宝物。
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#301 [みぉり]
瞬間、凪がこちらを見上げて視線が合ってしまった
思わず後ろ向きにフェンスに寄りかかる
・・・・・気づかれた・・・・よね
屋上に出入り出来る生徒なんて・・・・限られてる
凪が私に気づくのだって自然なこと
:08/10/25 23:47
:PC
:OsnuXMHg
#302 [みぉり]
だから、私が明らかに視線を逸らした事だって気付いたはずだ
あぁ・・・・また、凪と距離が空いてしまった
フェンスに寄りかかり、頭をもたげていたが、耐え切れずにしゃがみこんだ
:08/10/25 23:50
:PC
:OsnuXMHg
#303 [みぉり]
なんでこうなっちゃうの・・・?
さっき、凪と楓ちゃんの事は気にしないって決めたばかりなのに
凪と目線が合った時に、笑って手を振るだけで良かったのに
どうして、自分から『幼馴染』を崩そうとしちゃうんだろう
:08/10/25 23:51
:PC
:OsnuXMHg
#304 [みぉり]
戻りたい、普通にしたいって言ってるのに
言葉と行動はちぐはぐで・・・・
こんな自分が嫌でたまらない
:08/10/25 23:52
:PC
:OsnuXMHg
#305 [みぉり]
「うっ・・・・ぇ・・・・っ」
アスファルトの地面にぽたぽたと落ちていく涙
落ちてはその部分が変色し、じんわりと黒く広がっていく
「ふっ・・・ッ・・・・うぅ・・・・」
確実に大きく広がっていく黒い染みを見つめながら、溢れるな涙を抑えきれない
:08/10/25 23:58
:PC
:OsnuXMHg
#306 [みぉり]
「ーーーっおぃッ」
突然、聞き覚えのある声が聞こえた
思わず顔をあげると、そこには驚きと困惑を隠せない顔で立つ一人の姿があった
:08/10/26 00:01
:PC
:WmVD4FgU
#307 [みぉり]
「・・・・・森・・・くん・・・・?」
きっと今の私は涙でぐしゃぐしゃの顔を森君に見せてるだろう
だけど、こんな状況でも涙は止まる様子もない
「どっどうしたんだよ?!?!」
森君は私のすぐ近くまで駆け寄ってくる
:08/10/26 00:08
:PC
:WmVD4FgU
#308 [みぉり]
・・・・・・・・・凪かと思った
一瞬でも、声をかけられた時、凪だと思ったの
私に気付いて屋上まで来てくれたなんて・・・・
一瞬でも、そんな甘い事を考えた・・・・・
ううん、願ったんだ
:08/10/26 00:10
:PC
:WmVD4FgU
#309 [みぉり]
そんな事あるわけないのに・・・・・あんな風に露骨に視線を逸らしたのは私で
凪を付けて嫌な思いをさせてしまったと思っているのに
それでも、心のどこかで淡い期待を抱いていたんだ
「ばかだなぁ・・・・」
:08/10/26 00:13
:PC
:WmVD4FgU
#310 [みぉり]
思わず笑ってしまったけれど、余計に涙が込み上げて来てどうしようもない
「・・・・・・・・」
森君が目の前に立っているのもわかっているけど、嗚咽を堪えきれない
「うっ・・・うぇ・・っ」
ぐいっ
:08/10/26 00:17
:PC
:WmVD4FgU
#311 [みぉり]
コンクリートの黒い染みだったはずの視界が一変して、真っ白になった
思わず、目を見開いて両手を動かすとそこには温かいぬくもり
「泣け」
さっきよりもずっと近い距離で聞こえる声
:08/10/26 00:20
:PC
:WmVD4FgU
#312 [みぉり]
「わけわかんねぇけど・・・・・気が済むまで泣けよ」
ぎゅうっと力をこめて私を抱きしめるそのぬくもりに
なぜだか、許された気持ちになった
森君の腕にしがみついて、声を上げて、泣いた
:08/10/26 00:37
:PC
:WmVD4FgU
#313 [みぉり]
━━━━ーーーーー…………
凪side
「ーーーっはぁっ・・・はぁっ・・・っ」
階段を一気に駆け上がり、開け放たれたままの扉から見えたのは
有希が男に抱き締められている姿だった
思わずその場に固まった
:08/10/26 00:40
:PC
:WmVD4FgU
#314 [みぉり]
なん・・・だ・・・?
