宝物。
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#401 [みぉり]
そんなことを思ってみても、後の祭りでなんとも言えない空気が流れてしまった

互いに、沈黙



…………うぅ……私ってバカ?
いや、だってさ?なんか、こー…森くんが淋しそうだったし、励ましたかったから……いやいや、でも撫でるのは子ども扱いみたいだったかな……うー……



真っ赤な顔を見合わせたままだったのを破ったのは森くんだった

⏰:08/11/13 04:22 📱:N905i 🆔:S4B9qLtA


#402 [みぉり]
「…………バカ、じゃねぇの///」


「はっ!?バカってッ……いや、バカかもだけど……だって…………うーん、なんか………うん、撫でてしまいました………。」



バカ呼ばわりされて言い返したかったけど、
相変わらず真っ赤な顔で
必死に紡いでくれた言葉を
無碍には出来なくて、
ぺこりと下げた頭をあげると、
少し薄くなった赤い顔で、笑う姿に私もつられた

⏰:08/11/13 04:27 📱:N905i 🆔:S4B9qLtA


#403 [みぉり]
「…………帰るか」
「うん」


一息ついて、静かに教室を後にする
廊下はもちろん真っ暗で
どちらともなく言い出した
しりとりをしながら玄関へと歩いた


「……マンゴー」
「胡麻」
「また”マ”!?……もーないよぅ」
「まだまだあるだろ……どんだけレパートリー少ないんだよ」

⏰:08/11/13 04:34 📱:N905i 🆔:S4B9qLtA


#404 [みぉり]
呆れる森くんに軽くパンチをいれて

また笑って、靴を履く


「…………無理すんな」
「え」


先に靴を履き終えた森くんが、一歩前に出て言う

⏰:08/11/13 04:37 📱:N905i 🆔:S4B9qLtA


#405 [みぉり]
「俺がさっき話したことを変に考えんな」
「………う…無理だよ」


素直にうん、と言える程簡単なことではなくて
どうしたって考えてしまう

私も、もしかしたら……と思ってしまう自分がいるのを

森くんだって気付いているからこそ、話しているんだ

⏰:08/11/13 04:41 📱:N905i 🆔:S4B9qLtA


#406 [みぉり]
「………さっき、後悔してるかって聞いたよな?」

「うん………してないとも言いきれないって」

「………一つだけ、」

「ん?一つだけ?」


玄関を出て、ゆっくりと並んで歩く


「………伝えればよかった、と思う自分がいる」

⏰:08/11/13 04:45 📱:N905i 🆔:S4B9qLtA


#407 [みぉり]
思わず歩みが止まりそうになった

「混乱、させちまったから……素直に伝えて振られる方がよかったんじゃないか、と思う時がある」

「……………なんで、伝えなかったの?」


「”伝えなかった”んじゃなくて、”伝えられなかった”んだ」


”?”が頭を駆け回る私を横目に、森くんはクスリと笑って空を仰ぐ

⏰:08/11/13 04:50 📱:N905i 🆔:S4B9qLtA


#408 [みぉり]
「…………怖かった、ただそれだけさ」

「……………そっ、か」

「なのに、昼間はあんな言い方しちまった……やってみなきゃわかんねぇ…なんて、俺が言えた立場じゃないのに」

⏰:08/11/13 04:53 📱:N905i 🆔:S4B9qLtA


#409 [みぉり]
そう言って立ち止まった森くんに合わせて、私も足を止める


今日一日だけで、森くんの色んな顔を見た気がする


そんな事を思いながら見上げた先の森くんは、
眉間にシワを寄せるわけでなく、
けれども真剣な面持ちで私を見据えていた



「・・・・・やるだけやってみるのもひとつだ、俺みたいに諦めるのが全てじゃねぇよ」



「・・・・・・・うん」

⏰:08/11/13 19:56 📱:PC 🆔:C/s/P5Ak


#410 [みぉり]
こくんと頷いた私を確認して
歩き出した森くんを追うように私も帰路へとついた





━━━━ーーーー…………

⏰:08/11/15 04:38 📱:PC 🆔:B3JgZ0dY


#411 [みぉり]
チャプン…………


もわもわと立ち上がる湯気
たっぷりと湯を張ったバスタブに
身を沈めて大きく伸びる



