【特別企画】1日限りの恋愛短編祭り!【投下スレ】
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#367 [◆j9RqQwYZbM]
数分程して帰って来たかと思うと、咲良はおもむろに何かを私に差し出して来た。

「そうだな…今の沙保にはこの花を…花言葉は」

「もぉぉ!!咲良の花の慰めは要らないって!!」

咲良の言葉を遮るようにそう言うと、私はテーブルにうつ伏せる。

「お前…本当失礼な奴だな!人が心配して選んだ花を受け取らないなんてよぉ!!」

まだ馬鹿げた文句を言いながら、咲良は不機嫌そうにイスに座り直す。

⏰:08/09/14 23:49 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#368 [◆j9RqQwYZbM]
花屋の息子だからか知らないが、咲良はいつもその時の私の状況に合わせた花言葉の"花"を選んで私にくれる。

それが咲良流の慰め方らしいのだが、私にしてみれば何の意味も無い行動に思えてならない。

「そんな花くれるんだったらさぁ〜私のことだけ考えてくれる人を連れて来てよぉ…」

周り一面に咲いている花を見ながら、私は思わずそう呟いた。

すると突然、咲良が席を立ち上がって一目散に奥の店内へと戻って行った。

咲良が奇怪な行動を取るのは日常茶飯事なので、私は気にせずテーブルに伏せていた。

⏰:08/09/14 23:56 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#369 [◆j9RqQwYZbM]
テーブルに顔をうずめたまま、急に静かになった広場で一人ふ、と思った。

[きっとまた恋しても、"重い"とか言われてフラれるだけなんだろな…]

この恋をバネにして!なんて、口では簡単に言えるけれど実際はそうじゃない。
毎回毎回、失恋する度に心身共々ボロボロで、自分ばっかり責めて、泣いて…。

そんなことを考え出したら急に悔しくて、悲しくて、涙が頬を伝った。

「こんな時に…一人にしてんじゃないよ…バカ咲良…ッ」

⏰:08/09/15 00:03 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#370 [◆j9RqQwYZbM]
すると突然、顔の下に敷いていた腕を力強く引き上げられた。

「一人で…ハァッ…泣くな!!俺が居る意味が無いだろ!」

驚いて見ると息を切らした咲良が私の手を握っている。

「だ…ッだって!っていうか、勝手に飛び出して行ったのは咲良の方じゃん!!」

突然のことに動揺した私は、急に泣いている自分が恥ずかしくなって慌てて涙を拭く。

その言葉を聞いた咲良は思い出したように、私の手を握る右手とは逆の手をまた勢い良く差し出した。

「これ…お前に渡せるの、今しかないと思って」

咲良はそう言って俯いた。
見ると咲良の手には、一輪の赤いバラがあった。

⏰:08/09/15 00:11 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#371 [◆j9RqQwYZbM]
「…バラ……?」

まだ現状が理解仕切れていない私は、じっとその花を見つめる。

そんな私を咲良は苛々した様子で暫く見ていると、胃を消したように突然大声を上げた。

「バラの花言葉ぐらいだったら、お前も知ってるだろ!」

「花言葉…?」

そこまで言うと咲良はまた恥ずかしそうに俯いた。
咲良を見つめながら、私はゆっくりと思い出す。

バラの花言葉。
確か……。

「ー……ッ!!!!!!!!」

思い出した途端、自分の体温が急上昇していくのが分かる。

「そ…れって…」

バラの花言葉、"愛・愛情"。私が何よりも欲しがっていたモノだ。

⏰:08/09/15 00:18 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#372 [◆j9RqQwYZbM]
「口で言わなきゃ分かんねぇのかよ…この鈍感」

いつになく顔を赤らめている咲良はバラをテーブルに置くと、私を見つめ直す。

「花言葉で告白って…。プッ…相変わらずダサいなぁ〜咲良は!」

大真面目に言っている咲良を前に私は思わず吹き出して言う。
咲良の方は一世一代の告白をまさか笑われるとは思っていなかったらしく、キョトンとしている。

「お前…っ…普通ここで笑うか…ッ!?」

咲良はそこまで言うとまた口を紡ぐ。
というよりも、紡がざるを得なかった。

咲良の唇を、私が塞いだから。

⏰:08/09/15 00:24 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#373 [◆j9RqQwYZbM]
何で気が付かなかったんだろう。

私が今まで恋をしていて不満だらけだった理由。それは、いつも相手に咲良を重ねて思っていたからだ。

咲良のような優しさや温もりを相手に求めては、拒まれていた。

そりゃあそうだ。
咲良の優しさは咲良にしか生み出せない。

こんな簡単なことに気が付くまで、随分時間がかかったものだ。

⏰:08/09/15 00:30 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#374 [◆j9RqQwYZbM]
ゆっくりと唇を離すと、咲良から花の良い香りがした。
どこか懐かしくて心があったかくなる香り。

「沙保…お前って本当に無茶苦茶だな」

ようやく自由になった口を咲良は不満そうに開いた。その顔はバラより赤くて、また私は笑った。

「無茶苦茶な私に愛を誓ったのは咲良だよ?
最後まで付き合ってもらうから」

私はそう言って微笑むと目を閉じる。
咲良の甘い香りに包まれるのを、心地良く感じながら。

⏰:08/09/15 00:34 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#375 [◆j9RqQwYZbM]
【花と君とあたし。】

>>359-374

投下終了です!

次の方どぞ!

⏰:08/09/15 00:36 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#376 [◆vzApYZDoz6]
業務連絡

投票開始しました!
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/3873/
匿名でなら作家さん自身が投票するのもアリなんで、お好きにどうぞw

なお、24:00〜26:00はマージンタイムです!
投票はすでに受付開始していますが、この時間に投下された作品も投票対象になりますのでまだ投下してない方はお早めに!

⏰:08/09/15 00:52 📱:P903i 🆔:☆☆☆


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