宝物。
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#301 [みぉり]
瞬間、凪がこちらを見上げて視線が合ってしまった
思わず後ろ向きにフェンスに寄りかかる
・・・・・気づかれた・・・・よね
屋上に出入り出来る生徒なんて・・・・限られてる
凪が私に気づくのだって自然なこと
:08/10/25 23:47
:PC
:OsnuXMHg
#302 [みぉり]
だから、私が明らかに視線を逸らした事だって気付いたはずだ
あぁ・・・・また、凪と距離が空いてしまった
フェンスに寄りかかり、頭をもたげていたが、耐え切れずにしゃがみこんだ
:08/10/25 23:50
:PC
:OsnuXMHg
#303 [みぉり]
なんでこうなっちゃうの・・・?
さっき、凪と楓ちゃんの事は気にしないって決めたばかりなのに
凪と目線が合った時に、笑って手を振るだけで良かったのに
どうして、自分から『幼馴染』を崩そうとしちゃうんだろう
:08/10/25 23:51
:PC
:OsnuXMHg
#304 [みぉり]
戻りたい、普通にしたいって言ってるのに
言葉と行動はちぐはぐで・・・・
こんな自分が嫌でたまらない
:08/10/25 23:52
:PC
:OsnuXMHg
#305 [みぉり]
「うっ・・・・ぇ・・・・っ」
アスファルトの地面にぽたぽたと落ちていく涙
落ちてはその部分が変色し、じんわりと黒く広がっていく
「ふっ・・・ッ・・・・うぅ・・・・」
確実に大きく広がっていく黒い染みを見つめながら、溢れるな涙を抑えきれない
:08/10/25 23:58
:PC
:OsnuXMHg
#306 [みぉり]
「ーーーっおぃッ」
突然、聞き覚えのある声が聞こえた
思わず顔をあげると、そこには驚きと困惑を隠せない顔で立つ一人の姿があった
:08/10/26 00:01
:PC
:WmVD4FgU
#307 [みぉり]
「・・・・・森・・・くん・・・・?」
きっと今の私は涙でぐしゃぐしゃの顔を森君に見せてるだろう
だけど、こんな状況でも涙は止まる様子もない
「どっどうしたんだよ?!?!」
森君は私のすぐ近くまで駆け寄ってくる
:08/10/26 00:08
:PC
:WmVD4FgU
#308 [みぉり]
・・・・・・・・・凪かと思った
一瞬でも、声をかけられた時、凪だと思ったの
私に気付いて屋上まで来てくれたなんて・・・・
一瞬でも、そんな甘い事を考えた・・・・・
ううん、願ったんだ
:08/10/26 00:10
:PC
:WmVD4FgU
#309 [みぉり]
そんな事あるわけないのに・・・・・あんな風に露骨に視線を逸らしたのは私で
凪を付けて嫌な思いをさせてしまったと思っているのに
それでも、心のどこかで淡い期待を抱いていたんだ
「ばかだなぁ・・・・」
:08/10/26 00:13
:PC
:WmVD4FgU
#310 [みぉり]
思わず笑ってしまったけれど、余計に涙が込み上げて来てどうしようもない
「・・・・・・・・」
森君が目の前に立っているのもわかっているけど、嗚咽を堪えきれない
「うっ・・・うぇ・・っ」
ぐいっ
:08/10/26 00:17
:PC
:WmVD4FgU
#311 [みぉり]
コンクリートの黒い染みだったはずの視界が一変して、真っ白になった
思わず、目を見開いて両手を動かすとそこには温かいぬくもり
「泣け」
さっきよりもずっと近い距離で聞こえる声
:08/10/26 00:20
:PC
:WmVD4FgU
#312 [みぉり]
「わけわかんねぇけど・・・・・気が済むまで泣けよ」
ぎゅうっと力をこめて私を抱きしめるそのぬくもりに
なぜだか、許された気持ちになった
森君の腕にしがみついて、声を上げて、泣いた
:08/10/26 00:37
:PC
:WmVD4FgU
#313 [みぉり]
━━━━ーーーーー…………
凪side
「ーーーっはぁっ・・・はぁっ・・・っ」
階段を一気に駆け上がり、開け放たれたままの扉から見えたのは
有希が男に抱き締められている姿だった
思わずその場に固まった
:08/10/26 00:40
:PC
:WmVD4FgU
#314 [みぉり]
なん・・・だ・・・?