「んーっ………………はぁ」




肩と首を回してため息を吐き出して、目を瞑った

⏰:08/11/15 18:17 📱:N905i 🆔:xImwR1dU


#412 [みぉり]
蘇るのは
凪のことと、森くんの話


今まで通りの幼馴染みを貫くことは
私が思っていたよりも難しく
……かといって、
凪と離れる覚悟もなければ
想いを伝える覚悟もない



「………伝える……か、諦める」

⏰:08/11/15 18:29 📱:N905i 🆔:xImwR1dU


#413 [みぉり]
「…………どぅしたもんかなぁ」


呟いたって現実が変わるわけじゃなくて
結局、どっち付かずの宙ぶらりん



『彼氏彼女になりたいって思わねぇの?』

⏰:08/11/15 20:27 📱:N905i 🆔:xImwR1dU


#414 [みぉり]
森くんのその問いに答えたのは



『一緒にいたい、ただそれだけだよ。』




紛れもない私自身なのに、
たった一日の内で、
こうも目まぐるしく自分の想いと葛藤するなんて
想像もしていなかった

⏰:08/11/15 20:30 📱:N905i 🆔:xImwR1dU


#415 [みぉり]
彼女になるなんて考えたことない
凪と私に、恋人の甘い雰囲気なんてあるわけもない

ただ傍にいたいだけ
今までと同じように、一緒に笑いたいだけ


それが、『好き』という感情ひとつで
こうも上手くいかなくなってしまうなんて・・・・


近くにいるなら微笑みを
離れるのならば忍耐を身に付けなくてはならない

⏰:08/11/16 02:01 📱:PC 🆔:/t1FCHRM


#416 [みぉり]
・・・・・・・私が大切にしたいものは

『凪』と『幼馴染の私』



覚悟を決めるしか、ない
森くんの話を聞いて
それでも尚、自分の中にある答えはひとつ




「・・・・・・・・・幼馴染、やろう。」

⏰:08/11/16 02:04 📱:PC 🆔:/t1FCHRM


#417 [みぉり]
甘ったれるな、私
いつだって、自分の信じるものをトコトンやってきたでしょう


凪と幼馴染をやる
完璧にやるんだ


いつか、この恋心が消えてしまうくらい
素敵な人に出会えるはずだから


いつか、凪に「実は好きだったんだ」と
笑って言える時がくるから


覚悟は、決まったー・・・・・・・・

⏰:08/11/16 02:07 📱:PC 🆔:/t1FCHRM


#418 [みぉり]
━━━━―――――…………
凪side

ピピピピピピ・・・・・・


「ん〜・・・・うるせ・・・・・」


4月とはいえ
朝方はまだ少しだけ寒い

昔から布団から出るのが苦手で
朝寝坊なんて日常茶飯事

⏰:08/11/16 02:12 📱:PC 🆔:/t1FCHRM


#419 [みぉり]
煩く鳴り響く目覚まし時計を止めて
再び布団に潜り込み、
うつらうつらと眠ろうとしていたその時


トントントン・・・・・


誰かが階段を上る足音が聞こえる
・・・・さすがに寝すぎてしまったのか

きっと母親か姉貴が俺を起こすために
上がってきているのだろう

・・・・・まぁ、いつも部屋を覗き込んで俺の名を叫ぶだけ

適当に返事をしてまた眠るのも
これまた日常茶飯事のこと

⏰:08/11/16 02:16 📱:PC 🆔:/t1FCHRM


#420 [みぉり]
ガチャ・・・・・
扉の開く音に、自分から声をかけた


「・・・・起きてっから」


その言葉にひとつ、ため息が聞こえた
そしてー・・・・


バタンー・・・・


扉の閉まる音に、ほっと胸を撫で下ろす
どうやら言葉を返すこともせずに出て行ったようだ
もう、母親も姉貴も仕事に行くはずだ
これでゆっくり眠れる

⏰:08/11/16 02:21 📱:PC 🆔:/t1FCHRM


#421 [みぉり]
・・・・・・と思っていたのに


ガバッ


「ッ?!?!?!?!?!?」


突然、布団を剥ぎ取られ思わず身体が縮みこんだ

何だよ・・・・出て行ったんじゃねぇのかよ
くそ〜・・・・・起きたくねぇ

⏰:08/11/16 02:24 📱:PC 🆔:/t1FCHRM


#422 [みぉり]
なんてことを思いつつ
きっと、直後に母親か姉の大声が響き渡ると予想して
俺はぎゅっと目を瞑った
・・・・・・が、聞こえたのは予想もしていなかった声