有希が・・・・男・・・と・・・・
抱き締めている男の顔はここからは見えない
けど、その男を有希は突き飛ばすわけでもなく受け入れている
俺が二人の姿を見つけてから、数十秒経っても離れる様子は、ない
:08/10/26 01:10
:PC
:WmVD4FgU
#315 [みぉり]
俺の思考はパンク寸前で、目を離すことが出来ずに居た
有希が俺の知らない男と一緒にいる所なんて、これまでたくさん見てきた
みんな『友達』なんだと思ってた
だけど、今目の前にあるこの光景が示すのは『友達』とは思えない
:08/10/26 01:55
:PC
:WmVD4FgU
#316 [みぉり]
・・・・なんだよ・・・・なんなんだよこれはっー・・・
立ち尽くしていた両手を強く握り締める
有希っー・・・・俺のこと、好きだって言ってたんじゃねぇのかよ?!
つい、二日前のことだぞっ?!?!
「・・・・ーっ」
:08/10/26 01:57
:PC
:WmVD4FgU
#317 [みぉり]
喉元まで出掛かった言葉に、驚いた
何・・・考えて・・・・
俺は有希にそんなことを言える立場ではないのに
有希を傷つけて、それでも尚、金曜の夜がなかったかのように接しているのに
:08/10/26 02:03
:PC
:WmVD4FgU
#318 [みぉり]
自分でついた嘘に、今更ながら激しい後悔が打ち寄せる
もし・・・もしも、あの金曜の後に素直に言っていたら違ったんだろうか
本当は彼女もセフレも居やしないと、そう伝えていたら
有希の涙を見ることも、その想いを知ることもなく
いつものように、笑ってなんてことのない会話を楽しんでいられたんだろうか
:08/10/26 02:09
:PC
:WmVD4FgU
#319 [みぉり]
そう考えて、首を振った
違う・・・そんなタイミングはたくさんあったじゃないか
だけど、俺はっ・・・・結局、怖くて言えないだけなんだ
あの日、あの金曜の夜、俺は心のどこかでラッキーだと思った
有希と離れられる良いチャンスだと、そう思ったんだ
:08/10/26 02:16
:PC
:WmVD4FgU
#320 [みぉり]
俺は、嫌われることが怖くて、
自分のしでかした罪がばれるのが怖くて
だけど、そんな状態でずっと真っ直ぐな有希と接するのもどこか苦しくて・・・・
自分から口火を切って、突き放すことも出来やしないから
『後を付けてきた有希が悪い』と。
勝手に理由をつけて、傷つけることを選んだんだ
:08/10/26 02:20
:PC
:WmVD4FgU
#321 [みぉり]
それなのに有希は、泣きながら俺を好きだと言っていた
あんなにひどい事を言って傷つけた俺を好きだと言っていたのに
今、目の前にいる有希は男に抱き締められることを受け入れている
自分から離れることを望んだくせに、有希は、俺が有希の想いを知っていることを知らないのに
ふつふつと湧き上がるどす黒い感情が、確実に俺の中に広がっているんだ
:08/10/26 02:26
:PC
:WmVD4FgU
#322 [みぉり]
そんな気持ちを抱えたまま、見ていた二人がすっと離れるのが見えた
どこかほっとしたような、そんな気持ちを抱いた瞬間
一気に血の気がひいた
:08/10/26 02:33
:PC
:WmVD4FgU
#323 [みぉり]
離れたことではっきりと見えた有希は、間違いなく泣いていた
いや、泣いた後だったー・・・・
遠くからでもわかる、その表情で、仕草で、身体の呼吸する動きで
きっと嗚咽するくらい泣いていたんだ
:08/10/26 02:34
:PC
:WmVD4FgU
#324 [みぉり]
思わず、駆け出しそうになったが、足を止めた
「・・・−っ」
有希が、俺の見たこともないような笑顔で抱き締めていた男に話しかけていたから
俺は、有希の涙を見てとっさに、抱き締めている男のせいだと思った
だから駆け出そうとした
:08/10/26 02:37
:PC
:WmVD4FgU
#325 [みぉり]
でもそれは違う、絶対に違う
有希は笑ってる、きっと抱き締めていた男に慰められていたんだ
有希の笑顔でそれが十分にわかった
:08/10/26 02:39
:PC
:WmVD4FgU
#326 [みぉり]
俺は少しずつ、後ろに下がりながらやがて向きを変えて階段を折り始めた
ゆっくり、静かに、でも確実に
有希と
抱き締めていた男から離れた
:08/10/26 02:47
:PC
:WmVD4FgU
#327 [みぉり]
俺のせい・・・・か・・・・?
