月の裏側
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#328 [我輩は匿名である]
「百合さんを幸せにします」

こんなありきたりの言葉しか言えない俺だけど、最後にはお父さんも許してくれた。

なんだかんだ言って、お父さんが1番喜んでくれていたらしい。

名前を考えたり、ベビーグッズを探したり…。

両親に愛されながら育った百合が羨ましかった

⏰:08/09/14 21:02 📱:PC 🆔:kf/llK9E


#329 [我輩は匿名である]
俺の両親は、「そうか」「よかったわね、おめでとう」と軽い返事だった。

結婚や孫ができることになっても無関心なのか。

こんな両親にはなりたくない。

そう決めた。

⏰:08/09/14 21:03 📱:PC 🆔:kf/llK9E


#330 [我輩は匿名である]
その翌年、元気な女の子が生まれた。

俺は泣いた。

27歳にして、周りの目も気にせずに泣いた。

百合はそんな俺を見て笑ってた。

⏰:08/09/14 21:03 📱:PC 🆔:kf/llK9E


#331 [我輩は匿名である]
画数とかバランスとか、結局は関係なく俺ら2人の名前をとって「美優」と、素晴らしい名前を付けてくれたお父さん。

お父さんも病室で孫の顔を見て泣いた。

「美優、おじいちゃんだよー。泣き虫だね」

百合はまた笑ってた。

「可愛い子だな。じいちゃんに目元が似てるなぁ!」

⏰:08/09/18 14:38 📱:PC 🆔:D6L4N7VY


#332 [我輩は匿名である]
お父さんは美優を抱きながら目尻を下げっぱなしていた。

小さいけれど大きな命。

その誕生によって誰もが幸せになる。

俺が生まれたとき、親父やお袋も喜んでくれたのかな。

⏰:08/09/18 14:38 📱:PC 🆔:D6L4N7VY


#333 [我輩は匿名である]
百合と美優が退院し、仕事から家に帰る楽しみができた。

つい数週間前までは家に帰っても百合は入院して、ひとりぼっちだった。

この年になってもひとりぼっちは寂しくて…。

だから今、家族3人で過ごしているなんて「幸せ」以上の言葉があったら教えて欲しいくらいだ。

⏰:08/09/18 14:39 📱:PC 🆔:D6L4N7VY


#334 [我輩は匿名である]
28歳になった。

結婚して2年だが、付き合い始めて、なんと10年がたったのだ。

美優も1歳になり、百合は専業主婦として頑張ってくれている。

守るものが2つある。

仕事は前にも増して頑張った。

⏰:08/09/18 14:39 📱:PC 🆔:D6L4N7VY


#335 [我輩は匿名である]
29歳。

三十路1歩手前。

このまま親子3人、のらりくらり生きていくんだと思っていた。

だけど違った。

結婚3年目の真実は、頭を抱える物だった。

⏰:08/09/18 14:40 📱:PC 🆔:D6L4N7VY


#336 [我輩は匿名である]
「ぱぱ〜」

「ん?」

「ままとみゆ、どっちがすき?」

仕事が休みの俺に美優は甘えてくる。

「どっちも好き」

「えぇ〜。ままは、みゆが1ばんすきって、いってたよ」

「パパは?」

「2ばんめだって」

⏰:08/09/18 14:40 📱:PC 🆔:D6L4N7VY


#337 [我輩は匿名である]
「パパ、美優に負けたの?ショックー」

「キャハハハッ」

ムンクの叫びみたいな顔をしてやると美優は可愛い顔で笑った。

幸せ。

娘の笑顔見てると仕事の疲れなんて吹っ飛ぶな。

⏰:08/09/18 14:40 📱:PC 🆔:D6L4N7VY


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