「ちょっと!いい加減、起きなって!!あんた、新学期始まったばかりなのにもう遅刻するつもり?!」



自分の耳を疑った
だって今、聞こえたのはー・・・・・



ガバッ

⏰:08/11/16 02:27 📱:PC 🆔:/t1FCHRM


#423 [みぉり]
「・・・ゆ・・・・・うき」


勢いよく起き上がった俺の目の前にいるのは
布団を右手に掴みつつ、両手を腰に当てて
仁王立ちしている有希の姿


「おま・・・・なんで・・・・」


突然の事にぽかんとしたままの俺
それを見下ろす有希は、
毎朝俺を起こしていた中学の頃のようなやや呆れた顔

⏰:08/11/16 02:32 📱:PC 🆔:/t1FCHRM


#424 [みぉり]
「なんでって・・・・・こっちが聞きたいっつの、
もう七時半すぎてるんですけど?
どうやったらこんな時間まで寝続けようと思うかな」


言いながら布団をベットの端に寄せて
雑誌が散乱している俺の部屋をちょこちょこ片付け始めた

ぽかんとその様子を見つめていると
くるりとこちらに向き直る


「・・・・・何してんの?
早くしないと遅刻だってば!!
さっさと顔洗って準備してきなさーい!!」

⏰:08/11/16 02:36 📱:PC 🆔:/t1FCHRM


#425 [みぉり]
「へっ・・・・あっ、おぅ!!」


有希の言葉に押され、
慌てて洗面所へ駆け込み顔を洗う
冷たい水が寝ぼけた頭をシャキンとさせる中
徐々に、意識が覚醒する



ちょっと待て・・・・
どういうことだよ?
なんで有希が俺を起こしに来てんだ?

っつぅか、
思いっきり前と同じになってんじゃないか?

⏰:08/11/16 02:41 📱:PC 🆔:/t1FCHRM


#426 [みぉり]
混乱する頭を抱えながら
着替えるために再び部屋へ戻る

その途中、覗いた居間には誰もおらず
既に両親、姉は出勤したあとだった


トントントン・・・・・・ガチャ

階段を上りながら
なんて声を掛けるか
ぐるぐると悩みながらも
辿り着いた自室の扉をあけて
俺の視界に入ったのは

昨日、俺が壁から外した大量の写真の一枚を
手にとって見ている有希の姿

⏰:08/11/16 02:49 📱:PC 🆔:/t1FCHRM


#427 [みぉり]
「ーーっ!!!!」


その場に思わず硬直してしまった
そんな俺に気付いた有希がこちらに振り向く

俺はその振り向くまでの瞬間
有希がまた昨日のような
涙顔になっているのではないかと不安になり
咄嗟に、うつむいてしまった


やばいっ・・・・くそ、
昨日ちゃんと片付けりゃ良かった


まさに後悔、先に立たず

⏰:08/11/16 02:52 📱:PC 🆔:/t1FCHRM


#428 [みぉり]
さっきまで、、、
有希があまりに普通に接してきたとき
ほっとした


昨日は、俺から離れると覚悟したはずなのに
有希が本当に以前のように接してきたから

嬉しかった


けれど
この写真の山を見てしまった有希のことだ
きっと、さっきまでのようには居られなくなっている

⏰:08/11/16 02:54 📱:PC 🆔:/t1FCHRM


#429 [みぉり]
どうしよう


俺はきちんと有希に言えるのだろうか
有希の気持ちを知っている事
その気持ちには応えられない事

・・・・・・・距離を取ろうと思っていること


まさか、こんな急なタイミングで
言う羽目になるとは予想もしていなかったのだ


だけど
写真の山を有希が見てしまった今、
きちんと話す絶好のチャンスなのかもしれない

⏰:08/11/16 02:58 📱:PC 🆔:/t1FCHRM


#430 [みぉり]
でもなんて切り出したらいい?



一瞬で、そんな事が
頭を一気に駆け巡り
固まってしまった俺に聞こえたのは

またまた予想だにしていなかった有希の言葉



「写真、外したんだねぇ・・・・
って、そら彼女にとって気持ちのいいものじゃないもんね!
あ、これ、もし捨てるんならもらっていい?

⏰:08/11/16 03:01 📱:PC 🆔:/t1FCHRM


#431 [みぉり]
「はっ?!」


あまりに明るいその声に
慌てて顔を上げると
その先の有希は、驚いた顔で


「何?そんな変なこと言った??」


写真を片手に
不思議そうに首を傾げていた


「・・・・いやっ・・・別に・・・んなことはねぇ・・・」

「?何よ、変な凪」

⏰:08/11/16 03:08 📱:PC 🆔:/t1FCHRM


#432 [みぉり]
くすりと笑って
手にしていた写真を戻す


「あっ!!凪、急がないとマジで遅刻するから!!
早く着替えて!!
私、下で待ってるから」


時計を確認し
慌てて俺の部屋を出て行く有希を
目で追いながら
とりあえず、制服に着替える

⏰:08/11/16 03:13 📱:PC 🆔:/t1FCHRM


#433 [みぉり]
どうなってんだ?
すっかり元通りになってねぇか?


