼氏ができて
家に来ることもどんどん少なくなって・・・・あっという間に離れちまった」



身体を起こして、ケトルのお湯を新しい茶葉を入れたティーポットに注ぐ森くん


「・・・・・で、今の状態に至る・・・・ってわけ」

⏰:09/07/13 03:29 📱:PC 🆔:Bqns71es


#673 [みぉり]
コポコポと音を立てて注がれるお湯をじっと見つめて少しの沈黙



「・・・・・楓は俺が離れたことを、気にする様子はなくて・・・・
会えば話をする程度になっても平気なんだなって思ったとき、
俺は、俺個人として楓と完全に繋がりを切ることを決めたんだ

家族同士が仲良いことは、変えるつもりもなかったし
ただ、俺が自分の気持ちをリセットするために
楓と離れた・・・・・・ま、俺の一方的な想いがあるだけで
実際は楓の態度がそんなに変わったわけでもないけどな」



ふぅっと息をついて、たっぷりと色がにじみ出てきた液体を


ゆっくりとカップに注ぐ

⏰:09/07/14 23:02 📱:PC 🆔:vqebAO7Y


#674 [みぉり]
何も言葉にすることができなくて


ただ、じっと黙っていた


「・・・・・さっきみたいに話したのは正月以来だと思う。そんくらい、あいつがここに来る頻度は減ったし・・・・俺も極力、会わないようにしてるとこがあってな・・・・・」



大きく伸びて、ソファにぼすんと背を預けて目を閉じた森くん

⏰:09/07/15 00:24 📱:PC 🆔:JCcUwlek


#675 [みぉり]
「・・・・・丸2年近くたつってのに・・・・・さっき、会ったことで俺の中にはまだ楓がいるんだって痛感したよ」



つぶやくように、今までよりも小さな声で話すその姿は


切なくて、切なくて、


ぽたりと、借りたズボンに雫が落ちてしまった

⏰:09/07/15 00:27 📱:PC 🆔:JCcUwlek


#676 [みぉり]
「・・・・・・いつになったら・・・・・・俺は・・・・・」



小さな小さな、その声に溢れるものは止まらなくて


気づいた時には立ち上がって、ソファに乗っていた

⏰:09/07/15 00:33 📱:PC 🆔:JCcUwlek


#677 [みぉり]
━━━―――………
陽臣side



ふわり、とせっけんの香りがして

身体にすこしの重みと
とっさに抱き留めたやわらかな感触



「………っ……うっ…ぇ…」




いつか、聞いた泣き声

⏰:09/07/18 12:20 📱:N905i 🆔:LIN1aCiA


#678 [みぉり]
その声は、俺の頭の上から聞こえてきて



目をあけた先の視界は、室内の様子ではなく真っ白になっていた




「…ごめ……っ…ごめんなさいっ……っ…ぅ…」



園田が俺の頭を包むように抱き締めて泣いていた

⏰:09/07/18 12:38 📱:N905i 🆔:LIN1aCiA


#679 [みぉり]
「・・・・・何が?」



微動だにせず、疑問を口にする



”ごめんなさい”の意味が全くわからない



そもそも、なんでこいつが泣いてるんだ??

⏰:09/07/21 01:48 📱:PC 🆔:85Wr0fgo


#680 [みぉり]
「…っく…ずっと…っ…私の話ばかりでッ……ぅッ…」



しゃくりあげながらの言葉の続きを待つ



「森くんのッ…痛みとか…ひっく…何も……考えなくてッ………ぐちばかりで…ッ……甘えてばかりで…ッ………ごめんなさぃ…ッ」

⏰:09/07/23 00:52 📱:N905i 🆔:3zGaP5Tc


#681 [みぉり]
”痛み”?


痛みなんて・・・・・感じたことがあったか・・・・?


ふっと記憶を手繰ってみる



蘇ってくるのは・・・・・苛立ちと、焦り



・・・・・痛みは、ないような気がする

⏰:09/07/24 23:40 📱:PC 🆔:4pLa/0Po


#682 [みぉり]
…………好き…なのに…?