有希が・・・・男・・・と・・・・
抱き締めている男の顔はここからは見えない
けど、その男を有希は突き飛ばすわけでもなく受け入れている
俺が二人の姿を見つけてから、数十秒経っても離れる様子は、ない
:08/10/26 01:10
:PC
:WmVD4FgU
#315 [みぉり]
俺の思考はパンク寸前で、目を離すことが出来ずに居た
有希が俺の知らない男と一緒にいる所なんて、これまでたくさん見てきた
みんな『友達』なんだと思ってた
だけど、今目の前にあるこの光景が示すのは『友達』とは思えない
:08/10/26 01:55
:PC
:WmVD4FgU
#316 [みぉり]
・・・・なんだよ・・・・なんなんだよこれはっー・・・
立ち尽くしていた両手を強く握り締める
有希っー・・・・俺のこと、好きだって言ってたんじゃねぇのかよ?!
つい、二日前のことだぞっ?!?!
「・・・・ーっ」
:08/10/26 01:57
:PC
:WmVD4FgU
#317 [みぉり]
喉元まで出掛かった言葉に、驚いた
何・・・考えて・・・・
俺は有希にそんなことを言える立場ではないのに
有希を傷つけて、それでも尚、金曜の夜がなかったかのように接しているのに
:08/10/26 02:03
:PC
:WmVD4FgU
#318 [みぉり]
自分でついた嘘に、今更ながら激しい後悔が打ち寄せる
もし・・・もしも、あの金曜の後に素直に言っていたら違ったんだろうか
本当は彼女もセフレも居やしないと、そう伝えていたら
有希の涙を見ることも、その想いを知ることもなく
いつものように、笑ってなんてことのない会話を楽しんでいられたんだろうか
:08/10/26 02:09
:PC
:WmVD4FgU
#319 [みぉり]
そう考えて、首を振った
違う・・・そんなタイミングはたくさんあったじゃないか
だけど、俺はっ・・・・結局、怖くて言えないだけなんだ
あの日、あの金曜の夜、俺は心のどこかでラッキーだと思った
有希と離れられる良いチャンスだと、そう思ったんだ
:08/10/26 02:16
:PC
:WmVD4FgU
#320 [みぉり]
俺は、嫌われることが怖くて、
自分のしでかした罪がばれるのが怖くて
だけど、そんな状態でずっと真っ直ぐな有希と接するのもどこか苦しくて・・・・
自分から口火を切って、突き放すことも出来やしないから
『後を付けてきた有希が悪い』と。
勝手に理由をつけて、傷つけることを選んだんだ
:08/10/26 02:20
:PC
:WmVD4FgU
#321 [みぉり]
それなのに有希は、泣きながら俺を好きだと言っていた
あんなにひどい事を言って傷つけた俺を好きだと言っていたのに
今、目の前にいる有希は男に抱き締められることを受け入れている
自分から離れることを望んだくせに、有希は、俺が有希の想いを知っていることを知らないのに
ふつふつと湧き上がるどす黒い感情が、確実に俺の中に広がっているんだ
:08/10/26 02:26
:PC
:WmVD4FgU
#322 [みぉり]
そんな気持ちを抱えたまま、見ていた二人がすっと離れるのが見えた
どこかほっとしたような、そんな気持ちを抱いた瞬間
一気に血の気がひいた
:08/10/26 02:33
:PC
:WmVD4FgU
#323 [みぉり]
離れたことではっきりと見えた有希は、間違いなく泣いていた
いや、泣いた後だったー・・・・
遠くからでもわかる、その表情で、仕草で、身体の呼吸する動きで
きっと嗚咽するくらい泣いていたんだ
:08/10/26 02:34
:PC
:WmVD4FgU
#324 [みぉり]
思わず、駆け出しそうになったが、足を止めた
「・・・−っ」
有希が、俺の見たこともないような笑顔で抱き締めていた男に話しかけていたから
俺は、有希の涙を見てとっさに、抱き締めている男のせいだと思った
だから駆け出そうとした
:08/10/26 02:37
:PC
:WmVD4FgU
#325 [みぉり]
でもそれは違う、絶対に違う
有希は笑ってる、きっと抱き締めていた男に慰められていたんだ
有希の笑顔でそれが十分にわかった
:08/10/26 02:39
:PC
:WmVD4FgU
#326 [みぉり]
俺は少しずつ、後ろに下がりながらやがて向きを変えて階段を折り始めた
ゆっくり、静かに、でも確実に
有希と
抱き締めていた男から離れた
:08/10/26 02:47
:PC
:WmVD4FgU
#327 [みぉり]
俺のせい・・・・か・・・・?