”?”が飛び交う頭を抱えつつ
着替えを済ませ
鞄を持って部屋を出る


トントントン・・・・


「凪、チャリ?」


階下の玄関には
既に、靴を履き終えた有希が待っていた

⏰:08/11/17 03:24 📱:PC 🆔:b2/wfidM


#434 [みぉり]
「あ・・・・おう」
「じゃ、乗っけて〜」


扉を開けて
先に外へと出る有希の後を
困惑する頭を抱えながら追う


だけど
心の奥では心底、安心していて
このまま
何もなかったようにしていれば

これまでと
同じ俺達で居られるじゃないかと

⏰:08/11/17 04:23 📱:PC 🆔:b2/wfidM


#435 [みぉり]
あんなに昨日、
悩んで決意をしたはずなのに

目先のこの安堵感を
手放したくなくて


この時の俺は
有希がどんな想いで

俺と幼馴染でいようとしていたのかなんて
これっぽちも考えていなかった


いつも
どんな時も

俺は自分のことしか見えていなかったんだー・・・・・

⏰:08/11/17 04:25 📱:PC 🆔:b2/wfidM


#436 [みぉり]
━━━━―――――…………
それから
毎日はあっという間に過ぎていって

有希と俺は
以前のまんまの幼馴染

あまりに普通すぎるから
俺のことを好きだと
そう言って泣いていた有希は

実は幻だったんじゃないかって
そう思ってしまうくらいだった

⏰:08/11/17 04:40 📱:PC 🆔:b2/wfidM


#437 [みぉり]
俺が恭ちゃんに自分の罪を告白したのは
そんな毎日の中でのこと

あかりを苦しめているきっかけは俺だって
本気であかりを好きな恭ちゃんには
知らせなきゃいけないって
そう思ったから


恭ちゃんは泣きながら
まとまりのつかない俺の話を
黙って聞いてくれた

俺はそれこそ
殴られるんじゃないかって
内心ビクビクしてたのに

⏰:08/11/17 04:44 📱:PC 🆔:b2/wfidM


#438 [みぉり]
話終えると
俺の頭を静かにぽんぽんと撫でて


『わかった、ありがとう』


ただそれだけを言って
にっこり笑って
屋上を後にした

⏰:08/11/17 04:46 📱:PC 🆔:b2/wfidM


#439 [みぉり]
残された屋上で
俺の頭をよぎるのは


あの夏の日の
有希の涙


俺があかりを苦しめている原因だと知ったら
きっと有希は俺を軽蔑するだろう


ずっと騙してきたのだと
そう思って俺から

今度こそ
本当の意味で離れていってしまうのだろう

⏰:08/11/17 13:35 📱:PC 🆔:b2/wfidM


#440 [みぉり]
「………いつまで持つかな」




今のこの関係はどれだけ続けられるんだろう


いつかは
あかりにも、有希にも打ち明けたい


だけど
せめてその時までは、
このままで居させてほしいー……

⏰:08/11/23 15:37 📱:N905i 🆔:zeHVN8cs


#441 [みぉり]
━━━ーーーーー…………
有希side

「…………疲れた」



放課後の屋上
すっかり習慣となった独り言を呟きながら
空を見上げる



凪と以前のような幼馴染みに戻って数週間


たまに部屋に行ったり、
あかりを交えてご飯をしたり


それなりに
演じられてると思う

⏰:08/11/23 15:46 📱:N905i 🆔:zeHVN8cs


#442 [みぉり]
だけど
つらい


普通に装うことが
こんなにもつらいなんて


凪が通りすがりの子に話し掛けられるのは日常のこと


学内だって
学外だって


それくらい人気者

⏰:08/11/23 18:55 📱:N905i 🆔:zeHVN8cs


#443 [みぉり]
改めて目の当たりする日々は


自分の中の
醜い部分がチラホラ影をださせる



