鬼が哭くよるに
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#36 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]

「そうだ、お宮、今日はお主に伝えたいことがあるのだ」

お宮を抱き寄せて膝に乗せ、秋吉は言った。

「お主と出会ってからというもの、仕事に精が出てな。幾らか金に余裕が出来たゆえ、住(すまい)を都に移すことにしたのだ。どうだ? 嬉しかろう?」

「…………」

⏰:08/08/14 20:47 📱:L704i 🆔:djKd2ZK.


#37 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]

秋吉は内気な男だった。
それゆえに仕事場では仕事をこなす力量はあるが同僚に愛想の悪い者として避けずまれてきた。

⏰:08/08/14 21:40 📱:L704i 🆔:djKd2ZK.


#38 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]

しかし、お宮を拾ってからというもの、お宮に幾度となく自身を持たれよと励まされ続けた。

結果、お宮の必死の呼び掛けが実を結び、秋吉は「他人を労れる類い稀なる優男」に見事変貌したのである。

⏰:08/08/14 21:42 📱:L704i 🆔:djKd2ZK.


#39 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]

「京の都には腕利きの人形職人がおるでな。お主の手入れもより一層と磨きがかかろうぞ」

それから間もなくして、秋吉はお宮と共に京の都へと住を移した。

⏰:08/08/14 21:46 📱:L704i 🆔:djKd2ZK.


#40 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]

その頃、京では強盗やら家事やらが流行していた。

その為、一軒家を建てたり町中の大きな長屋などに住むのは止めて、町外れの老夫婦が管理する小さな長屋を選んだ。

長屋の住人は皆、人の良い秋吉を快く受け入れて歓迎した。

お宮に異変が現れたのは、それから間もなくした蝉の鳴き始める初夏のことであった。

⏰:08/08/14 21:48 📱:L704i 🆔:djKd2ZK.


#41 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]

秋吉は以前にも増して仕事に精を出し、京の都での長屋暮らしにも随分と慣れてきていた。

お宮も腕利きの人形職人に定期的に手入れを施され、美しさを増した。

長屋の衆とも交友は順調で、なに不自由ない生活を送れていることを、不意に、恐ろしく感じることもあった。

⏰:08/08/14 21:55 📱:L704i 🆔:djKd2ZK.


#42 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]

そんなある日、異変が起きた。

秋吉が何時も通りに仕事から変えると、長屋の裏庭にある物干し竿に干してあった筈の洗濯物が取り込まれていた。

長屋の誰かが気を利かせて取り込んでくれたのだろう。

⏰:08/08/14 22:55 📱:L704i 🆔:djKd2ZK.


#43 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]

秋吉はそう解釈し、長屋の衆に誰が取り込んでくれたのかを聞いてまわった。

しかし、そこで可笑しなことがおきる。

⏰:08/08/14 23:07 📱:L704i 🆔:djKd2ZK.


#44 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]

誰一人として、秋吉の洗濯物を取り込んでなどいないと言うのだ。

洗濯物が一人でに動くわけもなく、秋吉は不思議なこともあると首を傾けた。

⏰:08/08/15 12:39 📱:L704i 🆔:IknIGERo


#45 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]

それだけではなかった。

その後、昼寝をしている間にお茶が準備されていたり、いつの間にか煮物がこしらえてあったりと不思議なことが立て続けに起こったのだ。

秋吉は流石に気味が悪くなり祈祷師に祓いを頼んだ。

⏰:08/08/15 18:34 📱:L704i 🆔:IknIGERo


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