有希が泣いたのも、他の男を頼ったのも
全部、全部・・・・・俺のせいじゃないか
:08/10/26 03:04
:PC
:WmVD4FgU
#328 [みぉり]
「はっ・・・・・」
自嘲的に笑いながら玄関に向かって歩く
日が傾いてきて、うっすらオレンジ色に染められた廊下に俺の足音だけ響いていた
・・・・・有希、ごめん
:08/10/26 16:31
:PC
:WmVD4FgU
#329 [みぉり]
ごめんな
いつだって、お前は真っ直ぐに俺に向き合ってきてくれたのに
俺がはっきりせずに、
遠まわしにお前から距離を取ろうとしたから
訳がわからず困惑しているだろうに、完璧に繋がりを断ち切ることは怖くて
:08/10/26 16:35
:PC
:WmVD4FgU
#330 [みぉり]
表面的な『幼馴染』を装ってしまってるんだ
互いにその違和感を隠し切れないのに、それでも互いに突き放せずにいる
あの金曜の夜からまだ1週間も過ぎていないのが実際で
だけど、俺も有希も、互いのこの空気に耐えられなくなってるのも事実
:08/10/26 16:40
:PC
:WmVD4FgU
#331 [みぉり]
有希は、本当は俺に聞きたいはずだ
いつもなら、すごい剣幕でまくしたてて話をしていたはずだ
『なんでバイトのこと、教えてくれなかったの』
『セフレって何?!何考えての?!』
有希が言うだろう台詞と顔がすんなりと想像出来て、思わず笑った
:08/10/26 16:49
:PC
:WmVD4FgU
#332 [みぉり]
屋上にいた有希を見上げて、視線を逸らされた時
背筋がぞっとした
俺から離れると決めたはずなのに、有希に逸らされたのが怖かった
気付いたときには、屋上へ向かって走っていた
:08/10/26 16:56
:PC
:WmVD4FgU
#333 [みぉり]
「・・・・・なんて言うつもりだったんだか」
扉から見えたのは、俺にとって衝撃的なものだったけど
仮に、有希が一人で居たとして俺は屋上に脚を踏み入れられたのだろうか
涙を流している有希に言葉をかけるなんて事をする勇気があったのだろうか
:08/10/26 22:12
:PC
:WmVD4FgU
#334 [みぉり]
いつのまにか、玄関に辿り着いて靴を履き替えようとして気付いた
・・・・・外靴のままだ、俺
靴を履き替えることを忘れるくらい、急いで屋上に向かっていたらしい
それくらい、有希に突き放されることが怖いんだ
・・・・・・・自分からはそうしたくせに、
:08/10/26 22:18
:PC
:WmVD4FgU
#335 [みぉり]
そのまま玄関を通り、再び校門へと向かって歩く
有希と目が合った場所まで来て・・・・再び、屋上を見上げたがそこに二人の姿はなかった
有希は俺を好きだと言った
それを聞いて、どうしたらいいかわからなくなった
:08/10/26 22:20
:PC
:WmVD4FgU
#336 [みぉり]
だけど、同時にものすごく安心したんだ
あんな事を言って、軽蔑されたと思っていたから
有希の想いを聞いた時、本当に心の底から安堵したんだ
だけど・・・・・俺にとって有希は『幼馴染』でしかない
:08/10/26 22:22
:PC
:WmVD4FgU
#337 [みぉり]
俺にとって有希は、家族みたいなもので『好き』とか『嫌い』という枠に収まらない
それは有希も同じだと思っていた
思っていたのに・・・・実際は違っていて、所詮は俺がそう思い込んでいただけだった
中学の時から、彼女がいないなんて事はなかった
:08/10/26 22:31
:PC
:WmVD4FgU
#338 [みぉり]
中には俺から、告白して付き合った人だっている
だけど、いつも最後は俺が振られて終わるんだ
俺なりにいつだって一生懸命に相手と向き合っているつもりなのに
決まって最後は『恋愛ごっこはやめにしよう』って言われる
俺の付き合うって事は『相手を好き』だからじゃなくて『恋愛がしたいだけ』だと思われるんだ
:08/10/26 22:34
:PC
:WmVD4FgU
#339 [みぉり]
ふぅっとため息をつきながら、家路を辿る
傾きかけていた陽は今や完全に夕陽と化して、空を真っ赤に染めていた
:08/10/26 22:38
:PC
:WmVD4FgU
#340 [みぉり]
「ただいまー」
玄関からそのまま自分の部屋へと向かう
扉を開けてすぐに目に付くのは、壁に張られた無数の写真
友達と、家族と撮った写真達
そのほとんどに有希も写っている
:08/10/26 23:44
:PC
:WmVD4FgU
#341 [みぉり]
荷物を机の上に置いて、貼られた写真の前に立ち、ゆっくりと見つめる
写真の中の俺と有希は、傍から見ればそれこそ恋人同士に見えるくらい一緒に写っている