「………はぁ」




凪の自由なのに、
誰と付き合ったって、セフレを作ったって

⏰:08/11/23 19:03 📱:N905i 🆔:zeHVN8cs


#444 [みぉり]
わかっているはずなのに
気持ちは追いついてくれない


毎日この繰り返し
正直、しんどい


バーテンの仕事の時は
周りにちやほやされまくってたし


きっと私の知らないだけで
色んな凪の世界があるんだろうな

⏰:08/11/25 03:09 📱:PC 🆔:OcanHo86


#445 [みぉり]
…………なぁんて、考えても仕方ないんだけどさ


コンクリートの地面に寝そべり、
頬にあたる風を感じながら
目を閉じていると
ふと陽の光が遮られた



「………、遅いよ」



目を開くことなくつぶやいた

⏰:08/11/29 02:15 📱:N905i 🆔:OxLw/ph.


#446 [みぉり]
「掃除当番だっつぅの」



やや不貞腐れたように
返してくるその声にふっと
笑って、目を開く



「……課題………つらい…よ」



見上げた森くんは苦笑いで
私を見下ろしていた

⏰:08/11/29 18:25 📱:N905i 🆔:OxLw/ph.


#447 [みぉり]
「……だから、こうやって話聞いてんだろ?」



『課題』

私が、
今までと同じように
変わらずに
凪といるための課題



「………感謝してます」

⏰:08/12/03 17:24 📱:N905i 🆔:.KlV3Yw6


#448 [みぉり]
私の隣にストンと
腰を下ろす動きに合わせて
ゆっくりと起き上がる


こうして放課後に
森くんと会うのも
最近の習慣


同じ経験のある森くんは
幼馴染みでいることの
辛さを誰よりも知っている

⏰:08/12/03 19:36 📱:N905i 🆔:.KlV3Yw6


#449 [みぉり]
 

毎日を普通に過ごす中で
色んな不安や不満
自己嫌悪は数え切れない



それを発散できるように
他愛ない話でも
誰にも言えない自分勝手な想いでも


森くんは笑って共感してくれる

⏰:08/12/04 13:20 📱:PC 🆔:bToo3fAc


#450 [みぉり]
 


あかりには言えない
こんな自分は

どこかみっともなくて
言いたくなくて


同じ経験のある森くんに
救いを求めたんだ

⏰:08/12/04 13:23 📱:PC 🆔:bToo3fAc


#451 [みぉり]
「………………ない、よ」 


「………そうか」



顔を合わせる訳でなく、
互いに前を見つめたまま


交わす言葉の意味を
深く言わずとも
察してくれるありがたさ

⏰:08/12/11 03:15 📱:N905i 🆔:PD22MhZE


#452 [みぉり]
「よかったじゃん、たまにはそんな日がないと気持ちがパンクしちまうだろ」


「……うん、そうだよね」



苛立ちや嫉妬を感じないで
過ごせた今日はラッキー

……と気持ちを切り替えて
明日に備える

⏰:08/12/11 03:18 📱:N905i 🆔:PD22MhZE


#453 [みぉり]
そうやって
自分の気持ちと
バランスを取りながら
毎日を過ごしてる


だけどそれは
森くんがいるからこそ
できていることで


もしも
森くんがいなかったら
とっくの昔に
ギブアップしてると思う

⏰:08/12/20 13:30 📱:N905i 🆔:a3YejZ1.


#454 [みぉり]
ぼーっと空を見つめる森くんに
実は聞きたいことがあった



それは屋上の鍵のこと



凪から
代々、受け継がれていることは
聞いて知っているけれど


森くんはどうやって
鍵を手にしたんだろう

⏰:08/12/22 00:19 📱:N905i 🆔:lgMCcy3.


