宝物。
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#501 [みぉり]
ブォンッ…………


「ひゃっ……ッ…」


エンジン音に驚か、目を瞑っている間にバイクは走りだした


反射的に森くんにしがみつく


……あ、なんか…大丈夫だ

⏰:09/01/15 15:46 📱:N905i 🆔:oGmdxCtM


#502 [みぉり]
初めて体感する風の強さは
怖いかもしれないと思っていたけど


しがみついた森くんの背中は
ブレザー越しでも
あたたかくて


不思議と穏やかな気持ちになれた


そのおかげか
怖さはまったくなくて

目を開けた先の
広がる世界は瞬く間に
風をきるバイクの横を流れていく

⏰:09/01/16 02:05 📱:PC 🆔:gWADcupw


#503 [みぉり]
うわぁ・・・
すごい!・・・・あっという間に景色が変わってく



怖さなんてすっかり忘れて
目の前をくるくると
変わる世界に息を呑んだ



「こわくないかー??」



エンジン音に掻き消されそうになりながら
聞こえた森くんの声

⏰:09/01/19 01:11 📱:PC 🆔:9zdjWxb2


#504 [みぉり]
その声に、はっと
思わずしがみついていた手を緩くした


「だっ大丈夫だよ〜!!風〜気持ちいいね〜!!」


エンジン音に負けじと
大声で答えると

森くんが一層、
加速させていく

⏰:09/01/22 01:28 📱:PC 🆔:hFwRvnFM


#505 [みぉり]
「ひゃぁっ?!?!」


再び、がしっと
森くんにしがみつくと

その背中から
くくっと笑っている振動が伝わってきた


・・・・からかいやがったわね


むっと
思いっきり巻きついた手を
きつく締めあげてやる

⏰:09/01/22 03:22 📱:PC 🆔:hFwRvnFM


#506 [純麗]
頑張ってください

⏰:09/01/25 18:25 📱:N905i 🆔:j4oKdomw


#507 [我輩は匿名である]
>>300-500
>>501-700

⏰:09/01/25 22:30 📱:D705i 🆔:U3IHcsUw


#508 [みぉり]
>>純麗さん☆
ありがとうございます!
なかなか更新できなくてすいません。
がんばります(^^)


>>匿名さん☆
アンカーありがとうございます!

⏰:09/01/27 00:26 📱:PC 🆔:jFZWWUJQ


#509 [みぉり]
>>505から


「ぐぇっ・・・・おぃっ」


森君の少し苦しそうな声にちょっと満足
そのまま手を緩めて、移り変わる景色を楽しむことにした



・・・・・・
15分ほど走って、バイクが止まった
そこはまだ少し肌寒い海辺

⏰:09/01/27 00:29 📱:PC 🆔:jFZWWUJQ


#510 [みぉり]
「ひゃぁー!!」


ヘルメットを外し、思わず駆け出す
だって、大きな太陽と海と空の真っ青な色があまりに綺麗でじっとしていられなかったから


「おいっ!メットは置いてけよ〜!」


後ろから聞こえた森君のその声にくるりと振り向き、届くようにと力をこめてメットを投げた


「ちょっ・・・お前っ・・・!」

⏰:09/01/27 00:42 📱:PC 🆔:jFZWWUJQ


#511 [みぉり]
メットを受け取ろうと慌てつつも必死にバランスを取る森君を尻目に靴を脱いで、波際まで歩く



・・・・・あったかい


日の光を浴びた砂は、ほっこりと暖かく歩きやすかった



波打ち際の海水で色の変わった砂は冷たく、足に少し力を込めてやればずんずんと沈んでゆく

⏰:09/01/27 02:41 📱:PC 🆔:jFZWWUJQ


#512 [我輩は匿名である]
>>1-50
>>51-100
>>101-150
>>151-200
>>201-250
>>251-300
>>301-350
>>351-400
>>401-450
>>451-500
>>501-550
>>551-600

⏰:09/01/27 13:32 📱:W52SH 🆔:WQXkX6CQ


#513 [みぉり]
>>匿名さん☆
アンカーありがとうございます(^^)

⏰:09/01/28 04:22 📱:PC 🆔:Ei/Ravds


#514 [みぉり]
>>511から


本当に埋まりきってしまわないように、足を引き抜き、ゆらゆらと打ち寄せる波に少し足が触れる程度に進んでみる


「〜〜っ・・・冷たい」


一瞬、水に触れただけなのに、その冷たさに思わず足を引っ込めた


・・・・・はずなのに、次の瞬間に私の足は太ももまで水が滴っている始末

⏰:09/01/28 04:29 📱:PC 🆔:Ei/Ravds


#515 [みぉり]
慌てて足元を確認してみるも、私がいるのは打ち寄せる波がかかるはずのない所


・・・・・・ということは?



すぐに思い当たる節があり


ゆっくりと視線を動かした先にいたのは、してやったり顔の奴



「・・・・・・ちょっと?今、何したのかな?」

⏰:09/01/28 06:25 📱:PC 🆔:Ei/Ravds


#516 [みぉり]
引きつった笑顔で聞く私


「え?何が?(笑)」



すっとぼけた顔で笑いながら濡れた両手を振って、水を飛ばす森くん



え?何が?じゃないでしょーがっ!!!!!!

⏰:09/01/28 06:30 📱:PC 🆔:Ei/Ravds


#517 [みぉり]
「何してくれちゃってんのよっ!!」



「あ?ばれた?笑」



ばれた?じゃないっつの!!



けらけらと憎たらしく笑う姿に思いっきり水をかけてやる





バシャッ…

⏰:09/01/28 19:29 📱:N905i 🆔:iC33MXOs


#518 [みぉり]
「あ``・・・・・」



・・・・・・ほんのちょっと



ほんのちょこっとだけ、太ももあたりにかけてやろーって思ってたのよ?



水をかけた体勢のまま動けない私


頭から水を滴らせ、中腰の姿勢から動かない森くん

⏰:09/01/29 00:22 📱:PC 🆔:ryFEvhL.


#519 [みぉり]
「………………」

「………………」



水をバシャンとかけるのと同じタイミングで、これまた森くんも水に手を突っ込むために中腰になっていて



まさか、こんなタイミンクでばしゃんと水がかかっちゃうとは思わなかった


………と言ってもすでに後の祭り

⏰:09/01/30 19:46 📱:N905i 🆔:ZOPARhyc


#520 [みぉり]
「……水も滴る良い男っ!!……なんつって……」


ははは、と乾いた笑いをしてみるものの森くんは相変わらず動かない


……こりゃマズイ


そう直感し、そろりと背を向けて波際から立ち去ろうとした………が



「…………おぃ」

⏰:09/01/31 16:39 📱:N905i 🆔:gO6JOJ0I


#521 [みぉり]
背後から聞こえたその声にビクっと体が固まった


振り返るのが怖いくらいのオーラを感じずにはいられないし………



「……園田先輩、、俺、頭に水ぶっかけられちゃったみたいなんですけど?」

⏰:09/02/03 16:30 📱:N905i 🆔:vYl6Uvmw


#522 [みぉり]
゛どーしてくれんの?゛


と、聞こえたような気がするのは私の勘違いでしょうか



「あははは……はは…手元がね……狂っちゃったみたいでぇ…」



視線をビシビシ感じながらも、振り向けず


沈黙してしまった

⏰:09/02/17 17:26 📱:N905i 🆔:WcUO5jCU


#523 [みぉり]
……って、明らかに悪いのは私なのに


謝るタイミングも完全に逃した………


この沈黙がやけに長く感じられて余計に気まずい………

⏰:09/02/22 13:24 📱:N905i 🆔:WuRDaLAo


#524 [みぉり]
「………仕方ねぇなぁ」


「へ?」



つぶやきが聞こえて
振り向きかけた私の体がふわりと浮いた



え?!何?!



思わず体を硬直させて目を見開くと
すぐ近くにあったのは森くんの顔

⏰:09/02/22 13:28 📱:N905i 🆔:WuRDaLAo


#525 [みぉり]
「ななななっ!?」


何何何??!!


訳がわからずめちゃめちゃ動揺しながらも今の自分の状態を知ろうと、周りをキョロキョロしてみる


私の体は森くんに支えられて宙に浮いていて………えーと?



この態勢って……もしかしなくてもお姫さま抱っこですか!?

⏰:09/02/22 13:33 📱:N905i 🆔:WuRDaLAo


#526 [みぉり]
困惑したまま、私を抱き上げた森くんを見る


その顔はさっきのニヤリ顔と同じで、瞬間いやな予感



「・・・・やられたらやりかえす、ってな」


「・・・・・はい?」


さわやかな笑顔で口を開いた森くん


恐る恐る続きを聞き返す

⏰:09/02/22 22:57 📱:PC 🆔:DsMEKhPQ


#527 [みぉり]
「俺のモットーなの」


「は?」


どういう意味ー・・・っと言いたかったのに


バッシャン!!