家に来た彼女達が、必ず眉間にシワを寄せながら『この子、誰?』と尋ねてくるくらいに
:08/10/26 23:46
:PC
:WmVD4FgU
#342 [みぉり]
何度聞かれようとも、俺は平然と『幼馴染』と答えるだけ
けれども、彼女達はそれには納得出来ないようで、この写真達が引き金になってケンカしたり別れた事があったのも事実
:08/10/26 23:49
:PC
:WmVD4FgU
#343 [みぉり]
かといって、この写真をはずそうと考えた事なんてない
はずすことがまるで、彼女達が不安に思う原因は有希であると認めているような気がして
本当に家族だと、単なる幼馴染なんだと信じて欲しいからこそはずすことがなんだか悔しくて
ずっとそのままにしてきた、有希の部屋にも同じような写真が壁一面にあることだって俺は知ってる
:08/10/26 23:54
:PC
:WmVD4FgU
#344 [みぉり]
同じ気持ちだと思ってた
俺が有希を想うように、有希も俺を『家族』のように想ってくれているんだと思っていた
俺が失恋すると必ず励ましてくれた有希、
『しょうがないなぁ、本当に』
そう言いながらもいつだって、俺と一緒にいてくれた有希
:08/10/27 00:01
:PC
:yXpYuQc2
#345 [みぉり]
それがこれからは叶わない
俺が、離れることを決めたのだから
俺が、有希を追い詰めているのだから
俺が、有希の気持ちに応える事は出来ないのだから
有希に本当の事を知られてしまうのが、何よりも怖いから
:08/10/27 00:03
:PC
:yXpYuQc2
#346 [みぉり]
壁に貼られた写真に手をかけると、一枚ずつ丁寧にはずしていく
一枚、一枚はずしながら、その思い出を噛み締めながら
「・・・・・・・・・・これで最後・・・・か」
思ったよりも大量に貼られていた写真をはずし、最後の一枚を手にとってベットに腰掛ける
:08/10/27 00:07
:PC
:yXpYuQc2
#347 [みぉり]
「・・・・・・・っ」
その写真は皮肉にも、俺が有希と真っ直ぐ向き合えなくなるきっかけとなった日に撮ったものだった
━━━━ーーーーー…………
半年前の夏休み半ば
:08/10/27 00:21
:PC
:yXpYuQc2
#348 [みぉり]
「・・・・・あちぃ」
夏休みの炎天下の中、俺の部屋のクーラーは故障中
扇風機をフル稼働させ、窓を大きく開けながらベットに腰掛け漫画を読んでいた
「凪ぃ〜、いる〜〜?」
:08/10/27 00:24
:PC
:yXpYuQc2
#349 [みぉり]
階段下から聞こえてくるのは、聞きなれた声
「おー、上ー」
起き上がって迎えにいくわけでもなく、変わらずに漫画を読んでいるとトタトタと足音が近づいてドアが開かれた
「うわっ、何この部屋〜・・・・・」
扉を開けるなり、その暑さに顔をしかめた有希がコンビニ袋を提げて俺の部屋に入ってきた
:08/10/27 00:31
:PC
:yXpYuQc2
#350 [みぉり]
「クーラー故障中なんだよ」
「えー・・・・」
嫌そうな顔をそのままに、俺が腰掛けているベットに背をもたれながら座る
俺は変わらずに漫画を読んだままで、有希はコンビニ袋をガサガサと漁りだした
「おみあげ」
「ん?おーサンキュー」
:08/10/27 00:44
:PC
:yXpYuQc2
#351 [みぉり]
お土産の言葉に顔を向けると、俺の一番好きなアイスを有希が差し出す
受け取って、ペリペリと包装紙を剥がしてアイスを口に頬張り、再び漫画を読もうとして、違和感
「・・・・・どうした?」
「え?・・・・・や、別にぃ」
有希が静かなんて、おかしい
:08/10/27 00:53
:PC
:yXpYuQc2
#352 [みぉり]
いつもは俺が話しを聞いてようが、聞いてまいがお構いなしに話しているのに
今は、体育座りで静かにアイスを食べているだけだ
斜め上から見下ろす顔は、明らかに元気がない
俺はそっと漫画を閉じて、有希の隣に座り直す
:08/10/27 00:56
:PC
:yXpYuQc2
#353 [みぉり]
「「・・・・・・・・・・・・・・・」」
二人とも無言でシャクシャクとアイスを食べた
食べ終わると、有希は目の前に置かれていた俺のデジカメを手にとって
無意味に部屋の中でシャッターを切る
しばらくそのまま放っていると、くるりと俺に向けてシャッターを切りだした
:08/10/27 01:00
:PC
:yXpYuQc2
#354 [みぉり]
「おいっ、」
俺は食べかけのアイスを片手に有希からカメラを奪う
「何よぉ、けち」
頬を膨らませながら、悔しそうにする顔はいつもと同じ
だけど、次の瞬間には表情は沈み、伏し目がちになった
