鬼が哭くよるに
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#26 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]
けれども、秋吉はお宮を不気味がることなく、彼女を人間同等(もしくはそれ以上かもしれない)に愛したのである。
お宮はそんな秋吉の想いに答えるように、日に日にその美しさを増していった。
:08/08/13 21:34
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:Fm6tqpd2
#27 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]
「こんな汚ならしい小屋にお主を閉じ込めて面目ないな。環境は人を変えるという、お主の美しさも色褪せよう。もうすぐ妻であるお主に相応しい部屋をやる。それまでの辛抱だぞ」
「…………」
「そうか。お主は健気よのう」
:08/08/13 22:13
:L704i
:Fm6tqpd2
#28 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]
お宮は当然、答えない。
しかし、秋吉にはお宮の声なき声が確かに聴こえていた。
:08/08/13 22:13
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#29 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]
:08/08/13 22:19
:L704i
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#30 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]
「さあ、お宮、髪をといてやろうぞ」
そう言うと、秋吉は、懐(ふところ)から赤い漆塗りの櫛を取り出した。
それは、桐箱を拾った時、お宮の傍らに置かれていた櫛であった。
:08/08/14 12:37
:L704i
:djKd2ZK.
#31 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]
今にも砕け散らんとする天鵞絨(ビロード)であるかのように、ひどく優しくお宮を抱えあげた。
お宮の長く伸びた髪が秋吉の顔を簾(すだれ)のように覆った。
:08/08/14 12:59
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:djKd2ZK.
#32 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]
秋吉の緊迫を孕んだ手を伝い、重点の定まらない、まるで膓(はらわた)のつまった生き物のような重さを感じる。
秋吉は思わず息を呑んだ。
:08/08/14 13:47
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#33 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]
「お宮、お主の美しさときたら、もはや感嘆の溜息しか出ぬわ」
秋吉の瞳に、人形の美しい顔が映った。
:08/08/14 14:15
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:djKd2ZK.
#34 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]
睫毛は黒炭のように黒ぐろしく艶めき、こちらを見る瞳は底無しの湖のような深く、透き通った輝きがある。
肌は雪の如しである。
なんとまあ、この世にこのような艶かしさを兼ね備えた人形があろうとは思わなんだ。
:08/08/14 14:16
:L704i
:djKd2ZK.
#35 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]
誰がお宮を造り、お宮を捨てたのかは知らぬ。
しかし、その因果にわしは感謝するしかあるまい。
秋吉は思った。
:08/08/14 14:19
:L704i
:djKd2ZK.
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