という大きな水音に私の言葉はかき消されてしまった




「〜〜〜〜〜っなにすんのーーー!?!?!??!」

⏰:09/02/22 22:59 📱:PC 🆔:DsMEKhPQ


#528 [みぉり]
抱きかかえられていた温もりは消え、代わりにあるのは冷たい水


尻餅をついてしまった体勢で水に浸かっている私


当然、スカートはびしょびしょ


かろうじて濡れていないのはシャツのみ



・・・・・・確かにね、
私が水をぶっかけましたよ、えぇ、やりましたとも

⏰:09/02/22 23:07 📱:PC 🆔:DsMEKhPQ


#529 [みぉり]
それは認めましょう



でもね?
この仕打ちはないんじゃないかしら?


しかも、頭に水かけるつもりなんてなかったんだから!!いわばあれは事故なのに!



全身水浸しってひどすぎだよぉぉ!!!!!

⏰:09/02/22 23:15 📱:PC 🆔:DsMEKhPQ


#530 [みぉり]
「森くんのばかーっ!!」


叫びながら見上げた森くんは、悪びれる様子もなく大笑いしてお腹をかかえている始末



ひ、ひどい・・・・・めっちゃ笑ってるし!



ふつふつと怒りがこみ上げて、尻餅をついてままではあったけど


上半身動かして、森くんの右腕を掴む



森くんが一瞬、目を見開いて慌てたのがわかったけど


勢いよく、その腕をひっぱってやった



バシャーーーッン

⏰:09/02/22 23:27 📱:PC 🆔:DsMEKhPQ


#531 [みぉり]
「〜〜〜っつめてぇ」


文字通り、全身水浸しで両手をついた森くんの第一声



そんな彼を横目に、私は立ち上がって



もう一回、頭っから水をバシャンとかけてやった

⏰:09/02/23 00:16 📱:PC 🆔:3Zw2M3OI


#532 [みぉり]
「うわっ・・・・しょっぱ・・・っ」


口に海水が入ってしまったようで、眉間にしわを寄せてフルフルと頭にかかった水を振り切る森くん



「これでお互いさまでしょっ!」



そう言い放って、一人先に波打ち際から離れ


かばんと靴を置きっぱなしにしたバイクの方へと歩く




森くんが悪いんだからっ!
謝ったりなんかしない!

⏰:09/02/23 01:08 📱:PC 🆔:3Zw2M3OI


#533 [みぉり]
「おぉい・・・・園田ぁ〜・・・・」


「先輩を呼び捨てにしないでくださーい」



後ろからパタパタと、近づく声にも振り向かず


むすっと言い返し自分のカバンからハンドタオルを捜索する



ブルッ


背筋に急に悪寒が走った


肌にまとわりつく海水が、体温を奪ってるのだ


さっきまで射していた陽の光も、気づけば空を真っ赤に染めながら海へと沈んでいっていた

⏰:09/02/23 01:13 📱:PC 🆔:3Zw2M3OI


#534 [みぉり]
やばっ・・・寒い


冷えた手で、なんとかタオルを取り出して濡れた制服を無言で拭く



横にはやや、バツが悪そうに立つ森くんが視界にあるけれど、無視を決め込む



「・・・・園田、あの」


「先輩、でしょ?」

⏰:09/02/23 01:19 📱:PC 🆔:3Zw2M3OI


#535 [みぉり]
完全にご立腹オーラで、話す私に森くんはやや困惑気味



・・・・・・いや、私も森くんに対して水ぶっかけてその上、謝りもしてない・・・・・けど



体温が下がるのと同時に、かっとなっていた頭も冷えてきて



自分ばかりが森くんを責められる立場ではないと、冷静に感じつつも



どうにも、タイミングを掴めない

⏰:09/02/23 01:22 📱:PC 🆔:3Zw2M3OI


#536 [みぉり]
・・・・・・意地っ張りな性格ってこんな時は、本当に困りもの


謝る口火を切れずに、無言のまま下半身の水を拭っていると




「ごめん、悪ふざけが過ぎた・・・・園田先輩」



その声に視線を移せば、頭を深深とさげた森くんがいて



「えっ・・・・あ・・・・」

⏰:09/02/23 01:26 📱:PC 🆔:3Zw2M3OI


#537 [みぉり]
「…っ…私も、…ごめんなさい」


慌ててペコリと頭を下げてしまった



………謝れちゃった


勢いとはいえ、素直に森くんに謝れた自分にびっくりしつつ顔をあげる

⏰:09/02/23 18:32 📱:N905i 🆔:6/hIe97Y


#538 [みぉり]
ドキッーーーーッ



そこにはくしゃっと笑う森くん


その顔は真っ赤な夕陽に照らされ


ぽたぽたと垂れる雫が反射して、それがまた色っぽくて




心臓が大きく跳ねた

⏰:09/02/24 23:55 📱:N905i 🆔:ElgW3RqE


#539 [みぉり]
そんな私を見て、森くんがクスっと笑って口を開く


「・・・・・なに見惚れてるんですか?園田先輩(笑)」



はっ



「みっ、見惚れてなんかいませんっ」



慌てて視線を逸らし、再びスカートの水気を拭う



・・・・・びっくりしたっ
あまりに夕陽が似合いすぎてて・・・・

⏰:09/02/25 05:19 📱:PC 🆔:t2qodPZU


#540 [みぉり]
ドキドキと、心臓が鳴ってるのを悟られないように至って平静を装い、足を拭い続けていると



「……ぷっ」


隣でいきなり吹き出した声


ん?と顔をあげれば、間近にある森くんの顔

⏰:09/02/25 15:47 📱:N905i 🆔:FdRDGqIM


#541 [みぉり]
「ッ!?!?!?」



あまりの近さに、ビクっと体を仰け反らせて驚くと


森くんは、あのいたずらっこみたいな笑顔で



「…………顔、真っ赤」



そう言って、私にバサっと何かをかけた

⏰:09/02/25 17:12 📱:N905i 🆔:FdRDGqIM


#542 [みぉり]
「ひょっ?!」



急に視界を奪われて、ワタワタと被せられたそれを取ると


それは私のより一回り以上大きなジャージの上



……なんでジャージ?

⏰:09/02/27 23:53 📱:N905i 🆔:UdJobM/I


#543 [みぉり]
疑問に思って森くんを見ると、濡れたシャツを脱いでぎゅっと絞りながら


「透けてるから」




え?






……………えっ!?

⏰:09/02/28 00:04 📱:N905i 🆔:1eYyH9cs


#544 [みぉり]
その言葉に自分のシャツを見てみれば


白シャツの下からうっすら緑色が透けていて……




「っ!!///早く言ってよ〜〜っ!!」



またまた私の叫び声が、波際に響き渡った

⏰:09/02/28 12:58 📱:N905i 🆔:1eYyH9cs


#545 [みぉり]
慌ててジャージを羽織り、チャックをしめる


その間に森くんはさっさと絞ったシャツを着直し、ブレザーを羽織りバイクに乗る用意をして




「帰んぞ」



私にヘルメットをぽんと、手渡してバイクにまたがった

⏰:09/02/28 13:42 📱:N905i 🆔:1eYyH9cs


#546 [みぉり]
「えっ……だって森くん……濡れたままじゃ」


そのままヘルメットを被ろうとするのを慌てて止めて、タオルを手渡す



「サンキュ……けど、家に帰った方が早い」



「へ……そりゃそうだけど……」

⏰:09/02/28 15:00 📱:N905i 🆔:1eYyH9cs


#547 [みぉり]
渡したタオルで、がしがしと頭を拭くとすぐに返してそのままヘルメットを被りエンジンをかける


え?乗るの?……この濡れた状態で?


…………私、家はここからちょっと遠いんですけど


そんなことを思いながら、乗るのを躊躇していると


置いてくぞと言わんばかりの表情を隙間から覗かせる森くん


ちょっ……っ!!

⏰:09/02/28 15:23 📱:N905i 🆔:1eYyH9cs


#548 [みぉり]
置いていかれては困る!!



ワタワタと、カバンを掛けて後ろに乗ると、バイクは勢い良く走りだした



「…〜〜っっ………さむいっ!!」


寒いっ!!


陽が落ちかけで、一気に気温が下がったせいか


感じる風も肌寒くなっている



「家はー?」

⏰:09/03/01 09:55 📱:N905i 🆔:BvFJOOvw


#549 [みぉり]
エンジン音に負けないようにと、声を大きく尋ねてくる



「潮見高から美術館越えた先ぃ〜〜〜っ!!」



私も負けじと声を返したけど、森くんはそのまま返事もせずにバイクを走らせて



私は私で、寒さのあまり森くんの背中にぴったりとくっついて、あと20分はこの寒さに耐えなくてはと、目を閉じた

⏰:09/03/01 10:03 📱:N905i 🆔:BvFJOOvw


#550 [みぉり]
バイクのエンジン音と、たまにすれ違う車の音


それだけが耳を掠めながら、10分程度走ったあたりで急に減速し始めた様子に


違和感を感じて、閉じていた目を開くと、ちょうどバイクが停止した



「ついたぞ」


えっ?!
もうついたの?!?!早いっ!!

⏰:09/03/02 01:21 📱:PC 🆔:YHah7QxQ


#551 [みぉり]
驚いて森くんを見ると、森くんはさっさと降りて歩き出す。


私もすぐにバイクを降りてー・・・・ふと、疑問



・・・・・待って?


私、森くんに家の住所なんていってないよね?