#455 [みぉり]
「………鍵、なんで持ってるの?」



直球ど真ん中



「へ?」



やや面食らった様子に
慌てて言葉を続ける

⏰:08/12/23 20:23 📱:N905i 🆔:u7GLEFZg


#456 [みぉり]
「ぃやっ……あの、その……屋上の鍵を…誰から受け継いだのかなぁって…思いまして………」


言葉は弱々しくなり
仕舞いには目線も下向きになってしまった


あぅ…
なんでこうも
考え無しにしゃべっちゃうかな



明らかに
突っ込まれたくなかったオーラが
全開な森くん

⏰:08/12/26 21:38 📱:N905i 🆔:Tbu/zhr6


#457 [みぉり]
自分の頭を
ふるふると振り払い

なんとか取り繕う言葉を
考えていると

森くんが口を開いた




「………知り合いから」

⏰:08/12/26 21:40 📱:N905i 🆔:Tbu/zhr6


#458 [サリー]
失礼します
>>300-500

⏰:08/12/27 08:18 📱:D905i 🆔:BF/LnpNk


#459 [みぉり]
>>サリーさん
アンカーありがとうございます

⏰:08/12/29 01:51 📱:N905i 🆔:MK6t9tec


#460 [みぉり]
>>457から

「えっ?」


パシッ


「いたっ……っつぅ〜」


顔をあげたのと同時に
森くんにデコピンをされてしまった

⏰:08/12/29 01:54 📱:N905i 🆔:MK6t9tec


#461 [みぉり]
「なんでデコピンすんのぉ……ぁいたた…」


涙目になりながら
ピリピリと痛みの残る額を
撫でつつ、森くんを睨む


しかし
当の森くんは
むすっと子どもみたいな顔で
私を見めている状態


……………え?
なんか……機嫌悪…い?

⏰:08/12/29 01:58 📱:N905i 🆔:MK6t9tec


#462 [みぉり]
ひとまず、額を押さえ
様子を伺いながら声を掛ける



「…なんか………怒ってる?」


「は?怒ってねぇよ」



そう言うくせに
不機嫌オーラが全開なのは
見て明らか



「…………うそだ」

⏰:08/12/29 02:36 📱:N905i 🆔:MK6t9tec


#463 [みぉり]
「ぁあ?」



ほらぁぁ!!
絶対、機嫌悪いぃぃ〜……



私の発言が火に油だったのか
口調がより険しくなる森くんに
思わず肩が竦んだけれど

これで怯むような
園田有希ではありませんことよ

⏰:08/12/29 02:40 📱:N905i 🆔:MK6t9tec


#464 [みぉり]
「じゃぁ、その態度はなに?」


「………別に、同じだし」



はぃっ!?おいおいおい……
いつもは、もっと声のトーンが高くて

何より、
そんな深く眉間にシワよせてないでしょうがっ!!

⏰:08/12/29 02:43 📱:N905i 🆔:MK6t9tec


#465 [みぉり]
誰が聞いたって
そんな事は通用しないのに
むすっと言い返す森くんが

小さな子どもみたいで
ちょっと、呆れて
おもしろい



って、おもしろがってちゃダメじゃん!