・・・・・・カメラ、取り上げなきゃよかったか
そんなことを思いながら、アイスを食べきり残った棒を捨てようととして有希が声をあげた
:08/10/27 01:06
:PC
:yXpYuQc2
#355 [みぉり]
「凪のっあたりだよぉ!!」
「へ?」
有希が俺の棒を指差して言うので、俺も棒をよくよく見るとそこには『当たり』と書かれた文字
「いいなぁ〜これ、当たりの棒を何本か貯めると温泉一泊当たるんだよっ」
有希が心底、うらやましそうに棒を見ながら言う
:08/10/27 01:09
:PC
:yXpYuQc2
#356 [みぉり]
「すげぇ・・・・アイスで旅行が当たるのかよっ笑」
驚きながら笑って言うと、有希もそれにつられて笑った
なんとなくカメラを有希に向けてシャッターを切る
「なっ・・・・何すんのよぉいきなりっ」
目をぱちくりさせながら、慌ててカメラを取り上げようとする有希にほっとして余計にシャッターを切る
:08/10/27 01:12
:PC
:yXpYuQc2
#357 [みぉり]
「ちょっ・・・・ずるいっ私が撮った時は取り上げたのにっ」
有希はジタバタしながらも必死に俺からカメラを取ろうとする
それがまたおもしろくて、シャッターを切っていると有希はクッションを抱き締めて顔を隠すようにして、動かなくなってしまった
・・・・・・・拗ねたな
:08/10/27 01:15
:PC
:yXpYuQc2
#358 [みぉり]
「おーい・・・有希ぃ?・・・・・有希ちゃん?」
様子を伺いながら、有希に声をかけると応える様子はない
こうなると有希はちょっと厄介だ
昔っから強情っぱりで頑固、なかなか人の言葉に動こうとはしない
:08/10/27 01:18
:PC
:yXpYuQc2
#359 [みぉり]
それでも、ちょこちょこ声を掛けてみたが反応なし
俺はため息をついて、そのまま再び漫画を読み出した
こういう時、ずっと有希に声を掛けるのは逆効果
有希が自分で気持ちを切り替えるタイミングを作れないから
何事もなかったかのようにしていれば、自然と有希が動き出すのを俺はよく知っている
:08/10/27 01:22
:PC
:yXpYuQc2
#360 [みぉり]
しばらくすると、隣の有希がもそもそと動き出した
俺は視線を漫画に向けたままで、特に動かない
「・・・・・・何読んでるの」
「んー・・・・推理もの」
有希がクッションを置いて、それでも顔を合わせようとはせずに尋ねてくる
:08/10/27 01:25
:PC
:yXpYuQc2
#361 [みぉり]
「・・・・・怖いやつ?」
「怖くねぇよ、この間、一緒にDVDで見たやつ」
少しずつ、いつもの会話をしながら有希が自分で、自分のむすっとした気持ちを落ち着けるのを待つ
そのうち、俺の手元の漫画を覗き込んで一緒に読み始めた
有希のペースを伺いながページをめくって、その漫画を読み終えた
:08/10/27 01:28
:PC
:yXpYuQc2
#362 [みぉり]
「・・・・・・怒ってるよ」
「はいはい、ごめんな?ふざけすぎた」
有希が俺を見上げながら呟くのを聞いて、やっと有希と視線を合わせてその頭をポンポンと撫でながら謝る
有希は、昔からどんな些細なことでも、きちっと解決しなきゃ嫌な性格で
ちょっとしたケンカでも、互いに謝る・謝られるということを律儀にする
:08/10/27 01:31
:PC
:yXpYuQc2
#363 [みぉり]
「わかればよろしい」
満足気に笑って、すばやく俺からカメラを奪い取った
「こらっ・・・・何すんだよ」
一瞬の隙をつかれて驚く俺に、してやったりと言わんばかりの笑顔を向ける
:08/10/27 01:33
:PC
:yXpYuQc2
#364 [みぉり]
また撮られると身構えた俺をよそに、有希はカメラの画像を辿り始めた
ほっとため息をつきつつ、今度は俺がカメラを覗き込むカタチで一緒に画像を辿っていく
結構前からの画像が入っているが、そのほとんどは家族か友達
「ねぇ、いつも思ってたんだけどさ?」
:08/10/27 01:35
:PC
:yXpYuQc2
#365 [みぉり]
「ん?」
辿る手と目線はそのままに有希が話し出す
「なんで、凪のカメラって彼女の写真が一枚もないわけ?」
あぁ、なんだそんなことかよ
「・・・・・一緒のとき、カメラ持ってねぇもん」
:08/10/27 01:37
:PC
:yXpYuQc2
#366 [みぉり]
「ふぅん・・・・・」
それだけ応えて、特に話を続けるわけでなく画像を辿り続け、やがてさっきの互いの画像になるとその手を止めた
「ね、そういえば最近、一緒の撮ってないねぇ」
「ぁ?・・・・・そういやぁ・・・・ないかもな」