教えてないのにたどり着けるはずがない


・・・・っていうか、どんなに急いでも10分でたどり着ける距離じゃないし

⏰:09/03/02 01:22 📱:PC 🆔:YHah7QxQ


#552 [みぉり]
・・・・・・。


え?・・・・・ってことは?



視界を狭くしていたヘルメットを外して、見回す景色は全く知らないものばかり


ただ、すぐ近くの電柱に張られた住所の看板から


ここがどの辺りなのかは見当がついた


・・・・・・なんで?
学校までも、まだ少し距離あるのに・・・・

⏰:09/03/02 01:25 📱:PC 🆔:YHah7QxQ


#553 [みぉり]
家まで送ってくれとまでは言わないけれど、


せめて学校の前くらいまでは連れて行って欲しかったのに・・・・


ここから歩くと結構時間かかるなぁ〜うぅ・・・・


単純に計算しても30分はかかるであろう道のりを思うと


「はぁ・・・・。」


思わずため息が出てしまった

⏰:09/03/02 01:28 📱:PC 🆔:YHah7QxQ


#554 [みぉり]
と、ため息ついた所で歩いて帰らなきゃならない事実は変わらないか・・・・・。


やれやれ、とカバンを肩にかけ直す


とりあえず、このヘルメットを返さないことには帰れないし



「森くん、これ、ありがー・・・・・あれ?」



森くんに声をかけようと、振り返った先には一軒の大きな家があるのみ

⏰:09/03/02 01:32 📱:PC 🆔:YHah7QxQ


#555 [みぉり]
・・・・・またどっかに行っちゃったよ。もぅ!



辺りをキョロキョロしてみても、その姿はどこにもない



・・・・・ってことは・・・・この家の中に・・・・入ったってこと?



普通に考えるとそうだよね?


純和風で、立派な瓦屋根の大きな家
・・・・・なのにそのまん前には、大きなバイク



・・・・・・・・・・・変な組み合わせ(笑)

⏰:09/03/02 01:35 📱:PC 🆔:YHah7QxQ


#556 [みぉり]
バイクと家との並びがなんだかおかしくて、ぷっと吹き出してしまうと



「・・・・・頭、大丈夫か?」



まさに私が笑った瞬間に、森くんの声が聞こえた。


声に視線を動かせば、家の扉から呆れ顔の森くんがこちらを見ていた



はっ



笑ってる場合じゃなかった!ヘルメット返さなきゃ

⏰:09/03/02 01:40 📱:PC 🆔:YHah7QxQ


#557 [みぉり]
「森くんっ!ヘルメット!忘れてる!!」


たたっと駆け寄り、ヘルメットを渡す



「あぁ。」


「どうもありがとうございましたっ!」


森くんが受け取ったのを確認して、ぺこりと頭を下げて帰宅しようと向きを変えた


外はすっかり陽も落ちてるし、濡れたままじゃ体もどんどん冷えちゃう

⏰:09/03/02 01:43 📱:PC 🆔:YHah7QxQ


#558 [みぉり]
軽くタオルで拭っただけじゃ、やっぱり寒いし

走って帰ったほうが案外、体もあったまっていいのかも



そんなことを考えつつ、歩き出そうとした瞬間



がしっ


「へ?」


森くんが私の腕を掴んだ

⏰:09/03/02 01:46 📱:PC 🆔:YHah7QxQ


#559 [みぉり]
「え?なに?」


足を止められたことに、キョトンとしながら尋ねる


「なに帰ろうとしてんの?」


眉間にシワを寄せて、難しい顔をする森くん


その表情の意味がわからず”?”が頭を回る私


「え?だって、ここ森くん家でしょ?私の家はここから歩いてー・・・・」

⏰:09/03/02 01:50 📱:PC 🆔:YHah7QxQ


#560 [みぉり]
「このまま帰ったら風邪ひくだろ、服貸すからあがってけ」


「えっ!!いいよ!そんなの、悪いからっ!!」



ヘルメットも返したしさっさと帰るよ、まで言いたかった私の言葉を遮り、森くんは私の肩からカバンを取ってさっさと家の中に入ってしまった



「ちょっ・・・・っ・・・大丈夫だってばっ!ねぇ!森くん〜!!」

⏰:09/03/02 01:54 📱:PC 🆔:YHah7QxQ


#561 [みぉり]
もうっ!勝手なんだから〜!!


「はぁ〜・・・・」


再び、ため息をつくと早急な帰宅は諦めて


森くんの家にお邪魔することにした


「お邪魔しま〜す・・・・・」



・・・・・なにこの家

⏰:09/03/02 03:03 📱:PC 🆔:YHah7QxQ


#562 [みぉり]
外から見ても広かったけど、中はもっとすごい


ザ・日本とでもいいましょうか



「…………ボンボンなの?」



森くんの後ろをくっついて歩きながら、思わず呟く




「は?………あぁ…まぁ……普通の家とはちょっと違うか」

⏰:09/03/03 17:20 📱:N905i 🆔:L4tmRltQ


#563 [みぉり]
振り向きもせず、答えたその声に、それ以上聞くことはいけないような気がして


スタスタと歩く森くんの後をついて静かに歩いた




・・・・・・廊下長いっ!!
っていうか、中庭すごいんですけど



純和風すぎるその造りに驚きつつ、ある洋風な扉の前で森くんが足を止めた

⏰:09/03/03 21:58 📱:PC 🆔:16i80ETU


#564 [みぉり]
ガチャ・・・・


「ここ、入って」


それに合わせて立ち止まった私を横目に、扉をあけた森くんは中に入るように促す


「?・・・・失礼します・・・・。」



入った部屋の壁には、バスタオルと洗濯物を入れると思われるかごが置いてあるのが見えた


・・・・・脱衣所?

⏰:09/03/04 02:00 📱:PC 🆔:q2ezTJfk


#565 [みぉり]
「ここってー・・・」


バサッ


森くんに話しかけようと振り向いて、またまた何かを掛けられて慌ててそれを外す


・・・・今度はバスタオル??なぜに?


訳が分からず森くんを見ると、外でドアを閉めようとしているし


「風呂。冷えたままじゃ着替えたって意味ないしな、」



「へっ?!いくらなんでもそれは悪いよっ!」

⏰:09/03/04 02:07 📱:PC 🆔:q2ezTJfk


#566 [みぉり]
バタンッ



「…………まだ話してんのに」



問答無用とばかりに、閉められた扉をしばし見つめてため息をつく


………せっかくのご好意だし、有り難く受け取ろう

⏰:09/03/05 08:40 📱:N905i 🆔:x6CSSMIY


#567 [みぉり]
「……っていうか、入らなかったら怒られそうだもん」



呟きながら制服を脱いだものの、どこに置いたらいいのかな


……かごに入れるのはさすがになぁ


一先ず、全体的に湿ってるのをキレイにたたんで浴室と思われる扉を開けた



ガチャ………

⏰:09/03/05 08:45 📱:N905i 🆔:x6CSSMIY


#568 [みぉり]
「…………。」



思わず、扉を開けたまま固まってしまった



………一般家庭の風呂の5倍はあるんじゃないかって広さ


シャワー3つとか要らないんじゃないかとか、突っ込みたいコトはたくさんだけど


とにかく、体を温めなきゃ

⏰:09/03/05 08:49 📱:N905i 🆔:x6CSSMIY


#569 [みぉり]
そう思い直して、いつのまにかすっかり冷えきってしまった体にシャワーをかける



「あつッ……」



かなりぬるめに、設定したのにそれすらも肌にあたると熱いと感じずにはいられなくて



足元からゆっくりとシャワーを浴びつつ、置いてあるボディソープを拝借した


泡立てながら洗うと、実は体中に細かい砂が大量に付着していたことに気付く

⏰:09/03/05 09:05 📱:N905i 🆔:x6CSSMIY


#570 [みぉり]
ふと、髪に触れてみると海の匂いがしてるし


………すいません。徹底的に洗います



心の中で断りを入れ、全身をくまなく洗うとたっぷり湯の張られた湯槽に浸った



チャプン…

⏰:09/03/05 09:24 📱:N905i 🆔:x6CSSMIY


#571 [みぉり]
「あ〜…気持ちいい〜……んーっ」



肩まで浸かって、体を思いっきり伸ばす


ほぅっと一息ついて



「園田、着替え置いとくから」



扉越しの声に、慌てて我にかえった

⏰:09/03/05 15:07 📱:N905i 🆔:x6CSSMIY


#572 [みぉり]
のんびり入ってる場合じゃないんだった!!