「…―――同じ経験があるからって………甘えすぎ…だったよね……ッ…」


はっ


落ち着いてきた泣き声に、はたと我に返った

⏰:09/07/28 20:42 📱:N905i 🆔:e6tJZDec


#683 [みぉり]
「いやな想いを…っ……させて…ごめんなさぃ……ッ…」



「………………………」


動けなかった
頭のうえから降ってくるその声は

何度もごめんなさい、と繰り返しながら

俺をつよく抱き締めたままで―……

⏰:09/07/29 10:15 📱:N905i 🆔:.5A8u9lA


#684 [みぉり]
━━━―――………
有希side



涙が止まらなかった

本当に申し訳なくて、あんなにつらい気持ちを抱えながらいた森くんに


私は、甘えてばかりで


グチばかりで、彼が一人で乗り越えられなかったことを

⏰:09/07/29 10:18 📱:N905i 🆔:.5A8u9lA


#685 [みぉり]
彼に頼りながら乗り越えよう、なんて………


離れる勇気も
そばにいるためのほほ笑みも



どちらもできる自信がないくせに


そのくせ、都合よく甘えつづけてきた自分が恥ずかしくて

⏰:09/07/29 10:21 📱:N905i 🆔:.5A8u9lA


#686 [みぉり]
気付いたときには

彼を抱き締めて、泣いて謝っていた




「……ッ…うぅ〜……ッ…」




次第に落ち着いてきた私の呼吸音だけが、静かな部屋に響く

⏰:09/07/29 10:26 📱:N905i 🆔:.5A8u9lA


#687 [みぉり]
「・・・・・・・おぃ」



くぐもって聞こえた声に、ふっと腕の力を抜く



「・・・・・はぃ・・・っ・・・」



まだ完全に呼吸が定まらず、しゃくりあげそうになりながらも返事をすると




森くんはすっと私の身体を離すように押し返した

⏰:09/08/02 16:42 📱:PC 🆔:yF8CJHiM


#688 [みぉり]
「なんで、泣いてんの?」


森くんの瞳は、静かにじっと私を見上げる。



「だッ…だって…ッ……私のわがままに付き合わせてたから…」



゛申し訳なくて…゛と、最後は視線を外し消え入るような声になってしまった。

⏰:09/08/09 13:46 📱:N905i 🆔:Qx5FtQ9U


#689 [ぽ]
>>300-500
>>501-700
>>701-900

⏰:09/08/10 00:20 📱:SH02A 🆔:lWl.cn.Q


#690 [みぉり]
>>ぽさん
アンカーありがとうございます

⏰:09/08/10 18:53 📱:N905i 🆔:jOxdGE1o


#691 [ァリス]
>>1-200
>>201-400
>>401-600
>>601-800
>>801-1000

⏰:09/08/11 01:20 📱:F801i 🆔:yF6UKG76


#692 [みぉり]
>>ァリスさん
アンカーありがとうございます更新滞りがちでごめんなさい

⏰:09/08/11 08:18 📱:N905i 🆔:J3PUOm3E


#693 [みぉり]
>>688から

ビシッ


「痛っ〜〜…ッ」



おでこに軽い痛みを感じて、とっさに額に手をおいて顔を上げた



「ばかだな、おまえ」

⏰:09/08/11 09:09 📱:N905i 🆔:J3PUOm3E


#694 [みぉり]
そこにはあきれ顔の森くん


「ばっ!?ばかってな……」
「俺が勝手にやってんだよ」
「………」

私の言葉を打ち消す声に、思わず黙ってしまう


「おまえの気持ち……わかるから」

「………ッ」

「イライラしてむかついて、苦しい自分を……そんな自分が嫌いな気持ちを知ってるから」

⏰:09/08/12 07:56 📱:N905i 🆔:nRK8c5SE


#695 [みぉり]
「…ッ!!」


ずばり私の気持ちを見透かして、さらっと言う



………だけど、そんなの…ッ
まだ自分だって消化し切れていないはずなのにッ
…私の一人よがりな話を聞くなんて……


「……だって…ッ………」
「ん?」

⏰:09/08/12 08:01 📱:N905i 🆔:nRK8c5SE


#696 [みぉり]
「………ッ…つらかった…よね…?…こんな話をダラダラと……苦しかった時を…思い出させていたでしょ…?」



少しの沈黙。



「…………つらくねぇよ、もう」


ぽつりと答えた声は、小さいけれどどこか、やわらかい感じがした

⏰:09/08/12 10:37 📱:N905i 🆔:nRK8c5SE


#697 [みぉり]
「もう、ほとんど落ち着いてる」

再びソファに座りなおし、私を隣に座らせながら話した

…………けど、私の中にあるのは



「……………うそつき」




信じきれない自分

⏰:09/08/15 23:02 📱:N905i 🆔:/9N7.7tw


#698 [みぉり]
「は?」

「…ッ………だって、さっき……いつになったら…って言った」

「ッ……それは………」



私の言葉に今度は森くんが黙ってしまった


ほら……やっぱりそうじゃない……


そんなに…簡単に割り切れるわけ……

⏰:09/08/15 23:18 📱:N905i 🆔:/9N7.7tw


#699 [みぉり]
「うそじゃねぇよ」
「………」



「あいつ……楓と離れて…少しずつ楓が薄れていってるのは事実」

遠い目の横顔をじっと見つめる

⏰:09/08/15 23:30 📱:N905i 🆔:/9N7.7tw


#700 [みぉり]
「……だけど、………どうしたって残る。好きで好きで仕方なかったんだから……完全にはなくならねぇよ」



どこか自分に言い聞かせるような、けれども納得したような………そんな顔に私は




「…………そ、か」



と自然に答えていた

⏰:09/08/16 11:21 📱:N905i 🆔:.Ij2WFbQ


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