:08/10/27 01:39
:PC
:yXpYuQc2
#367 [みぉり]
「久々に撮ろう撮ろう!!」
有希はきゃっきゃと笑いながら俺にカメラを渡す
折角だからと、なぜだか当たり棒を手にする有希
俺はそんな有希に意味不明を言いながら、いつものように二人のアップの写真を撮った
撮るとすぐに有希が画像を確認して、勝手知ったる俺のプリンターで写真をプリントして壁に貼った
:08/10/27 01:42
:PC
:yXpYuQc2
#368 [みぉり]
満足げにしている有希だけど、俺はどうしても来たときから時折伏し目がちになる事が気がかりで後ろから声をかける
「有希・・・・・なんかあっただろ」
「えー?ないよぉ」
俺に背を向けたまま、写真を見ながら応える
けれどもその声はいつもの張りがなく、何かあったのだと気付かせるのに十分だった
:08/10/27 01:46
:PC
:yXpYuQc2
#369 [みぉり]
「嘘つけ、お前と何年いっしょにいると思ってんだよ」
そう言いながらも無理に聞き出すわけでなく、有希が自分で切り出すのを待つために
再び、カメラの画像を辿りながら何も言わずにいた
有希はゆっくりと俺の方に向き直って、隣にストンと腰を下ろす
:08/10/27 01:49
:PC
:yXpYuQc2
#370 [みぉり]
「・・・・・・・あかりがね」
「あかり?」
俺が聞き返して、顔を上げると有希は今にも泣き出しそうな顔で頷く
あかりは俺の中学からの同級生、高校からは有希も一緒で有希とあかりはクラスが同じ
:08/10/27 01:52
:PC
:yXpYuQc2
#371 [みぉり]
元々、性格が似ていた二人はすぐに意気投合して、出会って間もないというのに互いに絶対的な信頼関係を持っているのを知っていた
そのあかりがどうしたというのだろう
ケンカでもしたのだろうか
想像もしていなかった『あかり』の言葉にカメラを置いて、有希をじっと見つめる
:08/10/27 01:54
:PC
:yXpYuQc2
#372 [みぉり]
何かあったのか、と尋ねた事を激しく後悔する話がこれから待っているというのに
この時の俺は、ただ単純に2人の間に何かあったんだろうと軽い気持ちで聞き始めたんだー・・・・・
━━━━ーーーーー…………
最後の写真からゆっくりと視線をはずして、大量に積み重なった写真達の上にそっと置く
:08/10/27 01:58
:PC
:yXpYuQc2
#373 [みぉり]
:08/10/27 02:04
:N905i
:LK9sczOM
#374 [みぉり]
>>372から
そのまま、ベットに倒れこんで天井を見上げた
…………あまりに軽率だった俺の発言が今もあかりを苦しめている
そしてそれは、あかりの近くにいる有希も悲しませた
:08/11/01 11:58
:N905i
:ia9jmoiE
#375 [みぉり]
それは、変えられない現実で恭ちゃんにもつらい想いをさせた
だけど俺はその全てを、誰にも打ち明けられていない
みんなから突き放されるのが怖くて、何も言えない臆病者なんだ
:08/11/01 12:03
:N905i
:ia9jmoiE
#376 [みぉり]
━━━━ーーーー…………
有希side
「…………落ち着いたか?」
「うん…………ありがとう」
静かな放課後の教室、壁の時計が示す時刻は19時すぎ
屋上で森くんに会って、泣きたいだけ泣かせてもらって今に至る
:08/11/01 12:11
:N905i
:ia9jmoiE
#377 [みぉり]
偶然、出会った屋上で泣き崩れたのに何も聞かずに傍にいてくれた
「………ごめん…ね」
ポツリ呟いた声は自分でも驚くほど、小さいもので視線は床を見つめたまま
:08/11/08 12:40
:N905i
:H7xqIuI2
#378 [みぉり]
「ん………」
多分、森くんは私を見てる
顔をあげれば真剣な面持ちでいるだろうことは予想出来ている
だから余計に顔をあげられない
昼間に言い合いにも似たやりとりの後にこんなカタチで、会うとは思いもしなかったし……
:08/11/09 14:35
:N905i
:gCJzhQEM
#379 [みぉり]
だけど、こんな時間まで付き合ってくれたし……なんと言ったらいいんだろう
「……………幼馴染みがいいって……」
「……………え」
言い訳を考える事に集中していた私は、突然の森くんの言葉に思わず顔をあげてしまった
:08/11/09 14:46
:N905i
:gCJzhQEM
#380 [みぉり]
見上げた先の森くんは、やっぱり真剣な面持ちでいて昼間のように眉間にシワを寄せていた
「………同じことを思った事がある」
「え?…………何が?」
言葉の意味を問い掛ける、同じことって?