有希が泣いたのも、他の男を頼ったのも
全部、全部・・・・・俺のせいじゃないか
:08/10/26 03:04
:PC
:WmVD4FgU
#328 [みぉり]
「はっ・・・・・」
自嘲的に笑いながら玄関に向かって歩く
日が傾いてきて、うっすらオレンジ色に染められた廊下に俺の足音だけ響いていた
・・・・・有希、ごめん
:08/10/26 16:31
:PC
:WmVD4FgU
#329 [みぉり]
ごめんな
いつだって、お前は真っ直ぐに俺に向き合ってきてくれたのに
俺がはっきりせずに、
遠まわしにお前から距離を取ろうとしたから
訳がわからず困惑しているだろうに、完璧に繋がりを断ち切ることは怖くて
:08/10/26 16:35
:PC
:WmVD4FgU
#330 [みぉり]
表面的な『幼馴染』を装ってしまってるんだ
互いにその違和感を隠し切れないのに、それでも互いに突き放せずにいる
あの金曜の夜からまだ1週間も過ぎていないのが実際で
だけど、俺も有希も、互いのこの空気に耐えられなくなってるのも事実
:08/10/26 16:40
:PC
:WmVD4FgU
#331 [みぉり]
有希は、本当は俺に聞きたいはずだ
いつもなら、すごい剣幕でまくしたてて話をしていたはずだ
『なんでバイトのこと、教えてくれなかったの』
『セフレって何?!何考えての?!』
有希が言うだろう台詞と顔がすんなりと想像出来て、思わず笑った
:08/10/26 16:49
:PC
:WmVD4FgU
#332 [みぉり]
屋上にいた有希を見上げて、視線を逸らされた時
背筋がぞっとした
俺から離れると決めたはずなのに、有希に逸らされたのが怖かった
気付いたときには、屋上へ向かって走っていた
:08/10/26 16:56
:PC
:WmVD4FgU
#333 [みぉり]
「・・・・・なんて言うつもりだったんだか」
扉から見えたのは、俺にとって衝撃的なものだったけど
仮に、有希が一人で居たとして俺は屋上に脚を踏み入れられたのだろうか
涙を流している有希に言葉をかけるなんて事をする勇気があったのだろうか
:08/10/26 22:12
:PC
:WmVD4FgU
#334 [みぉり]
いつのまにか、玄関に辿り着いて靴を履き替えようとして気付いた
・・・・・外靴のままだ、俺
靴を履き替えることを忘れるくらい、急いで屋上に向かっていたらしい
それくらい、有希に突き放されることが怖いんだ
・・・・・・・自分からはそうしたくせに、
:08/10/26 22:18
:PC
:WmVD4FgU
#335 [みぉり]
そのまま玄関を通り、再び校門へと向かって歩く
有希と目が合った場所まで来て・・・・再び、屋上を見上げたがそこに二人の姿はなかった
有希は俺を好きだと言った
それを聞いて、どうしたらいいかわからなくなった
:08/10/26 22:20
:PC
:WmVD4FgU
#336 [みぉり]
だけど、同時にものすごく安心したんだ
あんな事を言って、軽蔑されたと思っていたから
有希の想いを聞いた時、本当に心の底から安堵したんだ
だけど・・・・・俺にとって有希は『幼馴染』でしかない
:08/10/26 22:22
:PC
:WmVD4FgU
#337 [みぉり]
俺にとって有希は、家族みたいなもので『好き』とか『嫌い』という枠に収まらない
それは有希も同じだと思っていた
思っていたのに・・・・実際は違っていて、所詮は俺がそう思い込んでいただけだった
中学の時から、彼女がいないなんて事はなかった
:08/10/26 22:31
:PC
:WmVD4FgU
#338 [みぉり]
中には俺から、告白して付き合った人だっている
だけど、いつも最後は俺が振られて終わるんだ
俺なりにいつだって一生懸命に相手と向き合っているつもりなのに
決まって最後は『恋愛ごっこはやめにしよう』って言われる
俺の付き合うって事は『相手を好き』だからじゃなくて『恋愛がしたいだけ』だと思われるんだ
:08/10/26 22:34
:PC
:WmVD4FgU
#339 [みぉり]
ふぅっとため息をつきながら、家路を辿る