反射的に立ち上がり、人影に向かって


「ああありがとうっ!」


と声をかけると、ゆらりと影になって見えた森くんは、手をあげてそのまま出ていった



………早くあがろ

⏰:09/03/05 15:54 📱:N905i 🆔:x6CSSMIY


#573 [みぉり]
バシャン・・・・ガチャ



すぐに脱衣所へと出て、バスタオルを手に取る


気持ちよかった〜湯冷めしないうちに、貸してもらった服きなきゃ



体中の水を拭い、着替えに手を伸ばそうとした瞬間


ガチャリ


「!!!!!!!!!!」

⏰:09/03/09 02:14 📱:PC 🆔:KaP.G9lc


#574 [みぉり]
間違いなく、扉の開く音が聞こえ反射的に見ると


驚いた表情の森くんがそこには居て・・・・・



・・・・とりあえず、叫びます




「いやぁぁ〜〜〜っ!!!!!!////」


「わわわわっ悪かった!!!////」

⏰:09/03/10 05:11 📱:PC 🆔:WVNKKkDA


#575 [みぉり]
バタンッ


勢いよく扉の閉まった音に、思わずその場にへたりこんだ


・・・・・・・裸・・・・見られたよね、絶対



どうしてバスタオルを胸に当てるとか、
体に巻きつけるとかしてなかったの私っ(涙)


己の行動が悔やまれるけれど、今となっちゃ後の祭り

⏰:09/03/11 05:51 📱:PC 🆔:ErV5EzZ6


#576 [みぉり]
がっくりと肩を落としつつ、ブルッと悪寒が走り抜けたので慌てて着替えようと下着を探す



「・・・・あれ?」


畳んで置いた服を手にとって出ようとしたが


そこに置いたはずの服がない

⏰:09/03/11 05:59 📱:PC 🆔:ErV5EzZ6


#577 [みぉり]
「はっ?!ないってなんで?!」


驚いてあたりをワタワタと手探りするも見当たらず


「〜っ・・・さむっ・・・・も〜仕方ないっ」


下着を探すことを諦めて、森くんの用意してくれた着替えのシャツを手に取る



「・・・・へ・・・これは・・・」

⏰:09/03/11 06:04 📱:PC 🆔:ErV5EzZ6


#578 [みぉり]
シャツの下に置かれていたのは、真新しい下着のセット


「・・・・・・これも・・・用意してくれたってこと・・・・?・・・」



いくらなんでもっ!!ここまでされたら申し訳なさすぎるわっ!


っていうか、女として恥ずかしすぎるっ(涙)

⏰:09/03/11 06:15 📱:PC 🆔:ErV5EzZ6


#579 [みぉり]
「……………うぅ」



恥ずかしいけど、下着をつけずに服を着るほうが堪え難い


………大人しく借りよう



ササッと着替えて、外に出る



ガチャ…

⏰:09/03/12 00:38 📱:N905i 🆔:rgsCUUfY


#580 [みぉり]
バタン……


「ふぅ……」


閉めた扉に寄り掛かり、一息をつくと


「………園田」



右隣から声をかけられ慌てて振り向く

⏰:09/03/12 00:46 📱:N905i 🆔:rgsCUUfY


#581 [みぉり]
「森くんっ」


そこにはバツが悪そうな顔の森くん


「………わりぃ…いや、ごめん」

その言葉はもちろん、さっきいきなり扉を開けたことを指しているだとすぐに察知した

⏰:09/03/12 00:55 📱:N905i 🆔:rgsCUUfY


#582 [みぉり]
思わず、カーッと顔が赤くなってしまったのが自分でもよくわかる



「えっ!あ、うん///・・・いや、こちらこそ・・・・申し訳なくて」


「は?」


「いやっ!見苦しい体を見せちゃったし!・・・っていや、そうじゃなくて!!えーと・・・下着まで用意してもらっちゃって・・・そのっ」

⏰:09/03/12 06:47 📱:PC 🆔:U..c1DqA


#583 [みぉり]
パニック過ぎだよ自分!!何を言ってるんだかわからないって〜〜っ!!


支離滅裂な言葉すぎて、思わずうつむくと


「ぶっ・・・くくくっ・・・おまえ、自分の体を見苦しいって(笑)」


頭上から笑いをこらえきれずに、話す声が振ってきて、顔をあげた

⏰:09/03/12 06:58 📱:PC 🆔:U..c1DqA


#584 [みぉり]
お腹を抱えて笑う森くん


それが余計に私の恥ずかしさを助長して・・・・



「〜〜〜っ////そっそんなに笑うことないでしょぉ!!///」


更に真っ赤になりながらも必死に言い返すと、森くんは『悪りぃ』と言いつつ笑いを堪えきれないまま、くるりと向きを変えて歩き出す

⏰:09/03/12 07:03 📱:PC 🆔:U..c1DqA


#585 [みぉり]
「あ・・・ま、待ってっ」


慌ててその後をついて歩き出すと同時に



「はる〜〜っ!!!なにこの廊下っ!!砂だらけじゃない!!」


後ろから、どこかで聞いた声が聞こえて振り向いた



え、うそ・・・・なんで・・・?



そこに立っていた人物を見て、驚いて言葉をなくしてしまった

⏰:09/03/12 07:10 📱:PC 🆔:U..c1DqA


#586 [みぉり]
「あれ・・・?・・・えと・・・凪の・・・?」


高く結われた髪、くるんと大きな瞳で不思議そうに私を見つめているのはー・・・・




「楓・・・・・・何だよ」



いつのまにか、私の真横に立った森くんが不機嫌そうに楓ちゃんに声を掛ける

⏰:09/03/12 07:16 📱:PC 🆔:U..c1DqA


#587 [みぉり]
楓ちゃん・・・・・・


私なんてすっかり楓ちゃんのことを忘れていたのに、楓ちゃんは私のこと覚えてたんだ

いや、知ってるんだ・・・・凪から聞いて



「何って・・・・まぁ、特に用はなかったんだけど・・・お邪魔だった?」


笑顔で尋ねる楓ちゃんとは対照的なトーンで応える森くん



「は?・・・・・あぁ・・・・こいつか」

⏰:09/03/12 07:33 📱:PC 🆔:U..c1DqA


#588 [みぉり]
森くんと楓ちゃんが、会話していたけど


私の耳からその声はすぅっと遠のいていった



・・・・凪、私の話してるのかな?


ただの幼馴染だって・・・


・・・きっと、聞いてるよね


だって凪のバイト先を知ってるくらい、仲良しなんだもん

⏰:09/03/12 07:39 📱:PC 🆔:U..c1DqA


#589 [みぉり]
━━――─・・・・・
陽臣side

「はる〜〜っ!!!なにこの廊下っ!!砂だらけじゃない!!」


まさか、と思って振り向いた先に最も会いたくないやつがいた。


イライラする。


なんで楓が家にいんだよ


ここ最近、来てなかったから安心してたのに・・・・

⏰:09/03/12 07:50 📱:PC 🆔:U..c1DqA


#590 [みぉり]
━━――─・・・・・
陽臣side

「はる〜〜っ!!!なにこの廊下っ!!砂だらけじゃない!!」


まさか、と思って振り向いた先に最も会いたくないやつがいた。


イライラする。


なんで楓が家にいんだよ


ここんとこ、来てなかったから安心してたのに・・・・

⏰:09/03/12 07:53 📱:PC 🆔:U..c1DqA


#591 [みぉり]
【訂正】
二重投稿してしまって申し訳ありません

× 589


お付き合い、よろしくお願いいたします。


みぉり

⏰:09/03/12 09:49 📱:N905i 🆔:rgsCUUfY


#592 [みぉり]
>>590から


「楓……何だよ」


イライラしながら、尋ねた俺に楓は悪怯れた様子もない笑顔


あげく、どうやら園田を俺の彼女かなんかと勘違いしたらしい

⏰:09/03/12 19:12 📱:N905i 🆔:rgsCUUfY


#593 [みぉり]
その発言に『は?』と答えながら、隣に視線を移すと


園田は今にも泣きだしそうな顔で、楓を見つめていた



ー……なんだ?



“二人を離さなきゃならない”


なぜか、直観的にそう思った

⏰:09/03/12 19:21 📱:N905i 🆔:rgsCUUfY


#594 [みぉり]
「楓に関係ねぇよ・・・・見ての通りだから・・・・おい、園田」


「へ?・・・・あ、うん?・・・・・・・」


俺の声で『はっ』と、我に返ったみたいだ


けれども、その目は不安げに揺れている


さっきまではギャアギャアと元気だったのに


・・・・やっぱり、楓か?