:08/11/09 22:06
:N905i
:gCJzhQEM
#381 [みぉり]
私の声に森くんは静かに息を吐き出してから、立ち上がり窓に向かって立った
しばらく、何も話さず私も声をかけられず、ただ黙って待った
陽が完全に暮れかけて、電気を点けていない教室は真っ暗で窓から漏れる街灯がぼんやりと森くんの表情を映し出す
:08/11/09 22:12
:N905i
:gCJzhQEM
#382 [みぉり]
「幼馴染がいい・・・・お前の言葉と同じ事を思ってたんだ、俺も」
ぽつりと呟く森くんの声に、じっと耳を傾ける
「幼馴染がいいと思った、そのままで居たいと思った・・・・だから、気持ちを伝えずにいようと努力した」
森君はどこか遠くを見るような眼差しで、続ける
:08/11/10 00:37
:PC
:LKLcl7/I
#383 [みぉり]
「始めは思ったよりも楽だった、あいつは毎日変わらずに俺といたし・・・・・・けど、途中でつらくなった」
声のトーンをぐっと下げて、ゆっくりと私の方を振り向く
ドキン・・・・・ドキン・・・・・
なぜだかわからないけれど、私の心臓は大きく音を立てて鳴っていて森くんから視線を逸らせない
:08/11/10 00:41
:PC
:LKLcl7/I
#384 [みぉり]
「学年があがって、俺の知らない場所にあいつの新しい居場所があって・・・・・一緒に過ごす時間は変わらないのに、俺の知らないことばかりが増えていって・・・・・」
森くんの言葉が、いつかの自分を思い出させる
同じことを不安に思った
けれども、それは自然なことなんだと
自分の気持ちを見つめようとしなかったから納得して過ぎてきた
:08/11/10 00:45
:PC
:LKLcl7/I
#385 [みぉり]
でも森くんは違う
自分の知らない一面が増えていく前から、その幼馴染のことを想っていたのなら、その苦しさはきっと、今の私とは比べものにならない
「・・・・・縛れないって分かってる。俺は単なる幼馴染なんだと思ってみても、どうしたって悔しくて何よりも・・・・・あいつが離れていくことが寂しかった」
森くんが悲しそうに顔を歪めて、でも口元は笑いながら続ける
:08/11/10 00:50
:PC
:LKLcl7/I
#386 [みぉり]
「自分で伝えないと決めたのに、それが自分を追い詰めたんだ」
森くんの言葉が痛いほど、心に、頭に突き刺さってくる
本当はここまで自分の状況と酷似した話なんて聞きたくはない。
けれど、森くんの話し方が”過去形”だから、その行く末が気になって、聞き入ってしまう
:08/11/10 00:57
:PC
:LKLcl7/I
#387 [みぉり]
「………だから、お前の話を聞いた時は、すごく驚いた」
「え?……………ぁ…」
そうか、
森くんがあんなにも私の事を見抜けたのは、同じ経験があったから
はっと思い当たった私に、森くんは目を細めて笑う
:08/11/10 04:03
:N905i
:LHKklqQ.
#388 [みぉり]
「お前を見て・・・・・前の俺もこんな感じだったのかなぁって思えて少し笑っちまった」
「笑うって・・・・失礼ねぇ」
私も負けじと言い返すと、森くんはくくっと笑って再び窓の外に視線を戻した
再び、沈黙・・・・・私は今、森くんがその幼馴染とどういう状態にあるのか、森くんは・・・・・どうしたのかをすごく知りたくて、彼の言葉を待った
:08/11/10 14:58
:PC
:LKLcl7/I
#389 [みぉり]
けれども、森くんは何も言わずにずっと外を眺めているだけで
膨らみすぎたソワソワする気持ちを抑えきらず、私から切り出した
「今・・・・は?」
「ん?」
こちらを向くわけでなく、森くんは聞き返す
:08/11/10 15:04
:PC
:LKLcl7/I
#390 [みぉり]
ドキン・・・・ドキン・・・・
ゆっくり大きく鳴る心臓を抑えながら、今知りたい事を言葉にする
「今は、その幼馴染とは・・・・どうしてるの?」
私の言葉に森くんは、もう一度私に向き直る
その表情は不思議と穏やかな感じで、静かな笑みを浮かべていた
ドキン・・・・・ドキン・・・・・・
:08/11/10 15:07
:PC
:LKLcl7/I
#391 [みぉり]
「やめた」
「・・・・・・・・・・へ?」
意味がわからず、困惑する私に森くんは笑顔で告げる
「やめたんだ全部、あいつを好きでいることも幼馴染でいることも」
:08/11/10 15:13
:PC
:LKLcl7/I
#392 [みぉり]
ドクンーッ・・・・・
