月の裏側
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#338 [我輩は匿名である]
「おなかすいたー」
「ん、パパも。ママまだ起きて来ないね」
時刻は朝の9時。
いつも8時には朝食を済ませる3人なのに、今日は百合がまだ起きて来ない。
:08/09/18 14:41
:PC
:D6L4N7VY
#339 [我輩は匿名である]
「パパが起こしてくるから美優テレビ見ててお利口にしててねー」
「はーい」
寝室に行き、布団に丸まっている百合に声をかけた。
「百合」
「…んんっ」
:08/09/18 14:41
:PC
:D6L4N7VY
#340 [我輩は匿名である]
「どうしたの?熱でもある?」
「…んー。何時?」
「9時。美優お腹すいたって」
百合はバッと起き上がったが、どこか力の入っていない顔。
「ごめんね。今から急いで作るよ」
「体調悪いなら無理しなくていいよ?」
「平気。寝坊してごめんね」
:08/09/18 14:42
:PC
:D6L4N7VY
#341 [我輩は匿名である]
百合は覚束ない足取りでリビングに向かう。
俺も後ろから追い掛けると美優が嬉しそうに百合に縋り付いている最中だった。
「おはよう!」
「おはよ。お腹空いた?ごめんね、すぐ作るから待ってて」
「うんっ」
:08/09/18 14:42
:PC
:D6L4N7VY
#342 [我輩は匿名である]
百合は美優に笑ってみせたけど、いつもと違う。
いつもの笑顔じゃない。
やっぱり体調が悪いのか。
「手伝うよ」
「あ、ありがと」
作り笑顔を俺に見せた百合の隣で、俺は朝食の準備を手伝った。
:08/09/18 14:42
:PC
:D6L4N7VY
#343 [我輩は匿名である]
その日からやっぱり百合は少し変だった。
ボーッとしたり、寝坊したり、無口だったり。
どうしたの?と聞いても、何もないよ、と笑顔で答えていた。
何もないわけない。
俺にはわかる。
何か悩み事があるってこと。
:08/09/18 14:46
:PC
:D6L4N7VY
#344 [我輩は匿名である]
ある日、突然言われたりもした。
「別れようなんて言ったら、どうする?」
そんな事、普通聞いてくるか?
何を悩んでいるのかわからないけど、そんな質問されるのが辛かった。
「別れない」
:08/09/18 14:46
:PC
:D6L4N7VY
#345 [我輩は匿名である]
真剣に聞いてくるから真剣に言い返すと百合は泣きそうな顔に変化した。
「…ごめん。変な事聞いたね。別に意味ないから」
そう言って百合は寝室に行ってしまった。
:08/09/18 14:47
:PC
:D6L4N7VY
#346 [我輩は匿名である]
百合が何を悩んでいるのか。
俺といる事が百合にとって苦痛になってきたのだろうか?
夫婦としてのマンネリなんてないし、互いの意見をぶつけ合う喧嘩もする。
冷め切った家庭ではない。
一体、何がどうなっているのか。
:08/09/18 14:47
:PC
:D6L4N7VY
#347 [我輩は匿名である]
早く解決させたいのに、仕事が邪魔をして上手くいかなかった。
いや、解決させるのが恐かったのかもしれない。
仕事を理由に、逃げていたのかも。
そんな風に百合の闇から逃げていると、いつの間にかクリスマスにの季節だった。
:08/09/18 14:48
:PC
:D6L4N7VY
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