⏰:09/03/13 01:12 📱:PC 🆔:2RyXq.Hg


#595 [みぉり]
園田の様子が明らかにおかしい


楓は園田のことを知っているみたいだが……


それが、知人程度らしいことは、二人の空気からもわかる



「」

⏰:09/03/13 04:48 📱:N905i 🆔:2RH2EdPE


#596 [みぉり]
「こっち…………じゃぁな、楓」 


園田の背を押しながら、俺自身も楓に背を向け、そう言った



「…??」



園田はどうやら俺と楓の会話を聞いていなかったらしく、首を傾げてはいたが俺に促されて歩く

⏰:09/03/15 04:42 📱:N905i 🆔:Fhxk5dG6


#597 [みぉり]
「はいはい、お邪魔しました〜」

後ろから聞こえた呑気な楓の声に苛立ちながらも、手を挙げてそれに応えた



………くそッ…



久しぶりに波立った心

⏰:09/03/15 04:48 📱:N905i 🆔:Fhxk5dG6


#598 [みぉり]
俺はまだー………



“楓”を消化しきれていないのだと



確認してしまった

⏰:09/03/15 04:51 📱:N905i 🆔:Fhxk5dG6


#599 [みぉり]
ガチャ………



自室の扉を開け、園田を入れるとすぐに内線をかけた



『…ーはい。三内です。』

「三内さん?…俺、ちょっと砂で廊下汚しちゃって……申し訳ないんですが……」

『あら…陽さま?お久しぶりですね…承知いたしました。すぐに清掃いたします』

⏰:09/03/15 04:57 📱:N905i 🆔:Fhxk5dG6


#600 [みぉり]
「ありがとうございます。おねがいします」


ー…ピッ


家に数人いる使用人を仕切っている三内(ミナイ)さんへの電話を切り、ふぅっとため息をつく


頭によぎるのは楓の笑顔

⏰:09/03/15 05:01 📱:N905i 🆔:Fhxk5dG6


#601 [みぉり]
声を聞いたのはどれくらいぶりだろう



話をしたのなんて……正月以来じゃないかと思う



………変わらないんだな

⏰:09/03/15 13:38 📱:N905i 🆔:Fhxk5dG6


#602 [みぉり]
楓は、俺と話していない時間があっても、何も変わらない


俺は、初めは違和感だらけで会いたい気持ちに駆られた


けれど、会わないようになって苛立つことはなくなりほっとした。

何より楓を汚してしまいそうな衝動が薄れたことが有り難かった

⏰:09/03/16 06:13 📱:N905i 🆔:otNY5eiY


#603 [みぉり]
あいつにとって、俺はいてもいなくても変わらないんだと、ただの幼馴染みだと痛感してそのままー………




「…ーくんッ!!森くん!!」


はっ


「あぁッ!!…わりぃ、ぼーっとしてた」

⏰:09/03/16 19:08 📱:N905i 🆔:otNY5eiY


#604 [みぉり]
園田の声で我に返った


そういえば園田と楓はなんで面識があるんだ?


クラスは………かなり離れていたはず



疑問に思いつつも、先刻の不安げな園田の顔がちらつく

⏰:09/03/25 04:58 📱:N905i 🆔:4LQMdRdc


#605 [みぉり]
問い掛けてもいいのか分からず、黙っていると


「ね、ね、森くん家ってお手伝いさんがいるの!?」


園田は目をキラキラさせて聞いてきた



「あ?……あぁ、何人か……な」

「ひゃーっ!!おぼっちゃまだぁ!!」

⏰:09/03/27 02:45 📱:N905i 🆔:9cJ2rwVY


#606 [みぉり]
まぁ、そうだよな

大概の人間はこんなリアクションだ


普通、使用人がいたって数人も雇いはしない

そういう意味でもうちは特殊なんだろう



あ、そうだ

⏰:09/03/27 03:34 📱:N905i 🆔:9cJ2rwVY


#607 [みぉり]
「服なんだけど」


その言葉で、園田の表情が一変した

楽しそうな顔から強ばった顔へ



……………百面相かよッ笑



あまりにコロコロと変わる表情がおもしろい

⏰:09/03/27 03:37 📱:N905i 🆔:9cJ2rwVY


#608 [みぉり]
おそらく……いや、確実に服のことを忘れていたんだろう


今度は見る見る内に顔が赤くなっていく


「ああああああのっ!!…っ///えとっ……服、ありがとう」



真っ赤な顔で俯きながらのその姿は、まるで小さな子ども


…………ユデダコみてぇ

⏰:09/03/27 05:05 📱:N905i 🆔:9cJ2rwVY


#609 [麗]
>>01-300
>>301-600

⏰:09/04/30 03:43 📱:SO905i 🆔:Eo5JWJHo


#610 [みぉり]
>>麗さん
アンカーありがとうございます
更新亀でごめんなさい

⏰:09/05/09 11:24 📱:N905i 🆔:Ex1bs22M


#611 [みぉり]
>>608から


吹き出しそうになるのを堪えつつ、続ける



「いや、俺が貸した服じゃなくてお前の制服」



今度ははっと、目を丸くして慌てだす


「私の服っ…!どこにあるの!?」

⏰:09/05/09 12:52 📱:N905i 🆔:Ex1bs22M


#612 [みぉり]
「クリーニング中」


「へ?」



ぽかん顔の園田を横目に、自室のソファにどかっと座る



「えぇっ!?そんなっお風呂から服まで申し訳なさすぎだよぉっ!」


俺の真前に正座で座る姿が、しゅんとうつむく

⏰:09/05/09 17:50 📱:N905i 🆔:Ex1bs22M


#613 [みぉり]
「俺が勝手にしてるだけだから気にすんな」


うつむく頭をぽんぽんと撫でてみても
顔をあげない

すみませんオーラが嫌ってほどに出てる

⏰:09/05/09 18:01 📱:N905i 🆔:Ex1bs22M


#614 [里紗]
かかないんですか?


めっちゃ途中

⏰:09/06/24 01:01 📱:F704i 🆔:Yecw9c/w


#615 [みぉり]
>>里紗さん

コメントありがとうございます。
感想板にてお返事を書かせていただきましたので
そちらに目を通していただければ幸いです。

感想板 
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/3579/


みぉり

⏰:09/06/26 22:27 📱:PC 🆔:xMP/tl/s


#616 [みぉり]
>>613から


「・・・・・園田?」
「・・・・けない」


「は?」


曖昧に聞こえ声に聞き返すと、ぱっと園田は顔をあげた

⏰:09/06/26 22:46 📱:PC 🆔:xMP/tl/s


#617 [みぉり]
「自分が本当に情けないなーって思ったの!!」


少しだけ眉間にシワを寄せて、
大きな独り言のように話した顔は
口を一文字にしていて・・・・・小さな子どもそのもので思わず


「・・・・・・ガキみてぇ」


ぽそりとつぶやいてしまった

⏰:09/06/26 22:57 📱:PC 🆔:xMP/tl/s


#618 [みぉり]
あ、やべ・・・余計なこといったな今



直後、まさにその通りと言わんばかりに



「どうせ、ガキんちょですよっ。ひねくれものだし、
自分の服のこととか大事なことはすぐに忘れるし?
っていうかね!まさかクリーニングに出されてるなんて思いもしないじゃない普通!!
それに誰が私の服もってったの?
・・・・あ、もももももしかして森くんっ?!?!?!?!?!?!」


と、一気にまくし立てる園田

⏰:09/06/27 02:21 📱:PC 🆔:6DDDCZg6


#619 [みぉり]
むすっとした顔から赤ら顔へと一瞬で変化したまま


”まさか、あなたがクリーニングに私の下着も一緒にだしたんですか?”


と目で訴える始末。



・・・・・・・・・・おもしろいなぁ。。。。こいつは。


ここまで勢いよく、テンションを上げ下げできるのはたいした才能じゃないかと感心してみていると

⏰:09/06/27 02:26 📱:PC 🆔:6DDDCZg6


#620 [みぉり]
「・・・・・・やっぱり、森くんが・・・・・」


再び、しゅんと泣きそうな顔になった。



・・・・・あ、説明しないとだったな



このままじゃ、俺が園田の下着をぽんっともてるデリカシーなさすぎ男にされる


そう思って口を開いた

⏰:09/06/27 03:08 📱:PC 🆔:6DDDCZg6


#621 [みぉり]
「違うって・・・・お手伝いさんの一人に取らせたんだよ」



”へ?”とキョトンと俺を見る園田



・・・・・1から説明すんのかよ



「俺だってそこまでデリカシーないわけじゃねぇよ。
お手伝いさんの一人・・・・もちろん女の。
俺は脱衣所の衣類全部をクリーニングにって頼んだだけ。
だから、お前の下着を触ってもいないし見てもいない」

⏰:09/06/27 03:11 📱:PC 🆔:6DDDCZg6


#622 [みぉり]
”安心しろ”と、園田の頭に手を置き立ち上がって横を通る


「あっ・・・・ごっごめんなさいっ」


後ろから聞こえた声に視線を向ければ
そこにはほっとした様子の園田


「ま、紛らわしい真似したのは俺だしな。
ちなみに下着だけど、俺の姉貴の未使用品だから安心しろ」


園田に背を向けたまま、おそらくまた顔を真っ赤にして
あたふたしているだろうと想像できて

ふっと笑いながら飲み物を取りに、部屋を出た

⏰:09/06/27 12:41 📱:PC 🆔:6DDDCZg6


#623 [みみ]
>>300-600

⏰:09/06/29 20:52 📱:P905i 🆔:mvV0j6To


#624 [みぉり]
>>みみさん
アンカーありがとうございます

⏰:09/06/29 23:56 📱:N905i 🆔:LcdNULUU


#625 [みぉり]
>>622から


━━−−−………
有希side


ガチャ………バタン。



扉がしまると同時に、一気に力が抜けて



すぐそばにあった、巨大クッションに倒れこんだ




……………ッ恥ずかしすぎるッ

⏰:09/06/30 00:02 📱:N905i 🆔:5n.CYsMw


#626 [みぉり]
女として……本当にダメすぎるなぁ………(涙)




はぁっとため息をはきつつ、クッションに押しつけていた顔をあげると



ちょうど、真っ正面に本棚があった




…………英語?

⏰:09/07/01 02:00 📱:N905i 🆔:pNww4Bz.


#627 [みぉり]
なんとなく、取出しパラパラめくって指が止まった。




……英語の問題とかかなって思ったけど


……………英字の本だ



難しい英文がヅラヅラ書かれた洋書が、本棚の下段にびっちり並んでる

⏰:09/07/01 02:03 📱:N905i 🆔:pNww4Bz.