聞かなきゃよかった
きっと私の顔にはそう書いてあるに違いない
自分とあまりに良く似た状況を経験した人に、どこか期待して聞いていた
”どうやって幼馴染でいる関係を保っているのか”
:08/11/10 15:15
:PC
:LKLcl7/I
#393 [みぉり]
”好きって伝えた相手の反応はどうだったのか”
”伝えた後に何か変化はあったのか”
森くんの答えが”幼馴染のまま”だろうが”恋人”であろうが聞きたいことは山ほどあると考えていた
けれど、その答えは私の予想していなかったもので
最も私がなりたくない立場そのものにいるという現実だったー・・・・
:08/11/10 15:17
:PC
:LKLcl7/I
#394 [みぉり]
自然とゆっくり、俯いてしまった私の頭にぽんっと重みを感じた
「…………聞かなきゃよかったって思ってんだろ?」
ずばり心の内を当てられて、ビクンと体が動く
「まぁ…………そりゃ俺だってそんなことはしたくなかったんだけどよ」
:08/11/12 19:12
:N905i
:mIPh37fs
#395 [みぉり]
私の頭に手を乗せたまま、穏やかな口調で話す森くんは、どんな顔をしているんだろう
さっきみたいにほほ笑みを浮かべたままだろうか
それとも………
顔をあげようと、少しだけ頭を動かすと森くんは手をよけた
「欲しくて仕方なかった」
:08/11/12 19:16
:N905i
:mIPh37fs
#396 [みぉり]
顔をあげた先にいる森くんは、やっぱり笑っていた
だけど、さっきの笑みとは明らかに違う淋しそうな瞳でいて………私は何も言えず、黙って話に耳を傾ける
「だんだん幼馴染みでいる事が苦痛になって、だけどあいつは無防備で………このままじゃ、最悪なカタチに俺自身が動きそうだった……欲しくて欲しくて……………あいつを傷つけるくらいならいっそ離れてしまえばいいと思ったんだ」
淡々と続ける森くんの顔からはいつしか笑みは消えていた
:08/11/12 19:26
:N905i
:mIPh37fs
#397 [みぉり]
ドキッ―………
だけど、その言葉には森くんの切なげな気持ちが詰まっていて心臓が跳ねた
「……後悔……して……る?」
「…………さぁ、どうだろうな」
私の問い掛けに、天井を見上げながら話す
「……してないとなったら嘘になる………だけど………あの時の俺にはそれが精一杯だったんだ………だから、これで良かったんだと信じてる」
まるで自分に言い聞かせるように呟く姿に、その横顔に、確実に潤みを持ってしまっている瞳に、思わず立ち上がった
:08/11/12 19:39
:N905i
:mIPh37fs
#398 [みぉり]
ガタンッー・・・・
「ーーっ・・・びびったぁ・・・・お前、いきなりー・・・・ッ」
突然の音に、森くんが慌てて視線を下ろしている間に私は彼の前まで歩く
「?」
私よりもずっと高い身長で、今の私の行動に首を傾げる森くんを見上げた
:08/11/13 01:00
:PC
:C/s/P5Ak
#399 [みぉり]
少し背伸びをして、右手で森くんの頭に手をあてる
「?何??」
「・・・・ッだっ大丈夫だよ・・・・森くんは、間違ってないッ」
視線を合わせて、そう言いながら初めて出会ったときに森くんがしてくれたようにその頭をぽんぽんっと撫でた
「・・・・・−っ////」
:08/11/13 01:04
:PC
:C/s/P5Ak
#400 [みぉり]
瞬間、森くんの顔がみるみる内に真っ赤に染まっていく
それはもういわゆるユデダコの状態だ
「えっ?!ごごごごごめんっ」
予想だにしていなかったその反応に、反射的に手を下ろすも逆に私もオロオロして、自分のしたことが恥ずかしくなっていった
・・・・だだだって!!森くんがこんなに真っ赤になるなんて想わなかったからっ・・・・あーっ!!!なんで頭撫でちゃったりしたんだろ〜・・・////
:08/11/13 01:44
:PC
:C/s/P5Ak
#401 [みぉり]
そんなことを思ってみても、後の祭りでなんとも言えない空気が流れてしまった
互いに、沈黙
…………うぅ……私ってバカ?
いや、だってさ?なんか、こー…森くんが淋しそうだったし、励ましたかったから……いやいや、でも撫でるのは子ども扱いみたいだったかな……うー……
真っ赤な顔を見合わせたままだったのを破ったのは森くんだった
:08/11/13 04:22
:N905i
:S4B9qLtA
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