【特別企画】1日限りの恋愛短編祭り!【投下スレ】
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#331 [◆SjNZMOXdWE]
するとわずかに白い息を吐きながら、日向がぽつりと呟いた。
「‥翔ちゃん、知ってる?」
その声が少しかすれてて、思わず耳を傾けると同時に、日向の肩をもう一度強く引き寄せた。
「知ってる?青虫はね、空に恋い焦がれて一生懸命綺麗になるの。少しでも空に近づきたくて、羽まで伸ばして空を翔けるの‥」
俺の胸にうずくまりながら、日向が窓の外を見る。
「ねぇ翔ちゃん‥私、蝶々になれた?」
:08/09/14 21:47 :SH706i :☆☆☆
#332 [◆SjNZMOXdWE]
「あぁ、俺にはもったいないくらい‥綺麗‥に‥なったよ‥」
自分で自分が恥ずかしい。
俺ってこんなセリフ言えるんだ‥
「まっまさか蝶に帰省本能があるとは知らなかったけどな!」
照れ臭いのを隠すように、わざとおどけて話してみる。
その勢いで日向の頭に俺のこめかみがコツンとぶつかる。
:08/09/14 21:52 :SH706i :☆☆☆
#333 [◆SjNZMOXdWE]
「‥‥‥‥‥‥」
顔を見合わせるとお互い耳まで真っ赤っか。
俺と日向の笑い声が、甘い香りと共に準備室をいっぱいにする。
俺が空だと笑う日向。
どうせ翔けるなら青空がいい。
空にたどり着いた蝶には、一体どんなご褒美が待ってるんだろう?
「日向‥」
:08/09/14 21:52 :SH706i :☆☆☆
#334 [◆SjNZMOXdWE]
きっと空だって蝶が可愛くて仕方ないから、優しく見守るだけじゃ済まないだろ。
そんなこじつけを考えながら、日向のおでこにキスをする。
顔を見合わせるとまたも笑顔がこぼれてしまう。
「こんな‥俺でいいの?」
おでこをくっつけて、日向にだけ聞こえるくらいの声で話す。
まばゆい程の甘い笑顔で頷く日向は可愛過ぎて‥‥
時が止まったんじゃないかと思えるくらい、長い長いキスを交わした。
:08/09/14 21:53 :SH706i :☆☆☆
#335 [◆SjNZMOXdWE]
いつも見上げればそこにあるあの空ように‥
永遠に君を見守り続ける。
‥甘ったるいこの感覚は、さしずめ花の蜜ってとこかな‥‥?
□■■■■■■■■ HAPPY END
■■■■■■■■□
:08/09/14 21:53 :SH706i :☆☆☆
#336 [◆SjNZMOXdWE]
:08/09/14 21:55 :SH706i :☆☆☆
#337 [◆8HAMY6FOAU]
今から投下します!
タイトルは「踊り狂え、愛しきピエロ」です
:08/09/14 22:17 :SH903i :☆☆☆
#338 [◆8HAMY6FOAU]
俺は彼女のことをあまり理解してなかったんだと思う。
「好きな人が出来たの」
そう告げる彼女の眼は、斜め右下を向いていた。
考えもしなかった事態に頭の中が真っ白になって、沈黙のパレードが彼女と俺の間を延々行進する。
いつまで経っても俺は、言葉を返せなかった。
:08/09/14 22:19 :SH903i :☆☆☆
#339 [◆8HAMY6FOAU]
一人暮らしのアパートに帰って彼女の言葉を思い返すと、心臓を鷲掴みにされた気分になって情けなくも涙が溢れた。
ゴミや雑誌が散らかり放題の戦場みたいな部屋、その真ん中にだらしなく敷かれた万年床の布団に座り込んで、ただただ泣いた。
四年間恋人として過ごした女(ひと)との思い出が、鳴咽を漏らし泣きじゃくる俺の脳裏に浮かび上がっては消えていく。
:08/09/14 22:20 :SH903i :☆☆☆
#340 [◆8HAMY6FOAU]
まだ俺たちが付き合いたての頃、大学の帰り道に寄ったスーパー。
慣れた手つきで夕食の材料を選んでは黄色いかごに入れていく彼女の後ろ姿を、俺は世界で一番の幸せ者だと思いながら眺めていた。
「ねぇ、野菜炒めでいいかな?」
俺がいくら我が儘を言っても、何時間と待ち合わせに遅れても、どれだけバイトの愚痴を零しても、彼女はいつも天使みたいに優しく頷いてくれる。
かわいくて、気が利いて、頭も良くて、その上料理も出来る彼女。
この時、俺はコイツと結婚しようと心に決めたんだった。
:08/09/14 22:21 :SH903i :☆☆☆
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