#628 [みぉり]
・・・・本当に森くんって、頭いいんだ



本棚全体をぐるっと見ても、洋書や漢字がやたら多い背表紙ばかり



「はぁ〜・・・・・さすがは、飛び級」



感嘆しながら見回していたが、
ふと、下段の洋書のすみに背表紙のない本が数冊並んでいることに気づいた

⏰:09/07/01 20:14 📱:PC 🆔:0UX7.Hgw


#629 [みぉり]
「?何の本だろ」


すぅっと引き込まれるように手にとって、ページをめくると


小学生が数人でポーズをとっているもの、川辺で遊んでいるものなど


たくさんの写真が貼られていた

⏰:09/07/02 21:51 📱:PC 🆔:mlWqhtqk


#630 [みぉり]
幼いながらに、今の面影がしっかり見える。



「…………森くん、昔からきれいな顔してるのねぇ(笑)」




パラパラとめくりながら、アルバムの中の写真たちが確実に年を重ねていくのが見て取れる




あ、学ラン

⏰:09/07/03 22:52 📱:N905i 🆔:33DHwNDM


#631 [みぉり]
中学校名の書かれた門の横に


満面の笑みで並ぶ森くんと女の子



ふと、その並びに既視感を覚えた



・・・・?さっきの写真は・・・・あっ、これ



少し戻って、めくってみるとあらゆる写真のほとんどに必ずその女の子がうつっていた

⏰:09/07/05 22:23 📱:PC 🆔:GKNu5AC6


#632 [愛]
>>300-600

⏰:09/07/06 01:57 📱:SO906i 🆔:rduiCTqc


#633 [みぉり]
>>愛さん
アンカーありがとうございます

⏰:09/07/07 08:51 📱:N905i 🆔:nLRxr55g


#634 [みぉり]
>>631から


再び、中学入学式の写真をみる



この中学は、あかりと凪が通ってたトコロと同じ

⏰:09/07/07 14:57 📱:N905i 🆔:nLRxr55g


#635 [みぉり]
並んで写る二人に、ある違いを見つけた


森くんは”祝入学“の花がついた札を胸元につけているのに、女の子の胸元に花がついてない


代わりに腕に腕章をつけている



…………学年が違う?

⏰:09/07/07 17:09 📱:N905i 🆔:nLRxr55g


#636 [(*・ω・*)/~]
失礼します、、、。
>>1-200
>>201-400
>>401-600
>>601-800
>>801-1000

⏰:09/07/07 18:41 📱:SO905i 🆔:xvVMR3pw


#637 [みぉり]
>>(*・ω・*)/~さん☆

アンカーありがとうございます!!

⏰:09/07/07 23:34 📱:PC 🆔:pmM3V4m2


#638 [みぉり]
>>635から


じっとその女の子を見つめた。



髪が短くて、少しぽっちゃりした女の子



思い当たる女の子が一人、頭をよぎる。



この顔はー・・・・・笑顔は、もしかして・・・・・




「楓・・・・ちゃん・・・・?」

⏰:09/07/07 23:38 📱:PC 🆔:pmM3V4m2


#639 [みぉり]
ガチャッ・・・・・


扉の開く音に、はっと振り返る。


「あったかいのでいいか?三内さんがー・・・・」



話ながら部屋に入ってきた森くんは、アルバムを手にしている私をみて、動きを止めた



驚いた表情を浮かべた森くんと一瞬、目が合い、すぐに逸らされた

⏰:09/07/07 23:44 📱:PC 🆔:pmM3V4m2


#640 [みぉり]
スッと、お茶のセットをトレイごとテーブルにおいて、ソファに座った森くん



固まったまま動けない私





数秒の沈黙

⏰:09/07/08 21:55 📱:N905i 🆔:dHZxOh.o


#641 [みぉり]
ソファに座った森くんは、ちょうど私の真後ろで


その表情は見えなくて、余計に動くことができない



・・・・・・・怒られる。そう思った矢先




「・・・・・・・おい」


ビクッ

⏰:09/07/08 23:58 📱:PC 🆔:HH2AzPHg


#642 [みぉり]
低い声に思わず、体が強張った



振り向けずにそのままでいた私に更に低い声が響く





「……………アルバム」

⏰:09/07/09 22:20 📱:N905i 🆔:pkRu6K52


#643 [みぉり]
「はいっ!」



勢い良く振り返り、両手でアルバムを差し出すと



何もいわず無言で受け取る森くん



ページは開いていた入学式のまま

⏰:09/07/10 07:49 📱:N905i 🆔:1JnXsQzM


#644 [みぉり]
じっ、とアルバムを見つめる姿を静かに見ていた




「………こいつだよ」



「え?」



アルバムを閉じて、バサッとソファに投げ出し、つぶやいた声に聞き返す

⏰:09/07/10 21:18 📱:N905i 🆔:1JnXsQzM


#645 [みぉり]
ふぅっと息をはだした森くんと、視線が合った瞬間



「おれの幼なじみ」
「ごめんなさいっ」



勝手にアルバムを見てしまったことを謝らなくてはと、とっさに出た言葉に重なった声

⏰:09/07/10 21:39 📱:N905i 🆔:1JnXsQzM


#646 [みぉり]
「あ・・・えと・・・・勝手にアルバム見てごめんなさい・・・・あの、写真の子って・・・・・」



少し遠くを見ているような、そんな目の森くんにしどろもどろになりつつも話しかける。



「・・・・・お前、楓の知り合いなの?」


やっぱり。
あの子は・・・・楓ちゃんなんだ

⏰:09/07/12 01:09 📱:PC 🆔:px1IlGdI


#647 [みぉり]
「知り合いというか・・・・本当に顔見知り程度なの。話したのなんて1回だけで・・・・」



おずおずと話す私から視線をお茶に移した森くんは



慣れた手つきで、紅茶をカップに注ぐ。



部屋中にふわっと紅茶の香りが漂って、ふっと力が抜けた。

⏰:09/07/12 01:16 📱:PC 🆔:px1IlGdI


#648 [みぉり]
「ふーん。・・・・座ったら?」


その声に促されるように、テーブルのすぐ近くにちょこんと正座しする。



「ん、熱いから気をつけろよ。・・・砂糖はこの中」



トレイの上の可愛らしい小さな容器を私側に寄せて



森くんは、ソファに深く腰掛け直して紅茶を口に運んだ。

⏰:09/07/12 01:21 📱:PC 🆔:px1IlGdI


#649 [みぉり]
「・・・・・あの・・・・楓ちゃんが森くんの幼なじみ?」


カップには手を伸ばせず、じっと森くんを見上げるように聞く



心なしか、心臓がドキドキしているのが自分でもよくわかる



カチャンと、静かにカップを置いた森くんは再び、遠い目で私に視線を向けた

⏰:09/07/12 01:25 📱:PC 🆔:px1IlGdI


#650 [みぉり]
「楓は、生まれた時から・・・・いや、生まれる前からの幼なじみ。」


じっと、黙って森くんを見つめていると、森くんは投げ出したアルバムを開いてゆっくりとページをめくり始めた



「楓の親と、うちの親が仲良くてさ。ずっと家族ぐるみで仲がいいんだ・・・・で、生まれる前からずっと一緒にいたわけ・・・・・俺が中2までは」



声のトーンが少し下がった

⏰:09/07/12 01:46 📱:PC 🆔:px1IlGdI


#651 [みぉり]
「ここからの話は・・・・・あんまいい話じゃねぇけど・・・・聞くか?」



森くんの問いかけに、コクンとしっかり頷く



だって、今までは私の話ばかり聞いてくれていた森くんが



自分の話をしようとしてくれてるんだもん



きちんと聞きたい、そう思ったから

⏰:09/07/12 01:50 📱:PC 🆔:px1IlGdI


#652 [みぉり]
━━――――………
陽臣side


久しぶりに見るアルバム
無邪気に笑う自分と楓がひどく懐かしく感じた



「楓は俺の1つ上、園田と同い年。・・・・・といっても、誕生日が1週間しか違わないってのもあったし、子どもの時は年の違いなんて気にしたことなかった」



話ながらページをめくる
幼少期、小学校・・・・学年を超えた行事が多かったせいか
ほとんどの写真に一緒に写っている

⏰:09/07/12 16:23 📱:PC 🆔:px1IlGdI


#653 [みぉり]
毎日が楽しかった


いつも一緒にいられることが『特別』だなんて気づかなかった



だから



自分の気持ちに気づいたとき



たった1週間の年の差が、悔しくて悔しくて仕方なくなった

⏰:09/07/12 18:38 📱:PC 🆔:px1IlGdI


#654 [みぉり]
「楓が中学に入って、
途端に毎日がつまらないと感じるようになったんだ・・・・
なんでつまらないのかって、その理由が
ずっとわからなくて
毎日もやもやした気持ちだったのを覚えてる」



中学入学式の写真を開き、じっと見つめた


俺が楓を好きなんだと気づいたのは、この日だったー・・・・・

⏰:09/07/12 18:48 📱:PC 🆔:px1IlGdI


#655 [みぉり]
「入学式の日はなんでか、すごく嬉しくてな。
親を急かしながら学校へ向かったんだ。
桜がキレイに咲いていて、立ち止まってその並木道を見上げていたらー・・・・・」