⏰:08/12/29 02:51 📱:N905i 🆔:MK6t9tec


#466 [みぉり]
「私……なんか変なこといった?」


ちょっと真面目に
森くんを見つめる


森くんは
何も言わず、動きもしない


……ってことは

きっと、私が言った言葉がきっかけなのよね多分

⏰:08/12/29 17:34 📱:N905i 🆔:MK6t9tec


#467 [みぉり]
……やっぱり、鍵のこと
触れられたくなかったのかな



「…………鍵を誰からかって聞いたから?」


「……」



またまた直球
だって回りくどいことは
好きじゃないから

⏰:08/12/29 20:41 📱:N905i 🆔:MK6t9tec


#468 [みぉり]
どんな小さな事でも
モヤモヤしたままなのは
嫌い


ちゃんと
その時その時に
解決しなくちゃ落ち着かない


「……黙ってちゃわかんないよ」


困りながら
でも無理に聞き出そうとしていることに
内心びくびくしながら
尋ねる

⏰:08/12/29 20:55 📱:N905i 🆔:MK6t9tec


#469 [みぉり]
そこからは、黙り込み我慢大会


口を開かず、
じっと森くんの様子を見つめる

⏰:08/12/30 02:57 📱:N905i 🆔:YQzwgtwg


#470 [みぉり]
━━━ーーー………
5分後


「…………鍵のことな」


諦めたようにため息を吐いて
口を開いたのは森くん


我慢比べは私の勝ちみたい



「うん、知り合いから引き継いだんでしょ?」

⏰:08/12/31 01:51 📱:N905i 🆔:Nxt9fjQQ


#471 [みぉり]
聞き返す私をちらりと見て
森くんはゆっくりと
仰向けになるように横になった



「…………知り合いってのがさ」

「ん?」



聞きながら
同じように体を横にする

⏰:08/12/31 02:58 📱:N905i 🆔:Nxt9fjQQ


#472 [みぉり]
互いの目に映るのは
真っ青な空と雲



「………あいつ」


゛あいつ゛



あぁ…例の………


「………幼馴染み?」

⏰:08/12/31 03:03 📱:N905i 🆔:Nxt9fjQQ


#473 [みぉり]
言ったきり
返事がなかったけれど



それが何よりの答え



森くんも
私と同じように
幼馴染みから鍵をもらったんだ


なんて偶然なんだろう
こんなことまで
同じだなんて………

⏰:08/12/31 03:06 📱:N905i 🆔:Nxt9fjQQ


#474 [みぉり]
「…………お前も…同じだろ」


「ん……ま、ね」



そのまま
黙って空を見上げる


互いの奇妙な偶然に
なんだか、
安堵感を抱きながら……

⏰:08/12/31 20:43 📱:N905i 🆔:Nxt9fjQQ


#475 [みぉり]
「………どっか行くか」


「ん……え?」



思わず体を起こして
横に目を向ける


゛よっ゛の掛け声で
森くんも体を起こした

⏰:08/12/31 23:24 📱:N905i 🆔:Nxt9fjQQ


#476 [みぉり]
「気晴らしってことで」


にかっと笑う森くん



そうだね
気晴らしも必要だよね



私も笑顔で頷いて
二人揃って、玄関まで歩く

⏰:09/01/01 03:22 📱:N905i 🆔:LnyKyn.2


#477 [みぉり]
その道すがら
放課後とはいえ
まだちらほらと校内に残る生徒達が

私と森くんを見ては
何か話をしている



………感じ悪いなぁ



なんて思いながら
なんて言われてるのは
想像がついていた

⏰:09/01/01 15:36 📱:N905i 🆔:LnyKyn.2


#478 [みぉり]
ちらっと横に目を向ければ
キレイに整った顔

誰もが目を止める
その容姿



……それに引き替え



至って普通の私
十人並のなかでも中の中

⏰:09/01/01 22:17 📱:N905i 🆔:LnyKyn.2


#479 [みぉり]
……いや、
今更、仕方のないことなんだけど
チラチラ見ていた私の視線に
気付いた森くんが
不思議そうに首を傾げている



「?…なんだよ、」


「なんでもないよ〜……男前だなぁと思って」

⏰:09/01/01 22:44 📱:N905i 🆔:LnyKyn.2


#480 [みぉり]
゛はぁ?゛と言いながら
先に靴を履き替えて、外に出てしまった

慌ててその後を追いかける


夕方近い時間なのに
夏前の空は真っ青で
その眩しさに
思わず目が眩んだ

⏰:09/01/01 23:21 📱:N905i 🆔:LnyKyn.2


#481 [みぉり]
「置いてくぞー」


森くんの声に
目を開いて再び並んで歩く


校門を過ぎて
近くの公園前を通り過ぎようと
して、隣姿がなくなった

⏰:09/01/01 23:45 📱:N905i 🆔:LnyKyn.2


#482 [みぉり]
「あ、れ?……森くん?」


キョロキョロ見回しても
見当たらない


えぇー??
どこにいったの?

⏰:09/01/02 00:18 📱:N905i 🆔:xuIQt6qU


#483 [みぉり]
……けど
私がここから変に動いちゃったら
余計に会えなくなりそう



………おとなしく待機しとこ


公園の柵に寄り掛かる
園内からは楽しそうなこどもの声



………っていうか、、、
どっか行こうって
言いだしたのは森くんなのに

勝手にいなくなるって
どぅなのよ

⏰:09/01/02 00:26 📱:N905i 🆔:xuIQt6qU


#484 [みぉり]
……なんて思ってはみるけど
人を待つのは慣れてる


「ゆぃちゃん待って〜」
「なぉと、遅いんだもん」


ふいに背後から聞こえた声
振り向くとそこには
小さな女の子がジャンクルジムを
上手にするすると登り
その後を必死に追い掛けて
もたつきながらも登る小さな男の子の姿