傾きかけていた陽は今や完全に夕陽と化して、空を真っ赤に染めていた
:08/10/26 22:38
:PC
:WmVD4FgU
#340 [みぉり]
「ただいまー」
玄関からそのまま自分の部屋へと向かう
扉を開けてすぐに目に付くのは、壁に張られた無数の写真
友達と、家族と撮った写真達
そのほとんどに有希も写っている
:08/10/26 23:44
:PC
:WmVD4FgU
#341 [みぉり]
荷物を机の上に置いて、貼られた写真の前に立ち、ゆっくりと見つめる
写真の中の俺と有希は、傍から見ればそれこそ恋人同士に見えるくらい一緒に写っている
家に来た彼女達が、必ず眉間にシワを寄せながら『この子、誰?』と尋ねてくるくらいに
:08/10/26 23:46
:PC
:WmVD4FgU
#342 [みぉり]
何度聞かれようとも、俺は平然と『幼馴染』と答えるだけ
けれども、彼女達はそれには納得出来ないようで、この写真達が引き金になってケンカしたり別れた事があったのも事実
:08/10/26 23:49
:PC
:WmVD4FgU
#343 [みぉり]
かといって、この写真をはずそうと考えた事なんてない
はずすことがまるで、彼女達が不安に思う原因は有希であると認めているような気がして
本当に家族だと、単なる幼馴染なんだと信じて欲しいからこそはずすことがなんだか悔しくて
ずっとそのままにしてきた、有希の部屋にも同じような写真が壁一面にあることだって俺は知ってる
:08/10/26 23:54
:PC
:WmVD4FgU
#344 [みぉり]
同じ気持ちだと思ってた
俺が有希を想うように、有希も俺を『家族』のように想ってくれているんだと思っていた
俺が失恋すると必ず励ましてくれた有希、
『しょうがないなぁ、本当に』
そう言いながらもいつだって、俺と一緒にいてくれた有希
:08/10/27 00:01
:PC
:yXpYuQc2
#345 [みぉり]
それがこれからは叶わない
俺が、離れることを決めたのだから
俺が、有希を追い詰めているのだから
俺が、有希の気持ちに応える事は出来ないのだから
有希に本当の事を知られてしまうのが、何よりも怖いから
:08/10/27 00:03
:PC
:yXpYuQc2
#346 [みぉり]
壁に貼られた写真に手をかけると、一枚ずつ丁寧にはずしていく
一枚、一枚はずしながら、その思い出を噛み締めながら
「・・・・・・・・・・これで最後・・・・か」
思ったよりも大量に貼られていた写真をはずし、最後の一枚を手にとってベットに腰掛ける
:08/10/27 00:07
:PC
:yXpYuQc2
#347 [みぉり]
「・・・・・・・っ」
その写真は皮肉にも、俺が有希と真っ直ぐ向き合えなくなるきっかけとなった日に撮ったものだった
━━━━ーーーーー…………
半年前の夏休み半ば
:08/10/27 00:21
:PC
:yXpYuQc2
#348 [みぉり]
「・・・・・あちぃ」
夏休みの炎天下の中、俺の部屋のクーラーは故障中
扇風機をフル稼働させ、窓を大きく開けながらベットに腰掛け漫画を読んでいた
「凪ぃ〜、いる〜〜?」
:08/10/27 00:24
:PC
:yXpYuQc2
#349 [みぉり]
階段下から聞こえてくるのは、聞きなれた声
「おー、上ー」
起き上がって迎えにいくわけでもなく、変わらずに漫画を読んでいるとトタトタと足音が近づいてドアが開かれた
「うわっ、何この部屋〜・・・・・」
扉を開けるなり、その暑さに顔をしかめた有希がコンビニ袋を提げて俺の部屋に入ってきた
:08/10/27 00:31
:PC
:yXpYuQc2
#350 [みぉり]
「クーラー故障中なんだよ」
「えー・・・・」
嫌そうな顔をそのままに、俺が腰掛けているベットに背をもたれながら座る
俺は変わらずに漫画を読んだままで、有希はコンビニ袋をガサガサと漁りだした
「おみあげ」
「ん?おーサンキュー」
:08/10/27 00:44
:PC
:yXpYuQc2
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