『はる〜〜っ!!!』



並木道の終わりにある中学校の門から、大きく手を振りながら立つ楓が満面の笑顔を向けていた

⏰:09/07/12 18:55 📱:PC 🆔:px1IlGdI


#656 [みぉり]
「・・・・柄にもない言い方だけど、本当に心臓がドキっとすることがあるんだなって思ったよ(笑)・・・・・・そのまま門に向かって駆け出したとき、感じたんだ」


パタンと静かにアルバムを閉じて、すっと本棚の下段に戻す



「あぁ、これから毎日楽しくなるって。楓がいなかったから毎日つまらなかったんだって」


ふぅっと息を吸い込んだ


「楓を好きだと、気づいたんだ」

⏰:09/07/12 19:45 📱:PC 🆔:px1IlGdI


#657 [みぉり]
少しの沈黙


園田に視線を向けると、じっと俺を見つめる姿があった


まっすぐに俺を見据えて、その続きに耳を傾けようとしてくれているのがよくわかる



・・・・・・・誰かに、この話をする日が来るなんて思ってなかったのにな



そんな想いにかられながら、続ける

⏰:09/07/12 20:03 📱:PC 🆔:px1IlGdI


#658 [みぉり]
「・・・・・でも、実際は違った。
中学は学年別の日課が基本だったし、
急に先輩・後輩の壁を持ち出すのが当たり前の雰囲気で・・・・」


苦々しい思い出を辿りながら、話す俺の顔はどんな表情なんだろう


きっといい顔はしてねぇな・・・・



「・・・・・楓が遠くて、傍にいられる奴らがうらやましくて必死に考えた。どうやったら、楓の近くにいられんのかって」

⏰:09/07/12 20:08 📱:PC 🆔:px1IlGdI


#659 [みぉり]
俺があと2日でも早く生まれていたら
同じ空間にいられたのにと、親を恨んだことさえある



「・・・・・・考えて考えて、俺は年の問題をクリアするのに必要なものを身につけようと思ったんだ」


「?」


こどものように首を傾げる園田の頭をぽんぽんと撫でる

⏰:09/07/12 20:39 📱:PC 🆔:px1IlGdI


#660 [みぉり]
「運動も勉強も・・・・・本気でやってみようと、
がむしゃらに取り組んだ。
今まで適当にやっても
そこそこ成績はよかったし、
勉強は好きだったから・・・・・親は驚いていたけど
俺の好きにさせてくれたんだ」


別のアルバムを手に取り、園田に渡す


キョトンとしながらもアルバムを開いた園田の目が丸くなった



「え・・・・これってーっ・・・えぇっ?!」

⏰:09/07/12 20:51 📱:PC 🆔:px1IlGdI


#661 [みぉり]
━━――――………
有希side


手渡されたアルバムを見て、思わず叫んでしまった


だって、これは・・・・尋常なことじゃない



アルバムの中身は全て、新聞記事のスクラップ

それもー・・・・森くんの天才っぷりを伝えるものばかり

⏰:09/07/12 21:00 📱:PC 🆔:px1IlGdI


#662 [みぉり]
”中学1年生にして中3模試、全国トップ”

”陸上選抜、日本を背負う逸材現る”

”全国英語スピーチコンテスト、中学生がまさかの日本一に”


・・・・・などなど。。。



めくってもめくっても、絶え間なく続く森くんの伝説オンパレード



口をぽかんと開けて見ていると、スッとアルバムを森くんが取ってしまった

⏰:09/07/12 21:12 📱:PC 🆔:px1IlGdI


#663 [みぉり]
「あ・・・」

・・・・・まだ見てるのに、と思ったけれど


森くんがさっさとアルバムをしまったのを見て、口をつぐんだ


カップに手を伸ばして、少し冷めてしまった紅茶を口に運ぶ


「・・・・・でも、結局意味なかった」

⏰:09/07/12 21:17 📱:PC 🆔:px1IlGdI


#664 [みぉり]
ひどくトーンの落ちたその声に、ふと視線を向けると


頬杖をついて目を閉じた森くんがいた



「・・・・・・・意味がなかった・・・って・・・?」



聞き返す私に、森くんは目を閉じたまま口を開く



「結局、飛び級扱いで楓と同じ学年になれたわけだけど・・・・・傍にいられるようになっても、何も意味がなかったんだよ」

⏰:09/07/12 22:46 📱:PC 🆔:px1IlGdI


#665 [みぉり]
カチャン・・・・と静かにカップを置いて、その続きを待つ



「同じ学年になったのは・・・・楓が3年ん時。
春から正式に3年のクラスにいたんだけど・・・・
周りは面白がって近寄ってくる奴らばかりだったし、
肝心の楓と同じクラスじゃなくて・・・・
むしろ、あいつは俺とあまり話をしようとはしなくて、
却って遠くなったと思うくらいだった」


「・・・・・そりゃ、いきなり幼なじみが有名人になっちゃったんなら・・・・仕方ないんじゃない・・・?」


きっと、私ならそう思う。
凪が遠くなってしまったら、
今までと同じように、、、なんて戸惑ってしまう


そう思って話すと、森くんは目を閉じたまま首を横に振った。

⏰:09/07/12 22:51 📱:PC 🆔:px1IlGdI


#666 [みぉり]
「いや・・・楓は校外ではいつも通りだったんだ。
校内にいるときは、俺と一緒にいないようにしてたんだよ。」


じゃあ別に遠くになったわけではないと思うんだけど・・・と感じて
口を開いた。


「?それなら、別に遠くなったわけじゃ・・・・」
「校内だからこそ、俺は一緒にいたかったんだよ」


切実につぶやいたその声に、ぐっと黙ってしまった

⏰:09/07/12 23:15 📱:PC 🆔:px1IlGdI


#667 [みぉり]
「・・・・・わけわかんなくてな・・・・どうして校内だとあんなによそよそしいんだろうって考えてたある日、その理由を知った」


「・・・・・聞いてもいいの・・・?その理由・・・・」


聞きたいけれど、なぜだか聞いてはいけないような、
そんな気がして確認の言葉をかけた


「・・・・・楓には好きなやつがいたんだ」

⏰:09/07/13 02:23 📱:PC 🆔:Bqns71es


#668 [みぉり]
「ーーっ・・・・・・」


返す言葉がなくて、黙ってしまった


そんなの・・・・・つらすぎる


「しかも、俺の友だち。
もちろん学年は1つ上だったけど・・・・
妙に馬があって、そいつだけは俺を特別に扱わなかったから結構一緒にいたんだ・・・・。
今、思い返せばそいつと一緒にいるときだけは、楓も一緒に笑ってたんだ。」

⏰:09/07/13 02:27 📱:PC 🆔:Bqns71es


#669 [みぉり]
長いこと閉じていた目を開いた森くんは、遠くを見るような眼差しをしていた


「・・・・好きなやつに誤解されたくなくて、
俺と一緒にいないんだってわかったとき、
俺のやってきたことは意味がなかったんだって思い知った。」


「俺はさ、もっと別のことをするべきだったんだよ。
傍にいるために努力することよりも、
あいつの気持ちをどうにかして自分に向けるための方法を考えるべきだったんだろうと思う」

⏰:09/07/13 02:32 📱:PC 🆔:Bqns71es


#670 [みぉり]
森くんはふっと笑って、再び目を閉じた


「そいつのために容姿を気にして、
ダイエットしたり髪を伸ばしたり・・・・
一生懸命な楓を見てむちゃくちゃにしたいと思ったり、
・・・・・初めてみる”女”の楓を可愛いと思ったり・・・・

あの時期が一番、つらかったかもしれねぇな」


黙って森くんの言葉をひとつひとつ聞いていた


何か言葉をかけるなんて、そんな大それたことができるわけもなくて・・・・

⏰:09/07/13 03:08 📱:PC 🆔:Bqns71es


#671 [みぉり]
「・・・・・自分の気持ちにけりをつけたくて気持ちを伝えようと考えたりもしたけど・・・・
結局、楓と幼なじみの関係を断ち切ることが怖くて
・・・・そのままでいようと決めたのに
あまりに無防備な楓を押し倒してぇ
なんて感情も生まれてきて
わけわかんなくて、自分の気持ちがパンクしかけた」


あぁ・・・・そうか
前に話していたときに言っていた


『あいつを傷つけるくらいなら、いっそ離れてしまえばいいと思ったんだ』


あの言葉の裏には・・・・こんなにたくさんの想いや出来事があったんだ

⏰:09/07/13 03:20 📱:PC 🆔:Bqns71es


#672 [みぉり]
「だから・・・・・全部、やめることにしたんだ
勉強も運動も、人並み程度にしかしないようにしたり
学年を戻してもらったりして・・・・学校での距離をとった

・・・・そのタイミングで、楓に彼氏ができて
家に来ることもどんどん少なくなって・・・・あっという間に離れちまった」



身体を起こして、ケトルのお湯を新しい茶葉を入れたティーポットに注ぐ森くん


「・・・・・で、今の状態に至る・・・・ってわけ」

⏰:09/07/13 03:29 📱:PC 🆔:Bqns71es


#673 [みぉり]
コポコポと音を立てて注がれるお湯をじっと見つめて少しの沈黙



「・・・・・楓は俺が離れたことを、気にする様子はなくて・・・・
会えば話をする程度になっても平気なんだなって思ったとき、
俺は、俺個人として楓と完全に繋がりを切ることを決めたんだ