⏰:09/01/02 01:14 📱:N905i 🆔:xuIQt6qU


#485 [みぉり]
あらまぁ…可愛い


自然と笑みが零れて
姿勢を変えて中を見る


微笑ましい小さな二人に
懐かしい記憶が蘇る


『なっちゃん、危ないよ』
『ゆーちゃんは怖がりだなぁ』

⏰:09/01/02 01:51 📱:N905i 🆔:xuIQt6qU


#486 [みぉり]
いつもいつも
止めるのも聞かないで
無茶ばっかりの後ろ姿を
必死に追い掛けていた


置いていかれると
すぐ泣く私

いつからか、凪は
その度に色とりどりのビー玉を1つくれたっけ

⏰:09/01/02 02:08 📱:N905i 🆔:xuIQt6qU


#487 [みぉり]
………いつから
『なっちゃん』と呼ぶのをやめたんだったかな


小学校に上がって
凪が『ゆーちゃん』から『有希』に
呼び方を変えたから

なんか悔しくて変えたような気がする

⏰:09/01/02 02:12 📱:N905i 🆔:xuIQt6qU


#488 [みぉり]
あの時
変えなかったら今も『なっちゃん』と呼んでいたのかもしれない


今となっては、
どうにもならないことだけど


私の目の前にいる
小さな『なおと』くんも
いつか『ゆいちゃん』から
『ゆい』と
呼び方を変えてしまうのだろうか

⏰:09/01/02 02:17 📱:N905i 🆔:xuIQt6qU


#489 [みぉり]
「…そのままでいて欲しいなぁ」

ぽろりと口に出た言葉
たかが、呼び方ひとつだけど


それは小さなきっかけとなる


凪が泣く度にくれたビー玉で
いつも笑顔になっていた

⏰:09/01/02 02:22 📱:N905i 🆔:xuIQt6qU


#490 [みぉり]
だから、時々
わざと泣いたりして
凪が立ち止まって
私の手を引いてくれるのを
待っていた



けれど
大きくなるにつれて
泣く理由がなくなってきて


凪からビー玉をもらわなくなった
追い掛けるけど
手を引いてもらうほど
距離が空かないように
互いにあわせられるようになった

⏰:09/01/02 02:27 📱:N905i 🆔:xuIQt6qU


#491 [みぉり]
それで
今の距離感……といっても
すごくすごく近いけれど


お互いに心地がいい空気ができた


それはすごく自然なこと
当たり前の成長過程で生まれたもの

⏰:09/01/02 02:29 📱:N905i 🆔:xuIQt6qU


#492 [みぉり]
凪は時間にルーズになって
遊ぶときは
決まって私が待ちぼうけ


おかげで
時間を潰す術が身についた


人を待つのもお手のもの


…………ってなんか
悲しい自慢だなぁ

⏰:09/01/02 02:35 📱:N905i 🆔:xuIQt6qU


#493 [みぉり]
「わりぃ、待たせた」


突然、真後ろからの声


「ひゃぁっ」


慌てて振り向くと
そこにはヘルメットを携えた森くん

⏰:09/01/02 02:42 📱:N905i 🆔:xuIQt6qU


#494 [みぉり]
「びっくりしたぁぁ〜…」


回想から一気に現実へと
引き戻してもらったけれど

おかげで心臓はバクバク状態


「ごめん……そんなおどかすつもりじゃぁ……」

⏰:09/01/02 02:47 📱:N905i 🆔:xuIQt6qU


#495 [みぉり]
「いきなりは誰でもびっくりするよ」


一呼吸おいて
ジロリ睨んで、そう言うと

森くんはいたずらっこ顔で笑ってから
もう一度、謝った



………まぁ、
私も完全に油断して
森くんのことを
すっかり忘れていたのだけれど

⏰:09/01/02 02:57 📱:N905i 🆔:xuIQt6qU


#496 [みぉり]
「いきなりいなくなるし…何してたの?」


尋ねる私にズイっと
差し出したのはヘルメット


「かぶれ」


「へ?」


くるりと背を向けて
すたすたと歩く姿を慌てて追う

⏰:09/01/02 17:12 📱:N905i 🆔:xuIQt6qU


#497 [みぉり]
もー……


歩きだしてすぐ
壁沿いに止められているバイク


「……え、まさか」


いやな予感に
恐る恐る尋ねる


「そ、おれの」

⏰:09/01/02 20:31 📱:N905i 🆔:xuIQt6qU


#498 [みぉり]
言いながら颯爽(サッソウ)と
バイクにまたがり
ヘルメットを被る


ぽかんとする私に


「………早く乗れよ」


後ろを指す


「え?………乗るの…?」

⏰:09/01/03 01:48 📱:N905i 🆔:8WosmgyM


#499 [みぉり]
バイクなんて
乗ったことがないのに
と、思わず立ち尽くす


「……怖ぇの?」


ニヤっと笑う顔に
私の負けず嫌いが駆り立てられた

「のっ、乗るわよ!これくらい」

⏰:09/01/03 02:21 📱:N905i 🆔:8WosmgyM


#500 [みぉり]
ぱっと、後ろに乗る


「捕まらないと落ちるぞ」


ズイっと
私の両手を自分の身体にまとわせ
森くんはエンジンをかけた



えぇっ///
ちょちょちょっと…ッこれは恥ずかしい///

⏰:09/01/04 03:24 📱:N905i 🆔:SOMCr.4k


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