家族同士が仲良いことは、変えるつもりもなかったし
ただ、俺が自分の気持ちをリセットするために
楓と離れた・・・・・・ま、俺の一方的な想いがあるだけで
実際は楓の態度がそんなに変わったわけでもないけどな」



ふぅっと息をついて、たっぷりと色がにじみ出てきた液体を


ゆっくりとカップに注ぐ

⏰:09/07/14 23:02 📱:PC 🆔:vqebAO7Y


#674 [みぉり]
何も言葉にすることができなくて


ただ、じっと黙っていた


「・・・・・さっきみたいに話したのは正月以来だと思う。そんくらい、あいつがここに来る頻度は減ったし・・・・俺も極力、会わないようにしてるとこがあってな・・・・・」



大きく伸びて、ソファにぼすんと背を預けて目を閉じた森くん

⏰:09/07/15 00:24 📱:PC 🆔:JCcUwlek


#675 [みぉり]
「・・・・・丸2年近くたつってのに・・・・・さっき、会ったことで俺の中にはまだ楓がいるんだって痛感したよ」



つぶやくように、今までよりも小さな声で話すその姿は


切なくて、切なくて、


ぽたりと、借りたズボンに雫が落ちてしまった

⏰:09/07/15 00:27 📱:PC 🆔:JCcUwlek


#676 [みぉり]
「・・・・・・いつになったら・・・・・・俺は・・・・・」



小さな小さな、その声に溢れるものは止まらなくて


気づいた時には立ち上がって、ソファに乗っていた

⏰:09/07/15 00:33 📱:PC 🆔:JCcUwlek


#677 [みぉり]
━━━―――………
陽臣side



ふわり、とせっけんの香りがして

身体にすこしの重みと
とっさに抱き留めたやわらかな感触



「………っ……うっ…ぇ…」




いつか、聞いた泣き声

⏰:09/07/18 12:20 📱:N905i 🆔:LIN1aCiA


#678 [みぉり]
その声は、俺の頭の上から聞こえてきて



目をあけた先の視界は、室内の様子ではなく真っ白になっていた




「…ごめ……っ…ごめんなさいっ……っ…ぅ…」



園田が俺の頭を包むように抱き締めて泣いていた

⏰:09/07/18 12:38 📱:N905i 🆔:LIN1aCiA


#679 [みぉり]
「・・・・・何が?」



微動だにせず、疑問を口にする



”ごめんなさい”の意味が全くわからない



そもそも、なんでこいつが泣いてるんだ??

⏰:09/07/21 01:48 📱:PC 🆔:85Wr0fgo


#680 [みぉり]
「…っく…ずっと…っ…私の話ばかりでッ……ぅッ…」



しゃくりあげながらの言葉の続きを待つ



「森くんのッ…痛みとか…ひっく…何も……考えなくてッ………ぐちばかりで…ッ……甘えてばかりで…ッ………ごめんなさぃ…ッ」

⏰:09/07/23 00:52 📱:N905i 🆔:3zGaP5Tc


#681 [みぉり]
”痛み”?


痛みなんて・・・・・感じたことがあったか・・・・?


ふっと記憶を手繰ってみる



蘇ってくるのは・・・・・苛立ちと、焦り



・・・・・痛みは、ないような気がする

⏰:09/07/24 23:40 📱:PC 🆔:4pLa/0Po


#682 [みぉり]
…………好き…なのに…?



「…―――同じ経験があるからって………甘えすぎ…だったよね……ッ…」


はっ


落ち着いてきた泣き声に、はたと我に返った

⏰:09/07/28 20:42 📱:N905i 🆔:e6tJZDec


#683 [みぉり]
「いやな想いを…っ……させて…ごめんなさぃ……ッ…」



「………………………」


動けなかった
頭のうえから降ってくるその声は

何度もごめんなさい、と繰り返しながら

俺をつよく抱き締めたままで―……

⏰:09/07/29 10:15 📱:N905i 🆔:.5A8u9lA


#684 [みぉり]
━━━―――………
有希side



涙が止まらなかった

本当に申し訳なくて、あんなにつらい気持ちを抱えながらいた森くんに


私は、甘えてばかりで


グチばかりで、彼が一人で乗り越えられなかったことを

⏰:09/07/29 10:18 📱:N905i 🆔:.5A8u9lA


#685 [みぉり]
彼に頼りながら乗り越えよう、なんて………


離れる勇気も
そばにいるためのほほ笑みも



どちらもできる自信がないくせに


そのくせ、都合よく甘えつづけてきた自分が恥ずかしくて

⏰:09/07/29 10:21 📱:N905i 🆔:.5A8u9lA


#686 [みぉり]
気付いたときには

彼を抱き締めて、泣いて謝っていた




「……ッ…うぅ〜……ッ…」




次第に落ち着いてきた私の呼吸音だけが、静かな部屋に響く

⏰:09/07/29 10:26 📱:N905i 🆔:.5A8u9lA


#687 [みぉり]
「・・・・・・・おぃ」



くぐもって聞こえた声に、ふっと腕の力を抜く



「・・・・・はぃ・・・っ・・・」



まだ完全に呼吸が定まらず、しゃくりあげそうになりながらも返事をすると




森くんはすっと私の身体を離すように押し返した

⏰:09/08/02 16:42 📱:PC 🆔:yF8CJHiM


#688 [みぉり]
「なんで、泣いてんの?」


森くんの瞳は、静かにじっと私を見上げる。



「だッ…だって…ッ……私のわがままに付き合わせてたから…」



゛申し訳なくて…゛と、最後は視線を外し消え入るような声になってしまった。

⏰:09/08/09 13:46 📱:N905i 🆔:Qx5FtQ9U


#689 [ぽ]
>>300-500
>>501-700
>>701-900

⏰:09/08/10 00:20 📱:SH02A 🆔:lWl.cn.Q


#690 [みぉり]
>>ぽさん
アンカーありがとうございます

⏰:09/08/10 18:53 📱:N905i 🆔:jOxdGE1o


#691 [ァリス]
>>1-200
>>201-400
>>401-600
>>601-800
>>801-1000

⏰:09/08/11 01:20 📱:F801i 🆔:yF6UKG76


#692 [みぉり]
>>ァリスさん
アンカーありがとうございます更新滞りがちでごめんなさい

⏰:09/08/11 08:18 📱:N905i 🆔:J3PUOm3E


#693 [みぉり]
>>688から

ビシッ


「痛っ〜〜…ッ」



おでこに軽い痛みを感じて、とっさに額に手をおいて顔を上げた



「ばかだな、おまえ」

⏰:09/08/11 09:09 📱:N905i 🆔:J3PUOm3E


#694 [みぉり]
そこにはあきれ顔の森くん


「ばっ!?ばかってな……」
「俺が勝手にやってんだよ」
「………」

私の言葉を打ち消す声に、思わず黙ってしまう


「おまえの気持ち……わかるから」

「………ッ」

「イライラしてむかついて、苦しい自分を……そんな自分が嫌いな気持ちを知ってるから」

⏰:09/08/12 07:56 📱:N905i 🆔:nRK8c5SE


#695 [みぉり]
「…ッ!!」


ずばり私の気持ちを見透かして、さらっと言う



………だけど、そんなの…ッ
まだ自分だって消化し切れていないはずなのにッ
…私の一人よがりな話を聞くなんて……


「……だって…ッ………」
「ん?」

⏰:09/08/12 08:01 📱:N905i 🆔:nRK8c5SE


#696 [みぉり]
「………ッ…つらかった…よね…?…こんな話をダラダラと……苦しかった時を…思い出させていたでしょ…?」



少しの沈黙。



「…………つらくねぇよ、もう」


ぽつりと答えた声は、小さいけれどどこか、やわらかい感じがした

⏰:09/08/12 10:37 📱:N905i 🆔:nRK8c5SE


#697 [みぉり]
「もう、ほとんど落ち着いてる」

再びソファに座りなおし、私を隣に座らせながら話した

…………けど、私の中にあるのは



「……………うそつき」




信じきれない自分

⏰:09/08/15 23:02 📱:N905i 🆔:/9N7.7tw


#698 [みぉり]
「は?」

「…ッ………だって、さっき……いつになったら…って言った」

「ッ……それは………」



私の言葉に今度は森くんが黙ってしまった


ほら……やっぱりそうじゃない……


そんなに…簡単に割り切れるわけ……

⏰:09/08/15 23:18 📱:N905i 🆔:/9N7.7tw


#699 [みぉり]
「うそじゃねぇよ」
「………」



「あいつ……楓と離れて…少しずつ楓が薄れていってるのは事実」

遠い目の横顔をじっと見つめる

⏰:09/08/15 23:30 📱:N905i 🆔:/9N7.7tw


#700 [みぉり]
「……だけど、………どうしたって残る。好きで好きで仕方なかったんだから……完全にはなくならねぇよ」



どこか自分に言い聞かせるような、けれども納得したような………そんな顔に私は




「…………そ、か」



と自然に答えていた

⏰:09/08/16 11:21 📱:N905i 🆔:.Ij2WFbQ


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